真・女神転生オタクくんサマナー外伝 ~ナホトラマン奮闘記~ 作:貴司崎
魔王城ダブルツインマークⅡセカンドと(安価で)名付けられた異界の奥地でDAT隊+グランギニョル社員のチームと、大型ヒュージ【エヴォルヴ】との戦いが始まってから既に2分近くが経過していた。
未だに八雲が持ち込んだアプリによる【S先制封殺*1】によってマガツヒスキルの発動は封じられているが、それを解除するのは無理だと判断したエヴォルヴは種族変更も行わずマガツヒチャージの手番を通常行動に回す3回行動でDAT隊を攻め立てていた。
『キイィオオオオアアアアアアアアアァァァァァァァァッ!!!』
| 物理貫通 | 自動効果スキル | 相手の物理属性の吸収、反射、無効、耐性を無視する。 真4F仕様なのでテトラカーンも突破可能。 |
| 物理ギガプレロマ | 自動効果スキル | 自身の物理属性によるダメージが大きく上昇する。真5出典。 |
| 獣眼 | 自動効果スキル | 自身の命中率を上昇させる。真5出典。 |
| 龍眼 | 自動効果スキル | 自身の命中率を大きく上昇させる。真5出典。 |
| 全体攻撃 | 自動効果スキル | 通常攻撃の対象が敵パーティー全体になる。真3出典。 単体攻撃と全体攻撃を選んで使用する事は不可能。 |
| 吸収攻撃 | 自動効果スキル。 | 通常攻撃で敵を攻撃した際、与えたダメージの25%程度自分のHPを回復する。真3出典。 ただし相手の残りHPが与えたダメージより少なかった場合、残りHPの25%が吸収可能なHPの最大値となる。 |
| デュプリケータ★ | 自動効果スキル | 通常攻撃が30%で2回、15%で3回放たれる。SH2改造。 |
| ほぼ全ての者が使用可能なMP消費なしで敵単体への物理属性攻撃。 エヴォルヴは3度この行動を行いその内2回は2回攻撃になったので計5回攻撃。 |
手番が回ったエヴォルヴが胴体部の装甲を開いて無数の砲門を展開、自身が有するスキルの効果もあってそこから多量の魔弾を撃ち放って敵全体へ複数回の攻撃を叩き込みつつ与えたダメージに応じて自分の損傷を回復させていく。
耐久性特化とはいえギガプレロマによる強化もあって相応の威力を持つ通常攻撃を連打すれば並の相手であれば十分致命傷を与える事が出来て、倒せずとも消耗もない通常攻撃のついでに回復するので【ハイリジェネレート*2】による自動回復と合わせて受けたダメージを打ち消し続ければいつかは相手が先に息切れする……と言う戦術の為のスキル構成だったのだが。
「……よし、通常攻撃がたった5回なら回復量も大した事は無いな。まあ人数が多いからそこそこ回復されているんだが」
「対策装備とバフデバフは念入りに掛けたっすけど、与えたダメージがあっさり回復されるのはキツいっすね」
「対策済みだから通常攻撃の連打程度で死ぬ事は無いんだが、HPを回復されるのが厄介極まりないからこの行動をされるのが一番面倒か」
| エンジェルスカート | P4出典。物理ダメージを20%減少させる装備。 八雲、天葉が装備中。 |
| スターヘルム | デビルサマナー出典。対衝撃相性を持つ頭部装備。 剣攻撃・槍攻撃・投具・ガン・剣技・技相性70%、突撃・衝撃相性50%、破魔無効。 トモヤ・ミツヒロ・ケンジロウが装備中。 |
| ヤクトアーマー・シュツルムスーツ | 真if仕様。それぞれ男性用と女性用の全対応相性を持つ胴部装備。 剣・ガン・剣技・悪魔攻撃・技・突撃・火炎・氷結・電撃・衝撃・呪殺・神経・魔力・緊縛75%、破魔無効。 ヘビクラ隊長が昔魔界で手に入れた物で彼とアンヌが装備中。 |
| 神奈備ノ守 | 補助属性スキル | 次のターンまで味方全体に被ダメージを30%低下させる効果を付与する。真5出典。 |
| 勇奮の舞 | 補助属性スキル | 味方全体の物理攻撃力と物理防御力が二倍になる。 NINE仕様でペルソナ【ラクシュミ】の特性とスキルにより6ターン継続。 |
| ランダマイザ | 補助属性スキル | 3ターンの間、敵全体の全能力を1段階下げる。真3仕様。 エヴォルヴの攻撃力・命中率・回避率は二段階、防御力は四段階低下している。 |
だが、その通常物理攻撃は貫通でも突破できないダメージ軽減や弱耐性の装備効果、及び掛けられている攻撃力低下デバフと物理防御力上昇のバフとダメージカットの結界によって威力は大きく損なわれたので大したダメージにはならず、故にダメージ量に応じてHPを回復させる【吸収攻撃】によるHP回復も最小限で抑えられている。
エヴォルヴの通常攻撃が【物理貫通】が乗っている事から分かる通り弾丸を発射している様に見えても物理攻撃相性*3であり、マシン悪魔だからなのか小属性としては近接武器による通常攻撃と同等の防具で防げる判定となる事は分かっていたので、HP吸収攻撃対策にダメージを減らせる装備品を整えていたのだ。
「仲魔の交代や追加召喚はまだ無しで良いからまずは【神奈備ノ守】を貼り直して……ガルーダ、ミトラス、カーリー、とりあえず殴れ」
「分かりましたサマナー、余りダメージは出ませんが【ザンダイン*4】!」
「まあメイン火力である以上は同じスキルを撃ち続けると。【ラグナロク*5】!」
「さて、物理に耐性があるだけならコイツでいけるさね!【地獄突き*6】!」
そうしてエヴォルヴの攻撃が終わった直後にまずヤマトが結界を張り直しつつ仲魔に攻撃を指示し、それを受けたガルーダの衝撃波とミトラスの豪炎とカーリーの刺突がデバフによって防御を限界まで下げられている相手に突き刺さって損傷を与えていく。
加えて仲魔にセットしてあるプレロマと掛けられている【勇奮の舞】や【天上の舞*7】の効果によって攻撃力が上がっている事もあり、エヴォルヴの【仁王立ち*8】でダメージを減らされて尚相応の打撃を与えていた。
「よーし、引き続きダメージを稼ぐぞ。デバフ掛かってるからガネーシャも攻撃に加われ。ノルンは最後に回復。【バイパースマッシュ*9】」
「了解したサマナー。【殺風撃*10】!」
「はいとりあえず【アギバリオン*11】っすね」
「撃ち貫く……【ワンショットキル*12】!」
「物理耐性が地味に面倒だな。先に【貫く闘気*13】でも使っておかないとダメージが減るし。【カタストロフ*14】」
「バフは掛買ってるからMPを回復しておきましょうか」【アイテム使用→魔法ビン*15】
続いてDAT隊のメンバーが熟練した連携の下で動き出し、ヘビクラ隊長の蛇の様な軌道を描く剣線がエヴォルヴを斬り裂き、その指示を受けた仲魔のガネーシャが暴風によって打ち据える。更にトモヤが魔晶の効果で増幅された最上位火炎魔法を放ち、ケンジロウが超威力の銃撃を打ち込み、ミツヒロがチャージ効果によって貫通と威力増強の掛かった剛撃を叩き込む。
そうして巨体故に的の大きいエヴォルヴに全方位から襲い掛かって連続攻撃を叩き込むDAT隊だったが、近接戦闘を挑んだ者にはエヴォルヴは触手による【猛反撃*16】を打ち込むが装備とダメージカットの結界効果で死ぬ程のダメージを受ける事は無く、故にアンヌはアイテムによるMP回復を優先した。
……そしてDAT隊は攻撃が終わった直後にエヴォルヴから離れ、そこにグランギニョル社から派遣されたデビルバスターである【天野天葉】がCHARM【フラガラッハ】を構えて接近する。流石に今日会ったばかりで高精度の連携は難しいのでDAT隊の側で天葉が攻撃しやすい様に合わせる形であり、それに合わせられる程度の技量は彼女も持っていた。
「まったく大変な戦いに駆り出されたものだけど、呼ばれた分の仕事はしないとね!」
『ギギ、ギヤアアアアァァァァッ!?』
| 物理貫通★ | COMP機能 | 物理属性で攻撃時、耐性・無効・吸収・反射を無視。SH2出典。 |
| モノノフⅢ | COMP機能 | 物理属性のクリティカル率が30%上昇。SH2出典。 |
| 復讐の女神 | 自動効果スキル | 術者の物理/魔法攻撃力が『戦闘開始からのターン数÷4』倍になる(8ターン以降はカウントしない) NINE出典で既に8ターン以上経過しているので攻撃力は2倍となっている。 |
| 銀河列星 | 物理属性スキル | 敵全体ランダムに15回小威力の物理属性攻撃。真5改変。 【女神 アルテミス】専用スキルであり天葉の適正から効果は同じでも名称が“剣”となっている。 |
一気にエヴォルヴへと接近した天葉──【女神 アルテミス】の転生者である彼女が放ったのは物理攻撃系スキルの中でもトップクラスの攻撃回数を誇る流星群の如き15回連続攻撃。武装COMPの特性による貫通とクリティカル、及びパッシブスキルによる威力倍加が掛かったその攻撃は確かにエヴォルヴの装甲に大きなダメージを与えた。
ギミック解除要員である高島八雲とその仲魔であるビャッコ以外に唯一グランギニョル社から派遣されたのは伊達では無く、天葉は対ボス戦における瞬間火力であればかなりの実力を持った人材なのである。まあ近接攻撃故に【猛反撃】を喰らったりしたが、最後の行動するヘビクラ隊長の仲魔であるノルンの【メディアラハン*17】によってダメージは完全に癒やされたので問題はない。
「さて、私達は【
『援軍でも来たのか?』
『キイィィィィァァァァァッ!!!』
それに気付いたのは戦闘が始まってから常に後方で防御のみを行っていた八雲達であり、彼女達はエヴォルヴが嘗て【シン・魔王城】とか呼ばれていた場所、今はヒュージ達の拠点である地下シェルターの入り口となっている地点を開ける動きをしている事に気が付いて援軍を呼び寄せたのだと推測する。
その推測は正しく、そもそもエヴォルヴは戦闘が始まってから即座に援軍の要請をしていたのだが異界内部に派遣されていたヒュージ達は
そして回収した資材の運用などで若干遅れていたが戦闘開始してから2分後の今ようやく援軍の準備が整ったので、エヴォルヴはこの状況を動かす為に援軍によって味方の数を増やす事で手数を増して敵を倒そうとプランを練る……が、その計画は援軍のヒュージ達が
『我が者を封じる限り、この場に新たな者が入る事は何人たりとも能わず』
「私がわざわざグランギニョル社から派遣されてアプリを使う置き物になっているのは仲魔であるビャッコが“援軍への対策”が出来るからでもあるんですがね」
| ゲートキーパー | 自動効果スキル | 敵・味方の増援パーティは行動できない。NINE出典。 |
その原因は八雲の仲魔であるビャッコが展開している援軍封じの結界によるモノだった。元からエヴォルヴの厄介なギミックである『マガツヒスキル』と『援軍』を封じられる人員がいないかとヘビクラ隊長がグランギニョル社に尋ねた際に援軍対策ってして紹介されたのが彼女であり、その後でアプリによるマガツヒスキル封じの目処が立ったのでついでに彼女に使わせておけば良いと言う話になったのだ。
……ヘビクラ隊長も掲示板で
『キ……キイィオオオオアアアアアアァァァァァッ!!!』
| デクンダ | 補助属性スキル | 味方の能力低下効果を解除する。 |
| デカジャ | 補助属性スキル | 敵の能力上昇効果を解除する。 |
| 敵単体への物理属性攻撃。 【デュプリケータ★】の効果で3回攻撃が発動。 |
援軍が行動出来ないと分かったエヴォルヴは一瞬行動を停滞させるが、即座に敵味方のバフデバフを解除した後に再度大量の魔弾を放って敵全体を攻撃しつつ生命力を吸収して自分のダメージを癒していく。
しかしデカジャデクンダでも【神奈備ノ守】によるダメージカット結界は解除出来ないので三度の通常攻撃が成功してもDAT隊を倒し切るには至らず、ダメージ自体が少ないせいで回復量も低くなり受けたダメージを全て癒す事は叶わなかった。
「クールタイムが終わったので使いますアンヌさん。【クロックアップ*19】!」
「ありがとう八雲さん。とりあえず【天上の舞】と【勇奮の舞】を掛け直してっと」
「もう一度【神奈備ノ守】を掛け直してガルーダはデバフ。他はデバフが掛け終わったら攻撃」
「承知しました。【ランダマイザ】」
「物理が耐性止まりならデバフ攻撃は通るんだよなぁ。【鎧通し*20】」
「そこにもう一度【ランダマイザ】」
「最後に【急所射撃*21】で防御は四段階低下だ」
そうしてエヴォルヴの手番が終わった所で八雲が自身のCHARM【ダインスレイフ】のコマンダースキルによってアンヌの行動を増やし、加速させられた行動を使って彼女は手堅く味方全体の攻撃力と防御力を倍加させる。更にヤマトが何度目かの防御結界を展開しつつガルーダが全能力一段化低下デバフを使い、次にミツヒロが防御を下げる一撃の後にガネーシャが同じ全能力デバフを使って最後にケンジロウが装甲を穿つ射撃を放つ。
この一連の流れでエヴォルヴのステータスは攻撃力・命中率・回避率が二段階、防御力が四段階低下となりDAT隊側が物理・魔法の攻撃力・防御力倍加という万全の状態に戻してみせたのだ。
「数を用意すればバフデバフを撒くのも楽だな。……ここまで使って来なかった事を見るに物理反射スキルは無さそうだし、ここはDPSを上げる目的で【クイッカ*22】。トモヤちょっと前に出て殴られてこい」
「人使いが荒いっすね隊長。まあ何時もの事っすけど。【アギバリオン】!」
そこでヘビクラ隊長はトモヤを敵の物理攻撃に対して必ず反撃する【反撃状態】にする魔法を掛けて前に出した。エヴォルヴのメイン攻撃がHP吸収付きの複数回通常攻撃であれば、その攻撃回数に応じて反撃を仕掛ける【クイッカ】を前衛に掛ければ与えるダメージ技術増えるだろうという狙いだ。
ちなみに最初から使わなかったのは【クイッカ】による反撃状態は“物理攻撃に対して必ず発動してしまい”時間経過や同種の魔法の再使用では解除出来ないので“効果が戦闘中永続してしまう”『欠点』があり、物理軽減装備優先で物理無効装備を誰も付けていない現状だと物理反射に対して反撃を打ち込んで反射ダメージでハメ殺されるリスクがあったからである。
「まあここまでタコ殴りにされても以前の戦いで見たスキルしか使って来ない以上はこれ以上の手札は無さそうだな。それじゃあ【マハジオダイン*23】連打からの【
「一応【マハジオダイン】嵌め対策に電撃無効装備は可能な限り付けてるけど、装備出来ないヤマトとか仲魔みたいに無効相性がない相手に優先でね」
「俺も電撃耐性とマスク系スキルはありますが確率はゼロじゃないですし、与えるダメージも増やせるならそちらの方が良いですか」
「アクセは万能と単体攻撃対策にHP増強優先っすからね」
「だがパターンは見えたな。このまま押し切れるか」
「ダメージ半減と耐久特化って自動回復のせいでまだまだ時間が掛かりそうだがな」
そう話つつ先程と同じ様に可能な限り火力が出るスキルを使ってエヴォルヴのHPを削るルーチンワークを繰り返すDAT隊+α……エヴォルヴは確かに強力なヒュージではあるのだが転輪鼓を取り込んで運用する機能と種族任意変更能力に大部分のリソースを使っているので、進化前と違って戦闘中に自己進化を行って新たなスキルや耐性を獲得する事は出来なくなってしまっている。
更にステータスも残りのリソースでボス悪魔並みのHPと異常な耐久性の獲得と常時3回行動出来るスペックを優先したせいで速度は非常に遅く、攻撃面でもギガプレロマ込みでようやくレベル90ボスの攻撃クラスの火力が出る程度で、スキル面も以前の戦闘で見せたスキルが使えるスキルの全てとなっていてので対応力も高くなく眼光系やアクセラレート系の行動回数増加スキルも取得出来なかった。
……まあそれでもテトラカーンを抜く物理貫通と万能魔法、後は状態異常を与える電撃魔法とバフデバフの解除が有れば大抵の敵と戦える上、対応力であれば任意のマガツヒスキルが使えれば十分であり数で押されても援軍を呼んで対応すれば良かったのだが、逆に言えば援軍とマガツヒスキルを封じればワンパターンな行動しか出来ない硬いボスでしかないので準備を整えれば対処出来てしまうのだ。
『キイィオオオオアアアアアアアアアァァァァァァァァッ!!!』
| 朧一閃 | 物理属性スキル | 敵単体に特大威力の物理属性攻撃。 命中率が低い代わりに必ずクリティカルになる。真5出典。 |
| 朧一閃 | 物理属性スキル | 敵単体に特大威力の物理属性攻撃。 命中率が低い代わりに必ずクリティカルになる。真5出典。 |
| 朧一閃 | 物理属性スキル | 敵単体に特大威力の物理属性攻撃。 命中率が低い代わりに必ずクリティカルになる。真5出典。 |
だが、それでもエヴォルヴは自身が追い込まれている事を正確に理解しながらもマシン悪魔故にか状況を打開できる可能性がある行動として、巨大な触手の形状を大剣の様に変形させながら勢いよくしならせての単体最大威力の確定クリティカル斬撃の3連打をヤマトへと見舞ったのだ。
ヤマトを倒せば常に展開されているダメージカット結界を貼れなくなりダメージレースでの勝機が見え、更にサマナー故に倒せれば呼び出された仲魔三体も消えるので状況が有利になる。バフデバフダメージカットが掛かっていても特大威力の確定クリティカル物理を三度も喰らわせれば落とせる公算はあると踏んでの行動である。
「狙いは俺か! 二発までは喰らったが三度目はギリギリ回避!」
『獣眼龍眼で命中率を上げていても元々命中率が低い【朧一閃】であれば二段階の命中デバフ含めて命中率は7割弱。体感で二回に一回は外れる計算だからな』
だが、デバフによって動きが鈍っていた事もあってヤマトは二発までは受けて耐えつつ最後の一撃は気合いで回避する事で生存した。他のメンバーと違って装備品を付けられない故にダメージカット量が少ないので、当たり所と乱数次第では【朧一閃】を三度食らえば倒される可能性もあると判断しての必至の回避である。
「流石に超高威力クリティカル三度だと死ぬ可能性もあるか……【
「じゃあ耐える手段が尽きたら【雄叫び*28】【牙折り*29】【アームショット*30】の攻撃デバフメインで。最低まで下げれば耐えられるだろ」
「バフが全部掛けられてない時もね。私も物理と魔法は一手だと片方しか上げられないし」
「まあスキル使えば通常攻撃によるHP吸収が無くなるのでむしろデレ行動っすね」
「ダメージカットしてても全体攻撃と組み合わせられればHPをかなり回復させられるからな」
まあ既に【朧一閃】は見ていたので単体超威力による連続攻撃で一人落とされる可能性も考慮済みであり、だからこそギミック対処要員である八雲とビャッコには常時【防御】をさせてクリティカルを発生させなくしていたりもするのだが。
それ以外ではヤマトが落とされるのが多少は面倒だがそれでも建て直しと対応が出来る術は用意しており、それ以外の面子なら最悪落とされてもアイテムや魔法で蘇生させるだけで十分対処出来る様に立ち回ってもいる。
「なんかこれ以上の手札は無さそうだからこのまま削っていくぞ。油断できる相手じゃないから集中力は切らさない様に」
「「「「「了解」」」」」」
『キイィオオオオアアアアアアァァァァァッ!!!』
そうして未だに諦める事も戦意を衰えさせる事もなく与えられた『拠点の防衛』と言う役目を忠実にこなそうと雄叫びを上げながら戦闘を続行しようとするエヴォルヴに対し、DAT隊側は何処までも冷静に敵と倒す為の道筋を見据えながら澱みなく単純作業とも言える戦闘を続けるのであった。
……嘗ての世界では地球上の“資材”を捕食し尽くして無尽蔵に増殖、相互のデータリンクで環境に適応する様に進化して相当な脅威となる“災害”であった異常進化型ヒュージ群ではあるが、この世界にいるのは滅びた世界からの生き残りでしかない故に数が少なく運用できるリソースや戦略が限られているので最早単なる“害獣”でしか無かったのだ。
──────◇◇◇──────
「ッ! エヴォルヴの装甲が割れた中になんかグルグル回っているモノが!」
「アレは転輪鼓だな! 多分アレがアイツの中枢部だと思われます!」
「全員あの回っているヤツに集中攻撃! あからさまな弱点が出たからいい加減に終わらせるぞ!」
『キ……キイイイイイイィィィィ……!』
戦闘開始から
ちなみにここまで時間が掛かったのは敵を倒せないと判断したエヴォルヴが3回行動の内2回HP吸収の全体攻撃としつつ最後に【防御】すると言う完全な害悪遅延戦術による息切れ狙いにシフトしたからであり、既に持ち込んだMP回復アイテムも尽きかけていたのでDAT隊は勝機であるコアの破壊を狙って一斉攻撃を仕掛けていたのだ。
「これでこじ開ける!【銀河烈星剣】!」
「見えた!【ワンショットキル】!」
『ギギャアアアアァァァァァ……!?』
天葉の連続斬撃を始めとするバフデバフガン積みの攻撃の嵐が転輪鼓が見えた周辺の装甲を無理矢理剥ぎ取り、トドメにケンジロウが放った超威力の魔弾が転輪鼓にピンポイントで直撃して
尚、本来なら理論上HPが1割以下でなければコアである転輪鼓にダメージを与えられない仕様のエヴォルヴだったが、流石にごく短時間に破壊とマガツヒスキルによる完全な回復ではない再生を繰り返し続けたせいで装甲が歪に再生して耐久性が脆くなっていたので若干早めにコアを破壊出来る様になったと言う事情もあるが流石にそこまでは戦っていたDAT隊にも分からなかった。
「やったか!……とりあえずレッドチェックで万能魔法を撃ち込もう。以前のヤツも食いしばりから復活して自己進化したりしたし」
「チェンジ【コウリュウ】。あの残骸に【メギドラオン】を3発ぐらい撃ち込んで様子見してくれ。それで動かないなら念には念を入れて転輪鼓を跡形もなく破壊するから」
「念の入った事だな」
呼び出されたコウリュウはそう言うが文句を言う訳でもなく素直にエヴォルヴの残骸へとメギドラオンを撃ち込んだ。以前に食いしばりから自己進化したケースもある事を知ってるDAT隊は油断なくそれを見ていたが、残骸や生体パーツの青い粘液の大部分が万能魔法で粉々になった事を見て恐らく倒した可能性が高いと判断する。
無論、まだ確実ではないので残っていた転輪鼓の残骸をそれとマガツヒなどの扱いに一番慣れたヤマトとアオビトが処理しつつ、引き続きDAT隊の他メンバーは警戒を続行すると言う念の入り様で対応していたが。
「転輪鼓自体は壊れてるって言うかあのヒュージと融合でもしてたのか倒されると連動して崩壊した感じか。とりあえず再生不可能なまでに破壊するとして……なんかマガツヒ結晶と御厳も出てきたぞ」
『この転輪鼓を触媒にマガツヒを引き出していたからか? とにかく悪用されん様に御厳結晶は回収、マガツヒ結晶の方も周辺環境に被害が出ない様に出来るだけ回収しておくか』
「転輪鼓がどういう仕組みなのかはよく分からん(龍穴と同じくワープ出来るぐらいしか知らない)けど、マガツヒや御厳と同じ様に放置しておいたら厄介事の火種になるのは分かりきってるからな」
そう言いつつ謎ビームサーベルで転輪鼓を細かく砕きつつ出てきたマガツヒや御厳を吸収していく危険物処理班なヤマトとアオビトだったが、キチンと仲魔の内でエヴォルヴとの戦闘に使わなかった面子を出して警戒はしている辺り油断はしてない。
そうしてヤマトが完全に転輪鼓を破壊してもエヴォルヴが再起動する事は無かったのでようやく戦闘は終わったと判断した彼等だったが、流石のDAT隊と言えども集中力を削るボス戦を長時間行っていた事もあって多くは【疲労状態】になっており、特にレベル90超えかつちょうきのボス戦闘は初めてな天葉は気が抜けた瞬間に膝をついてしまっていた。
「大丈夫天葉、捕まって」
「すみません八雲さん、なんか思った以上に疲労が……」
「まあアレだけの長期戦を、しかもボス相手にアタッカーとしての役割をこなしながら行ったのなら無理は無いわね。私は終始【防御】していただけだったから大丈夫だけれど、DAT隊の皆さんの方は?」
「こちらも流石にアレだけの長期戦を得てコンディションは悪いな。体力オバケのヤマトを除いて」
ちなみにヤマトが疲労してない理由は神造魔人由来のマガツヒによるほぼ無尽蔵活動、及びナホビノによる体内マガツヒの制御による状態異常回復を応用して戦闘終了と同時にマガツヒを多く吸収した事もあって直ぐにコンディションを整えて疲労から脱していたからである。
……とは言え、例えエヴォルヴを倒したとしても此処は未だに異界の中、しかもヒュージ達が拠点としている地下シェルターの入り口に近い場所なので……。
『不味いぞサマナー。戦闘が終わった事で【ゲートキーパー】による結界が解ける』
「それはつまり結界の外で足止めしていたヒュージ達が……」
『『『『『『キイイイアアアアアアアアアアァァァァァッ!!!』』』』』』
「……一斉にこっちに押し寄せて来るって訳だな」
戦闘中は【ゲートキーパー】の結界によって排除していたヒュージの群れが一斉に押し掛けてくるのだ。しかも長期戦になっている間にも命令通りにエヴォルヴの援軍に就こうとしたヒュージ達が結界の外に集結させ続けていた事もあって、その数はかなりのモノとなってしまっていた。
まあ、戦闘が終わればそうなる事はヘビクラ隊長も予想していたので体力に余裕があるヤマトとその仲魔、及び戦闘で出していなかった自分の仲魔と八雲を中心に応戦しつつ隙を見て逃走系アイテムで撤退すれば良いかと考えて……。
「ヒャッハー! 追加のガチャチケットだぁ!(大丈夫かDAT隊、助けに来たぞ!)」
「ちょっとヘビクラ隊長! これ宝石のドロップ率1%切ってるんじゃないの? しかも破損しての多いからこのままじゃ使えないし!」
「大体使えない残骸か変な粘液しか残らないんですけど! アイテムのドロップ率自体も渋いソシャゲガチャの確率ぐらいだし!」
「確かにドロップアイテムも落ちるけどランダム性が強すぎて狙ったアイテムが出ないんですが!」
「大丈夫ですか天葉姉さま!?」
「こうなったら連中の根城に乗り込んで直接アイテムを奪い取るしかねぇ!」
「「「それだ!!!」」」
その前に異界内部でヒュージ
……もう既に異界内部でヒュージと散々戦ったデビルバスター達はヒュージとの戦闘に慣れてしまっており次々と撃破していき、その度に『ドロップアイテムが渋い』とか『宝石引いたぜラッキー!』『殺してでも奪いとる!』とか『地下拠点っぽいのがあるからアイテム落ちてるかも』などと言いながらヒュージの群れを蹴散らしていった。
「……よし、人類の絆の勝利だな。これで世界を襲う脅威がまた一つ去った」
「どう見ても物欲の勝利とかじゃないの?」
「普通に倒せたし脅威と言える程でもなかったのでは?」
とりあえず防衛チームの隊長っぽくキメ顔でそれっぽい事を言うヘビクラ隊長にツッコミが入るが、彼としても『これなら後は人類悪達に任せればヒュージは普通に駆逐出来るな。厄介事の種になりそうな転輪鼓やマガツヒや御厳は既にヤマトが処理済みだし』とまで考えて事態が大凡解決したからこそのネタ台詞だったのだが。
……こうしてDAT隊とグランギニョル社が遭遇した過去周回の一つを滅ぼす原因になった暴走ヒュージに纏わる事件は、まあ今の世界では割とよくあるちょっとした事件の一つと言う形で幕を下ろしたのであったとさ。
あとがき・各種設定解説
天野天葉:ボス戦後に限界突破した
・元ネタは『アサルトリリィ』より百合ヶ丘女学院最強のレギオンアールヴヘイム(2代目)の隊長でもあるリリィ【天野天葉】であり、月神である【女神 アルテミス】の転生者である由来は原作での彼女の二つ名が『青き月の御使い』と言われてる事から。
・この世界では聖華学園の卒業生であり在学時代にインターンシップで縁があったグランギニョル社にCHRAM運用の適正があるとしてスカウトされ、今の社会情勢から企業に所属しておいた方が良いと考えてパートタイマー的な感じで就職した。
・本人としては覚醒者になったから聖華学園に入学する事になり、才能もあったので普通に強くなったのだが実際には実家が花屋で作庭家の父やフラワーデザイナーの母の影響もあってそちらの道に進みたいと思っている。
・ただし聖華学園で出会えた友人達の事もあってデビルバスターとしての役割もそこまで嫌いではなく、今はとりあえず世界が平和になるまではデビバスとして活動しつつ将来自分で植物に関わる店などをやってみようかと考えながら稼いだ資金を貯金中。
・今回の戦いでは最初から最後まで物理貫通付きCHARMを使って【銀河烈星剣】を使ってのアタッカーに終始しており、デビルバスターとしての才覚に関しては一級品な事もあって長い戦いで最後まで己の役割を全うしてみせたが、レベル90越えのボスを倒せた事には実はかなり驚いていたりする。
ヒュージ:特に何かがある訳でもなく普通に倒された
・この後はなんかイナゴと化した人類悪達にドロップガチャ扱いのヒュージ達は殲滅され、地下シェルターの方も金目の物を一通り奪取された後に魔王城と一緒に異界の修祓と言う形で可能な限り周辺に影響が出されない様に処分された。
・ちなみにアイテムのドロップ率はソシャゲのガチャみたいに基本3%、尚且つ多数のアイテムの中からランダムに出る仕様なので個々のアイテムドロップ率はお察しであり、宝石などの魔王城産出の一部アイテムはピックアップガチャ的に高確率ドロップだがドロップ率各0.3%以下とかが実際確率。
・本編でも述べたが資材を捕食して増殖・進化するので地下シェルターにいたヒュージ達は過去周回から逃げて来た敗残者の一部でしかなく、更に早期に発見されて魔王城に集まっていたデビルバスター達にボコられてあっさりと始末される程度の害獣的な脅威にしかならなかった。
・尚、実はブラックフィエンドの一員と言う名目で話を聞きつけた『元グランギニョル社所属・武装COMPやヒュージなどの生態マシン悪魔研究担当』のエデンの研究チームもこっそり調査を兼ねて様子を見に来ていた。
・だが、地下シェルターのヒュージも彼等にとっては『以前の世界で回収したデータ以上の性能はなく研究材料としては大した価値はなく危険度も低い』と判断される程度のモノでしかなかったので、一応残骸をこっそり持ち帰る程度の行動しか起こさなかった模様。
読了ありがとうございました。
敵の情報とそれによる対策さえあればレベル90超のボスだって一般のデビルバスターでも倒せるんだ!……なら事前情報が当てにならない初見殺しでクソギミックのボス出しますねってのがこの世界の最前線であり、それに対応出来るのが超一流のデビルバスターみたいな風潮。