真・女神転生オタクくんサマナー外伝 ~ナホトラマン奮闘記~   作:貴司崎

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その頃の生徒会/お祭りの終わりに

 所変わって聖華学園の第三生徒会の生徒会室、そこでは都内で【インヴォークシステム】によって呼び出された高レベル悪魔(レイドボス)デビルバスター(人類悪)達によるレイドバトルが繰り広げられている間も【楓・J・ヌーベル】が率いる退魔生徒会役員達がいつも通りの仕事をしていた。

 ……一応彼女達もレイドバトルもとい都内でテロが起きる情報は事前に聞いていたが、相談した上で自分達は退魔生徒会として学内の治安維持を行う事を優先して外の騒ぎには参加しないと決めていた。以前の『学園受胎』の時の様に都内の騒ぎに乗じてテロを目論む者がいる可能性もあると事件を覚えていた楓や梅が提言した事が大きかった模様。

 

「…………む、なんか嫌な感じがする。世界が震えてる感じ?」

「どうしたんですの結梨さん。確かにさっき地震が起きましたが、この国では良くある震度1〜2ぐらいのものでしたわよ?」

「遅れた厨二病にでも目覚めたかー?。それともニュータイプ的なピキーン!って感じのSE音でも出たのか?」

 

 そんないつもの書類仕事の最中、いきなり顔を上げて虚空を見て首を傾げながらそんな事を言った結梨に対して、楓と梅が揶揄いを含んだツッコミを入れたせいで結梨は頬を膨らませながら反論した。

 

「むー! そう言うのじゃないもん! よく分かんないけど確かになんか凄い事が外で起きてるんだってば!」

「凄い事と言えば現在進行形で都内のレルムに現れたレベル90の巨大悪魔とデビルバスター達が戦ってますけど。キリギリスの掲示板も少し調べてみましたがお祭り騒ぎでした。お母様からも『特に問題なく採集決戦は進行してるわ』と仰ってましたし」

「ソシャゲのレイドバトルまんまなノリだな。……レベル90ぐらいの悪魔をどれだけ早く効率的に倒して周回するとかの書き込みがあったとかちょっと理解を拒むぞ。この前の巨大ヒュージとの戦いも割と死ぬかと思ったのに」

「外の手伝いをしているヘルヴォルやグラン・エプレの皆さんと連絡を取ってみましたが、特に悲壮感とかはなく『レベル90越えの悪魔が作業みたいに倒されてるんですけど』『ここのデビルバスターキャラが濃いわね。姫歌も負けていられないわ!』『バラドルとしてのキャラの濃さなら負けてないんじゃない定森』みたいなメールが来てますし」

「凄い事は起きてるけど割となんとかなってるみたい? ……レベル90の悪魔が複数現れてもどうにかするとか日本凄い」

 

 だが、その場にいる楓と梅と神琳と雨嘉は書類仕事の片手間でスマホを弄って、掲示板実況スレや参加している知り合いからのメールで外部のレイドバトルの様子を確認して『特に異常は無い』と判断するのだけであった。

 ……まあ、レベル90代の悪魔が複数現れているのに出オチ気味な流れ作業で討伐されている事が異常であると言えなくもないが、まあこの世界の一般的なデビルバスター達なら出来るだろうと思っている辺り彼女達も大分インフレ世界に染まっているが。

 

「うう〜! いいもん! 多分なんか知ってるっぽいヤマトに確認取るから!」

「あらあら、少し揶揄い過ぎましたか。……まあ結梨さんの感覚が鋭いのは本当ですし、また学園受胎とかされたら冗談じゃすみませんので既に見回りに出ている夢結達に学内の異常が無いか確認済みですけど」

「お、夢結からメールが返ってきたぞ。『学内で特に問題が起きている兆候は無し。生徒も殆どは何も知らずに普通に学園生活を送っているわ。……ごく一部のアウトローな生徒が外のお祭り騒ぎに参加しようと抜け出たぐらい』だってさ」

「警備の方からは『この騒ぎに乗じて学園に侵入しようとした不審者はいるが警備員と教師の手によって既に対処済み。引き続き退魔生徒会は学内の警戒体制に従事する事』だそうですね。楓様が言う『以前の事件』の反省から警備を更に強化したと聞いてましたが機能している様です」

 

 尚、結梨が異常が起きていると言った時点で生徒会役員達は既に各種確認作業を行っており、その結果として少なくとも学内で異常事態が起きている兆候は無いという確認が取れていたりするのだった。

 戦闘力的には第三生徒会の中で最もレベルが高い“切り札”的扱いな結梨ではあるが、精神的には一番幼い感じがあるのでみんなからは妹の様に可愛がられており、今も機嫌を損ねた彼女に他メンバーがお詫びのお菓子を渡したりしている。

 

「結梨はお菓子であっさり期限を直す様な安い女じゃ無いんだからねモグモグモグモグ……あ、ヤマトからメールが返ってきた。どれどれ……『なんか何処かでなんか起きたのは感じたけど、俺達にどうにか出来る様な事じゃないし、ぶっちゃけ俺にも何が起きているのかはわからんから余り気にせず学園で大人しくしてなさい。多分現地の人間がなんとかするから』だって」

「なんか曖昧な答えですわね。……まあ、未だ学生の身で学園に居る私達にどうにか出来る様な事はなさそうですけど」

「何か起きてるっぽいと言われてもさっきも言ったが外では絶賛大怪獣バトルやってるしな」

「真偽が定かでない、と言うか確認出来る手段が私達にはありませんからね」

「それじゃあこの情報はどうするの?」

 

 その後の話し合いの結果、情報が曖昧過ぎるので無用な混乱を撒かない為にも外のレイドバトルと同じく無闇に生徒会の外で余計な情報は話さないと言う事に決めた。

 ……それから暫くした後、とりあえず目の前の書類整理を一通り終えた辺りで学内の見回りに出ていた第三生徒会の残りのメンバーが帰って来た。

 

「只今戻ったわ。……何かあったのかしら?」

「ああいえ、結梨さんが何処かで何かを感じ取ったらしくて。未確認情報ですが他にも感じ取れた者がいる様ですわ。……あ、書類整理は一通り終えましたわ」

「へ? どういう事なんですか楓さん?」

 

 第三生徒会の議長である楓が告げたよく分からない言葉を聞いて梨璃を始めとするメンバーは頭に疑問符を浮かべたが、その後に一通りの事情を説明した事によって実感は湧かないにしても事情は理解した。

 

「……その何かが何処かで起きたかどうかはさておき結梨さんも何が起きているのかを具体的には分からず、仮に本当だとしても私達にどうこう出来るどころか詳細を確かめる手段はないわね。……まあ、学内に結梨さんと同じ様に何か感じ取った者がいるかもしれないから見張りを強化するぐらいしか出来ないわね」

「そうなりますわね。……とりあえず教師に未確認情報として情報を伝えておきますわ。こういうのはまだ子供の自分達が勝手に動いても碌な事にならないので上に投げるのが一番ですもの」

 

 外で何か起きてると言っても現在絶賛レイドバトル中で『何かが起きている』のは確かだから改めて言われても。とりあえず外の騒ぎの影響が学園内に及ぶ可能性があるので気を付ける事……と返されたが。

 

「まあこんなもんですわね。……ただドリフターの中には世界崩壊から逃げてきた人も居るらしいので、外の騒ぎ含めて“何か”を感じ取った影響で問題が起きる可能性も考慮した上で引き続き学内の警戒をしていきましょうか」

「この前の戦いで私達のレベルがだいぶ上がったけど、それでも美鈴お姉様曰く最前線ではギリギリ私か結梨さんで露払いが出来るかどうかレベルらしいからね。外の戦場にはツイテイケないから素直に学園の平和を守る退魔生徒会としての頑張るのは賛成ね」

「一昔前ならレベルホルダー云々でブイブイ言わせられたんだけどなー。……今だと退魔生徒会どころか一般生徒でもレベル60〜70ぐらいは稀によくいるぐらいだからなぁ」

「外の異界調査の手伝い、それも単なる外周警戒したらいきなりレベル80近い悪魔に襲われるのが今の環境だしね……」

「私達にはまだ外は早いと分からされました」

「ようやく足切りライン(レベル50)は超えたんじゃがのー。インフレが激しすぎるぞい」

 

超人/コマンダー楓・J・ヌーベルLV63(+8)

 

超人/デビルバスター吉村・Thi・梅LV64(+7)

 

超人/シャドウ使い白井夢結LV68(+6)

 

超人/巫女一柳梨璃LV53(+12)

 

超人/トレジャーハンター二川二水LV52(+7)

 

悪魔人間/強化人間安藤鶴紗LV58(+8)

 

超人/デビルバスター郭神琳LV56(+7)

 

超人/ガンスリンガー王雨嘉LV55(+7)

 

超人/アーセナル(COMP技師)ミリアム・ヒルデガルド・v・グロピウスLV51(+8)

 

顕現者/神造魔人一柳結梨LV75(+3)

 

 ご覧の通り先日多数のヒュージに加えてレベル90近い大型ヒュージ【アンジェラス/ジェミノス】を倒した第三生徒会はガッツリとレベルが上がっており、全員が足切りラインを超えた事もあって調整がてらこれまでレベリングに使っていた旧校舎異界の階層も割と楽に攻略出来るぐらいだった。

 ……まあそれでも旧校舎の現在の最前線ともなると普通にキツいぐらいなので、暫くは上がったレベルに引き摺られない様に調整を優先して行動している辺り油断や慢心はしていないが。

 

「特に梨璃さんのレベルの上がりが凄いですね。とうとうレベルで抜かれましたよ」

「そんな偶々楓さんから貰った装備のお陰で生き残れて経験値を多く貰っただけだから!」

「まあワシと二水は一回死んだから少しレベルが下がっておったし、途中で雑魚敵の相手に切り替わったから経験値がちょっと少なかったっぽいの。それでも霊格が上がっておるからもう少しレベルは上がりそうじゃが。……それよりレベルが一気に上がったから各々のCHARMをまた調整せんといかんわ」

「いつもありがとうございますミリさん」

 

 ちなみに一番大変なのはアーセナルであるミリアムだったりする。何せ彼女達の武器である【試作CHARM】は“現行世界では”最新鋭かつ最高性能に近い武装COMPであり、過去周回の同一存在のデータとグランギニョル社からの全面支援でどうにか実戦使用が出来るぐらいの高スペックと劣悪な整備性だったりする。

 なのでレベルが上がる度に専属の技師であるミリアム色々と調整を行っていたのだが、今回一気に全員のレベルが上がったので普通に仕事量が数倍になっている。グランギニョル日本支社でのオーバーホールなども行ってはいるが、日々の微調整は主に彼女の担当なので仕草が増えた事に変わりはない。

 

「まあ私達も出来る限り手伝いますから。この前の戦闘データを送ったウチの技術者が狂喜乱舞しておりますから支援は引き続き届くでしょう」

「ミリアムもお菓子食べるー?」

「頂くわいモグモグ……それはそれとして此処までレベルが上がっても旧校舎最前線はキツい辺りインフレが本当に酷いの。学園の異界がこれで外に出たらレベル90近い悪魔とエンカウントとか一年ぐらいで環境変わりすぎじゃわい」

「生徒会全員めっちゃレベルが上がってるとか、一昔前なら学内の裏家業関係者に外法に手を染めたとかR−18な方法でのMAG太りとか言われてそうだからなー。一時期の第七生徒会みたいに」

「エッチなのはダメですよ! 死刑になっちゃいます!」

「大丈夫ですわ梨璃さん。……今なら外でなんかヤバい悪魔と戦ってきたのかなって思う学生が多くなってますから。事情を知ってれば何も言って来ませんし、知らない者が何か言って来てもスルーで良いですわよ」

 

 主にインフレの波とか殺伐思考のドリフターが転入して来てる事などが原因で学内異能者の思考も結構変わって来ているらしい。現環境に適応出来るように異能者用の特別講習などが開かれたりなどもしているし。

 

「さて、では書類仕事と休憩も終わりましたから引き続き校内の見回りでもしましょうか。少なくとも外で行われている騒動が終わるまでは警戒体制を上げる必要がありますしね」

「また襲撃とかはゴメンだから怪しげな事・人・物があったら直ぐに報告だぞー。対学園テロ対策マニュアル(退魔生徒会用)通りにな」

「結梨さんの様に“何か”を感じ取って騒いだりパニックになった生徒がいるかもしれないからそこにも注意ね」

「「「「はい!」」」」

 

 そうして彼女達第三生徒会のメンバーは専用のケース(見た目はオシャレなバッグ)に各々の【CHARM】を入れて、引き続き聖華学園を守る退魔生徒会としての役目を成す為に校内の見回りを続ける事となる。

 ……退魔生徒会役員とは学園に住む異能者達の“目的であり象徴”だからこそただ“強いだけ”では勤まらず、少なくとも表の12の生徒会にはそれぞれアライメントの違いこそあれど『真っ当に社会に適応出来るだけの人格や行動』が求められる。様々な理由で学園に通う事となった異能者達には不幸に遭っていたりトラウマを持っていたりで社会や大人に恐れを抱く者も多く、だからこそ“異能者の子供でも真っ当に生きられる”と示す為の目標であり象徴である事こそが聖華学園の退魔生徒会に与えられた役目の一つだからだ。

 

「梅も言いましたがとりあえず何かあったら報連相ですわ、私以外に他の退魔生徒会や教師や警備員にでも良いので。……例えレベルが上がったとしても私達はまだ大人に守られている“子供”で、そんな私達を必死で守ってくださっている方々がいる事を忘れない様に」

「自分の考えだけで動くと結構やらかす事があるからな。特にレベルが上がった直後は高揚感や全能感とかもあるから気をつけろよ。この学園の教師や警備員はみんな頼れる大人だからな」

「だからと言って全て大人に任せれば良いという訳でもないのだけれど。特に私達は聖華学園の退魔生徒会なのだから自分達に出来る事はするべきね。難しいかもしれないけど無理はしない範囲を見極めて行動しましょう」

「……はー、やっぱり楓さんも梅さまもお姉様も凄いですね。私はそんな事まで考えられませんでした」

「梨璃さんに褒められるのは悪い気はしませんが、私も“大人達が子供を守る事に全力を尽くしている”と本当に理解したのは昨年度の色々な事件に巻き込まれてからでしたから偉そうな事は言えませんわ。少なくとも梨璃さんと同じ一年生の時は学園内の自分達生徒(子供)が見るごく狭い世界しか見えていなかったぐらいに視野は狭かったですからね」

 

 そう苦笑する楓達上級生組に関心や憧れの視線を向ける下級生組と言う、どっかのナホビノが見たら『尊みポイントが高いな!』とか言いそうな光景になりながらも、彼女達は退魔生徒会の役割を果たす為に学内の見回りを再開するのであった。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

「……ふむ、例の【創世】らしき気配は完全に無くなった……いや“遠ざかった”のか? となると現地にいた“誰か”が上手くやったのかね」

『龍脈の異常も無くなっているな。むしろ前よりも安定化している様に感じられる』

「とにかく世界が崩壊する様な致命的な事態は避けられたと考えて良さそうだな。良かった良かった。……一応隊長達には連絡しておくか」

 

 レルムでのレイドバトルが開始されてから約七時間程が過ぎた頃、上野レルムの即席休憩地点にてMP回復用置き物(課金機能付き)をやってたヤマトとアオビトは“豪奢な椅子”に座りながら通信機とスマホを使って知覚出来た範囲内の情報をDATメンバーと結梨に送信していた。

 ……まあ、具体的に何が起こったとかは分かってないので『多分世界の危機っぽい何かはどうにかなったんじゃね?』ぐらいのアバウトな内容だったが、とりあえず危険が去ったとだけ分かればヨシ!な思考である。

 

「……よし送信と。……ところで一葉ちゃんの方は大丈夫か? 異常は収まったみたいだが身体の調子に変化とかは」

「え、あ、はい大丈夫です。そちらが付けてくれた結界のお陰で症状は和らいでいましたし、時間が経てば大体慣れてきましたので今はもう結界なしでも体調に異常はありません」

「……それよりも、ヤマトさんは今の自分の現状に思う所はないの? 賽銭箱だけだったさっきまでよりも更に可笑しい事になってるけど」

「なんかごちゃごちゃしてるー」

 

 そんな事を言う恋花や藍の視線の先には設置された賽銭箱を前に置いて豪奢な椅子に座るヤマト……の周りに何処から持って来たのか鳥居やらしめ縄やら招き猫やらダルマやらトーテムポールやらが置かれて組み合わさった名状し難いオブジェクトの姿ぐらいあった。

 ……何故、彼の周囲に多数の物が置かれる様になったのかは深い事情が……。

 

『もうちょっと術式を強化すれば支払うマッカが減らせるんじゃね?』『賽銭箱だけより社とか祠とか作れば強化されそうではある』『マッカとMPの変換効率を上げれば』『今回あんまりマッカを持って来てないんだよな』『でもそんな資材あるか?』『倒壊した道具屋からしめ縄買って来た』『小型の鳥居なら落ちてたぞ』『なんでそんなのが落ちてるんだよ』『でもこれなら祠っぽいのは作れそうだ』『招き猫とかあったぞ金運上がりそうな』『商売繁盛のダルマ見つけて来た』『文房具屋に短冊が売ってたぜ』『社長室とかにありそうな椅子見っけ』『電飾とかなら雑貨屋にあった』『トーテムポールなら落ちてたぞ!』『だからなんでそんなの落ちて(ry』『とりあえず集めた素材で祠を作ってみるか』『ここは神道系の術者俺に任せろ!まずはこのトーテムポールを』『駄目そう』『なんで真っ先にそれなんですか』『此処は風水術師の俺がこの招き猫で金運アップ効果を』『MP回復用マッカが足りなくなって来たしやってみる価値ありますぜ!』『ドロップが変な石とか宝石だから即換金出来ないしなぁ』

 

 ……特にあるわけなく、MP回復に来た人類悪達が『もうちょっと回復効率上げられないかな』と言う目的でレイドバトルで湯だったテンションのままに祠を組み上げたら何故か名状し難いオブジェクトになっただけである。

 

『…………いや、流石にこんなカルト宗教の御神体にもならなさそうな名城し難いオブジェクトでMPの変換効率が上がるわけないでしょ』

『『『『『『ですよね〜』』』』』』

 

 当然ながらそんな適当な祠とはとても言えないオブジェクトでMP回復効率が上がる訳もなく、ノリとテンションで動いていた人類悪達もオブジェクトを作ってヤマトを座らせた辺りで『流石にこれはないだろ』と気が付いたのだが。

 ……ヤマトとアオビトのベースとなっている悪魔は【天津神 スサノオ】の分霊をベースにした【青神(アオガミ)型神造魔人:量産仕様】であり、賽銭箱や鳥居ぐらいならともかく招き猫やトーテムポールで能力が強化されても困ると内心で思っていたりする。

 

『……まあ、マッカがないなら此処に現れた悪魔がドロップした石や宝石をくれれば代わりに俺の手持ちのマッカを使ってMP回復を立て替えますよ。この術式ならそのぐらいは出来そうですし、それぞれ一個で全回復させてあげます』

『え、マジで!?』『どう考えてもレート的にマッカ支払うより宝石一個の方が安いんだが』『このルーン石もよく分からんやつだから価値あるかどうか』『大丈夫なのか?』

『軍資金としてそれなりに持ち込んでますからどうにか、世界を守る防御チームなので緊急時用のサービスですよ。ただし返品返金は受け付けておりませんので課金はよく考えてから行ってくださいね』

『『『『『ヤッター! チームDATバンザーイ!派手な課金は楽しいZOI!!!』』』』』

 

 ちなみにその後、どうもマッカ払いが出来なくなった重課金者がいるのが根本的な原因だからと言う事で、ヤマトは物品を引き換えに自分の手持ちのマッカを使ってMPを回復させてあげる追加課金サービスを実行する事になったのだった。

 

「……まあ一々崩すのも面倒だし目標代わりには使えるからこのままでも良いだろう。MP回復作業に支障は無いだろうし」

「ヤマトさんが良いなら突っ込みませんけど、結構盛大にマッカを使っているのは大丈夫なんですか?」

「あー確かに、あの人類悪達もギリギリまでMP使ってから宝石か石一個で完全回復とか、パーティーで悪魔を倒して手に入れた宝石だから一個で全員分回復させてくれとか言う無茶振り言ってヤマトさんもそれを受け入れちゃってるし」

「ぼったくられてるー?」

「まあ今回グランギニョル社から軍資金として結構貰ってるし、このドロップ石も調査対象の一つだから出来るだけ集めておいてくれるって言われてるから後で経費で落ちる」

 

 彼は龍穴さえあればマッカでMPを回復出来る他、サマナーとしての交渉で使うのでそれなりの量のマッカを経費として持ち歩いているのだ……まあ、調査対象である謎のルーン石はともかく宝石まで集めてるのは“軽子坂高校OB”であるヘビクラ隊長から聞いた話も関わってるのだが。

 

「それに隊長曰く“悪魔がドロップする宝石”は本来ならもっと()()()()()物らしいから、グランギニョル社でも集めてるから後で換金して貰うさ。ちなみに集団回復は宝石のみで受け付ける様にしてあるし」

「確かサマナーの交渉などで使うんでしたね。それならヤマトさんには有用ですか」

「グランギニョル社にも魔晶武器の研究用として専属のサマナーもいるみたいだし」

「……まあ、俺はあんまり悪魔との交渉で宝石は使わないんだがな*1。昔は集めてお香と交換したりもしたが*2。……最も隊長から教えて貰った“使い方”だと俺は対象外だったが」

 

 実は悪魔由来の宝石には一種につき9個集めて人間に持たせると宝石の種類に応じた特定のステータスを上昇させる効果*3があり、ヘビクラ隊長は昔高校が魔界に落ちた時にその事を知って所持している上にDAT結成時からメンバーの分の宝石を集めて既に全員分揃えていたりする。

 ……まあ、宝石の効果があるのは人間だけであり、ガーディアン使いとかペルソナ使いとか転生者ぐらいなら問題ないのだが、完全に人間で無くなっている合一神なヤマトはどれだけ宝石を所持してもステータスが上がったりはしなかったのだが。

 

「……転生したせいで前世での【霊香*4】マラソン分が無駄になった分を補えるかと思ったんだがなぁ。……やっぱり合一神とかデバフでしか無いのでは?」

「ヤマトさん?」

「ああすまないな、ちょっと考え事だ。……しかしレルム内も静かになって来たな。異界やレイドボス召喚前後で観測されたマガツヒの増大も無くなってるし、これはそろそろ完売かな?」

 

 それから暫くの後、レイドボスの再召喚や雑魚悪魔の追加召喚が無くなった事や東京の結界の異常が元に戻った事からレイドバトルイベントの終了……もとい【インヴォークシステム】によるテロ活動が終わったと判断されたのだった。

 

「レイド完売!」「たったの八時間ちょいだったか」「それなりには稼げたな、それなりにだが」「運営も根性ないなー。一週間ぐらい続けてもいいんじゃよ?」「また煽ればもうちょっと出してくれないかな?」「へいへい黒幕ビビってるー?」「いや異界や召喚式も完全に無くなってるし完全に撤退したっぽい」「怪我人の治療と負傷者の収容を!」「まあ雑魚ボスを殴っただけで限界突破出来たから文句はないが」「控えめに言って神イベントだったな」「瓦礫の撤去を行うわよ!」「次回開催日とか出ないかな」「よーし掲示板で参加出来なかったヤツを煽るか」「ドロップアイテムの分配やるぞー」「そう言えばこのルーン石の使い方分かる人いるー?」「よーしドルイドの俺が解析してみよう」「北欧系悪魔の転生者の俺氏も混ぜて」「手持ちの仲魔に詳しいのがいるから」「とりあえず暇してる識者集めるか」「おやおやおや、謎アイテムが出たらまずは検証と解析ですね」「俺はあんまり詳しくないんだけど仲魔にオーディンがいるから聞いてみよう」「まずは他の者の意見を聞いてからで良いだろうサマナー。そこから“素人質問で恐縮ですが”と言うんだったな」「おいまずお前が意見出せよ」「いやいやまずそちらから」「北欧の主神で知恵の神とか素人じゃないじゃないですかやだー」

 

 その後のデビルバスター(人類悪)達はそれぞれ好き勝手したり掲示板で煽ったりしつつ、割と真っ当な組は瓦礫の撤去や負傷者の救助などの事後処理に向かったりしていた。

 ちなみにヤマトは救助活動を希望したヘルヴォルを“義手の女性”や“光輪のある少女達”などの比較的信用出来そうな人の手伝いとして行かせつつ、自らは謎のルーン石についてその場にいる一般通過識者達と意見を交わしつつ掲示板などでも情報を集めていた。

 

「うーん、俺的には謎ルーン石からは【成長祈願*5】系の神意に近い気配を感じるんだがな。オーディンの見立ては?」

「先も言ったが今の私は全知ではなくて手慰み程度の魔術(オーディン基準)しか使えんのだが、ルーン自体は原初のものに近く赤子に付与して成長を促す類いのモノに近いか。悪魔の成長を何らかの条件で強化する物、おそらく“転生”に纏わる特性もありそうだが」

「うーん、転生した後の二週目ボーナスで成長率が上がるアイテムとかか? キャラクターのレベルダウンビルド的な感じでゲームでは良くある感じのアイテムだが」

「ふむ、それもあり得ない話ではなかろう。まあ転生ともなればこのルーン石“だけ”で出来る様なものではないだろうが。大掛かりな術式の触媒の様なものか?」

 

 本人が転生して前世の記憶を持っている上に割とゲーマーな事もあってそんな仮説を思いついたヤマトであったが、流石にそんな事が本当に出来るかまでは分からなかったのでとりあえず専門家に解析を任せた方が良いだろうなと考えて……。

 

「…………え? 宝石って九個持ってるとステータス上がるの?」

「マジで!? なんか掲示板でまたやばい情報が出たんだけど!」

「……アレ? 悪魔をかなり倒した筈なのにドロップした宝石の数が少ない様な……」

「そりゃお前、宝石一個で複数人分のMPを纏めて回復してやるって言うからマッカ払うよりお得だと……」

「おやおやおやおや」

 

 その辺りで謎のルーン石の情報を交換していた掲示板に『宝石によるステータスの上昇』に関する情報が流れ出た所為で、その場にいる全員の視線がマッカ払いの代わりに宝石でMP回復代金を建て替えてくれたヤマトの方を向いた。

 

「ふむ成る程……(手の中の沢山の宝石をジャラジャラさせつつ)……ご利用ありがとうございました。本日のMP回復課金サービスはこれにて終了とさせていただきます(ニッコリ笑顔)」

「……ところで、返金ならぬ返宝石とかは……」

「申し訳ありませんが課金に際しての返金・返品は受け付けておりません。……ちゃんと事前に『返品返金は受け付けないから課金は良く考てから行ってくださいね』って言っただろう? 課金は無理なくやらないとなー」

「「「「「ぐふぅ!!?」」」」」

 

 非常にイイ笑顔のヤマトに容赦ない正論を言われて呻き声を上げながら崩れ落ちる人類悪達。実際MP回復でお世話になった上に彼の言う“サービス”にかこつけて、十分マッカがあるにも関わらず安上がりになると思っていた宝石で代わりに支払っている者も多かったので反論も出来ない感じであった。

 

「だから言っただろ?『見えるものだけを信じるな』って」

「それはアンタの所の隊長の台詞じゃない? ……ていうかやっぱり宝石の特性を始めから知ってて……」

「ヘビクラ隊長が教えてくれました」

「あの闇ムーブ語録盆栽好き仮面隊長め!」

「あのジャグジャグ隊長の部下だけあってやる事がエゲツない」

「しかも文句がめちゃくちゃ言い難い辺りやり口がジャグ隊長とほぼ同じなんだが。部下の教育がしっかりとし過ぎてない?」

「ジャグ隊長って文句が言えないぐらいに完璧に助けてはくれるんだけど、その際についでに愉悦的闇ムーブしてくるからなぁ」

 

 まあ、ヤマトが宝石で複数名分建て替える事にしたのはステータス上昇の恩恵を知っていたからではあるが、その情報がこのタイミングで周知されたのは流石に偶然なので『悪印象を抱かれるだろうしタイミングが悪いなぁ』とは思っていたが。

 ……それでも人類悪達に睨まれる状況で平然としている辺りヤマト自身も割とイイ性格をしている訳だが。なんだかんだ言っても変人集団のチームDATの一員であり、嘗て一つの世界の“王”になった合一神(ナホビノ)と言うのは伊達ではないのである。

 

「こうなったら“ころしてでもうばいとる”しか「ほう?(オーディン・デメテル・コウリュウ召喚。【会心の覇気】使用)」やっぱやめるわ」

「大人数のMP回復しながら機械式で平均レベル80以上の悪魔を三体も平然と運用してるヤツが弱いわけないんだよなぁ」

「そもそもチームDATってウルトラマン防衛チームごっこやってる変人集団だけど実力は普通に前線修羅勢クラスの化け物枠達だし」

「後は単純にヘビクラ隊長を敵に回したくない。今回新人隊員君にはほぼ非がないから、力付くとかやったらエゲツない方法で報復して来そう」

「課金と言ってもMP回復はして貰ったから取引の一環でしか無いし。課金で破産しても自己責任なんだ」

「普通に十万マッカぐらい払うから宝石を買い取らせてくれない?」

「それじゃあ今からオークション形式で宝石を販売しようかな。一個五万マッカからで支払いはマッカオンリー、一番高い値段を付けた人に売るよ」

「「「「「「鬼!悪魔!天使!ちっひ!ダヴィンチ!ヘビクラ!ソシャゲ運営!!!」」」」」」

 

 更に本人としては宝石のステータス強化の恩恵を受けられない事もあって手放すのに然程躊躇が無かった事もあり、エゲツない値段設定のオークションと言う形でイベント限定課金第二弾が開催されてヤマトと人類悪達による阿鼻叫喚な課金地獄(オークション)が再開されるのであった。

 ……その結果、話を聞きつけてやって来た追加の人類悪含めて大乱闘になったり、ヤマトが宝石バブルで消費した分の数十倍以上のマッカを手に入れたりと暫くレイドイベント二回戦なオークションは続いたそうな。

*1
真5の悪魔交渉ではマッカ・HP・MPの支払いは行われるが宝石は使われない。何故かナホビノは宝石よりもHP・MPの要求や勝負とかを挑まれる事が多い模様。

*2
真5ではサブクエストで特定の宝石とお香を交換してくれるクイーンメイブがいる。クエストクリア後も宝石を持ってくれば交換可能。

*3
真2・真ifでは一種につき9個宝石を集めると主人公の特定のステータスが強化される。

*4
真5において主人公であるナホビノのステータスを上げる消費アイテム。悪魔の能力を上げるお香と比べて入手が困難であり、ナホビノは通常の香では能力を上げられないと裁定。

*5
覚醒の神意。仲魔のレベルアップ時に一定のレベルに到達するまでの間、特定のパラメータを1多くアップさせる。真5出典でパラメータに応じて複数種類が存在する。




あとがき・各種設定解説

第三生徒会:退魔生徒会のお仕事
・後日、実はヘビクラ隊長からスポンサーになった時点で宝石の効果を伝えられていたグランギニョル社から、流石に生徒会全員全種類とは行かなかったが集めた幾つかの種類の宝石9個セットが送られて来る模様。

ヤマト:課金推奨ソシャゲ運営ムーブ
・オークションに関しては流石に宝石持ち逃げだと不満が溜まるかなと思って開いたが、それはそれとしてヘビクラ隊長の教えを元に文句が出難い範囲を見計らってマッカを搾り取って幾つかの宝石は持ち帰った。
・尚、本当に『ころしてでもうばいとる』な人もいたが【会心の覇気】付き【天剣叢雲】からの連続攻撃などの、確定クリティカル連打式プレスターンバトルで雑に迎撃したら全員大人しくオークションに参加したとか。
・割と好き勝手レイドバトルを満喫してる様に見えるがレイドバトル参加者から世間話や情報収集という体でカルケティーヤ戦に介入したシャドウ、及びブラックフィエンドを名乗る組織の情報を聞き出しているなど仕事はしている。

チームDAT:宝石ブースト済みだった
・宣伝もやってるので割と情報露出が多いチームDATであるが、宝石の効果に関しては自分達の事を調べて襲撃してくる敵対策の隠し札の一つとして秘匿しており、実は他にも秘匿している手札はそれなりにある模様。
・他のメンバーもレイドバトルに後方支援役として参加しつつ情報収集に努めており、襲撃を警戒していたヘビクラ隊長組はどさくさに紛れてグランギニョル社の関係施設を襲おうとしていた連中の迎撃もしてた感じ。


読了ありがとうございました。
他の三次ではレイドバトルで熱い戦いを繰り広げているのに、ウチのナホトラマンはMP回復の置き物をしながら課金を徴収するソシャゲ運営ムーブしてる件。
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