真・女神転生オタクくんサマナー外伝 ~ナホトラマン奮闘記~ 作:貴司崎
一方その頃、地上の施設部分で地下シェルターへに入り口を見張っていた学生組+αは襲撃を警戒しつつも、調査組のチームDAT後異界用のトランシーバーを使って送られてきた情報の分析や【
「成る程、一種の大型地下シェルターになっているのですわね。異界シェルターによる次元移動によってこの世界に来るドリフターはそこそこ居るらしいと」
「はい、楓さん。私達【ヘルヴォル】は違いますが避難用の異界諸共この世界に転移して来た事例は幾つかある様です。掲示板や同じくグランギニョル社に入ったドリフターからの情報ですが」
「地脈とかを少し調べてみたけど影異界事のデータと違って人為的に調整された大規模異界になってるわね。過去周回から来た異界シェルターの接合で変質したと考えれば辻褄は合うわね」
そんな風に第三生徒会議長の楓とヘルヴォルのリーダーである【
「……じ────……」
「ええっと……何故見てるんです?」
異界内部の地下シェルターの入り口寄りの場所で警戒していた第三生徒会役員の鶴紗を、同じく警戒組だったヘルヴォルの幼い風貌で萌え袖の少女【
……気になって鶴沙側が声を掛けようとすると藍は慌てて壁の向こうに引っ込むので、決して対人経験豊富とは言えない彼女としては如何すれば良いか分からず困惑していたが、それを見て生徒会の先輩である梅とヘルヴォルの黒髪ポニーテールでおっとりってした雰囲気の少女【
「おーい鶴紗ー、小さい子をいじめちゃダメだゾ?」
「虐めてはいませんよ梅様。たださっきから見られてるのに避けられてて……」
「……藍ちゃんったら。御免なさいね。……ただ、藍ちゃんは私達がいた世界では鶴紗ちゃんと仲が良かったから。今の鶴紗ちゃんとは初対面だって言ったんだけど、もしかしたらその所為で距離を測り兼ねてるのかも知れません」
「うーん……」
そう言われても今の自分にとって“佐々木藍”と言う人間は完全に初対面なのだからどうすれば良いのかと悩む鶴紗であったが、見かねた梅が努めて意識して明るい様子で話し出した。
「うーむ、鶴紗はちょっと複雑に考え過ぎだな。とりあえず一回普通に話してくれば良いんじゃないか? 同じグランギニョル社のCHARMテスターで同じ聖華学園に通う訳だし、これから顔を合わせる機会も多くなるだろうから仲良くなった方が良いだろ。
「いや梅様、そんな簡単に……」
「任務中の味方同士で無駄にギスる方がダメだからどうにか出来るならどうにかするべきだぞ、出来なけれれば仕事上の関係と割り切った方が良いが。結梨も『改めて初めましてして友達になれば良い』って言ってたしな」
「ええっと……その……」
「ちなみに梅はさっき千香瑠と話をして改めて友達になった所だゾ。前の世界での梅はレジスタンスのエース格だったらしいとか色々て聞けて得るものはあった。前の世界で梅が使ってたCHARM運用戦術とかな」
「梅さんには元の世界でも色々とお世話になりましたから改めて仲良くなれて良かったです。……でも今回は藍ちゃんの方に問題があるのでちょっと連れて来ますね」
梅としては目を掛けてるちょっとコミュ障気味な後輩に、事前に千香瑠から話を聞いて問題なさそうな相手と話し合う機会を与えてもうちょい自主的に人付き合いが出来れば良いなと言う考えもあった。この業界なんだかんだでコネと伝手と人脈は正義なのである。
……それはともかく先に自分もコミュを取ったと言われて反論出来なくなった鶴紗だったので、とりあえず千香瑠が連れて来た藍と話をしてみる事にした。
「ええっと、佐々木藍さんだっけ? 私は安藤鶴紗、宜しく……って過去周回の“私”とは知り合いだったんだっけ」
「うん、鶴紗と藍は友達だったよ。……でも、ヒュージとたたかってたら藍をかばって鶴紗は……」
「……それに関して私は何も言えない。今の私は藍さんとは今日初めて出会った関係だから、仲の良かった前の“私”がどうだったとかも知らないし。……でも、“友達”がそんな顔になっていたら前の世界の“私”も嫌だと思う」
「え……?」
尚、藍は過去周回で【G.E.H.E.N.A 】によって戦闘用の悪魔人間として作られたと言う出世を持ち、それ故に他のヘルヴォルメンバーと比べても経験に乏しく今の世界に来た事による困惑を上手く処理出来ずにいた事が今回の行動に繋がるのだが、今は別人だとヘルヴォルの仲間達が言う“
「だから藍さんの“友達”の代わりにはなれないけど、改めて“私”と友達になってくれないかな? ……まあいきなり友達と言われても無理ならしょうがないけど、それでも今日は一緒に戦う仲間として接してくれると助かる」
「友達……になってもいいの?」
「え、うん。藍さんが良いなら……」
「藍でいいよ。よろしくね、鶴紗」
まだ何処か辿々しさを残しながらも先程までとは違って笑顔で鶴紗と握手する藍、それを後ろで見守っていた
「よかったわね藍ちゃん。……梅さんも色々と気を遣ってくれてありがとうございます。お陰で藍ちゃんも元気になったみたいで」
「この世界に来てから藍のメンタルはあんまり安定してなかったからね。……まあいきなり違う世界に飛ばされたからしょうがないんだけどさ」
「まあ実際やったのは鶴紗だけどな。……それと他のメンバーもこの世界に来てから困った事があれば遠慮なく相談してくれだぞ。学園生になるなら梅達の担当だ」
「そうですわね、生徒達の異能関係の相談に乗るのも私達退魔生徒会の仕事ですもの。いつでも頼りにしてくれて構いませんわ」
「ただ戦うだけが退魔生徒会の役割ではないのだから相談にも遠慮はいらないわ。……問題事は早期に知らせてくれた方が解決が楽な事も多いし」
「皆さま……ありがとうございます!」
その様子に釣られてなのかヘルヴォルと第三生徒会メンバーの仲も大分良くなって来ており、ドリフターと現地民の関係でも特に面倒な『過去周回での知り合いとの再会』問題も彼女達でならそこまで問題になる事はなさそうである。
……そんな光景を邪魔にならない様に壁際で、更に周辺警戒や各種作業をしながら見守っていたトモヤとグランギニョル社員達大人組も安心した様に頷いた。
「ちょっと微妙だった空気感も払拭されたみたいっすねー。何かフォロー入れないといけないかもと思っていたが杞憂だったっす。最近の子供達はしっかりしてるっすねぇ」
「うんうん、やはり女の子には笑顔が一部。お嬢も学園で上手くやってる様で良かった」
「やっぱりCHARMは美少女に持たせると映えるねぇ。装備品の外見変更と良い*1やはり我が社の技術班はいい仕事をする」
「技術班の趣味人達が装備を美少女に似合うデザインにする以外には役に立ってない技術だがな。値段もクッソ上がるから売り物としては微妙」
「社長の援護も入ってるからお嬢達の装備性能は俺らが付けてるのよりも上だろうがな。ウチの変態技術者達が美少女の装備品に手を抜く筈がないし、本人達は大喜びだろうから値段など気にしておるまい」
「ウチの尊みの守護神な新人隊員も大喜びしそうな光景っすからねー。」
そんなグランギニョル社の内情を話している大人組であったが、そこは経験を積んだベテランでもあるので油断はしておらず現にトモヤがいきなり親指を人舐めすると持ち前の【鋭い勘*2】が発揮されて異変が起きた事に気が付いた。
「ふぅん?……二水ちゃん、ちょっと地下シェルターの方を見てもらって良いっすか?」
「あ、はい、分かりました。【
トモヤの指示を受けて魔眼による索敵を実行した二水が再度の敵ヒュージ侵攻を知らせ、それを聞いた者達は速やかに戦闘態勢へと移った。ちなみにこの場の総指揮官はグランギニョル社員がいる関係と実力から楓に任されている。
「二水さん! 敵ヒュージ達の数と侵攻ルートは?」
「敵ヒュージの数は32体! 大きさはさっき戦ったのと同じぐらいで……ああっ! 地下から出て来たヒュージが三手に分かれました! 真っ直ぐに地上施設の入り口に向かってくるのが23体、残り9体が別れて迂回しながら入り口を目指してます!」
「別れていますのね、この施設の地形からして無視して入り口だけ守れば挟撃される以上、両方に対応してしなければなりませんわね。……正面の23体は私達第三生徒会とヘルヴォルが対応しますわ! それ以外の9体はトモヤさんがウチの社員を率いて対処してくださいまし!」
「了解っす。……そっちに15人もいるなら大丈夫でしょ。別働隊早期に倒した方が安全そうだし」
学生組の護衛の役割を任されたトモヤであるが主力を連携の取れたメンバーで迎え撃ち、自分とグランギニョル社員3名の少数精鋭で別働隊を倒す戦術は真っ当なものであったので文句を言う事なく即座にグランギニョル社員を伴って別働隊の排除に向かった。
そしてヒュージを外に出さない様に異界の入り口に繋がる通路に陣取った学生組は、各々のCHARMを構えつつヒュージ群を迎え撃つ事となった。
「さて、乱戦になれば数が少ない此方が不利なので先制攻撃で機先を制しますわ。……一番槍はお任せしても良いのですわね一葉さん」
「任せて下さい。チーム【ヘルヴォル】の力をお見せしましょう!」
「まあ今日会ったばかりでいきなり第三生徒会とヘルヴォルが緻密に連携するのは難しいので、基本は生徒会が主軸でヘルヴォルが遊撃という形になりますが……来ましたわ! 総員戦闘準備!」
そうして現れたヒュージの群れの戦闘を進むのは三日月状の体に三本足が生えた【クレシエンテ】が三体と、円環にブレードが付いている様な形状で宙を舞う【ラマ】と呼ばれる種類のものが三体、両者共に戦闘速度と物理攻撃力に長けた種類である。
敵ヒュージ群の戦術は物理アタッカーを全面に出しつつ後方からバフ・デバフなどが得意な種類である支援しつつ、必要に応じて防御スキル持ちや遠距離魔法型の攻撃を絡めていくという単純だが穴のないもので、ヒュージの機械的ながら高精度の連携能力と合わされば相応に厄介ではあった。
『『『キイィィィィ「悪いねー、今日は調子が良いから先行を貰うよ。ペルソナ! ヘルヴォル!」
| 速攻戦型 | コマンダースキル | 発動ターンは味方全体が敵より先に行動出来る様になる。 飯島恋花のCHARM【ブルンツヴィーク】に搭載された機構。 |
| マカカジャ | 補助スキル | 味方一体の魔法攻撃力を二倍にする。P2仕様。 |
だが、ヒュージ達が行動を起こすよりも早くヘルヴォルのメンバー【
更に彼女はそれと並行して自身の
「分かりました恋花様!【ジャッジメント*4】!」
更に間髪入れずにヘルヴォルリーダーの一葉がシューティングモードに変形させたCHARMから“裁き”の名を持つ極光を放って敵ヒュージ達へとダメージを与えつつ、その光は味方を鼓舞して攻撃力を引き上げる。
事前に受けた魔法威力強化に加えて一葉が持つ【万能サバイバ*5】に加えて、CHARM【ブルトガング】に搭載された【万能威力アップⅧ*6】【万能MPダウンⅦ*7】【万能クリティカル化*8】の魔晶で強化されている事もあって威力が出にくい万能属性攻撃でありながら先行していたヒュージを瀕死に追い込んだ。
「アハハハハハハハ! 藍、ヒュージやっつける!」
【三段の剛力*9】【龍の反応*10】【物理貫通★*11】【モノノフⅢ*12】【物理MPダウンⅢ*13】【メガトンプレス*14】
そこに藍が先程までとは雰囲気を大きく変えて楽しそうな笑い声を上げながらヒュージの群れに突っ込んでいき、小柄な彼女の身の丈以上もある巨大な斧型CHARM【モンドラゴン】を軽々と振り回しながらその補助によってヒュージの物理耐性を無視しつつ次々と薙ぎ払っていった。
……受精卵の段階で【邪龍 ファフニール】のデビルソースを植え付けられた人造悪魔人間である藍は改造強化に由来する豊富な自動効果スキルを持ち、更に邪龍の力の影響なのか戦闘時に精神が高揚するクセがあるが、それでも彼女は“友達”を大事に出来る優しい少女でもあるので敵味方を間違える事はない。
「藍が仕留め損なったヒュージは私が。奥にデバフを使ってくるヤツもいるから【ブレイブハート*15】を使っておく」
「後に続く第三生徒会の皆さんの為ですね。……第一陣は全て倒された様ですから私も【
そしてそんな藍と共に戦って来たヘルヴォルのメンバーは彼女の突出にも直ぐに対応し、大人しめな雰囲気の少女【
それを見た千香瑠は追加のヒュージが来る前に第三生徒会を含む味方の防御力を上昇させて、瑤の使ったコマンダースキルと合わせてこれから動く第三生徒会メンバーを強力に支援した。
「敵の第一陣を即座に倒すと同時に私達を含めた味方全体のバフも行うとは、言うだけの事はありますわね。……このバフは存分に使わせてもらいますわ、梨璃さん!」
「はい楓さん!【マハタルカジャ*18】!」
「そして更に私が【タルカジャ*19】ですわ!」
そしてヘルヴォルが敵陣を第一波を倒した所で次は第三生徒会が前に出て、一葉が齎したバフ効果に重ねる形で梨璃と楓が追加の全体攻撃力上昇スキルを仕様、未だに【速攻戦型】の効果時間故にヒュージの第二波が攻撃に移るよりも早く彼女達は動いていく。
第二波として現れたヒュージは円柱状の胴部に三本足と二本の腕が生えた【サルヴァ】と、三本足と二本の腕は同じだが胴部が半球状になった【カステロ】が4体ずつ、それぞれ防御力重視で格闘や魔法もこなせる前衛型ヒュージであるが動きは遅いので生徒会組に先手を許す事となった。
「敵に攻撃されない内に全体攻撃で数を減らしますわ! 梅、二水さん、夢結!」
「りょーかい、この組み合わせならコレだな。【火龍撃】!」
「分かりました! 合体魔法ですね!【マグナス】!」
「ヒュージの弱点である電撃属性を突いて薙ぎ払うわ。【ジオダイン】!」
| 火炎系スキル(火龍撃)→地変系スキル(マグナス)→ジオダイン | ||
| サンダークラッシュ | 合体魔法 | 巨大な稲妻を落とし、敵全体に術者の能力値「技」の平均値×4の電撃属性でダメージ+基礎確率100%で感電効果。P2罪出典。 |
楓の指示の元で梅、二水、夢結の三人が流れる様にスキルを発動しながらそれらを合成、上から巨大な稲妻を落とす合体魔法へと昇華させた上でヒュージの群れへと叩き込んだ。
……諸般の事情によって急場凌ぎ気味に集められた第三生徒会のメンバーではあったが、それでも生徒会長である楓はメンバーの能力から戦力強化を行う手段を探す事を怠ってはおらず、総じて合体魔法に使えるスキルを複数回取得していると分かってからは戦闘中に最適な組み合わせを直ぐ使える様に修練して来たのだ。
『『『キイィィィィアァァァァァ!!?』』』
「電撃弱点のヒュージが梅様と夢結様が加わってバフも盛った合体魔法を受けてまだ動いてます! 私が技量不足でしたか⁉︎」
「いえ、でもダメージを与えているとなると……【電撃耐性】スキル。弱点はカバーしていたという事ね」
しかし、そんな合体魔法を受けても壁役として【電撃耐性】のスキルを与えられていた八体のサルヴァとカステロは未だに生存しており、基礎確率100%の感電効果も電撃耐性があれば発生確率も減ってしまうので3体程度にしか効果を発揮していなかった。
「まあ予想の範疇ですわ。デビルサマナーであれば弱点を耐性スキルで補うなど皆やってますし、マシン悪魔であればそう言った事も出来るでしょう。……ですが、
「ええ、既に追撃の準備は出来ております。【マハアクエス】!」
「おう! 合体魔法いくぞい!【マハマグナス】!」
「うん……これで!【カレントピラー】!」
| 水撃系スキル(マハアクエス)→地変系スキル(マハマグナス)→水撃系スキル(カレントピラー) | ||
| ペインスプラッシュ | 合体魔法 | 地下水脈の激流が敵全体を襲い、術者の能力値「技」の平均値×8の水撃属性でダメージを与える。P2罪出典。 |
……が、それも見越していた楓は直ぐに次の合体魔法を指示、それを受けた神琳、ミリアム、雨嘉はこれまでの訓練通り速やかに合体魔法を発動させてヒュージ達の真下から凄まじい勢いの激流を発生させて押し流した。
先の【サンダークラッシュ】と違い【ペインスプラッシュ】は常態異常付加効果がない代わりにダメージ量が多く、更にヒュージにとって耐性のない水撃属性であった事もあってダメージは受けていたヒュージを薙ぎ倒して行った。
「水撃・疾風・地変辺りは耐性持ってる方が少ないですからよく効きますわね。残ったヒュージは……」
「私がやる。……お前達は衝撃にも耐性がなかったよね」
【衝撃威力アップⅧ *20】【衝撃MPダウンⅦ *21】【マハ・ザンダイン*22】
合体魔法が終わると同時に鶴紗が前に飛び出して行き、装備したCHARM【ティルフィング】にセットした魔晶の力も載せた衝撃波をヒュージに撃ち込んで残ったHPを削り切っていく。
そして最後に残ったのはヒュージの第三波、砲撃型の【フォーン】3体にバフ特化の【シズラ】が2体、更に円盤の様な頭部を持つデバフに長けた【バグ】に宙に浮く球体状の回復型【クラーケン】がそれぞれ2体ずつの合計9体の群れ。
「残りは9体、後列にいたから恐らく支援や砲撃型主体でしょうが……結梨さん!」
「オッケー楓! とりあえず電撃耐性を確かめる!【マハジオバリオン*23】!」
それに対して楓が取った一手は最後まで残していた第三生徒会の最強戦力である結梨をぶつける事、彼女が使った魔法は彼女自身の【電撃ギガプレロマ*24】や掛けられたバフ効果もあって特大の大電撃となって残ったヒュージの群れを焼き尽くして消し炭に変えたのだった。
「アレ? 電撃反射も無いし凄く良く通ったね。脆かったし電撃弱点のままだったのかな?」
「まあ、バフを盛ったレベル70越えの結梨さんの特大威力弱点属性攻撃を喰らえば普通に倒せますわよねぇ。手間取った二本腕の方は単純に耐久性も高かった様ですが」
「お見事でした第三生徒会の皆さん! まさかヒュージに何もさせずに倒し切るとは!」
「【ブレイブハート】は要らなかったかな?」
「アレだけの合体魔法を流れる様に使う連携が出来るなら火力も十分でしたね」
「いえ、今回は運良く先手が取れたから押し切れましたが次はそうとは限りませんもの。それにヒュージは
そうしてヒュージの群れを退けて第三生徒会とヘルヴォルの間には共に戦場を戦った者達が共有する一体感の様なものが生まれており、それまでに僅かにあった蟠りも払拭されて全員が笑顔を浮かべていた。
……ちなみに別働隊を叩きに行ったトモヤとグランギニョル社員組も敵ヒュージが機動力重視で耐久性が低かった事もあり、レベル70超えのトモヤが先制で全体火炎攻撃を撃ち込んで怯んだ所を他のメンバーが攻撃する形で速やかに処理して戻って来ている。
「いやー、出て来たヒュージの群れをあっさり撃退するとはやるわね。私の学生時代の退魔生徒会より圧倒的に強いわ」
「うーん、どっちかと言うとここ一年弱で環境インフレが進んでるだけな気がするが。……って百由様? 今までどこに行っとったんじゃ?」
「あーグランギニョル日本支部から人手が送られて来たからそっちと話してたのよ。戦闘に参加出来なくて悪かったわね」
「援軍が来たんですの?」
「まあ支部にいた
グランギニョル社も戦闘が出来る人間を急いで集めながら調査が出来る人間だけでも先に向かわせた形であり、調査機材以外にも追加の消費アイテムまで送って来たので全力で動いている事は楓も察しているので文句はなかった。
「……とりあえず異界を封鎖する準備だけは一応整いましたが、この異界の正体は一体なんなのか。それが分からない以上は油断出来ませんわね。……内部調査を行なっている彼等が何か手掛かりを見つけてくれれば良いのですが」
──────◇◇◇──────
一方その頃、地下シェルター内部に居た
今はメンバーの一人【
「わわわ、叶星先輩多分ヒュージに気付かれた! こっちに気付いた“色”してる!」
「流石にこの数の目を誤魔化し続けるのは無理ね。……先制攻撃で一番ヒュージの包囲が薄い箇所を突破します。姫歌ちゃん!」
とは言え多数のヒュージの中には感知能力に長けた個体もいた様で彼女達の隠密も長くは続けられず、特有の感覚で“気付かれた事に気付いた”灯莉の言葉を受けたリーダー【
それを受けたグラン・エプレサブリーダーの【
「分かりました! オーダー【突撃指令*26】! そしてコレが冬優子師匠から学んだアイドルパワーよ! せいやぁぁぁぁぁ!!!」
『『『キィィィィィィッ!?』』』
| 雷震王母の蹴り | 物理属性スキル | 物理属性で敵全体に中ダメージを与え、命中・回避率を低下させる。SH2仕様。 黛冬優子に憧れてアイドルを目指している彼女は当然ライダーキックが使用出来る。 |
そのままCHARMの【物理貫通★】や【モノノフⅢ】の効果も乗っている雷光を纏いながらの
「出た〜! 定森のライダーキックだ! でもアイドルじゃなくて特撮ヒーローの技だよね?」
「そこはまあ……とにかく一気に敵を倒すわ! 灯莉ちゃん合わせて!【雷の洗礼】!」
「オッケー叶星先輩!【精霊召喚】で雷どっかーん!」
| 雷の洗礼→精霊召喚 | ||
| タケミカヅチ | 合体魔法 | 「タケミカヅチ」を召喚し、敵全体に「精霊召喚」術者のLVを威力に加算した電撃属性で大ダメージ+基礎確率30%で感電効果。 威力は84+48(灯莉のレベル)で132。P2罪出典。 |
ツッコミはそこそこにして間髪入れずに叶星と灯莉は合体魔法を使用、呼び出された雷の化身『タケミカヅチ』が極大の電撃を放ってヒュージの群れを焼き尽くしていく。
それでも地上で第三生徒会達が戦った様な弱点カバーの為に【電撃耐性】を付与されたヒュージは生き残ったが、そのぐらいは過去周回で幾度となくヒュージと戦って来た彼女達には承知の上であり、そこに大斧型CHARM【リサナウト】を構えた【
「高嶺様! 支援します!【力のドナム*27】!」
「助かるわ紅巴さん。せいやぁっ!」【ティタノマキア*28】
『『『ギイイィィァァァ!?』』』
そこに後方から【
……しかし、その戦闘に当然ながら他のヒュージも気が付いて向かってくるのは明らかなので、彼女達はヒュージ全滅の確認もそこそこに追撃が来るよりも早く脱出せんと駆け出した。
「この先にある地上へと続く非常階段を目指すわ! どうせエレベーターとかがまともに使えるとは思えないしね! 紅巴ちゃんは走りながらで悪いけど【ヒュギエイアの杯*29】で回復とHPの増強をお願い!」
「【マッスルドリンコ】も全部無くなってるからね。残っている【チャクラドロップ】は優先して回すわ」
「お任せ下さい!」
そうしてチャージ効果で増強された紅巴の【メディラマ】によって彼女達の負傷は全回復、加えて時間制限はある*30が体力の増強も行われたのを確認した叶星は更に走るペースを上げた。
此処でどうにかヒュージを振り切りつつ一番広い上の階まで登れれば逃げ切れる公算は高いと考えて、多少メンバーに無理を強いてでも急ぐ必要があるとの判断だったが現実は常に想定通りにはいかないものであった。
「嘘⁉︎ 階段が……!」
「瓦礫で埋まって塞がれてます!?」
非常階段まで走った彼女達が見たものは無常にも天井部や壁が破壊された上で瓦礫で完全に塞がれた非常階段への入り口だったのだ。
先日の戦闘の影響なのかヒュージによるものかまでは彼女達には分からなかったが、此処まで損壊しているとなると無理矢理瓦礫を破壊しても更に崩れて逆効果になる可能性が高い。
「……ッ! 大丈夫! まだ少し離れた所に別の『……グゥゥゥオオオォォォァァァァァァァァァァッ!!!』コレは⁉︎ 不味い!」
それでも諦めずにヒュージを巻きながら別のルートを指示しようとする叶星だったが、直後に聞こえて来た異様な雰囲気を持った大音量の咆哮を聞いて思わず焦りの表情を浮かべた。
それでも彼女は直ぐにこの場から離れる様に指示しようとするが、それよりも早くシェルターにある設備を破壊しながら一体の、まるでクジラの様な巨大なヒュージが現れたのだ。
「ラージ級……こんな時に!」
『グウウゥゥオオオオォォォァァァァァァァァァァ!!!』
\カカカッ/
| マシン | ヒュージ“フィセター” | LV69 | 備考:大型ヒュージの中ではシンプルに直接戦闘に長けたタイプ。 |
今の彼女達では死力を尽くして戦って尚、勝利できるかは怪しいレベルのヒュージであり、更には別方向からは
「叶星様! ラージ級は私が惹きつけます! その間に退路を確保して下さい!」
「姫歌ちゃん⁉︎」
だが、そこで真っ先に動いたのはアイドルデビルバスター(自称)の姫歌であり、彼女は敢えてフィセターに接近する事で自分を囮にして時間を稼ぐつもりであった。
『グォォォァァァァ!』【カタストロフ*31】
「ふん、何処を狙ってるのかしら! ほら姫歌はこっちよ! ファンじゃないのはアレだけどその視線を釘付けにしてあげる!」
| 咆哮 | 補助属性スキル | 3ターンの間、敵から狙われやすくなり、自身の防御力を一段階上昇させる。真5出典。 アイドルとしてのカリスマ性で敵の視線を釘付けにしている……と彼女は主張している。 |
| 自動効果 | 攻撃を受ける際、敵の命中率が半減する。P4・P5出典。 アイドルを目指す為にダンスレッスンをしてたら習得した……と本人は述べている。 装備している【エンジェルスカート】や【百七拾ハ式鉄耳】などの効果で回避率も上昇している。 |
勿論、姫歌も無策で突っ込んだ訳では無く誰か一人がフィセターの時間を稼ぐなら自分が一番生存率が高いと考えての事であり、実際に彼女はフィセター注意を引きながらその巨体を活かした押し潰しを華麗なステップで避けながら牽制の射撃を浴びせ続けていた。
……それを見た叶星は自らの判断の遅さに歯噛みしつつも彼女の行動が最適解だと判断して、即座に追いついて来たヒュージ郡の殲滅を決断する。
「姫歌ちゃん……今の内に追撃してくるヒュージ群を撃破! 退路が確保され次第姫歌ちゃんを連れて最後の【閃光弾】を使い撤退します!」
「分かったわ! 灯莉さん合体魔法を!」
「う、うん!」
「……危ない! 灯莉ちゃん!!」
だが、その指示を出している途中で紅巴がCHARMに内蔵された【タリ報Ⅲ *32】に反応がある事に気が付いて、慌てて灯莉を突き飛ばすと同時に超スピードで突っ込んで来た“何か”に彼女は吹き飛ばされてしまった。
咄嗟に防御重視の大鎌型CHARM【シュガール】で防いだ事と装備している【爆鎧輪*33】の効果で致命傷は避けたものの、紅巴はシェルターの壁に強かに打ち付けられてしまい動きが止まってしまう。
「とっきー!?」
「かはぁっ⁉︎ 一体何が……!」
『……キィィィィィィッ!!!』
\カカカッ/
| マシン | ヒュージ“エクスアントラー” | LV63 | 備考:大型ヒュージの中ではサイズが小さめだが機動力が高いタイプ。 |
それを成したのは巨大な日本のツノを持った鹿の様な外観をしたヒュージ【エクスアントラー】であり、フィセターと比べれば少し小さくはあるが他のミドル級ヒュージと比べれば遥かに強い力を持った個体であった。
そして、ダメージの影響で動きが鈍っている紅巴を今度こそ仕留めようとエクスアントラーは近接用の口部パーツを展開して攻撃の準備に入り、それを他のメンバーが止めようとしたが他に向かって来たヒュージ群に足止めされてしまう。
「ッ⁉︎ 邪魔よ!」
「紅巴ちゃん逃げて!」
「え? ……あ、防御を……⁉︎」
『キィィィィィィッ!!!』
気付いた紅巴が防御態勢に入るよりも早くエクスアントラーの【食いちぎり*34】がその喉笛を引き裂こうとする……直前に何故か紅巴とエクスアントラーの間に突然『扉』が虚空から出現した。
「ちわー三河屋でーす……アレ?」
「へ?」
『キィ?』
その扉──【冥界の門】が余りにも場違いなネタ台詞と共に開かれると、そこからはまるで特撮ヒーローっぽい青色を中心とした複雑な模様がある身体をしてマスクを付けた様な何者かが現れ、その台詞と外見の相違感が凄いからか紅巴とエクスアントラーの動きが驚きから僅かに止まってしまう。
そして、門を開けたらいきなり儚げな美少女がヒュージに食い殺されかかっている光景を目の当たりにしたその謎の人物──我らがナホトラマン【八坂ヤマト】は一瞬だけ動きと止めると……。
「どう見てもお前の方が敵ぃ!!!」
『ギイイイィィィィァァァァァ!?』
どう考えても美少女に襲い掛かるヒュージの方だと判断すると同時に【逆薙*35】でエクスアントラーの頭部を全力でブン殴って吹き飛ばしたのだった。
あとがき・各種設定解説
第三生徒会:水撃・疾風・地変属性スキル持ちが多い
・なのでキリギリス掲示板から仕入れた高火力の合体魔法を複数種使えるので、それらとバフの重ね掛け、及びCHARMの機能を活かした戦術パターンを複数持っていて、司令塔である楓の最低限の指示で動ける様に連携も鍛えている。
・生徒会の外でも友人として一緒に過ごしたりしてるので役員同士の仲が良いので、連携の精度が高いのもお互いに付き合う時間が長いのも理由になっている模様。
・ちなみに彼女達やヘルヴォルには実戦テスターとしてCHARM以外の装備品も高性能なものをグランギニョル社から支給されているが、コレは『装備を美少女に似合うデザインにしようぜ』的な企画で作られたが値段が無駄に上がって売れなかったヤツとかを再利用してるとか。
・そのお陰でフル装備でも外見はラスバレ(ソシャゲ)のリリィのアーマー系衣装レベルに纏まっているというフレーバー的設定になっている(外見を整える為に新しく用意した装備も自腹を切って改造してるという噂もあるが)
・ちなみに彼女達リリィ勢が高性能な武装COMPを扱えるのは過去周回の運用データ以外にも『アサリ組は可変式武装COMPへの適正が非常に高いから』でもあり、だからこそ過去周回でも最新武器のCHARMの使用者に選ばれてチームを組んでいた事が多い感じ。
ヘルヴォル:全員が強化人間
・リーダーの相澤一葉は【幻魔 ヘイムダル】の悪魔因子を持つアウトサイダー……だった本物の【相澤一葉】から記憶とイマージュを抽出して、適当な愚者である“誰か“に埋め込んで死者の能力を再現する実験で作られたイマージュ式悪魔人間(大体ラスバレ原作設定)
・その辺りで過去周回では色々あったが仲間と共に最低限の決着は付けた(メインシナリオクリア済み的な)感じで、その際の強化実験でD2ヘイムダルのスキルも使える様にされたりしたが現在のレベルでは負担が大き過ぎるので魔界医師によって一部固有スキルは封印済み。
・飯島恋花は人工的なペルソナ使い生産実験において上記の理由などで仲間を盾にしたやり口で精神負荷を受けていたが、それが原因で【恋愛 ヘルヴォル】のシャドウ使いとなってゲヘナに反旗を翻すキッカケになった(こっちも割と原作通り)
・【ヘルヴォル】の能力は火炎吸収・破魔無効の耐性持ちで火炎・回復・補助の魔法に長けた支援よりのスキル構成で、物理系スキルは少ないが本人の戦闘技術と通常攻撃を強化するCHARM機能でオールラウンドに戦える。
・佐々木藍は人工デビルチルドレン生産の実験体で【邪龍 ファフニール】のソースを受精卵に埋め込まれて生まれ、成長促進を掛けられたのでヘルヴォルに加わるまでの人生経験が少なく性格なども幼い感じになっている。
・ただし戦闘能力は強力な物理攻撃主体で毒の状態異常にも長けていて非常に高くヘルヴォルの切り込み役であり、幼くても決して愚かではないのでヘルヴォルの仲間の事はとても大事に思っており、過去周回では彼女達がゲヘナの呪縛から解き放たれるのに重要な役割を果たしてもいる。
・初鹿野瑤は元は生まれつき【女神 パラスアテナ】の因子を持つアウトサイダーだったが、複数の悪魔因子を宿す悪魔人間の生産実験によって【鬼女 メデューサ】の因子を埋め込まれたのでそれに纏わるスキルも使える様になった。
・物静かだが仲間思いの性格であり、戦闘でもパラスアテナの格闘・補助・回復スキルにメデューサの電撃・銃撃スキルを使いこなすオールラウンダーとして活躍する。
・芹沢千香瑠は【女神 スカアハ】の転生者だったが転生者の更なる強化実験で強化処理をされており、スカアハに纏わる多数のスキルが使える様になっている。
・面倒見の良いヘルヴォルのお母さん的存在で戦闘時にも豊富な魔法や得意な銃撃の他、普通に近接戦闘も熟せる非常に高い実力を持つがやや精神的に脆い一面もある模様。
グラン・エプレ:脱出は難航
・彼女達はかなり高性能な装備品を有しているが、これは死亡した仲間の遺品の中で確保出来た物を仕立て直して使っている為で、彼女達の世界では残ったデビルバスター全員に高性能装備が行き渡るぐらいに戦える人間が少なくなっていたからでもある。
・そんな彼女達も流石にヒュージの巣窟からの脱出は困難だったが、唐突に現れたナホトラマンによって危機は免れた……どうして彼等チームDATがそんな事をしているのかは次回。
読了ありがとうございました。
今回ヘルヴォルの設定をちょっと出しましたが、いちおう大雑把にアサルトリリィ組の設定は作られてる感じ。まあ今後の展開やノリで設定が追加・改竄されるのは良くあるけど。