真・女神転生オタクくんサマナー外伝 ~ナホトラマン奮闘記~   作:貴司崎

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悪魔合体作戦第壱号!(前編)

「……フハハハハハハァ!!! 私の邪教の館によくやってきたなぁ新人隊員よ! 今日は貴様の貸し切りダァ!!!」

「お久しぶりですクルーゼさん、今日はよろしくお願いします」

 \カカカッ/

悪魔合体士ラウ・ル・クルーゼ(偽名)LV49破魔・呪殺無効 精神・魔力耐性

 

 そんなこんなで翌日、俺は検証班の皆さんと協力関係にある『邪教の館』へと訪れて、なんかやたらとハイテンションな仮面を付けた人物──この館の主人である【ラウ・ル・クルーゼ(もちろん偽名)】さんに挨拶をしていた。

 一応、彼とは検証班に協力する事になった時にこの邪教の館で顔を合わせており、その際に悪魔合体を行おうとして業魔殿と同じ様に出来なかったので、“もう一人の協力者”と共に色々と可能な限りのナホビノのデータを取って後日再挑戦って事になっていたのだが。

 

「ああ、彼はここ数日貰ったデータから彼用の悪魔合体用術式の調整に徹夜してるからテンションがおかしくなってるだけよ。【マッスルドリンコ】飲ませて【パトラ】でも掛ければ治るわ」

「あ、プロスペラさん。そちらもお久しぶりです」

 \カカカッ/

アルカニストプロスペラ・マーキュリー(偽名)LV52 疾風吸収 魔法に強い

 

 そのもう一人というのが、こちらのやっぱり仮面を付けている女性【プロスペラ・マーキュリー(偽名に決まってるだろ)】さんであり、検証班に協力しているアルカニスト(ペルソナ使い)だそうだ。実は副隊長がペルソナ使いとして世話になっているのも彼女らしい。

 先日の検査の時にも俺とアオビトの霊基状態の検査をアルカニスト的視点で手伝ってくれた信頼の置ける人物である……どっちも仮面付けてて見た目が怪し過ぎる? 検証班全員ボ卿で、今も俺の悪魔合体データ目当てで周りに複数名同行してるんだから今更では?(感覚麻痺)

 

「しかし邪教の館貸し切りなんて大丈夫何ですか? 有り難いですけど今すごい忙しいって聞きますけど」

「ああ、こいつの邪教の館あんまり人気ないから予定の調整は難しくなかったわ。そもそも使()()()()()()()()()()()()()()()なんていう面倒くさいやり方で人気出るわけないでしょ。事故率も妙に高いから合体ガチャ狂いぐらいしかリピーターいないわよ」

「だまらっしゃい! 悪魔合体とはサマナーとの契約をもって存在する仲魔を合体させて新たな力を与えるのが悪魔合体。それ故に重要なのはサマナーと仲魔を結ぶ契約の因果であり、それを突き詰める事で悪魔合体の深奥に至れると考えた末の『サマナーの持つ運命・因果・夢・罪・業などを最大限仲魔に反映させる』合体機構に他ならないのだ! ……まあ普通に合体させる事も出来るけどね、あくまで希望者のみだよ、そうじゃないと儲からないし」

 

 ラウさんが研究している悪魔合体法は契約しているサマナーの運命・宿命・因果・在り方などを悪魔合体に反映させるやり方であり、サマナーの『運』を反映させる『フィーバー合体』と呼ばれる技法を発展・改造したモノなのだとか。それによってサマナー次第で合体法則が変わる他、サマナー次第ではあるが通常では合体で作れない特異な悪魔が合体で作れたり、希少な特殊スキルが発現する事もあるらしい。

 ……ただ個人で合体法則が違うので壱から法則を調べなければならないし、イレギュラー結果が多いのでキチンと計画を建てて悪魔合体する一般サマナーからのウケは当然の如く悪いのだそうだ。

 

「一部の『何が出るか分からない……だがそれがいい』って言うガチャ狂いサマナー達がリピーターになってたり、コイツ自身が妙に商才があって表の商業エリアの元締めになって儲けた金を施設の維持管理に使ってなきゃとっくに潰れてるレベルなのに。最近は赤髪の少女サマナーとかがよく来るんだっけ?」

「ははは! 最近は合体検証用に施設を貸し出して儲けてるぞ! 別に普通の合体が出来ない訳ではないし、噂の所為で客足が少ないからこそ長時間貸し出しが可能な施設としての需要がある! ……それに彼の悪魔合体であれば私が作ったシステムの方が相性が良い筈だ。多分」

「一回やってみたけど失敗したんですが……再び此処に呼び出したという事は何か分かったんですか?」

 

 最初に業魔殿で言われた通りサマナー側からも悪魔合体に干渉すれば或いはという助言から、ラウさんの『サマナーの因果を反映させる悪魔合体』に挑戦したのだがこっちも上手くいかなかったのだ。

 ……ただ、不安そうにしている俺と違って二人は自信ありげな表情(仮面で分かりにくいが)を浮かべて説明を始めた。尚周りには複数のボ卿が興味深そうな雰囲気で拝聴しているアレな光景が広がっているが。

 

「うむ、確かに前回試しに私の特性術式で悪魔合体を試みた時には失敗したが、その際にこっちのアルカニストと共に観測出来た君の霊基情報とアオビト君が話してくれた『邪教の世界』での悪魔合体方式からおおよその算段は付けた。……まず邪教の世界の悪魔合体は『サマナーである彼がメインで女神とやらはそれを補助して導く方式』を取っているのではないかという仮説だ」

「どちらかと言うとアルカニストによる降魔、或いは君達の話を聞くに『邪教の世界』という場所自体があの音に聞く『ベルベットルーム』に近い場所であり、女神とは超高レベルの悪魔合体士兼アルカニストではないかという仮説ね。……その証拠と言ってはアレだけど、先日の合体検証の時に私の方で君とその仲魔の霊気に『アルカニストやペルソナ使い系の降魔』に近いパターンの変化を観測出来たわ」

 

 ふーむ、確かに言われてみれば邪教の世界での悪魔合体時にはまず女神が空間に溶けてから唐突に巨大女神像と鍵盤が出てきて、それをナホビノが弾きながら悪魔合体を実行するスタイルだからナホビノと女神が両方何かする事で悪魔合体が成されているというのはあり得るかな。

 

「そしてペルソナの降魔やスキルの付け替えに際してアルカニストはペルソナ使いに望む仮面を得られる様にサポートするのが基本。あくまでそれを行うのはペルソナ使い自身で指導するアルカニストはその方向へと導くのが一般的なやり方よ。貴方達が話した邪教の世界による『写せ身合体』も自分という本霊(ペルソナ)に任意の悪魔の分霊(ペルソナ)を被せる形式に近いと思われるわ」

「そちらから提供された『写せ身』についてもドイガキやヤナセが調べたデータと合わせて解析してみたが、やはり基本はデビルシフターが写し身合体に使う悪魔カードやペルソナ使いが使うスキルカードと同じ『悪魔の情報が刻まれた物』だと分かった。おそらく君にとって最も使いやすい形が『写せ身』なのだろう、前述の二つもそれぞれデビルシフターやペルソナ使いが使いやすい性質がある以外は同じ物だ。これらの異能者が悪魔からカードを取得するスキルを適用した場合、それぞれで使いやすい形として取得するからな」

「つまり貴方が言うの悪魔合体・写し身合体にはカード系デビルシフターやアルカニストによるペルソナ合体系列に近いやり方が必要になると考えられるわ。だから通常の施設主体の悪魔合体ではエラーが起きていた……というのが()()()()()よ」

 

 ふーむ、今の悪魔合体は施設ごとに法則が決まっていて大体施設側で処理してサマナー自身の能力はあまり関係ない(信頼度とか特殊合体時に本霊に認められてるとかはあるらしいが)からその辺りが……仮説の一つ?

 

「“仮説の一つ”って事は他にも悪魔合体が出来ない原因があるんですか?」

「そうだ、二つ目の原因というか仮説は()()()()()()()()()()()()()()な部分だ。……話を聞くに霊基の殆どが損壊したアオビト君に神造魔人とやらの写せ身と女神が残した力の断片を融合させて辛うじて出来た分霊、それが更に現世に浮上して死にかけていたヤマト君と融合した訳だから普通の融合型悪魔人間と比べても不安定になるのは当然だろう。力の大半を失っている以外にも『本来持っている機能』の一部が使えないとか誤作動が起きてるとかね」

 

 しかし、神造魔人やナホビノとしての能力は以前のアオビトがやっていた範囲内で大半が使えているし、神意の解放や各種族のマガツヒスキルの使用とかも神魔の儀や護符を使わずとも出来るぐらい……待てよ、“どうしてそんな事が出来るんだ”?

 邪教の世界がない事による制限で思い至らなかったが、少なくとも単独で見れば真Ⅴの主人公が出来なかった事の一部が今の俺達には出来ているって事になるし、その理由は……。

 

『……女神が残した【生命の種子】か。確かにその力によって俺は【神造魔人の写せ身】と悪魔合体を行なって自らも神造魔人となったが……』

「おそらくはソレね。……以前悪魔合体時に君達の霊基を念入りに解析したんだけど、その際悪魔合体時におそらく邪教の世界の女神が残した因子が反応して契約を介して仲魔に干渉している事が分かったわ」

「ソレが悪魔合体不全の原因の一つみたいだねぇ。彼の悪魔契約自体は異痕に近い性質みたいだから、ソレだけならここまで悪魔合体に悪影響を及ぼす事は無いと思われるし。……まあ貴方の存在がちょっとイレギュラー過ぎて完全に解析出来てないから仮説に仮説を重ねてる状況だけど」

「加えて言うなら神造魔人の霊基も未だに不活性な部分があるわね。見た感じだと自分の力を引き出しきれてない『シャドウ使い』か、悪魔因子が完全に目覚めてない悪魔人やアウトサイダーみたいな状況っぽいんだけど、融合時に完全には霧散しなかった霊基情報だと思うわ……多分」

 

 ……なんか途中から説明が大分曖昧になって来たんだけど。

 

「……仕方ないじゃない、貴方達特殊な悪魔人間?の霊基情報やら解析データなんて前例が全く無いんだから。だから既存のデータで近しいモノを繋ぎ合わせて仮説を立てながらやってくしか無いのよ」

「神造魔人に関してもわからん部分が多いと言うに、おそらく悪魔の分霊を使って作られた造魔に近い様だが、パターンとしては英傑や猛将系のデータに類似点がある。……なのでとにかく類似例の解決方法を色々総当たりしていくしか無いな! まあ大丈夫だ、蘇生要員と回復要員はしっかりと準備してある! 後ろのボ卿達だけどな!!!」

「お任せ下さい、キチンとサマリカーム要員とメディアラハン要員と状態異常回復要員と各種アイテムは用意してありますよ」

「義手・義足や改造手術も可能です」

「出来る限り耐えて下さいね? 耐えられなくても蘇生するので安心ですが」

 

 うーん、この人達の見た目(仮面)からして不安しかない! 実際には万が一の時の準備とか含めて完璧なんだろうけど!!!

 

「……具体的にこれからどうするんですか?」

「まずは君達の霊基を完全な状態にする作業からだな。悪魔合体不可能なのもその辺りが原因なのだと思われるし、霊基の不安定さを克服すれば普通に悪魔合体が出来るかもしれない。少なくともレベルが30を超えている以上は休眠状態の霊基が覚醒する基盤は出来ているだろうからな。邪教の世界とやらの女神の因子であれば目覚めれば悪魔合体の補助になる可能性が高い」

「その為にちょっと実験的に悪魔合体をするわ。……悪魔合体時に貴方達の中の女神の因子(仮)が反応していたし、何度かアプローチを変えての悪魔合体を行いながらペルソナ使い式やデビルシフター用の覚醒儀式を併用して因子を目覚めさせる事となるわね。……ああ、行う悪魔合体は『写し身合体』の方にするわよ。流石に上手くいくか分からない実験悪魔合体に仲魔使ってロストするのはアレだものね。写し身なら失っても変わりは効くし」

 

 まあ確かに今まで共に戦ってきた仲魔を普通の悪魔合体はともかく実験材料にするのはなぁ。その辺り写せ身ならどうせまた手に入る事もあるし、そもそも一種につき一つしか保持出来ないから使わないで取っておくと後半の戦場で持ってるスキルが雑魚過ぎて結局使わず死蔵される事になるし(実体験済)

 

「分かりました、じゃあとりあえず失敗しても良い【スライムの写せ身】と【ガキの写せ身】と【オンモラキの写せ身】と【マンドレイクの写せ身】と【ザントマンの写せ身】とかの低レベル悪魔の写せ身辺りで。仲魔のレベル上げと検証の時の狩りで結構手に入ったので使っておきましょう」

「そうだな、それだけあれば十分だろう。とりあえず写し身合体用術式の方はデビルシフター用、鬼喰い用、ペルソナ使い用、それらのハイブリッド型など色々と用意してある。一通り試してみてどれかで上手いこと女神の因子が反応してくれれば良いなって感じで」

「そっちの副隊長のアンヌと一緒に開発した『シャドウ使いに同名のペルソナや悪魔のスキルを降ろす神如意咒(神格の支援)の改造術式*1とかも使いつつ、アルカニストとして自らの内面やペルソナと向き合う儀式ベースに貴方達が自分の霊基に潜って覚醒を促す感じね。どうすれば覚醒するか分からないから手当たり次第になるけど、それだけのレベルがあればまあロストはしないでしょう」

『回復蘇生についてはお任せあれ。秘蔵の【ソーマ】も一本ですが用立てましたよ』

 

 ……多分に不安ではあるが彼等も全力で手助けしてくれると言うし、どうにかしてこの身の『制限』を外さなければ地獄じみた現世の環境では生き残れないと自分に言い聞かせつつ儀式場に用意された椅子に座った。

 

「じゃあリラックスして目を瞑ってねー。これから写せ身合体の儀式を執り行いながら私の導きによって自己の霊基の内側へと精神を感応させてみるから。何度か繰り返す事になるから気楽にねー。来なさい【モーリアン】」

【JUSTICE モーリアン LV46】

「とりあえず【スライムの写せ身】から使って儀式を……」

 

 そしてプロスペラさんが魔女の様なビジョンのペルソナを呼び出した所で目を瞑り……そうして儀式が始まると共に、呆気ない程簡単に俺の意識は自らとアオビトのナホビノたる霊基の内側へと沈んでいったのだった。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

 …………沈んでいく意識の中で狂気を宿した目で■を見ながら無表情で何かを呟いている白衣の男の姿が見えた。

 

『……ようやく完成か。この狂った無限螺旋を司る邪■達を倒すための“神造魔人”が。……だがこれだけでは意味がない、真の意味で至■の■へと上がる為には神造魔人に適応する人間、そして一旦世界の外側にこの国を堕として奴等からの干渉から逃れなければ……予定通りあの氷川が起こす受胎を利用して……』

 

 …………それから堕ちた東京で活動していた■は悪魔に襲われる少年を見て、咄嗟に■は雷撃によって悪魔達を薙ぎ払い手を差し伸べた。

 

『……少年、私の手を取れ。そうすればこの場を切り抜けて助かる道が拓ける』

『……わかった』

 

 そうして■と少年は手を取り合い『合一神』となって『ダアト』と呼ばれる様になった世界を戦い巡って様々な人や悪魔と出会っていく。

 

『じゃあアタシも付いて行くからね、ね!』『とりあえずマッカを持って来な。そうすれば色々と売ってやるぜ』『ようこそ『ベテル』へ』『神造魔人って誰が作ったのかわからないんだよな。今は戦力が欲しいから廃棄されてたのを直して使ってるけど』『暴走するヤタガラスとメシア教を討って混沌の悪魔達を倒さねぇと』『オムライス食べたい!』『住民の保護もしてるけど戦いながらじゃ』『ほう? 面白いヤツがおるなぁ。少し試してみようか』『今のこの世界では魔界へと堕ちたにも関わらず誰もが争い続けている。ヤタガラスもメシアも混沌の悪魔達も所詮は同じ穴の狢』『ふん、日ノ本がこの様な事になっているのに護国を成せぬ愚か者が』『我等が神による正しき秩序を!』『ここってエリアによって時間の流れが違うんだよね』『私が為すべき事は今も昔も主がもたらした秩序の元で人を守り守護する事のみ』『他者の在り方を認められないからこそ今のこの惨状はある。ならばこそ多様な在り方を認められる世界を作らねば』『我が半身よ、今のこの世界であれば本来の神へと至れる』『この世界で混沌の勢力を作り上げ、そのコトワリをもって我等が生きる世界を作り出すのだ』『混沌の悪魔達を討った事については見事。その力を真の護国に使えれば再び日本を元に戻せるでしょうに』『所詮この世界は壊れた舞台で適当な即興劇をやってるだけ。役回り通りに世界を壊そうとはするけどやる気起きないっスねー』『取り戻すんだ、愛しき人を!』『俺は多様な価値観がある世界を作りたい。例え答えが違って争うとしてもお互いの価値観を認めて住み分けられれば』『答えはただ一つでいいんだよ。全ての人間が一つの秩序に従えば争いは今よりずっと減る筈だ』『全ては神と悪魔に人が対抗出来る力が無かったからだ。故に神魔に抗える力と精神を持つ者による世界を』『……俺は、もう二度と人間が悪魔に虐げられない世界が欲しい』『創世の巫女として勝ち残った貴方のコトワリを叶えましょう』

 

 そして全てを撃ち破り勝ち残った少年と■は巨大な『カグツチ』にコトワリを告げてマガツヒとなった全ての人間を蘇らせ、悪魔が居ない人のみの世界を創世し、■は悲しそうに歪む少年の顔を隣で見ながら消えた……筈なのだが、それから僅かな間だけ見覚えのある“青い世界”へとその意識があり、目の前には何度となくお世話になった“女神”の姿があった。

 

『……貴方達はその選択を選びましたか。邪教の世界の主人としてゲストが旅の目的を達成された事に対しては祝福を。……しかし、未だこの世界が“■ン■■の法則”に囚われている事は変わらず、私自身も『邪教の世界の主人・女神■■■ー』として在る事が出来るのはこの様な特異な世界ぐらいであり、今後は“別の在り方”となるでしょう。そしてこの様な世界でなければ貴方達の様なナホビノをゲストとして迎え入れる事は無く、故に“この私”が在るのはここで最後となりましょう。……だからこそ、これからの世界を生きねばならない貴方達に私の力の一部である【生命の種子】と“抜け殻となった”【神造魔人の写せ身】を託しましょう。これらが役に立つ時が来るかは分かりませんが、どうか私の最後のゲストである貴方達の旅路に幸運があらん事を……』

 

 ……そんな事を言われた直後の■の意識は創世の光に包まれて……。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

『…………少年、少年!』

「おおっと⁉︎ いかん椅子が気持ちよすぎて寝落ちしてたか?」

 

 ちょっと寝ていたっぽい俺はアオビトに呼ばれて慌てて椅子から跳び起きた。しかし何か()()()()夢でも見てた気がするんだけど思い出せんな。

 

「おっとそれよりも儀式はどうなった? 俺はどのくらい寝てた? 確かいくつか写せ身合体の術式を試しながら霊基の覚醒度合いを見て色々してたと思うんだが。何か変な夢でも見なかったか?

『夢などは見ていないし俺はずっと起きていたぞ。それに少年の意識が無かったのは1分程度だったが……それよりも、どうやら『写せ身合体』自体はどうにか成功した様だぞ。今使った【アズミの写せ身】からスキルを写せた』

 

 えっ⁉︎ マジで!!!? なんか割とあっさり済んだなと思うが、確かにこれまではどこか“ズレていた”感覚が嵌った様な感じがする。

 

「何度か写し身合体のチャレンジしている内に貴方の霊基から女神の因子っぽいモノが強く反応してるのが分かったから、ここで一気に押し込めば覚醒するんじゃと突っ走ったらなんか貴方と共鳴した術式が勝手に動いて写せ身合体してたわ」

「ふむ、やはり邪教の世界の女神の因子が悪魔合体に関わっているという私の仮説は正しかった! 今のデータを元にナホビノ用写し身合体と悪魔合体の術式を改造するぞ! 正直言って今まで見た事ないパターンで術式が動いていて、そのデータが取れたから更なる悪魔合体の深奥に至れそうな気がして大興奮だ!!! ヒャッホーウ!!!」

「とりあえず我々も手伝いましょうか。うまくいけば邪教の世界とやらの秘密とか彼等から手に入れた悪魔データの検証も出来そうですしね」

「でももっと血とか吹き出すかと思ったけどあっさりだったな。せっかくの回復アイテムは無駄になりそうだ」

「いやまだ油断は出来ない、霊基の是正の影響で全身がねじ曲がるかも……」

 

 うーむ、どうやら周りが騒いでる所から上手くはいってるみたいだが、俺としては寝てる間にいつのまにか成功してたからイマイチ達成感が……とにかく習得出来たスキルを見てみるか。アズミの写せ身なら【ブフ*2】辺りが……。

 

合一神八坂ヤマト/アオビトLV38電撃無効 破魔耐性 衝撃・呪殺弱点

写せ身スキル・ブフ ・(空き) ・(空き) ・(空き)
スキル・麁正連斬 ・ジオ ・ジオンガ ・轟雷 ・ハマオン ・逆薙 ・吸魔 ・神霊水 ・ディアラマ ・マカジャマ ・ラクンダ ・神奈備ノ守 ・活脈 ・魔脈 ・アナライズ

 

 …………なぁにこれぇ? いや写せ身スキル枠にブフを覚えてるのは写せ身合体が成功したって事で分かる。合一神から「?」が取れてるのも霊基が安定したからだろうが、何故かめっちゃ増えてる保有スキルは一体? いやどっかで見たスキル名な気もするが……。

 

『どうやら俺の力やかつて“同型機との習合”で得たスキルは全て消えたと思っていたがそうではなかったらしい。おそらく嘗てのダアトでは今の俺の元となった神造魔人の同型機の写せ身の力を吸収していて、今までは損耗により休眠状態だったそれらが今回の霊基活性化によって目覚めたと思われる』

「ああ成る程、どうりで見覚えのあるスキル群だと思ったら“神造魔人の写せ身”が有していたヤツだな。この構成だと『伍式』までが目覚めてるのか?」

『その様だな。おそらく今後レベルを上げていけば残りの神造魔人の力も目覚めていく筈だ』

 

 写せ身合体がうまく言ってもたった四つのスキル枠をやりくりしてスキル構成をする必要があると思っていたから、正直言って強力な専用スキル群が使える様になるのはかなり嬉しい。

 ……これで直接戦闘ではジオとビームサーベルしか使えない後方マガツヒゲージ要員なクソザコナホビノの汚名は返上出来そうだな! やったぜ!

 

『それと神造魔人の基本機能であった【アナライズ*3】も再取得出来ている。まあ【万里の眼鏡】がない以上は解析性能は相当に落ちるな』

「まあ強力なスキルを取り戻したのだから十分だろう。とりあえず写せ身スキル枠には【ナルキッソスの写せ身】から【地獄のマスク*4】とか【ヘカトンの写せ身】から強力なスキルを突っ込むか」

 

 写せ身スキルから継承したスキルは変更不可能なのだから腐らない解析と耐性スキルが安パイだろ。幸いな事に攻撃・回復・補助と強力なスキルが神造魔人の写せ身から得られたんだし、装備品が付けられないナホビノにとっては異常耐性は最優先だ。

 ちなみにナルキッソスの写せ身はマガツヒゲージ溜めの狩りで出てきた地霊ナルキッソスを潰した時にゲットして、ニギミタマの写せ身は『お前ニギミタマだな! ニギミタマだよなぁ! 御厳だ、御厳おいてけぇ!!!』って倒したら写せ身落としてコレジャナイってなって、マカミの写せ身はレベルアップした仲魔のマカミがくれたヤツだ。

 

「出来れば弱点属性埋める呪殺耐性や衝撃耐性も欲しいが、あの手のスキルはレベルアップしないと覚えないのが多いからな」

『【写せ身の極意*5】が無いからな。【神格集合*6】でも良いんだが』

「まあそれら含めて先に写せ身合体がどこまで出来るか調べる必要もあるけどな。なんとなく神意が必要な辺りは期待薄な気もするが、自由にスキルの付け替えが出来るかとかも調べる必要があるし」

 

 まあ、まだ色々不便な点はあるが写せ身合体の解禁と神造魔人のスキル解放によって戦力強化は大分マシになった事は確かだ。後は悪魔合体さえ上手くいけば現環境でもなんとかなる……といいなぁ(儚い願望)

*1
本来は指定した悪魔のカードを1枚消費し、その悪魔が習得しているスキルをシーンまたは戦闘終了まで使用することができる能力なのだが、それをシャドウ使いが同名悪魔のスキルを降ろす神降ろし系術式に魔改造した。

*2
敵単体に小威力の物理属性攻撃。アズミの写せ身の初期スキル。

*3
敵一体の情報を表示する。神造魔人の探知機能がスキルてして発現したモノ。

*4
状態異常、及び即死する基礎確率を70%に減少させる。真Ⅴ地霊ナルキッソスの初期スキル。

*5
『福音』の神意。写せ身の選択可能スキルを増やす。壱〜参まであり、これが無いと悪魔がレベルアップ時に習得できるスキルを写せ身合体時に選択出来ない。

*6
『福音』の神意。写せ身合体時、写せ身の防御相性をナホビノに写す機能を解放する。これが無いと永遠に呪殺弱点。




あとがき・各種設定解説

ヤマト&アオビト:写せ身合体解禁+神造魔人スキル再取得
・ただし現状の写せ身合体は“悪魔の可能性のスキルを取得出来る様になる”極意が無いので『その悪魔の初期スキル』しか写せず、更に自分へなら可能だが契約した仲魔にはまだ写せ身合体を使えない制限がある。
・それでも制限内ではスキルを自由に写せる事には変わりなく、更にオタクくん世界がメガテンスパロボな感じなので真Ⅴ登場悪魔以外の写せ身を入手出来る可能性もあるかもしれない。
・ちなみに神造魔人スキル解放条件はレベル30以上かつ【生命の種子】と【神造魔人の写せ身】の霊基が活性化状態になる事で、アオビトが生まれた悪魔合体時に近似している神造魔人の力が癒着したのが原因。
・後真Ⅴの神造魔人の各種写せ身にはそれぞれレベルが設定されており、彼らがそのレベルに達する毎に対応する○式の写せ身のスキルが保有スキルに追加される仕様。
・ちなみに途中にヤマトだけが見た過去っぽいシーンは色々意味深な事言ってるけど既に滅びた世界の話だし、この事が今の周回に関わってくる事とかは無い所謂フレーバー的なモノだと思って下さい……まあ狂った“誰か”が色々“勘違いからの妄想”で色々やらかした結果の世界とだけ。

ラウ・ル・クルーゼ:信用できる悪魔合体士(ホントダヨ)
・個人ごとに合体法則が違うとかいうアレな悪魔合体を行なっているが、逆に言えばその個人の合体法則自体はある程度一定なので法則が分かるまでガチャしたサマナーが希少スキルやイレギュラー悪魔目当てでリピーターになったりしている。
・まあ当然殆ど一見さんお断り状態なので閑古鳥なのには変わらないのだが、それを利用して検証班に資材を貸し出したり表にレルムを作って自分の部下に別館で低レベル用に普通の悪魔合体が出来る邪教の館をやらせて儲けるなど結構なやり手。
・今回は希少な邪教の世界のデータが取れたのでウキウキしながら、更なるデータを得ようと全力で悪魔合体術式の解析実行準備をしてる。

プロスペラ・マーキュリー:信用できるアルカニスト(ウソジャナイヨ)
・副隊長も世話になっていて心理学やセラピストとしての技術も収めている優秀なアルカニストで、シャドウ使いのメンタルカウンセリングなどでそこそこ名が知られている。
・今回は副隊長からの伝手で協力してくれたが検証班やラウとも顔なじみで、アルカニストとしてペルソナ関係の研究や検証も行なっている事もあって協力関係がある。
・副隊長と開発したのは神格の支援とスペルカードによるペルソナのスキル取得を組み合わせた『シャドウと同名の悪魔・ペルソナのスキルを取得出来る様にする』術式で、副隊長はそれによってシャドウ使いでありながらP1P2ペルソナ及び悪魔としてのラクシュミのスキルが使用可能。


読了ありがとうございました。
この話と次で序章『準備編(仮)』は終わりの一区切り。今までは地獄の現環境を戦うための下準備及び修行パートでした。……正直言って本家様の展開がいつも通りきな臭いのでこのぐらいテコ入れしないと…。
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