真・女神転生オタクくんサマナー外伝 ~ナホトラマン奮闘記~   作:貴司崎

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いつかどこかの真実/宣戦

 異界からの脱出方法を探して【カグツチ神殿】らしきダンジョンを攻略していた俺と結梨ちゃんだったが、いきなり現れた【妖鬼 オンギョウキ】が『悪魔を食ってる合一神を討伐して欲しい』などと言い出したのでとにかく情報を聞き出す事になった。

 

「……合一神とは穏やかじゃないな。しかもそいつが悪魔を喰ってるだって? 他にも色々と気になる事はあるがまずはそこから話せ」

「了解した。……始まりは大体数日前に二人の人間がこの神殿を訪れた事に端を発する。そいつらはこの異界の中枢部を目指していた様だが、ここに居る悪魔達によって殺された。悪魔人間化するとか造魔を出すなりして抵抗はしていたがな」

 

 何? まさか俺達以外にもこの異界に入っていた人間が居たのか……いや、悪魔人間化に造魔を出していたとかまさか、確か確認用に写真は貰ってたな。

 

「その人間達の顔は“コイツ”か。俺達がこの異界に取り込まれる前に戦っていた『京都ヤタガラス残党の首魁』の写真なんだが」

「ふむ、確かに片方の人間の顔はその写真の男だったぞ。……言い忘れていたが、其奴らはこの異界の核に当たる【アマラ転輪鼓】の元々の持ち主でその制御を奪って異界から脱出しようとしていた様だな。戦った時にそんな事を言っていた」

「……京都ヤタガラス残党はもう死んでたんだ」

 

 ……異界に取り込まれる前の状況から考えてこの『ダアトに類似した異界』を作ったのは京都ヤタガラス残党で、キリギリスと帝都ヤタガラスに追い込まれたから逆転を狙って異界に敵を落とす策とかだと思ってたんだがそもそもの首魁が死んでるとはね。

 それに【アマラ転輪鼓】とか何処かで聞いた事がある気がしたが、確かダアトのベテルが保有していた【ターミナル】の正式名称だったか。とにかくオンギョウキからは情報を搾り取らなければいけない事が確定したので話の続きを促す事とする。

 

「ただ話はそこで終わらなかった。……その人間達の内『白衣の男』の方が死に際に何かをした様でな、そいつともう一人の男と死亡状態の造魔が合体したのだ。それによって彼等は一つとなって『合一神の様なモノ』に生まれ変わり、以前よりも強い力を手に入れて襲い来る悪魔を逆に倒してその身とマガツヒを喰らう化け物に成り果てたのだ」

「死んだら造魔と合体して合一神として復活とかそんな都合のいい事が……俺も似た様なものだから否定出来んな」

『少年の場合はギリギリ生きているぐらいの重傷な時に俺と融合したから少し違うと思うが、まあ有り得なくはないんだろう』

 

 話がいきなりややこしくなって来たが、とにかくオンギョウキが倒して欲しい合一神ってのは京都ヤタガラス残党の首魁の成れの果てって事だな。神造魔人を研究してたんだから合一神になる方法とかも知ってたとしてもおかしくはないか。

 

「しかし、悪魔を喰らうとか合一神らしい行動とは思えないな。デビルシフターとかで人喰いはいると聞いた事はあるが、悪魔ごとマガツヒを捕食しているとかおかしい」

『そもそも合一神なら此処の様な高濃度のマガツヒが溢れる空間であれば自動でマガツヒを吸収出来る筈だが、生まれたてでマガツヒ制御の技術が拙くマガツヒゲージが使えないパターンか? 死亡個体同士は合体事故が起きやすいからな』

「まあ合一神と言っても大分不完全な雰囲気ではあったからな。悪魔の捕食も足りないマガツヒを補う為に本能的にやっている様だったし、そもそも理性などもかなり薄くなっている様に見えた。……だがそれ故に此処の悪魔を片端から食い尽くして徘徊しており、今は【アマラ転輪鼓】がある中枢部付近を徘徊していて誰もそこには近づけない状況だ」

 

 ふむ、つまりこの異界の中枢部にたどり着くならどの道その『京都ヤタガラス残党の成れの果てである合一神』とは戦わなきゃいけないんだし、それなら依頼を受けても……ってなる訳無いぞ。正直言ってこのオンギョウキにはおかしい点が多過ぎる。

 

「それで依頼である倒して欲しい合一神の情報はまあ分かった。……だが、何故お前は俺たちにそんな事を依頼するんだ? そもそも出来たばかりの異界で発生した悪魔が【アマラ転輪鼓】について知ってるのはおかしいだろう」

『お前が合一神を倒して欲しい目的と理由を聞きたいな。出来たばかりの異界の悪魔が縄張り意識を抱くにしても、それなら態々人間に依頼するのではなく自分でどうにかしようとするだろう。発生したばかりで自我の薄い悪魔なら尚更』

「……お前達に依頼した事に関しては、それが今私を使役している()()()()()()の意思だからだ。私はその意を組んで動いているに過ぎん」

 

 ほう、このオンギョウキは俺達にとっても最も重要な情報と言ってもいい『この異界の主』の配下って事か。今までは京都ヤタガラス残党の仕業だと思ってたんだがコイツの話からして違うみたいだからもう少し主の情報も引きだせるか?

 

「それで、この異界の“主”ってのは何者なんだ? 何故俺達に合一神退治の依頼を受けさせる様に言った? 京都ヤタガラス残党ではないみたいだが」

「主の情報に関しては知らん。……そんなに睨まれても本当に知らないのだ。俺が生まれた時には既に目の前に【アマラ転輪鼓】が置いてある異界の中枢部に居て、既に契約によって“異界の主”の使役下に置かれていたからな。今まではずっと契約を介して送られて来る念話による指示で行動し続けていたから主の正体など見た事がない。転輪鼓などの知識も契約を介して伝わって来ただけだ」

 

 そんな見た事もない主人に仕えているのに文句は無いのかと思ったが、オンギョウキ曰く『まあ契約があるのだから仕方あるまい。そもそも『オンギョウキ』は人に仕える式神の悪魔だからか指示に従う事には文句は感じないな。基本はこの神殿の中で自由行動だし』との事。

 ……自我や自由意志が明確なのも『異界の主』に直接召喚されて使役されているからか? 使役されてる悪魔は野良悪魔よりも固有の意思を得やすいしな。

 

「それと依頼の報酬に関しては『徘徊する合一神を倒したのならお前達二人を自分の元に連れて来る様に。こちらの用事が終わったら異界から脱出させてやる』との事だ。後は私自身がお前の仲魔になろう」

「用事ってのは一体……お前には知らされてないと。仲魔になる云々は良いのか? 一応異界の主人に仕えているんだろう」

「その“主人”からの提案だからな。それに事が終わればこの異界は消滅すると聞いているし、流石に異界と運命を共にしたいとは思えんからな。あの合一神を倒せる者であれば多少私よりレベルが低かろうが仲魔に加わるに足る*1

 

 成る程、つまり京都ヤタガラス残党らしい合一神を倒せば異界の主が外に出してくれると……やっぱりこの異界に俺と結梨ちゃんしか居ないのは意図的なものだったか、流石に偶然俺達だけが取り込まれたってのは不自然だからな。

 その“謎の異界の主”がなんの目的で俺達に会いたいのかは分からないが、どの道異界から脱出するなら異界の主との相対は避けられんだろうし……。

 

「結梨ちゃんはどう思う? 俺は依頼を受けても構わないと思うんだが。……どの道その京都ヤタガラス残党らしい合一神はこの神殿の中枢部を徘徊しているから倒さねば先に進めんし、そもそも最初から異界を脱出する為に異界の主か核をどうにかするつもりだったからな」

「うん、結梨もそれで良いと思うよ。……だって結梨達がここに来たのは京都ヤタガラス残党をぶっ倒す為だったもんね。途中で異界に取り込まれてうやむやになってたけど決着を付けられるなら付けたい。ここでキチンとケジメをつけるよ!」

 

 結梨ちゃんも依頼を受ける事に賛同してくれたので俺達はオンギョウキからの依頼(サブクエスト)を受ける事にした。まあ京都ヤタガラス残党をブチのめすのは当初の目的だったからな。

 

クエスト

「野望の末路」

を受注しました

 

「そうか、ならあの合一神の位置情報をそちらのマップに表示しておく。この広間から先には悪魔は殆ど近寄らなくなっているからアイツがいる場所までは直ぐに行ける筈だ」

「分かった、依頼を達成し次第この異界の主とやらには合わせて貰うぞ」

「それが私の役割だからな、安心しろ」

 

 こうして俺達は京都ヤタガラス残党と決着を付ける為、そしてこの異界の“真実”を突き止めて現実へと脱出する為にオンギョウキの依頼を受けて『合一神退治』へと赴く事になったのだった。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

 そうして依頼を受けて神殿を進むヤマトと結梨はオンギョウキの言う通りに殆ど悪魔がいない通路を順調に進んで、そう時間がかからない内にマップに表示された討伐対象である【合一神】がいる場所の手前までやって来ていた。

 

『マップに表示されている反応はこの先の広間だな。こちらでも強大な悪魔の気配を感知した、注意しろ』

「温存しておいた最後の二つの【マッスルドリンコ】とパールヴァティの【ヒュギエイアの杯*2】を使ってHP増強を掛けるぞ。ただ残りの消費アイテムの数が少し心許ないが」

「これまでの探索で結構使っちゃったもんね。この異界で拾った【マッスルドリンコ】じゃ最大HP上昇も上質な【マッスルドリンコ】の二倍までは届かないかな*3

 

 勿論、彼らは強大な悪魔の気配を感じ取った時点で広間の前で出来る限りの準備をしてから乗り込んだ……が、そこで彼等が見たものは肉体の所どころに傷があり、或いは一部が溶けながらも恐ろしい形相をしながら【魔王 シユウ】の死体を喰らっている異形の悪魔の姿だった。

 

魔王シユウLV86状態:DEAD

 

合一神(合体魔丞)ザオウゴンゲンLV84火炎・睡眠・幻惑・毒・魅了無効 破魔・呪殺・BS耐性 ???

 

「……ザオウゴンゲンね、俺の知ってるヤツと比べると随分とグロテスクな姿をしてるな。まるでゾンビみたいな」

「合一神ゾンビとか? 悪役の復活パターンとしてはお約束だってゲームで学んだよ」

 

 そう言っている間にも京都ヤタガラス残党首魁の二人と神造魔人が融合した【合一神? ザオウゴンゲン】はシユウを喰らってマガツヒを吸収し、徐々に肉体に出来た傷や溶けた部分を修復していき悍ましい鬼の様な悪魔の姿へと変わり始めていた。

 ……京都ヤタガラス残党が開発した『合一神変性の術式』はまともな代物ではなく本体ならナホビノになれる筈もないのだが、この異界の特性か悪魔を捕食してマガツヒを吸収しなければ肉体を維持出来ない異形の合一神“未満の何か”へと変性する形で一定の成果は得られていた。

 

『Aアアアア……やはり高イの魔王のマガツヒを吸収すれば我は更なル力を得る事が出来る。このまま最強の力を得TE再び京都ヤタガラスを蘇らせて……ナンだぁ貴様等は』

「やっと気が付いたか。……お前が京都ヤタガラス残党の首魁が成り果てた合一神で合ってるな。種族も一応【合一神】になってるし」

「合一神ってヤマト達以外は初めてみるけど思ったよりもグロテスクなデザインだね。何となくゲームのハイラルのボスキャラ風味?」

 

 悍ましい“食事”を終えた辺りでザオウゴンゲンは広間に入ってきた二人に気が付き、彼等も戦闘態勢を取りつつ適当な問い掛けをしながら相手の反応を探る……が、ザオウゴンゲンはそれを無視して結梨の方にのみ視線を向けていた。

 

『おおOォォ……どうやら戻って来た様DAなァ【試作型擬似合一神第13号機】。全ての人ZOU合一神ノ中で唯一人間の特性と悪魔の能力を完全ニ複合させる事が出来TA成功例。お前を喰らえば我はより最強なる存在へト進化出来RU。さあこちらへ来イ!』

「え、やだよ。喰われると分かってそっちに行く訳ないじゃんバーカ(マジレス)……それに私には『一柳結梨』って言う“梨璃”と“夢結”から貰った名前があるよ!」

 

 好き勝手な事を抜かすザオウゴンゲンに対して、何分因縁のある相手だから常よりもずっと口調が悪くなっている結梨は強い口調で言い返す……それを見たヤマトは今後の戦いの勝率を上げる為の一計を案じる事にした。

 

(済まん結梨ちゃん、しばらくアイツの注意を引きつける為の【ムダ話】をしていてくれないか? その間に俺が【アナライズ】でヤツの情報を抜く)

(分かったよ、強そうな相手だし出来る事は全部やらないとね。……それに結梨もアイツに言いたい事があるし)

 

アナライズ?特殊属性スキル敵単体の各種情報を調べる事が出来る。

だが何故かヤマトが使うと時間を掛ければ真5の【万里の眼鏡】と同じ様に耐性やステータスや適正、一部スキルの効果なども知る事が出来る。

ただし一部の相手には通用しない、解析に時間が掛かる、情報が完全には解析出来ないなどの制限もある。

 

 そうして結梨の意を汲んだヤマトは目を付けられない様に一歩下がりながらザオウゴンゲンの解析に集中し、それを気にする事は無くザオウゴンゲンは更なる一方的な言葉を結梨にぶつける。

 ……異形の合一神と成り果てた事により京都ヤタガラス残党の首魁達が持っていた元々の傲慢さや自己中心性が増幅され、更に無茶苦茶な融合の結果なのか理性がやや欠けているのかクソみたいな言動を単純に言い放っているのだ。

 

『名前DAと? 笑わせルな! 貴様は人間ではなク我ら京都ヤタガラスの為に作られた道具ニ過ぎない! 我らの為ニ使い潰されるノが貴様の役割ダ!!!』

「結梨を“産んでくれた”事に関しては感謝してなくもないけど、それとこれとは別の話だよ。……結梨は“人間”だよ。お前達がどう言おうとも“前の梨璃達”が認めてくれた事で、この世界の“今の梨璃達”も結梨を人として見て友達になってくれてる。だから結梨もこの世界で生きる人間でありたいと思ってる」

 

 だが、その言葉に対しても結梨はかつての過去周回で同じく京都ヤタガラスから『人間では無い』と言われて動揺した結果、セプテントリオン相手に自己犠牲に走った時と違って今回は明確な決意を持って敢然と言い返した。

 ……過去の世界から今の世界へと渡る事で大切な人達との別れを経験し、それからこの世界で様々な人と出会ってもう一度大切な人達と改めて友達になれた事で彼女はそう言い返せるだけの“絆”と“心の強さ”を得ていたのだ。

 

『えエいっ! 黙れェ! 親も居なイ神造魔人の死骸かRA作られた木偶人形が何ヲほざくか! 我ら京都ヤタガラスの崇高なル使命の為の生け贄ニなれるのだカラ光栄に思うべきだろう!!!』

「崇高なる使命とか知らないけど、こっちもこれ以上結梨を狙われて周りに迷惑を掛ける事は許さないからね。……それにまだハイラルでの冒険とかアニメの続きとか残ってるし、何よりそろそろ低出力マハンマじゃなくてちゃんとしたお風呂入りたいから脱出したいの! なんでここの水場だと【スイキ】が出てくるの!!!」

 

 ちなみに彼女達は流石に悪魔が徘徊する異界だとまともに身体を洗う余裕はなかったので、低出力ハマによる汚れ取り技術(使える水も制限されていた過去周回で両者共覚えた)で凌いでいたのだがヤマトはともかく結梨は結構辟易していたらしい。

 ……そんな風に異形となって人格が更に歪んだザオウゴンゲンの暴言にも一切動揺せずに言い返しながら時間を稼いでいた結梨だったが、解析を終えたヤマトがその肩を叩いた事で時間稼ぎは終わったと一歩下がった。

 

「あ、ヤマト、解析終わった?」

「ああ一通りな。一部見えん部分もあったが俺が知ってる【ザオウゴンゲン】ベースだからか大凡抜けた。……あんなクズの矢面に立たせて済まなかったな」

「ううん大丈夫、言いたい事は言えたから後はぶっ倒すだけだし」

 

 ヤマトは下がった結梨に未だ喚き立てるザオウゴンゲンから少し隠す様に前に出たが、その表情は目の前で散々“友人”を侮辱された事もあって非常に険しいモノになっていた。

 勿論、彼等は苛ついててもムダ話を終えた時点でしっかりと戦闘態勢を整えており、ヤマトに至ってはザオウゴンゲンを倒す初手に最適だと判断した【ヨシツネ】【バロン】【ソロネ】の三体を召喚してもいる。

 

「それで、なんかゾンビみたいで結構強そうだけど勝てそう?」

「まあ大丈夫だろう。レベルも高くて合一神だからか弱くは無いが今の俺たちが勝てない程じゃない。……というか俺が知ってる合一神と比べればかなり弱いな」

『ゾンビみたいな見た目らしく中途半端な“合一神ミマン”ではないか? アナライズの種族表示もおかしいから完全な合一神という訳ではないのだろう』

『何ィ……?』

 

 ヤマト達は『敵が合一神だから』と相応に警戒して念入りにアナライズを行なったが、その結果から今の自分達でも勝てなくはないレベルだったので不完全な存在だと冷めた視線で見ながら断定していたが、それを受けたザオウゴンゲンは悍ましい顔に更なる怒りの表情を浮かべた。

 ……元々の京都ヤタガラス残党首魁二名が『京都ヤタガラス再興の為の力』を求めていたからか、その二人が合体事故を起こして生まれた『ザオウゴンゲン』にも力を求める意思が、それも以前より歪で捻じ曲がった“力への執念”が生まれていたので自らの実力を軽んじるヤマトの言葉を無視出来なかったのだ。

 

『貴様ァ……合一神とナって最強の力を得た我ガ弱いだとォ? こノ圧倒的なパワーとレベルがWAからんのかァ! この力さエあれば忌々しい帝都ヤタガラスノ連中すら容易ク血祭りにDEきるだろうニ!!!』

「いやたかが80レベルちょいで帝都ヤタガラスは倒せんだろ。ミツヒロさん曰くあそこの四天王はレベル80越えが当たり前の最前線で戦えるレベルらしいしな。レベル80程度では現行世界のインフレには付いて行けんぞ阿呆」

「レベル80程度で最強とか無理でしょ。結梨も掲示板で知ったけどこの世界の最前線ってレベル100越えのボスが当たり前に出るらしいよ。レベル80じゃいいとこゲームでいう中ボスぐらいじゃない? 外見的に」

 

 妄言を喚き散らすザオウゴンゲンに対して容赦なく挑発コマンド(事実)を連打する二人、流石に好き勝手な事を言う相手に怒り心頭だったので発言も厳しめだ。

 

「大体()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。それだったら俺達は今も昔もここまで苦労しておらんわ。……出現悪魔の傾向と写せ身合体で写す耐性がズレたり、うっかり後ろから襲われてクリティカル出されるとすぐ幽体離脱だしさぁ」

『下手な合一神よりも装備を付けられる人間の方が余程に手強いぞ。……俺達が過去のダアトで戦った中で最も苦戦したのは過激派ヤタガラスが擁していた最強のデビルサマナー【葛葉ライドウ】……人間である【黛冬優子】だったからな』

「うーん、すごく実感が篭ってる発言」

 

 加えて過去周回でも現行世界でもナホビノになって直ぐに強大な力を得た訳ではなく、ナホビノになってから長時間のレベリングや仲魔を手に入れて実力を得てきた“叩き上げ合一神”である二人にとっては軽々しく『最強の力』などとほざく目の前のナホビノモドキは気に食わない存在であった。

 

『貴様らの様ナ三下如きト一緒にスルなぁ! 我は真ナル神である合一神の力ヲ手に入れて最強トなったのだ!!!』

「ああもう良い、その発言で大体“読めた”。……教えてやるぞド三流、成り立ての合一神が最も御し易いという事をな!」

 

 そして叩き上げ故に恐らく最も『合一神(ナホビノ)という“種族”の長所と短所を熟知している』ヤマトがそう言いながら戦闘態勢を取り、それに対していい加減怒りの感情が限界に達していたザオウゴンゲンが攻撃態勢へと入った事によって合一神同士の戦いが幕を上げたのだった。

 ……奇しくもかつての【ダアト】に於いてヤマトとアオビト、そしてダアトの中枢となる【カグツチ】を巡って他三人のナホビノが相争った事実をなぞるかの様に。

*1
真5でクエストの報酬で仲魔になる悪魔は主人公よりレベルが高くても問題なく使役出来る。

*2
自身が次に行うHP回復スキルの効果を上昇させ、最大HPの上限を超えて回復する効果を付与する。上限は1.3倍まで。

*3
真5のマッスルドリンコによるHP増幅は1.3倍まで。




あとがき・各種設定解説

ヤマト&アオビト:叩き上げナホビノ
・ナホビノになって絶大な力を手に入れた訳ではなく、ナホビノになってから苦労して経験積んで強くなっていたタイプなので“合一神という種族”の特性については一家言ある。
・これは悪魔が本来の神の力を取り戻したと言うよりは人間が合一神に変性したというナホビノとしても特殊な事例である事も理由であり、神としてのある種の“傲慢さ”が殆どないのも理由。
・ちなみに彼等の世界でのアイドルはそれ以上の人員が居なかった(ダアト事件で死んだ)のでライドウに選ばれた感じで、主人公とは序盤負けイベント戦して中盤共闘からの終盤決着付ける少年誌ライバルムーブしてた。
・なので現行世界でアイドルやってる事についてはめっちゃ驚いてるけど、実はレベル100超えてると聞いても『まあこのインフレ世界のアイツならそのぐらいにはなってるだろ』で大して驚かない模様。

一柳結梨:『人間として生きたい』と言わせたかった
・殆どの過去周回ではそう思う前に自己犠牲で死亡している(原作通り)なのだが、今回は現行世界のドリフターになって色々な人と出会いサブカルとかにも触れたので明確に自分の意思を出せる様になった感じ。
・ヤマトとは一緒に異界を探索する内にコミュが進んだので今では“凄く仲のいい友人”ぐらいの関係になっており、戦闘面でも長年一緒にやって来た相棒レベルで更に息が合う様になってる。
・尚、彼女の場合はまだ恋愛感情とかがよく分からずヤマトの方も妹とか相棒的な意識が強いのでお互いに恋愛感情とかはないし、この作品は18禁じゃない健全枠のお話なので明確な恋愛描写を入れる予定はない。

京都ヤタガラス残党首魁:人間としては死亡している
・京都首魁二名が死亡した際に試作品の『合一神合体』の術式を使って切り札だった【神造魔人 ザオウゴンゲン】と合体する事で【合一神 ザオウゴンゲン】に変性というか転生した形。
・本来こんな中途半端な術式でかつ人間二人と神造魔人の三身合体とかが上手くいくはずもなく普通なら合体事故でスライムになるのだが、この異界が『過去の合一神が存在していたダアトを再現した世界』としての面を持っていた所為で合一神として存在が固定された。
・なので異界から出たら即座にスライムだし、現状でも悪魔を喰らってマガツヒを吸収しなければ存在を維持できないぐらいには合一神としては中途半端。
・意識や自我に関しては元の二人が共通して持っていた『京都ヤタガラス復権の為の力への渇望』『京都ヤタガラス残党トップとしての歪んだプライド』が捻じ曲がった執念や妄念がベースとなった独自のモノが芽生えている。


読了ありがとうございました。
ボスがザオウゴンゲンなのは真5のアマノザコ系連続サブクエストの最後【九天の魔王】のボスがザオウゴンゲンだったので、そのポジションな結梨ちゃんの決着の相手に選んだ。
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