真・女神転生オタクくんサマナー外伝 ~ナホトラマン奮闘記~ 作:貴司崎
「……ふむ、地下に入ってはみたがコレはシェルターか。地上の研究施設に近い構造だが空間が拡張されてかなり広いが、コレは一種の地下都市と言えるレベルかもな。幾つか前例がある“世界崩壊の危機から逃げる為の避難用の異界シェルター”や“世界を渡るために作られた逃走用異界シェルター”がこの世界に漂着したパターンにも見えるが」
「中から出てきたのが人間じゃなくて思いっきり人を襲うヒュージですからね。むしろ連中の巣とか、或いはシェルターがヒュージに乗っ取られたのかも」
「構造的に人間が使う事を想定して作られている様だから後者かね。……詳細は調べてみない事には分からないが手間取りそうだ」
ヒュージが出現して施設の地下に潜ったチームDATが見たのは地上施設と比べても数十倍近い広さがありそうな超大型異界シェルターであり、異界化による空間拡張を含めても相当な技術力と手間を掛けて作られているのが分かるレベルのものであった。
……最も殆どの建物や内装には戦闘痕があったり或いは半壊していたりで、何より人間の気配は一切感じ取れない“ゴーストタウン”の様な様相となっていたが。
「見たところ人間が普通の生活に使う事を前提として作られている施設だから避難や逃走用のシェルターっぽいな。広めのレクリエーションルームとか運動用の庭まで用意されてるからこの地下施設で大人数が長期間の生活を行う事を前提に作られてる」
「だが各所にある戦闘痕から戦いがあった事は確かの筈だが“死体が何処にも無い”のが気掛かりだ。……あのヒュージってのは生体素材で作られてるって話だから食われたとかか? ヒュージの残骸らしき機械部品もあるが俺の【虚空の眼界】の範囲内には人間の姿はない」
「戦闘痕もかなり前に戦った結果らしきものと、多分つい最近付いたものがあるわね。……施設が廃墟になっている所と古い方の戦闘痕はかなり広範囲で、新しい方はちょくちょく付いてるだけって感じ。古い方も戦闘があったのは大体数ヶ月前って所かしら」
「となると、大規模で古い戦闘痕から人間が使っていたシェルターで住んでいた人間と“何か”の規模のでかい戦いがあって人間側が敗北、その後についさっきまでヒュージと“誰か”が戦っていたって事か。……『一度ヒュージに占拠されたシェルターを人間側が取り戻しに来て一緒にこの世界に転移した』とかが有力な仮説だがまだ断言は出来んな」
それでも各種調査にも慣れているチームDATはシェルター内に残された戦闘痕から過去に大規模な戦闘があった事、そして傷を負ったヒュージがいた事を含めて今も戦っている者がいるだろう事を突き止めた。
なので普通に新しい戦闘痕の方を追っていけばヒュージと戦っている“誰か”と接触、或いは何かの情報ぐらいは得られるだろうと考えて行動を開始しようとしたのだが……。
『少年、ヒュージと思われる敵性反応が多数接近している』「アオビトのレーダーに反応、皆さん敵ヒュージです」
「こちらの眼でも捕捉した。さっき戦ったのと同じぐらいの大きさのヒュージが合計27体、隊列を組んで向かってくるな。外見は地上に現れたものとは同じものもあるが似ているだけで別種のものもあり」
「了解、全員戦闘準備。探索の途中で邪魔されるのは御免だからな」
だが、そのタイミングで周辺の警戒に当たっていたヤマトが接近するヒュージを感知、こちらが調査しながら進む必要がある以上は邪魔されると面倒なので先に排除すると即決したヘビクラ隊長の指示にしたがって即座に戦闘態勢を取る。
とりあえず地上で戦ったヒュージは組織的にバフデバフを多用しながら複数属性で殴るというシンプルだが対策が取りにくい戦術で来たので、バフデバフ解除及び属性魔法対策の仲魔を召喚しつつ先制攻撃で数を減らそうとした……所でケンジロウの【煌天の幻視*1】に『ヤマトがいきなり何かに殴られた様に吹き飛ぶ光景』が視えた。
「ヤマト、今すぐに右に飛べ」
「了解!……っとおぉ⁉︎」
ケンジロウの言葉を受けて迷わず右に大ジャンプしたヤマトがいた地面がいきなり『何か強力な打撃に潰された』様に抉れる目撃したDATメンバーは即座に敵からの攻撃と判断するが、接近してくるヒュージはまだ戦闘距離にはいないので混乱が起こる……。
「攻撃は推定打撃、威力からして攻撃バフガン積みかね。だが未だにヒュージは遠いが【ドロンパ】辺りからの奇襲なら攻撃を受けた時点でケンジロウの目なら捕捉出来るだろうし、接近されて戦闘になれば単体攻撃が当たらないぐらいで普通にそこにいる気配ぐらいは分かる……遠距離攻撃の方か?」
「確か最近wikiの方にDIOシステム式の悪魔召喚では龍王種族が遠距離攻撃出来るって見ましたね。最近システム使ってるドリフから情報を入手したのか詳しいデータが載ってて数百メートル以上先から物理属性で攻撃出来るとか*2」
「成る程、それなら
「遠距離攻撃の方は俺が。召喚、コウリュウ、ヴァスキ、オンギョウキ」
……などと言う事は無く、状況分析とこの世界最大の力である【有志によるWiki】の情報から攻撃の正体を推測すると共にヘビクラ隊長とヤマトは即座に必要な仲魔を選択して召喚、随時行動に移した。
「アナンタはいつも通りに自動全体バフ、念の為な」「了解しました」【無終なるもの*3】
「コウリュウ【咆哮*4】」「承知……グゥォォォォォ!!!」
「なら魔法対策はしておくわね。ラクシュミ【天上の舞*5】」
呼び出された多頭の龍王【アナンタ】が全体バフを掛け、更に黄金の龍神【コウリュウ】の咆哮がシェルター全体に響き渡る。そして隊長の意を汲んだアンヌ副隊長が呼び出したペルソナが美しい舞を踊る事によって味方全体の魔法防御が引き上がる。
……直後、クールタイムが終わった超遠距離からの打撃の第二撃を放たれるが、再びヤマトを狙ったその“単体物理攻撃”は【咆哮】による攻撃誘導によってコウリュウび当たり【物理吸収】の自動効果スキルによって無効化された。
「誘導された上でコウリュウの物理吸収によって吸収されたので遠距離攻撃の正体は単体物理攻撃。貫通された様子はなく、Wikiに乗ってたDIO式が使う超射程属性ブレスでも無さそうですね。確か物理攻撃に状態異常を追加するブレスもあった筈ですが吸収されたので分かりません」
「なら遠距離攻撃の正体はDIOシステム式の龍王の攻撃で間違いはなさそうだな。その為に魔法防御も上げたが……ま、コレ単品じゃなくて連携で来るだろう」
「接近してくる敵ヒュージが戦闘可能距離に来ました。攻撃してきそうですね」
その遠距離攻撃に合わせる様にヒュージの大群がチームDATから目視出来る距離まで接近しており、まず後列にいた細長い三足歩行型──バフ系スキルに特化させた【シズラ】と呼ばれる種類のヒュージ四体が動き出す。
『『『『キィィィィィィッ!!!』』』』
【マカ・カジャ】【マカ・カジャ】【マカ・カジャ】【マカ・カジャ】
立て続けに発動されたのは味方全体の魔法攻撃力を上げる【マカ・カジャ】であり、然もその強化倍率は四度の重ね掛けによって『450%』に達していた*6。
更に前方にいた楕円形の胴体に弓の様な三本足を持つ防御型ヒュージ【ディアマント】の内二体が【テトラカーン】【マカラカーン】を使ってヒュージ全てに物理反射・魔法反射の状態を付与、そうしてから砲門の様な胴体をしたヒュージ【フォーン】や少し大型で二本の腕を持つヒュージ【トリスケリオン】が動き出す。
『『『『『キィィィィィィシャァァァァァッ!!!』』』』』
【マハラギオン】【マハブフーラ】【マハザンマ】【マハフレイラ】【マハアクエス】【マハガルーラ】【マハンマオン】【マハムドオン】
それぞれ四体ずつのフォーンとトリスケリオンが肉体構造を変形させて“砲門”を作り上げ、そこより放たれたのは火炎・氷結・衝撃・核熱・水撃・疾風・破魔・呪殺という多様な属性による全体攻撃。
限界まで掛けられた魔法攻撃力増加バフの恩恵を得たそれらの全体魔法は凄まじい威力となってチームDATへと迫り、仮に属性無効装備や耐性があったとしても希少な属性を含む一つ一つの属性が違う全体攻撃がコレだけの数繰り出されればそれら全てを無効にする事は困難を極める。
「……やはりそういう手筋か。ノルン、アナンタ」
「承知しました。【デカジャ】」
「御意。【マカラカーン】」
……筈だったが、その直前に敵が撃つ手を読んでいたヘビクラ隊長が仲魔に指示を出し、同時に付き合いの長さからサマナーの意を汲んだノルンが攻撃がくる前に敵の強化状態を解除、アナンタの方はヒュージ達も使った魔法反射の結界を展開する。
例え多様な属性の全体攻撃であろうが“魔法”である事には変わりなかった故にマカラカーンの魔法反射の理によってヒュージへと跳ね返される……が、ヒュージ側も同じく魔法反射状態なので跳ね返された魔法は反射結界に阻まれて霧散した*7。
「遠距離物理攻撃に対処の手を使わせてから間髪入れずにバフ積んだ魔法攻撃連打、バフや属性魔法を多用してくるならよくある手だから対応は出来るな。反射された時の対策戦術も出来ている辺り【ヒュージ】はただ本能のばかりに暴れている訳ではなく明確に“知性”がありそうだ」
「裏をかいて万能か貫通物理か状態異常も飛んでくると思ったから魔法防御は上げておいたけど、地上でも見た物理攻撃してきた種別もいるから次は物理戦闘かしらね」
「じゃあ近付かれる前に数を減らそう。テトラマカラ張ってれば無敵などと言う事は無いのは掲示板では定説だぞ?【神矢来*8】」
「万能で薙ぎ払えと。【メギドラオン*9】」
「状態異常も防げませんよねぇ。【まどろみの渦*10》」
攻撃が防がれたヒュージ達はすぐに物理攻撃が得意なタイプを前面に押し出すが、それらが接近するよりも早くヤマトとオンギョウキがそれぞれ【万能プレロマ*11】と魔法攻撃力強化を乗せた無数の光の矢と破壊のエネルギーを放って全面のヒュージ達を一掃する。
更に後方にいるヒュージ達にはヴァスキのによる【マカジャマオン】の異様な波動が放たれ、スキル適正と【狂い咲き*12】によって跳ね上げられた成功確率もあってヒュージの多くを【幻惑】や【睡眠】へと落とし込んだ。
「眠ったり幻を見せられたりして敵の動きが鈍ったな。ネビロス、ミツヒロ、今の内に残りを一掃しろ」
「承知しました。さてまずは【メギドラ】」
「では続けて【精霊召喚】っと」
| メギドラ→精霊召喚 | ||
| ハチマン | 合体魔法 | 「ハチマン」を召喚し、敵全体に「精霊召喚」術者のLVを威力に加算した万能属性でダメージを与える。 威力は136+71(ドイガキ・ミツヒロの今のレベル)で207。P2罪出典。 |
前衛ヒュージの多くが万能魔法で消し飛ばされ後衛も状態異常でまともに動けなくなったタイミングでチームDATは合体魔法を使用、呼び出された『八幡大菩薩』のアバターより放たれた一条の光線によって残りのヒュージは一掃されたのだった。
「……ヒュージに万能相性の状態異常が効いたという話だから幻惑を試してみたけど、睡眠も効いたんで個別状態異常耐性で判定するタイプもイケるみたいですね。思ったよりも掛かりが悪いから全く耐性がないと言う訳でもなさそうだが」
「精神・神経・魔力・緊縛無効だろうがそれ以外の相性ならな。本来のマシンなら個別状態異常耐性も殆どは無効なんだろうが生体素材を使ってるせいでそこら辺が弱くなってるって百由嬢の仮説も間違ってないのかもしれん」
「……遠距離攻撃を行なっている敵の位置を捕捉した、あのヒュージ達と比べて数倍の大きさのヤツが10時の方向800メートル程先からこっちを攻撃してる。それと同じ方角からヒュージの群れの第二波も接近中だ」
三度目の遠距離打撃を同じ様にコウリュウが吸収したタイミングで遠距離攻撃を行なっている敵の位置を探していたケンジロウが敵ヒュージを発見、それと同時にこちらに接近してくるヒュージの第二波を見つけた報告をした事を受けてヘビクラ隊長は少し考え込む仕草を取る。
「DIOの龍王は接近されると戦闘出来なくなるらしいからそれ対策か? ヒュージの群れを壁にして接近を阻みつつバフ盛り遠距離攻撃と連携させる戦術か。攻撃誘導効果も完全という訳ではないしな。……ヤマト、お前だけ先行して遠距離攻撃型ヒュージを潰してこれるか?」
「ヒュージの動きと数とこのシェルターの地形なら……まあ戦闘にさえ入らなければ行けるでしょう。近づけばアオビトの探知能力で捉えられるからな。それじゃあコウリュウは引き続き囮、オンギョウキとヴァスキは隊長達の援護を。接敵したら“戻す”」
「よかろう、まあ吠えながら防御するだけの仕事だが」
「とりあえず万能攻撃で。MPが少し心許ないがまあ大丈夫だろう」
「それでは状態異常は封技メインで行きましょうか。スキルを多用してくる相手ならコレが効きますしねぇ」
実時間では数秒程度の思考の後でヘビクラ隊長はヤマトに遠距離攻撃を行なっているヒュージの撃破を指示、一見無謀に思える様な指示ではあったがヤマト自身は特に問題なさそうに仲魔へと指示を出した後で一瞬で全速力まで加速して敵が確認された方角まで駆けていったのだ。
| ダッシュ | 真5のナホビノはZRとZLボタンの同時押しでフィールドを走る事が出来て、その速度はフィールドにいる悪魔を上回る。 なので走ってフィールドにいる悪魔を避けて戦闘を回避しながら進む事も可能であり、戦闘中のバトルスピードには寄与しないがフィールドでの移動速度は高いと裁定。 嘗て広大なダアトを駆け抜け続けて様々な悪魔を必要なら足だけで振り切っていたヤマトとアオビトの悪魔の動きや地形を把握しながら移動する技術。 ただしアンズーとマカーブルとスイキ、テメーらはダメだ。 |
戦闘用に調整された神造魔人と融合した事で得た身体性能、及びナホビノとしての『自己情報保存・操作能力』を応用したマガツヒを介して己の意思通りに肉体を動かせる事による超運動神経と反応速度を活かしたフィールドの高速移動能力。
その速度と反応はヤマトが接近に気付いたヒュージが戦闘に移るよりも早く動きを見切って動き出した逆側の脇を擦り抜けて振り切り、空を飛びながら迫ってくるヒュージもアオビトのマップ探知も駆使して手慣れた動きで起動を読み回避する。
「シェルター内の地形が割と広くて助かったな。ヒュージもダアト悪魔(アンズーとか)程に嫌らしい動きはしてこないし、見えている範囲内なら全て振り切れる」
『死角は俺が注意しておくが油断はするなよ。うっかり地形にハマって背後から攻撃受けるとかになったら洒落にならん(n敗)』
「本当に何度もあるよな……っと、他のみんなが戦闘を始めたか。コレなら抜けられるか?」
先行したヤマトから少し遅れて他のチームDATメンバーがヒュージ第二波へと戦闘を仕掛けたので、そちらに気を取られてヒュージの動きが止まった*13瞬間を見計らって彼は一気にヒュージの群れを駆け抜けて振り切った。
そのまま彼は一気に走り抜けつつ途中でアオビトが“強大な悪魔の気配”を感知できる様になった*14ので、シェルターのそこそこ複雑な地形をダッシュやジャンプで駆けながら恐らくレクリエーション用に作られたと思われる広間にいる大型ヒュージの下にたどり着いた。
『グゥゥゥオォォォァァァァァァァァァァ!!!』
\カカカッ/
| マシン/龍王 | ヒュージ“ファンバオ” | LV72 | 備考:内部情報を【龍王 ユルング】に寄せたスライムを融合、及び擬似DIOシステム内蔵。 |
広間にいたのは蛇の様に長大な身体に二対の鋭い刃の様な翼状のパーツが付いた
しかしDIOシステムの龍王の特性としてヤマトに接近された現場では戦闘を行えない……と思いきや、敵の接近に気がついたらファンバオは内部パーツを体内に戻して装甲を閉じ、更に内部に入力された『以前に捕食して取り込んだDIOシステムの一部機能を模倣再現したプログラム』を停止させた上で内部プログラムを切り替えて“近接戦闘モード”へと移行したのだ。
『グゥゥゥオォォォァァァァァ!!!』
「なるほど、直接戦闘にも対応しているか」
このファンバオは遠距離攻撃モードであれば【タル・カジャ】の重ね掛けで物理攻撃力を跳ね上げた遠距離打撃を放ってくるが、近接戦闘モードであれば普通の【龍王】が有する高い物理攻撃力を始めとするステータスと魔法・バフ・デバフ含む多様なスキルで戦闘を行う事が出来る。
更に大型ヒュージは一部の高位悪魔の様に“2回行動”も可能であり、未だに攻撃力バフは健在な事もあって物理攻撃スキルで接近した敵を叩き潰そうと動いたが……それよりも早くヤマトの
『専用COMPとリンク確認、アプリ【Mr.サプライズ】によって先行を奪取する』
「じゃあ呼び戻すか。【コウリュウ】チェンジ【ミトラス】」
「ほう、私の出番かね。ではまず【デカジャ】だ」
そしてアオビトの補助もあって先行を取ったヤマトはすぐさま【CHANGE *15】によって召喚していたコウリュウを帰還、代わりに金髪の男性悪魔【魔王 ミトラス】を召喚して相手の強化を解除させる。
……神造魔人の機能とナホビノの権能によって悪魔を使役している彼の召喚術はそれなりに融通が効き、流石に古式召喚士の【召し寄せ】や契約していれば距離を無視した召喚が可能な【サバトマ】程ではないが、呼び出している仲魔と控えの仲魔の
『ヴァスキを帰還させてカーリーを、オンギョウキを帰還させてオーディンを召喚する』
「そして交代だけならまだ動ける*16から、とりあえず手番を稼ぐために【ヤブサメショット】だ」
続いて北欧神話の主神【魔神 オーディン】と多腕の女性悪魔【鬼女 カーリー】を呼び出したヤマトは、プレスターン式の高速交代で出来た余裕を使って【ヤブサメショット】をファンバオの急所に放って敵を怯ませると同時に三体の仲魔が動ける隙を作り上げる*17。
事前に神意【畏怖*18】によってファンバオの攻撃力は下がり、神意【強化召喚*19】によってミトラスの攻撃力、オーディンの命中・回避率、カーリーの防御力が上がっている。
「ヤブサメ撃った感触だと【物理無効】持ちかな。遠距離攻撃してくるから予想通りだけど」
「火炎相性はどうかな?【ラグナロク*20】!」
「そのスキル名を聞くと微妙な気分になるな……まあ今の私には関係無い事だが。【真理の雷*21】」
「それなら【地獄突き*22】で物理無効ごとぶち抜けば良いでしょう!」
『クゥゥゥオォォォァァァァァ!!?』
そこにミトラスが“世界の終わり”の名を持つ極大の豪炎を、そしてオーディンが主神の名に恥じない極大威力の雷光を、カーリーが凡ゆる相性を無視する凄まじく鋭い刺突をファンバオに繰り出してその身体に深刻なダメージを与える。
それぞれのスキルにはプレロマ、或いはギガプレロマ系自動効果スキルで威力上がっている事もあり大型ヒュージの全身を強かに打ち据えた……のだが、未だにファンバオは死んでおらず、即座に【
『グゥゥゥオォォォァァァァァアアアアアア!!!!』
「チッ、俺は物理耐性で通常相性の他の仲魔も一撃だけなら問題なく耐えられるが仕留め損ねた……と言うか、弱点カバーに【電撃無効】スキル持ってるからオーディンの攻撃がブロックされただけか」
「やれやれ、今の仲魔でしかない私では電撃に貫通を付与出来んからな。どうするサマナー?」
「HPが多い上に全回復魔法がある大型悪魔は単純だが面倒だぞ」
その攻撃では運良くクリティカルが発生しなかったので連続攻撃を受ける事は無かったが、全回復魔法持ち二回攻撃悪魔は厄介な事に変わりなく一先ずカーリーを回復役の【女神 デメテル】へと交代させつつ【エウレシスの実り】で味方全体のHP全回復&増強を指示。
次いでミトラスが通常相性である【ラグナロク】を再度撃ち込み、オーディンは電撃が効かない以上は物理で攻めると【会心の覇気*24】を使って次の攻撃に備えつつデメテルが全体回復、そこに再度手番が回ってきたヤマトは状態異常相性を確かめる為に【マカジャマ*25】を試す。
『グゥゥゥァァァァァ!?』\Weak!/\封技状態*26/
「え? まさか封技が効くのか*27」
「あ、弱点突いたならもう一度なら行動できるな。もう一度【ラグナロク】を撃ってダメージを稼いでおくか」
ヤマトとしては全回復を封じられたらラッキーぐらいの気持ちで試したのだが思ったよりも効きが良くてむしろ驚いているが、それでも戦闘では冷静に反撃に移ったファンバオの通常攻撃2回を凌ぎつつ詰めに入る。
「それじゃあ封技が切れる前に倒すか。どんな相手でも状態異常耐性に穴が有れば普通に倒せるからな。まあ“龍王狩り”には慣れてる」
『昔ヤマタノオロチには経験値稼ぎで世話になったしな』
『グゥゥゥオォォォァァァァァァァァァァ!!?』
まずは挨拶代わりの【ヤブサメショット】から四度目のミトラスの【ラグナロク】に繋げて、そこに会心を乗せたオーディンの【グングニル*28】が突き刺さるなどして出来た隙にデメテルが【ラスタキャンディ】で味方の全能力を上昇。
そしてクリティカルで無理矢理作った隙にヤマトが行動をねじ込んで【天剣叢雲*29】による光の剣で撫で斬りにしつつクリティカルを叩き出し、そこにさいごのミトラスの【ラグナロク】とオーディンの【グングニル】が叩き込まれる流れる様な連続攻撃でファンバオは跡形もなく砕け散ったのだった。
──────◇◇◇──────
「……まあレベル差があって数で囲んでれば余程の事が無ければ負けないんですけどね。とりあえず推定龍王っぽい大型ヒュージは排除しておきました」
「お疲れさん、こっちも終わったぞ」
「じゃあ回復はしておきます。召喚スラオシャ【メディアラハン】」
そうしてヤマトがファンバオを排除するしてから戻って来ると他のチームDATメンバー達もヒュージの群れを掃討し終えた後だったので、フィールド回復用の【大天使 スラオシャ】を呼び出して味方の回復をさせておく。
「全回復はしておきましたよ。それと私は召喚待機状態にしておいて下さい。そうでないと【チャクラウォーク】の効果が機能しないので」
「分かった。……こっちの大型ヒュージは情報にあったDIO式龍王と違って接近戦にも対応して来ました。状態異常が通じたので倒すのは簡単でしたが」
「なるほど、このヒュージ共は明確な“戦術”を駆使して来るからそこらの野良悪魔より厄介だな。しかもコレは明確に『自分達よりも強い者を倒す為の動き』だった。知性があるぐらいは予想していたが思っていたより厄介かもしれん」
「遠距離物理攻撃からバフ盛り多属性魔法の組み合わせにマカラテトラまでしっかり張ってたからねぇ。……同レベルの野良悪魔がいる異界よりも難易度は高くなりそう」
ただ群れになっているだけの普通の野良悪魔と違って、まるで人間の様に明確な戦術・戦略を持って戦いを挑んで来るヒュージ達にチームDATメンバーは明確な脅威を感じていたが、その中でもヘビクラ隊長は少しだけ先を読んでいた。
「このヒュージ達が格上へ対抗する戦術を取ってきたって事は
「「「「了解」」」」
戦闘を得てこの異界の【ヒュージ】と呼ばれる存在の特異性に危機感を感じたヘビクラ隊長は、当初の目的通りにシェルター内で戦っている“何者”かから情報を得る必要が高まったと判断して隊員達と共に探索作業を再開したのであった。
──────◇◇◇──────
「……ヒュージは行ったみたいね。みんな大丈夫?」
「は、はい、叶星さま、大丈夫です。高嶺さまの容態も安定しました。……私では杏先輩達ほど上手く魔女術が扱えませんから、すみません」
「大丈夫よ紅巴さん、貴女の【適切な処置*30】のお陰で持ち直したわ。……それよりもこれからどうするかよ」
「今はボクの【ドロンパ】とか精霊さん達に頼んでこの“隠し部屋”は見つからないようにしてるけど、いつまでも見つからないって訳じゃないしね」
「ヒュージがいなくなった今の内に作戦を考えましょう! ……もう“突入部隊”の生き残りは私達しかいないのでシェルターからの脱出も視野に入れるべきだと思います」
異界型シェルターの一角にある部屋、そこは万が一の為にシェルターの住人がヒュージから身を隠す目的で作られた場所であり、今はCHARMを持ってかなりの高性能な装備品を身に纏った5人の少女達が身を潜めていた。
その装備品やCHARMには多数の傷が付いており彼女達自身も傷こそ回復魔法で治したものの疲労困憊な様子で、今も長髪の大人しめな少女【土岐紅巴】が皆の治療とCHARMの簡単な修理を必死で行っている。
「紅巴ちゃん、少し休みなさい。今回復役の貴女に倒れられる訳にはいかないわ。CHARMも此処まで整備すれば後はこっちでどうにかするしね」
「叶星様、ですが……いえ、分かりました、休ませてもらいます」
「ありがとうね紅巴ちゃん。……少し状況を整理しましょう。私達はヒュージに占拠されたシェルターを取り戻す作戦の一環で偵察に来て敗北、味方は壊滅して私達だけどうにか逃げ延びたと言う状況」
「改めて言われると絶望的ですね。ヒュージとあの“人喰い悪魔”達との戦いに巻き込まれて生き残った人類にはこの『次元移動能力』を持つシェルターの確保は最後の希望だった筈なのに……」
「ヒュージと【禍の団】……だっけ? その二つの勢力がお互いを喰いあって『勝った方が我々の敵になるだけです』な状況だったからね」
「それに巻き込まれた人類が既に絶滅寸前だから敵になれるかも怪しいわね」
彼女達は突如現れた人喰い悪魔【禍の団】と、それに対抗する為に作られたのだが暴走して人間と悪魔に無差別に襲い掛かる様になった【ヒュージ】との戦いで荒廃した世界からのドリフターだったのだ。
そして彼女達は追い詰められた人類勢力は最後の賭けとして嘗て次元移動による世界脱出の為に【グランギニョル社】が中心となって作られたが、完成直後にヒュージに奪取された『次元移動シェルター』の奪還作戦に参加していたCHARMユーザーだったが今では唯一の生き残りになってしまっている。
「ボク達もあの“トゲトゲした魔人さん”助けて貰わなかったら死んでたもんねー。『この先にある避難用に作られた隠し部屋に行け。VIP用だったから上手くいけば隠れられる筈だ。……このシェルターをヒュージが“使う”ならお前達だけなら運が良ければ助かるかもな』って言われて来てみたらホントにあったし」
「あのクッソ怪しい【ジャグラス・ジャグラー】とか名乗る魔人の事は信用出来ませんけど、実際にヒュージから私達を助けてくれたし、VIP用の隠し通路の作りかけに残っていた対ヒュージ用の認識阻害機能ならヒュージの目を誤魔化せるみたいですからね」
「……シェルターの制作者も死んだのでこういう情報はほぼ集まらなかった筈だけど。まあ最後まで殿を務めてまで助けて貰った人を悪く言うものじゃないわね」
「でもかれこれ
「……いえ、まだ希望はあるわ」
改めて彼女達の状況を考えるとかなり絶望的なことしか分からないが、それでも何かを思い付いたリーダー格である銀髪の少女【今叶星】を含めて彼女達の目は誰も死んでおらず強い【ソウル】を感じ取れた。
「あの魔人は『この施設をヒュージが使うなら運が良ければ生き残れる』と言っていたわ。そしてこのシェルターヒュージ『今の世界を出て別の世界に行く事』を前提に作られている。……だから、ヒュージによってこのシェルターへ既に別の世界に来ている可能性があるわ」
「えぇっ! そんな事が……」
「有り得なくはないわね。ヒュージは禍の団相手に基本大きく劣勢だったのだから占拠したこの施設を使って逃げる事を考えてもおかしくないわね。……事前調査でもヒュージがこのシェルターに集まっていると言う情報はあったわ。それでも作戦を強硬するしか無かったのだけど」
「一応禍の団とヒュージが戦ってる隙を突いての偵察だったんですけどね。……でも次元移動したなら流石に私達も気がつくと思いますけど、そんな感じは特に……」
「定森は鈍感だったから気付かなかっただけじゃない? それになんか精霊さん達の様子が少し変な気がするし、ヒュージもなんか地上の方を気にしてる感じだったよ」
「そういう情報は早く言いなさいよ! それと『定森』じゃなくて『ひめひめ』って呼びなさい」
「分かったよ定森」
そんないつも通りなやり取りをこんな状況でも続ける後輩二人【定森姫歌】と【丹羽灯莉】を見て叶星は笑みを浮かべつつ『この仲間達だけは何としてでも生かして返してみせる』と決意を新たにする。
それを見た彼女の幼馴染である金髪の少女【宮川高嶺】も彼女の覚悟を感じ取り、その手にそっと自分の指を絡めつつ最後まで彼女と共に戦うと改めて誓った(それを横で見た紅巴は尊みオーラにやられて昇天しかけたが更なる尊みを味わう為に食いしばって耐えた)
「事前に渡された資料によれば次元移動自体は異界内部時間を停滞させた体幹3日程度で終わる試算だとされていたわ。この部屋には遮断結界があるから外の様子に気づきにくい欠点もあるしね。……それに灯莉ちゃんが言った通りヒュージが地上に目を向けているなら誰かがこの異界に来ているかもしれない、ヒュージも禍の団もいない世界の人なら助けを求められるかもしれないわ」
「世界移動をしていないとしてもヒュージが地上部に行っているという事は人喰い悪魔とかが攻めて来て迎撃に出てる可能性があるわ。その戦いの隙を突けば地上への脱出だけは達成出来るかもしれないわね」
「……正直言って、今の私の作戦は想像と推測と願望を合わせた確証のない作戦よ。それでもこのまま此処にいても全滅するだけだから、まだ戦闘を行う余裕がある今の内に脱出を図るしかないの。……最悪私が囮になってでも貴女達だけは「「「それは駄目
どうにか作戦を捻り出した叶星であったが絶望的な状況下で不確定過ぎる方針しか出せない事もあって思わず弱音を吐きそうになったが、それ以上の言葉は後輩3人の言葉によって遮られた。
「叶星さまが犠牲になるなんて絶対にダメです! 不詳この土岐紅巴、叶星様と高嶺様が逝く所であれば例え地獄の底までお供する所存です!」
「ええいっ! 地獄とか不謹慎な事言うのは辞めなさい紅巴! アタシ達はどんな時でも人々に希望の光をもたらす『アイドルデビルバスター』として皆んなで生き残らないとダメなのよ! それこそが私達に後を託してくれた【黛冬優子】師匠の最後の教えなんだから!」
「でも定森がふゆこたんの弟子ってのは自称だよね? それにあのトゲトゲさんも『運が良ければ生き残れる』って言ってたし、ボクけっこう運には自信あるんだー。この前も四葉のクローバーを拾ったし」
「ふふふっ、貴女の負けよ叶星。確かに絶望的な状況だけども最後まで希望を捨ててはダメよ。……少なくとも私を含めて此処にいる皆は最後まで貴女と共に戦う事を自分で選んだのだから」
「…………そうね、高嶺ちゃん。私達の戦いは今日が最後かもしれず、だからこそ命を賭して戦うべきかどうかは自分自身で決めなかればならない。冬優子さんの言葉だったわね。……だから私達は今この場で戦う事を選びます! 必ずみんなで生きてこのシェルターを出ましょう!【グラン・エプレ】出撃!」
そうして彼女達、対ヒュージ・悪魔専門のデビルバスターチーム【グラン・エプレ】はシェルターから脱出して地上に出る為、最後になるかもしれない戦いであろうともそれぞれの意思を持って赴いたのだった。
あとがき・各種設定解説
チームDAT:戦闘中は超冷静
・ノリとロマンで構成されたチームではあるが戦闘時にはヘビクラ隊長を中心に阿吽の呼吸で連携を取りながら敵を封殺していく戦いが得意であり、ナイトレイダーとかのシリアス系プロフェッショナル系ムーブと主張している。
・新人隊員のヤマトも訓練の成果と元から封殺系の塩戦術は得意だったので隊の動きに合わせる事は出来ているが、完全とは言い切れないのとやっぱり単独行動が一番得意なので今回の様に遊撃で動く事も多い。
・ちなみにヤマトの専用COMPはアオビトに残っていた神造魔人の機械的通信機能を使ってリンクさせて幾つかのアプリをどうにか使える様にしていたりする。
ヒュージ:禍の団とガチ戦闘してた世界から来た
・追い詰められた人類が無数の人喰い悪魔の群れに対抗する為、その悪魔自体を捕食して自己強化と自己増殖をする対抗兵器として作られたが案の定暴走して人間や機械すら素材として自己進化する機械生物モドキみたいなのになった結果。
・ただしそんなデビルガンダムじみたスペックのヒュージ群でも、無限に近い物量の禍の団相手では7:3ぐらいで不利な戦況であったのでシェルターを使って現行世界に逃げて来た感じ。
・ラージ級ヒュージ【ファンバオ】は対禍の団用強化ヒュージの一体で、龍王ユルングの要素を強めた合体用スライムに捕食して解析したDIOシステムの“龍王の遠距離攻撃・他ヒュージの使役運用”といった一部機構を模倣再現して組み込み強化された個体。
・ユルングの特性で防御相性に氷結無効が追加された上で【物理無効】【電撃無効】スキルで反射と弱点に対策、更に【タル・カジャ(ソウルハッカーズ)】を取得させて超遠距離からの高威力打撃を撃てるようにしてあった。
・加えてDIO龍王と違って接近されても内部システムを変更して対応可能で、その時には【ティタノマキア】【マハブフバリオン】【ショックウェーブ】【ディアラハン】【デカジャ】【デクンダ】などのスキルを2回行動で使いこなすので非常に強力。
・……だったのだが、ユルングに寄せた所為で封技弱点が付いてしまい、マシン耐性で神経・魔力・精神・緊縛は無効でもそれらに属さない状態異常属性スキルを使うヤマトとは相性が悪くて一蹴された。
・ちなみに此処のヒュージは生体素材を使っている影響で耐性自体はマシン(真1)準拠であるのだが、それが表面に貼り付けてるだけの様になっており100%機械のぴゅーじ君と違ってマスクデータ的な状態異常耐性が無効にならない欠点がある。
グラン・エプレ:ラスバレ最後の初期主要リリィ達
・ある過去周回にて突如現れた禍の団と戦って、更に暴走したヒュージとも戦っていたデビルバスターチームで、人喰い悪魔とヒュージと人類史の三つ巴の状況で人類が殆ど絶滅寸前だった所からやって来た。
・占拠されたシェルター奪還作戦の為の偵察で潜入したがヒュージに見つかって自分達以外のバスターは死亡、彼女達は“謎の魔人”に助けられて辛うじて生き残りヒュージぐらい起こした次元転移に巻き込まれた。
・ちなみに彼女達がいた世界の冬優子は最強で無敵なアイドルリリィもといデビルバスターとしてCHARMを振り回しながら人喰い悪魔やヒュージを倒して、合間にアイドルとしてライブを行なって人類勢力の慰撫をしていたが最後は味方を逃す為に単身殿になって死亡した模様。
・彼女達を救った謎の魔人【ジャグラス・ジャグラー】は意味深な闇ムーブしながら稀に人類側の味方をしたりしていたがその正体は謎に包まれている(強弁)
読了ありがとうございました。
マシン悪魔であるが故にDIOシステムなどの機械技術まで使える設定にしたヒュージ。実はそれ以外にも色々と取り込んでいる様であり……“敵が主に使ってた武器”の一部機能とか。