真・女神転生オタクくんサマナー外伝 ~ナホトラマン奮闘記~ 作:貴司崎
本格的なスポンサーになった【グランギニョル社】から『影異界から発生したヒュージ、及び影異界自体の調査』と言う依頼を受けたチームDATは、グランギニョル社所有の郊外にある各種実験兵器を試験する為の影異界へとやって来ていた。
尚、今回の依頼には欧州からのヒュージに関するデータを見ている【真島百由】と元いた世界でヒュージを知っていると言う【ヘルヴォル】、そして事情を聞いた以上は手伝いたいと言って来た【聖華学園第三生徒会】もCHARMの実験運用と会社の業務の手伝いの為と言う名目で付いてきている。
『『『キィィシャァァァァァッ!!!』』』
「チッ、クソ数が多過ぎる!」「電撃弾が切れたぞ!」「本社からの援軍はまだか!」
\カカカッ/
| マシン | ヒュージ“オルビオ” | LV40〜50 | 神経・破魔・呪殺・魔力・緊縛・針無効 剣・技・氷結耐性 電撃弱点*1 |
\カカカッ/
| マシン | ヒュージ“ブル” | LV40〜50 | 神経・破魔・呪殺・魔力・緊縛・針無効 剣・技・氷結耐性 電撃弱点 |
\カカカッ/
| マシン | ヒュージ“アッシャー” | LV40〜50 | 神経・破魔・呪殺・魔力・緊縛・針無効 剣・技・氷結耐性 電撃弱点 |
そこでは『近代的なの施設』のような影異界から球体に三本足が付いたマシン、円盤に二本のブレードが付いて宙を舞うマシン、細長い胴体の三本足で頭部部分に牙のようなブレードが付いたマシンなどが数十体近くの多数施設の入り口から現れて、先に派遣されていたグランギニョル社所属の異能者と交戦していたのだ。
グランギニョルの異能者も今の時勢で外での仕事に就くだけあって全員が
「アレは……まさかヒュージ! 早く彼らを助けないと……!」
それを見たヘルヴォルのリーダー【相澤一葉】がアレらが嘗ての世界で見た“マシンと悪魔と人間の融合体”である【ヒュージ】と呼ばれる兵器の同類だと判断して、襲われているグランギニョル異能者を助けようと他のヘルヴォルメンバーに声を掛けようとし……。
「ヤマト、撃て」
「了解。召喚、ヨシツネ、フツヌシ、ケルベロス。いつも通りだ、人間には当てるなよ」
| ヤブサメショット | 物理属性スキル | 敵全体に小威力の物理属性攻撃。相性を無視して貫通し、必ずクリティカルする。真5仕様。 |
| ヤブサメショット | 物理属性スキル | 敵全体に小威力の物理属性攻撃。相性を無視して貫通し、必ずクリティカルする。真5仕様。 |
| ヤブサメショット | 物理属性スキル | 敵全体に小威力の物理属性攻撃。相性を無視して貫通し、必ずクリティカルする。真5仕様。 |
| ヤブサメショット | 物理属性スキル | 敵全体に小威力の物理属性攻撃。相性を無視して貫通し、必ずクリティカルする。真5仕様。 |
……それより早くヘビクラ隊長の指示を受けたヤマトが【軍神 ヨシツネ】【軍神 フツヌシ】【魔獣 ケルベロス】の雑魚散らしセット三体を召喚、すぐさま自らを含めた四連続で全体貫通クリティカルの魔弾をヒュージに向けて掃射した。
雑に放たれた様にも見える魔弾は交戦している異能者を避けながら次々とヒュージにヒット、全弾急所を撃ち抜いて
「全弾命中、レベル差もあるからプレロマ乗せた【ヤブサメショット】程度で倒せるみたいですね。【ハイリストア*2】や【勝利のチャクラ*3】で回復しますから、奥から
「いや、初見の相手だしテトラカーン怖いから脳死ヤブサメ連打はやめとけ。それに今回はヒュージの調査だから余裕のある内に耐性ノックと行動パターン把握しときたいから色々手を変えて攻めるぞ。バフは最低限で良いが事故死防止には気を付けろ」
「了解、まあいつも通りね。【ラスタキャンディ*5】」
「単発で防御は上げておくか。【ラク・カジャオン*6】」
更に異界の奥から結構な数のヒュージが迫って来るが、それを見たヘビクラ隊長は『アレだけなら自分達であれば十分対処出来る……イレギュラーが無ければ』と考えて、ヤマト単騎では無く全員でこの異界で敵の情報を集めつつ戦う事にした。
その意を受けてアンヌが【ダインスレイフ・カービン】を指揮棒の様に振るいつつ【女帝 ラクシュミ】を呼び出して全体バフを、ミツヒロが手に持った魔晶武器【DATハイパーブレード】に封じられた【技芸属 フツヌシ】の力を引き出しての防御バフを掛ける。
「召喚ネビロス、テトラジャを使って事故死を防止して……学生組は負傷したグランギニョル社員を治療しつつ後ろから俺達の援護、それとヒュージが異界の外に出ない様に交戦。……ここは郊外だが少し離れた所には市街地がある。連中は異界から出ようとしているみたいだからな」
「あのヒュージを外に出す訳にもいかないからね。頼むわよ」
「分かりましたわ!」
「了解しました!」
ヒュージを一方的に蹂躙した光景に少し動揺した学生組だったが、ヘビクラ隊長とアンヌ副隊長の指示を受けて即座にグランギニョル社員への治療と彼等へ攻撃を通さない、ヒュージを施設の外から出さない戦闘態勢を取った。
『『『キィィシャァァァァァっ』』』
「……さて、レベル自体はどれも大した事は無さそうだが、何をして来るかは分からないので慎重に行こうかね」
そうして襲い来る多数のヒュージを前にしてヘビクラ隊長がそんな事を言うと同時に戦端が開かれ……幾ら数が多くてもレベル40〜50程度のヒュージの群れでは平均レベル70超のチームDATには敵わず、学生組も各々相応に鍛えられていたので援護を中心として普通に活躍した事もあって五分と経たずに戦闘は終了したのだった。
──────◇◇◇──────
いきなりの戦闘が終わった後、チームDATと学生組は『ヒュージと影異界の調査依頼』の為に影異界や倒したヒュージの残骸の調査、助けたグランギニョル社員からの情報の聞き取りなどを行なっていた。
「……【ヒュージ】は最近フランスの【影異界】から発見されたマシンと悪魔を融合させた存在の事で、影異界が過去周回の残響であるらしいなら過去のグランギニョル社かそれが闇堕ちした【G.E.H.E.N.A】が作った物が今の世界に流れ着いているという仮説が立てられたわ。そしてどうも複数の過去周回のグランギニョル社が同じ【ヒュージ】と呼ばれる物を作ってるらしく、どの世界から送られてきたかによって若干ヒュージの能力が変わってるみたい」
「我々ヘルヴォルがいた世界の【G.E.H.E.N.A】でもヒュージは使われていました。……マシンと悪魔と人間を融合させると言う非道な製法で作られていて、G.E.H.E.N.A.やガイア再生機構のエージェントの配下となっていました」
「欧州のグランギニョル社からの情報だと暴走してて無差別に人間を襲うモンスター的なヒュージや、普通に人間の言う事を聞くマシン悪魔としてのヒュージなどが確認されてるみたい。多分作られた世界によって暴走したり普通に人間が運用出来るものだったりと違いがあると見てるわ。ドリフ掲示板で集めた幾つかのヒュージ情報でも複数のパターンが確認出来たし」
その一環として百由と一葉から改めてヒュージに関する情報を聞きつつ、次いでグランギニョル社員よりこの異界を監視していた詳しい理由や自分達が来るまでの交戦情報も聞き出した。
曰く『欧州でグランギニョル社やヌーベル家に関係のあった影異界から過去周回のグランギニョル社の遺産とも言える【ヒュージ】が現れた以上、日本支社で確保していた影異界からもヒュージや関係するドリフターが出て来る可能性もあって幾つかの影異界に定期的に監視を派遣していた』との事。
「事前に聞いた情報ではこの影異界はグランギニョル社の試作武器実験用として使われていて、研究施設っぽい外装で内部もそこそこ広いから武器の試運転をして事故があっても周りに被害が出にくいから使われていたとあるが。監視員の方はいつも通り入り口付近で影異界内部の様子を見ていたらいきなりヒュージが襲い掛かって来たので、慌てて会社に連絡しつつ連中が外に出ない様に交戦したと」
「……偵察から戻ったぞ。やっぱりグランギニョル社から貰った影異界の資料と比べても大きく異界が拡張している。俺と二水の【虚空の眼界*7】で見れた所を総合して調べた範囲だけだが」
「私のCHARMに付けられた【マッパー*8】によるとこの施設の内部空間も拡張されている他、資料には無い地下へと繋がっている道も発見しました。ヒュージの残骸らしき物の痕跡もあったのでおそらくヒュージはそこから出ているものと思われます」
「成る程、やはりこの影異界は何らかの理由で既に通常の異界となっていて、その結果として異界としての規模が大きく拡張していると見るべきか。……影異界の特性から考えて過去周回から漂着した“何か”が原因の可能性が高いか」
安全が確保された範囲を護衛を付けて偵察させていたケンジロウと二水達からの報告を含めてヘビクラ隊長はそう結論を出すと、今度は倒したヒュージの残骸を調べているミツヒロ・百由・ミリアムの技術者チームの様子を確認する事とした。
ヒュージを倒した後に残った残骸は幾つかの機械部品と何故か“青い粘液”の様なものとなっており、技術者チームは機械類を摘み上げたり粘液を回収して持ってきた解析用機材に掛けたりして作業を行なっていた。
「このスライムの様な粘液は一体何なんじゃ? 倒したヒュージは機械部品とこれになる様じゃし。……ヒュージの総体積を考えると機械的なパーツの量が余りにも少な過ぎるから、ヒュージの肉体の殆どがスライムで構成されていたのかのぅ」
「恐らくそれで合っているだろうな。この粘液はおそらく自在に変形や硬質化が可能であり、コレを変形させる事で肉体の構築や駆動を行っていたのだろう。先程の戦闘でもヒュージは球状の胴体部を開いて牙の様な内部を晒して噛みついてくるなど肉体変化による攻撃を多用して来たからな。…ある種の液体金属、またはナノマシンか?」
「粘液の簡易解析が終わったわよー。……それで解析結果からこの粘液には“ヒト細胞”が含まれている事が分かったわ。マグネタイトも検出されたからおそらくは“異能者の肉体”を素材に色々と無機物を混ぜ込んで作ってるみたいね。それとミツヒロさんの推測通りにナノマシンっぽい物も見つかったわ。それと残留MAGの性質を調べたら【スライム】や【ブラックウーズ】に近い波形が観測出来たわね」
「それはまた随分とけったいなヤツじゃのう。梅様が好きなガンダムで言うならデビルガンダムみたいなもんか? ……生体素材とは、魔術道具に使うケースは無いとは言わんが、これだけの量を作るとなると一体どれだけの……。それにスライムやブラックウーズと言った悪魔のなり損ないの様な種族の反応とは、実際にこの粘液はスライムじゃったんか?」
「おそらくスライム一歩手前ぐらいに自我を奪った悪魔を融合させているんだろう。機械と生体素材を使ったパーツにスライム化させた悪魔を融合させる事で肉体を構築していたと思われる。この粘液と僅かな機械パーツだけであそこまで精密な造形や動きをしている辺り制御用の“コア”がある筈だが、見つからない以上は悪魔をコアと融合させて制御装置としていたか。悪魔由来のスキルらしきものも使っていたからマシン悪魔の特徴も併せ持つか」
「悪魔がヒュージのコアと融合していたから、ヒュージを倒した時に一緒に悪魔が消滅して融合していたコアも消えたと。一応それならヒュージを倒した時に肉体の制御を失って青い粘液と機械パーツに戻ったとかかしらね。……詳しい事は残骸をグランギニョル社に持ち込んで詳細解析をする必要があるけど結構良いセン行ってる仮説かしら」
とりあえずヘビクラ隊長は専門的な解析は彼等かグランギニョル社に任せるとして、それぐらい作るのに手間がかかっているヒュージがアレだけの数現れて、その上で異界の奥地にもいた場合は欧州の様な単なる少数のヒュージが現行世界に流れ着いたパターンではない可能性もあると考えた。
……つまり、この異界の奥にこれだけのヒュージを生み出せる“何か”が漂着して、その結果として影異界が拡張して通常の異界に近い形となったのではないかと。
「ヒュージの耐性に関しては【ハイ・アナライズ】と耐性ノックで確認出来た範囲では全て同じ。神経・破魔・呪殺・魔力・緊縛が無効、物理の中でもおそらく剣・ガン・技そして氷結に耐性。弱点は電撃だな。マシン類の耐性種別の一つとしてwikiに載っていたパターンに近いか」
「マシンの中でも火炎や衝撃も耐性があるパターン*9では無かったですね。電撃で薙ぎ払えばオッケー……となると弱点カバーで【電撃無効】スキル持ちがいる場合が怖いですが」
「それとマシン類は状態異常無効が多い筈ですが、先程のヒュージには私が使った万能属性の【イルゾーン*10】では【幻影】状態を与えられましたわ。実家からの情報では欧州で確認出来た【メカルンペルシュティルツヒェンmarkⅨ】は個別状態異常はほぼ無効だった筈ですが」
「それに関してはメカルンペルシュティルツヒェンmarkⅨ君は完全なマシンと悪魔の融合体で生体パーツが使われていなかったのが原因じゃ無いかしら。こっちのヒュージは生体素材使ってるせいで神経・魔力辺りの属性は無効に出来ても状態異常そのもの、所謂マスクデータ的な状態異常耐性が低いんだと思うわよ」
「それなら相性が無くて状態異常自体の耐性で判定されるタイプの状態異常スキルは効く可能性があるか。それらの状態異常は得意な手持ちがいるから次の戦闘では試してみよう」
「アレ? 百由様はさっきまであっちでヒュージの解析をしていた様な?」
「梨璃、百由なら解説が必要な所にいきなり現れて話してすぐ帰って行くのは良くある事よ」
そして他の者達は偵察から帰ってきたメンバーを含めて先程戦闘したヒュージの分かった限りのデータをまとめつつ、それぞれ何か気が付いた事が無いか話し合いながら戦闘データの検証を行っていた。
「それはともかくグランギニョル社からの資料によると暴走した様に人間に襲いかかるパターンと、普通に誰かの支配下で運用されるマシン悪魔パターンのヒュージが確認されているわね。今回のケースはどちらかしら」
「アレだけ暴れてたなら暴走しているパターンじゃ無いのか? 人間に従う様には見えなかったけど」
「従う先が“人間”とは限りませんわ。異界を拡張する様な“何か”に従っているとも考えられますもの。……少なくともアレだけの数のヒュージ全てが共通して異界の外を目指していたので何者かの指示で動いている可能性は否定出来ませんわ。共通の行動パターンで動いているとも考えられますが……一葉さんはどう思いまして?」
「そうですね、私達が前の世界で戦ったヒュージは生体素材を使っている非人道的なものでしたが、基本的に【G.E.H,E.N.A】や【ガイア再生機構】のエージェントの配下としてその指示に忠実に従っていました。……それを見た上での意見ですが先程のヒュージは“人間の仲魔”として使役されている様には見えませんでしたが、動きが組織だっているので“何かの指示で動いている”可能性があるかと」
「確かにカジャンダを集団で使って重ね掛けして来たり、全体属性魔法を複数属性同時に使ってくるみたいな戦術的な動きはしてたか。使って来た属性は火炎・氷結・衝撃、それと数は少ないけど疾風と水撃に破魔呪殺もいたね。弱点だからか電撃は使って来なくて、物理攻撃も色んな種類のスキルを使って来たけど」
「だがデビルサマナーの仲魔としては単純な戦術だから予め決められていたプログラム通りに動いていただけにも見えるが。それでもバフデバフ重ねがけから殴って来るとかで厄介だけど。適時解除しないと低レベル相手でも押し切られる」
「……交戦したヒュージの情報はまとめ終わったが、この異界やヒュージ達が何故現れたのかまではこれだけじゃ流石に分からんよな。……やはりこれ以上の情報を知るには異界の奥に踏み込む必要があるか。まあ依頼だしな」
そう言いつつ米神を指で押さえながら情報をまとめたヘビクラ隊長は、まず報連相は重要と言う事で再度分かった限りの詳しい情報をグランギニョル社に報告(ヒュージと戦い終わった時点で簡単な報告はしてた)した上で今後の行動を決定する。
……チームDATは依頼を受けた外様ではあるのだが、この中ではダントツにレベルが高い上に窮地を救われた事やグランギニョル社の依頼を幾つかのこなしている事はそこそこ有名なのでヘビクラ隊長が仕切っても異能者社員からも文句は出なかった。
「とりあえず俺らチームDATで異界の奥を偵察して来るから、グランギニョル社員組と学生組は異界の入り口付近で調査の続きとヒュージが外に出ない様に頼む。今グランギニョル日本支部に連絡入れて緊急事態だから追加の人員を送ってくれるらしいからそれまでな」
「失礼ヘビクラ様、私達が入り口で待機なのはレベルも足りませんし、ヒュージが外に出る動きを見せた事から相応の人数で見張りをする必要があるのでまあ妥当ですが、貴方方チームDATだけで不明瞭な点が多い異界の奥に行くのは危険度が高いと思いますわ。それならグランギニョル社からの援軍を待ってから動いた方が安全ではなくて?」
「まあ楓嬢が言う事が本来なら全面的に正論だなんだが気になる点があってな。……ヒュージと戦った時に奥から追加で来た援軍ヒュージの一部がダメージを負っていた。そして偵察して来たケンジロウと二水ちゃんが『増設されたヒュージが出て来たと思われる地下へ続く道にヒュージの残骸があった』と言っている。これのせいで
ヘビクラ隊長自身も本来なら入り口付近とは言え未知の異界にレベルがそこまででもない(前線組基準)学生組とグランギニョル社員達を放置するなどはせず楓の言葉通りの行動を取るのだが、偵察などで分かった情報と欧州からの報告を合わせると“とある可能性”が浮上するのだ。
「欧州の方だとヒュージと戦ってるCHARM使う異能者が一緒に影異界から出て来たケースや、ヒュージを戦力にしてるシェルターの人間とかがいたケースもあるみたいだからな。影異界が『過去周回で最後まで抵抗した残滓』である以上はそういうケースが多いんだが……」
「つまり、この異界に漂着したのは過去周回のヒュージだけでなくドリフターもいる可能性があると? ヒュージにあった戦闘痕や奥に落ちてた残骸もドリフとの戦闘の痕跡であると」
「さっきのヒュージは終始“同士討ちはしてなかった”から戦闘痕があるならヒュージ以外の“誰か”がいる可能性はあるだろう。この異界の拡張具合からして恐らく過去周回から漂流して来た異界系の大型シェルター規模のものが接合してると考えられるから人間がいる事もあり得る」
「影異界に異界化させた避難用シェルターとかが丸ごと漂着する事も多数事例が報告されているからね。今回も同じパターンである可能性が高いからシェルターにヒュージが攻め込んで来てそのまま移動して来たみたいなパターンも考えられるわ。ヒュージに付いてた戦闘痕も真新しかったしね」
つまりヘビクラ隊長がチームDATのみでの突入を提案したのは接合した異界にヒュージと敵対している人間がいる可能性があったからで、情報源としても防衛チームムーブとしても生存率が高い早期に救出に行きたかったからである。
「さてどうする楓嬢、自分で最初に提案しておいてアレだが此処で見張りながらグランギニョル社からの増援を待った方が安全性は高いし、別に此処にいるドリフを無駄な危険を犯してでも早期に救出に行かなきゃならないって訳でもない。援軍が来てから調査ついでに救出に行っても別に良いんだし、今すぐ行ったらまだ生きてるなんて保障もないからな」
「……はぁ、お母様から少し聞いた通りちょっと面倒くさい人なのですね。……では、グランギニョル社の令嬢、及び聖華学園第三生徒会の生徒会長としてチームDATに『この異界の奥地の早期調査、及び生存ドリフターがいた場合の救出』を提案いたしますわ」
「へぇ、人命救助優先って事か?」
少し試す様な口調になった自分の言葉に対して、明確な強い意志と知性を兼ね備えた目と口調で己の考えを告げた楓を見たヘビクラ隊長を実に愉しそうな笑み(闇)を浮かべた。
……尚、その後ろでは『あの子光属性だからちょっとだけ隊長の悪癖が』『最近隊長業ばっかりで趣味の闇ムーブが出来なかったから』『好みの漫画好き氏辺りとの接触は最近避けてるっすからね』『ストレス溜まりまくってるだろうから刺激しない様にって気遣いらしいが』『そこで接触を避けるのを選んでそもそも揶揄わないって選択がないのがなんというか』と言う隊員達の話し声が聞こえたが無視した。
「それもありますが此処の異界に現れたヒュージは欧州からの報告にあった物と比べても
「なら安全性を重視するべきじゃないのか?」
「それも一つの手ですが、この異界とヒュージの規模であれば欧州の様に『過去周回で生き残ったヒュージが偶然流れ着いた』のではなく『明確な意図を持って人間を襲う多数のヒュージがこの世界に漂着して来た』可能性があります。……であれば早急に此処のヒュージの情報を集めた方が未来の危険性を減らす事にもなるでしょう。グランギニョル社からの援軍も手の空いてる少数の社員を派遣するならともかく、纏まった数を送るにはかなり時間が掛かりそうですし」
「まあ会社所属の戦力だけで十分な数を用意出来るなら俺や学生組を派遣したりはしないだろうからな」
実の所、絶賛色々ブラック労働中なグランギニョル社なので今も伝手のあるフリーなどを集めて異界攻略の準備をしているのだが、子飼いの戦力の手が空いていない事もあって手間取っており、チームDATや学生組に調査を依頼したのも苦肉の策である。
「ですので早期にこの異界が発生した原因、及び此処のヒュージの情報を掴んでおく事は十分にアリな一手であると考えられますわ。事情を知っている可能性の高いドリフター救出を含めて。……それに平均レベル50の異界を外から監視するだけならレベル50近い戦力が揃っている私達退魔生徒会とヘルヴォル、後はウチの社員がいれば十分ですわ。最悪レベル70越えの結梨さんもいますし」
「みんなは結梨が守るよ! 電撃弱点ならカモだし!」
「……まあそこまで考えての事なら反対はしないがね。そもそもこっちから提案した事だしなぁ」
「この異界の危険性については貴方も初めから把握していたでしょうに良く言いますわね」
久しぶりに質の高い光属性とやり合えて内心ウキウキしているヘビクラ隊長であったが、それはそれとして自分から言い出した提案を受け入れた以上は全力を尽くすつもりであった。
「まあ、流石にさっきの話し合いがあった後で学生組だけ放置はしないがな。……トモヤ、お前は残って入り口の警戒組に回れ」
「了解っす。異界の探索なら抜けても一番問題ないのが俺っすからね。俺の役回りは隊長かヤマトの仲魔で補える」
「それとお前が一番護衛に向いているからな。何かあったら殿になって学生組だけでも逃がせ」
「へいへい人使いが荒いっすねぇ」
まずは単独戦闘能力が高いトモヤを学生組の護衛に回しつつ、異界探索用にグランギニョル社から預かっていた多数の各種アイテムや装備を確認してから隊員達に指示を出す。
「それじゃあ残りのメンバーで異界奥地の調査だ。目的はあくまで調査だから入り口組との連絡は密にしながら、奥で何かこの異界に関する明確な情報を見つけ次第帰還するけどな。救出とかは運良く見つけたら助けるぐらいだ。……その辺りが落とし所だろう」
「「「了解」」」
そこから今後の各種行動を入り口組とすり合わせした後、チームDATはヒュージが発生する異界の情報を掴む為に後から接合したと思われる施設の地下へと向かっていったのだった。
あとがき・各種設定解説
八坂ヤマト:挨拶代わりにヤブサメ連打
・他ではボス御用達の強スキルである【ヤブサメショット】を雑に連打する主人公とかどうなんだろうと思ったが、そもそも真5でのヤブサメショットは“雑魚散らし件ダメージが出るパス”だから大丈夫だろうと思い直した。
・一応雑にヤブサメしてる訳ではなくダアト時代での経験からプレスターン戦闘で効率的に確定クリティカル技を使う戦術は心得ており、プレスターンなどの戦闘法研究系掲示板で意見出しながらレスバしたりしてる。
・以前の失敗からコテハンは使わずに匿名でヤブサメショットや【セーフティ】のプレスターンでの使い方などを書き込みながら他の人の意見を交えてレスバしてるが、ナホビノの能力仕様が普通ではないので偶に変な書き込みをして特定されるので『ドリフ掲示板やらかし四天王』の汚名は返上出来ていない。
・それでも基本的な意見や戦術は真っ当だし致命的な情報だけは出さない事を覚えたので掲示板上のネタ程度で済んでいるが、本人的には悪魔倒す戦術考えるよりネットリテラシー覚える方が大変だと思ってる、悪魔はレベルを上げて殴れば倒せるけどネットリテラシーは倒せないんだ……。
ヘビクラ隊長:光属性とやり合えてツヤツヤしてる
・今回のヒュージを見た時点で欧州の事例との違いとか先にあるものへの予想は出来ていたが、グランギニョル社からの依頼である事もあって令嬢である楓に判断を委ねる……と言う名目で軽く試した。
・その返答が自らの善性に従いつつも自分とその仲間達の安全なども含めて判断した末に出された事もあって楓への評価は急上昇、ジャグジャグポイント高めになったのでやる気満々で全力を尽くして依頼をこなす事にした模様。
・防衛チームムーブとして子供は守るべきものだと思ってはいるが、戦う意思と相応の力とそれを使える正しい心を持っているなら子供とは言え無闇に戦場から遠ざける必要は無いとも思っている。
学生組:普通に優秀
・レベル40〜50ぐらいのヒュージの群れに対して前線のチームDATを援護しつつヒュージからの多種多様な攻撃を凌ぎ、ついでに敵のバフデバフ解除したりDATにバフ掛けたり撃ち漏らしのヒュージを排除して特に目立った損害は無いぐらいの実力がある。
・第三生徒会は元ネタの【一柳隊】が連携必殺技【ノインヴェルト戦術】を多用してたので、P2系の合体魔法やバフの重ね掛けが得意な戦術って感じで設定している。
・第三生徒会はレベルや戦闘能力も学生なら十分な実力であり、更に生徒会長の楓を筆頭に全員が善人で常識もあってメンタルも安定していて自分達がやるべき事・出来る事を客観的に判断できるので【退魔生徒会】としては問題を起こさない優等生な感じ。
・ヘルヴォルの方は嘗てガイア再生機構及びゲヘナに強化実験を受けさせられた強化人間・悪魔人間で、その際に能力値上昇スキルや悪魔由来のスキルを獲得してるので個人の戦闘能力に長けている設定(ラスバレでの設定再現)
・それぞれそこに高性能武装COMPの機能やコマンダースキルが加わるのでチームが揃っていれば同レベルのヒュージ相手でも問題なく戦えて、退魔生徒会などの学生達の中ではチームとしての組織的な連携に長けている。
ヒュージ:漂着ヒュージの中では恐らく“一番強い”群れ
・ヒュージの名前は『アサルトリリィ Last Bullet』に出てくるヒュージの個体名からで、使用魔法に関しては同じくラスバレのヒュージ属性が『火・水・風・光・闇』だから近い属性を採用した感じ。
・製法は機械製の制御用コアに機械パーツと生体素材を使ったナノマシン入り人工筋肉を組み合わせて、そこにスライム化一歩手前ぐらいに合体・改造した悪魔をコアに融合させて安定化・強化・スキルセットを行っている。
・なので倒されたらコアは消滅して残骸が残る仕様であり、ナノマシンが自己増殖する事もあって生体素材さえあれば量産が容易な感じ。
・まあ原作アサルトリリィでもヒュージは大分謎存在なので、メガテン的設定を合わせてそれっぽい設定を一応考えてつつ次回以降に描写していきます。
読了ありがとうございました。
『ドリフやらかし四天王』は適当に考えたネタ単語だけど、一般常識が微妙なドリフは多数いるので中身は可変と言うか四天王だけど5人以上いたりする。敢えて誰とは言わないけど。