真・女神転生オタクくんサマナー外伝 ~ナホトラマン奮闘記~ 作:貴司崎
そんなこんなでチームDATのスポンサーとして正式に【グランギニョル社】が付いてから一週間程、彼等は【ガイア再生機構】が目論んでいるらしい超大型高レベル悪魔召喚を行う【インヴォークシステム】とそれを配布された勢力などについて調査の手伝いを行う依頼を受けていた。
……まあ、彼等が主にやった事は手が足りなさすぎてグランギニョル社が今まで対応出来なかった異界の間引きとか、グランギニョル社の調査分野の
「グランギニョル社がスポンサーに付いてもやる事はあんまり変わらないな。異界調整とかカルト宗教を殴りに行ったりとか」
「そもそも異界の調査とかオカルト事件の調査ならともかく、オカルトが絡む企業スパイみたいな調査活動はグランギニョル社の専門家達の方が遥かに優秀……って言うか俺達じゃ専門外だからな。俺達に求められてるのは表向きの戦闘要員としての活動、適材適所って所だ」
「スポンサーになった所で俺達が外様なのは変わらないし、単にグランギニョル社からの依頼が増える代わりに報酬も良くなるぐらいだ。幾つか装備やアイテムを一新出来て、注文していたトモヤとケンジロウ用のCHARMも届いたからな。グランギニョルの技術者が注文通りの良い仕事をしてくれたお陰で俺は簡単な調整をするだけで済んだ」
実際の所、グランギニョル社がチームDATに求めているのは『周回関係の事情を知っている高レベル戦力』としての扱いなので、ガイア再生機構が行いそうな買収や工作に関しては別の専門家達がやってくれている。
勿論、もしも直接戦闘になったら彼等を矢面に立たせる気満々で報酬の装備品とかに結構色を付けているし、彼等もそれは分かっているので“予定されている次の任務”に向けて準備中なのだが。
「トモヤの【フラガラッハSP.DAT】は攻撃力を可能な限り強化した上で【物理貫通★*1】【モノノフⅢ*2】【物理MPダウンⅢ*3】の機能と【火炎威力アップⅥ*4】【氷結威力アップⅥ*5】の魔晶を組み込んでいる。それとシューティングモードへの変形も可能だな」
「オーダー通りに片手でも両手でも震える大きさの剣型で握りも重心も最適に調整されてるっすね、ただ銃に変形出来るのは使える属性を手軽に増やせて便利ってのは分かるし、ガチャガチャ変形させるのはロマンがあってかっこいいんすけど実戦で使いこなすには鍛錬がいるっすね。少なくとも第三生徒会の子達みたいに変形時間が一秒切るぐらいじゃないと。……今思い返すとあの子達すごいっすね」
「彼女達は武装COMP自体への適正だけでなく可変武装を扱う才覚も長けているからな。だからこそ過去周回でCHARMユーザーに選ばれて、そのデータが今に渡って来てCHARMユーザーになったのだろうが。まあ武装COMPの適正値に関してはウチの副隊長も彼女らに匹敵するが。データが集まったら追加機能も問題なく組み込めたし」
「新しく【Mr.サプライズⅢ*6】と【タリ報Ⅲ*7】を【ダインスレイフ・カービンSP.DAT】に組み込んだのよね。中々使い勝手が良くなったわ」
そう言いながらも手元でCHARMをクルクルと回しながら器用に1秒以下でブレードモードとシューティングモードを切り替えていくアンヌ副隊長、幾ら変形を簡略化されたモデルとは言え鮮やかに扱ってみせる辺り適正の差ってあるんだなと思うトモヤであった。
「ケンジロウの【アステリオンマギカノンSP.DAT】は【アステリオン】をシューティングモード特化に改造した非変形モデルで、機能は【ハメット★*8】【チャンドラーⅢ*9】【銃撃MPダウンⅢ*10】を採用。魔晶はセットされてないが、代わりに改造型の【悪魔カートリッジ】セットして弾丸に属性を付与する試作機能を付けたぞ」
「前の【ハイパーバスター】の方は弾丸もカートリッジだったから銃弾使えない分だけ攻撃力が不足してたからな。変形機能を排除する事含めて注文通りだし、アプリ機能はこれから確かめるが……悪魔カートリッジによる属性追加は属性弾で良くないか?」
「カートリッジを装填するとカッコいい音声が鳴るぞ! ……それは冗談だとしても威力の高い弾丸に属性を付与出来るとか、態々沢山属性弾を持ち歩かなくてもカートリッジを数個持ってれば良いとかのメリットはあると思う」
そんな話をしながら新しい武器である武装COMPのメンテナンスを念入りにしていく四人……を凄く羨ましそうに見ている新装備なんて貰ってないヘビクラ隊長とヤマト。
「いいなー、俺はずっと【蛇心剣(草薙の剣のカスタム品)】を使ってるのになー」
「隊長にはCOMPに『幻術式ジャグラスジャグラー変身機能』を付けてやっただろう? 見た目しか変わらないがアナライズでも名前が【夢幻魔人 ジャグラス・ジャグラー】と出る素敵機能だぞ。……後は【草薙の剣*11】以上の武器なんてもうガチ伝説級の武器か主神級悪魔とかとの特殊な剣合体ぐらいしか無いし、隊長の場合は【愛用の武器*12】や【武器強化*13】で攻撃力上げてるから下手に武器変えると弱くなるだろうに」
「いいなー、俺は装備すら出来ないのにー。せめて便利な【観音神符*14】とかを各種99枚装備するバンデットキーススタイルとか出来ないかな副隊長」
「私が過労で死ぬわ。アレらの護符を作るのって結構大変なのよ?……そもそも一部のマジックアイテムもそうだけど、私の護符も同じ種類を一定数所持してると霊気とかが干渉し合って上手く使用出来ないからね。私が作る【観音神符】みたいな自動発動消費アイテムの符なら“一人につき1種3枚まで”が制限よ*15」
まあ、彼等自身も半分以上は冗談で言っただけなので雑談の一環として流しつつ準備──調査の結果、今日起きる可能性が高いと出た『首都東京に対するインヴォークシステムの高レベル悪魔召喚によるテロ』に対する“調査依頼”の準備を終えた。
「さて、“お祭り”に行く準備は終わったなー。オヤツは300円までだぞー。予定時間にはまだ十分に時間はあるなー」
「えーっと、今回の任務ではグランギニョル社から【ヘルヴォル】と【グラン・エプレ】も一緒に参加させてくれと。大丈夫っすかね」
「大丈夫だろ。そもそも彼女達は今回の依頼では“危険度の低い”召喚されたレイドボス戦に回してお前らをお目つけ役にするしな。本格的な調査に関してはお目付け役以外のウチのメンバーとグランギニョル社のエージェントで行なうって話は付いてる」
ちなみにドリフCHARMユーザー達が参加すると言い出したのは、まずガイア再生機構が動くと言う事でヘルヴォルが『自分達も手伝わせて下さい』て懇願して、そこにこれまでとは違い過ぎる色々な高待遇を受け過ぎたグラン・エプレが『自分達も何かさせて下さい』て言い出したのがきっかけである。
……インヴォークシステムによる大神召喚からのマッチポンプで世界をガイア再生機構に牛耳られ、その手によって非道な人体実験を受けながらもレジスタンスとして戦って来たヘルヴォルからすればこの世界で同じ事をしようとするのを見過ごす事など出来なかったのだ。その事情を知ったグラン・エプレもヘルヴォルと仲良くなっていた事もあって手伝いたいと頼んで来た感じである。
「彼女達は文明が残ってる世界から来たからドリフの中では一般常識はあるし、積極的に誰かの助けになろうとする善人ではあるんだが……どうも『自分達が戦って世界と人々を守らなければならない』と言う使命感を強く持ち過ぎているからなぁ。そこが子供はあんまり戦わせたくないグランギニョル社と齟齬が少し出来てる」
「まあ“自分達が戦わなければ人類や仲間が死ぬ”世界から来たんだから仕方ないとも言えるし、そういった世界から来た割には普通にこの世界に適応しようとしていてそもそも本人達の善性から来る使命感だから過度に咎めるのもアレだしね。……だから“この世界”の力を見せて使命感を問題ない範囲で矯正すると」
「そういう事。……まあ、本人達が善性であり一部のガチ崩壊世界出身ドリフと違って一般常識も普通にあるから、ちょっと
「子供なんて案外勝手に成長するものだからね。強いて問題を言うなら
「単なる事実だから良いんじゃないか?(笑)」
そう言う感じの考えでヘビクラ隊長はグランギニョル社の社長夫婦の許可を得て、今回のインヴォークシステムに纏わる一件に彼女達を連れていく事にした訳であり、今はそれについて最後の確認も兼ねた質疑応答を行なっているのだ。
「まあ学生を危険地帯に連れてくのもアレだから引率組はボスには積極的に仕掛けず、ちょっと遅れて到着して人類悪共の後方支援とか逃げ遅れた人の避難誘導させる感じでよろしく。彼女達は善人だからこそそう言った指示には従うだろうし、そもそも今回の目的はボス討伐じゃなくてマッチポンプ的介入をしてくる再生機構の連中の調査だからな」
「了解。介入者に仕掛けるのは無しよね?」
「今回は調査だからな。それにどうせ出て来るとしても宣伝用と浸透用の見せ札だから仕掛けたら逆に控えてるもっとヤバい連中に潰されるだろ。グランギニョル社的には自分達の身を守る為の情報が欲しいだけだからな」
「採集決戦って言いますけど召喚されるレベル90ボス複数を倒せる戦力はいるんですか?」
「まあ東京に出る分なら大丈夫じゃね? この前レルムに出たボスが『レベル高いだけの雑魚で倒して経験値ウマウマwww』みたいに掲示板で言われてて、それを聞いた修羅勢が二匹目のドジョウ狙って東京周辺に張り込んでるしな。少し頭が回るなら首都でテロ起こす可能性が高いって行き着くし。……さて、ドリフ達にこの世界を守る為に一握りの英雄なんて必要ない事を教えてやろうじゃないか。まあたった一人の少女を救う為の“ヒーロー”は必要かもしれないがな」
「まあただ一人の
「そういう事だヤマト。……じゃあ行くぞ」
そんな会話をしつつチームDATは妙に機嫌が良いので闇の笑顔を浮かべるヘビクラ隊長に率いられて、時間に余裕を持ちつつヘルヴォルとグラン・エプレとの合流場所へと向かったのだった。
──────◇◇◇──────
そうしてチームDATはヘルヴォルとグラン・エプレのメンバーと合流、その少し後に発生した都内にあるレルム四ヶ所同時の【インヴォークシステム】による高レベル悪魔召喚に対応する為、掲示板にアップされた敵情報からヘビクラ隊長の指示でチームを五つに分けて行動する事となった。
そしてDATの新人隊員【八坂ヤマト】はヘルヴォルのメンバーである【相澤一葉】【佐々木藍】【飯島恋花】の三人を伴って、上野レルムに現れたと言う【断末魔の叫びに呼ばれしカルケティーヤ】の所を担当する様にヘビクラ隊長の指示を受けて向かったのだった。
「……あ、MP回復したんでバフとHP増強おなしゃす!」「【チャクラドロップ*16】舐めるだけより回復速度が早い!」「ヒャッハー!
「はーい、バフ掛けるから焦らず近くに並んでねー。デメテル、コウリュウ、頼む。【ラスタキャンディ】」
「はいはい、またまたハーベストですの!」
「まあ闘いに臨む戦士達に助成するのも良いか」
| エレウシスの実り | 回復属性スキル | 味方全体のMPを上限を超えて(1.3倍)全回復する。真5出典。 デメテル専用スキルであり消費も重いが【癒しの経典*17】で回復適正を+5にして消費MPを−40%。 |
| ラスタキャンディ | 補助属性スキル | 3ターンの間、味方全体の全能力を1段階上昇させる。 ヤマトとコウリュウの連続使用で全能力が2段階上昇(真5仕様の最大強化*20) コウリュウの【延長強化・大】によって効果時間が5ターン(50秒)に延長。 |
そして現在、ヤマト達は戦場の後方で負傷者を回復させつつ次々と押しかけて来る
……何故そんな事になっているのかと言うと、まずここに現れた【カルケティーヤ】との戦いは他の場所と比べて
『む、思ったより被害が広まってるな。召喚スラオシャ、負傷者を片っ端から回復と蘇生で治療してくれ。俺は避難誘導してる人達と協力して戦えない住民を逃す』
『私達も手伝います! 救助が必要なら人は私が見つけるから藍は一緒に瓦礫に埋まった人達の救助を!』
『わかったー』
『アタシも回復魔法が使えるから手伝うよ!』
とりあえず目の前の負傷者や避難している人を見捨てるのは防衛チーム的にアウトだし、隊長からも少女達の引率役として出来るだけ後方支援の方が良いと言われたのでレイドボスを倒すよりも人命救助を選んだのだ。
同行していたヘルヴォルのメンバーも根が善人なのでヤマトの思惑など気にせずに人命救助を優先する方針に賛同しており、先に回復魔法を飛ばしながら避難誘導をおこなっていた“義手の女性”から状況を聞いて負傷者の治療と避難誘導の手伝いを行なった。
『……負傷者が多過ぎる! このままだと回復魔法に使うMPが切れる……』
『MPが足りなくなりそうなんだな。なら俺が回復させる。……アオビト周囲からマガツヒを集めろ、久しぶりにMP回復特化の“小技”をやるぞ』
『住民の負の感情やあの巨大悪魔の影響なのか多少はマガツヒ濃度が上がっているからな。マガツヒと神意の制御はこちらで行おう』
| 溢れるマガツヒ | 神意「覇道」 | マガツヒゲージがマックスの状態でのターン開始時、味方全体のHPとMPが少量回復する。 今回ヤマト達は神意を自らコントロールしてHPを回復させず、その分のマガツヒをMP回復に当てて回復量と効果範囲を上昇させている。 ただしマガツヒと神意のマニュアル制御を行う関係上、その間は戦闘行動が著しく制限されるので戦闘中は使えない技法。 |
| マガツヒチャージ | 特殊行動 | 周辺のマガツヒを集めてマガツヒゲージを上昇させる。 今回はマガツヒゲージの超過回復分のマガツヒを回復に充てる【溢れるマガツヒ】の特性を利用して、集めたマガツヒを片端からMP回復に回す事で回復量を上昇させている。 |
そして負傷者の治療に回復役のMPが足りなくなって来た事を受けて、ヤマトとアオビトは神意【溢れるマガツヒ】を嘗てのダアトで習得したマガツヒ操作技術を持って“MP回復特化”にして使用する事で周囲にいる全ての味方がMPを自動回復する様にしたのだ。
昔ダアトで悪魔狩りをする時の休憩時に消耗したMPを効率的に回復させる為に会得した応用技で、流石にボルテクス界と比べればマガツヒ濃度が薄いこの場だと効率は落ちるがそれでも回復させる手段が少ないMP自動回復の力は歓迎された。
『ここにMP回復ポイントがあると聞いて!』『ちょっと【チャクラポッド*21】を切らしてるんで回復させて!』『
『…………うわぁ、なんか来ちゃったよ……』
……まあ、HPと比べて回復手段が少ないMPを自動で回復させてくれる人がいるなんて情報を現在レイドバトルを行なってる
『……はぁ、まあこのぐらいの人数なら俺の周囲にいる限りはMP自動回復させるのに問題ないので好きにしてください。ついでにHP完全回復とHP増強の全体回復と5ターンぐらい持つ全能力バフとかも掛けてあげますから』
『『『『『『ヤッタ────!!! 神ユニットキタ────!!!』』』』』』
そんな提案をしたら人類悪達の自分を見る目が『ソシャゲの周回で活躍する人権ユニット(過労死枠)』を見る目に変わったので、ヤマトは『これは今回終始MP回復役かなぁ』と半ば諦めの様な気持ちになりつつMP回復用の置き物になりながら仲魔達と一緒に負傷者の治療を行なってる訳である。
まあ、隊長の指示もあって元から本格的に戦いを挑む気は無かったのだし、周回効率的には自分が参戦するよりMP回復役になってデビルバスター達の稼働効率を上げた方が良いだろうと思ったので彼としても構わなかったのだが。
「しかしヤマトさん、これだけの人数のMPを回復させ続けて大丈夫なんですか?」
「まあMP回復自体は多少弄ってても自動効果だからな。周辺環境(マガツヒ濃度)を考えてもMP回復の置き物になるだけなら一週間ぐらい不眠不休でも問題ない。……昔、ドロップ率が低い写せ身を集める為に一か月間ほぼ休まず悪魔狩りをした時と比べればまあ」
「かなりの“
とりあえず回復したバスター達にバフを掛けて送り出した後で心配した一葉に声を掛けられるが、ダアト時代には不眠不休活動が当たり前だったヤマトにとっては突っ立ってるだけのMP回復置き物になる程度は対して苦でもなく、それを見た一部の
ちなみに不眠不休狩りは無法地帯が殆どだったダアトだからこそ出来た無茶な悪魔狩りであり、異界で下手に狩り過ぎると悪魔のヘイトとかで迷惑が掛かるこの世界ではキチンと自重はしている模様。
「【マカトラ*22】! ……流石にそろそろ
「ヘイ! そこの彼女! 中々良いチャクラウォークしてるね! 私達【チャクラダンサーズ】と一緒に踊らないかい?」
「へ、どちら様?」
「俺達は【チャクラダンサーズ】!【チャクラウォーク】とかの“移動によるHP・MP回復自動効果スキル”の効果をより高めるダンスを研究してるのSA!」
「今なら我らが編み出した最高効率でMPを回復できる【チャクラウォーク】用の舞を伝授しようじゃないか!」
「え? いやちょっと……!」
別の所では負傷者の回復に加えて自分のMPを分け与えるなどして治療に当たっていた恋花が、なんか派手な格好で音楽を流しながらダンスしてる連中に連れられてダンスさせられていた。
……まあ、そういう研究をしてるだけあってか彼等【チャクラダンサーズ】が教えるダンスを踊ると何故か普通に歩くよりもMP回復速度が早くなるので、彼女も『もう止めよう』とか言い出しにくくなってなし崩し的に踊ってしまう事になったのだが。
「流石です恋花様! 皆の為に積極的に新たな技術を習得するなんて! 私も負けていられません!」
「恋花はラーメンの食べすぎでおなかが出てきてるからいっぱい踊ったほうがいいんじゃない? 千香瑠も瑤も食べすぎって言ってた」
「いやこのダンスに別に張り合わなくても良いんだけど……それと藍! 確かにちょっと前の世界じゃ食べられなかったラーメン屋を梯子してるのは事実だけど、まだそんなに太ってはないから! デビルバスター的にはちょっとぐらい脂肪があった方がいざという時に動けるし!」
「あ、サマナー。私もMPが切れたのでちょっと踊ってきますね」
「そう言えばスラオシャも【チャクラウォーク】が使えたな。……まあ好きにすれば良いんじゃないかな」
恋花が一葉と藍にツッコミを入れる横で仲魔のスラオシャがキレッキレの動きで踊り始めて少し困惑するヤマトだったが、そういえば今流行りだからとかヘブライ天使への当て付けで美少女になったとか言う割とはっちゃけた性格だったなと思い返していた。
……とまあ、そんな感じでMP回復用の置き物をしつつ仲魔とバフや回復を撒いているヤマトの近くで人類悪達が掲示板見ながらレイドボスへのはめ殺し手段を話し合ったり他と比べてダメージ効率が悪いから貢献度がとか言ってたり、果てはダンスを踊ってる横で付加効果のある食物を売ったりする料理人達が寄ってきたりと中々にカオスな光景が広がっていたのだ。
「ええい、MP回復スポット扱いだからと言ってワラワラ人が寄ってきたな」
「すみませんヤマトさん、この辺りの避難誘導は大体終わった様なので私も呼び出された悪魔への攻撃に参加したいのですが。私は恋花様と違って回復やバフに向いた能力ではありませんから戦った方が役に立てるかと」
「一葉がいくなら藍もいくよ」
「うーん、まあレイドボス戦に参加するなら攻撃に参加したいよね、経験値とドロップアイテム的な意味で。……あーすみませーん! ちょっと面倒見てるJKボランティアの子達もレイド戦に参加したいみたいなんで野良パ組んでくれませんか? 俺はこの通り手が離せないんで」
「んーまあしゃあないなぁ」「MP回復とHP増強してくれた分は働きますか」「レベルは結構高そうだし普通に野良パ組むぐらいなら良いよー」「まあいざとなったら隣のバカを壁にすれば良いだろ」「おや自分から積極的にJKの盾になりたいとはアホにしては殊勝な考えですね」
そこで一葉と藍がレイドボスとの戦闘に参加したいと言って来たので、ヤマトその辺にいたそろそろ回復終えそうな人類悪に野良パの決戦と彼女達の面倒を見る事を頼み、これまでMP回復に徹してくれた人からの頼みなので『まあ別に良いか』ぐらいのノリで引き受けられた。
……彼女達としては自分達の世界を乗っ取り滅ぼした一因であるガイア再生機構の先兵を相手に戦いたいと言う気持ち、そして何より今度こそ再生機構から世界を守りたいという気持ちが強かったのだが、なんか雑にネトゲのイベント参加レベルでスイスイ話を進められて一葉は逆に困惑してしまっていた。
「え、ええと……」
「まあレイドボスと戦いたい君らの“気持ち”は分からんでもないが態々自分達だけでいく必要はないだろう。此処にはこんなに強くて頼れ……多分強さは本物な
そしてヘルヴォルの事情をある程度聞いていたヤマトは、だからこそ『自分達だけでなんとかする必要はない』と証明する様に周りに声を掛けていったのだ。彼女達の使命感自体は善いものなのだが過剰になりすぎない様に人類悪と組ませて中和する感じで。
彼自身この世界で幾つも失敗(主に掲示板)をしてはDATの仲間にフォローされていて、何より人間を救う為の新世界の創世を自分達だけで行ってしまった嘗ての世界よりも、それぞれの人々がそれぞれの目的で動いて結果的に世界が守られている今の世界の方が“善いモノ”であると信ずるが故に。
「だいじょうぶだよ、一葉のことは藍がまもってあげるからね」
「うん、まあ俺が“懸念する事”に関しては一葉ちゃんよりも藍ちゃんの方が頼りになりそうだな。お前が最後の希望だ」
「トゲトゲした人にもおなじこと言われた。ヤマトは見る目があるね、藍はたよりになるよ」
「アハハ! まあ一葉は割と一人で抱え込んで突っ走るタイプだからねー」
「藍に恋花様まで……分かりました、ですが自分に出来る限りの事はしたいと思います」
自信満々に『仲間を守る』意思を示す藍に加えてMPが回復したのでこれ以上踊らされてたまるかと離脱してきた恋花にまで言われて苦笑する一葉だったが、先程までと比べて大分雰囲気が柔らかくなっていた。
余り自分が偉そうな事を言えた義理じゃないんだが隊長に言われた『引率任務』は大体これで良いだろうと考えたヤマトは、とりあえず彼女達を野良パ組んでくれる人類悪達に預けようとして……神造魔人としての索敵能力によりレイドボスと戦っている辺りの気配が変わるのを感じ取った。
「……レイドボスとの戦闘地点の気配が変わった。一葉ちゃんは見れるか?」
「分かりました、少しお待ちを……これは⁉︎」
そう言われて【
「レイドボスが連続攻撃……いえ! 誰かが物理カウンター状態のボスに近接攻撃を行い続けて辺りに万能の攻撃が撒き散らされてます! それと状態異常に掛かっている者がいるせいで戦線が崩壊状態に……!?」
「……寄せ集めのレイドバトルはこう言うのが怖いよなぁ(なるほど、ヘビクラ隊長が言ってた“介入パターン”の一つだな。こういう手で来るか)」
その報告を聞いたヤマトは表向きは一般レイドボス参加者みたいな事を言いつつ、手早く通信機を使って他のDATメンバーに『上野レルムカルケティーヤ戦に機構の介入者と思われる人物を発見。介入パターンCと思われる』とメールを送っておく。
また流れが変わった事を察した他の人類悪達も直ぐに掲示板を開いて緊急の書き込みから状況を把握、各々が如何にかする為の対策をすぐに整えつつ戦闘の準備割と進めていた。
(あのヤマトさん、これって再生機構の……)
(まあその可能性が高いけど確証も無いし、何より今回は『介入してくる再生機構らしきデビバスの顔を見て容疑者を特定しておく』のが仕事だからな。絶対にこっちが探ってると分かるような直接的な干渉はしない事)
(しかしあのまま好き勝手にやらせるのは……)
(そもそも此処で出てくる相手なんて宣伝用の見せ札か浸透用の手駒だろうから下手に食いついたら潰されるだけだ……ってヘビクラ隊長が言ってたし。……まあ、あくまで普通のレイド戦参加者としてやらかしてる連中に対処するぐらいは良いんじゃないか?)
元の世界ではガイア再生機構による情報操作で“世界の敵”にまで貶められた彼女達ヘルヴォルが過剰に反応してしてしまうのは無理もないのだが、それでも手を出せば向こうの思う壺であると印象付けつつ軽挙妄動は控える様に言うヤマト。
それを受けて元よりレジスタンスとして再生機構の情報操作と戦ってきた経験もある一葉と恋花は『此処で仕掛けるのは愚策』と思い直して気持ちを落ち着けた。ちなみに藍は初めから『仲間を守る』事を最優先にしてるので殆ど揺らいでない辺りがヤマトに一番頼りになると言われた所以である。
とにかくまずは正確な情報を把握する為に掲示板などで情報を収集して……。
「あ、誰か更に追加の介入者が……なんかレイドボスがデビルバスター達の一斉銃撃で倒されました」
「なんだ思ったより対応が早いな、流石は
いざ行動しようと思ったらあっさりレイドボスが倒されていたので、とりあえず肩透かしを食らった気分になりながらも戦闘が終了した以上は負傷者が多数運び込まれるだろうから引き続きMP回復用の置き物をしつつ救助や治療用の準備をするヤマト達なのであったとさ。
あとがき・各種設定解説
チームDAT:裏方として活躍
・他のチーム分けの内訳はアンヌ副隊長が叶星と高嶺と共にラクシュミへ、ケンジロウが千香瑠と瑤と共にグルル、トモヤが姫歌と灯莉と紅巴を連れてヴァスキの元に向かっている。
・ただし、彼女達にこの世界の戦いを知ってもらって良い感じに使命感を人類悪で中和(笑)して良い感じに軟着陸させるのが目的なので、レイドバトルには余り参加させずに支援や救助活動を優先して行なっている。
・残ったヘビクラ隊長とミツヒロはこの事件に乗じて動きそうなガイア再生機構への対応、及びグランギニョル社関連施設で狙われそうな場所の警備を行っている感じ。
ヘルヴォル&グラン・エプレ:人類悪を目の当たりにした
・彼女達の精神面は『アサルトリリィ原作のリリィ準拠』という感じで、原作メインキャラの大体がヒュージとの戦いを迷いなくリリィの使命として誰かを守る為に動ける善性の人間なのでそれを参考に感じで設定してる。
・最も彼女達がいた世界は原作アサルトリリィよりも遥かに追い込まれていたので、責任感はやや自己犠牲も伴うレベルになっていたのでグランギニョル社の仕事を積極的に行おうとしていた。
・ただしこの世界は戦える人間が沢山いるメガテン世界であり『自分達だけがやらなくても良い』と教える目的でのレイドバトル参加で、他の三箇所でも大体ヤマト達と同じ様に良い感じに善性のまま過度に無茶しないぐらいに軟着陸させた。
・ただそれはそれとしてこの世界のデビルバスター(人類悪達)のキャラが濃いなぁとは思ってるが、とりあえず学生生活を楽しみに出来るぐらいには心の余裕が出来た模様。
ヤマト&アオビト:大活躍(ソシャゲの過労死ユニット的な意味で)
・【溢れるマガツヒ】をMP回復特化で運用している間はマガツヒと神意の制御に集中しなければならないので、余り動かずに回復や補助魔法を使うぐらいしか出来ず、プレスターンバトルを行う事も難しいので戦闘中は自動効果仕様のみしか使わない。
・お札に関しては本家様でも言及されたのでほぼフレーバーみたいなものだけど1シナリオ中の枚数制限を設ける事に、まあゲームでも【障石】とかは各種三つしか持てないから自動発動型の符ならこのぐらいかなと。
読了ありがとうございました。
レイドバトル会場に人力ならぬ神力のMP回復ポイントが設置されました。是非ご利用下さい(笑)一週間完徹デモ問題ないナホビノなので24時間営業です(笑笑)