真・女神転生オタクくんサマナー外伝 ~ナホトラマン奮闘記~ 作:貴司崎
俺が持っていた『原作知識』が前世である【神造魔人 アオガミ】が有していた『ゲームの知識とおもいこまされていた転輪鼓からの情報』であると明らかになり、情報の信用度は微妙と言う点は一切変わらなかった事が分かった(笑)
……のだが、次にアオガミとアマノザコの仮装人格は嘗ての【神州受胎】を起こしたのは【メフィスト博士】と【魔人王 コンス・ラー】という者達なのだと言って来たので、その二人の情報を含めて更なる説明を聞く必要が出て来てしまった。
「【神州受胎】の発端はメフィスト博士の寿命がこれまでの度重なる実験の結果として残り僅かになったからだ。防護フィルター無しで転輪鼓から情報を引き出したり、寿命を犠牲にする外法を使って対“邪神”用の戦力を作るなどしていたからな。……故に彼は自分の命が尽きる前に“邪神”を打ち倒そうとしたのだ」
「そこで以前から神造魔人の生産やアマラコンピューターの生産に協力していた異邦人【魔人王 コンス・ラー】と利害が一致したから手を組んで“邪神”が座すとされる【至高天】への道を作る為に【神州受胎】を引き起こした感じだよ、よ」
ふむ、つまり完全に精神汚染喰らってそうなメフィスト博士とやらがトチ狂って被害妄想を拗らせまくって、謎のドリフター【コンス・ラー】ってヤツと共に【邪神(推定)】を倒す為に日本を魔界に落としたって事か……そのせいで嘗てどれだけの犠牲が出たと思ってるんだ。
しかし【至高天】とは確か俺の『転輪鼓知識(仮称)』だと合一神達が争う【ダアト】という世界の到達点で、たどり着いた者は至高神となって世界の在り方を決められるって大雑把な情報があるんだが……。
「……でも実際に俺達が経験した【ダアト】ではゴール地点は超大型カグツチであって、少なくとも勝ち残った俺達に世界のコトワリを決める程の力は……まさか」
「そうだ、その転輪鼓から得た過去の周回で起きた、又は未来で起こり得る可能性の一つである『ダアトで合一神達が至高天を目指して戦う世界』の情報を元に彼らは自らの世界に【ダアト】と呼ばれる魔界を創り上げたのだ。……ダアトでナホビノ同士が争う状況を再現すれば、逆説的に至高天への道が拓けると考えてな」
『まさかそんな理由で……』
やっぱり転輪鼓からの雑知識を参考にして至高天へと行こうとしたら盛大に失敗して行けなかったのが『神州受胎』の真相かよ、アオビトも絶句するレベルで本当にクソな理由だったな。
まあ俺の知識は広く浅く情報を集めてたらしい【アマラコンピューター〇三號】由来の情報であり、実際のメフィスト博士は他のコンピューターからより詳しい情報を経て勝算があると念入りな準備を整えて計画を実行したみたいだがそれで失敗してるなら世話ないな。
「晩年のメフィスト博士は完全に狂っていたからな。……“邪神”を倒さねばどの道この世界は滅ぶのだからと手段は選ばず、同じく至高天に用があった魔人王と協力して【東京受胎】によって出来たボルテクス界と発生した【シュバルツバース】を繋げる事で至高天への道を開くなどという暴挙に及ぶまでにな」
「クッソヤバイ事をしてて草も生えない。……そこでなんで受胎とシュバルツバースとかいうダブル厄ネタを合体させる考えになるんだ」
「そうでもしなければ至高天までの道筋を確保出来ないって計算結果が出たからやったみたいだね、だね。……まあ本人は東京受胎側でダアト作成の為の工作を行ってる途中で死亡したみたい? その時にはこの【アマラコンピューター〇三號】は自律稼働中で彼の側から離れていたから寿命か誰かに殺されたかまでは分からないけど、けど」
ちなみにシュバルツバース側は魔人王が工作に行って、その結果として神州受胎が発生して【ダアト】と呼ばれる世界が作られたのだが、死亡した博士は愚か魔人王とやらの同行も分からない様だが。
……かつてのダアトでは【魔人王 コンス・ラー】というヤツには遭遇しなかったから、博士と同じ様にシュバルツバースでくたばってくれてれば有り難いんだが、多分そうは行かないんだろうがな。
「……その【コンス・ラー】ってのは一体何者なんだ? ドリフターではあるって事を言っていたが、ダアトを作った至高天に至ろうとする辺り何か目的があるみたいだが。こっちも邪神ぶっ殺そうぜ組だったのか?」
「いや、彼女……【魔人王 コンス・ラー】を名乗る者はメフィスト博士が転輪鼓からの情報引き出しに躍起になっている時に現れて、いくつかの技術供与と引き換えに今の世界で活動する基盤が欲しいと取引を持ち掛けて来たのだ。……齎される技術や情報が有用であったので博士はその取引を受けてその後も繋がりを持っていたのだが、彼方も至高天へ登る事を目的としていると知って協力関係を結んだのだ」
「技術と情報が凄かったのもあるけど、それ以上に実力は推定レベル90以上っていう相手だったから敵対するより協力関係結んだ方が良いって判断みたいな、な?」
尚、お互いに取引や協力関係は構築していたが完全には信用していなかった様で、その魔人王とやらの技術力の全容も完全には見通せず、ステータスもアナライズ妨害があったのでレベルぐらいしか分からなかった模様。
……まあ、割と超技術っぽいこの【アマラコンピューター】を作った博士が協力関係を結んで、少なくともシュバルツバースを東京受胎と繋げるとかいう意味不明な所業を成し遂げられる能力がある以上、単なる敗残者や生存者でしかないドリフターとは別格の力を持っていると想定すべきか。
「後は彼女について分かっているのは何度も世界を渡っているらしき事、そして目的が至高天の座へと至って『かつて自分が過ごした世界を再び取り戻し、その上で大切な人と再会する事』ぐらいだな。それ故に至高天にいる邪神を倒すという博士の目的とは方針が合致すると判断された様だ」
「成る程、ニチアサ的に言えば主催者倒すんじゃなくて『理想の世界を叶える』のが目的だから利害が一致して協力してるんだな。……その為に大災害起こしてる辺り相当逝ってる精神性の持ち主だろうが」
「うーん、でも“かつての世界を取り戻したい”とか“大切な人と再会したい”って気持ちは少し分かるかも。……勿論世界滅ぼしてまでやるのは良くないと思うけど、そんな事して再会しても全然楽しくないだろうし」
先程から聞き手に回っていた結梨ちゃんが漏らした言葉もあるが、実際にドリフ掲示板でもかつての(崩壊する前の)世界を懐かしむ書き込みは散見されているし、だからこそ今の崩壊してないこの世界を守るとか此処で再会した大切な人と過ごす為に頑張るというドリフターズのモチベーションになっている。
……だが、そうでない者──次の世界で何とかすれば良いやとか、今の世界など要らん私はかつての世界を取り戻すのだって考えるドリフターもまあ居るよねって話か。
「まあ“手段”があるかもしれない、或いはそれだけの実力があるなら諦めきれない事もあるかもしれないって事かね。……その後コンス・ラーがどうなったかは分かるか?」
「いやシュバルツバース以降その世界での彼女の動向は分からないな。……ダアトが出来てから【アマラコンピューター〇三號】はメフィスト博士が“自分が死亡してしまった場合の自立稼働プログラム”──転輪鼓から引き出した情報にあった“神造魔人と融合した合一神”を再現する為に記憶洗浄を施して合一神になれる様にマガツヒ運用能力を付与して神造魔人の派遣を行なっていた」
「そこでダアトに派遣されたのがヤマトの前世のアオガミとか神造魔人結梨(ダアト世界)って事になるね、ね。……後、情報収集も兼ねて派遣して神造魔人が得た情報をアマラコンピューターに送る特殊なパスとかもあって、だからアタシ達みたいな残留思念がコンピューターに残ってた感じかな、かな」
ただし、神造魔人から情報を得る繋がりはセキュリティ関係から一方的なもので、少なくとも当時のアオガミを含む野良神造魔人達は自分が情報を送ってる事にすら気付いていなかった模様。
最も情報を得るパスは隠密性重視なのでそこまで多くの情報は得られず、そもそも神造魔人結梨ちゃんみたいに派遣された神造魔人はほぼ全て破壊されているので、ダアト周辺まで残っていたのはナホビノとなった
「それとこの【アマラコンピューター〇三號】には作り出された“ボルテクス界の運営”の為に他の二機の支援を行う役割もあった様だが、ダアト形成時の事故なのか他の2つのアマラコンピューターのリンクは切れていたから実行出来なかった様だが」
「ボルテクス界の運営って何をしていたんだ?」
「そこまでは分からないね、ね。この〇三號に与えられた命令は二機の支援であり、ボルテクス界の運営は残りの二機がやってるから具体的な手法の情報はこの機体には無いよ。よ。……まあ事故で二機とのリンクが断然してて情報が一部破損しているのも理由かもしれないけど、けど」
それとアオガミ曰くあくまで残留思念である彼らではアマラコンピューターの全てを知れる訳では無いらしく、一部秘匿性の高い情報は自律制御AIである自分達でも分からない様になっている恐れもあるとの事。
「つまり制作者達でもなければアマラコンピューターの能力の全容は分からないと。……しかし、あのダアトで神造魔人ばら撒くだけでナホビノが生まれるのを期待するとか、はっきり言ってソシャゲのガチャ10連で最高レアを三つ同時に出すみたいな低確率だと思うんだが」
「本来なら博士がナホビノを用意するか、魔人王自身がその役を担う予定だったからな。外部から人間が制御するのが前提で自律稼働は予備プランだからそこまで重要視されていなかったのだ」
『だが運良く俺とアオガミが融合してナホビノになれたと。……妙な因果だな』
「そうだねー。……あとあと、ぶっちゃけ博士が死んでからの予備プランはアマラコンピューターを『箱舟』──邪神の脅威を伝える為に情報を詰め込んだコンピューターを内蔵した世界遡行用の拠点とする事で未来の周回へデータを残す事だったから、そっち優先でダアトの情報収集には大して力を入れてなかったみたいだよ、よ」
そんな訳で出来上がった【ダアト】の情報に関しては最低限しか集まらず、一応アオガミとアマノザコの残留思念を回収した部分で理解はしているが、それ故に俺とアオビトが知っているダアトの情報と同じ事しか知らない模様。
……ただし、俺達がカグツチに『ダアトを地上に戻して悪魔の居ない人のみの世界を創世する』願いを告げた後、アオガミとアマノザコがどうなったかの情報については“その後の彼等の残留思念を回収した”アマラコンピューターには残っていたのだが。
『それで……お前達の残留思念はいつ回収されたんだ? ……残留思念という事はお前達の本体は……』
「まあ本体であるアオガミは既に【八坂ヤマト】に転生している以上は消滅しているな。……あの時、カグツチで別れてから未練なく消滅するつもりだったのだが、その際に“邪教の世界の主”に『このままでは“少年”が完全に消滅してしまう』と言われたので、それをどうにかする為に向こうの勧めで神造魔人の躯体を提供したのだ」
「相棒が消滅するなら肉体を提供するぐらいはするよな。消滅仕掛けてるなら尚更」
「前世来世だから考える事は大体同じだな。……そうして“少年”に躯体を供与した後、魂の側はそのまま輪廻の輪へと入って前述の通りにヤマトへと転生したのだが、その際に僅かに残っていた残留思念がパスを通じてアマラコンピューターに回収されたと言う訳だな」
大体の事情を聞いてアオビトがちょっとしんみりしてるな。既に過去の世界の話だから覚悟はしていたとは言え、最後まで相棒が自らを犠牲に自分を助けてくれたのだから感じ入るものがあるのは当然だが。
……まあ俺としては自分の前世の事だから妙に納得出来てると思ってた所で、何か気になったのか結梨ちゃんがアマノザコに質問していた。
「じゃあアマノザコの方はどうなったの? ……結梨は前の世界の京都ヤタガラスがアマノザコの遺骸を使って作られた人造人間だけど、このアマラコンピューター? を京都ヤタガラス残党が持ってたって事は世界を超えたこれが前の京都ヤタガラスの手に渡ったって事なのかな?」
「ああえっとねー、アタシの方はカグツチで別れた後に創世によって人間界から隔離された魔界をぶらついてたんだけど、なんか突然魔界に種族がアルカナだったり見た事ないヤツとかの変な悪魔がたくさん湧き出てきたんだよね、ね。そいつら無駄にレベルが高かくて、更に魔界がなんか崩壊し始めたから逃げてたら『箱舟』を見つけたんで避難したんだよ、よ。……だけど、ちょっ連中に襲われた時の負傷が酷くてそこで死んじゃって、遺骸と残留思念が箱舟に残ったまま世界を渡った感じみたいな、な?」
……結局は俺達がかつて成し遂げた【人のみの世界を作る創世】は何処も上手くいかなかったって事か。既に過去周回の話になっているから覚悟はしていたが、こうして実際に言われると雰囲気がお通夜になるな。
「結局、どんな理由であってもたった一人のコトワリだけで世界を染め上げようとしても上手くはいかないって事かね。“キリギリス”という形で『それぞれが自分の意思を持った上でみんなで戦っている』今の世界は上手くいってるし」
『そうなのかもしれんな。……だが、かつての俺達の行いは“失敗”だったかもしれないが“間違っていた”とは今は思わない。少なくとも無辜の民が悪魔の犠牲にならない様に願うのは間違ってなかった筈だ』
「そうだな。……随分と前に言ったが今度は“ゲームプレイヤー”ではなく“相棒”として言わせてもらう……あの時の『少年』と共に戦った事に後悔は無かったし、今『アオビト』の相棒として戦える事は嬉しい。だから今度はみんなで人と世界を守る為に戦おう」
『ああ、分かった。これからもよろしく頼むぞ『ヤマト』』
まあ雰囲気は暗くなったけど俺達のやるべき事とやりたい事は変わらない、この辺りの昔のダアトに関する話はチームDATに入る前に散々したからな。
「うんうん、まあアタシ──【アマノザコ】もアンタ達と一緒に戦った事を後悔はしてないよ。残留思念だけどね、ね。……それはともかくアタシ(死体)を乗せた箱舟は次の世界に出航したんだけど、魔界が崩壊してたからか箱舟の出来がアレだったのか結構なダメージを受けててコンピューターは殆ど機能停止、その上で結梨がいた世界に漂着して京都ヤタガラスに接収された感じかな、かな」
「ただ、機能停止したのは自律プログラム部分が主だったから手動でデータを引き出す分には問題なく、京都ヤタガラスに相応の技術者がいたから機材をある程度修復されて保有していた周回や神造魔人の情報、そしてアマノザコの遺骸が彼等に渡って色々とされた様だが。……当時の我らは自意識すらない残留思念だったから何も出来なかったが」
「というか仮装人格を得たのはこの異界が形成されたからだしね、ね」
そういう理由でダアト世界産の施設が結梨ちゃんの世界に運ばれたか、世界を救うどころか全力で技術を悪用されてて草も生えない(2回目)メフィスト博士とやらの思惑は一個も上手くいってないな。
ちなみにコンピューターのデータや各種装置も結構破損していたので京都ヤタガラスでも修復しきれてはおらず、機構としては転輪鼓でアマラ宇宙から情報を引き出す部分は使用不可能であり、残っていたデータにも抜けが多かったので京都ヤタガラスが生産した神造魔人はダアト式のものと比べて性能面では劣っていたのだとか。
「なるほどねー、そのコンピューターから引き出された情報とアマノザコの遺骸から結梨が作られたんだね。……じゃあ、この世界に前の世界の京都ヤタガラスが来てるのもこのコンピューターの所為?」
「そうなるな、修復したアマラコンピューターから周回情報を知った京都ヤタガラスは世界が滅びに向かっていると判断した時点で逃げる算段を付けていて、転輪鼓と箱舟の世界を渡る機能を復元して実行した様だな」
「それでこの世界にやって来て京都ヤタガラス同士で悪魔合体して色々とやらかして、そこにアンタ達が殴り込んで“こんな事”になって壊滅した感じかな、かな。……まあ、まさか合一神にまでなるのは予想外だったからアンタ達に討伐を頼んだんだけど、けど」
成る程、そういう経緯でダアト産のアマラコンピューターがこの世界まで来た訳だ。確か過去周回からの産物が現行世界に流れ着いてトラブル起こしてるって話はドリフ掲示板でも出てたか。
……さて、過去情報も重要で貴重な話ではあったが、現在の俺達にとって最も重要な事柄である『このダアトを再現した異界』について話を聞かないとな。
「それじゃあそろそろ現状で最も重要なこの異界についての情報を教えてくれないか? 此処からの脱出方法も含めてな」
「承知した。……まずこの異界が作られたのは京都ヤタガラス残党が襲撃者への対策として『転輪鼓の機能を使って拠点ごと侵入者を魔界に近いレベルの異界に落とす』術式がキッカケとなっている。京都ヤタガラスの首魁達だけは箱舟の機能を使って脱出するつもりのトラップだった様だがな」
『だが、その京都ヤタガラス首魁は合一神モドキに成り果てて俺達が討った訳だが……脱出方法が機能しなかったのか、それとも何かイレギュラーがあったのか?』
「そうだねー、実は京都ヤタガラスが異界を発生させようとした時に龍脈を介して外部から転輪鼓の操作と異界形成の術式を乗っ取られたんだよ、よ。……そんなその“何者か”は龍脈を介してマガツヒを転輪鼓に注いで【アマラ深界】への経路を作り出して、そのまま乗っ取った異界形成の術式を使って擬似的な【ボルテクス界】を作り上げたのが今の状況かな、かな」
はい、京都ヤタガラス残党(死亡済み)に変わって謎の黒幕のエントリーだ! 話によると異界の核になってるアマラコンピューターは単に利用されただけみたいだが。
……この不明点も多いアマラコンピューターに介入出来る様なヤツは限られてるよな。さっきも言ったけど『制作者』ぐらいだろう。
「ただ、その時におそらく介入した何者かにも予想出来なかったと思われるイレギュラーが発生してな。……注ぎ込まれたマガツヒの影響によってアマラコンピューターの自律プログラムが部分的に復活、元々持っていた電脳異界を作り上げるプログラムと異界形成の術式が干渉し合ったのだ。それによって記録されていた【ダアトのデータ】がボルテクス界に反映されてダアトに類似した特性を持った特殊な異界へと変貌したのだ」
「さらにさらに、残留思念でしかなかったアタシ達にもちょっとだけ自我が芽生えたからか、アマラコンピューターの『世界を守る為に有する情報を使う』行動パターンを持った自律プログラムに偶然ちょっと干渉出来てね、ね。……だからアタシ達と縁があったアンタ達を招いて事情を知らせる感じで異界のパターンが変容したって感じかな、かな」
「だから俺と結梨ちゃんだけが異界の中枢部であるアマラコンピューターに近い階層に配置されていたのか」
また、異界形成後はその影響からアマラコンピューターが本来の機能を取り戻しており、更に残留思念である彼等も活性化した所為かより強く干渉出来る様になったので【オンギョウキ】を召喚して『アマラ転輪鼓を守る』自律プログラムの命題に沿う形で動かしたりしていたとの事。
「所詮我らは残留思念ではあるが、これ以上『世界を守る』という命題を与えられたアマラコンピューターが利用され続けるのも忍びなかったのでな。……異界の形成はどうにもならなかったが、少しでもこちらに都合が良い様に出来る範囲で動いていた」
「発生した合一神の対処とかアンタ達に情報を伝えるのとかね、ね。……どうせこの異界が消滅すれば転輪鼓の機能も完全に停止して、残留思念のアタシ達も消滅するから、それなら出来る限りのモノを来世なアンタ達に残そうかなって話になったの、の」
「……そうか、ありがとうな」
「大変だったけどレベルは上がったからね」
確かにいきなり少人数異界探索は面食らったけど、蓋を開けてみればレベリングボーナスステージ提供とオンギョウキが仲魔になったのと御厳結晶+合一神妥当による御厳ポイントウハウハは美味しかったです。
……まあ、大体この異界が発生した原因や俺達だけが招かれた理由は理解出来たが少し『疑問点』も残っているな。
「二つ程疑問はある。……まずこのアマラコンピューターは『〇三號』という話で【一】と【二】も存在していたらしいが、その二つはどうなっているか分かるか? 話からして同じく『箱舟』となって未来世界に送られた様だが」
「その二機に関しては同じく『箱舟』として未来世界に送られたぐらいしか分からん。どれか一つでも届けば良いという考えでお互いの干渉は最低限であったからな。……ただ、先も言ったがあの二機は三號よりも“深い情報”を有しているから、もし残存していた場合の危険度は更に大きいだろう。見つけ次第即破壊する事を推奨」
「ボルテクス界の創造と干渉機能まであるから危険度はやばいくて、その割に回収してもメリットがあるかは微妙だしねー。多分メフィスト博士は至った結論も現在の世界を見れば合ってるか怪しいし、し」
まあ、世界を滅ぼそうとしてる“邪神”云々の話はかなり眉唾物というか、この世界ならいてもおかしくないけれど博士は根本的に得た情報や取った手段が間違ってる感があるしなぁ。
正直言って【アマラコンピューター】は厄介物というか処理しなければならない地雷的な物としか思えないが、これ以上なにか出来る訳でもないので見かけたら責任持ってぶっ壊しておこうかってぐらいか。
「じゃあ二つ目の……もっと重要な質問だが、京都ヤタガラスの罠に干渉してボルテクス界を作った相手に心当たりは? というかこの一件での実質的な黒幕だろうソイツ」
「正体に関しては分からないが、まるで転輪鼓とそれを制御するコンピューターや京都ヤタガラスの術式を熟知したかの様に即座に掌握してみせた超人的な技量を持っている事は確かだ。……その上で可能性が高いのは先にも言った【魔人王 コンス・ラー】だろう。ここにある転輪鼓を知っていて技術があるという点でだが」
「まあ転輪鼓とかアマラコンピューター狙いで介入して来た可能性があるって事かな、かな。……だから現在早急にコンピューターの機能を自壊させて異界の核に当たる転輪鼓の機能を停止させる事でボルテクス界を消滅させる作業を実行中、それが果たせれば異界内の人間は現実世界に戻るよ」
……どうやら、事前に言っていた異界から外に出る方法は『転輪鼓の機能を停止させて異界を消滅させる』事であったらしく、確かに異界が消えて現実世界に戻れば中にいる人間も普通に帰還出来るだろうが……。
「そうなったらお前達は……」
「我々は所詮残留思念……というか、元よりそろそろ消滅するしかないから最後に君達が無事に帰れる様に出来る限りの事をするつもりだった。可能な限りの情報を伝えて、どうにか確保出来た御厳結晶を授けるなどしてな」
「そうそう、どうせ消えるなら来世の自分にプレゼントとみたいな? ……そーゆー訳でホレ」
「ふぇ?」
| メインクエスト 「いつかどこかの真実」 を達成しました |
| 一柳結梨は【マハジオバリオン】【ザンバリオン】【真理の雷】【メディアラハン】【万能プレロマ】【火炎無効】【氷結無効】を習得した |
| 一柳結梨の【電撃プレロマ】【衝撃プレロマ】が【電撃ギガプレロマ】【衝撃ギガプレロマ】に変化した |
| 八坂ヤマトは【アマノザコの写せ身】を手に入れた |
そう言いながらアマノザコが結梨ちゃんの手を握ると何かの力が彼女に流れ込む様な感じがして、更にこちらにも自らの写せ身を渡して来た。
「えーっと、これは一体何?」
「んー、アタシが昔使ってたスキルとか【アマノザコ】がいずれ覚えるスキルを先払いで教えた感じ、確か『ウィスパーイベント』ってヤツだったかな、かな」
「後は残っているマガツヒも可能な限り君達に譲渡しよう。これまでの経験と合わせて少しはレベルが上がる筈だ*1」
確か仲魔だった頃のアマノザコに弱点をカバーする意味で【火炎無効】【氷結無効】を、長所の魔法攻撃力を上げる意味で【電撃ギガプレロマ】【衝撃ギガプレロマ】を写せ身合体で覚えさせてたな。他のスキルは【幻魔 アマノザコ】が普通に覚えるスキルだったか。
……そして、それを皮切りとして『やるべき事は全て終わった』と言わんばかりにアオガミとアマノザコの姿は徐々に薄れていった。
「……もう終わりなのか」
「ああ、もう時間の様だな。このまま行けば転輪鼓とアマラコンピューターの機能が停止して異界は消滅、中に閉じ込められた者達も現実世界へと帰れる筈だ。……最後にアマラコンピューターに与えられた『世界を守る』という命題に少しでも応えられたなら幸いだ。例え歪んでいたとしてもな」
「これからも頑張ってね、ね」
そんな激励の言葉を最後にアオガミとアマノザコの残留思念は消えていき、それと同時にこの仮想空間も消滅して俺達の意識は現実へと戻っていったのだった。
……まあ、散々京都ヤタガラスに利用された上に色々とトラブルを起こしてくれた【アマラコンピューター】だったが、情報提供と嘗ての懐かしい顔に合わせてくれた事に関しては感謝しておくか。
──────◇◇◇──────
そうして意識の戻ったヤマトと結梨は先程の部屋の中に戻っていた……と言うよりは、意識だけが仮想空間に飛んでいたので現実の彼らの肉体は動いておらず、仮想空間内の時間が加速していたので現実空間での時間も僅かしか経過していないのだが。
……唯一変化があったのは、まるで役目を終えたかの様にアマラ転輪鼓が光を消して機能を停止させている事ぐらいであったが。
「……おっと、さっきの部屋だね。転輪鼓もある」
「アイツらが言っていた通り時間は経っていないみたいだな。……転輪鼓も止まっているし、このまま待っていれば異界が消滅する筈だがッ⁉︎」
嘗ての友人との再会と別れの余韻に浸りながら次はどうするべきかと考えていたヤマトだったが、突然これまでのダアトを含む戦場を掛けてきた事で得ていた“生命の危機に対する直感”がけたたましく継承を鳴らした。
『少年⁉︎ 強大な悪魔の気配が「一手遅い」
「なっ⁉︎ グゥッ!!!」
僅かに遅れてアオビトが警告を発すると同時に背後を振り向いたヤマトであったが、それよりも早く直ぐそばに迫っていた“鳥を模した仮面を付けた少女”が手から展開された炎の剣を振り抜いていた。
それでも咄嗟に腕を上げて炎剣の一閃をガードしたヤマトであったがその一撃にダメージは一切なく、代わりに自分の身体の動きが硬直するのを感じ取ってそれが自らも使う【剣攻撃*2】と同種のモノだと察した。
(不……味い! このままでは一方的に……!)
「貴方達相手に油断する気はない、確実に仕留める」
| タルカオート | 自動効果スキル | 戦闘開始から3行動の間、味方全体の攻撃力が上昇する。*3 |
| ラクカオート | 自動効果スキル | 戦闘開始から3行動の間、味方全体の防御力が上昇する。*4 |
| スクカオート | 自動効果スキル | 戦闘開始から3行動の間、味方全体の命中・回避率が上昇する。*5 |
| ラプラスの魔 | 自動効果スキル | 戦闘開始時に解析度100%の敵の攻撃力・防御力・命中率・回避率を下げる。*6 |
| 畏怖 | 覇道の神意 | 戦闘開始時、敵全体に対しランダムに1種類の3ターン持続する能力低下効果が1段階掛かる。*7 |
| 貫通 | 自動効果スキル | 物理属性攻撃が敵の物理耐性・物理無効・物理吸収相性を無効化する様になる。*8 |
| 物理プレロマ | 自動効果スキル | 物理属性攻撃で与えるダメージを上昇させる。*9 |
| 物理ギガプレロマ | 自動効果スキル | 物理属性攻撃で与えるダメージを大きく上昇させる。*10 |
| 死亡遊戯 | 物理属性スキル | 敵単体に中威力の物理属性攻撃。必ずクリティカルになる。*11 |
……直後、炎の様なオーラを纏った様にも見える鳥面の少女──【魔人王 コンス・ラー】の肉体に複数の強化が掛かり、その上で放たれた耐性を貫通する手刀による斬撃が先手を取られ動く事も出来ず弱体化までも食らったヤマトの肉体を袈裟懸けに斬り裂いたのだった。
あとがき・各種設定解説
八坂ヤマト&アオビト:背後から奇襲を受けるのはいつもの事(ナホビノ感)
・前世の自分の残留思念と出会い色々な情報を受け取って、改めて今の世界を守って戦おうという覚悟を決めた……直後に背後からアンブッシュで大ピンチ。
・ヤマトの方は今回の一件で持っていた『原作知識』が『前世がアオガミだった記憶』とはっきり認識して、これまではアオビトの経験を共有してたと思い込んでいた『アオガミの経験』を正しく思い出したので戦闘技術などで僅かに会った“ズレ”がなくなった。
・そのダアトでの膨大な戦闘経験を正しく身に付けたにで、戦闘時の立ち回りも良くなり散々ダアトで背後から悪魔に迫られる経験もあって直感的に奇襲に対応出来るぐらいに戦いの勘が噛み合い始めた……が今回は相手が悪い。
一柳結梨:火炎と氷結弱点が消えたのは嬉しい
・前世の自分と少し話が出来たけどヤマトと違って前世の記憶を思い出せた訳では無いので聞き役に徹していたが、ウィスパーイベントなど色々と貰ったので感謝はしている。
・ちなみにスキル発現は正確に言えばウィスパーイベントというよりはアマノザコの残留思念の後押しで、元々持っていた【幻魔 アマノザコ(前世アオビトによる強化済み)】の力が目覚めた形であり霊格も【顕現者】に上がっている。
アマラコンピューター:残留思念は消滅
・ちなみに仮想空間展開などの機能が使えたのはこのボルテクス界が認知世界的要素を持っていて、その結果として異界の一部が失われたアマラコンピューターの機構を模した物として展開したので嘗ての機能が使える様になっていた。
・故に異界が消滅すれば京都ヤタガラスが確保していた頃の破損して機材に戻るが、残留思念達の影響と自立プログラムが自分を補う異界の消滅を『世界を守る』命題に反しないと判断したので異界の消滅は恙無く行われた。
コンス・ラー:躊躇なく背後から奇襲する系ラスボス
・実の所は少し前にボルテクス界の下層に侵入して二人を見つけていたが、異界の核に自分の存在を把握されない様に隠れつつ詳細不明の転輪鼓の状態を探る目的で手を出さずに二人がそこまで向かうのを監視していた。
・これは二人が異界の奥に招かれていると見破ったからで、リスクを犯した二人を排除してから核に向かうよりも転輪鼓まで泳がせて状況を把握してから対処するべきと考え、二人を奥の部屋に入って仮想空間で会話する短時間のうちに転輪鼓の状態を把握して奪いに来た形。
・尚、魔人王の戦闘スタイルは仲魔を揃えて写せ身合体でスキルを整えてレベルを上げてプレスターンバトル……という主人公と大体同じものであり、それを多くの世界を渡りながら洗練させていった上位互換に当たる。
読了ありがとうございました。
ウルトラシリーズで序盤中盤に奇襲を仕掛けてくる暗躍系黒幕ムーブをかます魔人王。ラスボスではあるけど現状だと勝ちの目が無いのでぶっちゃけ負けイベントです。