真・女神転生オタクくんサマナー外伝 ~ナホトラマン奮闘記~ 作:貴司崎
「よし、どうにか倒せたな。……マガツヒに分解されたみたいだが念の為に万能攻撃を打ち込んで確認しておくか。倒しても復活するかもしれないしレッドチェックは必須」
『一応周辺を索敵してみたがザオウゴンゲンの反応は既にない。しかし倒したと思ったら実は人間の身体を乗っ取っていて、うっかり腹を貫かれて死ぬ事例もあるから念入りに確認しておくべきだろう*1』
「念入りだねー」
紛いなりにも合一神だったからマガツヒ化してから復活する可能性も十分ある、特に人間が分離して残っている様に見える時には要注意、ナホビノ化は基本的に悪魔の人格が主導になるから乗っ取られてて腕が触手化して……ちょっと胸が痛くなってきた。
『……ふむ、これはザオウゴンゲンの御厳だな。一応合一神だったから倒せば御厳を落とすのはおかしくないが、とりあえず回収しておくぞ。ポイント的には840と言った所か。それと【ザオウの写せ身】も獲得出来た』
「やったラッキー。……それはともかく御厳が回収出来たって事はちゃんと倒せたと考えて良いだろうな。追い討ち含めての確認作業も何の反応もないし、これでザオウゴンゲンは完全に倒されたと見て間違いないだろう」
「じゃあオンギョウキに報告に行かないとね」
やっぱり合一神や魔丞を倒すと御厳と写せ身が手に入るからゲーム内のレアエネミー感がある感じで得した気分になるな。勿論倒すのは相応に大変なのだけれども。
……今回の【ザオウゴンゲン】は生まれたてで合一神としてはかなり弱かったから上手く嵌められたが、もし以前の【魔丞・セト】並みに準備と研鑽を積んでいれば勝てなかったかもしれない。
「その前に回復はしておくぞ。クエスト報告途中に消耗していてうっかり倒されるとか、報告したらいきなり『騙して悪いが』的な戦闘になる事もあるからな。消費アイテムも先の戦闘で使って既に数少ないが」
『よくある事だな。……それと回復アイテムに関しては仕方あるまい、突発的に異界に閉じ込められて数日間も無理なレベリングと探索をしたのだから』
正直言ってこれ以上の異界探索は厳しいんだよな。こうなるとオンギョウキがいう『主人』が異界から出してくれるって話に頼らざるを得ないんだが。
……ザオウゴンゲンは問題なく倒せたが、現状では異界から出るには信用出来るか分からん相手に頼らなければならないぐらいに追い詰められているんだよな。もしこれ以上強敵との連戦が続けば……。
「うーん、ヤマトは何か色々と気にしてるみたいだけど、どの道このままだと異界からいつまでも脱出出来なくて詰むと思うよ。だから結梨はオンギョウキの『主人』には会う必要があると思う。本当ならそれで良いし、そうでないにしても情報は入手出来るよ」
「……まあそれもそうだな。敵対したなら死力を尽くして戦うしかないが、そうなっても現状放置よりはマシと考えるべきか。ありがとう結梨ちゃん」
そんな風に状況が悪いので色々と悩んでいた所、それを察した結梨ちゃんが励ましてくれたので気を取直してクエスト達成の報告に行く事とした。
……歳下に励まされるとはまだまだ俺も経験が足りんな。良くも悪くもダアトでは自分一人だけの責任を負っていればよかったんだが、パーティーのリーダーとして誰かと共に戦うのは思ったより大変だ。
──────◇◇◇──────
「おら、とりあえずザオウゴンゲンは討伐してきたぞ。……次は何だ? 討伐報告したらまたお使いが増えるとかいきなりお前と戦うとか何かあるんだろう!」
「……何故そこまで言われねばならないんだ? まあ大分怪しい立場で『合一神を倒せ』という無茶な依頼を頼んだ自覚はあるが、達成したなら普通に報酬は渡して私自身も裏表なく仲魔になるつもりだったんだが」
「ゴメンねー、なんかヤマト悪魔からの依頼に疑り深くなってて」
……解せぬ、だってダアトでの悪魔からの依頼とか基本好き勝手な事を言うし、偶に途中で変な展開になって依頼主と戦うとかザラだったから。それでも報酬が欲しいから依頼は受けるけど。
「……まあ良い、確かにこちらでも【ザオウゴンゲン】の反応が消えたのが確認出来たから、ここで『ザオウゴンゲン討伐』の依頼は完了したものとして報酬を渡した上で俺自身がお前の仲魔になる事とする。コンゴトモヨロシク」
| クエスト 「野望の末路」 を達成しました |
| 【御厳結晶・大】5つを手に入れた |
| 【妖鬼 オンギョウキ】が仲魔になった |
……うん、素直に報酬渡して普通に仲魔として契約してくれたオンギョウキさんを見てちょっと疑い過ぎて悪かったかなって思った。でもこの依頼怪しい要素が多かったんだもん。
「おう、今後ともよろしく頼むぞ。色々と疑って済まなかったな。……というか【御厳結晶】までくれるのか? 正直クッソ有り難いから貰えるなら遠慮なく貰っておくぞ」
「その結晶は『以前の主人』から預かっていたものだな。元はコレを依頼の報酬にするつもりだったが、私自身も優れたサマナーの仲魔になれれば良いと思っていたから報酬として“俺自身”が追加された形だ」
| 妖鬼 | オンギョウキ | LV78 | 物理・氷結・衝撃耐性 破魔弱点 |
| ・霞駆け+5 ・暗夜剣+5 ・会心波+5 ・メギドラオン+3 ・まどろみの渦+4 ・龍眼 ・ラクカオート |
そうして仲魔になったオンギョウキだが、流石に妖鬼種族悪魔の最上位であるので物理・万能アタッカーとして非常に優秀な高レベル悪魔となっている。
特に万能属性メインのアタッカーはいなかったから有り難いし、俺が知ってるダアト式の【オンギョウキ】には無かったスキルも持ってるから今後レベルが上がった時には【技能発現】で何かスキル覚えないか期待かな。
「……さて、それじゃあその『前の主人』ってヤツの所に連れて行って貰おうか。今のところ御厳結晶をくれたから『前の主人』とやらの好感度は高いぞ(油断はしないが)」
「そういう約束だったからな。じゃあついて来てくれ」
そう言って神殿の奥へと向かっていったオンギョウキに着いて行く形で俺と結梨ちゃんは、この先にいるらしいこの異界を作って何故か俺達に用があるらしい『何者か』へと会いに行く事になったのだった。
……念を入れて手に入れた御厳で神意を解放して少しでも戦力を上げておくか。焼け石に水だがやらんよりはマシだし、ついでに前から欲しかったヤツも解放しよう。
──────◇◇◇──────
「さて、御厳結晶は全消費した上でザオウゴンゲン倒して手に入れた御厳を合わせて……とりあえず【仲魔の技数・参〜肆】【畏怖】【強化召喚】【節約上手】【死中の後光・壱〜参】【悪魔指導】【神の懐・伍〜陸】の神意を解放するか。マガツヒゲージ回復系は現世では余り役に立たんし」
『空間中のマガツヒ濃度は低いと効果が著しく落ちるからな。その点バフデバフを掛ける【畏怖】と【強化召喚】、マガツヒスキル使用時の“消費ゲージ量”を抑える【節約上手】なら腐らないだろう』
そんでサマナーやってれば仲魔のスキル数は幾らあっても足りないと思い知ったので最優先で【仲魔の技数】は解放、同じ様な理由で手持ち枠を増やす為に【神の懐】と育成補助の為に【悪魔指導】を解放。
後は【全書合体】とかも今後はやってく予定だからマッカが幾らあっても足りないし、これまで写せ身入手や仲魔の入手もクッソ苦労したから少しでも楽になる様に【死中の後光】も解放した。
「やっぱり【死中の後光】はあった方が便利だからな。……ナホビノは
『向こうが命乞いしたらキレるまでお布施を巻き上げて、キレてきたら用済みとして始末するのがマッカ稼ぎには効率が良いぞ』
「それカツアゲよりもさらに酷い蛮族プレイだと思うなー」
失礼な、今ティアキン動画で流行ってる『コロ虐』や『ボコ虐』よりは酷くないと思うぞ……と、そんな呑気な会話をしている俺達であったが、それもあのザオウゴンゲンの影響で神殿の奥に悪魔が殆ど湧いていないお陰で余裕があるからだ。
「……よし着いたぞ。この先の部屋がこの神殿の中枢部であり前の主人がいる場所……と思われる所だ。実際会ったことは無いから本当かどうかは知らん」
「此処は……明らかに今までの【カグツチ神殿】を模した内装とは外観が違うんだが。どう見ても現代風の建物の内装に見える」
そうしてザオウゴンゲンが陣取っていた場所から更に進んだ先にあったのは古代っぽい内装の神殿とは打って変わって現代風の建物内部の様な通路、そしてオンギョウキが示した先にあったのは機械的なスライドドアであった。
……異界に取り込まれる前に見た京都ヤタガラス残党の拠点に似ているが少し違う、どっちかというと『研究所』みたいな感じがするがなんか何処かで見た事がある様な……。
「この扉の先に【アマラ転輪鼓】が置かれている部屋、この異界の中枢部がある。私もそこで契約を介して何処からか聞こえてくる前の主人の命令を聞いていた……と、分かるのはそこまでだな。後はそっちで確かめてくれ」
「……分かった、案内ありがとうオンギョウキ。……それじゃあこの異界を作った黒幕に御対面だ。とりあえずなんでこんな異界を作ったのとか、何故に俺達を呼び出したのか聞きに行くぞ」
「オッケー、それと異界から出して貰わないとね」
とりあえず立ち止まっていても仕方ないので覚悟を決めて扉の前に立つと、それに反応したのか軽い空気音をしながら横にスライドして先へと進める様になったので俺達は扉の向こうへと進む事になった。
「まあ扉と通路を見た時から予想はしていたが、この部屋は完全に近代的な研究室みたいな内装になってるな。……そして奥に鎮座してる機械に繋がれた円柱が【アマラ転輪鼓】か」
『龍脈の流れやマガツヒの反応からあの【アマラ転輪鼓】がこの異界の中枢部である事にほぼ間違いないだろう』
「昔見た京都ヤタガラスの研究所に似てる様な? どっかで見た事ある気がするし……」
扉の向こうに広がっていたのは、やはりというかこれまでの神殿とは全く違う『近代的な研究室』の様な部屋であり、部屋の各部には何に使うのかは分からないが様々な機材が設置されていて、それらは最奥に鎮座している円柱──【アマラ転輪鼓】に繋がっている様に見えた。
さて、此処が異界の中枢部である事はアオビトの解析でも確かみたいだが、肝心のオンギョウキの前の主人──この異界を作った元凶の姿は影も形もないな。とりあえず呼んでみるか?
「とにかく、オンギョウキの前の主人、或いはこの異界の主がいるなら出て来てくれないか? 俺達に用があるらしいが《【アオガミ型神造魔人第12号機】及び【アオガミ型神造魔人第13号機】の反応を確認》ッ⁉︎ どこから?」
そうして姿の見えない異界の主を呼んだ俺の声に応えるかの様に、まるでアナウンスの様な電子音声が部屋の何処からか聞こえて来たので慌てて戦闘態勢を取った。
……だが肝心の主の姿は部屋の何処にも見当たらず、そんな俺達の反応など一切気にしないかの様に電子音声は更に言葉を続けていった。
《本来の神造魔人との相違点を確認。……解析結果、対象神造魔人の因子・魂魄を受け継いだ後継機と推定。第12号及び第13号のバックアップデータより残留思念を抽出、干渉用仮想人格構築開始》
「声だけが聞こえて……いやまさか?」
「ねえ、結梨の気のせいじゃなければ
これまで俺は部屋の中に異界の主の姿が見えないと思っていたが実際にはそうではなく、既に俺達の目の前にいたのに気付かなかっただけ……あの【アマラ転輪鼓】自体が“異界の主”だったのではないかと思い至った。
《……干渉用仮想人格構築終了。続いて【
「ガッァ……⁉︎」
「うにゃぁ⁉︎」
『ッ! どうして二人とも⁉︎』
しかし、それ以上思考を続ける前に目の前の【アマラ転輪鼓】がゆっくりと回転しながら“何か”を俺と結梨ちゃんに仕掛けた途端、俺達二人は強烈な不快感に襲われて膝をついてしまった。
……というか考えるのもキツイ……! 何か頭の中を無理矢理覗かれているっていうか……! それに逆に情報を流し込まれて『……輪鼓からの情報……』『……測者を増や……』『……造魔人を代……』『……ックアップも……』『……目が終われば再利……』なんだこのビジョン……?
『……おい! 二人とも大丈夫なのか⁉︎ ……俺ではなくヤマトだけに精神干渉だと、結梨ちゃんの方にも何かされている様だし……【ディアムリタ*2】か【メパトラ*3】を……』
「スキルを発動する余裕が……仲魔も呼べ……!」
「うぅ〜……気持ち悪い〜……!」
どうもアオビトは何故か精神干渉の範疇外みたいだが……肉体を動かす俺がこのザマだからスキルや仲魔を呼ぶ余裕も……『……ームという“認知”を……』『……タ的な視点をアナライ……』『……ィルターで悪性情……』また変なビジョンが鬱陶しいな!
《……バックアップシステムによる情報共有完了。対象者二名は本機【アマラコンピューター〇三號】の管轄であった神造魔人の後継機種と断定、思考方式及び行動方針も本機の命題『人類の守護』に相違しないと判断。……干渉用仮想人格を対話用仮想人格へと再構築》
「……目眩は収まったが……」
「まだちょっとキモチワルイ……」
ようやく精神干渉が解けたと思ったら目の前のアマラ転輪鼓がなんか言い始めた件、対話したいのか喧嘩売ってるのかはっきりして欲しいんだがぶっ壊しておくべきか?
《これより【アマラコンピューター〇三號】における“最後の使命”として、かつてあった『真実』の開示を行います。対話用仮想人格【アオガミ】【アマノザコ】起動、同一魂魄による情報共鳴実行、情報伝達用仮想空間【
……そう思ってはいたが、俺達が行動を起こすよりも早く転輪鼓は急速に回転を強めていき、そこから強い光を放ったと認識した瞬間には俺達の意識は部屋の中とは別の空間へと移動していたのだった。
──────◇◇◇──────
そして俺と結梨ちゃんが気が付いた時には周りの景色は一変しており、青いブロックを敷き詰めた様な床と少し色調が違う青色の壁と天井がある空間になっていた。
「ここは先程の部屋じゃないな。……壁も床も天井も真っ青な上になんかブロック構造なんだが」
「“ヴァーチャルリアリティ”って言ってたから仮想現実空間じゃないかな? この前見たラノベでやってた!」
『おそらく結梨ちゃんの推測通りだと思われる。少なくとも今の肉体は現実のものではなさそうだ、各種スキルも使えない』
ラノベ云々はともかく仮想現実空間って事は意識だけ別の世界に閉じ込められたのか? まあブロック構造な辺り一帯とかゲーム画面っぽい感じがするし、肉体にも違和感はあるからヴァーチャルリアリティ的な何かってのは間違いなさそうだが。
「まあVRものラノベとかは見たことあるし、実際に仮想現実に入った事にはロマンを感じなくもないが……そもそも異界の主が俺達に話があるって言ってたから来たのに、いきなり精神干渉からの仮想現実は酷いと思うぞ」
「……それは済まなかった。だがこの【アマラコンピューター〇三號】に情報を開示させるには君達が『運用していた神造魔人と関係がある』と認識させる必要があってな」
「後はこの情報伝達空間ってのは現実空間よりもずっと時間の流れが速いから、長々と事情を説明しても現実では一瞬だから展開したみたいだよ、よ」
俺の言った文句に答える様に男と少女の声が聞こえて来たので警戒しつつもそちらを見ると、視線の先には『青い髪をして機械的な肉体を持つ大柄な男』と『背に翼を生やした小さい和装の少女』の姿があり……その二人に余りにも見覚えがあった俺とアオビトは思わず声を上げた。
『なっ⁉︎ 【アオガミ】に【アマノザコ】だと⁉︎ どうしてここに……!』
「異界が完全に過去のダアトを模したモノだったから俺達の世界と関係があるかもとは予想してたが……」
そこに居た2人は紛れもなくかつて【ダアト】と呼ばれる世界で、後にアオビトとなる“少年”と共に駆けた【アオガミ】【アマノザコ】だったのだ。
……姿形だけだから本人かどうか分からないが、それでも予想通りこの異界はかつて俺達が居た世界に関わりがあるのはほぼ確定だと考えて、俺は情報を聞き出そうとした……が、その機先を制す様に推定アオガミは待ったをかける様に手を上げて話し出した。
「まあ待て二人共、まずは少し私達側の事情を説明させてほしい。……我々は【アマラコンピューター〇三號】が記録されていた君達が知っている【アオガミ】【アマノザコ】の残留思念をベースに作った対話用仮想人格だ。厳密に言えば本人では無いが本人と変わらない人格をしている」
「まあ、そもそもコンピューターに残ってた残留思念と同一の魂魄を共鳴させる形で干渉して2人を仮想空間に取り込んでるから、逆に言えば“本来の私達”は既に
つまりこの2人はアマラコンピューターとやらに残っていた【アオガミ】【アマノザコ】の残留思念って事か。多分アマラコンピューターってのはかつてのダアト世界に何か関係が……って、アマノザコの方が何か聞き捨てならない事を言ってるぞ。
「ちょっと待て、転生ってどういう事だ?」
「ん? えーっと、まず【アマノザコ】が転生したのがそこに居る【一柳結梨】だよ、だよ。私の遺骸から作られたのが今の【一柳結梨】だから来世って感じみたい、みたい?」
「???」
俺の質問に対してアマノザコは答えてくれたが、大雑把過ぎてイマイチ要領を得ない説明だったので俺も結梨ちゃんも首を傾げていた。
「詳しく説明すればアオガミと同じヤタガラスに作られた神造魔人の一体が機能停止した後、その死体に天狗達が尸解仙の術を掛けて生み出されたのが【幻魔 アマノザコ】であり、その遺骸がアマラコンピューターと共に別周回に渡って、その遺骸から作られた神造魔人であり人造人間が今の【一柳結梨】となっているのだ」
「だから魂的には【アマノザコ】と【一柳結梨】は転生を得ての同一存在って感じなんだよね、ね」
「なるほど……なるほど?」
つまりダアトで一緒にいたアマノザコ→現在の一柳結梨って感じに転生しているって事なのかね。ドリフ掲示板で過去周回と同一人物が現行世界にも居たって話はよく聞くから周回を跨いで魂は転生してるってのは確かなんだろうが、結梨ちゃんの場合は更に過去周回から現行世界に転移もしてるから少しややこしいな。
「つまりここは残留思念と同じ魂を持つ人間を取り込んだ仮想空間と。それでアマノザコの来世である結梨ちゃんと、アオガミの来世であるアオビトを取り込んだのか」
「いや、途中まで合っているが最後だけは違うぞ。……かつてのアオガミはパートナーであった“少年”の魂を救う為、邪教の世界の主人の力を借りて自らの
うん、そこまではアオビトから聞いた話と一致して……“魂が抜けた”?
「ん? ……ああ、君達の情報を共有した時にそっちは前世の記憶に目覚めてるとあったが、どうやら大分中途半端に記憶が蘇っている様だな。……カグツチに『人間のみの世界を創世する』という願いの後、肉体を少年に託して消えた【アオガミ】の魂は輪廻の中へと組み込まれて何の因果かこの世界では人間として転生した……【八坂ヤマト】という人間にな」
「…………………………ファ⁉︎」
な、なんだってー! ……と驚きたいんだが、言われてみると何故かストンと納得出来る不思議な感じがするんだよな。加えてさっき精神干渉を受けたのは『アオビトじゃなくて俺だけだった』のもあるし。
……ただ、それだとすると俺が思い出した『原作知識』は一体どうなるのか分からなくなってくるんだが……もっと詳しく聞いてみるか。
「ちなみに証拠とかあるのか。俺に前世の記憶があるのは確かなんだが……」
「証拠というが“お前達がナホビノになれている事”そのものが【八坂ヤマト】が【アオガミ】の転生者である何よりの証拠だろう。……人間の魂魄が神造魔人の躯体に入って生まれた【アオビト】は悪魔としては特異で造魔に近い、故に対応する“知恵”を持つ人間がそもそも居ない筈なのに【八坂ヤマト】と融合してナホビノになれたのは、元が1人の合一神が分離した2人の因子が再び一つになったからだろう」
アオガミ曰く『かつてカグツチに創世を願って分離した際に“少年”が持っていた知恵の一部をアオガミが受け取ってしまい、逆説的に“知恵があるなら人間”であるので人間としての輪廻の輪に組み込まれたのではと推測される』との事。
『それなら俺がヤマトに引かれて浮上して、更には融合出来たのも人間だった頃の知恵に引き寄せられた結果という訳か? 元のナホビノの知恵と神造魔人と人間が揃っていたから合体により単なる悪魔人間ではなく合一神になれた……と』
「大凡その様な事象が起きたと推測される。悪魔とその悪魔に対応する知恵を持つ人間が融合してナホビノになるのではなく、人間が変性した悪魔(造魔)とその人間の知恵を得た悪魔が転生した人間が融合して“悪魔の肉体と人間の知恵”が揃った形か」
「まあそう言われれば確かに……」
思い返すとこの異界に来てから過去のダアトに関する情報を『アオビトが経験したモノではなく自分自身が嘗て経験した事』みたいに思い出していたな。
……アオビトとは記憶や経験を共有しているから、かつてのダアトを模した異界にいる所為でアオビトの経験を思い出しやすくなっただけだと考えていたが……。
「……だが、俺には“原作知識”と呼んでいる『この世界に類似した設定のゲームの知識』があるんだが、俺がアオガミの転生体だとすると何故そんな事になっているんだ?」
「……成る程、前世の記憶が中途半端に目覚めている事は魂魄共鳴で把握していたが、まさかそんな風に“認知”されていたのか。……記憶が戻った直後にナホビノになってアオビトとの経験を共有したからか?」
そこで気になるのは俺が何故か持ってる『原作知識』に関する事だ……まあ、内容が曖昧な上に断片的だから掲示板やwikiに劣る情報量だったので、これまでは全く役に立たなかったから持ってる事を忘れかけてた知識だが気になるものは気になる。
「その『ゲームの知識』とやらは今から話すこの異界の発生原因、このアマラコンピューターと呼ばれる装置、そして“かつてのダアトに関する真実”にも関わって来るからまとめて説明しよう。……先に言っておくが、この世界は私が観測出来る範囲でだが
……まあ、クソの役にも立たなかった『原作知識』だが心の何処かでは“しこり”みたいに引っかかっていたのは事実だから、それらに纏わる真実とこの異界関係の原因についてはしっかりと聞かせて貰うとしようか。
あとがき・各種設定解説
八坂ヤマト:神造魔人アオガミの転生者
・かつてのダアトで人間だった頃のアオビトの半身だった【アオガミ】と名付けられた神造魔人、彼が紆余曲折あってダアトを終わらせた後に人間へと転生したのが八坂ヤマトである。
・転生者は転生者ではあるがどちらかと言えばメガテン式の『悪魔の前世を持つ人間』系の転生者に近く、アオビトと再会出来なかった過去周回ではちょっとしたデビルシフターに覚醒するケースもあった模様。
・ただやはり半身であるアオビトと再会しなければそこらの雑魚シフターAで終わる程度の資質であり、これまでの過去周回では目立った活躍はなかった。
・尚『原作知識』云々は次回説明するが本家様が『この世界はゲームじゃねぇんだよ』って言ってるので、本家様設定最優先として【この作品内に所謂“メガテン知識持ちの現実からの転生者”は誰一人として存在していません】のでご了承下さい。
アオビト:かつてダアトを制した“少年”の転生体
・ヤマトがかつての相棒の転生体だと聞いて驚いているが、同時にどこか納得する部分もあったので動揺する事なく状況を整理していた。
一柳結梨:幻魔アマノザコの転生体
・尚、彼女は多くの世界において同位体学園ヤタガラスによって作られた人造人間として生まれており、そもそも【一柳結梨】という名前を付けられなかったパターンも多い。
・実はダアト世界の彼女もそのパターンであり名も無きアオガミ型神造魔人(女性タイプ)の一人として生まれて、ダアトを巡る戦いに投入されて死亡している。
・そしてその後に【アマノザコ】へと転生してから、その遺骸から【一柳結梨】として作られたという裏設定もあるが流石に複雑過ぎるので本編では誰も知り得ず明かされない。
対話用仮想人格:アオガミとアマノザコの人格を再現している
・アマラコンピューターに残っていた彼等の残留思念をベースに精神干渉によって読み取ったその来世であるヤマトと結梨の情報を合わせて構築されており、それ故に2人の記憶や経験をある程度共有している。
・ちなみに【アマラコンピューター】とは何なのかなどの説明は次回だが、作中で使った“ソウルハック”や“ヴィジョンクエスト”といった機構は同名の異能・権能を機械的に再現した効果が類似しているだけの別物である。
読了ありがとうございました。
今明かされる衝撃の真実ゥ! ようやく各種伏線を回収出来るぜ。……この設定でダメなら全面書き直しかなぁ。