真・女神転生オタクくんサマナー外伝 ~ナホトラマン奮闘記~ 作:貴司崎
『……じゃあ叶星ちゃん、一葉ちゃん、梨璃ちゃん、今から“バトルクロス”『ブリッツアングリフ』のテストを行うけど準備は大丈夫かしら?』
「はい、私の準備は問題ありません。一葉と梨璃さんは?」
「以前に使っていた“ソルギナックシステム”とはまた違った着心地ですが問題ありません」
「だ、大丈夫です! 確か音速の拳が打てる様になるんですよね!」
此処は【グランギニョル社日本支部】の地下にある各種装備試験用の空間、主に外部に秘匿しておきたい新開発したアイテムや装備を使っての実戦以外の動作テストや模擬戦を行う場所であり頑丈な壁に強固な結界が貼られているので室内で多少のトラブルがあっても外には漏れない仕様になっている。
そんな場所で聖華学園生徒の【今叶星】【相沢一葉】【一柳梨璃】の3名はスピーカーから聞こえてくるグランギニョル社の技術者【真島百由】の確認に対して、今着ている機械的な部品が作られた暗色系のコート型装備を調子を確かめていた。
『それは別の
「私達ヘルヴォルが付けていたソルギナックの改良版って事ですか?」
『正確にいえばヘルヴォルが持って来たソルギナックシステムを参考に開発したマイナーチェンジ版って所かしらね。CHARMだけでは今はまだ運用不可能な機能を使える拡張メモリ、兼それらの機能の使用によって掛かるCHARMユーザー及びCHARMへの負荷を減らして安定駆動出来るようにする防護服ってのをコンセプトにしてるの』
そう、今日彼女達が此処に来ているのは武装COMP『CHARM』のテスターとして新装備『バトルクロス』の実験の為であり、実は他の第三生徒会・ヘルヴォル・グラン・エプレのメンバーも此処に来ており現在実験場の外にある観測室で百由と共に実験の様子を見ていたり別の実験室で新装備のテストをしていたりする。
これまでで最もグランギニョル社製のCHARMを使っているのは彼女達であり、十分な運用データが揃っている彼女達で新装備を試験して得られたデータから本格的な量産に努める為の仕事を彼女達には定期的に任されているのだ……と言うのも理由としては間違ってないのだが、それを建前に娘とその友人へ最上の装備を送っておく目的もあったりもする。
『ソルギナックの方は足りない技術で強力な機能を無理矢理使わせる苦肉の策みたいな感じの装備だったけど、そこから得られたデータを使って出来る限り装着者に優しく負担を少なくする方向性で作ったからね。万が一に備えて医療班も待機しているけど生命に支障が出るレベルまで負担が掛かるような事はない筈よ。今日は試験運用でそこまで使わせる予定でも無いし』
「いえ、そちらを心配している訳では……ですが、あの装備のデータがそういう方向性で役に立ったなら良かったです」
ヘルヴォル技術的に持ち込んだ『ソルギナックシステム』は前の世界で技術的に圧倒的な優位を取られていたガイア再生機構に対抗する為に装着者への負荷と引き換えに性能を追求した装備であり、それ故に保護した子供を守る為に大人達が積極的に使って肉体がボロボロになっていった過去がある。
それを知っている一葉としては多少思う所はあるが、それでも嘗ての仲間達のデータが新たな装備の安全性に寄与した事は良い事だとも思っていたのだ。
『それで肝心の【ブリッツアングリフ】の機能だけど、まずバトルクロスにはデモニカ系由来のコマンダースキルやサブアプリ*1をセット出来る仕様よ。そしてCHARMの方には武装COMP由来のコマンダースキル*2だけをセットする形にした代わりにプログラムを効率化してセット出来るスキルの数を増やしたわ。……デモニカ由来のコマンダースキルを武装COMP式に手番無しで使える様にしたら機体への負荷が大きくなる事が分かったからね。だからデモニカ系統の方は元の手番使う仕様に戻してデモニカ系技術が使われてるバトルクロスの方で運用にする仕様にしたの』
デモニカスーツで使われてるコマンダースキルを武装COMP仕様にする実験は以前よりグランギニョル社で行われて来たのだが、手番無しで即時発動出来る様にしたのは良いもののクールタイムが大きく上昇したりCHARMや使用者への負荷が重くなって長時間の使用に支障が出ると言う結果になっていた。
故に低レベル者がどうにか高レベルの存在に対抗できる様にするある種の改造デモニカスーツであった『ソルギナックシステム』を技術を応用して、デモニカと武装COMP両方をそれぞれ独立させながら組みあわせて運用する『バトルクロス』の技術を作り各種スキルや機能を相性の良い装備の側で使わせる事で機能を増やしながら負荷の軽減に成功したのだ。
『バトルクロス側のサブアプリとコマンダースキルは最新のCPUを使って種類問わずに最大6つまでセット可能になってるよ*3。CHARMの方も対応するコマンダースキルを3つぐらい入れられる様に強化したわね』
「なんか一気に使えるスキルが増えたんですね」
『最近のコンピューター関係の技術革新は著しいからねー。今後もどんどん組み込める機能の数は増えていくんじゃないかしら*4。後は良い“参考資料”を手に入れたのもあるわねー』
ちなみに参考資料とは以前の推定ガイア再生機構っぽい不審者が持っていた可変式武装COMPの事である。技術的にはコストさえ掛ければ作れるレベルの物ではあったが、それでも機能の洗練さや量産性など参考になる部分もそれなりにあったのだ。
そこから研究開発を進めていった事でCHARMの運用データが揃っている者に限れば、これだけの性能を確保出来るバトルクロスの生産と相応にコストは掛かるもののある程度の量産が可能になったのである。
『まあこれだけだとデモニカと武装COMPを普通に使ってるだけと変わらないとか言われてるけど、バトルクロスは武装COMPとリンクさせた事で通常のデモニカでは使えないスキルを使えるサブアプリもセット出来る様にもなってるわね。今現在では【フォーマット*5】【リフレッシュ*6】【攻撃モジュール*7】【防御モジュール*8】【命中・回避モジュール*9】【アクセラレート*10】が実装されていて戦闘中にスキルとして使用出来るわ。今後も研究を進めて色々と使える様にはしたいけど』
「うわー、本当に一気に使えるスキルが増えたんですね」
「CHARMの機能と合わせて自分に相性の良いスキルの組み合わせとか考える必要も出て来るかもね」
「【アクセラレート】が使える様になるのは非常に心強いんですが……アレは使用者への負荷負担が酷かった筈ですが」
実の所、今回新規に使用できる様にしたスキルの大元はソルギナックシステムに組み込まれていた機構を複製・再現したモノであり、それを持ち込んだ一葉にとっては聞き覚えのある機能であったのだ。
『その辺りは改善されてる……って言うか、バトルクロスの装備者への負担軽減機能の主な使用目的は【アクセラレート】の使用に於いての所有者への負荷を減らす事だからね。揃った運用データとバトルクロスの開発でようやく装備と使用者の負担が実用レベルまで減ったって言うか。それでも負担がかかるから長時間の仕様は難しいし、一度使用すれば数日は間をおいた方が良いと試算が出るレベルだけどね。まあこれからの試験で色々と問題点が明らかになるとは思うから、可能な限り使用者への負担が掛からない様に改良は続けていくつもりよ』
「いえ、グランギニョル社の皆さんが私達に色々と気を使っている事は知ってますから、その辺りの事は信用していますから大丈夫です」
勿論、ソルギナックシステム使用者の肉体負荷の主原因は【アクセラレート】の乱用であったのは、この世界に漂着したばかりのヘルヴォルのメンバーの治療にあたったグランギニョル社としても当然理解しているのでその対策は念入りに行われていた。
……それでも本来なら高位のボス悪魔クラス以上の存在にしか使えない1ターンの間の複数回行動を人間でも行える様にする【アクセラレート】は非常に強力故に負担がゼロにはならずリスクも消えないが、今後も続きうる厳しい戦闘に彼女達が巻き込まれた時の“切り札”としては有用性が高過ぎるので採用に踏み切ったと言う訳である。
『ちなみにデモニカ技術を応用して作ってるバトルクロスだけどあっちみたいにデモニカ自体がレベルを持ったりしないし、あの素敵なバケツヘルムでも無いから極限環境下での生存能力などはオミットされているわ。防御相性も『銃・破魔無効』になってる*11から、あくまでも上半身につける鎧や衣服系装備って事ね』
「その分他の装備やアクセサリーも付けられるならメリットでしょうね。高レベルの異能者が使うならデモニカ独自のレベルはあまり必要でも無いですし」
「防御相性も銃無効が付いてるのは良いわね。CHARMの銃撃を反射された時の対策にもなるし」
「でも上半身とか鎧の装備枠は潰れるから防具の組み合わせは考え直さないとですね」
『デモニカのインナー装備*12の技術を使ってバトルクロス自体の耐性を個人に合わせて変更する技術も現在開発中だからね。まあそこは今後の研究次第で』
尚、グランギニョル社は既に『防具の性能を維持したまま外見をある程度変更する技術』も確立しており、バトルクロスの耐性変更もその応用で開発中に加えてCHARMユーザーの
まあ、今回の“ブリッツアングリフ”に関しては機能と実用性重視だがデザインもそれなりに見栄え良く思想な百由がデザインしたのでそつなく纏っており、そんな彼女がそもそもデザインは使用者に幾つか候補を上げて選ばせれば良いじゃんと言って争いを終わらせたりもしていると言う裏設定があったりする。
『じゃあ確認はこんな所にして早速実験を始めましょう。3人のバトルクロスには共通して【アクセラレート】のアプリをセットしている他、梨璃さんのバトルクロスには【防御モジュール】【リフレッシュ】【百太郎*13】【MPリカバーSⅡ*14】【ブレイブハート*15】【ゴッドハンド*16】をセット。一葉さんのには【命中・回避モジュール】【サプライザー*17】【ギボアイズ*18】【HPリカバーSⅡ*19】【突撃指令*20】【速攻戦型*21】、叶星さんのには【攻撃モジュール】【フォーマット】【ハニー・ビー*22】【スキャニングゼロ*23】【バイトザバレット*24】【トリガーハッピー*25】がセットされてるわ』
百由に言われて3人はそれぞれのバトルクロスに備わった機能を確認していく。事前に説明は受けていたのだが使用者への負担があるかもしれない装備の実験を言われていた事とそもそも真面目な性格の3人だったのでしっかり念を入れて確認作業を行なっていた。
『一番危険な【アクセラレート】の試験は最後にやるとして、まずは普通に使える各種能力強化モジュールの実験をやりましょうか。とりあえず3人とも初同してみてー。出来れば使用感とかもお願い』
「分かりました。【攻撃モジュール】!」
「ええっと、こうすれば良いのね。【命中・回避モジュール】!」
「あわわ、こ、こうですか?【防御モジュール】!」
そうして新装備【バトルクロス】の本格的な試験が始まり、室内に備えられた高精度のアナライズ機能付き観測機器を介して各種バフ系スキルが正常に作動している事を確認しつつ使用者である3人にもスキルの使用感を聞いていく百由。
「ステータス上昇系のモジュールスキルはソルギナックシステムの頃と使い心地が変わりませんね。ただそれと同じ仕様であれば戦闘中の時間経過では無く行動回数で維持出来るか決まる仕様の筈ですが。【アクセラレート】などで行動加速すると早く効果が切れたと記憶しています」
『
「連続で使ってみたけど重ね掛けしてもバフの強度は上がらないタイプね*29。効果時間は上書きされてるみたいだから一段階強化が限度のバフを重ね掛けした時と同じ挙動なのかしら? ただ維持時間の定義が違う系統のバフを重ね掛けした時の挙動とかも確かめておくべきかしら」
「確かバフの仕様では後から掛けたタイプのバフ効果が優先で強化度合いが上がったりターン数が上書きされたりするんですよね。私もカジャ系魔法は使えるので色々と検証してみましょう」
聖華学園でも優等生であり講師達の授業にも真面目に出席している
そうして彼女達はバフの効果を確かめたり、掛かったバフの効果を【フォーマット】で解除するなどしてスキルが正常に動作するかを確かめたり、スキル使用で減らしたHPやMPを自動回復系サブアプリで回復出来るかを確かめたり、リンクさせているCHARMが通常通り使えるかどうかなど合間に細かい検証作業を重ねつつ一通りの機能を確認した所で、本日最後の実験としてバトルクロスの目玉機能とも言える【アクセラレート】の試験へと移っていった。
『とりあえず各種サブアプリは正常に機能しているし、それによる使用者への負担も特に無いあたり負担軽減機能も動作してると。……それじゃあ最後の試験として【アクセラレート】の実験に移りましょうか。とりあえず起動してみてくれる? 一度非戦闘状態での負担をバイタルチェックで把握したいから』
「分かりました。【アクセラレート】!」
その百由の指示に対して前身機であるソルギナックシステムを使っていた一葉が真っ先に反応したバトルクロスの加速装置を起動、そこから僅かに遅れて梨璃と叶星も【アクセラレート】を使用して直ぐに観測室ではそれによる装着者のバイタル変化を計測し始める。
『うーん、起動しただけなら特にバイタルに変調は見られないわね。データが集まってる使用者が使えば十分に負荷軽減へ機能をしていると』
「ソルギナックシステムと比べると負担が大きく減っている印象ですね。アレで【アクセラレート】を使った時には戦わずとも肉体に軋む様な負担が掛かっていましたから」
『とりあえず起動段階では問題無いって感じね。バイタルデータ上でも支障は見えないから……次は軽く模擬戦でもして貰おうかしら。模擬戦用のターゲットはこっちで用意するわ』
そう言うと百由はコンソールを操作して実験室内にあるゲートを開き、事前に準備していた“模擬戦用のターゲット”──球場の胴体部に三本の足を備えた、嘗て一葉や叶星が戦った『ヒュージ』と呼ばれるマシン悪魔に酷似した機械兵器を実験室内に投入した。
「ッ⁉︎ ヒュージ!」
「どうして此処に……!」
『あ、この子は【複製試作型ルンペルシュティルツヒェン君】って言う私が開発したマシン悪魔でね。欧州の方から送られて来た生体パーツ使ってないマシン悪魔ヒュージのデータを元に開発したのよ。非人道的な生体パーツとかは一切使ってない完全機械式のヤツだから暴走とかはしないわよ』
\カカカッ/
| マシン | 複製試作型メカルンペルシュティルツヒェン君 | LV45 |
その正体はフランスの影異界から出土した機械式マシン悪魔型ヒュージのデータを元に試験的に複製生産した人造マシン悪魔【メカルンペル以下略】であったと聞いて警戒を解く彼女達だったが、特にヒュージを人類絶滅まで戦って来た世界の出身である叶星はまだ微妙な顔をしていた。
「まあ同じ悪魔が仲魔だったり敵だったりするのは珍しく無いって事は分かってるけど、流石にその見た目だと私達は少し気にしちゃうわね」
「少し前に事件を起こしたからあんまり良い印象は抱かれない外見ですよね」
『そーなのよねー。せっかく前の世界の私が作ったって言われて欧州の要望で研究の合間にチマチマ開発を続けてようやく完成したって言うのに、先日の事件云々で『ヒュージ関係技術は一時開発凍結。後外見の評判が悪いので会社のイメージ的な問題で売り出すなら変更で』って言われちゃってさー。結構作るの大変だったのに表に出せないとかー』
尚、ヒュージ系マシン悪魔開発の凍結に関しては先日の事件によるイメージ的なモノ以外にも、影異界から出て来た過去周回からの異物にはガイア再生機構による情報操作が混じっている可能性が出て来たので審議がはっきりするまでは危険と思われる技術の研究開発を凍結する必要があると判断した社長の指示もあったりする。
まあ、それはそれとして結構手間暇掛けて再現したメカルンペル以下略君がお蔵入りになった事はそこそこショックだった百由は、せめて社内の模擬戦ぐらいにしか使えなくなったなら精々派手に暴れさせてやろうとメカルンペル以下略の戦闘モードを遠隔操作で起動していく。
『お陰でこうして模擬戦の相手ぐらいしかさせて貰えなくてさー。……そう言う訳でせめて最後の役目として派手に暴れさせるから、精々派手にぶっ倒して良いわよ。どうせ廃棄が決定されてるんだしね。それじゃあ戦闘モード起動! 模擬戦開始!』
『ぴゅっげー!!!』【デスバウンド*30】
「わぁっ!?」
そんな半ばヤケクソになった様な声と同時にメカルンペル以下略が奇声を上げながら動き出し、その鋭い鉤爪を有する脚部を振り回す事で起こした衝撃波によって3人を攻撃する。
いきなりの先制攻撃を喰らった驚いた梨璃は声を上げるがこれでもそれなりの経験を積んでいる事もあって咄嗟にCHARMで攻撃を防ぎ、同じく他の2人も梨璃よりは危なげなく攻撃を捌いて即座に戦闘準備に入る。
「とにかくバトルクロスの試験です! 行動が加速するので注意して下さい!【ジャッジメント*31】【刹那五月雨撃ち*32】!」
「本当に二回動けるんだ……こうかな?【マハタルカジャ*33】【メギドラ*34】!」
「成る程、そうやるのね。【タルカジャ*35】【破邪の光弾*36】!」
まずは【アクセラレート】による加速状態に慣れた一葉が二人の見本になる様、シューティングモードに変形させたブルトガングから味方の攻撃力を増す穏健を付与した万能属性の魔弾と高速連射銃撃を連続で放ってメカルンペル以下略を攻撃。
それを見た梨璃も補助魔法によって攻撃力を二段階上昇させた後に万能魔法を撃ち込み、更に続けて叶星も三段階まで攻撃力を上昇させてからの破邪の力を込めた大威力の銃撃をCHARMより放った。
『ぴゅっげー!?』【DEAD】
「あ、倒しちゃった」
「随分とあっさり倒せましたね」
「実は第二形態とかあるんじゃないかしら」
『いやレベルが10近く上の相手がバフガン積みしてから一斉攻撃すれば普通に倒されるわよ。まあ模擬戦用にHPがレッドゾーンになったらDEAD判定になる様プログラムしてたのもあるけどね』
そんなバフガン積みの連続攻撃を受けたメカルンペル以下略君は奇声を上げながら地面に倒れ伏し、そのまま煙を上げながらあっさり機能を停止してしまったので3人は少し困惑するが、まあメカルンペル以下略君は複製試作品でスペックもそこまで高くなかったのでインフレ環境で腕を磨いていた彼女達と戦えばこうなるのも仕方ないのだ。
まあ、流石に1ターンの間だけ連続行動だけでは【アクセラレート】のデータは余り取れなかったので、以降はホログラム製の的に連続行動しながらスキルを撃つなどして数ターン間だけ加速状態で行動させた後に実験は終了した。
『そこまで!……バトルクロスの戦闘終了時における加速機能停止は正常に稼働。装備者の各種バイタルも機器によるアナライズの範囲内では異常無しと。バトルクロスの方は流石に負荷が掛かってるけど【アクセラレート】の機能停止によるクールダウンモードも正常に稼働してて、それ以外の機能使用は問題無しと。……まあ実験運用としては成功かしらね、欲を言えば本格的な戦闘時のデータも欲しいけど。とりあえずみんなは一旦こっちに戻って来て、医療チームによる本格的なメディカルチェックとバトルクロスの詳細解析を行うから』
「「「分かりました」」」
その直後、百由は各種解析機器を使って3人のバイタルチェックを行なって異常は無いと確認した後、直ぐに3人を準備してあった医療班に預けつつ自身はバトルクロスの解析に入る。
この新装備の主目的は『使用者の安全を確保しながら戦力を大きく向上させる事』である故、最も重要なのは機能を発揮しつつも使用者の肉体に悪影響が出ていないかどうかであるからだ。
「さーて、ここからは楽しいデータ分析と調整と改造と量産性確保その他諸々のブラック労働の時間ね!……まあクッソ大変になりそうではあるんだけど趣味とロマンが活かせる仕事だから楽しいし、何より技術発展で力を得る為に非人道的な行為に頼る無能連中には負けてられないからね。そもそもそんな手段に頼らなければ結果を出せない時点でその分野の才能は無いって事を証明してあげるわ。大元の“ソルギナックシステム”をあの仕様で作らなければならなかった“別世界の私達”の分までね」
ちょっと約束されたブラック労働にヤケになりながらも技術者として新装備開発にはやる気を出している百由。彼女を含めてグランギニョル社の技術者達は趣味とロマンに走る事こそあれど総じて真っ当な人格の持ち主であり、故に戦場にでる者達が安心して使える装備やアイテムの開発を心掛けている。
そして彼等は今回の【バトルクロス】の元となった【ソルギナックシステム】の設計から別世界の自分達グランギニョル社が作った物であると解析してもいた……ガイア再生機構に対抗する為、そして何より生き残らせる為にレベルとステータスが劣る戦闘員を無理にでも強化する必要があったからやむを得ず使用者の肉体に負荷を掛けながらも強力な機能を搭載した物であり、そんな中でも出来る限りの安全対策を限られた時間と資材で必死になって施していた事まで含めて。
「幸いこの世界のグランギニョル社は衰退してるけどまだ余裕はあるから、今度こそ【バトルクロス】をキチンと完成させられるわ。……インフレも凄いから更に性能は上げないといけないけどね」
故にそんな装備を少女達に
あとがき・各種設定解説
バトルクロス:リリィ勢の新装備(予定)
・ヘルヴォルが持ち込んだ武装COMP拡張装備である【ソルギナックシステム】を使用者の安全優先で強化改良した装備であり、デモニカ・武装COMP系の機能などの使用数を増やし、それらの内使用者に負荷が掛かる機能を安全に使える負荷軽減機能を備えた装備。
・特に【アクセラレート】は強力だがグランギニョル社の技術不足と運用データが足りない現状だと武装COMP単体では使用者の負荷を消しきれないので、それを補う目的の装備として開発されていた。
・装備枠としては鎧・上半身・下半身辺りの装備で装備補正や相性はは真4の【デモニカスーツ】準拠(HP上昇と銃無効)だが、デモニカの様に独立したレベルもないし極限環境への適応機能などもオミットされてる通常の装備と同じ判定だがそれ故に他の装備との併用も可能。
・また、試作段階の現在では運用データが揃っている第三生徒会・ヘルヴォル・グラン・エプレのメンバーしか使用出来ずコストも掛かるので、彼女達でデータを取って完成度を上げつつ他のCHARM試験者様に調整した物を少数量産する予定。
・尚、機能の殆どはCHARMに使われている高性能CPU【マギクリスタルコア】を改造した機械的なパーツに集約されてるので、それ以外の衣装部分のデザインはある程度の変更は可能なのでデザインコンペとかが無駄に白熱していた。
・今は本人もCHARM試験運用者を務めている百由の提案もあって、グランギニョル社で美少女に可愛い服を着せたい派閥な技術者達が考えた大量のデザイン案をファッション雑誌の如く大量に載せた分厚いデザイン発注用資料がリリィ達に送られた模様。
読了ありがとうございました。
バトルクロスの元ネタはアサルトリリィに出てくるリリィ用の防護服の名前。ソルギナックシステムやブリッツアングリフもソシャゲの方に出てくるリリィのキャラ衣装の名前が元ネタでデザインもそれ準拠です。