真・女神転生オタクくんサマナー外伝 ~ナホトラマン奮闘記~   作:貴司崎

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かつてからの刺客/戦闘の目的

 街外れにある廃工場、元から人が少なかった事に加えて謎の男達により人払いの結界も張られた事で無人となったエリアで少女【一柳結梨】の身柄を狙おうとする者達と、それから彼女を守ろうとするチームDAT所属の合一神(ナホビノ)であるヤマトとアオビトとの戦いが始まろうとしていた。

 

「いくぞ! まずはスクナ「いや先手はこっちが貰った」なっ⁉︎」

 

 まず謎の男達の中のリーダー格である【悪魔人間 クラマテング】が己に預けられた最強の戦力である【神造魔人 スクナヒコナ】を動かそうとしたが、鍛えたレベルと速度に加えて【幸運】の加護を得たヤマトがそれよりも早く行動する事で先攻を奪い去った*1

 男達が悪魔変身によって強化されていようとも未だにレベルとステータスはナホビノたるヤマトには劣っており、唯一レベルと能力で上回るスクナヒコナも使役される神造魔人(リーダーではない)故に指示がなければ対応は一手遅れてしまうのだ。

 

「天狗を名乗るのならばこの技を見切ってみせるがいい! 八艘飛び!!!」

「さて、ここからはちょっとしたギャンブルになるな……荒神! 螺旋斬!!!」

 

物理プレロマ自動効果スキル物理属性で与えるダメージを上昇させる。

八艘飛び+5物理属性スキルヨシツネ専用/敵全体ランダムに8回小威力の物理属性攻撃。

必ずクリティカルが発生する。真5仕様。

コロシの愉悦自動効果スキルクリティカル率を上昇させる。

荒神螺旋斬物理属性スキル敵全体ランダムに小威力の物理属性攻撃。

クリティカル時、威力が上昇する。真5出典。

 

 事前に示し合わせた戦術に従って*2真っ先にヤマトの仲魔の一人である【軍神 ヨシツネ】が動き、その日本における絶大な知名度より得た超高速移動からの全ての攻撃が致命打(クリティカル)となる8回連続斬撃を持って敵全体を一瞬にして切り刻む。

 それに続いてヤマトも身に宿していた荒神の力で持って男達の周囲を文字通り嵐のごとく超高速で動きながら光の剣で当たる触る斬り裂いて行き、トドメに大上段からの一閃を叩き込んでクリティカルとなる一撃を叩き込んだ。

 

「ガァァァァッ!!!」「チッ! だが一撃一撃は軽い!」「強化された我らなら十分に耐えられる」「損傷軽微」

「どうも装備の質が中々良い上に悪魔化で強化されているからか刃の通りが悪いぞ」

 

 しかし、レベルこそ低くても訓練は積んでいた男達がそれなりの防具と外法による悪魔変身を重ねた事で強化された耐久力は、手数を重視して単発の威力が低い連続攻撃だけではその命を奪うには至らなかった。

 スクナヒコナの方も神造魔人として作られた際に特殊な改造によって擬似的な“ボス属性”の様なものを得ており、それによりHP・MPの増強と状態異常への耐性を得ていた事もあってクリティカルヒットでも少し怯ませるぐらいしか出来ていなかったが……ヤマトの狙いはまさにそこであった。

 

「装備品付けられるって良いなぁ。だがまあ俺の方は2回はクリティカルが出たから()()()()()()

『モー・ショボー、クー・フーリン、補助だ』

「はいはーい、次に繋げる為に事故防止で回避率を下げれば良いんでしょ。【フォッグブレス*3】!!!」

「補助を掛けるぞ。【ウォークライ*4】!!!」

 

 アオビトが補助する事で契約を介して仲魔へと行動方針を伝えたヤマトに答える形で、続けざまに【凶鳥 幸運のモー・ショボー】が敵の動きを鈍らせる霧のブレスを発生させ、重ねて【幻魔 クー・フーリン】が味方の攻めと守りの精度を引き上げる勝鬨をあげて次の攻撃への布石とした。

 ……普通なら補助魔法を掛けるのは最初の攻撃を行う前であり、攻撃の後に補助魔法をかけても補助が乗らない攻撃に手番を使うから無駄になると思われるかもしれないが、ヤマトとアオビトの“本来の戦闘論理”ではこちらの方が効率が良いのだ。

 

「……うん、この状況なら次に結梨がする事は……とりあえずキック!!!」

「ガッ⁉︎ このガキ……!」

 

トンボ蹴り物理属性スキル敵単体に小威力の物理属性攻撃。

必ずクリティカルが発生する。真5出典。

 

 そんな彼等の動きを見ていた結梨も『何故かその動きの意味が手に取るように分かる』事もあって、迷わず背から魔力で出来た半透明の翼を広げて飛翔しながら【悪魔人間 ヌエ】に向かって鋭い飛び蹴りを延髄に叩き込む。

 速度優先で威力の低い蹴りだったが敵がフォッグブレスで撹乱されている事も相まって見事に急所へと命中。()()()()()()()()()が更に乱れた事を感じ取れた彼女は直ちに舞い戻りながら次の手に備えて、それを見た男達は反撃を行おうとするが……。

 

「クソッ! だが次は「もう一度俺達の手番だ。八艘飛び!」「クリティカルが三度も出たのだからな。荒神螺旋斬!!!」ハァガァァァァァァァッ⁉︎」

 

 そのタイミングで既に行動が終わっていた筈のヨシツネとヤマトが再び動き出し、数瞬前の焼き直しの様に再度超高速起動からの連続斬撃によって敵全体にクリティカルを発生させながら斬り刻んでいった。

 ……本来お互い手番ごとに最適な行動をやり続ける上級異能者同士の戦闘に於いて、一度の手番に二回以上の行動を行うのは『ボス』とも呼ばれる複数回行動出来る一部の高位存在、或いは『眼光系』とも言われる行動回数増加のレアスキルを使う場合などが挙げられる。だが、ヤマト達が行なっているのは『弱点やクリティカルによって出来た隙に次の味方の攻撃を割り込ませる』事による擬似的な行動回数増加戦術だ。

 

プレスターンバトル敵味方で決められた行動回数を交互に行うターン制バトル。

行動回数は「プレスターンアイコン」で表されて、基本的に人数分のアイコンを有して全て消費すると相手のターンに移る。

通常は一行動につき一つアイコンを消費するが、敵の弱点を突くかクリティカルが発生した時には消費が半分になる。

逆に攻撃を回避・無効化にされればアイコンを二つ消費し、吸収・反射されれば全てのアイコンが消える。

主に真3・真4・真4F・真5・DDSAT・D2などで採用されているが細かい仕様違いはある。

 

 今もまずヨシツネとヤマトがクリティカルを出した事によって敵側に出来た隙に、次に行動するモー・ショボーとクー・フーリンに呼吸とテンポを合わせて行動を割り込ませる形で通常よりも行動に掛かる時間(ターン)を擬似的に圧縮(プレス)する事によって10秒間(1ターン)内での行動回数を擬似的に増やした形だ*5

 更に結梨も合わせて確定クリティカル物理スキルを出し、その後に出来た隙にヨシツネとヤマトが再度物理スキルでクリティカルを出した事によって残ったメンバーがもう一度行動出来る状態にまで戦場の呼吸を整えてみせたのである*6

 

「さーて、私の火力じゃ致命打にはならないから次に繋げるよー。【マハスクカジャ*7】!」

「あの【ヌエ】の男を集中的に狙うぞ! 【グランドタック*8】!!!」

「オッケー、結梨もやるよ! もっかい【とんぼ蹴り】!!!」

 

 そうして相手の呼吸を奪い自分達の時間を追加で稼いだ事によって得た時間で残った者達が動く──モー・ショボーが味方全体に更なる機敏さを与え、クー・フーリンが逸話に由来する卓越した技術(銃プレロマ)に裏打ちされた投槍によってヌエを撃ち抜き、そこに飛び込んだ結梨がヌエの延髄に会心の蹴りを見舞った。

 ……これこそが致命打で機先を奪い出来た隙で味方に呼吸を繋いで圧縮(プレス)した行動を割り込ませる、或いは敵の攻撃を無効化して手番を推し潰(プレス)してこちらの手番をねじ込む戦闘論理。ヤマトとアオビトが有する『先手さえ取れればかつてダアトの悪魔達を一方的に圧殺(プレス)出来た』本来の戦い方であり、極めれば今の様に5人で1秒間(1ターン)に10回の行動を味方に取らせる事すら容易に出来る*9のだ。

 

「うん、やっぱりヤマトとは息が合うね。この戦い方は一人だと出来るんだけど、梨璃や二水とは出来なかったし」

「俺もチームDATの面々と組んだ時には出来なかったからな。この戦術を実行出来てかつ連携が取れる仲間じゃないと行えないやり方だから」

『味方の数が多くなり過ぎても実行出来ないからな。これまでは使える機会があまりなかった』

 

 ただし、この戦術は味方全体の手番や呼吸を“一つのもの”として扱いながら機先を奪い圧縮したり繋げたりする関係上、味方全てがこの戦い方が出来る程に戦場全体の呼吸や流れを読み、味方に呼吸を繋げるレベルで連携を合わせる事が出来る様な状況でなければ使えない。

 故にこの戦い方──プレスターンバトルを行えるのは戦場の呼吸を読めて完璧な連携が取れる達人や熟練者かこの戦術が使える在り方をした悪魔、或いはその力を持った一部の人間ぐらいであり、更に手番を味方全体で扱うので味方の人数が増える程に難易度が一気に上昇してしまう。実際ヤマト自身もプラスターンバトルが出来るのは自身とその仲魔最大三体の四人体制の時が基本で、今回は『プレスターンバトルを知っていて』『やけに息が合う』結梨と組んでいたから五人でもどうにか出来た形だ*10

 

「グゥゥゥゥ⁉︎ ……だがまだだ!!!」

「アレ? ヌエ仕留め損ねてる。食いしばった?」

「思った以上にしぶといな。悪魔人間化で体力も増えてるのか……まあ【食いしばり】を使わせたなら十分、このまま戦うぞ」

 

 しかし、それだけの連続攻撃をしてもなお強化された男達は未だ倒れず、神造魔人も動き続けている辺り単なるストーカーではないとヤマトは思いつつも、決して今の自分達だけで戦えない程の相手ではないと判断して結梨と仲魔とともに戦闘を続行するのだった。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

「態勢を立て直す。出し惜しみはせずにサルタヒコは回復、ヌエは強化解除だ。物理攻撃をさせるのは危険だから結界を張る。 【物反鏡】!!!」

「チッ、ここで使う羽目になるとは【宝玉輪】!」

「クソッ、分かってる! オラ【滅却の札】だ!」

 

 そんな怒涛の攻撃を食らった敵側だったが、その冷静な判断力からリーダーを任されていたクラマテングが指示を出しながら『物理攻撃によるクリティカルが起点』だと見抜いて味方全体に1ターン物理反射の結界を展開できる魔道具を使い、それを受けたサルタヒコが全体回復のアイテムを、ヌエが強化解除のアイテムを使用する。

 それを見たヤマトは内心で『面倒な手を打ってきた』と思った。弱点を装備で埋めている相手に連続攻撃を行う為の呼吸を繋げるには基本的に物理攻撃でクリティカルを出すしかなく、それを結界で封じられるのは戦術を一つ潰されるのも同然だからだ。

 

(物理反射相性だけならヤブサメショット(反射貫通全体クリティカル)で突破出来るんだがな。掲示板情報と検証で俺達が使う貫通は反射は貫通出来てもテトラカーンは抜けない仕様だったから)

『ダアトでは防御相性を無効か反射にする防御魔法が一般的だったから、反射貫通で十分だったんだが……それよりも神造魔人が動くぞ!』

「行け、スクナヒコナ! 神造魔人の力を見せろ!!!」

「命令受託。【常世より舞う雹*11】」

 

 そう考えつつも身構えるヤマトの前で命令を受けたスクナヒコナが動く。その小柄な身体に違わぬ俊敏な動きで飛び上がるとまるでいきなり巨大化したかの様な威圧感を放ちながら広範囲に極大の冷気を伴う無数の雹を降らせて来た。

 その雹群は神造魔人として強化された力(氷結プレロマ)もあって威力は膨れ上がっており、ヤマト達全員を打ち据えると同時に常世の冷気によって動きを鈍らせ、更にスクナヒコナは神造魔人となって得た高位存在としての二回行動(プレスターンアイコン二つ分)を持って追撃しようとするが……。

 

「結梨は氷結弱点は装備で消してるよ!」【胴部装備:唐獅子の法被*12

「……それは悪手だろう。今の俺は【氷結無効相性】だぞ?」\block!/

『敵に一体でも属性無効以上の相性がいればその属性の全体攻撃は撃たない。基本中の基本なのだが神造魔人としては判断力が低いな』

「追加行動不可……?」

 

 しかし、結梨は装備によって氷結耐性を得ており、更に【魔王 ベルフェゴール】の防御相性を写していたが故に氷結属性無効だったヤマトがスクナヒコナの二回行動に割り込んで呼吸を奪って自分達の手番へと変えたのだ*13

 この場合であれば1回目の行動で無効化されない攻撃を撃ち、2回目の最期の行動で無効化される攻撃を撃てば行動終了する結果は変わらないのだが、主人の指示に従う事に特化して人格が調整されているスクナヒコナにはそのレベルの判断が出来なかったのだ。

 

「ただ物理反射の結界を張られると今のスキル構成では何も出来んのが問題だな。魔法攻撃か補助スキルを増やしてほしい」

「そこは今後の課題だな。とりあえずヨシツネは交代、モー・ショボーもだ」

「はいはーい!」

【change:ヨシツネ→キュベレ】

【change:モー・ショボー→チロンヌプ】

 

 しかし物理反射の結果がある以上は物理攻撃しか手がないヨシツネでは初動にならないと判断して、その意を受けたヨシツネは自主的にキュベレへと交代、更にヤマトは自分の手でモー・ショボーを退去させてチロンヌプを召喚する。

 

「それじゃあ下がった分のステータスはオイラが相殺するねー。【警戒のフホホイ*14】!」

「物理が反射されるなら魔法で攻めれば良い。狙いは神造魔人でな。【ザンダイン*15】!」

「じゃあ、多分ここは一旦回復が必要だよね。【メディラマ】」

 

 そして隙が消費が少ない交代*16で稼いだ呼吸を繋いでチロンヌプが味方全体にバフをかけつつ動きの機敏さを元に戻し、クー・フーリンが武芸と同等以上に秀でた魔法能力(衝撃プレロマ)によって強化された衝撃波を耐性がないスクナヒコナへと撃ち込んだ。

 ……そんな現状を見た結梨は『なんとなくヤマトがそう望んでる気がするから』と攻撃ではなく、先程負ったダメージを回復する全体回復魔法を優先した。

 

「中々良い判断ねお嬢ちゃん。まあ私はパス*17するんだけど」

「この手番は動かない方がいいだろうからな。【神奈備ノ守】!」

「はいはい、次は状態異常予防だね。【予防のパウパウ】!」

 

 そうして交代されたサマナーの意を受けてキュベレは敢えて何もせずに手番を譲渡し、それを受けたヤマトはこの手番で決められない以上は次の相手の攻撃に備えて守りを固めようと万能ダメージカットの結界を展開、最後にチロンヌプは敵が状態異常スキルを持っている事がヤマトのアナライズで分かっていたので状態異常防御魔法を行使した。

 

「チッ、面倒な……だがその戦い方には慣れた! 攻撃を回避や防御されて隙を作らなければ十分に戦える! 【物反鏡】! サルタヒコ!」

「分かってるよ! 中核となるサマナーを潰せば十分だろう! 【龍の眼光*18】」

 

 しかし、敵もここが攻め時だとリーダー格のクラマテングが判断して再び物理反射の結界を展開、更にサルタヒコが一度の戦闘で一回しか使えない自分達の行動回数を大幅に増やす切り札【龍の眼光】を行使してヤマトを狙う。

 ……ヤマトさえ始末すればその仲魔も消えて直ぐにターゲットである結梨を確保出来るだろうという目論見からの集中攻撃策であり、元より邪魔者を排除して彼女を確保する事が目的の彼等からすれば当然の戦術だった。

 

「オラァ!!! 【デカジャ】【気合い*19】【地獄突き*20】【地獄突き】!!!」

「グゥゥッ⁉︎ だが物理貫通があるタイプのスキル*21じゃないな! 物理に耐性がある今の俺なら耐えられるぞ!」

 

 プレスターンバトルが出来るだけの連携や技術はない彼らではあるが、それ故に与えられた龍の眼光はサルタヒコの行動を加速させて強化解除からの物理威力を大幅上昇させての重撃がヤマトを襲い、更に追撃に同じ攻撃を放ってそのHPを大きく削る。

 それでも物理耐性と万能ダメージ結界の効果で仕留め来れるだけのダメージは与えられなかったが、そのぐらいは男達も予想しており確実に仕留める為にヌエが膨大な電撃を纏いながら(電撃プレロマ)変異した巨腕の爪を振るって 【雷龍撃*22】を放ち、更にスクナヒコナが手に持った針剣から二回行動を活かして【チャージ*23】からの【ブレイブザッパー*24】によって追撃の致命打を与えた。

 

「……生憎と俺は電撃にも耐性はある。まあ事前にこっそりと飲んでおいた【マッスルドリンコ】による増強HPは吹き飛んだが」

『非戦闘時に飲んでおけば状態異常が掛かっても自動で回復出来るからな。後は【活脈】でHPが増していたから耐えられた。だがやはり狙われやすい以上は【大活脈】も入れるべきか』

 

 しかし、写せ身合体による耐性獲得と耐性スキルの合わせ技で主要な属性のほぼ全てに耐性を得ていて、更にHP増強とダメージカットを使っていたヤマトはその怒涛の連続攻撃にも耐えてみせた。

 

「ヤマト大丈夫?」

「ああ問題ない。HPはゼロでなければ動く事に支障はないからな。……だがやっぱり俺を集中的に狙って来たか」

『ヤマトが消えれば仲魔も消えて、向こうの目的である結梨を確保出来るのだから当然ではあるがな。それに時間を掛ければ妨害を突破したチームDATが駆けつけるだろうから短期決戦で来るのも予想通りだ』

「どうも連中は【大活脈*25】を全員持っていてヤケにタフだから1手番で倒しきるのは難しい……ので塩試合で援軍待ちながら潰そう」

 

 だからこそヤマトは自分達の連続攻撃に対して敵が物理反射による防御と回復による立て直しを見た時点で持久戦により援軍を待つ形へ戦術を変更、状態異常防御とダメージカットで攻撃を耐える備えを優先した立ち回りが出来る仲魔に切り替えたのだ。

 ……ちなみに悪魔人間になった男達は使用した薬の副作用によって一時的にHPが増強されており、それがスキル【大活脈】としてヤマトに認識されているのだが流石にそこまでは彼にも分からなかった。

 

「じゃあこのまま持久戦だね」

「ああ、向こうのアイテムか手札が尽きるまでか、援軍が来るかするまで粘れば良い」

「……そう上手くいくかな? 今頃外の連中は俺達の同士の手で倒されているかもしれんぞ」

「いやねーわ。チームDATと黎明の祈り手の戦闘班ならお前達と同等前後の相手なら普通に突破出来るだろうし、彼等を倒せる戦力がいるなら普通に俺達にぶつけるだろ。そっちのサルタヒコの男もその様子では眼光系スキルはもう使えん様だしな」

「ハァ……ハァ……ハァ……クソッ!」

 

 クラマテングの挑発に対してもヤマトは冷めた目で息を切らしているサルタヒコを見ながら言い返した……本来余程の大悪魔でもなければ使えず、それでも尚一度の戦闘に発動制限がある【龍の眼光】を使った反動は元が単なる異能者の悪魔人間には重く、サルタヒコは一種の『疲労状態』となってしまっていた。

 最もヤマトも油断は一切しておらず向こうが【物反鏡】などの防御を捨てて特効してくる場合には【食いしばり】で耐えて逆に【禍時:会心*26】からの連続攻撃で始末するとか、男達へのダメージで結界の強度が落ちた時点で【くらましの玉】や【トラフーリ】で逃げの一手を打つ事などの手も考慮している。

 

(今回の依頼は結梨ちゃんの護衛、最優先目標は彼女の安全の確保だからな。倒した方がいいなら倒すんだが、基本は当初の予定通りに“援軍待って囲んで倒す”だ。向こうの手の内は大体分かったし)

『俺達のアナライズは相手が保有するスキルもおおよそ分かる*27からな。最も完全ではないから油断は出来ないが』

 

 そうしてチームDATからの薫陶とかつてダアトで戦い抜いた経験から決してどんな状況でも油断せず、また本来の目的を見失う事もなかったヤマトとアオビトは冷徹な目で敵を見据えながら可能な限り事故が起きない行動を仲魔へと指示して戦闘を続けるのだった。

*1
真5での先制攻撃は背後から襲う・襲われる以外の状況では主人公と敵リーダーの「レベル」「速」「運」を比較して、相手を上回った方が先制率が高くなる。

*2
真5では主人公と戦闘に出す仲魔の並びを変更する事で行動順を変える事が出来る。

*3
3ターンの間、敵全体の回避率と命中率を2段階ダウン。真3出典。

*4
3行動の間、味方全体の攻撃力と防御力を上昇させる。SH2出典。

*5
プレスターンアイコン消費が半分になる場合はアイコンが点滅状態になり、次にアイコンを一つ消費する行動を取った時は点滅したアイコンが優先して消費される。

*6
システム的には最初の二人がクリティカルでアイコンが二つ点滅→それを消費して補助スキル使用→残った一人と再度手番が回ってきた最初の二人がクリティカルで残ったアイコン三つが点滅状態。

*7
3ターンの間、味方全体の命中・回避率を1段階上昇させる。

*8
敵単体に銃撃属性で大威力の攻撃を一回行う。

*9
クリティカルと弱点属性で行動回数を倍にするのは真5の基本。

*10
真5で主人公のプレスターンアイコンの最大数は自身の仲魔三体の合計4つ。敵側も基本的には6つ程度が最大。

*11
スクナヒコナ専用/敵全体に氷結属性で中威力の攻撃を一回行う。命中・回避が一段階低下。真4F出典。

*12
相性:火炎に強い・氷結に強いを得る。弱点属性もないtrpg仕様に近い一品で生徒会時代に先輩から譲られた。

*13
プレスターンバトルで回避・無効・吸収・反射された場合のアイコン消費は最も消費が多い結果が適応される。例として全体攻撃時に一体でも無効相性がいれば他が弱点を突いていても消費アイコンは二つになる。

*14
チロンヌプ専用/3ターンの間、味方全体の防御力・命中率・回避率を一段階上昇させる。

*15
敵一体に衝撃属性で大ダメージ。

*16
真5の交代時のプレスターンアイコン消費は半分。

*17
何も行動せずにプレスターンアイコン消費半分で次の味方に手番を回す行動。

*18
点滅状態のプレスターンアイコンを四つ増やす。プレスターンバトルでなければ自身を4回行動させるスキルとして扱う。

*19
一度だけ自分の物理攻撃力を2.5倍に強化。真3出典。

*20
敵単体に物理属性で中ダメージ。

*21
真5の地獄突きは貫通効果がある。

*22
敵単体に力依存の中威力電撃属性ダメージ。

*23
自身が次に行う力依存攻撃のダメージを上昇させるチャージ効果を付与する。

*24
敵単体に大威力の物理属性攻撃。クリティカル率が高い。元は【絶命剣】だったが強化された。

*25
最大HPを大きく上昇させる(+30%)

*26
ターン中、味方全体に魔法を含む全ての攻撃がクリティカルになる状態を付与する。プレスターンバトルで使えば実質味方の攻撃回数を倍加させられる最強のマガツヒスキル。

*27
真5のアナライズ(万里の眼鏡)は対象の保有スキルや効果も解析出来る。ただしこの世界だと彼我の実力差などの要因で完全に全てが分かる訳ではない。




あとがき・各種設定解説

ヤマト&アオビト:戦闘じゃなくて護衛が依頼だから塩試合
・援軍のアテもあって無理する様なレベルの相手でもないので時間稼ぎつつ倒せる時には倒すスタイル、初手の連続攻撃のかかり具合が悪かったから持久戦に切り替えた感じ。
・プレスターンバトルは味方との息を合わせるのが重要だから自分と仲魔だけか余程息が合ってこの戦術を知ってる者と組んでる時にしか使えないが、かつてダアトで無数の悪魔と戦って来た経験から敵のレベルや数がどうあっても呼吸を自在に繋げられるレベルで習熟している。
・ただし、プレスターンはこっちの攻撃を無効や回避されると呼吸が一気に乱れて敵にターンが渡るハイリスクハイリターンな戦術であり、それ故に彼等は写せ身合体で弱点を優先して消したり回避率や命中率への補助を優先して事故を減らす戦術や準備を好む模様。

一柳結梨:プレスターンバトルは出来る
・ヤマトを息が合わせやすいのは以前に検証作業で同行した時に明らかになっていて、だからこそ彼女の護衛をヤマトのみにしても援軍が来るまで持たせられる十分な戦闘能力があると判断された。
・今回はクリティカル優先で物理スキルを使用したが元が真5のアマノザコなので魔法の方が得意であり、かつて生徒会メンバーから色々なスキルを学び覚えたので使えるスキル数は結構多い。
・天然な生活だが戦闘では冷静に必要な手を打てるぐらいの技術は持っており、特に何故かヤマトと組んで戦っていると“まるでずっと側で見てきた様に”彼の最適解がなんとなく分かるのだとか。

悪魔人間達:割と頑張ってはいる
・伏兵の存在に気付いて別働隊を差し向けたり初見のプレスターンバトルの起点をクリティカルだと見破って物理攻撃を封じたりと善戦しているが、プレスターンへの対応に手数を使っている所為で攻めきれないのが敗因。
・時間を稼がれると負けだから急ぎたいが完全に戦場の呼吸を相手に持っていかれて、更に自分達が使える属性に悉く耐性以上の相性を持つ仲魔を揃えて対処されている感じ。


読了ありがとうございました。
プレスターンバトルで最も重要なのは弱点属性やクリティカルによる連続攻撃……をされない様にする事故死防止の立ち回り。先行取られて弱点突かれたらよく事故死するので(n敗)
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