真・女神転生オタクくんサマナー外伝 ~ナホトラマン奮闘記~   作:貴司崎

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グランギニョル社へ行こう!

 そんなとある日、俺こと【八坂ヤマト】はチームDATとしての“用事“があると言う事で他のDATメンバーと共にで【グランギニョル社日本支部】へと訪れる事になったので巡撫をしていた。

 ……グランギニョル社といえば最近掲示板のドリフ板でドリフターの取り込みを積極的にやってる会社だと話題になってたな。副隊長が使ってる武装COMP【CHARM】の開発元で俺の専用COMPもそこのパーツを使って作ったってミツヒロさんが言っていた。

 

「そういう訳でちょっとグランギニョル社に行ってくるぞ。実は【チームDAT】のスポンサー様だったりするから失礼の無い様にな」

「スポンサーなんて居たんですねウチ。特オタ達が趣味で集まってるだけかと思ってました」

「基本的にはその通りなんだがヤタガラスを出奔したミツヒロが技術協力したり、ウチのロマン溢れる専用装備の開発用の資材を買ったりしてるからな。その伝手で色々と依頼されてるお得意様でもあるって感じだ」

「俺らの防衛チームムーブのロマンにも理解がある人が多いんでね。気の合う開発者達で最近流行りの防衛チームロボット型マシン悪魔とか作ろうという計画もある」

 

 なるほど〜、つまり最近流行りの【セブンガー】とか【テラフェイザー】とか【アースガロン】的なマシン悪魔がチームDATに加わる日も来るかもしれないと。それはちょっと楽しみだな。

 

「まあグランギニョル社自体に今そこまでやってる余裕も無くて、そもそもウチにも予算的にそこまで余裕が無いからなぁ。装備品の予算をケチる訳にもいかんし、移動用の車を安上がりにしても予算が増える訳では無いから」

「特に消費アイテムの消耗が痛いっすね、最近はどこも値上がりしてるんで犯罪組織銀行から引き下ろす(物理)するのが主流なぐらい。まあ俺らは自前で消費アイテム作れる技術持ちが複数いるからまだマシっすけど、俺も最近ずっとストーン類作る内職ばっかりだし……」

「トモヤはまだマシでしょうが。私なんて最近ずっとお札書きまくってるから腱鞘炎になりそうよ。特にウチの新人隊員は【観音神符*1】をダースで要求して来るしさぁ。あれめっちゃ作るのに手間が掛かるんだけど」

「ごめんなさーい、だってクリティカル無効化アイテムとか神過ぎるから常時最大まで欲しいし(プレスターン使い感)。……それに副隊長も『魔王城ダブルツインマークIIセカンド前なら【観音神符】は通常の数十倍の値段でも売れるからウハウハね。もっと刷ろうかしら』とか言ってましたよね」

「それは言ってみただけよ。それに【観音神符】は作るのが難しい上に一人が持てる枚数にも限度があるって言ってたでしょ。だから基本チーム内優先で余った僅かな品を売りに出して小遣い稼ぎしてるだけよ」

 

 あの最近は安価で決まった正式名称が長すぎるからと『偽魔王城』とか呼ばれる様になった(安価に従ってないと一部掲示板では不評)ボルテクス界の残滓的な異界の悪魔は全員がプレスターン戦闘を仕掛けてくるからな。

 なので(大体俺の所為で)悪魔の情報が出回ってるから狩場として丁度いいと出向いたら偶然クリティカルが入ってそのまま事故る事が本当に良くある(実体験)ので、クリティカル無効の護符は数量限定超高額にしてもお守りとして一瞬で売りきれるのだとか。

 

「まあどこも世知辛い話だ。……んでミツヒロ、今回はトモヤと俺の新武装を引き取りに行くんだったっけな。【DATハイパーバスター】も属性の撃ち分けが出来るから悪く無いんだが、銃撃威力がカートリッジ依存だから高級な銃と比べても低威力なのが心許なかったからな」

「俺の【アンスウェラー】もいい武器ではあるんすけど、今後の戦いに備えて武器性能を上げるのは考えてたんで武装COMPを試してみようかなと。副隊長も魔晶による魔法強化も上手くいってるみたいだし、俺も魔法剣士型ではあるんで使ってみようかと」

「確かに思ったよりも使い勝手が良かったわねグランギニョル社製の【CHARM】は。何故か手に馴染むからサブウェポンってしては十分な性能だし、氷結属性威力向上・回復MP軽減・補助MP軽減の魔晶も正常に機能してるから、ブースタ系を覚えられなかった私にとっては弱点を補える良い武器ね」

 

 そう言いつつ上機嫌に【ダインスレイフ・カービンSP.DAT】をバトンの様にクルクル回す副隊長だが、試運転の為に魔王城ダブルツイン(ryで戦った時は器用に格闘モードと射撃モードを戦闘中に自由自在に可変させつつCHARMの通常攻撃メインで敵を薙ぎ倒していたので余程に相性が良かったんだろう。

 曰く、どうせ物理銃撃系スキルは使えないから通常攻撃での使用メインでカーン系を破壊出来る『コワース効果』が付いた万能属性攻撃が使える【ピアシング★ *2】に通常攻撃とピアシング時にMPを回復する【ハーヴェストⅢ】と通常攻撃を低確率で二回攻撃に出来る【デュプリケータⅢ】を組み込んで、攻撃力と氷結・回復・補助の適正を引き上げているんだとか。

 

「トモヤの方は火炎と氷結補助の魔晶をセットした長剣と銃形態への可変機能付きCHARM【フラガラッハ】を、ケンジロウの方は射撃特化カスタムで魔晶機能の代わりに“悪魔カートリッジの切り替えで銃撃属性を変更する”【DATハイパーバスター】のデータから作った機能を組み込んだ【アステリオン】の改造機になる予定だ。詳しくは資料を見てくれ」

「はー、外見は凄くかっこいいですね。カラーリングとかDATハイパーガンのを準拠してるから新型装備感が出てて良さげ。……よくコレだけのカスタム機を注文出来ましたね」

「さっきも言ったがグランギニョル社には技術開発関係で色々と伝手があるって言うか、そもそもグランギニョル社での武装COMPの基礎理論開発にも俺は関わってるから多少の無理も効くのさ。今回も俺特注のカスタム機の運用データをやる代わりに素材を安く譲ってくれと交渉したからな」

 

 ミツヒロさん曰く、DATハイパーガンの“悪魔カートリッジによる銃撃属性変更”とか彼自身が使っている“封じ込めた悪魔のスキルや耐性を装備者が使える魔晶武器”も武装COMP開発時に得られたデータを元に作成した装備なのだそうだ。

 

「悪魔カートリッジに関しては魔晶の切り替えによる属性補助やスキル運用技術をベースに、悪魔カードからスキルを引き出す【カードスキル】を限定的にだが誰でも使える様にしたものだな。まあコストや整備製の面で消費アイテム使った方が効果も高くて安上がりだから、俺みたいに専門の技術者が常時整備出来るチームDATの様な環境じゃ無いと運用出来んだろうが」

「完全にコイツが趣味で作った作品だけど、そこで得られたデータが武装COMP使用時の魔晶切り替えに応用されているんだと。……まあ悪魔カートリッジだけで銃撃属性変更出来るとか割ととんでもない技術ではあるんだけど、本人が趣味で作ってるから量産や一般販売を考えてない感じのよね」

「戦闘中に悪魔カートリッジを切り替える手間とかその際の動作不良の可能性とか、後はカートリッジ自体一個作るのに魔晶10個分ぐらいはコスト掛かるとか整備製や耐久性も悪いとか色々と問題もあるからな。趣味とノリでその辺りを深く考えずに運用してて、当初からカートリッジの試験運用に付き合っていて扱い慣れてるケンジロウの専用武器って事でようやく使えてる感じだ。今の所一般販売には向かんな」

「その辺りもちゃんと考えてるんですね」

 

 悪魔カートリッジは一般販売するには信頼性が致命的に欠けてるとの事。元々防衛チームごっこの小道具ぐらいの扱いでケンジロウさん以外は手頃なアイテムかサブウェポンとしてしか扱ってないと言うかメインとしては使えないって分かってるんだろう。

 そうして問題無く使えるのも開発者にして天才技術者のミツヒロさんが整備を担当してるから、運用データが足りない部分を彼の技術力で無理矢理カバーしている面が大きいらしく、グランギニョル社に技術データ自体は渡していても『こんな変態技術量産とか一般販売は無理だろ』『魔晶とか他の技術の方が費用対効果が良いよな』ってなるらしい。

 

「それで俺が使ってる魔晶武器である【DATハイパーブレード】と【DATハイパーガントレット】も武装COMP研究時の知見を元に作ったヤツなんだが、こっちに関しては理論段階で研究が中止になった『武装COMP内の仲魔を使用者に装備する』機能を擬似的に再現したものだな」

「へー……まだ説明続くんですね」

「技術者の常として自分が開発したものの説明は偶にやりたくなるみたいだからな」

「カッコいい用語付き設定解説とか開発秘話とかはロマンだろう? ……それでこの理論装備は武装COMP開発時に行けそうだからと俺が提案してみて、COMP使用者がCOMP内の仲魔のスキルを使用出来たり耐性を移し取れたりする機能でな。サマナーとして動くのが難しいバスタースタイルの人間が武装COMPを使用する時に無駄になる仲魔の使役機能を活かす為、それとサマナー自身の戦闘能力を増して対応できる状況を増やす為のシステムとして考案したんだが」

 

 まあ確かに武装COMPは武器としても協力だし色々なソフトが使えて便利だけど、やっぱりCOMPである以上は悪魔を使役するサマナーが一番恩恵を受けられると思う。

 ただし、それでも悪魔と共に戦うサマナーとしての戦いが出来ないって人も当然いる訳だし、そういった人が使う際に悪魔の使役機能を無駄にしない為のシステムとして『仲魔の装備』ってのは面白いと思う。

 

「結構いいアイデアだと思いますけどね。悪魔のスキルを運用出来るのも悪魔の耐性を移し取れるのも『写せ身合体』という形で同じ事が出来る俺からすれば便利で使い勝手が良い力ですし」

「うん、まあ人間が自由に悪魔のスキルを運用出来るなら普通に強い。ウィスパーとかスキルクラックとかの実例もあるし、自由に使えるスキルを切り替えられるのは()()()()()めっちゃ有用だな。……最もこの『仲魔の装備』に関しては理論だけ提案して開発するまでには至らなかったんだが」

「それはどうして?」

「単純に機械制御だけで人間に悪魔の能力を使わせるのが今の技術だと不可能だと結論が出たからだな。ソウルリンク系の技術を使ってスキルや耐性を転写・共有する理論までは考えたんだが、現行のマシンスペックや制御システムで人間側に悪魔化などのリスクを無く悪魔の能力を使わせるとなると技術レベルが何世代か足りないんだよ。どうやっても機械制御だけじゃ悪魔による情報汚染を完全に制御出来んかった」

 

 ちなみにリスクを度外視すれば人間に悪魔の力を使わせるのは実は簡単だそうだが、それだと単なる情報汚染による悪魔人間化になって『コレ悪魔装備じゃ無くて単なる人間合体だよな』『武装COMPじゃ無くて邪教の館でやれよ』という結論になるから意味ないそうだ。

 ……悪魔人間化のリスクがある様な信用性の低い技術では実用化なぞ出来ないからな。ウィスパーやスキルクラックも有用なのに一般的にはならないぐらいにデメリットがあるし、俺が使う写せ身合体もノーリスクで使えるのは俺がナホビノだからだしなぁ。

 

「そこまでするぐらいなら武装COMPで普通に悪魔を使役してサマナーやれば良いだけだからな。悪魔の力を使うならわざわざ人間に写さなくても契約で使役する方が圧倒的に簡単だし、技術面もノウハウ嫌というほどに実用化されてるから信頼度がダンチだ」

「ホントそれな。……理論上は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()んだが、そんなモンは今の技術じゃ存在しないから無いものねだりにしかならん。そもそもそこまでの技術があってわざわざ“人間に悪魔の力を使わせるだけ”とかしないだろって話だし」

「隊長も言ってるけどそれなら普通にサマナーやれば良くね?って事になりますか。技術的な難易度とそれが実現出来た時のメリットが釣りあって無いから実用化はされなかったと」

「そゆこと。……まあ理論がお蔵入りになって悔しかったから魔晶武器に封じ込めた悪魔のスキルや耐性を装備者が使える様にしてみたんだが。情報汚染部分は俺の【魔匠】や【サクセサー】の技術によるマニュアル制御でどうにかすれば良いし、元からサクセサー系には【相性獲得*3】みたいな悪魔の能力を写す技術があるからその応用で簡単に出来たな」

 

 曰く、ソウルリンク時の情報汚染防御は肉体に直接悪魔の力を降ろす様な場合、未だに機械制御よりも自分自身の古典的な術によるマニュアルの方が圧倒的に効率的との事。大昔から繰り返されてるからノウハウの蓄積も多いのだとか。

 最もそれ故に悪魔スキル使用可能の特注魔晶武器もミツヒロさん自身のサクセサーとしての技術、及び魔匠として定期的な魔晶武器の調整が必要なので彼以外はまともに扱えないレベルのピーキーな代物になってしまった様だが。

 

「まあでも武装COMPは普通に優秀そうな装備ではありますよね。物理貫通とか色々と協力な機能がお手軽に使えて魔晶で魔法の補助も出来るんですから。……俺も使ってみたいんだけど、ナホビノが装備とか出来ないクソ仕様だし……」

「俺も武装COMPちょっと欲しくなって来たんだけど今のCOMPと交換とか出来ないのか?」

「合一神に関しては人間用の装備品とかによる霊的な繋がりを拒絶してるから無理だな。デビルシフターとかが悪魔化した時も人間用の装備を受け付けないが、それが更に酷くなった感じ。……隊長の方は武装COMPだと仲魔のスキル枠が最大6つまでが限界になるから、隊長クラスのサマナーが使うと仲魔の運用に支障を来たす。武装COMP技術を一部使ったそれぞれの専用COMP支給及びCOMP改造したんだからそれで我慢してくれ」

「「ちぇー」」

 

 まあ、新しく貰ったナホビノでも使える専用COMPはめっちゃ役に立ってるし、隊長の方も幾つかの武装COMP由来の機能を追加した【ダークゼットライザー改】を貰ったらしいからな。

 ただし以前使っていたネタ機能である【夢幻魔人 ジャグラスジャグラー】への変身機能はCOMPの容量を食い過ぎるので、新機能を採用するにあたってボツになったのが個人的には残念だが。

 

「あのネタ機能は宴会芸にしか使えなかったからな。【ヤマタノオロチ】の力を降ろすにしてもヤマタノオロチ自身を仲魔にしてしまったから、契約云々とかが干渉してやり難くなったしな」

「でも戦闘モード変身はロマンがあるから引き続き採用してほしかったなー。俺もスーパーヒーローっぽい【ナホビノモード】になったら“ステータスとかは一切変わらないけど”気持ちやる気は出るし」

「え? ヤマトの変身ってステータスは変わらないのか? ……ずっとデビルシフターの悪魔変身的なものだと思ってたっす」

「ぶっちゃけ必要に応じて外見を変えてるだけなんですよねアレ。だから人間の姿のままでもでも手からビームサーベル出したり仲魔の召喚も普通に出来るのです*4……むしろ今の姿が人間に擬態してるウルトラマン方式みたいな」

『まあ“ナホビノモード”が合一神としての本来の姿で、普段は人間の姿になっているだけというのが我々の場合が正確な表現になるな』

 

 前世の俺でありアオビトと融合したのが【スサノオ】の分霊を宿す神造魔人であるアオガミであり、その【スサノオ】は変化の術とか使う逸話のある『トリックスター』的な悪魔だからか、俺は本物の【スサノオ】と比べれば遥かに拙いんだろうけど人間に擬態する程度のちょっとした変身とかの能力も使えるっぽいんだよな。

 ……ただ、変身能力はともかくとしてこの手から出る【ビームサーベル】は何で出せるのかがさっぱり分からんのだがな。前世も今世もナホビノになった時には普通に出せて使いこなせたから気にしてなかったんだが一体なんなんだろうなコレ。

 

「ん、電話か? ……はいもしもしチームDATです」

 

 そんな風にいつも通りというかうっかり本来の目的を忘れそうになるぐらい駄弁りながらも、ちゃんとグランギニョル社へ向かう準備はしていた俺達の元に【チームDAT】用の回線で一本の電話が入って来たので隊長がそれに出た。

 ……電話に出た隊長は一時訝しげな表情を浮かべるものの、相手の話を聞くに連れて何かを納得した様な表情となった。

 

「成る程ね。分かりましたよ、ついでにその依頼も受けましょうか。……あーお前達、グランギニョル社から追加の依頼が来た。今日注文した物品を取りに行くついでに『聖華学園第三生徒会』をグランギニョル社日本支部まで連れて来て欲しいんだと。まあ一種の護衛依頼だな」

「夢結達をグランギニョル社日本支部まで? まあ今日は元々CHARMの受け取りに行く予定だったけどどういう事かしらね」

「詳しい事情は教えてはくれなかったが態々俺達に護衛を頼むって事は……まあドリフ関係かね。グランギニョル社はドリフの取り込みに力入れてるし、彼女達が使ってるCHARMの事を考えるとそれ関係か。……先日ヤマトとアンヌが遭遇した“連中”の事もあるから丁度いいかもな」

 

 ……あの【新しき神話】連中が夢結達を狙ってる件か。流石にナホビノ関係を話す訳には行かないし、ドリフター系の話も彼女達にどこまで話せば良いのか分からんから対応に困ってたんだがな。

 とりあえず事情をある程度知ってる結梨ちゃんに気を付ける様には言って、それと副隊長から夢結達に最近物騒だから学園の外に出る時には出来る限り集団か護衛を付けておけとも言ってはあるんだが……まあヘビクラ隊長が『丁度いい』って言ってるから今回がキチンと話をする機会になりそうかな。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

「……今回は護衛を引き受けていただいてありがとうございますわ、チームDATの皆様。……しかし、何故わざわざ今回はグランギニョル社に行くだけの事で外部から護衛を……」

「最近は物騒だからなぁ。……外に出たらうっかりレベル80〜90ぐらいの敵から襲撃を受けたり、心当たりの無い訳の分からない理由で高位ボス悪魔が因縁を付けて来たりするから」

「学園の外は一体どんな魔境なんですの?」

「流石に被害妄想が過ぎるんじゃないか? ……って言いたかったんだけどナー」

 

 そういう訳で俺達チームDATは聖華学園で第三生徒会メンバー10人を迎えに行き、話が通っていた彼女達と合流してグランギニョル社日本支部まで護衛の任務を行う事となった。

 ……そのグランギニョル社のご令嬢である【楓・J・ヌーベル】さんが今回の一件に関して疑問を呈するが、隊長の言う通り最近は見覚えのない理由(主にドリフ関係)で襲撃を受ける事態が良くある……訳では無いが“あり得ない”とも言えないぐらいにはあるからな。このぐらい念入りに護衛を回してもおかしくないと思う。

 

「……まあ、わざわざ貴方達【チームDAT】を護衛に付けたと言う事は、おそらく今回グランギニョル社からの“用事”は貴方達にも関係があると言う事でしょうが。……何故か貴方達【チームDAT】には私達第三生徒会と関わりの深い人間が多いですしね」

「えーっと、お姉さまと結梨ちゃんと二水ちゃんがチームDATの皆さんと知り合いだったんだっけ?」

「私は悪魔事件に巻き込まれた所を美鈴お姉さまに助けてもらって、それからお姉様にはペルソナ関係の訓練も付けてもらった恩人といった所ね。一時期はチームDATの手伝いをしながら修行をしていた事もあるわ。……一応そこのヘビクラ隊長を名乗る不審者にも世話にはなったわね」

「相変わらず夢結嬢からの視線がキツい件についてwww」

 

 アンヌ副隊長や梨璃に対しては凄く優しい目を向けてる夢結の視線が、ヘビクラ隊長に対してはまるで親を殺されたかの様な超キッツい目付きになってるのはちょっと驚いたが、まあ“お姉さま”を男に寝取られた(夢結視点)って話らしいからしょうがないかね。

 むしろダアト時代と違って雰囲気が大分柔らかくなってるし、隊長に対してもギャグ的な対応を取れる今の状況は中々に尊いものだとすら思う。あの世界では笑顔を浮かべる事どころかふざけたりする事すら殆ど無かった事を考えるとね。

 

「後は私の不祥の兄が【カリヤ・ケンジロウ】とか名乗ってチームDATで防衛チーム所属のガンマンごっこしてますね! 実力だけは本物なんですが、特オタもここまで来ると正直言って身内としては微妙な気分です」

「相変わらず失言が多いな愚妹。身内だけの時はともかく普段の発言には気をつけろとあれ程言っただろうに」

「いやだって身内が防衛チームごっことか正直恥ずか……ぎゃー! いきなりのアイアンクローはやめて下さい兄さ〜ん!!!」

 

 そして別の方向ではドヤ顔で説明した小柄な少女【二川二水】の頭部を普段のクールな態度を投げ捨てて鷲掴みにするケンジロウさんと言う面白い光景が繰り広げられているが、トモヤさん曰くアレがあの兄妹のちょっとしたコミュニケーションみたいなもんだそうである。

 事実ちょっとじゃれあった後は二水ちゃんがケンジロウさんのアイアンクローを慣れた様子で抜け出して話に復帰してたし、その後も『学園では問題行動起こしてないよな。勝手にゴシップ記事書くとか』『大丈夫ですよ兄さん、ちゃんとその手の情報は自分だけが楽しむ様にしてます』みたいな会話をしてるので仲は良いんだろう。

 

「それと私がチームDATで修行している時に同じくレベリングをしていた二水さんとは面識があったわ。その縁で生徒会に復帰した時にどうにか追加の人員を確保出来ないかと楓と梅に頼まれた時、彼女が聖華学園に入学していた事を思い出して声をかけたのよ。……チームDATに鍛えられてたから実力は確かだったし」

「レベルをちょっと上げて護身術を教わってただけですから大した事はないんですけどね〜。その縁で梨璃さんと結梨さんも一緒に生徒会に入る事になったんですが、結梨さんもチームDATと縁があったとは」

「チームDATは結梨の保護者の【黎明の祈り手】とも知り合いで、学外で受けたちょっとした事件で友達になったよ。それとその時にヤマトとも知り合って色々と縁があったから仲良くなったの」

「偶然ではあるんだがこの業界意外と狭いからな。知り合いが実は知り合いの知り合いだったとかは珍しくない」

 

 確か夢結と二水ちゃんがチームDATで世話になった後に聖華学園へと入学&復学、そのすぐ後に俺がチームDATの新人隊員として加入したから入れ違いになってたらしいんだよな。

 ……そんな会話を聞きながらも内心は『襲撃来そうだよな、新しき神話とか』と思ってたので常に周辺をアオビトの神造魔人レーダーで探っていた俺だが、予想に反して普通にグランギニョル社日本支部まで付いてしまった。

 

「……襲撃はありませんでしたね。てっきりレベル90越えぐらいの連中が襲い掛かって来るものだと思ってたんですが」

「ふむ、まあ予想が外れたな。万が一の時の為に最悪生徒会メンバーだけは逃がせるプランも考えていたんだが」

「相手がレベル90越えともなると今のチームDATだけの戦力で返り討ちにするのは難しいものね」

「……いやだから、本当に一体どんな襲撃が来ると想定していたんですか? 今回のグランギニョル社の要件って私達が試験運用してるCHARMに付いての話だと聞いていたんですけどそこまでヤバいものでしたの?」

「いや、ただ最近は本当に『イレギュラー的な襲撃事件』が結構起きてるからな。護衛依頼を受けた以上は最悪を想定して動いていただけだ」

 

 ちなみにグランギニョル社の要件については俺達も知らん。隊長はある程度は予測しているみたいだけど、あくまで予想で依頼には関係ないから護衛に集中する様にと言う理由で話さなかったしな。

 ……とりあえずグランギニョル社の受付でアポイントメントはあったので事情を説明したら、第三生徒会メンバーとチームDATは待合室で待機していて下さいと言われた。何でも直ぐに迎えが来るらしいいんだが。

 

「成る程、防衛チームごっこしてるフリーのデビルバスターチームと聞いていたから少し不安でしたが、どうもグランギニョル社が令嬢がいる私達の護衛を任せるぐらいには実力と信用がある優れたチームの様ですね」

「しぇ、神琳、そういうこと言うと聞こえちゃうよ……」

「まあ、ハッキリ言って兄さん達が変人集団なのは変わらないので信用し難いのは仕方ないと思いますよー」

「ヤマト達はみんな強いし良い人だよ?」

「強くても行動がアレだと信用されない事もあるんだよ結梨」

「中々格好にケレン味があってワシは好きじゃがな」

「お姉さまは信頼してますから!」

 

 待合室でなんか生徒会メンバーからは結構好き勝手言われてるけど防衛チームごっこしてる変人が信用されないのは普通の事だし、むしろ今回のように何故かグランギニョル社と言う大企業から依頼を受けられる隊長達の謎の伝手の方がおかしいんだが。

 

「この業界人脈は超重要だからなー。世界崩壊の噂が出てからも真面目にチームとして色んな依頼を達成して来た俺達【チームDAT】にはそれ相応の信用もあったりするんだぜ。特に依頼を頼んだ所からは誠実な仕事ぶりと依頼の達成率からリピーターも多いのさ」

「成る程……って普通に人の心を読むのは辞めてくれませんかね隊長」

「はっはっは。……おっと、グランギニョル社からの迎えが来たみたいだな」

 

 そう隊長に言われると待合室の外から人が近づいてくる気配があったのでスポンサー様に失礼のない様に外行きっぽく雰囲気を整えると、部屋の扉から二人の女性が入って来た。

 

「やっハロー、久しぶりね〜夢結。それとぐろっぴ元気にしてた〜」

「うおっ、百由さまか⁉︎ グランギニョル社に就職したと言っておったが……」

「久しぶりね百由。……それでそちらの方は……」

「お、お母様⁉︎ 何故わざわざここに……⁉︎」

「それは私が貴女達に話があって読んだからよ楓。……初めましての方もいる様なのでまずは自己紹介を。私はグランギニョル社CEO【ミシェル・ヌーベル】の妻の【朋美・ヌーベル】。そっちの楓の母でもあるわ」

「私は【真島百由】よ。元聖華学園OBで今はグランギニョル社で技術者(アーセナル)をやってるわ。今日は社長夫人の護衛件付き添いって感じだからよろしくね〜」

 

 ……いきなりの大物が出て来た事もあって第三生徒会メンバーに(イマイチ状況を理解してない結梨を除いて)緊張が走るが、チームDATメンバーは俺以外は彼女と面識があるらしい事もあって動揺を表に出す事はなかった辺りは流石プロって感じか。

 ちなみに俺は失礼のない様に言われてたし昔ダアトで各神話の主神とか大悪魔と相対した時よりはマシかなと思いつつ、とりあえず体内のマガツヒ制御による肉体操作技術で表情筋を動かさない様にする小技で凌いだが。

 

「それとチームDATの皆さま、今日は彼女達の護衛依頼を受けてくれてありがとうございました。……何分、最近少々人手が足りていないものでね」

「いえいえ、元からグランギニョル社に訪れる予定でしたから大した手間ではありませんでしたから。襲撃も無かったので。……それで、我々はこのまま機材の受け取りに行けばよろしいので?」

「いえ、出来れば貴方達チームDATにも今日の話し合いに同席して欲しいのです。……“ドリフター”に関わる事情を知っている貴方達にもお願いしたい事がありますので」

「成る程、やはり“そういう事情”でしたか。……分かりました、こちらからも話しておいた方が良い情報もありますから同席させてもらいます」

 

 うーん、社長夫人相手でも普通に受け答え出来るヘビクラ隊長は頼りになるなぁと思いつつ、話に関してはどうも【ドリフター】関係っぽいので俺にも関わりがありそうだから表情筋を止めたまま内心で気合いを入れ直す。

 

「……さて、何故貴女達第三生徒会、グランギニョル社のCHARMの試験運用を行なってもらっている貴女達を読んだのかと言うと……実はこの世界が何度もループしていると言ったら貴女達は信じるかしら?」

「「「え?」」」

「お母さま、それは……」

 

 そして唐突に朋美社長夫人の口から出た言葉を聞いた者達の反応は事情を知らないので困惑する第三生徒会メンバーと、既にドリフター関係の事情を知っている俺達チームDATと結梨、及びおそらく事情を知っているらしき生徒会の上級生組に分かれた。

 ……さて、単にスポンサー様への挨拶と新武装の受け取りだけだったのに妙な話になって来たが一体どうなるのかねぇ。

*1
自分への攻撃がクリティカルだった場合、それを通常の成功に変更する。クリティカル無効の消費アイテムと裁定。

*2
SH2で一つのCOMPに一種類だけ付与出来るマスター効果までカスタムしている。過去周回のデータより実験的に再現された。

*3
魔晶手甲を装備している間、サクセサーの相性特性は、素材悪魔のものになる。ミツヒロの場合は【DATハイパーガントレット】に封じた【鬼神 コトシロヌシ】の『魔法反射・物理弱点』の耐性を自分に適用している。

*4
真5の主人公であるナホビノが物語の進行で人間の姿になっている時も、ステータス欄の能力や契約している仲魔には一切の変更はない。一度合一神となれば基本的にそれは不可逆の変化である。




あとがき・各種設定解説

八坂ヤマト&アオビト:ロマン的な武器とかも使ってみたい
・まあ本人に武器を扱った経験などなく、霊的ではない武器をちょっと使わせて貰った時もチームDATメンバーから『武器扱う才能はそんなにないね』『独学ビームサーベ流が完成されてるから新たに武器術特に覚える必要無いよな』と言われたので今後も戦い方は謎ビームサーベルを振り回すスタイル。
・ちなみにダアト時代に戦い続けた経験から謎ビームサーベルを扱う技術は普通に高く、普通の銃弾程度なら“撃たれた後に見切って”ビームサーベルで弾いたり出来るし、最近ではビームサーベルを二つに折って投擲したり釣竿にする感じの変形も出来る様になった(尚実戦では役に立たない)
・またマガツヒによる肉体制御は『ナホビノは悪魔と同じ情報生命体、故に肉体を動かしているのは筋肉や神経ではなく己自身の意志だから、逆説的にソウルやマガツヒを介して肉体を自由に制御出来る‥…筈』という独学理論でやってる技。
・どちらかと言うと意思の力での情報改変による生命活動維持の【食いしばり】系の応用技術であり、人間や悪魔よりも高位の情報生命体(多分)であるナホビノの性能を活かした技術という設定。

チームDAT:リピーターはけっこう多い
・世界滅亡の噂が出てフリーランス異能者が激減した時期にも変わらず高い実力と依頼をきっちり達成する活動を続けていたので、その時期に色々と依頼して来た帝都ヤタガラスやグランギニョル社などからの信用は結構高い。
・特にグランギニョル社からは日本に活動拠点を移してから色々と手が足りない時期に世話になったり、天才技術者のミツヒロが個人的趣味もあって研究を手伝ったりしてくれたので今でも資材などを安く提供する程度に信頼関係がある。
・まあその分グランギニョル社の紐付きと思われてるので、帝都ヤタガラスからは『外様のフリーランスとしては信用出来るけど身内に引き込むのはちょっと』と思われていて漫画さんやくぅんさんの様に内側に引き込む事はない感じ。
・今回のCHARMの様に装備品の更新も定期的にやってはいるのだが、外見をチームDAT仕様に改造する手間が掛かるので防具の更新には金が結構掛かる難点があり、それ故に耐性的な汎用性が高く長期間様々な状況で使える防具を選んでいる。


読了ありがとうございました。
今回は説明会であり、これから始まる『アサルトリリィ Last Bullet編(予定)』のプロローグ的な感じの話。そろそろ本格的にリリィ達の話をメガテンナイズして書こうかなと思ってます。
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