真・女神転生オタクくんサマナー外伝 ~ナホトラマン奮闘記~ 作:貴司崎
都内にあるそこそこの規模の病院の一つ、そこは最近流行っている奇病【アストラルシンドローム】の罹患者を入院させている場所の一つであった。
まるで魂が抜けたかの様に昏睡状態に陥るその奇病は今も罹患者を増やし続けており、特に人口が多い都内では多数の罹患者を収容する為にいくつもの病院に分けて入院させており、此処もその一つである。
「……本当に病院へ襲撃する馬鹿がいるのかね。いないならそれに越した事は無いんだが……」
「馬鹿は来る。……少なくとも帝都ヤタガラスや腕利きのデビルバスターに召集が掛かってるし、最近話題の民間軍事会社【ミスリル】とかも参戦してるって事はガチなんでしょ」
「俺たちDAT隊にも声が掛かるぐらいだからな。ちょっと高レベルの護衛が足りてない所があるからってよ」
だが、現在その病院では複数のデビルバスター達が一般患者にそうと分からない範囲で警戒態勢を取っており、その中にはヘビクラ隊長を始めとする【チームDAT】の姿もあった。
……彼等は今回伝手のある帝都ヤタガラスから『高レベルの護衛が足りてない病院があるから護衛に参加して欲しい』と依頼を受けて参加しており、病院を狙う奴らがいるなら防衛チームとしては放って置けないなと二つ返事で引き受けて護衛依頼を受けたのだ。
「依頼を受けた時に聞いた話ではヤクザ辺りがアストラルシンドローム患者狙いで仕掛けて来るらしいが、連中がシンドローム患者相手に人身売買してるらしいって所までは知ってたけど病院襲撃とかまでやらかすとは……」
「最近ヤクザ連中羽振りが良いからなぁ。……そんな事が出来るぐらいに治安が悪化してる、或いは社会崩壊させれば関係ないからリソース確保しようぜとか考えてそう」
「胸糞悪い考えねぇ。……まあこんな大規模かつ短時間だけの護衛依頼があるって事はアストラルシンドローム自体の解決が進んでて、それをよく思ってない連中が襲撃掛けてくるってノリでしょう」
「それなら解決は最前線組に任せて、俺達は病院をしっかり守る事に集中するべきだな。……もう少し【ミスリル】や【帝都ヤタガラス】と警備態勢を煮詰めておくか」
現在、病院の表門には隊長である【導師 ヘビクラ・シンゴ LV79】と副隊長【シャドウ使い ヤナセ・アンヌ LV76】、そして【ガンスリンガー カリヤ・ケンジロウ LV70】と【サクセサー ドイガキ・ミツヒロ LV71】が配置されていて、他にもミスリルの隊員達やヤタガラスの異能者達も周囲のパトロールを行なっていた。
「あー、トモヤ、裏口の方はどうだ?」
『今の所異常なしっす。ヤマトも迂闊な発言とかせず、普通にミスリルの隊員やヤタガラスの職員と警備出来てるっす』
『うう……反省してますからもう勘弁してください……』
そして、ヘビクラ隊長が連絡を取ったのは裏口に配置された【顕現者 オキ・トモヤ LV76】と【合一神 八坂ヤマト/アオビト LV78】で、そちらも先日情報漏洩未遂でこってり絞られて色々矯正されたヤマトが落ち込んでる事を除けば問題ない様である。
他にも病院内には【魔導針】と呼ばれているデビルバスターなどの探知に長けた霊能者達が配置され、隠密的に侵入してくる襲撃者を警戒しているなど病院内にいる患者や新生児達に被害を出さないようにそれぞれが行動している。
「……【煌天の幻視*1】に反応、黒塗りのワンボックスカー複数が病院に突っ込んで大爆発する未来が見えた。【虚空の眼界*2】に表通りを走る同じ型の車を複数確認、この速度だと後数分で病院へと到着する」
「他の人にも連絡したわ。それと向こうの監視カメラで不審車を確認したそうよ」
「それと数分前に都内最大のアストラルシンドローム収容病院*3、及び二番目ぐらいの病院*4で襲撃が起こったらしい。……つまりこっちにも来るって事だから、チームDAT総員戦闘準備」
そして<幻視者>でもあるケンジロウが『病院が襲撃を受ける未来』を見て、更に魔眼によって強化された視野で不審な車を確認した事をキッカケにチームDATは動き出した。
直ぐに情報処理とバックアップを担当している班に連絡を入れつつ、数分前に別の病院が襲撃された情報を流し見て敵がしてくる戦術を予想して対策を打つ。また既に襲撃者が来たらまずはDAT隊が当たって敵の手筋を見るという作戦は全員に共有済みだ。
「他の病院での手はテトラマカラを張った悪魔化車両による特攻、及び中の爆弾化された人間による自爆。後は誘拐した人質の事を動画サイトに流してこっちの手を鈍らせるつもりらしいな。……全員石化カートリッジ準備」
「突撃して来る車はテトラ張りが止め石になれば防げるから、隊長のデカラビアの【テトラカーン*5】と私の【金行符*6】を使いましょう。他のメンバーには私達が止め石になると連絡しとくわ」
「動画サイトも今回の1件を新作特撮撮影で誤魔化す予定……というか、俺達DAT隊が目立つ位置に配置されてるのは特撮動画的に見栄えがいいからなんだが」
「うむ、今こそ無駄に拘った外見改造装備の力を見せる時だぞ。……趣味で作った外見が役に立つ日が来るとは思わなかったが」
【【【Boot up petrifaction!】】】
尚、そんな事を言いつつも自分達がフェイクとは言え新作特撮動画に出れるという事でDAT隊全員が内心ウッキウキであり、何時もより三割増しぐらいキレッキレの動きで共通武器の【DATハイパーガン】に【悪魔カートリッジ:ディース*7】を装填していく。
その動きは一緒にいたプロの軍人である【ミスリル】のメンバーをして『本当に特撮俳優さんでも連れてきたのか?』『この世界の精鋭民間軍事会社とかか?』と言われるぐらいに気合が入っており、表通りを猛スピードで突撃して来た自動車の前へ一切迷う事なく飛び出していった姿からガチのスタントマンとかではなどとまで思われる程だった。
「ぐわぁっ⁉︎ 車の前に迷う事なく飛び出すとか正気かよ!」
「物理反射状態なら普通の車に跳ねられても怖くないだろぉ? 【ペトラマ*8】!」
「そもそも数分前に攻略されたのに同じ方法を取る方が悪いでしょうにね」
「何なら相性無視で轢殺出来る車悪魔を連れてこない方が悪い」
DAT隊は既に別の戦場において証明された『物理反射状態の相手に物理反射ダメージを与えてもダメージは0である』という理屈でもって、自ら高速で突っ込んで来る車悪魔にぶつかりに行く事で自爆テロを阻止。
更に間髪入れずヘビクラ隊長の石化魔法、それ以外の隊員達によるハイパーガンから放たれた【ペトラアイ*9】によって車悪魔、及び爆弾化された人間達が次々と石化させられて無力化されていく。
「クソがぁ! 人質を迷わず石化とか命を何だと思ってやがる!!!」
「状態異常は優先度が高い方を掛ければ打ち消せる。ついでに戦場になる場所ならば人質は石化させておいた方が安全だ」
「俺達チームDATは伊達や酔狂でハイパーガンを共通装備にしている訳じゃない。威力は低いがこういった状況にも対応出来る汎用性があるからこそだ」
「命の壁でこっちの動きを鈍らせるなんてテロリストの常套手段、私達世界の平和を守る特殊部隊(自称)であるチームDATが対策して来ていない訳がないでしょう?」
「お前達の様な人質を取って来る悪党の相手は今まで散々やって来た……地球を守る防衛チームを舐めるなよ」
そんな風にレベル70越え超人のスペックでもって人質の無力化作業を手慣れた様子で行いつつ、更に動画映えを意識して防衛チームっぽい台詞回しを言いながら視聴者への分かりやすい説明までも行なっていくチームDAT。
……だが、そんな彼等の前に襲撃者達のリーダー格であった【外道 サーヴァントヤクザ LV57】が“誘拐していた何処かの女子生徒”を掴みながら現れたのだ。
「お前等動くなぁ! こいつがどうなっても良いのかぁ!!! 石化させるなら蘇生不可能なレベルで砕くゾォ!!!」
「ヒィっ! た、助け……!」
実に絵面が分かりやすい悪党の手口だがこれに関してはDAT隊の不手際と言うよりは単なる不運、車が弾き飛ばされた時にサーヴァントヤクザの側に偶然人質の少女が転がった所為で先に確保されてしまったのだ。
面倒な事に吸血鬼(物理的に破壊済み)の
「グヘヘへへ! 正義の味方様は人質を無視できないだろ「【シャッフラー*10】」「【ザンダイン*11】」グベラァ!?」
……だがまあ、その程度で動きを鈍らせる程にチームDATは緩くなく、即座にヘビクラ隊長がCARD化の魔法でもって魔力耐性などある筈もない人質の少女をカードへと変えた事によってサーヴァントヤクザの手をすり抜けさせる。
そこに阿吽の呼吸で間髪入れずにヤナセ副隊長が自身のペルソナ【女帝 ラクシュミ】を呼び出すと共に万能属性の衝撃波を男にぶち当てて弾き飛ばしつつ、風圧で舞い上がった少女を変化させたカードを確保して人質を救出してみせた。
「CARD化魔法による人間の輸送が
「隊長、アナライズしたらこいつ吸血鬼のサーヴァントでしたよ。……それと
「あー、やっぱ“そういう手”も使って来るか。……病院に着くまでに撃ち落とせ」
「ラジャ」【Boot up fire ball】
| 悪魔カートリッジ:サラマンダー | 銃弾 | 【DATハイパーバスター】による銃攻撃を火炎属性銃攻撃に変更する。 【精霊 サラマンダー】の火属性魔法の力をハイパーバスターに宿すカートリッジ。 |
| 龍眼 | 自動効果スキル | 命中率を大きく上昇させる。鍛えられた魔眼と銃技によるスキル。 |
| 銃プレロマ | 自動効果スキル | 自分の銃撃属性攻撃の攻撃力を上昇させる。 |
| ワンショットキル | 銃撃属性スキル | 銃撃属性で敵単体に特大ダメージを与える。クリティカル率が高い。P5出典。 |
そんな隊長の指示を受けたケンジロウは即座に悪魔カートリッジを切り替えてDATハイパーバスターで上空を射撃、火炎を纏った銃弾が放たれて空を飛んでいた紙飛行機──CARD化状態で病院に潜入、そのまま患者を攫おうとしていたヤクザのカード化魔法使いへと命中して見事に撃ち落とした。
「CARDしている者は強制的に火炎弱点になるのでよく燃えますね。まだ死んではいないみたいですが」
「少数潜入部隊だから相応に精鋭なんだろう。……お前達は撃ち落とした連中をミスリルの部隊と協力して撃破しろ。こいつの相手は俺だけで行く」
「「「了解」」」
襲撃者であるヤクザ達の本命であった誘拐部隊の目的をあっさりと阻止したチームDATは、ヘビクラ隊長だけを残して誘拐部隊にトドメを刺すべくミスリルに連絡しながら連中が撃墜された場所へと向かっていった。
そして残った隊長は本命の部隊が撃墜された事に動揺しているサーヴァントヤクザを前に、淡々とCOMPから追加で【ケルベロス】と【アナンタ】を呼び出しながら【デカラビア】にテトラカーンを使わせる。
「な、何故こっちの狙いが……!」
「ん? 何度も言わせるなよ……『人間をCARD化して輸送するのはお前達ヤクザの専売特許じゃない』ってなぁ。カード状態でも簡単な念動力系の術を事前に使っとけば多少は動かせるし、俺もカード化による潜入とかはやった事がある。……だからお前達がカード化をよく使うと聞いた時点で警戒していただけだ」
そんな事を言いながらヘビクラ隊長はイイ笑顔を浮かべつつ【蛇心剣*12】を構えて、仲魔と共に吸血鬼としての回復能力によって先程のダメージが治りつつあるサーヴァントヤクザに迫る。
「ふぅん? 威力低めの万能属性とはいえアンヌの魔法を食らって死なずに再生するのか。吸血鬼のサーヴァントの生態的高スペックと回復能力は確かに面倒だが……まあ死ぬまで殺せば死ぬだろ」
「ク、クソォォォォッ!!!」
とりあえず首でも跳ねてから焼いてみれば死ぬかなと思ったヘビクラ隊長は、ヤケになって突っ込んでくるサーヴァントヤクザに容赦なく仲魔からのバフを受けた【ブレイブザッパー*13】を叩き込む。
……そして30秒も経たない内に“サーヴァントヤクザだったもの”が路上に転がる結果になったのだった。
──────◇◇◇──────
「よし、お前らいくぞ。……ここで実績を上げなきゃ……」
「チッ、分かってるっての。逃げ帰ったら殺されるだけだしなぁ!」
病院の裏門から襲撃をかける部隊、彼らはヤクザに吸収された元マンハントの集団であり複数属性の状態異常をばら撒く事で警備に付いている部隊を混乱させつつ陽動となる事を指示されていた。
元々は状態異常ハメで人狩りをするグループだったのだが、“とある裏闘技場”が壊滅した事件の折にリーダー格の者達が逮捕されたお陰で空中分解となり後にも先にも続けなかった所をヤクザに吸収されたのだ。
「クソッ、悪魔と合体までさせられてヤクザの使いっ走りかよ……」
「文句言うなよ。悪魔合体実験に生き残っただけで運が良い方だろ」
「MAGもたっぷり注入されたからレベルも上がったしなぁ。今なら昔のリーダー供も簡単に潰せるぜ」
更に彼等はヤクザ達のイマージュ注入や悪魔合体の実験体にさせられており、全員が悪魔人間と化した上でMAG太りもあってレベル40〜50代にまで強化されていた。
……最もヤクザ達からすれば生き残ったのは良いが思ったよりも強化されなかったので鉄砲玉でいいかぐらいの扱いであり、彼等自身もよりヤバい化け物揃いのヤクザには逆らえずどうにか実績を出して生き残れる様に襲撃任務を成功させるしかないと考えていた。
「……よし、着いたな全員降りろ! いつも通りぶちかませ! 【アラクノワイヤー*14】!」
「【毒ガスブレス*15】カァァァァッ!」
「惑え彷徨え【パニックボイス*16】!」
「オラァ! 【バインドボイス*17】!」
「呪われろ呪われろ呪われろ! 【カースエピタフ*18】!」
「これは防げねぇだろ。【ミラージュブレス*19】!」
そんな理由で必死な彼等は乗っていた車が病院の裏口についた瞬間一斉に飛び降り、守りに付いていた人間達に向けて神経精神魔力緊縛呪殺万能と言った多種多様な種別の状態異常魔法を一斉に行使した。
何名かが持っているCOMPにインストールされたアプリ【Mr.サプライズ】によって先制攻撃を行い、例え耐性装備であっても全ての耐性を無効にする様な物は滅多になく、状態異常無効の【バリア】類を使って来ても飽和攻撃で防御許容量を超過させれば押しつぶせる戦術。
「これでもう決まっただろ!」
「油断すんな! 状態異常だけじゃなくて銃も撃ち込め! 何かされる前に潰すんだよ!」
「ブレバンあるから反射されても問題ねぇ! 【しんけいだん*20】を喰らえや!」
彼等は本命である最大規模の病院を襲う撹乱部隊の様に『地獄の八極道』の様な特記戦力がいる訳でもなく、或いは別の病院での病院内の人間を虐殺する事に特化した破壊工作部隊の様なコンボ戦術なども出来ない。
だが、マンハント時代から磨いて来た連携による状態異常の重ね撃ちで“警備に当たっている人間を無力化する”事に長けており、その狙い通りの先制一斉攻撃が裏口を警備していた者達へと牙を剥き……。
「……まあまあ、なかなか多くの攻撃でしたが、私のハーベストな防壁は抜けませんですわ!」
「銃撃も状態異常は全て防げたな。まだ仲魔になったばかりでスキルの検証も完全では無かったんだが……予想以上に強力だな」
そんな彼等の必勝を期した先制攻撃は裏口に配置されていた者達の中で、敢えて前に出て自らに攻撃を集中させていたヤマトとその新たなる仲魔──【女神 デメテル LV80】が有する“たった一つのパッシブスキル”によって防がれていた。
| エレウシスの祝福(劣化) | 自動効果スキル | D2出典。最大HPを50%増加。即死無効を得る。 1ターン目開始時、連動効果「1ターンの間、味方全体はHP1500相当の防壁を得て、MPを回復する」 自身を除く味方が打撃型・魔法型攻撃と割合ダメージを受けた時、連動効果「1ターンの間、味方全体はHP25%相当の防壁を得て、攻撃力・防御力・回避と命中を20%増加する」 自身が生存中、味方全体は次の効果を発揮「“このスキルによる”防壁を得ている時、すべての状態異常無効を得て、自身が受けるすべてのダメージが20%減少する」 仲魔のデメテルが使うには余りに強力過ぎるスキルなので大幅に効果が劣化している。 |
| 防壁 | 特殊ステータス | D2出典。「防壁を得る」効果をスキル等で受けた際に付与される特殊なステータス。 防壁を得ている際はHPバー上部に専用の表示がされ、そのあいだに受けたすべてのダメージ(割合ダメージも含む)は、防壁が優先してダメージを受ける。 以下現在絶賛検証作業中。 |
「な、なんで先制攻撃したのに防がれているんだよぉぉ!!!」
「最近のトレンドは後攻0ターン目に動く事だからじゃないか? イシズティアラ環境マスターデュエルみたいに。ガルーダ」
| ラクンダオート | 自動効果スキル | 1ターン目開始時に敵全体の防御力を20%ダウンさせる。D2仕様。 |
| 畏怖 | 覇道の神意 | 戦闘開始時、敵全体に対しランダムに1種類の3ターン持続する能力低下効果が1段階掛かる。 命中・回避率が選択。 |
必殺の先制攻撃を防がれて動揺する襲撃者を他所にヤマトの隣に立つ金色の羽根を持った女性──【霊長 ガルーダ LV72(何故か女体化)】とヤマト自身の神意によるデバフを手番を消費せずにばら撒いていく。
更にこの一連の効果は全て自動効果故に手番を消費しておらず、故にヤマトはガルーダと3体目の仲魔である金色の龍──【龍神 コウリュウ LV81】へと指示を出した。
「更にデバフを重ね掛け、その上で万能の耐性を確かめる。多種の悪魔人間と装備で耐性がバラついてるだろうからな」
「承知しました
「反射の恐れもあるが今の我なら死にはせんか。【メギドラオン*22】!」
それを受けてガルーダが更なるデバフを重ね掛けし、そこにコウリュウが万能
「デメテルは行動待機で負傷者が出れば回復を……おかしい、デバフを重ねたとはいえ“たかがメギドラオン程度”でほぼ全滅だと? 食いしばってるのも数人だし、何かの罠か?」
『レベルが上がったからダメージ量は上がっている*23とはいえ、全体万能故にダメージ効率が悪い筈なんだが』
「いや、レベルに20ぐらい差があってメギドラオン使えば普通死ぬっすよ。最近インフレ極まりすぎて感覚麻痺してるけど。……でも食いしばってる数が思ったより少ないから囮の可能性もあるっす」
そんなやり取りをしつつも彼等は油断なく残った瀕死の元マンハントを裏口の警備に付いていたミスリルの軍人と共に処理していき、更なる援軍を警戒したりもしていたが特に何も問題が起きる事なく無力化作業は終了していた。
「ミスリルの人達が周囲を警戒してくれてるけど伏兵とかは今の所確認出来ないっすね。……しかし流石はプロの軍人だけあって優秀っす。ちゃんとこっちの動きに合わせて援護してくれるし、周囲の偵察や倒した襲撃者達の処理も手際がいい」
「先に俺達チームDATが敵に当たるから必要なら援護してくれとか本物の軍人なら嫌がると思ったけど、特に文句も言わずにやってくれる辺りプロって感じがしますね」
『ドリフターの組織らしいとは聞いたが、恐らくはこの世界の味方となる側なら最大規模の勢力なのだろうな』
ちなみにミスリル側からは『全員のレベルがデモニカなしでウチの隊長クラスかそれ以上だし、共通装備や軍事的訓練を受けている動き(なりきりの為に軍事教練受けた)をしてるから多分この世界のトップクラス民間軍事会社とかかな』とチームDATは思われていたりするが。
つまり『一緒の仕事受けてる同業他社(レベル超高い)』じゃないかと思われてるので、とりあえず自分達の有用性アピールの為にも足引っ張ったらヤバいと考えて全力でやってるのである。
「それと、そのデメテルの防御スキル、パッシブとは思えないぐらい強力っすね」」
「そうなんですが……デメテル曰くかなり劣化してるみたいで」
「そうなんですの。どうもこの【エレウシスの祝福】、本体に近い魔界の深層から権能クラスのスキルを引き出したはいいものの、今の私のレベルでは完全に能力を引き出せない様ですわ。……本来なら追化で防壁を展開出来る気がするんですが、現状だと戦闘開始時に1ターンだけ防壁を展開してダメージカットと状態異常無効だけのスキルですのよ。オマケにHP増強が付きますが」
それでも十二分に強過ぎるのではと思うヤマトだったが、悪魔合体から直ぐに依頼を受けた所為でスキルの検証が余り出来なかったので強力なスキルではあるがまだ何か落とし穴がある可能性を考慮して余り頼り過ぎない方が良いと考えた。
……それでも今は病院の警護の為に検証は後回しにせざるを得ないので、引き続き周辺の警戒を続けるヤマト達の元に表門の隊長達の情報が入ってくる。
「……どうやら表門の方も隊長達が自爆特攻を阻止、侵入しようとしてた連中も見つけて副隊長達が相手しつつミスリルの人達が十字砲火でぶっ殺してるらしいっすね。……ただ、これだけの警備をした病院に派遣する戦力としては弱過ぎる様な」
「他の病院にも襲撃は行ってるみたいだから、ここへは単なる陽動で大したことない連中を派遣したとかですかね。……或いは」
『少年、こちらに近付いてくる強大な悪魔の気配を察知した。注意せよ』
……或いは“敵側の本命でもいるのかもしれない”とヤマトが考えた丁度その時、アオビトが神造魔人の感知能力によって悪魔の気配を察知したと伝えられたので警戒態勢を取る。
それと同時に援軍の気配に気がついたトモヤが他のメンバーやミスリルに連絡を入れるが、そんな彼等の前に現れたのはボロ切れを纏いながらゆっくりと病院へと近付いて来る一人の人影だった。
「そこのお前、止まれ! この先に何の様だ!」
「……? 病院に行くのだから目的は決まっているでしょう? ……子供に会いに行くのよ」
ヤマトの問いに対してボロ切れの中から聞こえてきたのは一見涼やかな女性の声だった……が、その人物から発せられる“死臭”を感じ取った二人は一切油断なく、むしろ警戒心を強めていく。
「お子さんでも入院してるんすか? 面会希望ならちゃんと予約は取ったんで?」
「いえ……この
「お子さん……? 私の子供ならちゃぁんと“ここ”にいるわよ。……だってあの時にしっかりと美味しく
女性が自分のお腹に手を当ててそう言った瞬間におぞましい気配が一気に膨れ上がり、その身から溢れ出した膨大な魔力が纏っていたボロ切れを吹き飛ばして女性の真の姿……醜悪な鬼女の姿が露わとなった。
「ええそうよ! あの食料が尽きた飢餓のボルテクス界の中で私の子供と一緒に生きるには食べるしか無かったんだもの! そしたら他の魔丞も全員殺せて食らって生き残ったんだから私がやってる事は正しいのよ! 恋しい愛しい大切なモノ全てを喰らって一緒に幸せになる【
\カカカッ/
| 鬼女 | 魔丞・ランダ | LV76 | 物理反射 ??? |
\カカカッ/
| 夜魔 | ジャヒー | LV70 | ??? |
\カカカッ/
| 邪龍 | ファフニール | LV68 | 氷結・電撃・毒無効 物理耐性*24 |
\カカカッ/
| 妖獣 | フェンリル | LV69 | ??? |
その狂気に満ちた本性を現しながら使役している三体の悪魔を召喚した【魔丞・ランダ】は目の前の病院に向かおうとするが、それを許さぬとばかりにヤマトとトモヤが前に立ち塞がった。
「コイツが本命っすかね、ギリギリ連戦になる嫌なタイミングで仕掛けて来たな。……魔丞って事はレベルが低くても油断は禁物っす。既に他にも連絡は入れておいたっすけど、まだ他に敵の援軍が来る可能性みあるんで出来れば俺達で止めるっすよ」
「了解、これでも魔丞は狩り慣れてるので御安心を。……言ってるコトワリは何一つ理解出来ないけど、お前をこの先に通してはいけない事だけは理解出来た」
『俺達でも知らない軸の悪魔も混ざっている、注意しろ』
彼等は別にプロとかではないウルトラマンシリーズファンかつ防衛チームなりきり勢でしか無いが、それ故に病院を襲い子供を喰らおうとするなど認められる筈が無い。
……子供だったあの日、画面の向こう側の“ヒーロー”に憧れて今此処にいるからこそ、子供達のヒーローである“彼等”に恥じる行いは絶対にしないと言うのがチームDATに共通する理念なのだから。
あとがき・各種設定解説
チームDAT:偽装だけど新作特撮動画に出れるぜやっほう!
・という感じの事を全員が内心で思っているが任務中&撮影中であるので表面には一切出さず、可能な限りカッコいい動画を残すためにいつもより三割増しぐらいで動いていた。
・ちなみにヘビクラ隊長のカード化技術は“腐れ縁のカード使い”に対抗する為に会得したのだが、カード化魔法とカード化解除は得意でもカードに力を引き出すのは苦手な模様。
【女神 デメテル】:ヤマトの新しい仲魔その1
・【女神 パールヴァティ】の合体案として『役割りをそのまま引き継ぐ為に同じ女神種族で回復特化の悪魔』にする為、全書登録した【天使 ソロネ】を合体させて【大天使 カマエル】とし、もう一度ソロネ と合体させて女神へと戻した事によって生まれた悪魔。
・当初の予定としては現在のレベルで呼び出せる最も高レベルの女神、かつ専用の強力な回復スキ狙いで作ろうとして、途中のカマエルより【火炎無効】も継承して火炎弱点を消すプランで悪魔合体した。
・GPの上昇とナホビノとの契約故なのか魔界の深部から力を引き出したのか、所謂『D2デメテル』が有する【エレウシスの祝福】を備えて誕生したのだが、強力過ぎるスキルだった所為か大幅に劣化している。
・まあえ真5デメテルの【マハザンバリオン】【ハマバリオン】【エレウシスの実り】【ディアムリタ】【サマリカーム】【回復ギガプレロマ】【ラスタキャンディ】【衝撃無効】も有しており、ついでにソロネを合体素材用に登録する際に写せ身合体しておいた【大活脈】【大魔脈】も引き継がせているので回復役としての運用には問題ない。
・総じて回復とサポートに特化した存在になっているが、ヤマト自身は『一般通過ナホビノの俺がこのレベルの仲魔作れるなら合一神いるらしい【新しき神話】とかも同格レベルのスキルを使って来るって事じゃないですかやだー』と考えて新規スキルの検証作業を行いつつ更なる戦力強化が必要だと思ってる模様。
【霊鳥 ガルーダ】:ヤマトの新しい仲魔その2
・【凶鳥 モー・ショボー】の合体案として『呪毒散布を使う為に霊鳥種族の悪魔にする』目的で、同じく合体希望だった【天使 ソロネ】と合体させて最高レベルの霊鳥であるガルーダにした……のだが何故か女体化した。
・本人曰く『合体素材のモー・ショボーが出来る限りのモノを貴方に残したかった様なので、その意を組みました。後最近女体化が悪魔間で流行ってるので』と言われたので一応ヤマトも納得した。
・更に真5ガルーダの【ヤブサメショット】【マハザンダイン】の他にもD2ガルーダの【ラクンダオート】スキルを携えて、それがモー・ショボーの意思を汲んで出来る限り強力なスキルを揃えたと言われたのもある。
・またモー・ショボーからは【雄叫び】【フォッグブレス】【マカラカーン(全体1ターン)】【延長強化】を、ソロネからは【ランダマイザ】【大活脈】【大魔脈】【セーフティ】を継承、更に【ファフニールの写せ身】より弱点を補う為に【電撃無効】を写して能力的には予定通りに妨害とサブアタッカーを兼ねた仲魔となっている。
【龍神 コウリュウ】:ヤマトの新しい仲魔その3
・ダアト時代に『ぼくのかんがえたさいきょうのコウリュウ』を作るために、必要なスキルを継承させておいた【ゲンブ】【ビャッコ】【スザク】【ゲンブ】を全書登録していたので再びそれらを使った特殊合体でもって誕生した。
・まあ、ダアト時代と違って【物理吸収】(真4コウリュウ仕様)を持っていたり、強力な固有スキル【五行思想】(D2コウリュウ)が備わっていたりもしたが予定より強くなってるなら良し! とした。
・そして元々(真5コウリュウ)の【メギドラオン】【万能プレロマ】【ラスタキャンディ】【咆哮】に加えて、四神から継承させた【エナジードレイン】【ランダマイザ】【大活脈】【大魔脈】【呪殺無効】【延長強化・大】と合わせて万能攻撃と補助と壁役を担う仲魔となった。
・ちなみにこの三体、及びこれまでヤマトが仲魔にして成長させてきた悪魔はGP上昇と前世の記憶を取り戻した事で契約が強まったなどの要因で思念融合などのスキル外強化領域が解放されたりしている。
読了ありがとうございました。
ちなみに【ソロネ】には手に入れた【アラハバキの写せ身】と【パズスの写せ身】から有用スキルを習得させて、その上で本人も合体素材希望だったのでガルーダの合体に使われ、更に全書登録情報がデメテル の合体に幾度も使われた感じ。