真・女神転生オタクくんサマナー外伝 ~ナホトラマン奮闘記~ 作:貴司崎
『…………ガ、ガァァァァァァァ■■■■■■■■■■…………!!!』
長く厳しい戦いの末、世界を滅ぼす力を得ようとした【魔丞・セト】はチームDAT+αの手によって討たれて断末魔の叫びと共に肉体はマガツヒに分解され、それに同期する様にセトが主人だった【改造マガツカ】も身悶えしながら元のマガツヒへと分解されて消滅したのだった。
それを見たチームDATのメンバーは長かった激戦がようやく終わったのを見て喜びの声を……。
「敵魔丞のマガツヒへの分解、及びマガツカの消滅を確認。異界内部のマガツヒ濃度も下がってきています」
「とりあえず本当に死んだかどうか確認する為に【メギドラストーン】投げて
「それ世界どころか太陽系一帯が消えるヤツじゃない。……それは冗談としても復活したら流石に逃げ一択。私の【リカームドラ】によるMP回復も何度も出来ないというか、やり過ぎると蘇生出来なくなるし*1。人間は悪魔程に自由に蘇生出来ないのよ」
「残りアイテムも厳しい、特に【魔反鏡】【物反鏡】はほぼ使い切った。……加えて掲示板の情報にもあった『謎の援軍』が来る可能性もあるから引き続き周囲を警戒しておく。幸いマガツカとやらが壊れたからか、俺の目も本来の【天空の眼界*2】に戻っているからな」
「【メギドラストーン】炸裂確認! 反応無し! レッドチェックよし!」
「レッドチェックよし!」
……あげるなどという油断や慢心をする訳がなく、セトが確実に倒されたかどうか万能攻撃アイテムをマガツカがあった場所に炸裂させるなどして“怪獣退治の赤い専門家”リスペクトな
また、今回の依頼における本来の目的は『異界の修祓』であるので確認も兼ねてサクヤが中心となって異界の状況を調査したり、ヤマトが『この異界にいたなら詳しいだろう』と仲魔にした【国津神 オオヤマツミ】と【魔神 ホルス】に今の異界の状況を確認させたりしていた。
「……簡単な術式で調査した限りでは元の異界に戻りつつあるみたいですね。GPも本来の25前後よりはまだ大きいですが、次第に下がっている様です」
「少なくとも私の見立てではマガツヒによる汚染は収まっているぞ。セトの影響下から外れて元の『山の神・オオヤマツミ』を奉じる異界に戻っている」
「マガツカが破壊された時点でセトによる異界の汚染も収まったし、今後キチンと調整していけば元の異界に戻ると思うぞ。……ただ、深淵からマガツヒやらを汲み上げていた影響からここら辺が魔界に近づくかもしれんが。マガツカの早期破壊で影響は最低限になってはいるが、なんだったら潰して現世に戻した方が良いかもな」
一応各々の調査結果ではマガツカの破壊によって元の異界に戻りつつあると出たので、これらの調査・確認結果からとりあえずマガツカが完全に破壊されてそれの主人であった魔丞・セトも倒された事はほぼ確定だろうと判断された。
「あ、セト倒した所にキラキラとしたものが。これは御厳だよな」
『ああそうだな。確か以前の魔丞達は『タカラ』とも言っていたが、回収すれば御厳ポイントが増えるドロップアイテムぐらいに思っておけば良い』
「魔丞倒した際にドロップアイテムやフォルマとかが落ちる報告はなかったんだが、これもナホビノの力かね。取ってもいいけど一応気を付けろよ」
更に魔丞・セトが倒された事で有していた【御厳】がドロップし、それがヤマトに問題なく回収された事で魔丞が撃破されたのはまず間違いないだろうという結論になった。
まあ今後の異界管理については追って追加調査も必要になるだろうが、それは後日『霊山同盟』の者達も合わせて協議する内容だろうという事で今は事件解決の確認のみとなって……そこでケンジロウが自身の魔眼に“こちらに近付いて来る者達”の姿を捉えた。
「む、誰かこちらに来てるな。集団だが……」
「敵か? ケンジロウ」
「……いや、敵ではないみたいだぞ。どうやら「よっしゃ! 英雄率いる騎兵隊の到着ですよ! 大丈夫ですかジャグジャグ隊長!」
そうして近づいて来る誰かの気配を感じて警戒するチームDATだったが、山中の森の中から現れたのは“西洋甲冑を着た青年”や“多数の武器を持つ女性”、更には“度し難い仮面を付けたボ卿コスプレ”などの独特な格好をした者達……言うまでもなく『キリギリス異界攻略修羅勢』の面々であった。
彼等はチームDATからの魔丞情報タレコミを聞いて偶々近くに居たから行ってみようとなったメンバーであり、更に異界内部でなんかやばい計画を目論んでると外にいた『霊山同盟』から情報を経たので急いで異界を突破して援軍に駆け付けたのだ。
「祭りの場所はここだな! 道中の悪魔が妙に弱かったから多分ボスがめっちゃ強くてギミック持ちだったりするんだろ!」
「敵も弱いし異界の構造がマッピングされていたから突破は簡単だったけど、マガツヒってヤツのせいで探索系スキルやアプリが全滅してたから地図があるのは助かった」
「高位の邪竜は物理攻撃大体耐性だから面倒だけど技系なら聞くから針と爪でやれるかしら。一応ライフルも持って来たけど」
「マガツヒが霊穴を汚染する事によって出来たマガツカ、それを利用する魔丞と前例のないデータが集まりそうですねぇ」
「この前はよくもやってくれたな魔丞セトォ! 今度はキッチリ格殺出来る手札を整えて来たから大人しく限界突破の経験値になれやぁ!!!」
「あー悪い、魔丞はもう倒したしマガツカもぶっ壊れたぞ」
「「「「「「「ええぇぇ〜〜〜〜〜〜〜⁉︎」」」」」」」
……まあ張り切って来てくれた彼等には悪いが、ご存知の通り既に魔丞・セトは倒されてしまったのでジッサイ骨折り損にしかなっていなかったが。
「いや、なんか魔丞が世界を滅ぼせる力を得るための儀式を行ってるって聞いて急いで来たんですけど⁉︎ チームDATの皆さんでも危ないから援軍が欲しいって!」
「俺らがもし負けた時に魔丞の目的を阻止する為の“二の矢”は必要だろ? 加えて蠱毒儀式に近いから放置してたら強化される上、俺らが倒された時にも強化される恐れもあったから念を入れて援軍は必要だったからな」
「まあ『世界を滅ぼせる云々』なんて話は最近よく聞くけど推定レベル80越え、しかも儀式の効果で更に強くなる恐れありな相手だから援軍が欲しいって聞いたんだけど?」
「実際レベルは80超えてるぐらいだったし、レベル70ぐらいの全回復魔法使える悪魔二体を従えていた上に三回行動からのデカジャデクンダメギドラオン、更にはランダマイザやバリオン級スキルまで使って来る強敵だったぞ。……でも頑張って戦ったらなんか倒せたんだ」
「ア、ハイ。……チームDATの皆さんいっつもガチで地球防衛の為に
「せっかく祭りだと思ったのになー。クッソ、セトへはキッチリとリベンジするつもりだったのにー」
「おやおやおやおや、まあ倒してしまったものは仕方ありません。マガツカとやらには興味があったのですが、後でじっくりと話を聞けばいいでしょう」
そんな訳で肩透かしを食らったキリギリス修羅勢だったが、今回の一件もあくまでタレコミ情報からの自主参加であるので『ネトゲのプレイヤーイベントがちょっと早めに終わって参加出来なかったなー』ぐらいのノリで不満はあったが特に問題になる事はなかった。
まあ、戦闘跡やチームDATの話から敵の強さや儀式自体は本当にあった事だと納得しているし、サクヤが霊山同盟の方から異界の悪魔退治分の報酬は出すと言われた事もあったのもあるが。
「それに話にあった『魔丞・セトを助けた援軍』の話もあったしな。こっちで調べてる事だが魔丞にマガツヒ関連の技術や術式ばら撒いてるヤツもいるって話だから」
「前回は不意打ちでやられたからなぁ。バリオン級魔法より破壊力のある貫通付き火炎魔法ってなんだよ。火炎
「あの魔丞が何度も『我が神』とか言ってたし、援軍の話と合わせれば協力者がいる可能性が高いから一応警戒はしておくべきだよな。一旦異界から出て態勢を整えつつ再度調査かなぁ」
「ここまでやって仕掛けてこないと言う事はハナから助ける気は無かったか、単に見捨てられたか。……あの狂信者の妄想説もあるけど調査はいるだろう」
「うーん、単に異界の悪魔倒して帰るのはあれだし、報酬も出るなら簡単な調査ぐらいはしようかな」
そうして魔丞・セトを倒した後も裏で糸を引いている『黒幕』の存在がチラつく事もあって、その後一旦外に出て準備を整えてからチームDATとキリギリス修羅勢は簡単な異界やその周囲の調査を行った……が、彼等の調査では怪しげな人物や悪魔がいた痕跡は一切見つけられなかったのだった。
──────◇◇◇──────
しかし、そんなチームDATとキリギリス修羅勢を見ていた『存在』は確かにいた……ただし、その人物がいた場所は魔丞・セトがいた異界の下、或いは異界と繋がっていた裏側とも言える所──有名な言葉で言えば【アマラ深界】と呼ばれる場所の表層であり、そこから異界と深界を繋げるラインを通してその“金色の瞳”によって見通していたが故に見つけられなかったのだ。
| ラーの天眼 | 自動効果スキル | 現在いるフロアのすべての敵パーティの認識LVを3にする。すべてのトラップを発見する。 マガツヒの運用技術を用いてアマラ深界から繋がる異界の内部を見れる様に一時的な強化を行っている。 |
「…………魔丞・セトはやられたか。…この世界で動く為の基盤をくれた礼は十分に渡して、それでも倒されたのであれば仕方がないで済ませられる」
そんな事を冷徹な瞳のままに言ったその人物は顔に鳥を模した様な仮面を身に付けており、小柄で女性的な身体のラインを持つ体形にエジプト的な衣装を纏っている様な外見をしていた。
……そんな“彼女”こそが魔丞・セトを助けて『我が神』と崇められていた人物であり、今回の一件においても現在この世界でばら撒かれている『受胎儀式』の術式に自らが有するマガツヒ運用技術を加えて作り出した生贄であるドーターを組み込んだ改造マガツカを与えて、更に写せ身合体の技術を使ってセトへ各種スキルを付与した張本人である。
「力を与えて仲間にする事も考えていたけど、あそこまで狂信者になるとは流石に思わなかった。アレでは仲間にしても制御出来ないから、最低限の義理として『力が欲しい』という願いは叶えて『復讐の手助け』には付き合ってあげたからこれで十分。……やはりマガツヒ技術を餌に魔丞を仲間にする案は上手くいかないか、どいつもこいつも自分の『コトワリ』に縛られて好き勝手行動するだけ」
『……クク、思惑が外れて残念だったなサマナー』
「異なるコトワリを持つ魔丞同士が協力する事も無いのですから、コトワリを持つ魔丞を仲間にするのは上手くいかないのは分かりきっていたのでは?」
「……初めから仲間にするのは無理だとは思ってたし、最低限の目的は達成出来てるからそれで十分」
最もその事を隣にいる自身の“仲魔”──『巨大な龍の姿をした邪神』と『エジプト風の格好をした地母神』の二人に言われた時には、少し不満そうな雰囲気で答えていたが。
『まあお前としては絞り取れる物は貰ったから、正直邪魔者になったアレを適当に放逐したかっただけだろう? ついでにこの世界で得られた【受胎術式】を改造する試しだったか? この世界の“強者”の実力を図る事も出来て俺は割と満足しているが。俺と同じ名前だからせっかく力を貸してやったのに思ったより情けなかった魔丞には不満だが』
\カカカッ/
| 邪神 | セト | LV98 | 耐性・詳細情報不明 |
「狂信者は使い捨てにするならともかく同士としては難しいでしょう。あの魔丞・セトも狂信と己のコトワリによってこちらの制御を離れていましたから切り捨てるのは妥当でした。少なくとも貴女一人がこの世界で活動する分の伝手は手に入れましたから用済みでしょう」
\カカカッ/
| 地母神 | イシス | LV96 | 耐性・詳細情報不明 |
……そんな先程異界で暴れていた【邪龍 魔丞・セト】や【地母神 イシス】と同名ながらも桁外れの力を有する仲魔を平然と使役している“彼女”であったが、仮面越しのその顔にはむしろ苦々しい表情を浮かべていた。
「それは仕方ない。……この世界のレベルが高過ぎる事が分かって、“私の目的”を達成する為には協力者が必要だと思ってしまった。偶々見かけたあの魔丞を上手く引き入れられればこの世界で活動出来る基盤を手に入れられて、狂信者なら仲間にしても文句はでないと思ったんだけど予想以上に暴走するとは思わなかった」
ちなみに今回の事件の発端は“彼女”が魔丞・セトを仲間とする為に力を与えた所、その力に酔って自らのコトワリと復讐心に囚われたセトが『キリギリスを殺して我が神に捧げる!』と暴走したのが原因である。
それを見た“彼女”は『あ、これは制御出来ない』と思ってさっさと切り捨てる方針に変更し、手切れ金代わりに改造マガツカなどの復讐の舞台だけは整えて放逐したという感じだ。当のセトの方は『我が神から賜った恩恵』と思い込んでいたが。
「結局はこの世界にばら撒かれた受胎儀式の改造実験ぐらいにしかならなかった。この術式自体も巫女に悪魔人間使うという手法では創世するのはまず不可能だと分かりきったレベルに受胎儀式としては大分作りが雑。おそらくアマラ深界から力を組み上げるか魔丞を生み出す事自体がメインの術式ってぐらいしかわからなかった。……受胎儀式起こして創世するなら私が持ってる術式の方がまだ良い、この儀式を全国にばら撒いた人間は余程世界を滅ぼしたいと見える」
「重要な巫女に生まれたばかりの悪魔人間を据えて上手く行くはず無いでしょうにね。余程巫女のスペックが高くないとカグツチの生成すらままならないのでは?」
『ククク、だがそんなトチ狂った考えの人間でもなければお前の望みに協力する様な事は無いんじゃないか? ……何せ『この世界を滅ぼしてでもかつての世界を取り戻そうとしている』のが“お前”なのだから』
そんな事を言いながら意地の悪い笑みを浮かべるセトに対してイシスが厳しい目線を向けるが、言われた本人である“彼女”は特に何も言う事無く確固たる“覚悟”を持った雰囲気を醸し出しながら返答した。
「……言われるまでもない。私は必ず【至高天の座】へとたどり着いて、かつて『人修羅』だった頃の私が弱くて失敗した所為で失った世界を……そして私を救う為に王権とマガツヒを授けて
「…………」
『ククク、やはり貴様は面白い』
そう答えた“彼女”は黙り込むイシスと笑うセトを尻目にこの世界に渡る前、かつて自分が生まれた世界での『始まり』の事を思い返していた……“彼女”は自分が生まれた周回に於いては非常に病弱な少女であり『おそらく成人するまでは生きられない』と周りから言われていたのだが、そこに“彼女”を自らの半身と見初めた“とある悪魔”と出会った事によってその運命を大きく変える事になった。
その悪魔──“彼”はもう長くない“彼女”を延命させる為に自らのマガツヒを与えたのだが、延命にこそ成功したものの人間では悪魔のマガツヒに耐えられずにこのままでは“彼女”ではない全く別の悪魔へと変わってしまう事になりかねなかったのだ。
(私が悪魔になる事を“彼”は望まなかった。それなら自らの命と王権を譲渡して私を生かそうともしてくれたけど、そんな“好きになった人を犠牲にする”やり方を私は絶対に認めたくなかったから、どうにかマガツヒに汚染された自分が悪魔にならず生き残る為の手段を模索した)
幸いと言うか“彼女”の家は高名な悪魔召喚師の家系であるので悪魔である“彼”も自分の仲魔と言っておけば問題も起こらず、研究に関しても身体や延命が必要な事を知っていた両親や兄が喜んで伝手や資金を提供してくれた。
そして何より“彼女”自身が非常に高い研究者としての才能を持っており、更に霊能者としての資質も高かった事もあって遂に悪魔に成らずともマガツヒに耐えられる肉体へと人間を改造する技術──人でも悪魔でもない【人修羅】へと自身を転生させる秘術を編み出したのだ。
(私の人格・記憶はそのままに人修羅へと転生させる儀式は予想以上に上手くいった。厳密に言えば“擬似人修羅”と言った所だけど悪魔としての要素に負けない人間としてのソウルの強さがあれば人修羅となった後でも人間性は保てるから。……これで全てが上手くいったとあの頃の弱い私はそう思っていた。この世界がそんなに優しい筈がないのに)
人修羅となって命を永らえ、これからは“彼”と一緒に生きていこうと思った矢先に“彼女”は【受胎】と呼ばれる事件に巻き込まれたのだ。しかもその最中で“彼女”の兄や両親、仲の良かった友人達や学校の先輩などすらボルテクス界に飲まれるかそこに現れた悪魔に殺されてしまったのだった。
……そんな経験をした事もあって“彼女”は『こんな儀式は叩き潰して必ず元の世界に戻る』という目的の元、まず受胎を起こしたガイア教幹部やコトワリに目覚めたとか抜かす魔丞を一人残らず始末した。“彼女”は人修羅となっていた事と“彼”を始めとする強力な仲魔を有していた事もあってそれぐらいは出来るだけの力を持っており、そのままカグツチまでたどり着いて世界を元に戻す様に要求するも『新たな世界を創世する』事が役目のカグツチはそれを拒否。
更には元の世界への回帰を成し遂げられるだけの巫女もいなかったので、最終的に“彼女”達は創世を成さない自分達を始末しようとするカグツチを迎え撃ち……結果、敗北した。
(そしてカグツチに敗北して命を落とす寸前だった私を助ける為、“彼”はかつて私を救う為の『王権の譲渡』の儀式を行って……私の命を救い王権とマガツヒを譲渡した代償として完全に
それから失意の内に荒野を彷徨うだけとなるかと思われた“彼女”だったが、そこでボルテクス界にてガイア教幹部から聞いた『【アマラ深界】という場所には世界の真理がある』などという情報を思い出して一縷の望みを賭けアマラ深界への道を見つけだして入っていった。
そして、そこで調べた情報からこの世界が何度もループしている事や本当の“創生”であれば元の世界を取り戻せるかもしれないという結論となり、アマラ深界を経由して先の週回の中でも受胎儀式によってボルテクス界が発生する世界へと転移する術法を作り出し、本来の創生を成して自分が失った全てを取り戻す為にその世界で起きた受胎事件に干渉・暗躍するドリフターとなってしまったのだ。
「……私は必ず自分が失った全てを取り戻す。その為に何度も世界を巡って滅ぼしながらもこの世界にたどり着いたのだから」
\カカカッ/
| 魔人王 | コンス・ラー | LV99 | 耐性・詳細情報不明 |
こうして人修羅を超える存在となったが敗北した故に『混沌の王』たる資格は持ち得ず、神霊としても『己の半身』を失ってマガツヒと王権のみを得たが故に『合一神』にもなれなかったが為に万事に災厄を齎す【魔人王】へと成り果てた“彼女”──【コンス・ラー】はただ失われた全てを取り戻す為だけに数多の世界を巡り続けているのだ。
そしてコンス・ラーは次の世界において北海道受胎を乗っ取って生み出されたカグツチを使い“本来の受胎”とは何かを探り、更に四国・九州などで受胎が起きたいくつもの別の世界でも同じ事を繰り返した。更に合間にはアマラ深界の調査をしつつ
「……そもそも普通の受胎儀式とは至高天による創世を模した擬似的なもの、結局としてはカグツチによる勝者のコトワリで集合無意識を介して人間を洗脳する広域精神汚染儀式に過ぎない。……だからこそ前の世界では過去最大規模の受胎儀式である【東京受胎】が起きた世界で、調査の結果至高天へと繋がっている可能性が高い魔界の深層とも言える
「他にも色々と手段を尽くしましたが見事に失敗、日本まるごと魔界に落ちて『神州受胎』とか『ダアト』と呼ばれる様になりましたね」
『その時に『奴ら』との戦いで負傷した所為で我々がダアトで起きた争いには殆ど参加出来なかったのは不満だったがな。ただ見ているだけしかできんかった』
……かつてアオビトがいた世界で起きた『日本全国の魔界落ち』事件の原因は自分であるとあっさり言ったコンス・ラーではあったが、当時の事については計算外も多かったと本人はため息を吐いていた。
「あのレベルの受胎で出来たカグツチでも『悪魔の存在しない世界への回帰』という願いに対して、叶えられたのは『日本の現世への浮上』『マガツヒとなった死亡者の復活及び土地や施設の再生』『集合無意識への干渉による悪魔や魔界への信仰を遮断する事による悪魔の封印』程度でしかなかった事が分かった事、後はマガツヒの新規運用技術が分かったのは収穫だったけど。……その所為で世界を守る異能者の多くが消滅して、更に集合無意識への干渉で活性化したシャドウが発生。その上でペルソナ使いの発生も少なくなるという詰みに近い世界になっただけだけど」
「勝者であるナホビノも力の大半を失えば統制神には歯が立たず、残った世界も守護者が居なくなったが故にセプテントリオンに滅ぼされていましたが」
『ククク、この国では諸行無常とでも言うんだったか?』
そんな顛末をある手段をもって“観て”いたコンス・ラーは『やはり自らの願いを叶えるには至高天の座に就くしかない』と改めて思い、再びのアマラ深界を介した世界渡航を繰り返した末この世界へとやって来たのだ。
……そして、そんな話をしつつも彼女の目──【ラーの天眼】は準備を整えて再び異界を捜索しようとしていたキリギリス、そしてその中に混じっている今話に出てきた“かつての勝者たるナホビノ”であるヤマトとアオビトの姿を正確に捉えていた。
『そう言えばその勝者たる合一神らしきモノも上にはいたな。どうやらあちらも世界を渡って来た様だぞ? ……姿も幾らか変わって力も失っている様だからさっさと始末するか?』
「やめておく。……相手は地獄の様なダアトを最後まで勝ち抜いたナホビノ。かつて程の力もなく同一人物かどうかまでは分からないけど再び合一神になっている以上は油断出来ない相手。……多くの合一神は半身と融合しても“神としての知恵”を取り戻すだけだったのに対し、彼らは融合により“人としての知恵”と“神としての力”を併せ持っていた最高最優の合一神。ダアトにいた時代であれば私達相手に戦えるぐらいには強かった相手だから」
「まあここで仕掛けるリスクを犯す必要はないでしょう」
かつてと姿が違ってもコンス・ラーの瞳は彼等の正体をおおよそ把握していたが、自身が何度も敗北している経験から慎重に事を運ぶ方針だったのでここでの激突は避けられた。
「前の世界で“至高天に巣食う邪神を倒す”目的で私達に協力した“あの博士”、そんな狂人が作った“対邪神用兵器として作られた神造魔人”……などと言うキワモノが融合した合一神があそこまでになるとは流石に予想外でしたが。宇宙船日本号計画とか異世界勇者召喚計画とか訳の分からない話もしてましたし」
「あの博士は転輪鼓に触れて変なモノでも見たのか完全に狂っていたが技術自体は本物。私の目から見ても作られた神造魔人の能力は確かだった。……それが“邪神”とやらに通じるかは知らないけど、少なくとも私が協力する必要があると判断するぐらいには」
最も魔人王は『……あの博士は他にも複数の計画を実行していて、利害の一致で協力していただけの私達には明かしてない実験もやってたから詳しくは分からない。そもそも協力と言っても取引相手でしかない私に明らかにした情報にはミスリード用の誤情報も混ぜてたのもあって神造魔人の能力の詳細までは分からない部分もあるけど』とも考えていたが。
『まあ今となってはどうでも良い話だろう。……それで連中はコッチを探している様だが、本当に仕掛けなくても良いのか? あの程度の者達なら十分始末できるだろうに』
「セト、久しぶりの戦闘を期待している所悪いけど、流石に上の人間達でもアマラ深界まで直ぐには探せないだろうから今手を出してもコッチにメリットが皆無。……この世界に浮上する途中のアマラ深界から覗き見た“聖華学園の受胎事件”、そこでの戦いで見たこの世界における最上位の強者の実力を考えると下手に手を出せば私達だって倒される。明らかにこれまでの世界とは世界を守る人間側のレベルが違うから慎重に行くべき。加えてここで仕掛ければ私達の情報がキリギリスとやらに渡る可能性が高い」
「かつて我々でも苦労して倒した【魔丞 ホルアクティ】……よりも強力になっていた【合一神 ホルアクティ】を倒してカグツチも打倒していましたからね。魔丞の方のセトが調べた情報だとこの世界を守っている【キリギリス】と言う集団はネットで情報共有を行なっている様ですから、今仕掛けて下手に我々の存在が知られれば最上位の実力者複数名を差し向けられる可能性もあります」
実は彼女達はこの世界へとやってくる際に『聖華学園で起きた受胎事件』のアマラ深界へと転移しており、そこで起きていた事件を現世界での情報収集を兼ねてコンス・ラーの【ラーの天眼】でもって観察していたのだ。
……本来なら暗躍しようと思ってもいたが自分よりもレベルが高くて同じ目を持っている【ホルアクティ】の存在からリスクが高いと判断し、更にアマラ深界の近場に三名程『やばい連中』が彷徨いていた事もあって術などで自分の存在を隠蔽しながら観察に徹する判断を下したという訳である。
『以前魔丞であるホルアクティと戦った時には【会心の覇気*3】を掛けてから【地獄突き*4】などの貫通物理で殴り倒したんだったか。【邪神 ノア】を名乗るよく分からん悪魔と一緒に戦ったから確かに面倒だったな』
「あのホルアクティはカグツチの中にいた“邪神”の影響下で大分視野が狭まっていた。だからアマラ深界まで眼界が届いていなかったから傍観するだけなら問題なかった。突入してきた最精鋭の実力を考えれば傍観者に徹する最適解を選べたのは幸運だった。……あのリーダー格の“赤目の男”相手だと仲魔込みでタイマンでも勝率は7割ぐらい。3割は負けの目がある上に実際は他の仲間と一緒にこっちを潰しに来て確殺してくるだろうから下手に手を出したくない。……戦場でロリ相手に盛るやばい性癖持ちみたいだし」
「あのぐらいであれば普通では?(価値観古代悪魔感) ……そもそもあの性行為は一種の房中術の様なモノみたいでしたよ。まあ高い戦闘能力に加えて卓越した房中術の使い手でついでにサマナーとしても動けるという事ですから警戒するに越した事はありませんが」
……なんか某漫画さんに著しい風評被害が起きた気もするがコンス・ラーは見ていただけで、詳しい事情までは視覚情報から類推するしか無かったので致し方無し。
彼女達としても悪魔に関わる者が性格可笑しいのは珍しくもない事なので、あくまで漫画さんを警戒しているのはその戦闘力とキリギリスのリーダー格である事による人脈である。別に性癖がアレだから関わりたくないと思っている訳ではないのだ()
「とにかくこの世界には私達を倒せる者が多数活動している。上の連中だって総掛かりなら私を倒せる可能性は十分あるから暫くは姿を隠しつつ慎重に、これ以上の魔丞への技術提供と引き込みもやめて裏に潜みつつ動く方針で行く。……幸い私一人がこの世界で活動できるだけの基盤は手に入れて、いずれこの世界で他の大勢力の浮上者達も動き出すだろうからそれに乗じて私達は暗躍する方針」
「個人勢力ですから慎重にいきませんとね」
『つまらん方針だがまあ良いだろう。……どうせお前が望みを捨てない限りは戦わざるを得ない時が必ず来る』
ちなみにコンス・ラーは魔丞の方のセト以外にも自分のマガツヒ技術を餌に魔丞を仲間に引き込もうとしており、最初のヤマトを拉致った【ヘカトンケイル】もその一人だったのだが、前述の通り我が強い魔丞を仲間にするのはさっぱり上手くいかなかった模様。
こんな手段を取ったのはこの世界のレベルを知って焦って味方を作らねばと行動した所為もあるが、今回の暴走や技術を奪って仲間にならないどころかコッチに喧嘩売ってくる連中が大半だったので流石に諦めた様だ(敵対した魔丞は全員マガツヒと御厳に変えた)
「……そんな事は分かっている。……とにかくこれまでの世界の中で最も進んでいる様に見える“この世界”であれば【至高天】に関する詳しい情報が知れるかもしれないからまずは情報を集める。この『受胎儀式』をばら撒いた“誰か”と多くの集会で受胎起こしてるガイアの“ヤツ”、後は魔丞セトから聞き出したヤクザが作ってる『赤玉』についても調べる。……どれだけの強者が立ち塞がっても私は必ず全てを取り戻してみせる。行くよ」
「分かりました、私達は最後まで貴女に付き従いましょう」
『ククク、相変わらず悪魔使いは荒いがサマナーの頼みなら仕方あるまい』
| 空間転移 | 特殊スキル | 経路がないエリアへ通常の速度で移動できる。 彼女達の場合アマラ深界内での移動の他、相応のマガツヒと準備時間があれば現世からアマラ深界への移動、及びアマラ深界から繋がっているボルテクス界の様な“特殊な異界”への移動すら可能。 |
そうして何処までも強い決意を秘めて、しかし暗い眼をしたコンス・ラーは【邪神 セト】のスキルを使ってアマラ深界への奥深くへと移動して異界を捜索するキリギリス達では捕らえられない場所へと転移したのだった。
……自らの生まれた世界を失った
あとがき・各種設定解説
【魔人王 コンス・ラー】:黒幕系世界崩壊個人勢力ドリフター
・ニュージェネウルトラマンお約束の序盤から暗躍する黒幕ポジ、加えて悲しい過去持ちという鉄板パターンで大体ギンガのルギエルとかタイガのトレギアとかデッカーのアガムスみたいな感じ。
・設定モチーフは真3人修羅創世失敗世界滅亡バッドエンドIFルート+真5エジプトサブイベントバッドエンドIFルートで、まあ自分達の世界が滅亡した事を受け入れられるドリフターばかりじゃないよなって着想から生まれた。
・なまじこの世界でも問題なく戦える実力があって取り戻せるかもしれないか細い希望があるから諦めきれない人で、多分説得とかで止まれる段階はとうに通り過ぎている。
・ただし最初に敗北を経験してこれまでの周回でも上手くいってなかったので行動方針は非常に慎重、かつ自分の実力を過信していないのでキリギリスとの接触を可能な限り避けて暗躍するスタイルを取る模様。
・実力に関してはかつての人修羅としての戦闘経験+何度かの周回で受胎儀式に乗り込んで暗躍した経験と技術+アマラ深界で調査ついでのレベリングでレベル99に到達している……が
・仲魔はエジプト太陽神の王権によってエジプト系列の悪魔であれば問題なく使役出来て、本編中の二体以外にもレベル70〜80以上まで育てて状況に応じて活躍出来る様に調整したエジプト系列悪魔を複数体有している。
・元が非常に優秀な研究者で人修羅への転生技術を得る過程で悪魔合体士としての技術を持っていたので、身に備わった王権の力もあって自身やエジプト系列悪魔であれば写せ身合体である程度自由にスキルや耐性を付け替えられる。
・また魔人王として不完全ではあるがナホビノが使う様な神意も使える他、マガツヒに関しても長い時間研究していたのでマガツヒスキルなども仲魔の種族のものであれば問題なく使用可能。
・ちなみに眼の精度や範囲は合一神ホルアクティよりも数段上で某魔女の結界内部すらアマラ深界から見て内部を透視できるレベルだが、流石に(おそらく個人の才能由来な)一度見た攻撃の絶対回避とかは不可能。
・またこの世界を繰り返している“邪神”や“至高天の座にいる者”についても多少は察しており、そいつらを打倒出来る戦力を得る事も目的にはなっている……が、持っている知識が真3及び真5主体なので分かっていない部分も多い。
・まあ『自分にも知らない事がある』『自分が間違う事もある』という事は(自分の根幹である目的以外は)理解しているので、今後は出来るだけ自分の存在を悟られない様にしつつ最も先に進んでいるこの世界で目的を達成する為の調査と暗躍を進めていくつもり。
読了ありがとうございました。
一応見直してるつもりでも結構誤字があるみたいなので誤字報告はいつでも歓迎します。次は掲示板か日常コミュ回とかになるかな。