真・女神転生オタクくんサマナー外伝 ~ナホトラマン奮闘記~ 作:貴司崎
「……さて、まずはこの【アマラ転輪鼓】並びに【アマラコンピューター】についての来歴を語る必要があるのだが、簡単に言うとこの転輪鼓は我々がいた世界のヤタガラスが保有していたモノ。……そしてアマラコンピューターとは転輪鼓の機能をより効率的に使用する為、神造魔人の開発者である狂った天才科学者【メフィスト博士】が中心となって作り上げた特殊な装置と言ったところだ」
「ちなみにメフィスト博士は偽名みたいだけど本名とかは知らないよ、よ。……と言うかアタシ達はアマラコンピューターの対話用仮想人格だからコンピューターが知ってる事以外は知らないし、どうもコンピューターに自分の名前とかは記録させなかったみたい」
かつての相棒である【アオガミ】と【アマノザコ】──を模した対話用仮想人格らしい2人は俺達の疑問に答えるべく【アマラ転輪鼓】について語り始めた。
……しかし、やはりというかこの転輪鼓は『俺たちがいた世界』由来の物だったか。それとやっぱり過去のダアトの事を『自分自身の事』と思っても違和感ない辺り俺の前世がアオガミだってのは正しそうだ。
「はーい、アマノザコに質問。そもそもアマラ転輪鼓ってなーに? 結梨聞いた事ないんだけど」
「えーっとね、アマラ転輪鼓っていうのは『アマラ宇宙と繋がって情報を引き出す事が出来る謎装置』だよ、だよ。後は応用で転移装置としても使えるとか、とか」
「それとアマラ転輪鼓のオリジナル自体は博士が作ったものではなく“何処からか発掘された”ものらしい。その後機構を解析していくつかの複製品が作られており、此処にある転輪鼓もその一つだ。……そしてアマラ宇宙とは数多の過去・現在・未来で起こり得る様々な歴史の情報が眠っている……とされている」
「要するに漫画的なアカシックレコードみたいなもんか」
尚、転輪鼓自体は以前のダアト世界で転送装置としてヤタガラスやベテルが使っていたのを思い出したが、それはメフィスト博士とやらが中心になって量産された『転移能力限定』の劣化品であって本来はアマラ宇宙からの情報を引き出すのがメインらしい。
……そして、事の始まりはそのファウスト博士が発掘したオリジナル転輪鼓からアマラ宇宙にある情報を
「……博士は発掘したアマラ転輪鼓を調査している内、アマラ宇宙から『この世界は幾度となく滅びと再生を繰り返している』『そして、この宇宙を統べる“座”と呼ばれる場所にいる“邪神”がそれを成している』と知ってしまったのだ。……最も、これらの情報はあくまで博士が転輪鼓から引き出した情報であり本当かどうかは分からないが」
「まあ少なくとも世界がループしてるって証拠は直ぐに見つかったし、その後調査をする内に博士は過去周回から来た所謂“ドリフター”……【魔人王 コンス・ラー】と名乗ってヤツと繋がりを持ってたみたいだし、だし」
ふむ、魔人王やらコンス・ラーやらは“知らない悪魔”だな。少なくともかつてのダアトでも遭遇した事は無いし、俺の原作知識?にも
「……それで、世界がループしていると知ったメフィスト博士とやらは何をしたんだ? その行動が現状に繋がっている様だが」
「博士は世界が幾度も滅びていると知って相当なショックを受けたが、それでも世界を滅ぼす邪神を打ち倒して世界の滅びて何とかしようと行動を始めた。……最も、アマラ宇宙からの情報によって半ば狂気に侵されていた様で、これまではやらなかった非人道的行為や外道なやり口にも躊躇わなくなったが」
「記録に残ってる限りでは対抗戦力としての神造魔人生産の為の非人道的人体実験、ヤタガラスに所属していながら魔人王やメシアガイアなど敵対勢力との癒着、転輪鼓の研究の為に外法を使いまくったとかだね、だね。……後は日本列島そのものを邪神の手が届かない別アマラ宇宙の異世界に転移させる逃亡案とか、この世界の外側から邪神に対抗出来る魂を呼び寄せるとか変なプランもあるよ、流石に実行はされないペーパープランで終わったみたいだけど、ど」
話を聞く限りそのメフィスト博士とやらはアマラ転輪鼓から過去周回の情報を得て狂うぐらいに追い詰められていたみたいだが、まあ世界が何度も滅んでいると知った上でそれを起こしている“何者か”が居ると知ればそうもなるか。
……まあ、ドリフター掲示板でも『ループ自体がどうして起きているのか』『誰かがループ起こしてるんんじゃないか』って話題は全力でみんな避けてるもんな。只でさえ世界を滅ぼすヤベー連中が沢山いるのを知ってるのに、世界一つをループさせられるデタラメに過ぎる存在と戦わなければいけない可能性まで考えたら心が折れる。
「加えて博士は何処に邪神の手があるか分からない事や問題が荒唐無稽過ぎる内容な事もあって殆ど1人でどうにかしようと足掻いていたのだが、そこで数多の世界を渡って来た魔人王の話を聞いて一つの考えに至った。……自分が観測した情報は過去にあった事、又は未来で起こり得る事のいくつかに過ぎず、ならば自分が観測出来なかった情報の中には邪神に対抗出来るモノもあるかもしれないと」
「つまり博士はアマラ転輪鼓で観測出来る情報はアナライズとかと同じ様に見たいものだけを見る、逆に言えば観測したものによって見える内容が変わると考えたのね、ね。……だからより多くの観測手段を用意してより多様な、より深い情報を得て対抗手段を探そうってなって作られたのがこの【アマラコンピューター】って事だよ、だよ」
つまり自分で考えても世界崩壊に対する有効な対抗手段が思いつかなかったから、様々な過去周回や未来の情報をアマラ転輪鼓から引き出す事を目的として作られた機械が【アマラコンピューター】とやらって事だな。
……まあ分からない事があるからもっと詳しく調べて対策を取ろうという考えは分からなくも無いが。
「……それで、具体的にどういう機能なんだそのアマラコンピューターってのは? 俺が持ってる原作知識(仮)に関わって来てそうだが」
「うむ、まずは転輪鼓にスーパーコンピューターを接続してアマラ宇宙から情報を引き出そうとしたのだが上手く行かなかった。どうも“人間などの意思を持つ者が観測する”事が重要な様で機械任せでは効果が薄いとされた。……次に博士はコンピューターを人間の観測を支援する用途で改造し、別の情報を得る為に自分以外の霊能者を機械に接続して観測を行ったのだが、“ある問題”に直面して多少の成果は出せたが計画は頓挫する事となった」
ちなみに観測者に関しては実験の名目でヤタガラス過激派の伝手から、捕獲した犯罪者やヤタガラス穏健派の霊能者などの中でアナライズ能力に長けた者を“入手”していたらしい。
博士は研究の副産物である神造魔人を始めとする強力な戦力や技術をヤタガラスに提供して、その戦力増強に大きく貢献していたから色々と無理は効いたのと事……ダアトでヤタガラスが分離してもトップ勢力だった理由の一つは博士だった模様。
「それでその問題ってのは? 観測者の入手法からして碌でもなさそうだが」
「“アマラ宇宙から引き出される情報に観測者が耐えられなかった”……厳密に言えばアマラコンピューターによって観測能力を強化する事は上手くいってたんだが、その情報量が膨大すぎてコンピューターによる保護込みでも観測者が耐えられずに次々と死んでいったのだ。……加えて邪神関係など情報によっては観測者の精神を汚染するモノも含まれていてコンピューター自体も何度も壊れかける有り様だったな」
『やはり碌でもなかったな。その博士とやらはまず自分でやるべきだったのでは?』
「いや? メフィスト博士は自分が一番多くアマラコンピューターを使ってのアマラ宇宙観測をやってたみたいだよ、よ? 狂ってはいたけど世界を救う方法を探す事自体には真剣だったから、当然の如くに自分でも観測作業を行ったけど以前見た情報に毛が生えたレベルのモノしか知れなかったから他人を使う方向性になったっぽい、ぽい」
……自分がやられて嫌な事は他人にやるなとはよく言うが、だからと言って自分がやられても良いから他人に何しても良いって訳じゃないだろうに……。
「しかし、情報量や精神汚染で死ぬ人間が多いのによくその博士は無事だったな。既に狂ってるから壊れるだけの精神が残ってなかったのか?」
「割とそれが近いね! 博士は最初の観測の時に邪神の情報を入手する際に精神をやられたけど、代わりに邪神含め情報汚染に対する精神防御スキルを得たらしいね、ね。情報量も本人の頭脳と演算能力が天才的だったから適時アマラコンピューターに情報を写してパンクする事を避けてたよ、よ」
「まあ、自分の事例を参考に観測者が精神崩壊しない様に防護機能をアマラコンピューターに組み込んだりしてもいたが、どうも単純な【精神無効】【神経無効】程度だと情報汚染は防げなかったので上手く行かなかった様だ。加えて観測者を使い捨てにしてコンピューターに情報を集めさせようとしたが、そもそもアナライズ技能持ちの霊能者などヤタガラス過激派の伝手があっても早々“入手”出来るものではないからな」
『……神造魔人開発者の裏側にそんな事があったとはな。かつてのダアトでもヤタガラスの暗部は色々と聞いていたが』
「やっぱり何処の研究者もアレだねー」
関わりの深いアオビトや結梨ちゃんは神造魔人開発者の裏側の事情を知ってげんなりしており、正直俺も同じ気分ではあったが昔のダアトでは何処の組織もアレな部分はあったから防護機能を考えるだけマシと思えてしまうのが業界の怖い所だ。
「だが、そこで諦める程にメフィスト博士は正気ではなかった故に様々な試行錯誤を得ながらアマラコンピューターを改造して、どうにか転輪鼓から情報を入手出来ないか模索していたのだ。……そして自らが編み出した神造魔人生産の為の生化学技術、協力関係にあった魔人王から聞いた『アナライズトラップを突破する特殊なアナライズ』の情報、そしてとある研究者が発表した『認知科学』のある学説からヒントを得て“対応策”を編み出したのだ」
「まず一つ目は『観測用の神造魔人』の作成だね。観測出来る人間が確保出来ないならアナライズ能力と精神耐性持ちの神造魔人に代行させればいいって感じで、で。……それまでのデータから人間が転輪鼓を通して観測する機構を把握出来たから、それを再現・実行出来る様にした人間に近い神造魔人、大体そこの結梨みたいな人造人間に近い個体だね、だね」
観測役が用意出来ないなら自分で作ればいいじゃないって発想か。非人道的な誘拐やら徴収よりマシと思えるかも知れないが、結局は生み出した“命”を好き勝手にしているクソの所業に変わりないな。
……まあ、既に終わった事ではあるので嫌な感情は胸にしまいつつ話の先を促す訳だが。
「それで、その精神汚染対策した神造魔人で転輪鼓による観測を続行したのか?」
「いや、神造魔人の機能だけでは汚染を防げなかったし、そもそも人格プログラムだと情報汚染への抵抗が人間の人格と比べて大きく劣るからこのままでは代用にもならなかった。……そこで博士は更に認知科学の理論を参考にアマラコンピューターを改造して『仮想空間』を運営出来る様にし、時間加速させたそこで神造魔人の人格形成を行ったのだ。プログラムがダメなら人間と同じく経験で人格を成長させれば良いといった所か」
「まあそれだけじゃダメだったっていうか、結局は霊能者使い捨てと変わらないから博士は新しく精神汚染を防御するシステムを作り上げたんだよね、ね。……アマラコンピューターに魔人王から聞いた『自分の都合の良い情報だけを読み取り、悪性情報は受け取らない形で精神汚染を防ぐ特殊アナライズ』を再現するフィルターを追加してね、ね」
つまりアマラ宇宙からの情報読み取り時の問題は『アナライズさせる事で精神を汚染する悪性情報によるアナライズトラップ』と『情報量が膨大過ぎるので受け手側が耐えきれない』の2つだったので、悪性情報や余分な情報を遮断して必要な情報のみを観測者に読み取らせる“フィルター”を作ったらしい。
「……それで、そのフィルターはどういう理屈で作られてるんだ。何となくだが俺の疑問──原作知識に関わってる気がするんだが」
「流石にここまで言えば察するか。この悪性情報防護フィルターは観測者である神造魔人に認知科学を応用して『アマラ宇宙から読み取れる情報が無害なモノ』だと思い込ませる事によって、読み取った情報から“有害な要素”をカットして“無害な情報”として取得させる理論だった。……その為に博士は
「いやどうしてそうなる」
思わずツッコんでしまったが、まさか俺の持ってる『この世界がゲームであるみたいな原作知識』ってそういうの? 神造魔人を使ってアマラ宇宙から情報読み取ってると聞いた辺りで原作知識は単に読み取った過去周回情報かなとは予測してたけど。
「一応理由もある。アマラ宇宙から齎される異常な情報を“無害”と思わせるには、それらの情報を“単なるサブカルチャー内の設定”と思わせるある種の『メタ的な視点』を持たせるのが都合よかったのだ。……世界を滅ぼす強大な悪魔も人類全てを滅ぼす厄災も
「だから神造魔人を仮想空間で調整するにあたって『アマラ転輪鼓から読み取れる情報を単なるゲームの設定』と思い込ませて、更に転輪鼓からの情報の引き出しを『自分達はゲームをプレイしてるだけ』と認知させる事で精神防護をさせながら情報を入手してたんだよ、だよ」
「そう言われると納得出来る……気がする」
2人曰く、そうやって神造魔人にゲームをプレイさせていると誤認させながら転輪鼓より情報を引き出させ、その『プレイ記録』を現実に出力する事によってアマラ宇宙に示された様々な情報を取得していったらしい。
まあ、ゲームとかのサブカル設定という形で情報を引き出していたので“情報の確度”自体には不安があったが、そこは転輪鼓とコンピューターをそれぞれ3つ程量産して、複数種類のフィルターを介して情報を引き出させる事で出力された情報を比較検証する事によって補っていた様だ。
……ここのアマラコンピューターも『〇三號』とか名前が付けられてたしな。
「ふむ、つまり俺の“原作知識”はゲーム設定だと思い込まされていた転輪鼓から引き出した情報であり、転生した際にそれを思い出していただけって事か。大体“マトリックス”的な感じで仮想空間内の者にそれとは分からせずに作業させてたみたいな」
「まあ大体そんな感じだろうな。『アオガミ』としての記憶を思い出せなかったのは、前世に目覚めてから直ぐにアオビトと融合して記憶や経験を共有した所為で、大凡のダアトでの記憶を得たから思い出したアオガミの記憶と混ざって認識出来なかったのだろう。……レベルが低い時に転輪鼓からの知識を完全な形で思い出していれば精神崩壊もあり得たから、ある種の防衛本能によって無意識の内にゲーム知識と思い込ませていたのかもしれんが」
「実際、このフィルターを使った上でも転輪鼓からの情報引き出しには相当負荷が掛かるから、専用の神造魔人が相当数犠牲になってるからね、ね」
転生当初はクッソ危なかったんだな、前世知識思い出すだけで発狂の危険があるとかとんだ罠過ぎる……やっぱり『あの神話群』関係の知識が一番やばそうなのか。
「まあ『あの神話群』に関しては下手に思い出さずに『単なる漫画かアニメの話』と思い込んでいた方が安全だろうな。……割と初期に【精神無効】や【地獄のマスク】などの耐性スキルを取得した事もあって、レベルが上がった今なら正しく思い出しても精神への悪影響は最低限に抑えられるだろうが」
「僅かでも発狂リスクがあるのはキツイな。それに話を聞いて行くうちに『原作知識』の内容が明らかに不自然に思えて来たし、サブカル知識だって言うのに肝心のゲームのプレイ内容はさっぱりで設定だけ知ってるっていうか。タイトルは思い出せるんだが」
「おそらく話を聞いた事で認知による思い込みを緩んでいるのだろう。そしてゲームタイトルに関しては類似した種別の情報を分かりやすくラベリングして識別する為に“適当な作品名”を付けていたからな。類似した過去周回の情報を一纏めにして引き出したりと」
確かに話を聞いて大分原作知識もとい『アマラ宇宙の知識』も大分はっきりとして来た気がするな。ゲーム内の別ルートと思い込んでたのは類似した過去周回の情報を一纏めにして来た感じで、他にも適当なタイトルのサブカルって事にして色々と情報を纏めていた感じだったみたいだが……。
「大分その辺りの記憶も正確に認識できる様になって来たが……正直その殆どがドリフ掲示板での過去周回話で見た事ある程度の内容なんだが。さっきも言ったがゲームの設定レベルというか、攻略サイトですらないウィキペディアの概要レベルの情報しか無い感じなんだが。これは原作知識だって思い込んでた頃から変わらないけど……」
「アオガミが接続されていたこの『アマラコンピューター〇三號』の基本方針は“広く浅く”、他の『〇一號』や『〇二號』が集めた情報と比較検証して照合・確認を行い情報の確度を上げる為に広範囲の様々な情報を集めるのが役割だったからな。……後は単に転生を得ているから記憶が完璧ではないんだろう」
「広く浅くだったお陰で神造魔人の消耗は少なかったんだけどね、ね」
曰く、アマラコンピューター同士での情報共有は連鎖的に情報汚染を喰らう可能性を考慮して最低限しか成されておらず、それぞれ三つのアマラコンピューターが独自に別方向から情報を引き出すアプローチを行なって、その情報を現実に出力した後にメフィスト博士を中心とした調査チームが比較検証を行うというスタイルだったらしい。
「……『原作知識』に関する疑問や懸念点は大体解決したが、結局転輪鼓からの情報が役に立たないのは変わらない件。ウィキペディア概要レベルだから正直言って掲示板のドリフコメやWikiの方が役に立つ」
「所詮は読み取った情報でしかないから実際に経験した者の方が詳しい情報を持っているのは当然だろう。それに概要レベルだったからこそ前世の記憶を思い出しても精神に異常が出ずに済んでいるとも言える。……最悪発狂か良くてもそちらの記憶にある『原作知識持ち最低系オリ主』の様な人格になっていた可能性もあるしな」
「〇三號以外に繋がれていた神造魔人はサブカルフィルター込みでも最終的には発狂してたしね、ね」
まあ発狂は御免被るし、最低系オリ主は嫌いなジャンルだから人格への影響が少ないのは良いんだけど、ちょっとぐらい転生特典とか無いのかとも思うけど。
……そう言ったら知恵を持っているのでアオビトと融合して合一神になれた事、及び魂に刻まれた“観測”の経験のお陰で若干アナライズの性能が良かった事などが転生による恩恵に当たると言われた。
「アナライズでスキル効果とか見えるのが転生特典か。まあ態々【万里の眼鏡】を買い込む手間が省けたのは便利だけどさ」
『だが、疑問もあるな。……ヤマトがアオガミの転生体なら、前世であるアオガミが『転輪鼓から引き出した知識』を持っていなかったのはどういう事だ? 少なくともダアトでその手の話は聞いていないが』
「それに関しては“情報収集が出来なくなった”後、余った神造魔人は記憶洗浄・封印を受けた上で戦闘用として再利用されたからだな。かつての【アオガミ】や【アマノザコの原形の神造魔人】はその類だ。……おそらく転生を得て魂に残っていた情報が蘇る形で前世の記憶が戻ったんだろう」
つまりダアトで人間だった頃のアオビトと融合してた時期には転輪鼓関係の記憶は無かったが、俺に転生した事によって何かのきっかけで記憶というか引き出した情報の一部が戻って来たと。
……記憶洗浄とか記憶封印しても転生したら戻ってくる辺り、やっぱ転輪鼓からの情報引き出しは厄ネタ度が高いんだろうな。
「それはともかく『情報収集出来なくなって』『残った神造魔人を戦闘用に再利用した』と言ったな。……それはダアト事件──【神州受胎】が起きたからか?」
「少し違うな……かつて日本全土をダアトと呼ばれる魔界に沈めた事件【神州受胎】はメフィスト博士と、それに協力した【魔人王 コンス・ラー】によって“起こされた”ものだからな」
「『……なんだと?』」
そんな風にアオガミがかつて【ダアト】という“地獄”を作り上げたのが『その2人』であると言う特大の情報をいきなり明かして来たので、流石に俺とアオビトも思わず驚愕の声を上げてしまう。
……俺にとっての些細な懸念点であった『原作知識』問題が解決したと思ったら今度は些細などころでは無い問題が出て来た件。流石にかつての【ダアト】の真実とか知らない訳にはいかないな。
あとがき・各種設定解説
八坂ヤマト:オタク化したのは前世の影響があった可能性が微レ存
・『原作知識』の正体は前世であるアオガミがかつてアマラコンピューターに繋げられていた際に読み取った、主に過去周回で実際にあった出来事であって現実世界のメガテン作品とは無関係(サブカルのタイトルが現実世界のそれと同じなのは単なる偶然)
・ただし転輪鼓からの情報は内容が曖昧で、オマケにある種の防衛本能から『ゲームと思い込ませる』認知まで前世の記憶として思い出していたので原作知識持ちだと思い込んでいた(それと原作知識持ち転生系2次創作を良く読んでいたのも原因)
・また、アオガミだった時に神造魔人としての戦闘能力の殆どをアオビトに躯体と共に託していたので、実は魂が人間に転生した時に引き継がれたのは知恵と観測機時代の名残である『アナライズ適正』ぐらい。
・なのでヤマト自身の異能者としての適正は低いが、そのアナライズ適正がヤマトが前世の記憶を思い出させる原因の一旦にもなっていたりした。
・尚、彼の“原作知識”に対する評価は『元々ゲームの知識という怪しいやつで信頼性が低かってけど、転輪鼓からに知識と分かってやっぱり信頼性が微妙なのは同じなので結局何も変わってない』となっている。
メフィスト博士:真5DLC『博士の最初で最期の願い』がモデル
・元々はヤタガラスで『過去の技術や異物を現在の技術で再現する』研究をしていた研究者で、過去の伝承にある神造魔人を作り上げる事が出来るレベルのメガテン世界には良くいる野生の天才枠。
・良識を持ったまともな人間ではあったが何処からか発掘された【アマラ転輪鼓】から世界が滅び続けているという事を知って発狂、世界の滅びをなしているのが“邪神”と決め付けて打倒の為に手段を選ばず行動し始めた。
・転輪鼓から得られた情報を元に邪神へ対抗する為に神造魔人の強化や幾つかの得意な異能を科学的に再現する試みも行なっており、悪性情報防護フィルターや前話でコンピューターが行った『ソウルハック』や『ヴィジョンクエスト』もそれに当たる。
・ただし、これらは効果のみを科学的に再現したモノなので元の異能と同じものではなく、根本的な理屈や技術としては別物に当たる擬似的な再現に留まる模様。
アマラコンピューター:転輪鼓を効率的に運用する為に作られた
・元は人間の代わりに転輪鼓から情報を引き出す為の演算装置だったが上手くいかなかったので、観測者をサポートする方向性で様々な機能を付け加えながら改造され続けてコンピューターというか一種の複合装置と化している。
・その為に前話で使われた精神干渉機能や仮想現実展開機能も付いているが、元は仮想空間内の神造魔人を運用する技術の応用であり、その因子を持っているのヤマトと結梨相手だからこそ使えた能力。
・悪性情報防護フィルターは“情報をサブカルチャーと思わせる”というギャグみたいな能力であるが、開発者達は真面目に『引き出したSAN値直葬の情報を観測者が無害だと思っても納得出来る設定』として一番効率的だと考えて設定した。
・具体的な情報の引き出し方は観測者を電脳空間に作った認知世界に入れ、そこの常識を『オカルトはサブカルの絵空事』と設定した上で転輪鼓から引き出した情報をサブカルだと思い込ませてプレイさせる事で情報を読み取ってる感じ。
読了ありがとうございました。
何故あまりコンピューターがこの世界に来ているのかなどは、過去周回のダアト事件の原因含めて次回説明します。……そろそろ魔人王との邂逅もやらんとな。