真・女神転生オタクくんサマナー外伝 ~ナホトラマン奮闘記~   作:貴司崎

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聖華学園の食堂にて

「わーい、やっとお昼だ〜。今日は何食べよっかな〜。昨日はご飯だったから今日はうどんにしようかな。今日はこれで授業終わりだし……」

「結梨ちゃんは何時も楽しそうにご飯食べるよね」

「だって梨璃、美味しいものを好きなだけ食べられるって言うのはとっても幸せな事なんだよ?」

「……それは少し分かる」

 

 ある日の聖華学園にて、午前中の授業を終えた【一柳結梨】【一柳梨璃】【安藤鶴紗】【二川二水】の四人はお昼ご飯を食べようと食堂へとやって来ていた。

 ……特に食べるものも配給制であった世界出身のドリフターである結梨は非常に楽しそうにしており、それにつられて他の三人の顔にも笑顔が浮かぶ実に微笑ましい光景であった。

 

「ミリアムさんも誘ったけど届いた新型武装COMPのパーツを見てくるって言ってたし、神琳さんと雨嘉さんも一緒に届いた自分用武装COMPの調整があるって言ってたけど」

「『なんか予定より性能が上がっとるんじゃが? 自作のヤツもこのレベルで作ってねぐろっぴじゃないんじゃが百由様⁉︎』とか言って忙しいそうでしたからね」

「まあ、新型武装COMPは可変機能に慣れるのが手間だけど性能は強いから。使いこなす為の準備や訓練も必要だろう」

 

 最も彼女達は退魔生徒会の一員でもあるので会話内容は相応に物騒なものであったが、この食堂は“そういった事情持ちの生徒”がよく利用しているので周りから不自然に見られる事もない。

 まあ、全員美少女揃いな事もあって男子生徒からは少し注目を浴びていたり、一部からは『あの子達の会話は脳破壊とかされない普通の内容だからホッとするなー』とか言われたりもしてたが特に実害は無いので問題ない。

 

「結梨達も武装COMPの習熟は引き続きやらないとねー。とりあえず悪魔相手に通常攻撃で武器熟練度上げかな、近接モードと射撃モード両方でやって検証しないと」

「そこまでする必要あるの? というか武器を使い込めば攻撃力が上がるなんて初めて聞いたよ」

「まあ、私達のは『試作武装COMPのテスター』という扱いで楓さんの実家から武装COMPをタダ同然で貰ってるんですから、それらを使った検証作業は必要ですよ」

「近接モードと射撃モードによる熟練度上昇は共有されるか別種として扱われるかだったっけ? 後は実戦での可変機構の運用方法とかのレポートも欲しいとか言われてたっけ」

 

 彼女達に預けられたグランギニョル社製新型武装COMP『CHARM』、その第二世代型である近接モードと射撃モードの切り替えが可能な可変機構搭載型は未だに成熟途中の技術故に複数のテスターによるデータ収集が求められていたのだ。

 ……尚、実際には夢とロマンを注ぎ込んで作った可変武装COMPが売れずデータが取れなくて困ってたグランギニョルの技術者が、お嬢である楓の新武装を融通してほしいという要望にコレ幸いと死蔵されていた試作機を放出したというのが真相なのだが。

 

『よっしゃ夢とロマン全振りの第二世代CHARMを合法的に美少女へ使わせるチャンス! 娘とその友達の事だからCEOも大目に見てくれるどころかポケットマネーから支援してくれるぞ!』

『ふん、甘いな。……念願の美少女に自作のゴツい武器を使ってもらう悲願の時なんだから、自腹を切ってでも最高の性能と能力を持つように強化改造や追加パーツを付けて貢ぐべきだろぉん⁉︎』

『とりあえず退魔生徒会の各人の能力に合わせて魔晶装備とかCOMP機能拡張、後はアプリとかも入れようか。出来ればこの前フィードバック出来たコマンダースキルや連動機能デモニカも付けたいけど』

『流石にいきなりそこまで行くとお嬢に不自然さがバレる……もとい可変武器という使いにくい装備に慣れさせる事も必要だろう。それと百由ちゃんの弟子も生徒会所属で武装COMP自作するらしいから良いパーツ送っておくか』

『ウチの技術者なら作ったけど売れない試作品ぐらい倉庫にありそうですし、上手く交渉すればその辺りの装備を安く手に入れ……なんでいきなり第三生徒会人数分の最新鋭武装COMPの仕様書が送られて来ますの?』

 

 ……そんな感じで実家のコネを使って装備を入手しようとした第三生徒会の生徒会長さん、及び自分達の作品を美少女に使わせたい技術者の思惑が重なった形で彼女達に最新鋭装備が与えられた事情があったりする。

 最もその辺りの事情を知るのは上級生達だけであり、下級生達は生徒会長の楓がコネを使ってテスターの立場を貰って来てくれたと思ってるので真面目に仕事である武装COMPのテスターをやろうと頑張っていた。

 

「検証作業は重要だからねー。ちゃんと確かめないと思わぬ落とし穴とかもあるから。……この前も祈り手さん達の手伝いで【奥多摩アビス*1】に行ったら電撃貫通食らって食いしばりも出来ずに死んだし。結梨は貫通にも通用する75%相性防具が機能しないって知らなかったから」

「え? 結梨ちゃんって普通に装備とか付けられるよね」

「悪魔人間は度合いによるけど一部装備が機能しない事もあるけれど」

「そういうのじゃなくて結梨の元の耐性が『電撃反射』だからね。結梨も火炎弱点とかを【火炎無効】スキルで上書きしてるから“より耐性的に強固なものが実際の耐性として適応される*2”理論で装備による75%耐性よりも元の反射耐性が優先されたみたい。だから防御相性75%防具効果も上書きされちゃって反射を抜く貫通を軽減出来なかったの」

 

 ちなみに悪魔人間の素の防御相性がある悪魔人間でも装備を付けると弱点と耐性が相殺し合って防御相性が上下する事は知ってたので付けたのだが、今回のケースでは“耐性と耐性”故により強い耐性が優先されてしまった模様*3

 まあ、とにかくこの様にスキルや装備の仕様には個人差が大きいケースも多々あるので、とにかく自分が使う分の特性だけでも最低限詳細に把握しておかなければならないと祈り手(検証班)に世話になっていた経験のある結梨は熱弁していた。

 

「結梨は元の相性で物理以外の大抵の属性を無効以上で受けられるけど、やっぱり貫通が怖いから状態異常対策装備以外はシンプルに防御力が上がる装備がいいかな。更に自動効果スキルを習得出来れば良いんだけど流石にもう無理っぽいし、やっぱりジエンくんとかも付けてた見切り系アクセの方が……」

「なんか結梨ちゃんが凄い高度なこと話してるよぉ……貫通対策っているの?」

「さ、流石に今の旧校舎レベルでは要らないと思いますので、普通に状態異常対策装備を揃える辺りの基本をしっかりやった方が良いですね」

「そもそも自動効果スキルはポンポン増えないと思う。……改造手術でもすれば別だけどさ」

 

 そんな会話をしつつも食堂で昼食を注文した彼女達はどこかに座って食べようとするが、本日は意外と食堂利用者が多くて四人で座れる席がなかなか見つからなかった。

 ……このままお盆を持って立ち尽くす訳にも行かないので仕方なく別れて食べようかとなったのだが、そこで梨璃が大きなテーブルに一人の少女だけが座ってる場所を見つけたので相席を頼んでみる事にした。

 

「すみませーん、相席いいですか? ……あ、ひょっとして友奈ちゃん?」

「……あ、ええと確か梨璃さんでしたよね」

 

 そう、テーブルに一人で座っていたのは赤髪の少女【高嶋友奈】であった。普通の少女っぽい見た目に反して彼女は退魔生徒会でも一部しか潜れていない旧校舎異界の深部に行ける程の凄腕の一般生徒デビルバスターであり、同じく旧校舎に潜っている梨璃達第三生徒会とも面識がある。

 

「あ、友奈ちゃんがテーブルにいるって事は何時もの子達と待ち合わせとかかな? じゃあゴメンね、別の所に行くから……」

「い、いえ! 今日は風先輩達と一緒って訳じゃなくて一人なので相席大丈夫です! ……あ、何時ものクセで一人なのにテーブルに座っちゃったから……」

 

 今日は珍しく他の“JCビルメンバー”とは予定が合わずに一人で食堂に来た友奈だったのだが、少し考え事をしていた事もあって何時ものクセで大テーブルに座ってしまったのだ。

 加えて食堂では“色々な意味で”有名人な彼女達なので周りの人間も『何時ものメンバーと待ち合わせかな』と察して座らなかったテーブルを結果一人で独占してしまっており、それに気付いた彼女は慌てて事情を説明すると共に梨璃達に一緒に座っても良いと説明して共に昼食を食べる事になった。

 

「結梨ちゃんもそうだけど友奈ちゃんもすっごく強いよね。この前の旧校舎でも助けられちゃったし、どうすればそんなに強くなれるの?」

「うーん……とりあえずレベルを上げる? 結梨は検証作業の手伝いをしながら少し格上と戦ったり、ヤマトと一緒に平均レベル60ぐらいの異界に閉じ込められたときに出現悪魔を狩り尽くして、最終的にレベル80越えの敵を倒したらレベル70超えてた」

「まあ格上と戦うと一気にレベルは上がるよね。なんかボスのレベル90が越えとかレベル100超えてたりとか。……弱い敵の群れを倒してもレベルは上がらないし」

「いや梨璃、多分これらの話は参考にしちゃいけないヤツだから」

「普通に死にますから真似しちゃダメなヤツです」

 

 そんな昼食風景の中での梨梨の質問に対する結梨と友奈のインフレ極まった発言だったが、すぐに真っ当な価値観を持ってる二水と鶴紗からツッコミが入った。

 確かに格上の強敵と戦えばレベルは上がりやすいが、言うまでもなくその前に死ぬ可能性の方が遥かに高いので偶々遭遇した格上と戦うとぐらいならともかく、最初から限界突破狙いで狙って格上殺しを行うというのは狂人の所業ではある。

 

「まー異界に閉じ込められた時も結梨一人じゃ十回は死んでたし、ヤマトがいてくれて異界の悪魔のステータスを全部把握してなければ攻略なんて無理だったし。ヤマトも『能力把握出来てない悪魔がいる異界なら普通に事故死してる』って言ってた」

「やっぱりそんな都合よくレベルアップ出来る方法なんてないよねぇ。地道に鍛えるのが結局一番の近道ってやつ」

「レベル上げる以外にも装備の見直しとか連携戦術訓練とかやる事はいっぱいありますよ。旧校舎の探索だけだと経験が偏るので外部依頼なども受けるかもしれないと楓さんが言ってましたし」

「ま、お手軽に強くなれるなんてどうせ碌な方法じゃないから。退魔生徒会の上澄み達も長い間相応の努力を積んでるからこそあの実力だろう」

「……でもそんな悠長にしてたら他の人達はドンドン先へと行っちゃうんだよ。このままじゃまた置いていかれる……」

 

 最も梨璃も一応は霊能者の家系出身なのでお手軽にレベルアップする方法などない事は百も承知であり、他の生徒会メンバーも単なる話のタネ程度として深刻な事とは思っていなかった……のだが、友奈が沈んだ顔でそんな事を呟いたのが聴こえて思わず黙り込んでしまった。

 

「…………あ、いや、今のは違くて……もうちょっと強くなる様に頑張らないとなーって意味で……」

「そういえば前に友奈ちゃんに旧校舎で助けてもらった時のお礼をちゃんと言ってなかったね。……あの時は助けてくれてありがとう。凄く強くてカッコよかったよ」

 

 そんな自分の失言に気が付いた友奈が慌てて話を逸らそうとしたが、それに対して優しげな笑顔を浮かべた梨璃の“お礼”を受けて思わず口が止まってしまった。

 

「この前はいきなり後ろから現れた悪魔の群れに加えて、いきなり現れた格上の悪魔相手に結梨ちゃんが足止めされててピンチの所に飛び込んで来て助けてくれたよね。そうやって誰かを全力で助けようとしてる友奈ちゃんは凄いと思ったんだ」

「で、でも、私はまだ全然強くないし役に立ててないし肝心な時にはいつも蚊帳の外で……」

「それでも友奈ちゃんが私達を助けてくれた事は本当だからね。そこへの感謝は受け取ってくれないかな?」

「……え、ええと……は、はい。どういたしまして……」

 

カリスマ自動効果スキル交渉時に使用した会話スキル、話しかける者、会話相手の悪魔の種類に関わらず、常に50%の確率でキラー相性になる。

あらゆる交渉が少しだけ成功しやすくなる、一柳梨璃が持つ“他者に好かれやすいカリスマ性”が具現化したスキル。

 

 その後もニコニコしながらお礼と褒め言葉をいう梨璃に毒気を抜かれたのか、先程までの危うい雰囲気が霧散した友奈は元来持っている素直さを見せてお礼を受け取るのだった。

 ……最も彼女の悩みの根底にあるモノがどうにかなった訳ではないのだが、それでも今日の昼食時ぐらいは普通の女学生の様に過ごせる事だろう。

 

「そういえば結梨ちゃん、よく話に出て来る“ヤマト”って人とはどういう関係なの? 今まで改めて聞いた事が無かったから気になっちゃった」

「んー、ヤマトの事? えーっと(ドリフターとかダアト時代とか結梨の出生とかは秘密だから)……うーん(結梨の前世?のアマノザコ とかの縁がある関係だから)“運命の相手”で(友達だし色々助けて貰ったしアマノザコから少しだけ受け取った想いもあるから)“大切な人”?」

「「う、運命の相手で大切な人⁉︎ (恋人的な意味で)」」

「?」

 

 そんな会話の中で実の所まだだいぶ世間知らず故に結梨がヤマトに対する質問に対して色々と言えない部分を端折って選んだ言葉が誤解を招きそうなチョイスになり、それを聞いた恋愛ネタに歳相応の興味がある梨璃と二水が目を輝かせながら話し始めるなどといった事態もあった。

 まあ、デビルバスター系の会話よりも年頃の女学生の会話としては普通であるし、一人冷静だった鶴紗は『多分結梨は“そっち方面”の意味で言ってないっていうかそもそも分かってないよね』と思っていたので昼飯を食べつつ友奈の方を見たら……。

 

「……う、ううっ……(号泣)」

「なんで⁉︎」

 

 なんか口元を押さえてさめざめと泣いていた友奈を見つけてしまって思わず驚きの声を上げてしまった。流石に今の流れで号泣する要素とかは無かったからね。

 

「どうしたの一体⁉︎」

「ううっ、この食堂でこんな女学生らしい健全な恋愛話が出来るなんて……! 全然爛れてないし色ボケてもいない普通の恋愛話が聞けたから思わず涙が……!」

「どういう事なの……?」

 

 尚、彼女が泣いていた理由はそんなんだったので鶴紗は困惑を更に深くしたが、周りで話を聞いていた一部の男子生徒が深く頷きながら『そうそう、こういうので良いんだよこういうので』『脳破壊されない健全な会話は心が癒されるなぁ』とか言ってたりした。

 ……まあそんな微笑ましい会話が成されながらも昼食は終わり、今日は半日授業である事もあって彼女達はそれぞれの放課後の予定に向けて行動しようとしたのだが……。

 

「……うん? 結梨ちゃんスマホが鳴ってるけど」

「んん? ……あ、ヤマトからのメールだね」

「おお噂の!」

 

 そのタイミングで結梨のスマホへヤマトからのメールが来た事で、ちょうど話題にしていた事もあってその場の花の女子中学生・高校生は目を輝かせて何かを期待する様な目線を結梨に向けた。

 ……最も結梨の方はヤマトとメールでやり取りするのはよくある事なのね何故そんな視線を向けるのかはよく理解しておらず、まあ別に友人に見られるのは嫌ではないし危ない匂い(マガツヒ)はしない*4から気にしなくて良いかとスルーしつつ届いたメールを見た。

 

「えーっと『大事な話があるから今日の放課後に会えるだろうか。こちらから学校に行くつもりだが予定は大丈夫だろうか。“以前の一件”に関わる事だから君一人で来て欲しい』だって」

「お、おお! これはひょっとして学生の青春的なあのイベントでは!?」

「ま、まままままさか告は……!」

「この学園にそんな青春っぽいイベントがあったなんて!」

 

 周りにいるのが友人達で内容も普通の事(結梨視点)だったのでついメール内容を朗読してしまった結梨だったが、それを聞いたJCJK達は話の流れから『青春的な告白イベント』だと推測(妄想)して更に囃し立てる。

 ちなみにそんな騒ぎの中に唯一加わっていない鶴紗は『結梨の反応からしてそういう話じゃなさそうだけどなー。まあ何か変な事をしている訳でもないから別に良いか』と思って昼食のおかわりを注文しに行ったが。

 

「えーっと、今日の生徒会のお仕事は何かあったっけ梨璃?」

「ふぇ!?」

「今日は特に仕事は無かった筈です。自主参加の訓練がありはしますが重要な用事が他にあるなら休んでも平気でしょう!」

「そっかー、ありがとうね二水。それじゃあ『今日の放課後なら大丈夫だから話をしに来ても大丈夫だよー』っと。……あ、返信。『他の人に聞かれたら不味い内容だから俺達だけで話せる場所が良い、そちらで用意出来ないならこっちで確保する』……そういう部屋とかあったっけ?」

 

 尚、後半部分からして実の所メールの内容も余り人には伝えるべきではないのだが、つい話の流れで朗読してしまった結梨であった。

 ……まあ、周りの人間が誤解したままはしゃいでいるので後半のメールの内容が他者へと伝わる事はなかったのが幸いと言えば幸いだが、二人きりになりたいという内容にも読み取れたので周りの誤解は加速するのだが。

 

「……確か、何か他人に聞かせづらい話をする為の部屋が学園にはあった筈。周りに漏らしたくない話し合いとかする為のモノだって聞いたけど、生徒会の権限なら確保出来るんじゃないか?」

「うーん、じゃあ楓に頼んでみようかな、多分今日の放課後の練習は遅れて来ると思う」

「分かった。……ああ、なんか騒いでる梨璃と二水の事は気にしなくて良いから。友奈さんも食べ終わって先に上がったみたいだし」

 

 年長故にか『あ、多分そういう話じゃないっぽいかなー。とりあえず相談に乗ってくれてありがとうね』と勘違いしている事を察した友奈は礼を言ってから食堂を出て友人の元へと足取りも軽く向かっっていった。

 

「ところで結梨さん! ヤマトさんからの告白にどう返すつもりなんですか!?」

「??? まだどういう話か分からないから直接会って話を聞いてから考えるけど?」

「結梨ちゃんにはまだ早いと思うんです!」

「……とりあえず梨璃と二水も落ち着け。結梨の方は多分話を全く理解してないぞ」

 

 ……それはそれとして梨璃と二水の妙な方向による誤解が何故か続いていたので落ち着かせるにはまだ少し掛かりそうだと、こういうのは私のキャラじゃないのにとも考えながら鶴紗はため息を吐くのだったとさ。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

「……とりあえず報告だ、この前の『京都ヤタガラス残党事件』の主犯連中の拠点を調べた際に出てきた情報で妙なモノがあった。あれだけ壊滅状態だった拠点と残党から情報を引き出すのは骨だったが」

「“今調べてる情報”に何か関わりでも?」

「そっちは特になかったな。ちょっと帝都ヤタガラスの伝手を使って調査に相乗りさせて貰ったんだが、それとは別にちょいと面倒な情報が出てきたんだよなー」

 

 所変わってチームDATの拠点、そこでは『今DAT隊が行なっている調査の一貫』として先日壊滅した京都ヤタガラス残党の内情を調査した結果得られた情報が載せられた資料をヘビクラ隊長が机の上に開いていた。

 特にヤマトの過去と関わりが深い案件だったのもあってヘビクラ隊長とミツヒロが帝都ヤタガラスに協力する体で詳しく調べたのだが、そこにある情報は特に“ヤマトとアオビトにとっては見過ごせない内容であったのだ。

 

「どれどれ……『箱舟から回収された神造魔人の遺骸から戦力となる戦闘用人造人間を作る【人口天狗計画】』『遺骸から培養したデビルソースを異能者の卵子に悪魔合体させて人造人間を生産』『遺骸の情報強度が高く異能者側の卵子が食い潰されて実験は停滞』……内容がクソ過ぎるのはともかく前世の俺(アオガミ)から聞いた内容だな」

『仲魔になった【アマノザコ】に沢山あった【魔道書*5】を駆使してレベルを99まで上げて、スキル構成を厳選した上で各種お香を可能な限りつぎ込んでステータスを上げていたからな。情報強度が高いのも当然か』

 

 嘗てのダアトで彼等とアマノザコとは付き合いが長く、それ故に正式に仲魔になった際にはどっかの『最強ピクシー』とか作るノリで超強化しており、普通にレベル70越えの上位悪魔だったから実用性もあった。

 ……そこまでは事前に知っていた話でありその結果生まれたのが【一柳結梨】という人間だったのだが、彼女が作られた“実験の詳細”については流石に知らなかったが。

 

「『これらの結果から遺骸の情報に耐えきれるだけの異能者の卵子使用を提案』『対【クズリュウ】戦に於いてクズリュウ討伐と引き換えに死亡して回収された【葛葉ライドウ】……()()()()()()()()()()使()()()()()を上層部に具申』『乃木園子の卵子と遺骸のデビルソースの悪魔合体実験は成功。遺骸の力を有した人造人間の培養は順調に進行中』…………これは」

「思ったよりも結梨ちゃんの生まれには面倒な秘密があったみたいだな」

 

 ……そんな過去周回の京都ヤタガラスのやった事を見たヤマト含むチームDATメンバーは割と影響力があるかもしれないその内容にどうしたものかと思案するのであった。

*1
気力♪様作の『ケガレビト』で出た異界で現在最終決戦中。

*2
真5での防御相性は元の耐性とスキルによる耐性の内で反射>吸収>無効>耐性>弱点の順で上書きされて実際の耐性が適応される。

*3
この辺りの防御相性の仕様は作品ごとで違うので個人差があると裁定する。

*4
アサルトリリィにおいて結梨は匂いで人の感情を読み取る異能持ちな描写があり、この作品内では神造魔人由来のマガツヒ感応能力が“嗅覚”に直結する一種の共感覚になってる設定。

*5
ナホビノよりレベルが低い仲魔の経験値を1レベルアップ分取得する。使った後に一度でも経験値を得ればレベルが必ず上がる。




あとがき・各種設定解説

一柳結梨:資質が異様に高い理由の一つ
・レベル99スキル厳選済みお香による強化済みアマノザコ+クズリュウ倒せた過去周回ライドウそのっちの悪魔合体によって作られたので、資質が非常に高くなっている。
・似た方法で作られたJCビルの新人妹アリスと比べると存在が人間寄りなので装備やスキル習得に融通は利くが、基本性能はそこまで高くなくマガツヒ吸収による半永久的な活動などは出来ない。
・匂いで他者の感情(マガツヒ)を感知するのはダアト式神造魔人のマガツヒ感応能力が変質発現した形で、アサリ原作でも匂いで他者の感情が分かる異能持ちな事もあってスキルではない霊感として有している設定。

一柳梨璃:カウンセラーキャラ
・アサルトリリィ原作でも暴走癖のある人間に対するカウンセリングに定評があるので、コミュを取った時に自キャラのストレスゲージを下げる効果があってコミュMaxなら暴走フラグも折れる感じなキャラ……にゲームとかならなるかもと入れたネタ。

安藤鶴紗:元メシア教の実験体
・アサリ原作では敵側であるヒュージという存在の細胞を埋め込まれつ再生能力持ち改造強化リリィという設定なので、作中でもメシア教の実験体で悪魔の写せ身(ペルソナ)を融合させられた過去持ちになった。

友奈ちゃん:コラボもあったのでゲスト出演
・現在なんか暴走フラグが立ってるっぽい友奈ちゃんだけど、梨璃ちゃんのカリスマオーラ的カウンセリングコミュでちょっとだけストレスゲージが下がったかもしれない(まあゲストキャラだからネタでしかないけど)


読了ありがとうございました。
ゲストキャラの扱いには気を付けないといけないのでネタはちょっと匂わせるぐらいにしておくことにする。あくまでネタで済ませられる範囲内で。
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