真・女神転生オタクくんサマナー外伝 ~ナホトラマン奮闘記~   作:貴司崎

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欧州の抵抗者達(後編)

「……迎撃に向かわせた者達は全員倒されたか。分かりきっていた事だが今の我らにはゲーデ様の降臨を行う儀式すらまともに出来ない有り様か。……ならば事前の策通り、ゲーデ様の力を誰よりも多く得ている私の肉体を生贄として“真なるゲーデ様”の降臨を執り行うまで」

 

 グランギニョル社の施設を占拠したカルト組織首領は部下が全滅した事を感知すると、自分達の無様さに軽くため息を吐いた後に儀式場の術式を切り替えて『ゲーデの悪魔人間』である自分自身を生贄とした高位悪魔たる【死神 ゲーデ】の降臨を強行する。

 事前に早急な儀式実行も可能な様に準備されていた儀式場は首領の指示通りに蠢動し、その中で醜悪なサバトを行っていた人間や悪魔を即座にマグネタイトやマガツヒへと分解して儀式の起点である首領へと流し込む。

 

「グゥゥゥッ!? ……やはり負担が厳しいがコレだけの贄があれば十分ゲーデ様の降臨は叶うだろう。後は手に入れたこの【マガツヒ結晶体】をエネルギー源として追加して、この退廃と病毒に汚染された欧州の地脈そのものを触媒とすれば私自身にゲーデ様を降ろす事が可能になる!!!」

 

 そう狂気を浮かべた表情のまま赤黒く怪しく光る【マガツヒ結晶体】を首領は一息に丸呑みにすると、それがキッカケとなったのか儀式場全体が赤黒く輝き始めて首領の肉体から多量のマガツヒが溢れ出してあっという間に本人の姿が見えなくなった。

 それと並行して首魁の肉体自体もマガツヒへと分解されていくが、それを受けても尚狂った様に笑う事を辞めない首魁は儀式の最後の工程まで躊躇いなく進んでいく。

 

「さぁ! 我が身を糧としておいで下さいませぇ!!! ゲーデ様ァァァァァ!!!」

 

 その言葉を最後に首領自身もマガツヒへと分解されて、それが最後の引き金となって儀式場の【死神 ゲーデ】召喚の術式が全力で駆動してサバトと生贄によって生み出されたマグネタイトとマガツヒが首領の狂信を核として結集して一体の悪魔のカタチを取っていった。

 

『……キヒヒヒヒヒッ! キヒヒヒヒハハハハハハァァァァァ!!!』

 \カカカッ/

死神ゲーデLV88呪殺反射 即死・状態異常に非常に強い*1

 

 その姿は黒い山高帽と黒い燕尾服を着た貧相な小男の外見をした悪魔【死神 ゲーデ】のものであり、欧州ではゲーデ信仰のカルト組織が何度か召喚したりその力を得た悪魔人間になっている事も多いので言っては何だがよく見かける悪魔ではあった。

 ……が、外見こそ大して変わらずともその身に宿す力はコレまでに出現してきた普通のゲーデとは桁違いであり、少なくともカルト宗教の残党が企てた“真なるゲーデ”の召喚はある程度成功してしまった様だ。

 

「……チッ、やはり遅かったか。既に儀式は終わって高位悪魔としてのゲーデは召喚済み、レベルは機械式で90を超えているとはな。……ボス悪魔に近い、コレまで倒した軸とは別の種別のゲーデ、何をやって来るのか分からん」

「レベルだけの見掛け倒しなら良いんですけどどうもそうじゃないっぽいですね。ただ生贄になってた連中は全員死亡済みで、ここらにいた悪魔もマグネタイトに分解されてるからアイツさえ倒せばどうにかなりそうですが」

「それが一番難しいと言うオチだろうな」

 

 そのタイミングでグランギニョル社及びヌーベル家のデビルバスターチーム(+ぴゅーじ君)が施設へと突入して来たが、既に高位悪魔としてのゲーデが召喚されてしまっていると見た彼等は即座に澱みない動きでそれぞれがCHARMを構えて、或いは仲魔を呼び出して戦闘態勢を取る。

 召喚されたゲーデがどれぐらいの知能と判断力を持っているのかは分からないが、カルト組織が自分達の身を顧みずに呼び出したゲーデによってテロを行おうとしていた事は分かっていたので、今まで戦った自爆テロカルトの様に呼び出した悪魔には人間を積極的に襲うぐらいの設定はしているだろうと考えての事だ。

 

『キヒヒヒヒヒ? キハハハハァッ!』【連動効果発揮】

 

 そして、その予想を裏付ける様に召喚されたゲーデには『世界に『死』を齎す事で救済する』カルト組織の目的通り“多くの人間に死を齎す”様に動く行動原理が植え付けられており、更に生贄となったカルト組織の遺志も作用しているのか真っ先に敵対していた異能者チームを排除する様に動いた。

 

享楽する死神自動効果スキル??? 。??? 。1ターン目開始時、連動効果「敵全体の高揚を解除し、2ターンの間、敵全体を消沈にし、攻撃力・防御力・回避と命中を20%減少」

 自身を含む味方が打撃型攻撃を回避した時??? 

 自身が生存中、敵全体は次の効果を??? 

 

 戦闘開始と同時に狂気を孕んだ笑い声を上げるゲーデが放つオーラの様なモノがデビルバスター達を襲い全能力を弱体化させると同時に、彼等の精神に干渉して【消沈】と呼ばれる異常ステータスを付与した。

 コレまでに彼等が戦った【ゲーデ】には余り見られなかった固有スキルであり、相応の準備を持って召喚されたからか単なる高レベル悪魔と言うだけではなくこのレベルの凶悪なスキルまでも得た状態で召喚されてしまっていたのだ。

 

『キヒヒヒヒヒ「儀式で呼び出された悪魔は自我が無くても周りの人間を襲う様に動く。この手の儀式では良くある事で予想通りだな」

「儀式が成功したせいで強力なスキルを持って呼び出されてしまった様だが、これ以上の好き勝手はさせんよ」

 

速攻戦型コマンダースキル発動ターンは味方全体が敵より先に行動出来る様になる。

日本支部が得たCHARM【ブルンツヴィーク】の運用データより開発された武装COMPの機能。

ブレイブハートコマンダースキル使用から3ターン、味方全体を状態異常・弱体効果から守る。

日本支部が得たCHARM【クリューサーオール】の運用データより開発された武装COMPの機能。

 

 だが、そこから更に本格的な戦闘に入ろうとするゲーデの機先を制する形でデビバスチームのリーダーが持つブレード型CHARMに組み込まれたコマンダースキルが起動、まるで時間を先取りしたかの様に先手を奪いさる。

 間髪入れずに別の人間が持っていた拳銃型CHARMに組み込まれたコマンダースキルが起動して味方全体に状態異常防止のバリアが展開、致命的な状態異常を多用して来る欧州のボス級悪魔への対策として日本支部より齎されたデータを元に開発された機能は正しく彼等を守る結界を展開した、

 

「だが戦闘開始と同時に発動するスキルだからか速攻戦型込みでもブレイブハートの展開が間に合わなかったから回復を……この【消沈】状態、【万癒の技晶】による【アムリタ】でも治らんぞ⁉︎」

「何だって? ……能力低下の方は【デクンダ】で普通に治せたんだが、特殊状態異常……いや、ニヤリやチャージ系などと同じ“特殊ステータス”か、厄介な」

 

消沈特殊ステータス物理命中率・物理回避率・クリティカル率・状態異常にする確率が20%減少。 クリティカルを受ける確率・状態異常になる確率が20%増加する。

D2出典の状態異常ならざる特殊ステータスであり、打ち消すには逆の【高揚】のステータスを掛けるか解除出来る特殊なスキルが必要。

 

 しかし、戦闘開始と共に発動する【享楽する死神】への対応には任意発動の【ブレイブハート】では間に合わず、更に齎された【消沈】状態は“状態異常では無い”ので対応には一手遅れてしまう。

 それでも欧州に現れる高位悪魔など相手に極少数確認されている【特殊ステータス】と呼ばれる概念の同型だと当たりを付けた彼等は、コレを解除出来ない事を前提とした上で『対ボス用の戦術』を繰り出していくl

 

「ゲーデである事に変わりないなら呪殺は使って来るだろうなんで【テトラジャ*2】だ! とりあえず貫通付きだとしても一度は防げる!」

「召喚、ファフニール。【マカラカーン*3】。更に【ウォークライ*4】でバフを重ねる」

「召喚、ショウキ。【ラクンダ*5】だ。こっちが動きにくいならその分だけ敵も弱めれば良い」

「召喚、ラケシス【マハタルカジャ*6】。ぴゅーじ君Cは【ラスタキャンディ*7】を頼む。【消沈】で動きが鈍くなるみたいだから相殺出来るぐらいにバフを掛けるぞ」

『ぴゅっげー!』

 

 まずゲーデ対策として呪殺防御と魔法反射の結界が張られ、そこに武装COMPより召喚された欧州環境でもある程度は動ける毒・風邪耐性持ちの仲魔による補助が敵味方に重ねがけされていく。とりあえずボス悪魔相手なら先手を取ってバフとデバフを重ねて殴ると言う基本に加えて【消沈】で能力が下がるならそれ以上にバフを掛ければ良いと考えての事だ。

 そうしてバフデバフが重なったと同時に耐性のノックも兼ねてぴゅーじ君Aの【アイアンクロウ*8】とぴゅーじ君Bの【フュージレイド*9】がゲーデに放たれる。

 

『『ぴゅっげー!!!』』

(ぴゅーじ君達には反射されても良い属性で殴らせて属性ノックと敵のギミック探り。マシンである彼等なら人間や悪魔よりも嵌められる可能性は低いし、最悪相手の手の内を少しでも明らかにしてくれれば十分)

 

 彼等はCHARMユーザーが主力なのでメインの攻撃属性が物理と銃撃であぢ、それ故にまずは徹底的に事故死の可能性を下げた後にこの二つの属性が通用するかをぴゅーじ君達を使って試しながら敵高レベルゲーデの手の内を探る一手。

 悪魔であるゲーデとは幾度となく戦っているが“今回のゲーデ”はレベルが異様に高い上に特殊なスキルを持っているので、初見ボス相手のお約束としてギミック把握を優先する手堅い戦術をデビルバスター達は仕掛けたのだが……それらのぴゅーじ君達の攻撃はまるで攻撃の軌道が事前に見えているかの様に動くゲーデによって()()()()()()()()()()()

 

『キヒヒヒヒヒハハハ!!!』\Miss! /\Miss! /

「敵ゲーデ、攻撃を全て回避。【消沈】で動きが鈍っているからか?」

「いや、回避型のギミックボスか……とすると、ここから何か反撃が来るぞ!」

 

 その様子を見たバスター達はぴゅーじ君達の攻撃が外れたのは単なる偶然や【消沈】によるデバフだけでなく、何かの回避率強化系のスキルをゲーデが所持していると判断、加えてこのレベル帯の悪魔が“単なる回避特化”である可能性は低いとも考えたリーダーは全員に警戒を呼び掛ける。

 ……が、ぴゅーじ君Aの【アイアンクロウ】という物理攻撃を回避した時点でゲーデ有する固有スキル【享楽する死神】の真の力は発動してしまっていた。

 

『ハハハハハハハッ!!!』【連動効果発揮】

 

呪殺アボイド自動効果スキル呪殺属性で与えるダメージが15%増加し、回避率が15%増加する。

享楽する死神自動効果スキル呪殺貫通を得る。()()()()5()0()()()()

1ターン目開始時、連動効果「敵全体の高揚を解除し、2ターンの間、敵全体を消沈にし、攻撃力・防御力・回避と命中を20%減少」

自身を含む味方が打撃型攻撃を回避した時、連動効果「2ターンの間、敵全体を消沈にし、回避と命中を20%減少」

自身が生存中、敵全体は次の効果を発揮「()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()2()5()()()()()()()()()()()()()()()()2()5()()()()()()()()()2()0()()()()()()()()()3()0()()()()

 

 まず【享楽する死神】と【呪殺アボイド】の効果によってゲーデは回避率が65%上昇しており、そこに【消沈】状態の物理命中率減少と【消沈】に時に命中率を更に20%減少させる【享楽する死神】の効果でまともな物理攻撃は殆ど当たらなくなってしまっている。

 更に打撃型攻撃を回避すれば連動効果によって再び【消沈】の状態を付与した上で命中・回避率のデバフが掛かり、更に打撃型ダメージ減少の効果もあるので彼等デビルバスター達が得意とするCHARMによる物理・銃撃属性(打撃型攻撃)ではゲーデにまともに攻撃を通す事も困難になってしまっている。

 

「やはりデバフの方は防げても【消沈】はブレイブハート(バリア状態)でも防げない特殊ステータスか。【消沈】自体の効果は命中・回避率に対するデバフで、回避重視に加えてこの状態を起点としてのデバフ特化型……コレだけだと決め手に欠けるからまだ攻撃用のスキルぐらいはあるか?」

『キヒヒヒヒヒィィィィ!!!』

 

 相手に能力が予想以上に面倒である事と慣れぬ【消沈】起点のデバフにデビルバスター達の動きが鈍った所で、ぴゅーじ君達の攻撃を回避したゲーデが反撃の態勢に入りまず【呪殺アボイド】と【呪殺ハイブースタ*10】を載せた強大な呪いの波動【マハムドダイン*11】をデビルバスター達へと見舞う。

 ただし【享楽する死神】の効果によって呪殺貫通を得た呪いの波動は展開されていたマカラカーンを貫いたものの、呪いを打ち消すテトラジャまでは突破出来ずに相殺された事でデビルバスター達は無傷で凌ぐ事が出来ていた。

 

「くっ、マカラカーンは抜かれました! でもテトラジャでは防げたみたいです!」

「カーンまで抜けるレベルの呪殺貫通か……テトラジャを“剥がした”という事は次に本命が来るな。【ウロボロス】カバー」

「はいはい、いつも通り食いしばって……あ、コレは無理だな」

『キヒヒヒヒヒヒャハハハハハァ!!!』

 

ダークギフト呪殺属性スキル敵単体にクリティカル率100%の呪殺属性の打撃型ダメージを威力250で与える。

攻撃成功時、連動効果が発動「2ターンの間、敵全体を消沈にする」

このスキルによるダメージは魔法攻撃力に依存し、反撃効果、死亡時踏みとどまるスキルを無視する。

 

 だが、ゲーデがボス級悪魔特有の複数回行動が出来、それによって次に自分を狙っていると見たリーダーは呼び出していた仲魔であるウロボロスに自分を守らせ(カバーさせ)る様に指示してゲーデが齎した致命打(クリティカル)となる暗黒の恩寵を受け止めさせる。

 このウロボロスは【身体異常無効*12】と【精神異常無効*13】に加えて合体で活泉と食いしばり系スキルを継承した、病毒が蔓延る欧州でも戦える自慢の仲魔であったがゲーデの呪いには死亡時に踏み止まるスキルを無効化する情報汚染の力もあり、圧倒的なレベル差と呪殺属性強化も合わさった極大威力の呪いはウロボロスのHPを一撃でゼロにしたのだった。

 

「極大威力の貫通付き呪殺単体攻撃に追加効果で全体【消沈】付与に食いしばりと反撃無効かね。とりあえず【反魂香】をウロボロスに使ってと」

「徹底的に【消沈】させてからの呪殺攻撃、こっちの攻撃は回避からのデバフ撒きって感じの相手ですね。どうしますリーダー?」

 

 しかし、それを見たリーダーは何処までも冷静に敵のスキルを分析しつつウロボロスをアイテムで蘇生、攻撃を通して更なる攻めに移ろうとするゲーデが見せた戦術から対抗出来る戦い方を味方に指示していく。

 

「【消沈】とゲーデのスキルによってこっちの回避と命中がほぼ死んでるからな。……バフデバフを重ねて耐えつつ必中技主体で攻めてみるか。テトラジャは切らすなよ」

「呪殺主体ならテトラジャで一手は凌げますしね。ただテトラジャを剥がして本命の攻撃をして来る辺り、発生したての悪魔にしては自我がはっきりとしている様な」

「儀式で召喚された悪魔には術式や生贄の影響でそういう事もあるが……とにかく、相手は一体だけならやりようはある」

「ですね、タルンダ」

「ラクカジャ」

 

 そんな歴戦のデビルバスター達である彼等はゲーデのコレまでの動きとリーダーの最低限の指示から戦術を即座に判断し、それを受けて手番が残っていたメンバーは直ぐに()()()()()()()()()()()()()()補助魔法を敵味方にかけていった。

 ……確かに呼び出されたゲーデは相応に強敵ではあるが今の欧州と言うかこの世界ではまあそこそこ見る程度の悪魔でしかなく、そんな環境で戦い続けているデビルバスター達は理不尽過ぎる固有スキルを前にしても決して膝を折らないどころか当たり前の様に対抗策を打ち出す事が出来るまでに戦い慣れているのである。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

「シャオラァァァァァッ!!!」

『ギヒヒヒヒヒヒヒ!?』\Critical! /\Critical! /\Critical! /

 

会心の覇気補助属性スキル自身が次に行う力依存攻撃が必中となり、必ずクリティカルになるチャージ効果を付与する。真5出典。

デスバウンド物理属性スキル敵全体の内ランダムで1体に物理属性のダメージを与え、それを1〜5回繰り返す。真3仕様。

 

 未だに嗤い続けているゲーデに対し裂帛の気合いと共に踏み込んだリーダーが手に持ったブレード型CHARMを閃かせての連続斬りを見舞う。【消沈】による物理命中率・クリティカル率に低下も【会心の覇気】による必中と確定クリティカルの前では意味はなく、放たれた三つの斬撃は正確にゲーデの急所を斬り裂いた。

 そんな致命打を受けて僅かに怯んで笑い声が乱れるゲーデであったが、それでも“強敵”となっている故の膨大なHPもあって即座に反撃の【マハムドダイン】を二連続で放つ。

 

『ギャヒヒヒヒヒヒハハハハハァ!!!』

「全体呪殺二連族のパターンか……だがタルンダ+ラクカジャ限界掛け状態なら一発だけなら早々死なんわ! 一発はテトラジャで防げるしな!」

「笑い声が鬱陶しいですが、二回攻撃の内一回はテトラジャで空かせるなら耐えられます。ぴゅーじ君全体回復をお願いしますね」

『ぴゅっげー!』【メディアラハン*14

 

 だが、その大威力の全体呪殺攻撃をデビルバスター達は一撃目は事前に掛けていたテトラジャで凌ぎ、それが剥がれてから間髪入れずに放たれた第二撃も重ね掛けされた攻撃力デバフと防御力バフの恩恵で耐えてから全体全回復魔法でダメージを癒して凌ぐ。

 ……物理攻撃がゲーデルにまともに当てられず向こうの攻撃を回避するのも困難だと判断した彼等は、バフとデバフの重ね掛けによって相手の攻撃を耐えつつ必中のスキルが使えるリーダーを主軸に戦う戦術を取っているのだ。

 

「どれだけ強力な固有スキルを持っていてもデカジャデクンダもない悪魔が単騎ではなぁ! 数で囲んでバフデバフを積めばハメ殺せるんだよ!」

「それでも単体超高威力呪殺攻撃には耐えられないんですが、単体攻撃であれば倒されるのは一人だけで済みますので死んでから蘇生させればよし。テトラジャを常時張っておけばこっちに通る攻撃は1ターンにつき一度だけで済むと」

「単体攻撃はついでに【消沈】も付与してくるから、【消沈】の効果の切れ間である20秒(2ターン)ごとぐらい使ってくるパターン。とにかくこっちを常に【消沈】状態にしてくる行動パターンだ」

「【消沈】で下がるのは物理命中率だけ。どうも【消沈】状態でこっちにデバフ効果を掛けてもいるみたいだから分かりにくかったけど、回避時に連動効果が発動するのは物理攻撃を回避した時のみだと確認されてる」

「つまり魔法なら回避されたとしても損害はそこまでではなく、耐性に関しても呪殺以外は大体通じる。状態異常に関しては強力な耐性はあるみたいだけどダメージレースはやりやすい部類だな」

 

 そうして彼等他のメンバーは防御バフと攻撃デバフを切らさない様にしつつ死なない範囲で回復魔法やアイテムを使用、合間にまだ命中率がマシな魔法攻撃を織り交ぜつつ必中技が使えるリーダーの支援を行う形で戦っていた。

 今もぴゅーじ君Bの【絶対零度(氷結属性魔法)】やウロボロスの【メギドラ(万能属性魔法)】がゲーデに放たれ、幾つかは上昇している回避率もあって避けられるがついでに積まれた命中・回避率のバフデバフの効果もあって何発かは命中してHPを削る。

 

『ギヒヒヒヒヒヒヒ!?』

「貴様は高火力の呪殺アタッカー件【消沈】デバフ撒き用のサポーター。単騎でも強い事は強いのだが味方と共に戦ってこそ真価を発揮するタイプだろう。……だからこそ単独の今、数で囲んでしまえばレベル差があっても戦えない事はない」

 

 そう言いつつ次の攻撃の為に再度【会心の覇気】を使うリーダーを支援する様に手の空いた味方からタルカジャ(攻撃力バフ)ラクンダ(防御力デバフ)が飛び、それを阻止する目的でゲーデがテトラジャを剥がしてからの【ダークギフト】をリーダーに見舞おうとしてもアタッカーを倒させない様に待機していた仲間が【カバー】に入るのでチャージを切らせる事は出来ていない。

 ……本来ならば呼び寄せて“このゲーデ”とカルト組織の残党が協力した上で復讐を成そうとしており、その場合はゲーデがデバフを撒きながら多数のロアや悪魔人間がアタッカーとなって攻撃、幹部格や首魁が補助系スキルやアイテムでサポートという厄介な連携を敷いてきたのだろうが、儀式を無理矢理行ったせいで活動しているのがゲーデ単独だけの現状では驚異度は大きく下がっていたのだ。

 

「さて、デカジャデクンダもない情け無いボス相手なら、このまま戦い続ければ時間は掛かっても削り切れるだろうが『リーダー大変です! マフィアのイマージュ兵の集団がこっちに……!』……チッ、よりにもよって横槍か」

 

 その様に優位に戦いを進めていたレジスタンスチームであったが、そこに施設の外で周囲の見張りを行っていたマシンオペレーター達から『マフィア勢力と思わしき悪魔人間(イマージュ兵)が接近中』との報告ゲーデ齎される。

 欧州のマフィア連中は麻薬を下水に流して汚染を広め、更に蛾のような羽と四本の腕を持つ【モスギャング】と呼ばれるイマージュ兵によってテロ紛いの事件を頻発しておりレジスタンスとも何度も交戦している不倶戴天の敵手になっている。

 

(不味いな、連中がこっちに襲撃を掛けてくるのは“いつもの事”だがこのタイミングで……いや、俺たちがカルトの残党とかち合う所を聞きつけて狙って来たか。三つ巴四つ巴は珍しくもないから警戒はしてたんだがカルト組織側って繋がりでもあったか?)

 

 この欧州ではメシア教とかマフィアとか様々なカルト組織とか野良悪魔などがそれぞれの目的で暗躍しており、その結果ペイルライダーの病とマフィアの薬物汚染がコンボされるとか言った連鎖反応を起こす事も多々あり、その複雑な情勢がレジスタンス達が不利な戦いを強いられている一因となっているのだ。

 それに抵抗するレジスタンス勢力も目障りである事はどの勢力からも一致しているので複数勢力から襲撃を受ける事も多く、今回の様な作戦でも欺瞞情報を事前に撒くなどして横殴りされない様に対策を打っていたが、どうやらカルト組織の残党にマフィアゲーデ繋がりを持っていたらしくレジスタンスを潰すには丁度いいと仕掛けて来たらしい。

 

『どうしますかリーダー』

「流石に今ゲーデから逃げられる余裕は無いんだがな。……やむを得ないか、ここは我々がどうにかするから待機部隊は一時撤退してこの件を他のレジスタンスに『……モスギャング共は俺が相手をしておこう』……む、コレは()()()()()()()()?」

 

 今戦っているゲーデから逃げるのは難しいと判断したリーダーは待機部隊だけでも逃しつつ、乱戦になる覚悟でゲーデとマフィアを纏めて相手にする事を決断しようとした直前、何処からともなく“ハーモニカの音色”が聞こえてくると共に何故か近づいて来ていたモスギャングの何体かが吹き飛んだのだ。

 

国偲び歌(ハーモニカ)万能属性スキル敵複数体に万能属性の2~3回攻撃。

ヤマトタケルが津波を鎮める為に入水した妻である弟橘媛の事を思った歌がモチーフのスキル。

……の筈なのだが何故かコイツはハーモニカを吹いたら発動する。意味がわからんbyヘビクラ隊長。

 

 そのハーモニカの音色の正体は特殊な万能属性攻撃であり、その音色が聞こえてきた方角からはコートを羽織って背には鍔部分が円盤状になっている大剣を背負った一人の男性がハーモニカを吹きながらギャング達の元に歩いていたのだ。

 ……最も、ハーモニカの音色を聞いたレジスタンス達は『あ、あの人か(察し)』みたいな表情になったりはしたが、それでもこの追い詰められた状況においては“最良の援軍”であったが故にリーダーはニヤリと笑みを浮かべた。

 

「……相変わらずだなミスター風来坊、本当に狙った様なタイミングで唐突に現れる」

『昔からこういうタチでね。“古き友”からも良く呆れられていた』

 \カカカッ/

神人モロボシ・ガイLV92備考:【英傑 ヤマトタケル】の転生者にして魔界帰還者。

 

運命の支配者(風来坊)自動効果スキル条件:1シナリオにランク]回まで使用できる。味方ひとりの判定またはダイスロール1回を振り直す。

モロボシ・ガイの場合には味方や知り合いが不利な状況になっている場所に道に迷って偶然現れるという形で発現している。

 

 その人物の正体は嘗てヘビクラ隊長の幼馴染にして共に邪神を撃ち倒した魔界帰還者【モロボシ・ガイ(偽名)】であり、彼は放浪の旅の中で偶然欧州に立ち寄ってそのまま成り行きで知り合ったレジスタンスの支援をしながらメシア教やペイルライダーやマフィアなどと戦い続けているのだ。

 まあ、コレは本人は無自覚だが【運命の支配者(風来坊)】の効果で基本的に不利な状況にある欧州レジスタンスの援護になる形で道に迷うので欧州から離れられず、本人も見知った中となったレジスタンスを放置してはおけないタチなので今の今まで欧州でずっと戦っているというのが実情だが。

 

『とりあえずモスギャング共は俺に任せて安心してゲーデと戦ってくれ。……喰らえ! 【オーブスプリームカリバー(アマノムラクモ)】!!!』

『『『グワァァァァァァァァァァッ!?』』』

 

 そんな訳で欧州にて都合のいいタイミングに現れる風来坊ヒーロー超越者やってるガイさん(割とフランスが完全陥落してないのはこの人の影響も大きい)が抜き放った【オーブカリバー(草薙の剣・改)】から放たれた光の斬撃がモスギャングの群れを一掃していく。

 モスギャングも蛾の翅で空を飛び回りながらマシンガンや【雷霆蹴り】などを見舞ってくる結構な強敵なのだが、レベル90越えに加えて強靭な肉体を持つヤマトタケルの逸話から【身体異常無効】を持って毒と風邪を無効化出来て欧州環境でも問題なく戦える超越者である彼ならば単独での殲滅も可能だ。

 

「よっしゃ、風来坊な超越者様がケツ持ちしてくれるみたいだから遠慮なくやるぞ! オラァデスバウンドだ!!!」

「まあ目の前の相手にだけ集中出来るのはありがたいですが、こうして彼がいい感じの所で助けに来てくれるのは何度目でしたっけ?」

「30から先は数えてないな! 実際足向けて寝れないぐらいは世話になってる!」

「ちょっとウルトラマンオーブムーブが完璧過ぎんよ〜。アレで狙ってる訳じゃなくて天然でやってるってマジ?」

『キヒヒヒヒヒ……ギャハハハハハァァァァァ!?』

 

 この後、四体ぐらいで別種の理不尽固有スキル同士のコンボを決めてくる訳でもなく、ソシャゲの高難度クエストばりに理不尽ギミックがある訳でもない“ただ普通に強い”だけの高レベル悪魔でしか無かったゲーデはレジスタンス達の手によって順当に格上勝ちされて撃ち倒されたのだった。

 横槍を入れてきたイマージュギャング達も聖剣から地水火風の大威力魔法をぶっ放したり、悪魔カードを使ってフュージョンアップ(悪魔変身)して物理・銃撃耐性得たりと無双ゲーしてる風来坊によって倒された事もあってカルト宗教撃滅作戦は無事に終了したのだった。

 

「……多少のトラブルはあったがグランギニョル社の元拠点を自爆テロに利用されるのはどうにか阻止出来たな。とりあえず何か残ってる資材があったら出来る限り回収して、回収しきれない設備を破壊しておけば悪用される事はない筈だが……」

「メシアやマフィアのトップや魔人とかもこのぐらい楽に方が付けば良いんだけどなぁ。一応今回のゲーデの情報も鍵付きネットに上げるか。……ところで風来坊さんは?」

「またいつも通りどっか消えました。……まあ補給物資を買いに来たりこの前みたいにCHARMユーザーなドリフターを拾ったりしたら俺達の所に顔を出すでしょ」

「つまりいつも通りか。都合のいい時に助けに来てくれるのはすごいありがたいんだけど、デカい作戦のときに事前に連携が取れればなぁ」

 

 まあ、今回の一件も彼ら欧州レジスタンスにとっては“割と良くある戦い”でしかないので強敵を倒した後も特に感慨に浸る事なく拠点だった場所の処理を終え、そこから追撃が来る可能性を考慮して自分達の足取りを念入りに消してから早々に撤退していった。

 ……毒と病に汚染されて数多のテロ勢力が蔓延る欧州で、それでも“守りたいモノ”があるから戦い続けている彼ら『欧州レジスタンス』は今日もいつかは必ず勝てると信じて動き続けているのだった。

*1
D2のゲーデの耐性+マガツヒによる真5の“強敵”化。

*2
味方全体に破魔・呪殺相性の攻撃を一度だけ防ぐ効果。

*3
味方全体に魔法攻撃を1ターン防ぎ敵に反射。

*4
3行動の間、味方全体の攻撃力・防御力を上昇させる。SH2出典。

*5
3ターンの間、敵全体の防御力を1段階低下させる。真4F仕様。

*6
3ターンの間、味方全体の攻撃力を1段階上昇させる。真5仕様。

*7
3ターンの間、味方全体の全能力を1段階上昇させる。真4F仕様。

*8
敵単体に物理属性大ダメージ。

*9
銃撃属性で敵全体に中ダメージを与え、命中・回避率を低下させる。SH2出典。

*10
呪殺属性で与えるダメージが25%上昇する。

*11
敵全体に呪殺属性の魔法型ダメージを威力120で与える。D2出典。

*12
毒・風邪・緊縛を無効化。真4仕様。

*13
睡眠・混乱を無効化。真4仕様。

*14
味方全体のHPを最大まで回復する。




あとがき・各種設定解説

レジスタンス:普通の高レベル悪魔ぐらいなら格上勝ち出来る
・CHARMに導入された『コマンダースキル』に関しては現在は武装COMP一個につき一種類だけのセットが可能であり、CHARMユーザー同士で“レギオン”を組んでそれぞれが別種のコマンダースキルを入れて連携を取りながら必要に応じてものを使っていくスタイル。
・コレに関しては過去周回で運用されたCHARMの実践データから得られた運用法であり、過去周回のデータが多く集まった第三生徒会メンバーなどが運用したデータを元に開発されている(データが揃ってる“リリィ”達と違って一般CHARMユーザーが使っているものは負担は掛かる模様)
・日本と違って敵対勢力が蔓延っていて抵抗者も少ない欧州では多方向から殴られる事も良くある事であり、それを抑止する意味もあってガチのゲリラ戦を強いられている感じで書いている。

モロボシ・ガイ:通りすがりのモブバグ枠
・これまでちょっとだけ話には出てきたヘビクラ隊長の幼馴染腐れ縁枠であり、軽子坂高校の事件ではヘビクラ隊長に取り憑いた邪神っぽいヤツ相手に『ウルトラマンオーブ外伝』的なノリで戦いながらその野望を阻止していた人物。
・本人が持つ【運命の支配者(風来坊)】のスキルによって厄介事が起きる場所に自然と向かってしまう体質で、本編開始前ぐらいから状況が悪くなっている欧州に引き寄せられてずっと戦う羽目になっていた感じなので本人のスペックもあってレベルもめっちゃ上がってる。
・戦闘では【あめのむらくも(真if)】の改造品と言い張る鍔に円盤が付いた派手な大剣(どう見てもオーブカリバー)を振り回しながら、万能属性剣ビームを放ったり地水火風の大魔法をブッパしたり剣術スキルを使ったりする万能型でパッシブスキルで耐性や能力を底上げしたりもしてる。
・それに加えてヤマトタケルの『変装の権能』と元から持っていたカード式悪魔変身の技術を合わせた特殊な悪魔変身技術【フュージョンアップ】が使えて、持ってるパッシブスキルはそのままに悪魔の耐性やスキルを上乗せして多様な状況に対応出来る。
・形式としてはサマナースキルはそのままで装備する悪魔によって耐性とスキルを変更する特殊な悪魔変身術という設定(ヘビクラ隊長曰く無駄に洗練された無駄のない無駄な技術・なんでこんな事出来んだキモイ)
・ただし悪魔変身であるので装備品の効果がなくなるから耐性面や防御面では弱体化する他、元々持っている能動系のスキルも使えなくなり、更には同じカードの連続使用も難しいなど欠点も多いので状況に合わせて使い分けている。
・そのヘビクラ隊長とは偶に連絡を取り合っておりチームDATを作ったと聞いて自分も【モロボシ・ガイ】という偽名を名乗って元々の迷子挙動の中でノリノリで風来坊ムーブし出したり、独自の悪魔変身術に【フュージョンアップ】とか名付けてウルトラマンオーブごっこ(ガチ)をするぐらいには特オタ。
・今も欧州でレジスタンスの手伝いをしながらヤバそうな戦場に唐突に現れて敵対勢力を殲滅するFOEムーブをしながら戦っていて欧州戦線を維持するのに一役買っている設定(多分こんな感じのバグ枠キャラは世界に結構いると思う)


読了ありがとうございました。
コロナも治ったので更新再開。ちなみにこの『ガイさん』はネタキャラとして作ったけど、欧州でずっとウルトラマンオーブムーブ出来るぐらいには強いよ。『悪魔の力、お借りします!』とか言ってレベル80〜90ぐらいの悪魔複数種に変身出来るし。
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