真・女神転生オタクくんサマナー外伝 ~ナホトラマン奮闘記~ 作:貴司崎
「……よし、じゃあ勝負するか!」
『来るか! 愚かなキリギリス共!!!』
そんなヘビクラ隊長の声に従ってチームDATの面々がこれまでの“敵の攻撃を凌ぐ”動きから“敵を仕留める”動きに移ったのを見て、魔丞・セトは『やはり』と思いながらその隙を突いて確実にカウンターを入れる構えを取る。
……これまでの戦闘でも魔丞・セトはジリ貧の状況であるのにカケラも諦めを抱いていない敵の姿を見て不気味さと怒りを抱いていたが、それでもかつての手痛い敗北の経験から『キリギリスがこちらを殺しに来る一手』を打つ可能性も常に頭の一部で考えていたのだ。
(形振り構わぬ特攻によって攻め手を増やすか、或いは何か特大の攻撃手段でもあるか……だが、例え全員からの一斉攻撃を食らっても私のほぼ満タンに近いHPは削りきれない。女神二柱を倒しても蘇生の準備はある。そして攻め手を追加して薄くなった守りを貫いてやろう)
そして魔丞・セトはキリギリスの恐ろしさを知るが故に自らが優位な状況になっても魔丞がよく陥る油断や慢心が少なく、自分のHPの残りであれば十分に耐えきれると考えて後ろの女神二柱に敵を近づけない様にだけ注意しながら立ち回っていた。
……完全に悪魔化した魔丞とは思えない程に『知恵』を回して戦略を練っている魔丞・セトは或いは魔丞以上の“ナニカ”へと変じようとしているのかもしれなかったが、そんな事をわざわざ考える者はその場にはおらず戦局は最大のターニングポイントへと移っていた。
「……さて、通用するかな。リカーム*1! モー・ショボー!」
「はいはい、呼ばれて復活よ。もっと早くに蘇生してくれれば良かったのに」
まず最初に行動したのはヤマトであり、これまではずっと使っていた【
……それを見たセトはチャンスだと考えた。ヤマトの万能ダメージカットが原因で他のメンバーを【メギドラオン】では始末出来なかったのに、わざわざご丁寧に蘇生スキルで低レベルの悪魔を復活させるのに手番を使ってくれたのだから。
「モー・ショボー、マガツヒを渡す……やれ!」
「りょ〜かーい! じゃあいくわよ、呪毒散布! 更にスクカジャ!!!」
| 呪毒散布 | マガツヒスキル | 凶鳥のマガツヒスキル。敵全体に状態異常(睡眠・幻惑・毒・混乱・魅了・封技)を強力な効果から優先して付加し、3ターンの間、全能力を一段階低下させる。 |
そうして隙を伺う魔丞・セトに対してヤマトはずっと溜め込んでいた【マガツヒゲージ】内のマガツヒを解放、それを回されたモー・ショボーはマガツヒを凶悪無比な呪毒へと変換して敵にばら撒くマガツヒスキルを行使した。
それにより魔丞・セトと二体の女神は呪毒に汚染されて状態異常と全能力減少に陥り、更に自らの手番がまだ残っている*2モー・ショボーはついでに味方全体に掛かるスクカジャ*3で命中と回避率を引き上げた……が、その行動を見て魔丞・セトは愚かなと思いながら哄笑を上げた。
『バカめ! 状態異常とデバフでこちらの攻撃を凌ごうとはなぁ!!! だがこの程度の呪毒なら耐性とマスクで払えるんだよ! 例え万能状態異常だろうがレベル差と二重マスクで届くものか! デクンダ!』
そう言いながら魔丞・セトは自らを汚染しようとする呪毒を神経・精神・魔力無効の耐性と状態異常確率軽減スキルによって打ち払い、更に万人に効く全能力低下の効果も能力低下解除魔法を使う事で解除する。
そしてセトはスクカジャを掛けた事から敵の狙いはこちらの攻撃を回避する事であると考え、更に敵が攻撃態勢に移って防御スキル使用が遅れていると見てこれ以上のバフを重ねられる前に回避し難い全体攻撃による殲滅を行う判断を下した。
『さあ今度こそ殺してやろう! 食らうがいい! マハザンダイン!!! メギドラオン!!!』
| 妬みの狂飆 | 特徴*4 | 主なる者への恨みを抱える悪魔。電撃・衝撃相性のスキル使用時、威力が50%上昇する。 レベル不足で効果は少し欠けている。 |
| マハザンダイン | 衝撃属性スキル | 敵全体に大威力の衝撃属性攻撃。 |
| メギドラオン | 万能属性スキル | 敵全体に特大威力の万能属性攻撃。 |
そうして魔丞・セトが背部の翼を羽ばたかせて広範囲を吹き飛ばす暴風を放ち、間髪入れずに口部から万物を焼き払う極光を放射して厄介な万能ダメージ軽減スキルを使う
闇雲に攻撃するのではなくまず衝撃属性で敵全体を
『……ふん、わざわざそちらの総攻撃を無策で受ける必要もあるま『おー、凄い威力だねー! まあ当たってないけど』「余波だけで吹き飛ばされそうだったがな。直撃しなければ耐えられるが」なん……だと……?』
そう狙い通りに敵の目論見を挫いたと思った魔丞・セトだったが、余波で発生した砂塵の先で先程確実に吹き飛ばした
『馬鹿な⁉︎ レベルの低い貴様らが防御無しで耐えられる筈が……!』
「いやそもそも当たってないし。……【幻惑*5】の状態異常が掛かってるのに回避上げてる相手に攻撃が当たる訳ないだろ? そもそもオマエ“幻惑弱点”だろうに」
『な……アァ……!?』\幻惑状態/
\カカカッ/
| 邪龍 | 魔丞・セト | LV82 | 火炎吸収 氷結・電撃・衝撃・呪殺・神経・精神・魔力無効 破魔耐性 |
彼等が無事な理由は何の事はない、単に魔丞・セトが呪毒散布による状態異常に弱点だった【幻惑】が選ばれて幻に囚われ攻撃を外しただけである。
……最もかつてキリギリスにハメられたが故に状態異常には念入りに対策をして、それ故に『もう絶対に状態異常に掛からない』と思い込んでいた魔丞・セトにとっては衝撃だった様だが。
『……し、神経と精神と魔力は無効でマスクも二重にしてそれ以外の相性も弾ける筈……⁉︎』
「【幻惑】の状態異常自体は万能相性らしい*6からな。だから防ぎたければ“個別での状態異常への耐性*7”があるか状態異常の耐性が出来るスキルが必要。そしてマガツヒスキル【呪毒散布】は耐性が一番低い状態異常に“必ず掛ける”スキルだから、そもそも状態異常の発生確率自体が存在しないんでマスク系スキルも無意味だ。……検証が足りなかったな」
ヤマトはこれまで散々『黎明の祈り手』とのマガツヒスキル検証で使って来ただけあって【呪毒散布】の特性をしっかりと把握しており、故にセトの耐性ステータスを魔眼で抜いたケンジロウからの情報を元にこの策を考えたのだ。
『グッ……だが状態異常なら治せば良い! イシス!!!』
『『…………』』\封技状態/
「無駄だ、さっきの呪毒で二体ともスキルが一切使えなくなる【封技】が掛かってる。封技無効とかを持ってなく状態異常弱点も無いなら一番強力な封技が掛かるからな。……仲魔の状態異常も把握出来ないとはサマナーとしては三流だな」
「支配下に置かれてる所為で状態異常の報告すらも出来ないもんねー。やっぱり自主的な判断が出来ない仲魔はダメねー?」
『【呪毒散布】でのハメ殺しはナホビノの必須スキルだ。大体の魔丞や合一神はこれか【会心】で殴るかで倒せた』
『き、貴様らぁ……!!! だが……!』
容赦ない『挑発』トークを繰り出すヤマトとモー・ショボーとアオビトに対して魔丞・セトは激昂するも、それでも幻惑状態でも使えるスキルでもって状況を打開しようとするが攻撃が外れた事による動揺もあってその行動は遅きに失した*8。
そしてセト達が行動出来ていない間に全体攻撃を全て回避していたヘビクラ隊長達は、セトが幻惑によって自分たちを捉えられておらずヤマト達の挑発によって注意が外れている隙に女神二柱の元に既に迫っていた。
「まずは支援を授けます! ラスタキャンディ!」
「御苦労ノルン。自主的な行動が出来る仲魔がいれば指示など最低限でいいのさ。……そして状態異常耐性があるのはセトだけで他の女神二柱には無い。今までは近づけなかった所為で打ち込む隙が無かったが今なら通るだろう! ペトラマ*9!!!」
『…………⁉︎』
まずノルンの全能力強化バフを得たヘビクラ隊長が、これまではセトに妨害されていた石化魔法をイシスに撃ち込んでその肉体を石化させる……例え呪殺に耐性があろうとも、魔界へと落ちた際に“なにか”と接触した事がキッカケで発現した彼の石化魔法は『降魔属性』故に問題なく通る。
「石化させとけば行動不能かつ防御力低下になって戦闘が終了しても魔法を使わねば治らない*10から、唯一の状態異常回復役を石化させれば治す事も出来ん。……今の内にもう一体のアナトを潰せ!」
「「「「了解!!!」」」」
石化したままで放置するのであれば殺してからのサマリカーム使って蘇生、及びそこから状態異常回復による復帰も不可能なのでヘビクラ隊長はイシスを実質的な封印状態としたまま放置させて他のメンバーに残ったアナトの撃破を指示する。
まず動いたのはイシスが弱点とする氷結属性を得意としているアンヌ副隊長とアナンタの二人、彼女達は【無終なるもの】と【ラスタキャンディ】による二重の全能力バフを受けた状態でアナトへと迫る。
「喰らうが良い! 氷龍撃!」
「出来れば氷結になって欲しいな! ペルソナ! ブフダイン!!!」
『◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️!!!?』\WEAK!/
アナンタの冷気を纏った噛みつきがアナトへと撃ち込まれ、アンヌ副隊長の呼び起こしたペルソナ【ラクシュミ】が極大の氷結魔法によって発生した冷気でアナトを飲み込んで凍りつかせる……が、運が悪かったのか【氷結】の状態異常は入らなかった。
「ごめん状態異常入ってない!」
「問題無いな、弱点を突かれて怯んでいる事に変わりないからまだ攻撃出来る。……俺も良い加減に戦闘に参加したかったからな!」
【試作悪魔カートリッジ:ビャッコ《ブフダイン》*11】【ワンショットキル*12】
『◼️◼️◼️◼️◼️……⁉︎』\CRITICAL!/\FREEZE!/
だが次に動いたケンジロウがこれまで魔眼による解析しか出来なかった鬱憤を晴らすかの様に【DATハイパーバスター】から大威力の氷結属性銃撃を放ち、
……ただし、その代償の様に使用してカートリッジはスパークと共に排出されて砕けてしまったが。この【試作悪魔カートリッジ】は上位魔法の銃撃化が可能な代物だが、今現在だと魔法の威力のカートリッジが耐えきれずに一度使えば壊れてしまうのだった。
「一発で壊れるからコスパは最悪だがな! カートリッジ一発がストーンやカードよりも高すぎるのが原因だが!」
「仕方あるまい、一発撃てば壊れる代わりに大威力とかロマンがあるから切り札として採用したくなるだろう! ……さて、氷結状態であれば物理耐性が機能しないのは知ってるか? 雄渾劇!!!」
「凍らせた相手はとっておきの物理で砕くっす! 【武器の聖別】で氷結属性付与からの……貫け、マク・ア・ルイン*13!!!」
そして凍りついて物理耐性が機能しないアナトに対してミツヒロが改造魔晶剣【DATハイパーブレード】を大上段から振り下ろして大ダメージを与え、更にトモヤが吹雪を纏わせた【アンスウェラー】で大英雄の槍の一閃を模した必殺の突きによってアナトを貫き
……だが、それでもマガツカの影響によって膨大なHPを得ているアナトを倒すには僅かに至らず、ギリギリで女神は生き延びていて……。
「ではもう一度ですね、木花咲耶姫よ私に力を。【ワンスモア*14】!」
「お? これは……成る程、もう一回遊べるドンっすね! ツーわけで【マク・ア・ルイン】二発目ぇ!!!」
『◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️!!!?』\CRITICAL!/
当然それを見逃す事は無くサクヤが魔法による擬似的な『バトンタッチ』によってアナトに最大のダメージを叩き出せるトモヤを再行動状態とし、それを受けた彼は即座に再度伝説の槍の力を解放して女神を射し貫き今度こそHPをゼロにして撃破したのだった。
……ちなみに彼女は【オオヤマツミ】を祭神とする巫女として、その娘である女神【コノハナサクヤ】の力を【神格の支援*15】によって一時的に自分に降ろす事が出来るのだ。オオヤマツミ関連の神でもコノハナサクヤが一番相性が良く簡易的な降神術の様な事が可能なのだとか。
「よし、ダメージ量は足りたか。運良くトモヤが2回ともクリティカル出してくれたのが大きかった、ダメなら追加でアタッカーを出す予定だったがもう良いな……デカラビア、そっちも始末しろ」
「承知、石化は衝撃で砕く*16! ザンダイン!」
それを見たヘビクラ隊長は仕留めきれたのなら蘇生対策に石化のままで放置しておく理由もないと、デカラビアの衝撃魔法によってイシスの石像を砕かせて即死させたのだった。マガツカの影響を受けてはいるがボス補正による即死耐性もなかったので、即死させればどれだけのHPがあっても関係無い。
『……なぁ……⁉︎ 馬鹿なこうもあっさり……⁉︎』
「ボスのくせにBS無効も無いとか恥ずかしく無いんですか? ……【幻惑】が効いている内に嵌め殺すぞ。回復と補助の手数が消えた以上、バフとデバフを重ねがけしながら数の差で押し潰す」
一瞬で逆転した戦局に愕然とする魔丞・セトだったが、それに対してヘビクラ隊長は挑発を交えつつも油断なく仲間達に指示しながらセトに対して次の手を打とうとする。
例え取り巻きを排除してもセト自身が強大な力を持って三回行動してくる魔丞である事には変わりなく、こちら側も相応に疲労している事から相手の膨大なHPを削るには状態異常が効いている間に多少無茶をしてでも攻め落とす必要があると考えていたのだが……直後、愕然としていたセトの肉体から膨大なマガツヒが吹き出して、更に後方のマガツカもそれに連動する様に禍々しい嘶きを上げながら多量のマガツヒをセトへと供給し出したのだ!
『……否。……否ァァ!!! まだだ! まだ私の怨讐も怨嗟も我が神への忠節もこんな所で終わりはしないィィィィ!!! デカジャァァ!!!』
「なんだ⁉︎ これは……?」
『マガツヒだ!!! あのマガツカから多量のマガツヒが奴に供給されている! この感じは『マガツヒスキル』が来るぞ!!!』
その以上の理由に真っ先に気が付いたのは過去に幾度となくマガツヒ溢れる
……しかし、正確に言えば今セトに起きている現象は通常のマガツヒ収束とはやや違い、生贄によって魔改造されたマガツカが窮地に追い込まれた魔丞・セトが発した
『我らが神よご照覧アレェェェェ!!! 我がマガツヒの全てを捧げて怨敵を討ち滅ぼしてくれましょうぞォォ!!!』
| ビッグバン | マガツヒスキル | 邪龍のマガツヒスキル。敵全体にレベル依存による特大威力の万能属性攻撃。 |
そして魔丞・セトは激昂のママに肉体に供給された膨大なマガツヒを自身の損壊も気にせずに全開放、魔丞・セトの種族『邪龍』が使う事の出来るマガツヒスキルとして万物を消し飛ばす程の極大威力、かつ回避を許さぬかの様に周囲一帯を飲み込む極光という形として顕現した。
「チッ、全員防御しつつ
「ああもう! サマナー【カバー】するわよ!」
「すまんモー・ショボー! だがこれで……」
『無駄ダァ!!! この身を犠牲にしてでも貴様等を討ち滅ぼして我が神へと捧げるのだァァ!!! それがワレの『ササゲのコトワリ』故に! メギドラオン! メギドラオォォン!!!』
しかしそんな回避不能の攻撃に対してもチームDATのメンバーは【防御】をするか、或いは【食いしばり*18】や仲魔のカバーなどによって凌ぐが、激情に駆られたままの魔丞・セトは自身の負担を一切顧みずに特大威力の万能魔法を2連続で発動させて食いしばりなど許さぬ様にチームDATを薙ぎ払った。
……魔丞・セトのコトワリは『全てを捧げれば目的に必ず届く』という【ササゲ】、そしてその全てには自分自身も当然含まれる故にこうして自爆じみた攻撃も当たり前にするのが本来の戦い方であり、慎重策を取っていたのはキリギリスへの警戒故だったのだが追い込まれた事でタガが外れてしまったのだ。
『……ゼェ……ハァ……ハァ……! ……まさかここまで追い込まれるとはなぁ……!』
そうして膨大なマガツヒを頼りに地形が変わる程の威力で万能攻撃を連射して、文字通り周囲一帯を敵ごと薙ぎ払った魔丞・セトは土煙りの中に立っている者がおらず敵全てが地に倒れ伏している事を確信してほくそ笑んだが……。
『だがこれで「いやまだ終わっていないが?」ッ⁉︎ 馬鹿な!』
だが、セトは立ち込める砂煙の中で立ち上がる一人の人間の影を見つけ、その声が先程自らをマガツヒスキルによって状態異常に陥れたあの中で最もレベルの低いヤマトの声だと気付いて驚愕した。
まあ、彼が生き残ったのは何の事は無く、最初の【ビッグバン】は仲魔のモー・ショボーに【カバー】されて、次のメギドラオン2連打も前衛組故にタフだったので食いしばって生き残っていたトモヤとヘビクラ隊長にそれぞれ【カバー】されたからこそ無事だったのだ。その証拠に彼の足元には
『フ、フン! どうやら仲間に庇われただけの様だな! 下らん正義感か何かは知らんが最も若くてレベルの低い者を生き残らせるとは、先程マガツヒスキルを使った以上はもう役立たずだろうに……』
「何を言っているんだ? これは事前に“作戦で決まっていた”事なんだが。……アオビト、
『ああ、先程の攻防と今倒れた者達のお陰で100%溜まっている。いつでもマガツヒスキルを使用可能だ』
それを見て直ぐにヤマトが立っているのは味方に庇われただけだと気付いたセトは『スキルを使ってマガツヒが無くなったコイツなら脅威では無い』と嘲笑を浮かべるが、対照的にヤマトの方は涼しい顔で『完全に溜まりきったマガツヒゲージ』を確認していた。
……ついさっき【呪毒散布】で全て使い切った筈のマガツヒが回復している理由はヤマトとアオビトが事前に取得した二つの神意によるもの。先程アナトの弱点を突いて倒した事で【一気呵成】──自分達が敵の弱点を突くかクリティカルを出す度にマガツヒゲージを1%増加させる力でゲージを僅かに溜め、更に先程の万能三連打によって味方が死亡した時に【仇討ち】──味方に死者が出た時にマガツヒゲージが“30%”上昇する力が三連打に合わせて三度発動して事によって合計90%ゲージが溜まったので高濃度マガツヒ空間においての自然回復含めて100マガツヒゲージが1ターンで溜まったのだ。
『空間の高濃度マガツヒが力を与えるのはそちらだけでは無い。かつての『ダアト』の様にこの場所であればマガツヒゲージ増加系神意も本来の性能が引き出せる』
「ど素人が、本当のマガツヒスキルの使い方を教えてやろう。……召喚、パールヴァティ!!!」
「呼びましたねサマナー。……ここは回復役である私の出番ですね。皆に癒しを!!!」
| 常世の祈り | マガツヒスキル | 女神のマガツヒスキル。ストックを含む味方全体のHPと状態異常、死亡状態を全回復する。 |
そしてヤマトは自らの手番にストックで温存していた【女神 パールヴァティ】を召喚、呼び出されたパールヴァティは即座に自分の役割を理解して送られてくるマガツヒを使って最高位の全体完全回復スキルを使用して先程の攻撃で倒れた味方全員を蘇生・完全回復させたのだった。
ちなみにこの『味方が全滅した際に【仇討ち】と残しておいた女神の仲魔による【常世の祈り】で完全回復する』という戦術はアオビトの発案であり、彼がかつてダアトと呼ばれた魔界で仲魔に自分を庇わせながらよく使っていた戦術を神意が解放出来た時点でチームDATに提案していたのだ。
「よっしゃ蘇生完了。事前の作戦で『万能全体攻撃マガツヒスキル使ってきたらヤマトだけは生かして、後で完全回復して建て直す』と決めていて良かったな」
「隊長もトモヤさんも庇ってくれてありがとうございます」
「まあ後衛を庇うのも前衛の務めっすからね。後で蘇生してくれれば問題ないっす」
「ねーサマナー、私も庇ったんだけどー? 後でなんか奢ってねー?」
『……お、おのれェ……!』
自らの全てを捧げて行った攻撃があっさりと対処された光景を見て魔丞・セトは歯噛みしながらも戦闘を再開しようとするが、その身体からは先程までの様な存在感が余り感じられないぐらいに疲弊しており、更に後ろに建つ改造マガツカから送られるマガツヒもさっきまでとは比べ物にならないぐらいにか細いものになっていた。
マガツヒの供給不足は言うまでもなく先程マガツカを無理矢理駆動させたのが原因であり、更にセト自身が保有するマガツヒも激減したので『マガツヒゲージが満タンの時のみ使える』制限がある自動回復や行動回数増加も今は使えない。
『どうやらマガツヒをかなり消耗している様だな。後ろのマガツカも停止してるし多分今なら自動回復や三回行動も難しいだろう』
「取り巻きも居ないしコイツ自身には回復魔法とかは使えないだろ。【邪龍 セト】の回復属性に対する適切は最低値の『−5』だ*19
「じゃあ今の内にバフデバフを掛けながら防御最低限で殴ってくぞ。HPも減ってる様だから回復する前に三回行動出来ないならダメージレース優先で仕留める」
「バフデバフ掛ければ万能全体攻撃二回ぐらいなら耐えられるしな」
「もし単体攻撃とかで死んでも一人だけなら蘇生させればいいから今のうちに叩くっす」
「こっちのMPも少ないけど必要なら私が【リカームドラ*20】するわ」
「時間を掛けて解析したから俺なら氷結無効スキルを【弱点看破*21】で抜ける」
「私は普通に【雄叫び】と【ワンスモア】に徹しましょう」
『…………お、おのれ貴様等ァァァァァァ──────ッ!!!?』
勿論マガツヒの挙動に詳しいアオビトとヤマトがそれを見逃すはずもなく、その情報と魔丞・セトのHPが反動で削れている事も見て取ったチームDATは回復される前にバフデバフを重ねて数に任せた一斉攻撃により短時間で削り切る戦術に移行。
……まあいくら魔丞・セトでもバフデバフが掛かった状態ではメギドラオン二回だけだと一人も倒せず、単体攻撃でも倒しきれないか倒しても蘇生される上に二回行動が限度なので強化解除に手番を使えば誰も倒せないという状況ではどうしようもなく、HPが大きく削れていた事もありチームDATの一斉攻撃によってマガツカの機能が回復する前に打ち倒されてその野望は潰える事となったのであった。
あとがき・各種設定解説
ヤマト&アオビト:魔丞退治の専門家(ガチ)
・状態異常の多くを無効にして更に全ての状態異常と即死の確率を大幅減する相手をどう攻略しますか?……と聞かれて『必ず掛かるマガツヒスキルで無効耐性がない状態異常に嵌めればいいよね』したヤツ。
・アオビトはかつてのダアトで多数の仲魔と共に数多のマガツヒスキルを使って、それを前提とした戦術で戦い続けたので高濃度マガツヒ環境での戦闘では相当に強いしマガツヒスキルでのハメ技とかも使ってくる。
・なのでマガツヒスキルの最適な使い方は勿論の事、敵が使うマガツヒスキルに対しての対処にも慣れており、それによって強力な固有スキルなどを使う多数の魔丞や合一神を倒しているので『ナホビノは強力な専用スキル使うよりも仲魔と戦う方が強い』と思ってる。
チームDAT:悪魔退治の専門家(ガチ)
・ウルトラマンなりきりなネタチームではあるが必要なら食いしばりHP1状態で味方庇うのも躊躇なくやるし、そのまま蘇生してから全力戦闘だって“ウルトラファンとして防衛チーム名乗るならこれぐらい当然”とか思ってるガチ勢。
・まあちゃんと蘇生しやすい様に急所は守ってたし、今回はマガツヒスキル【常世の祈り】による蘇生が通常の蘇生より効果が高かったので蘇生による損耗は最低限だったのもあるが。
・高レベル魔丞を撃破したので彼ら及び動向していたサクヤは限界突破してレベルが上がります(ヤマトもレベルは凄く上がったけどそもそも成長限界自体がまだまだ先)
魔丞・セト:世界崩壊を目論んだ今週の怪獣枠
・戦術自体はそこまで悪くなく事前にキリギリスがよくやるバフデバフ状態異常属性反射などにもしっかりと対策は取っていた……のだが必ず状態異常になるマガツヒスキルによるはめ殺しというとある世界では【混沌王】にすら通用する戦術にはどうしようも無かった。
・切り札として手番を使わない全体万能攻撃マガツヒスキルからの連続攻撃で格殺する手札も伏せており、その後に行動回数の減少と自動回復の停止のデメリットこそあるが疲弊した敵を殲滅してから回復させれば良いので問題にはならない……筈だったが種族からマガツヒスキルの特性自体が割れていて致命全体攻撃からの立て直し戦術があったので対処された。
・加えて時間があれば更にパワーアップイベントとかもあったのだが、最後に『人としての知恵』を捨てた事と最初にぶつかったのがマガツヒ対策に慣れたヤマト&アオビト含むチームDATだったのが敗因となった。
読了ありがとうございました。
思ったより長くなったけどこれで今週の怪獣枠撃破して次がエピローグかな……という訳で、次回はこの事件の裏で糸を引いていた『黒幕』について書こうと思います。