真・女神転生オタクくんサマナー外伝 ~ナホトラマン奮闘記~ 作:貴司崎
「……とりあえず自動販売機から異物は取れないのが分かった。やはりここは『過去周回のダアト』そのものではなく、それっぽく再現された異界だと考えるべきだろう」
「20回ぐらい光ってる自動販売機を見つける度にダッシュしてたからねヤマト。結梨はジュースの方が良かったけど」
『まあかれこれ
さて、俺が結梨ちゃんと合流してからこの【ダアト】を模した擬似ボルテクス界の探索を始めてからそろそろ24時間が経過、アオビトの神造魔人としての機能を生かして自分達以外の生体反応を探り*1、悪魔との戦闘を可能な限り回避しながら異界中を駆け回る事で既に異界のほぼ全域をマップ化する事に成功していた。
……別にずっと自動販売機巡りをしていた訳ではなく、あくまでこの異界の調査の一環として過去のダアトとどれだけ差異があるかを調べる目的でやってたんだからな。
「まあ自動販売機はともかく探索結果を纏めよう。……まずこの異界は過去周回のダアトの台東区を模していたけれどもエリア毎の出現悪魔の影響は結構違った。具体的には過去のダアト台東区は四つのエリアに分かれていて特定の位置にそこを縄張りとした悪魔が現れるが、ここでは何処にどんな悪魔が現れるかはランダムになっているみたいだな」
『かつてのダアトではそれぞれの悪魔の“縄張り”が決まっていて、倒しても以前と同じ悪魔が発生しやすい土壌が出来ていたが出来たばかりの異界ではそうはならないという事だろう。出現悪魔のレベルは50〜70弱と統一されていたが、種類に関しては【ヤタガラス】や【ドミニオン】など昔は殆ど見なかったものも見かけたしな。ただし悪魔の能力は全てかつてのダアトに現れた軸のものだった』
「レベル70ぐらいの悪魔がいきなり現れてびっくりしたもんね。ヤマトの【トラフーリ*2】で直ぐに逃げたけど」
実際、いきなり上空から【ガルーダ】が襲い掛かって来たり、その辺の水辺から【スイキ】が急に現れたりとある程度パターンが決まっていた過去のダアトと比べるとやや面倒にはなっていたな。
「次に生体反応だが俺達以外のものは一切なし。合流優先で悪魔から逃げ回りながら異界の各地を巡ったが人間は誰一人いなかった。……これは異界に取り込まれたのは俺達だけか、或いは他の人間は別のエリアに飛ばされているかだろうな」
『ボルテクス界では異界の内部に複数のエリアがある。かつてのダアトでも【東京都】など特定の方法でしか侵入出来ないエリア毎に区分けされている地域もあった。……問題はエリア毎に時間の流れが違うパターンもあるという事だ』
「もう3日も経ってるのに誰も助けに来ないのはそれが原因?」
「おそらくな。……外にいるにしても他のエリアに飛ばされたにしても隊長達なら異界への侵入や移動に3日も掛からないだろうし、他のキリギリスや帝都ヤタガラスの精鋭でも同じ事だろう。おそらく俺達がいるこの異界は相当に時間の流れが速いんだろうよ」
実際時間の流れが違うというのが一番面倒くさい、侵入防止のトラップとかなら時間を掛ければ突破出来るが助けが来るのが一年後とかみたいに“時間”そのものが弄られてるのではどうしようもない。
幸いと言うかこの【ダアトもどき】が物質界よりも精神世界に近いぐらいに深度の深い異界だからか肉体的な疲労や空腹に関してはかなり緩和されているが、それでもマガツヒさえあれば飲まず食わずでも行動出来るナホビノ*3である俺と違ってマガツヒ自体には適合しているが“人間”である結梨ちゃんには食事は必要だ。
「とりあえず今持ってる非常食と飲料水は全部結梨ちゃんが使ってくれ。俺達はマガツヒさえあれば飲まず食わずでも問題無いし、水は異界の池にあるやつで大丈夫だ。状態異常になっても非戦闘時なら直ぐに治せるしな」
「うーん……ちょっと気がひけるけど分かったよ。お腹すいて動けなくなる方が問題だもんね」
『それでも非常食の量から言って戦闘を含む十全な活動が出来るのは10日ぐらいが限界だろう。……脱出経路や他のエリアへと向かえそうな場所もなく、龍脈も内側に閉じてるから【龍脈渡り*4】での脱出も不可能だった』
「まあマップ埋め優先で異界各地を走り回る事を優先したから細かく探せば何かある可能性もあるが、それでダメなら異界自体をどうにかする為に異界の核を破壊するなりする必要があるんだが……おそらく異界の核であるだろう【カグツチ神殿】らしき場所にはレベル70以上の悪魔が犇めいていて今の俺達では攻略が難しいのが最大の問題だな」
ここがかつての【台東区】を模してるならダアトのゴール地点である【超大型カグツチ】が存在していた【カグツチ神殿】が中心核になっていると推理して、それっぽい建物を見つけたので念の為に結梨ちゃんを待機させて潜入してみたんだがレベル70以上の悪魔が多数いたので全速力で回れ右して逃げ出して来た感じだ。
……今の俺達の戦力ではレベル70〜80ぐらいの悪魔の相手は厳しい。まあ相手が一体だけなら種類次第ではハメ殺す事も出来るかもしれないが連戦になると流石に押し切られる。
「それで現状の確認が終わった所で今後の方針なんだが……まずはもう少し詳細に【台東区】を探索する。これまではマップ埋めと地理の把握優先だったから細かい所に抜けがあるので、何か異界脱出の出入り口か攻めてヒントがあれば良いなぁと一縷の望みを抱いて探します」
「なんかダメそう」
……方針その1は結梨ちゃんにダメ出しされたけど、初めて訪れたエリアは隅から隅まで探して宝箱とかイツヅカとかミマンを探すのが必須だから()まあ自販機がガワだけだったし期待薄だけどさ。
「まあ俺もそんな都合良くヒントが見つかるとは思ってないので、方針その2は現状一番怪しい【カグツチ神殿(推定)】を攻略する為のレベリングだな。台東区を模してるだけあって悪魔のレベルは十分だし、全ての悪魔の能力を俺が知っている以上は安定して戦えるからな。……とりあえず安全性を重視した悪魔狩りによるレベリングで
『ついでに悪魔会話も出来たから(逃げられたが)仲魔を増やして戦力を確保するのも良いだろう。レベル50以上の悪魔なら即戦力になるし、俺達なら悪魔のレベルも上げられるからな』
「結梨知ってる、こういうのパワーレベリングって言うんだよね。ゲーム動画でやってた」
まあパワーレベリングといっても安全重視だから最初はレベル60代の悪魔を狙いつつ、レベル70ぐらいの悪魔が単騎でいたら集団でボコって嵌める感じで行けば5日ぐらいでレベル70には届くだろう。
高濃度のマガツヒに溢れる空間だと器によく馴染むのかレベルの上がりもいいし、何よりマガツヒさえあればレベリングの効率を大きく上げる【禍時:幸運*5】を連続で使えるからな。幻魔種族のクー・フーリンか【幻魔 アマノザコ】の因子持ちの結梨ちゃんがいれば使えるのだ。
──────◇◇◇──────
「む、あの見覚えがあり過ぎる黄金の正二十面体は【宝箱*6】か! 自販機から遺物が取れなかったから期待していなかったが宝箱はあるのか!」
「これからレベリングじゃなかったっけー? まあ異界にある宝箱とかは気になるけどさ」
『これも調査の一環だから……という事にしておいてくれ。物資が限られている以上は少しでも補給が出来れば儲け物でもあるしな』
「中身は【電撃の秘石】が3つか。まあ悪くは無いな」
「それなら梨璃から貰ったのがまだあるよ。使い捨てアイテムだから多く持ってた方がいいかもだけど」
「既に持ってるアイテムが宝箱から出るのは良くある事だから。とりあえずマップに移った宝箱の反応は全部消さないと(使命感)」
──────◇◇◇──────
「うーん、異界に落ちてるアイテムを見つけるのは前から出来てたけど、この異界に入ってから精度が上がってる気がする。……あ、あっちに何かあるかも」
『俺のマップ探査でもアイテムの反応は分かるが詳細な位置までは把握しきれないからな。近場でならアイテムを見つけられる者が
「見て見て! 【魔石】が5つも落ちてたよ!」
「【魔石】は悪魔との交渉に使えるのもあって損はないしな。小さいから沢山持ち歩けるし」
「あ、そっちにも何か……ゴメン! 隠れてた悪魔だった!」
『マップによる探知では対象の詳細な種別までは分からないからな。隠れたアイテムと悪魔の反応は見分けが付かない事もあるから良くある事だ』
「とりあえず応戦するぞ!」
──────◇◇◇──────
「さて、そろそろレベリングに移るのでまずはあそこにいる【邪鬼 ヘカトンケイル】と【堕天使 デカラビア】を狙うか。レベルも俺より低いから優位に戦いが進めるなら悪魔会話で仲魔にする事も考慮する方針で。……ヘカトンケイルにはあまり良い思い出がないが今の俺なら問題なく倒せる」
『ヘカトンケイルの方は衝撃・幻惑弱点 混乱耐性 呪殺無効、デカラビアの方は破魔弱点 呪殺無効だ。スタメンはクー・フーリンとヨシツネとチロンヌプで』
「じゃあ全体衝撃魔法で纏めて吹き飛ばそうか。デカラビアも衝撃に耐性がある訳じゃないよね?」
「ああ、その方針で行こう。ヘカトンケイルは【会心の覇気】を持ってるからクリティカルワンチャンあるし、デカラビアも【テトラカーン】があるけど単体の物理耐性を反射に変えるだけだから魔法で攻めれば問題ない筈。悪魔会話は最後の一体が残ったらでいいぞ」
──────◇◇◇──────
「……ふむ、お主は変わった悪魔の様だな。しかし何故そんなに髪が長いんだ?」
「神だけに髪が長い(ドヤァ)」
「…………つまらんな」(逃走)
「逃げられちゃったねデカラビア。後今のギャグは結梨もつまらないと思う」
「馬鹿な……数多くの悪魔をスカウトしてきた俺の渾身のネタだったのに……」
『少年、契約交渉は試行回数が全てだ。交渉失敗して逃げた悪魔の事は直ぐに記憶から削除する事を推奨』
──────◇◇◇──────
「【ギリメカラ】だけだと思ったけど【ランダ】まで呼んできたよ! ここって戦闘になると仲間の悪魔を召喚してくるのがよくあるよね!」
「
「お ま た せ ♡ じゃあオート戦闘頼りは死のうか」
「物理反射の恐ろしさを教えてくれるわ!」
「……いや、お前らネタ的に有名になり過ぎたせいで耐性が丸わかりだし、出てきた時点で物理攻撃は控えてしまうからなぁ。“ギリメった”が物理反射の隠語に使われるぐらいだぞ」
「とりあえずお約束で魔法で攻めるよ! 両方とも電撃弱点だから【マハジオダイン】を喰らえー!」
「「グワーッ!!! 有名税ー!!!」」
──────◇◇◇──────
「……まあ、それでもレベル66とレベル70の格上だから苦戦はしたがな。二体だけで両方とも睡眠弱点だったからパズスの【ドルミナー】と数少ない【睡眠の秘石】でハメてどうにか倒せたが」
「でもレベルは上がったよ。最後に【禍時:幸運】を使ったお陰かな? それに減ったHPとMPも回復したし」
『【成長の祝い・壱】の効果で俺達とパーティーを組んでいる者はレベルが上がればHPとMPをおよそ5割程回復出来る。理論上はレベリングしながら悪魔を倒し続ければMP切れが起こる事もないだろう』
「あくまで理論上だから実際にはそこまで上手くいかんと言うか、レベルが上がればレベリングの為に倒す必要のある悪魔も増えるからどうしてもMPが切れる方が早くなるけどな。だが高濃度マガツヒが空間中にある時なら俺は非戦闘時にマガツヒを集めてマガツヒゲージを溜められて、マガツヒゲージがマックスなら【溢れるマガツヒ*7】で休憩がてらMPを回復させればいい」
「異界でのレベリングはMP切れが一番の問題だからね。MPを節約して通常攻撃だけで戦ってもダメージ受け過ぎるし事故率上がるしで効率悪いんだよね。MP回復アイテムって高いし」
『だが独自にMPの回復手段がある俺達であれば異界に長時間篭りながら連続戦闘によるレベリングも可能だ。……MP回復の手間が省けると検証班に連れ回された事もあるから神意の効果も把握済みだしな』
「嫌な事件だったね。……とりあえずまだMPは残ってるしレベリングを続けるぞ」
──────◇◇◇──────
「ふーん、じゃあ仲魔になってもいいけど、とりあえず2547マッカ頂戴?」
「分かった」
「魔石を6個頂戴?」
「分かった」
「あなたのMPいっぱい頂戴?」
「もう十分だろう」
「ふーん、そう言う事言うのね。じゃあ仲魔になるのやめるわ、じゃあね」(逃走)
「…………………………ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!! あんの阿婆擦れがァァァァァァッ!!!」
「どうどう、ヤマト落ち着いて。こういう時は心を無にすれば良いって祈り手のみんなは言ってるよ」
『単純作業の繰り返しの末に情動が死ぬのと怒りや憎しみを抱かないのは別の話だからな。まあ悪魔交渉の最大のコツは『失敗しても気にせず次に行く事』ではあるが』
「ああ済まない、なかなか悪魔交渉が成功しないからちょっとイラついてた。異界に閉じ込められてるから物資にも限りがあるというのに……確率論的に二回も要求を通してから切り上げれば7割ぐらいいける筈なんだが」
「契約交渉ってそういうものだったっけ? でもレベル上げは順調だから良いじゃん。結梨もレベル60ぐらいになったし」
「俺は自己診断でレベル65、結梨ちゃんの方は俺のアナライズだとレベル61だな。レベル60ちょいの少し格上な悪魔に狙いを定めて戦えばこんなものだろう。流石にここからはレベリングの効率も悪くなるだろうが、ここらで切り替えるべきか?」
『いや、レベル61の時点で【拾式の写せ身】の力が解放されて【布瑠言霊】【メパトラ】【メディアラハン】【セーフティ】【奈落のマスク】が解放されている。このままレベル67まで上げればおそらく最後の【零式】の力も解放されるだろう』
「じゃあそこまでレベルは上げておくか。……契約交渉はレベル上げに適さない低レベルの悪魔と戦った時にやってみるぐらいで」
──────◇◇◇──────
「……まあこんなものか。では【大天使 メルキセデク】だ、世界の平和と正義の為に戦おう。今後ともよろしく頼む」
「よっしゃァァァァァァ! 一般通過大天使のメルキセデクさんゲットォォ!!! これでこのダアトでも悪魔と契約交渉が出来ると証明されたし、交渉が上手く行く“流れ”も来てる気がする!」
「契約交渉に流れなんてあるの?」
『本人の気の持ちようとかでそんな気がする時もある。まあ失敗が連続で続いたり逆に成功が続いたりする事もあるが、大体確率の偏りみたいなものだ』
「結梨知ってる、それってギャンブルで身を持ち崩す前振りだよね。この前マンガで見た」
「……ちょっとぐらい喜んでも良いじゃないか。大体9回ぐらい連続で契約交渉に失敗した後、ようやく成功した上にレアな大天使が仲魔になったんだから」
「後は天使って人間誘拐したり正しい教えに導くとか言って虐殺を起こすからちょっと不安。前のメシア教にいた天使とかそうだったし、この世界では特殊なせーへき? を押し付けてくるって祈り手の人が言ってた」
「……私は信ずる神の違いや解釈の違いにも寛容だから。それぞれが抱く信仰に違いがあるのはやむを得ぬ事、重要なのはその信仰の元に善き事を成しながら過ごす事だからな」
『昔のベテルにいた天使ぐらいには話が通じるな。キチンと人間を個人として認識している』
「……後は正直言って今の狂った大天使達にはついて行けなかったからここに逃げて来た面もある。私の様な本体から遠い分霊とか大天使の方針に反対する天使などが離反していたりするらしいぞ」
「天使も結構内輪揉めしてるのか」
──────◇◇◇──────
「……正しき行いを成さんとするその心意気は気に入った。支払いもこれで十分よ。……私は【神獣 バロン】、コンゴトモヨロシク」
「ああ、よろしく頼む。これで電撃属性攻撃要員も手に入ったし、メルキセデクの仲介で仲魔にした【天使 ソロネ】と何とか含めて戦力は確保出来たな」
「……あれから怒涛の三連続契約交渉成立は少し驚いたな。とにかくこれで仲魔枠は全部埋まった」
「上手く行く流れは本当だったのかなー?」
「男ヤマト怒りの三連続契約交渉って感じだ。……念の為に仲間枠は一枠開けておく事にして後はレベリングだな。とりあえずレベル70近い【堕天使 ネビロス】とか台東区の発生悪魔の中では最高レベルの【龍王 ヤマタノオロチ】辺りを狙うぞ。仲魔も大体レベル60近くまで育成出来たし、このまま行けば予定通り5日で神殿への突入準備が出来る筈だ」
「おー、やったるぞー」
『レベリングのし過ぎでの疲労もあるから少し休んだ方が良いと思うが。……焦ると思わぬミスでピンチを迎える事もあり得るからな』
「……それもそうだな。少しマガツヒに当てられたか? MP回復も兼ねて一旦休むとするか。レベル67に上がった時に【零式】の力も解放されたし、休憩が終わったら最後の調整を兼ねて神殿前にいた“高レベル悪魔”を倒すぞ」
──────◇◇◇──────
そうしてヤマトと結梨は休んでHPMPを回復させてマガツヒゲージもきっちり貯めてから、目的地である【カグツチ神殿】の前に彷徨いている【龍王 ヤマタノオロチ】をターゲットに選んで戦いを始めようとしていた。
| 龍王 | ヤマタノオロチ | LV72 | 火炎・氷結耐性 電撃・睡眠・毒・混乱弱点*8 |
「……さて、前回の神殿への威力偵察では戦闘を避けて進んだが今回は戦いを挑むぞ。どのみち神殿を攻略するには邪魔になる」
「うん、弱点は電撃だからジオ系中心DE睡眠にも弱いから睡眠嵌めするんだよね。レベルが高いから異界の主なのかな?」
『いや、あくまであのヤマタノオロチは一般発生悪魔だろうが、異界内で最も高レベルだから神殿前を自身の縄張りにしているようだな。逆にいえば他の悪魔もヤツを恐れて神殿前に近づかないから、ヤツさえ倒せば神殿への行き来はしばらく邪魔されなくなるだろう』
ちなみにこれらの情報はヤマトが諦めず悪魔会話を続けたお陰で得た異界の情報であり、彼とて仲魔を増やしたいだけで悪魔会話をし続けて来た訳ではなく情報収集の一環でもあったのだ……まあちょっと意地になってた所もあるが。
それはともかくとしてヤマタノオロチを倒す事を決めた彼等は、まずヤマトが単騎で先行しつつ手慣れた様子で敵の視界に入らない様に動きながら相手の背後へと接近して斬りつける。
「何時もの背後から辻切りで先手は貰うぞ!」
「GAAAAA⁉︎」
| 剣攻撃 | アクション | ナホビノに光の剣による斬撃を行わせるフィールドアクション。 宝箱に使えば割って中身を手に入れられ、悪魔シンボルに使えば接触と同じ様に戦闘を開始させる。 悪魔シンボルに気付かれていない状態で背後から剣攻撃を当てた場合は必ず先行となる。 “戦闘中の攻撃行動”ではないのでダメージは与えられない代わりに物理無効相性などの影響も受けない。 |
その斬撃はナホビノが生み出した剣の能力によってダメージこそ無いが、無防備な背後から斬撃を当てた時には悪魔を怯ませて必ず先手を取れる“権能”が宿っており、それによりヤマトは先手を取ると同時に【軍神 ヨシツネ LV62】【神獣 バロン LV63】【邪神 パズス LV64】の三体を召喚して戦闘に入る。
更に後方にいた結梨も【真・夢幻の具足】によってヤマトの隣に並び立って戦闘に加わるが、ヤマタノオロチの方も戦闘が開始されたと本能的に判断して自らの仲間となる悪魔──奈落から来たる全てを飲み込む“魔王”を呼び寄せた。
| 魔王 | アバドン | LV72 | 火炎無効 呪殺弱点 電撃・封技弱点*9 |
「……GGGGUAAAAAAA!!!」
「アバドンだと? こいつまで出るのか……だが問題ない、援軍がコイツだけなら予定通り何もさせずに殺しきれる。八色の雷よ!」
「いつも通りに機先を奪うぞ! 【八艘飛び】!!!」
「やれやれ、仲間になって直ぐに激戦だな! まあ仕事はこなすが……【マハジオダイン】!!!」
しかし、多頭の龍王とレベルだけ同格である奈落の魔王を前にしてもヤマトは特に気にした様子もなく、むしろ『敵がこれだけなら勝てる』と判断して天より降り注ぐ【轟雷*10】でアバドンを打ち据えた。
更にヨシツネには
「パズス、お前がこの戦いの要だから頼むぞ」
「はいはい、何時ものハメ殺しですね。……状態異常が弱点な自分達を恨みなさい。【マカジャマ*11】
「GAI⁉︎』
それに続いてパズスが凡ゆるスキルの発動を封じる呪いをアバドンへと向けて放ち、
「よしハマったね。じゃあ結梨はバフ優先かな。【マハタルカジャ*12】」
「ヨシツネは壁を、バロンはもう一度全体電撃。俺は新しく覚えたスキルも試してみるついでに呼吸を稼ぐ。【ヤブサメショット*13】!」
「了解した、それでは遮那王の新たな技をお見せしよう……【畳返し*14】!」
「私はもう一度【マハジオダイン】だな」
それを見た結梨は“これまでの狩りと同じパターンにハマった”と見てダメージ量を稼ぐために
そしてサマナーからの指示を受けたヨシツネは地面に手を着くと畳の様な形状の物理反射防壁を展開して味方を守り、バロンは再び大威力の電撃をヤマタノオロチとアバドン叩き込む。
「パズスはオロチを眠らせろ、結梨は念の為に回避バフで手番を渡せ」
「では邪神らしくエゲツないやり方で行くとしようか。【ドルミナー*15】」
「GAAaa……ZZZZZ……」
「はーい、状態異常は“切れ目”が怖いからね。【マハスクカジャ】」
最後にパズスが神話のオロチ退治の如く睡眠弱点なヤマタノオロチを深い眠りにつかせ、それを攻撃で起こさない様にするのも兼ねて結梨は味方全体の命中・回避率を上げるバフを掛けて
「ZZZZZzzzzz…………」
「GUU……GAAAAA!!!」
しかし、手番が渡されてもヤマタノオロチはグッスリ寝ているのです
「パターン入ったからこのまま続ける。ヨシツネは物理反射優先で八艘飛び無理ならパス、バロンは全体電撃を打ち続けてダメージ稼ぎ、パズス はアバドンに封技とオロチに睡眠を掛け続けて妨害と手番稼ぎ*16、結梨は全体バフと電撃でのダメージ稼ぎだ」
そうしてターンが回ってきたヤマトは導き出した相手に何もさせずに確殺出来るルーチン行動を指示しつつ、自らは再度【轟雷】でアバドンを打ち据えると同時に
「ただし状態異常はターン経過で切れる事もあるからな*17。一応気休めに毎ターン重ねがけするが状態異常が切れて行動してくる事もあり得ると考えて立ち回ってくれ。……このまま連中には何もさせない、ハメ殺すぞ」
「「「「了解」」」」
その後は容赦なく弱点属性攻撃を繰り返すヤマト達にヤマタノオロチとアバドンはドンドンHPを削られていき、稀に状態異常が解けた時であってもそもそもオロチは力依存のスキルしか持っておらず、アバドンも【フォッグナー*18】程度しか物理反射状態の敵に有効な攻撃手段がなく、幻惑も普通にヤマトの【メパトラ*19】で治されるので勝ちの目はなく順当にジャイアントキリングされたとさ。
「よし、じゃあ最後に【種族超越】で
「GUWAAAAAAAAA!!!?」
『気持ちは分かるが発言がひどくなっているぞ少年』
「うーん、こういうのを蛮族プレイって言うんだよね。動画で見たよ」
「まだこの程度では“厄災”と呼ばれるレベルには届かないがな」
そんな感じで彼等はしばらく狩りを続けた結果、獲得経験値とマッカをがっぽり稼いで目標であるレベル70近くまで達した。
そして一通り悪魔を狩ったせいか悪魔が寄り付かなくなっていたその場でしばらく休憩した後、この異界で最も怪しいと思われる【カグツチ神殿】へと足を進めたのであった。
あとがき・各種設定解説
ヤマト&アオビト:二週目らくらくレベリング
・尚、ここまで楽に戦えているのは彼等が出現悪魔の倒し方を完璧に把握しているからであり、伊達に1周目では初見でヤマタノオロチに殺されかけたりギリメカラやランダに物理反射された訳ではない。
・行間でマップに反応があった宝箱を全部割ったりフィールドの建物を調べたりもしているし、レベルの低い仲魔を出してレベリングしたりもしている。
・新しい仲魔に関してはメルキセデクが希少な大天使だから、ソロネは全体MP回復のマガツヒスキル【三億百六十万の光】目当て、バロンは出現悪魔最大レベルのヤマタノオロチが電撃弱点だからと数撃ちゃ当たるではなくちゃんと理由もあって仲魔としている。
・ちなみに彼は合一神だからなのかダアトで活動していたからなのか、通常のマグネタイトよりもマガツヒの方が相性が良いらしく高濃度のマガツヒ環境下の方が調子が良くなりレベルアップもしやすい模様。
一柳結梨:特殊能力【クエストナビ】獲得
・ダアト二周目のレベリングや探索で何故かヤマトがはっちゃけ出したのでツッコミが多くなっており、色々とネットで動画を見たり祈り手や友達と漫画ゲームアニメを見たりと順調にサブカル汚染されてるのでネタ台詞も偶に出る。
・これだけ早くレベリング出来ているのは合一神であるヤマトと並んで彼女も成長限界レベル99勢だからでもあり、京都ヤタガラス残党が『合一神に至りうる最高の神造魔人』と考えてリスクを負ってでも確保しようとするスペックはある。
・まあ残党がそう思っていただけで彼女が実際に合一神になれるかは別問題ではあるが、合一神である彼と同じ様に高濃度のマガツヒに適応して調子が良くなり器が成長しやすくなったりもしている。
読了ありがとうございました。
これで連続サブクエスト2回目『集う因縁』は終了であり、次回からサブクエスト完結編(予定)な『いつかどこかの真実』編に入っていきます。お楽しみに。