真・女神転生オタクくんサマナー外伝 ~ナホトラマン奮闘記~ 作:貴司崎
都内にある中高一貫の学校【聖華学園】、そこは都内最大規模の学校であるという“表の顔”以外にも未成年の覚醒者を入学して裏の世界について教える“裏の顔”があった。
……そんな学園に十二ある生徒会は学内で起きるオカルト的なトラブルを解決する必要がある故に裏の事情を知る覚醒者で構成されており、所謂『退魔生徒会』とも呼ばれる少年少女達は過酷になり続ける今の世界の事情もあって日夜努力を続けていた。
『KYURURURU……』『ニンゲン、ドコダァ……』『◼️◾️◼️■……』『ギヒヒヒヒヒヒ!』『ふしゅるるるる……』
| 妖鳥 | ルフ | LV48 | 電撃を吸収 破魔無効 ガンに弱い*1 |
| 堕天使 | オセ | LV45 | 呪殺無効 神経に弱い*2 |
| 龍王 | ユルング | LV50 | 火炎・氷結に強い 電撃に弱い*3 |
| 妖鬼 | キンキ | LV49 | 電撃無効 衝撃・幻惑弱点*4 |
| 邪龍 | ファフニール | LV51 | 物理・銃撃無効 氷結・衝撃弱点*5 |
そして学園内にある旧校舎、普通の学生は侵入禁止となっているその場所は悪魔が湧き出る異界となっているが、それらは異界の外には出ずレベルも階層ごとに制限されているので更なる強さを求める覚醒者の生徒が己を鍛える修行場にもなっていたのだ。
「……見えました! 前方から平均レベル50弱の悪魔が五体接近中! こっちに気付いてます!」
「了解ですわ二水さん。……やはり貴女の【
\カカカッ/
| 異能者 | 二川二水 | LV40 | 備考:聖華学園第三生徒会書記 |
\カカカッ/
| 超人 | 楓・ | LV53 | 備考:聖華学園第三生徒会副会長 |
そして現在旧校舎には【第三生徒会】がレベリングの為に潜っており、その内の一人である小柄な少女【二川二水】が異能である“魔眼”を赤く煌めかせて向かってくる悪魔を探知した。
チームDATにいる
「アナライズ終了! 初見の悪魔の敵の無効属性がわかりました!」
「二水さんの【ハイ・アナライズ*9】で通じない特性は分かりましたわ! 先手を打ちますのでまずは梨璃さん防御を!」
「分かったよ楓さん! 【テトラジャ*10】!」
\カカカッ/
| 異能者 | 一柳梨璃 | LV32 | 備考:聖華学園第三生徒会庶務 |
まず第三生徒会の生徒会長にしてパーティーのリーダー格である【楓・J・ヌーベル】の指示を受けて、後方にいた桃色の髪の少女【一柳梨璃】が予め初手に決められていた通りに味方全体を守る結界を展開する。
更に楓自身も指示を出すと同時に【タルカジャ*11】によるバフを掛けており、間髪入れずに次の指示を出す。
「こちらから先制を掛けますわ!
「了解しました」
「分かったのじゃ!」
「ええ、承知したわ……ペルソナ」
\カカカッ/
| 異能者 | LV43 | 備考:聖華学園第三生徒会会計 |
\カカカッ/
| 異能者 | ミリアム・ヒルデガルド・ | LV35 | 備考:聖華学園第三生徒会庶務 |
\カカカッ/
| シャドウ使い | 白井夢結 | LV61 | 備考:聖華学園第三生徒会副会長補佐 |
そんな追加の指示を受けた三名──上品な雰囲気を持つ少女【郭神琳】、長い銀髪をツインテールにした少女【ミリアム・ヒルデガルド・v・グロピウス】、長い黒髪を靡かせる少女【白井夢結】が迫る悪魔の前に出る。
そしてそれぞれ神琳が【マハアクエス】、ミリアムが【マハマグナス】、そして自らの
| アイスクラッシュ | 合体魔法 | 極寒の冷気で敵全体に「技」の平均値×4の補正をかけた氷結属性ダメージ+基本確率100%で氷結効果。P2罪出典。 |
『ギ、ギャァァァァァ!?』『こ、凍って……⁉︎』『ふしゃぁぁ⁉︎』『ギハァ⁉︎』
流れるように続けて使われたそれらの魔法は混ざり合い、凡ゆるモノを『氷結』させる極寒の冷気となって向かってきた悪魔達に襲い掛かる。
この合体魔法の驚異的な所は高い威力だけでなく
『■◼️◾️◼️◾️◾️!!!』
ただし、あくまで“基本確率”故に状態異常や凍結への耐性、後はシンプルにレベル差や“運”が良ければ氷結確率は下がり、今も属性相性『氷結に強い』を持ち凍結耐性のマスクデータも高かったユルングだけは“運良く”凍結を免れていた。
そして攻撃を仕掛けてきた人間に対しての怒りを滲ませながら、ユルングは合体魔法の為に前に出てきた中で一番レベルの低いミリアムに狙いを定めて【毒かみつき*12】を仕掛けた。
「のわぁっ⁉︎ 狙いはわしか!」
「……させない」
\カカカッ/
| 悪魔人間 | 安藤鶴紗 | LV46 | 備考:聖華学園第三生徒会庶務 |
しかし、そこに金髪ポニーテールの少女【安藤鶴紗】が割り込んで、手に持った大剣を大口を開けたユルングの口の中につっかえ棒の様に突っ込む形でミリアムが受ける筈だった攻撃を【カバー】した。
ただし、ユルングは蛇の様な長い体の両端に頭部がある悪魔、片方の口による噛みつきは武器による防御で防げたが、それで動きを止めた彼女にもう片方の頭部が迫って牙を肩へと食い込ませて毒を体内へと送り込み『POISON』状態とした。
「すまぬ鶴紗!」
「大丈夫ッ⁉︎ くっ……でもこの程度の毒なら*13動きに支障は」
「……こーらっ! ウチの可愛い後輩達に何してくれてんだゾ!!!」
\カカカッ/
| 超人 | 吉村・ | LV55 | 備考:聖華学園第三生徒会広報 |
だが、そこに自慢の俊足を持って飛び込んできた緑髪の快活そうな少女【吉村・Thi・梅】が、鶴紗に組みついているユルングに向けて容赦なく【デスバウンド*14】を見舞ってその全身を切り刻む。
そのダメージにより思わず噛みつきを離した後方に下がったユルングを尻目に、梅は素早く鶴紗を抱えてパーティーの後方へと退避する。
『■■■◼️◾️◼️■■◼️!!!?』
「梅様! このぐらいのダメージなら
「ダメだゾ。……前衛として味方を庇うならいいけど、ダメージや状態異常の放置は事故や重篤化があるかもで危ないからな。それに今はそこまで無茶する様な時じゃないから安全策だゾ」
そう言った梅は鶴紗を後方にいる梨璃の元に預けて状態異常の治療を頼み、自らは再び【
……一方、前線では再びユルングが第3生徒会に襲いかかろうとしていたが、そこに放たれた一発の“電撃を帯びた”銃弾がユルングの前後二つある頭部の一つの鼻っ柱を撃ち抜いて弱点属性を突き攻撃を中断させる。
『■■◼️■◼️■◼️◾️◼️■◼️◾️◼️!!!?』
「ナイスですわ
「う、うん……」
\カカカッ/
| 異能者 | LV42 | 備考:聖華学園第三生徒会庶務 |
それを成したのは黒髪で大人しそうな少女【王雨嘉】であり、彼女はユルングが電撃弱点を聞いて【ノームボム*16】を装填した銃による【グランドタック*17】による後方からの精密射撃をやってみせたのだ。
……自信なさげな表情とは裏腹にその射撃技術は高く同じ生徒会メンバーからも信頼されており、今回も期待通りの動きをしてくれたと楓は喜びつつユルングが態勢を立て直す前に夢結と共にトドメを刺すべく接近する。
「防御を下げます!」【ラクンダ*18】
「助かりますわ二水さん! これで!」【ツインスラッシュ*19】
「終わりよ」【ジオダイン*20】
『■■■■■■◼️■■◼️◾️◼️!?』
そこに二水の防御力低下デバフが加わった事で十分倒しきれると踏んだ楓は、装備している機械的な剣──
そこに己のシャドウたる戦乙女の潜像を呼び起こした夢結が迫り、トドメに弱点となる強烈な電撃を叩き込んだ事によってユルングのHPはゼロとなったのだった。
「お、急いで戻って来たけどもう片付いたのか」
「ええ、ですがまだ『氷結』している悪魔が残ってますわ。時間経過で回復される恐れがありますから早めに倒しましょう」『GAAAAAAAAA!!!』ッ⁉︎」
しかし、ユルングを倒して彼女達が
どうも状態異常回復が早い軸の個体*21だったのか直ぐに戦闘態勢に入ったキンキは楓を狙って拳を振り抜こうとし……。
| 衝撃ギガプレロマ | 自動効果スキル | 衝撃属性によって与えるダメージを大きく上昇させる。真5仕様。 |
| ザンバリオン | 衝撃属性スキル | 敵単体に特大威力の衝撃属性攻撃。真5出典。 |
その直前に後方から放たれた超強力な衝撃波による颶風がキンキに直撃し、弱点である事もあって悲鳴をあげる間も無いままに跡形もなく消滅してしまったのだった、
「……ちょっと危なそうだったから手を出しちゃったけど良かったかな?」
「……ええ、まあ対応出来ない事はありませんでしたが態々危険を犯す程でも無かったですしね。助かりましたわ」
\カカカッ/
| 顕現者 | 一柳結梨 | LV72 | 備考:聖華学園第三生徒会庶務 |
それを成したのは第三生徒会最後にして最強のメンバーである【一柳結梨】であり、彼女はレベルが高すぎる事もあって本気で戦われるとレベル50以下新人組のレベリングにならないので普段は後方待機しており、ピンチになった時だけ戦闘に参加する事になっていたのだ。
……まあ、彼女にとっては“再会出来た大切な友達”である生徒会メンバーが戦ってるのを後ろから見てるだけというのも少し不満があり、レベリングの重要性自体は理解してるので基本自重しているが今の様にちょっと手を出す事はあったりする。
「やっぱり結梨さんのポジションはもう少し煮詰める必要がありますわね。……と言っても今のレベル帯の異界では“いざという時の切り札”になってしまうのですが」
「そこは異界から出てから考えるべきね。それよりもこれ以上回復される前にそこの氷像を砕くわよ」
「分かっておりますわ、夢結さん」
新学期に入って“色々あった”のでメンバーの大半を一新した第三生徒会、そのより良い動かし方については今でも生徒会長である楓の悩みの種ではあるのだが、それとなくフォローした副会長である夢結の言も最もなので今は悪魔との戦いに集中する事にした。
「……毒は治ったので私も手伝います」
「待って鶴紗さん! 毒は【パトラ*22】で治ったけどまだ傷が」
「大丈夫、このぐらいのダメージは直ぐに治るから」
| 自動効果スキル | 行動順が巡って来るたび、HPが最大値の6%回復。P3出典。 本来なら一部の高位ペルソナが有するスキルの筈だが……? |
そこに毒を治してもらって前線に戻ってきた鶴紗も心配する梨璃を他所に“傷を自力で治しながら”氷結した悪魔への攻撃に加わろうとするが……。
「それはそれとしてまだ治ってないなら回復はいるよ! 【メディラマ】!」
「事故防止にHPはなるべく全快にしておきたいよね。……あ、結梨は後ろに下がってバックアタック警戒しとくね」
「……別にそこまでのダメージじゃないから大丈夫なのに」
そこに梨璃の全体回復が飛び鶴紗のダメージの他にスキルで消費されたHPも全回復させる。そして経験値を横取りしないように後方に下がった結梨を除いた一斉攻撃で悪魔達は撃破されたのであった。
……その後も第三生徒会はこの辺りを探索しつつ悪魔とマップの調査を行い、他の生徒会や探索チームへの事後報告なども見据えながら慎重に異界探索を終えて無事に地上に帰る事が出来たのであった。
──────◇◇◇──────
「……ふぅ、とりあえず本日の探索の報告書はこんなものですわね。とりあえず“新生第三生徒会”の活動もようやく軌道に乗って来ましたか」
「お疲れ様です楓さん、こちらの本日使ったアイテムや装備の整備に掛かった費用の決算も終わりました。ふーみんさんの方で解析した悪魔データのまとめも終わった様なので、休憩がてらあちらでお茶とお菓子でもどうですか?」
「ありがとうございます神琳さん、いただきますわ」
学内に用意された第三生徒会様の生徒会室、そこに帰って来た彼女達は議長である楓を中心としての書類作業を終えてからお茶菓子で一服しようとしていた。
ちなみに第三生徒会の生徒会室は主に会長である楓が自ら持ち込んだ豪奢な家具によって内装がちょっとした豪邸の様になっており、振舞われるお茶菓子も高級志向で楓や神琳、夢結などのメンバーがお茶の淹れ方などにも詳しい事もあり何処かのお嬢様学校のお茶会の様な雰囲気になっていたりする。
「わ〜! お姉様が淹れてくれたこの紅茶凄く美味しいですね!」
「ありがとう梨璃。今日の茶葉はとても良いものだったから」
「もっもっもっ……このシュークリームもおいひいね」
「そうじゃな、このシュー生地とクリームの甘みが最高にマッチしてもっもっもっ……」
「はぁ、結梨さんとミリアムさんは食べるか喋るかどっちかにしなさい」
「「もっもっもっもっ……」」
「あはは……食べる方に集中しましたね」
まあ、第三生徒会とは言え実態は彼女達も花の女子高生であるので気を抜ける生徒会室では結構年頃の少女らしい生活を送っており、それ故に友達同士でこんな気楽なお茶会が出来るのは素晴らしい事だと思ってもいた。
……最も、そこは日夜悪魔と戦う退魔生徒会だけあってお茶会の最中の世間話がちょっと物騒な方向に向かう事もあるようだが。
「……はぁ」
「どうしたの? 梨璃」
「いえお姉様……やっぱり私だけが生徒会の足を引っ張ってる気がして。レベルも一番低いですし戦いも得意じゃないから……」
そんな風に悩みを吐露する梨璃の内心では生徒会に入る前からパーティーを組んでいた結梨がなんか休日明けたらめっちゃレベルが上がってたり、二水の方もレベル40の大台を超えた上に豊富な索敵スキルによるパーティーの生命線として活躍している事が若干のコンプレックスになっていた。
「そんな事はありませんわ! ……というか第三生徒会の回復役である梨璃さんは割と生命線ですわよ。結梨さんも状態異常までは治せませんし、更には【秘石】の様な希少なアイテムを作って安価で提供してくれてますし」
「そうね、それに悪魔との交渉で宝石を手に入れてくれたり戦闘を回避したりもしてくれた十分に活躍しているわよ。……レベルだって30を超えていれば一昔前の生徒会では普通にエースだった筈なのだけど」
「最近のインフレが酷すぎるんだよなー。舞達も気付いたら50超えてるのに退魔生徒会全体から見れば良いとこ中堅どころだしな。……その分梨璃は状態異常も回復出来てアイテム作れて交渉も出来るから、多分第七生徒会とかでも舞達戦闘班より活躍出来るゾ」
最もそう思ってるのは梨璃本人だけであり、実際には回復に補助に生産に交渉にとパーティーの支援に大活躍していおり、それが分かってる上級生達はフォローを兼ねた正当な評価を言うのだが。
そこでテーブルの隅の方で何か言いたそうにしている鶴紗……を見た神琳が目を輝かせながら素早く彼女を梨璃の前へと押しやった。
「おやおや梨璃さん、どうやら鶴紗さんが貴女に何か言いたいようですよ! さぁどうぞ鶴紗さん!」
「ちょ神琳⁉︎ …………り、梨璃の回復にはいつも助かってるし役に立ってないって事はないと思う。今日も解毒してくれたし」
「鶴紗さん……ありがとうございます!」
無理矢理前に出されて止む無く皆の前でちょっと恥ずかしいセリフを言ってしまった鶴紗に対し、梨璃の方は素直にお礼を言ったので更に鶴紗が照れてその場の空気は“ほんわか”としたものとなった。
……そんな赤面する鶴紗を見て普段よりも『良い仕事をした』を言わんばかりに“イイ笑顔”を浮かべている神琳、そんな割と“いい性格”をしてる彼女を少し呆れたような目で見る雨嘉と二水というのもこの生徒会でよく見る光景であったが。
「まあ、実力が足りないというのは梨璃さんだけでなく
「ワシはまだそこまで活躍出来ておらんじゃろう。楓が実家から取り寄せた武装型COMPの整備が必要だからスカウトされたが、まだ楓と梅が使っておる物以外は届いておらんし。自分用の武装型COMPもまだ完成しておらんからの」
「というか生徒会全員に武装COMP、しかも【グランギニョル社】製の高級品を格安で提供するとか大丈夫何ですか楓さん? 幾ら御実家とはいえ」
「そこは私の実家である【グランギニョル社日本支部】は武装型COMP開発以外にも、開発を行う技術者達のスポンサーもやっておりますので色々と伝手があるのですわ。新型機の集団運用時に於けるテストユーザーとかの名目で仕入れられますから」
ちなみに【グランギニョル社】は表向きは世界的な機械類やコンピューター関連商品を扱う企業だが、裏ではCOMPなどの対悪魔様装備開発も行なっており最近話題の【武装COMP】の開発にも関わっていた。
そんな会社の令嬢である楓の伝手で最新型の武装COMPを格安で買えるという話になって、現在第三生徒会はそれぞれの専用装備として発注しているのだ。
「我が社が開発している武装COMPは躯体の大型化と引き換えに遠近対応の可変機能などで武器としての性能を強化、更に専用の高性能コンピューターコアを搭載する事で強化改造の容量増大と魔晶の複数装備*23を可能としていますわ。その分値段と整備費が掛かりますが、そこはスポンサー特権(コネ)と整備法を知る私とミリアムさんでカバーですわ」
「カタログは見たけど凄いよね。それを整備出来るミリアムさんもだけど……確か武装COMPの開発にも関わったんだっけ?」
「開発に主に関わってたのは卒業した“百由さま”の事じゃがな。ワシはその手伝いをしておっただけじゃ。……まあ自分で武装COMP作ったり整備したり出来るぐらいの腕はあるがの」
「……しかし、やはりというか楓さんにはお世話になってばかりですね。戦闘においてもパーティーの指揮を行いながら自分も前線で戦うので負担が大きいでしょう」
そんな色々とやっている新生徒会長に掛かり過ぎている負担を神琳は懸念していた。実際この第三生徒会の要は『楓・J・ヌーベル』であり、彼女に疲労が溜まるなどして何かあった時のリスクは高いだろうと考えての事だ。
「一応疲労が溜まらない様に休養は取ってますわよ。デビルバスターの基本ですし」
「ですが戦闘時に負担が掛かっているのは否めません。……私か二水さん辺りが指揮を補助出来ればいいんですが、今探索しているレベルのエリアだと指揮にまで気を使えるだけのレベルが足りませんから」
「戦闘しながらの指揮とか実力が無いと普通は無理ですもんね。高レベルの戦場とか足引っ張らないだけで精一杯ですぅ」
「まあ副会長をやってる私もパーティーの指揮が得意なタイプじゃないのよね。レベルが最も高い結梨さんも……まあ無理よね」
「うん、戦うなら出来るし集団に合わせるのも出来なくはないけど指揮とかは苦手。ヤマトみたいに敵味方の呼吸全て把握して機先を奪いながら指示出せる訳じゃないし。あっちは自分の仲魔専門だけど」
実際、新生第三生徒会の多くのメンバー……というか楓と梅と昔一時期第三生徒会に入っていた夢結以外は“今年聖華学園に入学したか最近編入したばかり”で学園生活に慣れていないのだ。
なので元第三生徒会副会長だった楓が生徒会の運営の多くを受け持ってるのが現状であり、それを知ってる他のメンバーからの気遣いだったのだが……当の楓は微妙に居心地悪そうな表情で目線を逸らしていた。
「ええと……皆様が仕事に慣れるまでは元副議長で生徒会の運営を知ってる私がやっておかないと……」
「まー生徒会に新入生とかを沢山入れる事になったのは
「梅⁉︎ そこまで私のやらかしの割合は多くないと思うんですが!」
「……そういえば、学園に慣れてない新入生や編入生中心に新メンバーを集った理由は知りませんでしたね」
「『ヘルズエンジェル事件』などで活躍した先代の第三生徒会に今年卒業の三年生が多かったので、人員の大幅な変更が必要とは聞いてましたが……まさか追加人員の選定はやってなかったんですか?」
尚、二水の言う通り先代第三生徒会に卒業生が多かったのは事実だが、そんな事は生徒会役員自身がよく分かっていたので事前に引き継ぎの準備として次期生徒会長であった楓が生徒会に入ってくれる人間に声を掛けるなど引き継ぎの準備はしっかりと進めていた。
……だが、実際には神琳の言葉通りに何故か新入生や編入生中心に新メンバーを集めており、それもあって楓に仕事が集中しているのだが……。
「そ、それに関しては深い事情というか身辺整理の結果というか……」
「簡単に言うと楓が追加人員として声を掛けてたのが『楓をお姉様と慕う後輩女子生徒達』でナ。そこに“楓に実は彼氏がいる”というカミングアウトをしたから、『お姉様に彼氏なんて!』『お姉様を殺して私も死ぬ!』みたいな騒動になって加入予定は全部白紙になったんダ」
「流石に刃傷沙汰起こす人を生徒会に入れる訳には行きませんのよ! ……も、勿論その後の“話し合い”で身辺整理は終わって現在の生徒会には影響ありませんが!」
「「「「えぇ……」」」」
尚、楓は態々そんな事をカミングアウトしてでも身辺整理をした理由には『学園受胎事件』で知った“とある情報*24”が原因にあったりする。
……まあそれでも生徒会結成後に刃傷沙汰が起きるよりは遥かにマシだったのだろうし、それが分かった神琳・二水・雨嘉・鶴紗はなんとも言えない表情になっていた。
「それで三年生が卒業して引き継ぎ人員も全滅したから一時期第三生徒会メンバーが梅と楓だけって状態でナ。それでどうにか人を確保するにあたって復学した元第三生徒会の夢結に声を掛けてな」
「ヘルズエンジェル事件でシャドウを暴走させたのを理由にして勝手に生徒会を辞めた事には負い目があったしね。……それでも古巣がそこまで酷い事になってるとは思わなかったけど」
「それだけでは足りないので追加で生徒に声を掛けたのですが、刃傷沙汰事件が変な噂になったのか一時期第三生徒会が学園生から避けられる事態になってしまい……だから噂を知らない新入生や編入生中心に声を掛けて今に至るのですわ……」
ちなみにその後の新入生や編入生加入は思った以上に上手くいったのだが予想以上に有能な人間が集まったり、加入を打診していた結梨が数日後に加入を頼みに来た時に何故かレベル70越えになってるという意味不明な事象もあったりした。
それにより当初の懸念であった戦力不足は問題無くなったが、逆にそんな個性的なメンバーを率いる事になる楓は想定以上に新生生徒会の運営に気を使う事になったのだったとさ。
「なるほど、つまり新生徒会メンバーは楓さんの女性関係の問題を起こしそうにない人間から選ばれている訳ですね」
「そんな感じだナー。また楓が無自覚に後輩女子を愛でつつ無駄に男前な所を見せるタラシっぷりを見せなきゃだけど」
「態とやってるんじゃありませんのよ! 私としては普通に女子生徒と交流してるだけですのに!」
「まあ頼りになる先輩をお姉様と慕う事は良くあるから。……そしてその“お姉様”が男に取られて……ううっ! (脳破壊される音) どうして美鈴お姉様はあんな胡散臭い男に……ギギギ」
「お姉様⁉︎」
なんか流れ弾でお姉様(どっかの防衛チーム副隊長)を胡散臭い男(どっかの防衛チーム隊長)にNTR(本人視点)された夢結の脳にダメージが行ったりしたが、まあ生徒会内部に悪影響がないなら良いだろうと楓と舞からは呆れつつスルーされる。
「ええと……ま、まあ! 楓さんはカッコよくて良い人ですから他人に好かれるのも当たり前ですからね! それに色々とお世話にもなってるし、何か手伝える事があったら言ってください!」
「ううっ……ありがとうございますわ梨璃さん。貴女の優しさが身にしみますわ」
「それに夢結お姉様も! あの『ヘルズエンジェル事件』の時に偶々東京に来てて巻き込まれた私を助けてくれたり、今でも生徒会の主力として活躍してて……とにかく頑張って下さい!」
「梨璃……ええ、貴女が“お姉様”と呼んでくれるなら私は脳破壊に負けないわ! そしていつかあの胡散臭い男を倒してみせる!」
……尚、そんな寸劇を見た梅は『やっぱ梨璃を他所の生徒会に渡す訳にはいかんな。主にこの二人への精神安定剤的な意味で生徒会の主軸になってるし』と思ったそうな。
「まあとにかく、今後は旧校舎の今の階層を探索しながらのレベリングに努めますわ。……夢結さんや結梨さんの様な特記戦力頼みならもう少し下の階層にもいけますが、お二人に頼りきりではいけませんもの」
「今必要なのは全体の底上げという事ですね。後はもう少し連携を煮詰める必要があるでしょう」
「まー今後また【受胎事件】級のヤベーヤツ相手するなら数による連携をもう少し強化しつつ、個々のステップアップも必要だな」
そんなこんなでメンタルの安定を取り戻した楓の提案に神琳や梅を含む生徒会メンバーは賛成の意見を述べた。実際二人に頼れば現在の旧校舎のより下層にも行けはするが、その結果生まれる連携は二人に頼った歪なものになるだろう懸念からの考えである。
「うん、強い人一人がいるよりちょっと強いのがチーム組んだ方が強いよね。今の結梨でも一人じゃ平均レベル60以上の【擬似ボルテクス界】長期探索とか【奥多摩アビス】での戦闘は無理。ヤマトみたいに豊富なMP探索手段で長期戦出来る訳でもないし、強化付き貫通が横行する様な場所だと結梨の大体無効以上になった属性耐性も意味ないもん」
「まあ不本意だけどあの【チームDAT】の様に高レベルが連携が取るのが一番強いわね。……お姉様にシャドウの制御を学ぶついでにあそこの手伝いでセプテントリオンとか言う宇宙怪獣と戦ったり京都ヤタガラス征伐に行ってチームの重要性は思い知ったわ。一人で行動とかは絶対にダメよ」
「……流石に学園の外の戦場を経験してる人は違いますわね」
そんなこんながありながら聖華学園第三生徒会は学生としての日常と異能者としての戦場の何方でも、自分達に出来る事に全力で取り組みながら仲間達と共に日々を歩んでいたのだった。
あとがき・各種設定解説
第三生徒会:大体アサルトリリィ原作の『一柳隊』のノリ
・楓の実家である【グランギニョル社】の本社はフランスなのだが、早期にメシア教のヤバさを感じ取ったCEOが本社機能を日本に事前に移転させて娘である楓も日本人の妻の伝手で聖華学園に転入させた感じの設定。
・梨璃が夢結の事をお姉様と読んでいるが、これは『ヘルズエンジェル事件』に巻き込まれた梨璃が夢結に助けられて憧れの感情を抱いて、聖華学園女子寮に伝わるスール的な伝統云々のノリで呼び始めるという……まあ大体アサルトリリィアニメ版みたいな事があった感じで。
・夢結は受胎事件中はチームDATの手伝いでセプテントリオンと戦っていたので巻き込まれていないが、その分本編で行った通りシャドウ制御の修行に加えて実践経験を得ているので高いレベルを有している。
・お姉様が生きてるので原作程にメンタルにトラウマを抱えておらず、それ故に己のシャドウも十分に制御出来ているが、百合百合なアサリ原作ではなく百合の間にスパダリが挟まるオタクくん世界なのでその分残念度が増して脳破壊属性が追加された(笑)
・順番的にはセプテントリオン・学園受胎が終わった辺りで隊長と副隊長の関係がバレて夢結が脳破壊されてチームDATを離脱、それから直ぐにヤマトがDATと出会って新人隊員になった感じ。
・ちなみに神琳・雨嘉・ミリアムも避難系編入生で、鶴紗は聖華学園に“保護された”枠の設定がある。
読了ありがとうございました。
とりあえず本家様で出た設定を重視しつつアサルトリリィ原作設定をメガテン式に流用する感じでネタ的に書いてみました。正直チームDATより書きやすいかもしれん。