真・女神転生オタクくんサマナー外伝 ~ナホトラマン奮闘記~ 作:貴司崎
『…………キィィィィィィィィ……』
進化によって得た力で強化された【メギドラオン*1】の2連射によって眼前の敵を薙ぎ払った【マシン ヒュージ“ジェミノス“ LV89】であったが、内蔵された【アマラ深界接続型ヒュージコア】は試作品である事もあって相応に損耗していた。
具体的には強引な肉体変化の代償として最大HPの低下が起こっているが、それに加えて膨大なHPを全回復させた事によるMPの減少もあったが引き続き戦闘を行う事は十分に可能であり、このまま損耗した敵を押し潰せる算段だった。
「皆さん無事ですか? 死んでたら返事をして下さいまし!」
「死んでたら返事するのは無理じゃないか?」
「【
だが、必ず
……それを成した『一つ目の要因』はヘルヴォルのリーダー【相澤一葉】が使用していた万能属性魔法、ジェミノスへこれまで何度か使っていた【ジャッジメント*3】だと思い気にしていなかったが、その実は全く別の魔法だったのだ。
「……はぁ、はぁ、ギリギリ【防壁】の展開が間に合いましたか」
【悪魔人間 相澤一葉 LV55→53】
「一葉! アンタそのスキルは使用禁止って言われてたでしょ⁉︎ またレベル下がってるし!」
| 堅牢の角笛 | 万能属性スキル | 敵単体に大威力の万能属性の魔法型ダメージを与え、攻撃成功時、連動効果が発動「1ターンの間、味方全体はHP650相当の防壁を得る」 このスキルは自身のHPが80%以下の場合は■■■(レベル不足によりHP80%以下時は使用不可能) 【幻魔 ヘイムダル】専用スキルであるがその因子を持つ だが本来なら本霊に近いヘイムダルのスキルであり現状で使用出来るのは1シナリオに1度のみ。 更に使用後にレベル低下などの負荷も掛かるので普段は使わない様に言われている。D2出典。 |
一葉が使ったのはその身に宿るビフレストの番人たる【幻魔 ヘイムダル】の権能の一端、敵を攻撃すると共に味方全体を守る【防壁*4】を展開するスキルの力によって初めに撃たれたメギドラオンの威力を減衰させていたのだ。
ただし現在の彼女では
……だが、展開された防壁に事前に掛けたバフデバフの効果もあって一発目のクリティカルメギドラオンは凌げたのだが、その一撃で防壁は役目を終えて剥がれたので二発目のメギドラオンは食らっていた筈なのに全員が生き残っているのには“二つ目の要因”があった。
「うう、痛いです恋花様。……しかし、初撃はギリギリ防壁で耐えられた様ですが二発目を食らっても全員が生き残ってる……いや
「百由様、援護ありがとうございましたわ」
「いえいえ、こんなこともあろうかと! 今日の私のCHARMには丁度試作型コマンダースキルを積んであったのよ!」
| バイトザバレット(試作) | コマンダースキル | 使用ターンは味方全体に瀕死時に1回だけHP1で復活する効果を付与。DSJ出典。 元はデモニカ用で武装COMP用として手番消費無しで使える様にした改造品。 ただし現状では運用データが不足で1戦闘に1度しか使えずCHARMにも多大な負荷が掛かる。 |
それを成したのはグランギニョル社に所属する“戦う
逃走封じの結界である【ルナトラップ】も外部から来る援軍自体は普通に素通しなので、非戦闘要員の技術者達の避難と被害を抑えるための結界作成を速攻で終えた後に援軍として戻って来た彼女が行動する事は問題なかったのである。
『ギ、グゥォォォォォッ!』
「んー? 流石に無茶な変異をしてるせいか、あのヒュージ躯体に相当な負担が掛かってるみたいね。今なら倒せるかも。まずは【宝玉輪】を使ってみんなのHPを全回復して、序でにCHARMに入れておいた他の試作コマンダースキルも使っちゃいましょう!」
| プロモーション(試作) | オートコマンダースキル | 味方全体の攻撃力・防御力・命中・回避率を上げる。DSJ出典。 元はデモニカ用だがCHARM用に調整された改造品で使用するとCHARMに負荷が掛かる。 |
| 一気通貫(試作) | コマンダースキル | 使用ターンは味方全体が敵の属性相性を無視してダメージを与えられる。DSJ出典。 元はデモニカ用だが武装COMP用として手番消費無しで使える様にした改造品。 ただし現状では運用データが不足で1戦闘に1度しか使えずCHARMにも多大な負荷が掛かる。 |
更に百由は増援に来たグランギニョル社員から預かっていた【宝玉輪】を使って全員を全回復、更に自身のCHARMに組み込んでいた他のコマンダースキルを起動して味方全体に全能力バフの更なる重ね掛けとジェミノスの強固な耐性を無視出来る貫通効果を付与する。
ちなみに今回百由が持ってきたのは彼女自身がカスタムしたコマンダースキルの複数運用実験機であり、武装COMPのアプリや魔晶運用機能を全てオミットした代償に複数のコマンダースキルを使える機体である……が、流石に高性能コマンダースキルの同時運用を行うにはまだ難しいらしく、スキルを行使し終えたCHARMはスパークを起こしながら煙を吹いていた。
「あっちゃ〜、幾らコマンダースキルに特化させても三種同時使用はCHARMの方が耐えられないか。デモニカ式は同時使用なんて考慮されてないスキルだしねぇ。……ま、効果自体は発揮されてるからヨシ!」
「またそんなピーキーな代物を持って来たんですの? まあとにかく勝負を決めるなら今しかありませんわ。まず「結梨が行くよ。楓も手伝って」え? 結梨さん?」
相変わらずトンデモ兵器を作る百由に呆れる楓だが、これだけのバフが掛かって敵ヒュージが損耗している今なら倒せる可能性があると更なるバフを掛けての総攻撃を指示しようとしたが、それよりも僅かに早く結梨が動き出した。
少し驚く楓だったが直ぐに彼女がやりたい事を察して援護の準備を行い、それを見た結梨は満足そうに笑いながら先のジェミノスの進化や攻撃によって撒き散らされた【マガツヒ】をその身に吸収し始めたのだ。
「アイツが“繋がった”お陰で今のこの空間にはマガツヒが満ちてる。……そしてマガツヒを操れるのは結梨も同じ、やり方はヤマトのを見て覚えたからね!」
『グゥァッ!?』
| マガツヒチャージ | 特殊行動 | 周囲のマガツヒを一定量集めてマガツヒスキルを使用可能にする。 ボルテクス界などで高濃度マガツヒの影響を受けた悪魔などが使用するケースもある。 ダアトの悪魔【幻魔 アマノザコ】の力を受け継ぐ結梨も当然使用可能。 |
自身が汲み上げたマガツヒをそっくりそのまま奪い取る結梨に驚愕するジェミノスだが、そもそも彼女の大元はマガツヒ運用機能特化の神造魔人であり、何より誰よりもマガツヒを上手く使いこなす“
……だが、それでもジェミノスはまだ問題無いと判断する。確かにマガツヒスキルは手番を消費せず使えるが、そもそも行動出来る手番が残っていないのでは使えないので、マガツヒチャージ後に連続して発動するには自らの様な一回の
「だから事前にコレを使っておく必要があった訳ですわね。以前の『学園受胎』の一件からマガツヒスキルの運用法について調べてて良かったですわ。奏でなさいジョワユーズ!【クロックアップ】!」
「結梨も楓に使い方は教えてたもんね。【禍時:会心】!」
| クロックアップ(試作) | コマンダースキル | 味方単体の次の行動回数が一回増加。SH2出典。 グランギニョル社令嬢【楓・J・ヌーベル】専用最高級CHARM【ジョワユーズ】に搭載された機能。 ただし試作段階故に一度の戦闘では一回しか発動出来ない上、使用後はオーバーホールが必要。 |
| 禍時:会心 | マガツヒスキル | 味方全体に魔法も含む全ての攻撃技クリティカルになる状態を付与する。真5出典。 全種族が使えるマガツヒスキルであり、結梨はこのスキルをよく使うヤマトから使い方を学んだ。 |
故に楓はマガツヒチャージが行われる直前にジョワユーズの切り札を使って結梨の行動回数を増加、それを受けた結梨はマガツヒ吸収後の反動を踏み倒して味方全体へと会心状態を付与する。
更に楓が追加の【タルカジャ】を使用し四段階目の攻撃力最大強化を掛けて*5、更に夢結が自身のCHARM【ブリューナク】に備わったコマンダースキル【突撃指令*6】を起動した。
「これで限界まで強化へ掛かったわ! 後は全力で攻撃するだけよ!【ブレイブザッパー*7】!」
「今がチャンスってやつだな!【乱入剣*8】!」
「確定クリティカルなら有り難いっすね。【マク・ア・ルイン*9】!」
『グゥギャァァァァァッ!?』\Critical!/\Critical!/\Critical!/
それらの多重に掛けられた強化スキルの恩恵を受けた夢結のCHARMによる斬撃がジェミノスの腕一本を断ち切り、超高速で接近した梅のCHARM【タンキエム】による連続斬撃がその全身を斬り刻み、トモヤの伝説の剣を模した一閃が羽の一枚を斬り落とす。
それぞれ2ターン前に使っていた【貫く闘気*10】や【チャージ*11】の効果も載せた連続攻撃は負荷で脆くなっていたジェミノスの肉体に多大なダメージを与えたが、それでも動く敵を前にして彼女達の攻撃はまだ続く。
「私が攻撃するよりも……鶴紗さん!」【力向上の札*12】
「助かる梨璃。【からたけ割り*13】!」
「雨嘉さん、私達も!【刹那五月雨撃ち*14】!」
「分かったよ神琳【グランドタック*15】!」
『ギギギャァァァァァアアアアァァァァァ!?』\Critical!/\Critical!/\Critical!/
次に梨璃のアイテムを受けて強化された鶴紗がCHARM【ティルフィング】の一閃で片腕をもぎ取り、そこに神琳のCHARM【
だが、それらの全てがクリティカルになる猛攻により奇声を上げるジェミノスだったが、進化や自己修復で耐久性が減って尚も膨大なHPを有するが故にまだ活動を停止しようとしない。
「私達も行きましょう! 此処で削り倒さなければ勝機はありません! 【刹那五月雨撃ち*16】!」
「ああもう一葉無茶して! 何か言う前に動いてるし! もうやるしか無いのは分かってるんだけどさぁ!【アギダイン*17】!」
「藍もいくよ!【モータルジハード*18】!」
「血反吐吐いてる一葉の為にも此処で倒す。【百蛇の麻痺牙*19】!」
「ええ、やりましょう!【破邪の光弾*20】!」
『グググウウウウウァァァァァッ!?』\Critical!/\Critical!/\Critical!/\Critical!/\Critical!/
なのでその次はヘルヴォルのメンバーが動き出し、まず一葉が先程のスキルによる消耗を血反吐を吐きながらも気合いで無視しながらCHARM【ブルトガング】を連射し、それを咎める恋花も半ばヤケクソ気味に特大の火球をジェミノスに撃ち込む。
そこに飛び掛かった藍がCHARM【モンドラゴン】による重撃を叩き込み、彼女が離れた所で瑤と千香瑠がそれぞれのCHARM【クリューサーオール】と【ゲイボルグ】による強烈な射撃を撃ち込んだ。
『……グゥゥゥゥゥオオオオオオオオアアアアァァァァァッ!!!』
「ッ! アレだけのダメージでまだ動けるのか⁉︎」
「流石にレベル90近いボスだけはありますわね……!」
……だが、それらの連続攻撃を喰らってもジェミノスのHPは僅かに残っていたので活動を停止しておらず、ほぼ全身がナノマシン由来のゲル状物質故に単なる
「それじゃあ結梨がトドメを刺そうか。マガツヒスキルは手番を消費しないからまだ動けるよ。せいやぁっ!!!」
『……ギグアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァッ!!?』\Critical!/\Critical!/\Critical!/
| 真理の雷 | 電撃属性スキル | 敵全体ランダムに2〜5回、中威力の電撃属性攻撃。真5仕様。 |
そんなジェミノスの前に出たのは【クロックアップ】によって増えた行動回数もあってまだ動ける結梨であり、彼女は自身のCHARM【グングニルSP.HY】を構えて内蔵された魔晶の力を解放して三条の極大の轟雷を撃ち放った。
その雷光に打ち据えられたジェミノスは肉体を構成していたナノマシン及び悪魔由来の合成スライムを徹底的に焼き尽くされ、今度こそHPがゼロになって地上へと墜落し完全に動かなくなったのだった。
「……覚えておくといいよ、マガツヒスキルの中でも【会心】は一人じゃ真価を発揮出来ない。仲間を多く用意して全員に使って敵をタコ殴りにするのが本来の使い方だって、ヤマトが言ってた!」
「まあコマンダースキルも集団戦が前提の機能ですからねぇ。どれだけ強くとも単騎なら数の暴力で殺せるのですわ」
「とりあえず【メギドラストーン】辺りを投げ込んで
「身体も他のヒュージと同じく青い粘液になったわねー。コマンダースキル使ってきたなら残骸からデータ解析したかったんだけど期待薄かしら」
そうして短くも彼女達の中では非常に長く感じる程の激戦は終わりを迎え、戦闘中は勇敢に戦っていた第三生徒会の下級生達も圧倒的な高レベルの相手であるジェミノスをようやく倒し終えた事から安堵のため息を吐いたり集中が切れて地面に座り込む者もいた。
流石にまだ学生である彼女達下級生組はレベル80を超える敵と相対したのは初めてな者が殆どであり、むしろ今まで問題なく戦い抜けた事を褒めるべきだろうとトモヤや上級生組は思っていたので声を掛けるなどしてフォローに回っていた。
「大丈夫? 梨璃、立てるかしら?」
「すみませんお姉様、あのヒュージを倒したと思ったら腰が抜けちゃって……」
「アレだけの高レベル悪魔と最後まで戦えただけで十分ですわよ。私も『学園受胎』の時の経験が無ければ危なかったですし」
「規格外な高レベルの相手とは相対するだけでも神経削るからな。鶴紗や雨嘉や神琳も大丈夫か?」
「大丈夫です」「ど、どうにか」「ありがとうございます梅様」
とりあえず第三生徒会の方は下級生(結梨を除く)が多少気が抜けている程度であり、ヘルヴォルの方も伊達に元いた世界でガイア再生機構相手にレジスタンスしてた訳では無いのか問題は無さそうであった。
とにかく、最大級の強敵を倒した事による喜びと達成感をその場にいる皆が共有してしていた……。
「……あ、あのー! そっちを倒し終わったならこっちも手伝って欲しいんですけど! 地下から増援のヒュージが多数現れて五人だけじゃ持ち堪えられなそうで……!」
「ワシらの事を忘れとるんじゃなかろうなー!」
「あ、二水さんとミリアムさん、それとウチの社員の事をちょっと忘れてましたわ。皆さん申し訳ありませんがもう一踏ん張りお願いします」
そう言いたい所だが、ジェミノスが呼び寄せた他のヒュージを相手にしている二水達がちょっとだけピンチの様なのでMPなどを回復してから手助けに行き、トモヤと結梨を中心とした戦力で増援ヒュージを掃討してようやく地上での戦闘はひと段落したのだった。
……ただし、その後地下シェルターを探索しているDATメンバーと連絡を取ろうとした所、通信機が繋がらなかったのでまだ“何か”が起きている可能性が高いと警戒を強める必要が出て来てしまったが。
──────◇◇◇──────
一方その頃、地下シェルター内部ではクリオネの様な特型ヒュージ【マシン ヒュージ“クリオン” LV80】三体とチームDAT、及びシェルター内部にいたCHARMユーザー【グラン・エプレ】が激しい戦いを続けていた。
しかし、平均レベル70を超えていてキリギリスの中でも上澄み勢なチームDATとヒュージ相手に多くの戦闘経験を持つグラン・エプレを持ってしても、複数の回避系自動効果スキル*23を積んで更には結構高度な連携までしてくるクリオン達に苦戦を強いられていた。
『『『キィィィィァァァァァッ!!!』』』
【リフレッシュ*24】【フォーマット*25】【マカ・カジャ*26】
「チッ! またこのパターンか、来るぞ!」
三体のクリオンは既に【アクセラレート*27】によって二回行動が可能になっており、それぞれ一体ずつ自分達が受けたデバフを解除、敵に掛かっているバフを解除、自分達の魔法攻撃力上昇の行動を澱みなく行なっている。
通常の攻撃がまともに当てられないクリオンに対して【雄叫び*28】【天上の舞*29】【パワーブレス*30】などの命中・回避が関係ないバフデバフ系スキルを駆使する敵に対応しての行動だ。
『『『キイイイイィィィィァァァァァッ!!!』』』
そして残った手番でクリオンの一体がSHOOK狙いの大電撃を放つが、それらはヤマトが呼び出していたコウリュウの【五行思想*33】による全属性魔法反射結界によって跳ね返される。
……だが、それは織り込み済みであり跳ね返された電撃はクリオンが弱点を補う為に所持している【電撃無効】で防がれ、狙い通り一度の反射で効果が切れる【五行思想】の弱点を突いて残りの二体が二連続の全体万能属性攻撃を叩き込んだ。
「……キッチリ魔法反射結界の特性も見抜いてくるか。だがメギドラ二発程度なら耐えられなくは無い。そっちは大丈夫か?」
「はい、ヤマトさん達の防御のお陰でどうにか!」
「ハーベスト! いつも通りのお仕事ですの!」
| 神奈備ノ守 | 補助属性スキル | 次のターンまで味方全体に被ダメージを30%軽減する効果を付与する。真5出典。 |
| エレウシスの実り | 回復属性スキル | デメテル専用/味方全体のHPを上限を超えて全回復させる。真5出典。 |
しかし、二発の万能属性攻撃もヤマトが使っていた強化解除でも解けない万能ダメージカットの結界、及びデメテルによるHPの増強によってレベルが低いグラン・エプレメンバー含めて誰も死亡させずに凌いだ。
それで受けたダメージは事前にグラン・エプレメンバーが掛けておいた【メディアマイ*34】やヤマトの【溢れるマガツヒ*35】によって癒しつつ、すぐさま再度魔法反射結界とバフデバフの重ね掛けを行う。
「アタシの
「解除に手番を使わせる為にもバフデバフを切らせないからな。そもそもまともに攻撃を当てられるヤツが少ないからそっちに役割回すしかねぇ!」
「あ、デメテルとコウリュウのMPがキツい。コウリュウのMP回復優先でHP増強は土岐ちゃん頼む」
「わ、分かりました! 【メディラマ*36】!」
更にヤマトの指示でコウリュウが万能含む魔法反射とHPの増強を掛けて、手の空いている者がアイテムを使って必要なスキルを持っている者のMPを回復させていく。
……通常の【マカラカーン】を張った場合には万能連打に切り替えて来るので燃費は悪くともコウリュウのスキルを切らす訳には行かず、何よりクリオンに攻撃を当てられないメンバーが出来る事はバフデバフかアイテムの使用しかないのだ。
「【会心の眼力*37】を掛ければ攻撃を当てる事は出来るが……【ワンショットキル*38】!」
「ボクも当てられるけどさー。【グランドタック*39】!」
「クリティカル込みでもダメージ量が足りんな。【グングニル*40】
勿論攻撃も行なっており、必中スキルが使えるケンジロウの銃撃がクリオンの一体に突き刺さり、同じスキルを使った灯莉の銃撃も回避強化スキルを無視してクリティカルとなり、最後に【会心の覇気*41】を受けたオーディンの神槍が突き刺さった。
……だが、クリオンはヒュージとしては小型でも中身はボス悪魔並みのスペックを有しており、回避特化で耐久性自体はそこまで高くなくともバフを盛ったクリティカル攻撃が三度当たったぐらいでは倒せない程度のHPは持っていた。
『『『キイィィィィィィィィッ!』』』
【フォーマット】【リフレッシュ】【ディアラハン*42】
「……また回復か。HPが異常に多いボス悪魔は一気に全回復するとマグネタイトとかの消耗が激しい事が多いから大幅な回復止まりだろうが厄介だな」
そして死亡さえしなければ全員が覚えている全回復魔法で回復されてしまうので振り出しに戻ってしまい、回避率が高すぎて必中でも掛けなければまともに攻撃を当てられない故にアタッカーを増やす事も出来ずに千日手になっているのが今の状況だった。
そこからクリオン達は再び全体電撃からの反射壁外しと万能連打を行い、同じ様にチームDATはそれらをダメージカットと増強HPで凌ぐものの、やはり人間と普通の仲魔である以上はMPやアイテムの限界が近付いていた。
「……露骨に持久戦狙いだな。正直反射やバフデバフを全無視して万能連打される方が厳しいんだが、それをされるとグラン・エプレ側が落ちて手数が足りずに持久負けするし」
「隊長、アイツ等は多分【マガツヒ】も使えますよ。マガツヒチャージが出来る系の悪魔と同じ気配がします。使って来るのが【会心】なら“対策”は打ってますが、俺も【会心の覇気】が使えるのでアタッカーに回りますか?」
「お前のダメージカットが消えるとグラン・エプレが落ちる。必中掛けるのに手番を使うのが痛いし、それでも良くて一体倒せるだけじゃな」
「今は聖獣・神獣が手持ちにいないから【的中】が使えないのが痛い。回避不可能になる状態異常も当てられないんじゃダメか」
ヘビクラ隊長にとって面倒なのはヤマトを含めて必中系のスキル使うにはどうしても『チャージ』と『攻撃』で2回手番を使う必要があり、ヤマトがチャージしている間に敵が総攻撃を掛けてレベルが低いグラン・エプレを落ちて手数が足りなくなる可能性が高いと考えているからだ。
実際この拮抗状態には【神奈備ノ守】でクリオンが攻めきれていないのも大きな理由で、それを崩しても必中スキル持ちの攻撃手段が単体に偏っているので良くて一体しか倒せず、もし倒しきれなければ全回復されて一方的にこっちが被害を受けるだけなのがネックになっているのだ。
(……と言ってもこのままじゃジリ貧だから賭けに出るしかないか? ただアッチもなんか“切り札”を隠してそうな気がするし、今無理攻めすると逆にこっちが詰みそうなんだよな。せめて攻撃当てられるアタッカーが増えればまだ……)
万能攻撃によって発生した砂煙に紛れながらヘビクラ隊長は必ず相手に攻撃を当てられる手段を幾つも考えつつ、それ等の中より今実行可能なものをチョイスするが如何しても攻撃を当てられる手が足りないのがネックで勝ちきれないのだ。
……それでも彼は防衛チームのリーダーってして決して諦めず“あらゆる手段”を考えながら、仲魔とチームメンバーに指示を出しつつ自らも剣と魔法とアイテムと仲魔を駆使して戦い続けるのであった。
あとがき・各種設定解説
第三生徒会:無事に勝利
・会計の郭神琳は大陸側の土着霊能者家系出身で悪魔事件で彼女以外の家族が死去した事、そして大陸側の情勢が不穏になって来た事から伝手を辿って日本に避難してきた少女。
・大陸側のヤバさは分かっているが帰れるだけの実力をつけてもう一度故郷を一目見る事を目標に修練を積んでおり、盾型CHARM【媽祖聖札】や反射結界による防御術やバフ系の補助・回復系スキルに長けていて指揮能力も高いのでサブの司令塔としての役割も持つ。
・庶務の王雨嘉はアイルランド出身の中華系霊能者家系出身であり、不穏な欧州情勢を警戒した当主が血を残す為と最も終末に抵抗出来ている日本での伝手作りを兼ねて避難してきたが、本人は姉と妹と比べて頼りないから日本に送られたと思い込んで自信を無くしていた。
・まあ生徒会に入ってからは神琳などの友人が出来た事やバルツァー先生達の話を聞いて少しは持ち直しており、今は日本で戦える様にといつか欧州に帰る時の為に訓練を積んでおり得意な射撃や命中・回避系バフデバフなどを磨いている。
・庶務の安藤鶴紗は【大天使 サンダルフォン】などの因子を植え込まれて更に強化処置を施された改造天使人間兼強化人間で、戦闘では物理・銃撃・火炎・衝撃・破魔・補助など多様なスキルを使いつつ強化処置によって得た自己回復能力で戦う前衛アタッカー。
・彼女を強化したのはいつものメシア教過激派由来の研究施設でそこでの事は殆ど思い出せないと何か厄ネタがありそうなのだが、既にそこは【飯・殺】のメンポを付けた【メシアスレイヤー】を名乗るニンジャ達にアンブッシュを受けてカイシャクされたので厄ネタは物理的に消滅した。
・庶務のミリアム・ヒルデガルド・v・グロピウスはドイツの霊能家系出身でやっぱり欧州情勢がアレすぎて避難して来た枠であり、魔道具職人やCOMP技師など技術者を目指しているが実家で訓練を積んでいただけあって本人も普通に戦える。
・得意なのは地変と万能系で物理・銃撃スキルも使える他にグロピウス家が【ドヴェルグ】の血を引いている関係で特殊なスキルが使え、技術者としてもグランギニョル社の援助こそあれ自力でCHARM【ニョルニール】を作れて生徒会のCHARM整備を問題なくこなせるレベル。
・庶務の一柳結梨は現在は聖華学園の寮暮らしで楓と同室で暮らしており、CHARM【グングニルSP.HY】は物理・魔法共にMPを大食いする彼女に合わせて【MP最適化】のコマンダースキルやMP節約系の機能や魔晶がセットされている。
・ちなみにマガツヒチャージとマガツヒスキルは使える様になったがマガツヒゲージや神意は持ってないので使えるのは高濃度のマガツヒが存在する空間のみで、使えるマガツヒスキルも全種族の【禍時:会心】と幻魔種族用の【禍時:幸運】のみ。
真島百由:グランギニョル社所属の戦うCOMP技師
・聖華学園のOBであり当時中等部だったミリアムと知り合って色々て技術を指導したので慕われており、現在はグランギニョル社でCHARM開発を中心に様々な研究に関わっている才女。
・作ったCHARMを自分でテストする事もあってレベルも50を超えてるのでデビルバスターとしてもそこそこであるが、今回活躍したとはいえテスト前の試作品CHARMしか手元になかったから実戦に持って来るなどマッド技術者的独特なセンスが有る模様。
・今回持ってきたCHARMはデモニカ式の中でも上位のコマンダースキルを複数運用する為の試作実験機だったが、現状では魔晶運用機能や武装COMP自体のアプリを全て抜いてもコマンダースキルの複数運用はまともに出来ない模様。
ジェミノス:中ボスであり試作機
・敗因としては進化した際に敵を確実に抹殺する為に攻撃重視のステータスを得る代償として耐久系ステータスが下がっていた事と、進化や全回復による負荷によって躯体にダメージが入り最大HPが低下していた事。
・ヒュージにボスの様な超高HPを持たせる事は出来るが、それを全回復させるには相応のマグネタイトが必要であり、ジェミノスはマガツヒを引き出して補ったが代償に肉体が損亡した感じ。
クリオン:ラスボスにして……
・戦闘方法がガン積みされた回避特化スキル群で敵の攻撃を避け、回避不可能なバフデバフには解除スキルで対応、攻撃では状態異常付き全体攻撃か万能魔法で攻めて、万が一攻撃を当てられる場合に備えてある程度の耐久性を持たせつつ回復魔法も完備という単純だが隙がない構成。
・更に行動加速スキルと3機連携が出来る判断力でそれらの手札を使い分けるのでシンプルに強く、更にはまだ何か切り札がある様で……。
読了ありがとうございました。
中ボスを撃破したので次回はラスボス戦。まあこの『地下シェルター編』はあと二話ぐらいかな。