真・女神転生オタクくんサマナー外伝 ~ナホトラマン奮闘記~ 作:貴司崎
はぐれメシアンの拠点である廃棄された教会跡地、その地下にて【大天使 カマエル】となったメシアンの男とスポンサー様の命令でクズ共を潰しに来たDAT隊の隊長・副隊長のチームとの戦いが始まっていた。
そして先手を取ったのはDAT隊側、彼等も別にお約束だからとカマエルの変身を黙って見ていた訳ではなく、その間に先手を取って戦える様に自分達の側も戦闘の準備を整えて奇襲を行う用意をしていたのだ。
「先行は貰った、いつも通りに『SAセルKA不信者ァァァァァッ!!!』何?」
| 神を見る者 | 自動効果スキル | 破魔貫通を得る。 最大HPが50%増加。クリティカル率が100%増加。 自ターン開始時、連動効果「味方全体のMPを2回復し、 1ターンの間、味方全体の攻撃力を20%増加させ、 敵全体の防御力を20%減少させる」 敵ターン開始時、 連動効果「敵全体に防壁貫通を得た破魔属性の打撃型ダメージを威力60で与え、 MPを1奪う」「現在HPが最も低い敵1体に激昂の霊鎖を2カウント与える。 この効果の発動はバトル中3回まで)」 D2出典のカマエル専用スキルだが無理矢理植え付けられたモノなので幾つかの効果が機能していない。 |
だが、先手を取った筈のヘビクラ隊長達が行動を起こす直前、そこに
更にその勢いでカマエルは自己の行動を加速させて
「物理無効持ちはホントに面倒なんだよなぁ。これぐらいしか出来る事が無くなるから」【バイパースマッシュ*1】
『グゥ、物理貫通KA!?』
「そんな強スキルなら良かったんだけどねぇ」
そうして場の流れを掌握したヘビクラ隊長は真っ先に飛び出して『100%属性』とも呼ばれる凡ゆる者に通じる蛇の起動を描く一閃を放ち、物理無効を持つカマエルの身体を浅くではあるが斬り裂いた。
ちなみに隊長的はバイパースマッシュを『8回も攻撃しないと最大威力にならないゴミスキル』と内心思ってはいるし、どうせなら物理貫通の方がいいよなとも考えているがどうも相性が悪くて取得出来なかった過去を持つ……が、それはそれとして有効な場面では使うのだが。
「その鎖……状態異常の様な気もするけどどういう影響を齎すのかは分からないわね。……一先ず【ラスタキャンディ*2】でバフを掛けるわ」
「ネビロス、何か分かるか? 分からんかったらとりあえず動いてくれ」
続いてアンヌが全体バフスキルを使ってからネビロスに巻き付いた鎖の特性を把握しようとするが、回復役と務める彼女でも初めて見る状態変化であるので効果は分からず、ならば何か行動させて効果を見て情報を得るしか無いと判断したヘビクラ隊長はネビロスに手番を回す。
「やれやれ毎度のこと仲魔使いが荒い。しかし何か行動を阻害されている様な……とりあえずお高く止まった天使連中にはコレが効きますよ……んん?」【テトラジャ*3】
「まあ仲魔の命は安いモノだからな。俺もいつも通り様子見の壁役だ!」【咆哮*4】
それを受けてガネーシャは攻撃を集中させる為の挑発スキルを使い、謎の鎖が巻き付いたネビロスは対天使相手の定石である破魔・呪殺無効結界を展開する……が、スキルの使用時に強烈な違和感を感じると共にスキルで消費されるMPを遥かに越える量のMPが自身の身体から抜け落ちていったのだ。
テトラジャは大してMP消費が大きく無いスキルである筈なのにいきなりネビロスのMPの4割近くを一気に持っていかれた事を見たヘビクラ隊長は『この鎖はスキルのMP消費を引き上げる効果がある』と推測した。
「さて、備えは出来たが……どうもこの鎖にはスキルの消費MPを跳ね上げる効果があるみたいだな。下手にスキルを使えばMPがすぐに切れる」
「それと多分何か“行動する事”を強制されてる感じもしましたよ。恐らく『パス』をさせないとかでは?」
「まだ鎖は残ってるけど少し気配が減ったかしらね? ターン経過か行動数基準の状態異常か特殊効果って所かしら」
| 激昂の霊鎖 | スキルの消費MPが6上昇し、パスが選択不能になる。 行動終了時に霊鎖(最大5)が1カウント減少し、 カウントが0になると解除される。 D2出典の特殊状態『霊鎖*5』の一種。 |
謎の状態異常『霊鎖』についての所感をヘビクラ隊長とアンヌは推測して、更にネビロスの意見からすぐに消費MP量を増やす特異な状態異常。或いはヤマトの仲魔であるデメテルが使う『防壁』の様な特殊状態であると当たりを付けていく。
……おやおや系検証班達がデメテルに生えたスキルを検証した際の報告や掲示板のボス悪魔に関する書き込み、更にグランギニョル社から欧州のレジスタンスが“状態異常では無いデバフスキル”を使う悪魔と交戦したらしい事をヘビクラ隊長は聞いており、自分自身も覚醒属性と言う特異なグッドステータス魔法を使える経験もあってこの『霊鎖』も単なる状態異常とは違うタイプだと判断したのだ。
『チョKOザイNAマネヲォォォ!!!』
「来るか!」
| マハンマオン | 破魔属性スキル | 敵全体に大威力の破魔属性ダメージを与え、弱点を突いた時に確率で即死させる。真5仕様。 |
| 不浄の光剣 | 破魔属性スキル | 敵単体に防壁貫通を得たクリティカル率50%の特大威力の破魔属性の打撃型ダメージを与え、 ヒットした敵に激昂の霊鎖を1カウント与える。 攻撃成功時、 連動効果が発動「味方のプレスターンアイコンを1増加させる」(この連動効果の発動は、1ターン中1回まで) このスキルによるダメージは死亡時に踏みとどまる効果を無視する。 D2出典のカマエル専用スキルだが無理矢理植え付けられたモノなので幾つかの効果が機能していない。 |
だが、そうしている間にも『変身』した己の肉体に慣れたカマエルが本格的に戦闘態勢へと入り、まず【神を見る者】の自分ターン開始時の連動効果によって自らの攻撃力を上昇させつつ敵全体の防御力を低下、続けて初手で破魔属性の全体魔法による閃光を放ったがそれはヘビクラ隊長達に掛けられた【テトラジャ】に防がれる。
無論それは一度しか防げないテトラジャを打ち消す為に放ったスキルであり、すぐさまカマエルは過剰強化された肉体の力を持ってしての二回行動によって湾曲した剣を構えて前に出ているガネーシャに接近、その刀身に禍々しい光を纏わせながら放たれた力任せの一閃によって象頭の悪魔の巨体を大きく斬り裂いた。
「破魔無効相性のガネーシャにダメージを与えるって事は破魔貫通持ちか。しかもまたあの鎖が巻き付いてるな」
「バフを重ねたお陰でダメージが少ないのは幸いだけど、MPの過剰消費があるとなるとまともにスキルが使えないわね」
「どうも太刀筋が乱れてるからかクリティカルが出てないのは幸いだが、向こうの手番が終わって……こっちが動く直前のタイミングか」
| 神を見る者 | 自動効果スキル | 破魔貫通を得る。 最大HPが50%増加。 自ターン開始時、連動効果 「1ターンの間、味方全体の攻撃力を20%増加させ、 敵全体の防御力を20%減少させる」 敵ターン開始時、連動効果 「現在HPが最も低い敵1体に激昂の霊鎖を2カウント与える。 この効果の発動はバトル中3回まで)」 敵ターン開始時の連動効果をHPが減ったガネーシャを対象にして発動。 |
冷静に戦場を見るヘビクラ隊長の目にカマエルの目に再び先程と同じ禍々しい光が現れ、今度はガネーシャに鎖が更に追加で纏わりついた所を見て彼は即座に敵スキルの効果を検証・予想していく。
(恐らくコレは“オート”系スキルと同じ『連動効果』の自動効果スキルによるモノ、最初にネビロスを対象にして次にダメージを受けたガネーシャが対象になったとするとHPが一番低い者を優先して狙うって所かね。俺とアンヌは事前に【マッスルドリンコ】でHPを増強してたしな。……後はこの特殊状態の解除条件を把握せんとな)
「召喚、ノルン」「分かりました、支援します」
そう考察しつつも手数を増やす目的で仲魔の【ノルン】を召喚して【ラスタキャンディ】を使わせる事で敵のデバフに対する対策を打つヘビクラ隊長は、続いて回復と『霊鎖』状態の解除を狙ってアンヌがペルソナ“ラクシュミ”の力として新たに習得した【メシアライザー*6】を使って味方全体のダメージを癒す。
「やっぱり治らないわね。せっかく覚えた最上級の回復魔法なのに」
「予想通り“状態異常じゃない”って事だろ。……それならネビロスはもう一度【テトラジャ】でガネーシャは【
だが、救世主が使うとされる最上位の回復魔法であっても『霊鎖』を治す事は出来なかった……が、それを半ば予想していたヘビクラ隊長は仲魔に行動させて様子を見る判断を下す。
その結果、ネビロスは再度結界を展開するもMPが殆ど消費してしまうが同時に効果が切れたのか激昂の霊鎖が解け、ガネーシャは“MPを消費しない行動”である防御を行なっただけなのでMPの消費は起こらず激昂の霊鎖だけが薄まった。
「やはり行動を行うと効果時間が減るタイプ、どちらかといえばチャージ系スキルの挙動に近い気もするな。とりあえずMPを消耗しない行動を行えば被害なく解除は出来そうだが、パスは出来ないようにされているみたいだな」
「でもMP消費の行動を制限されるのは面倒ね。多分消費するMPが足りなければスキルの発動すら出来ないんでしょうし」
『何ヲKUッチャBEッテルンDA貴様ラァ!!!』
| マハンマオン | 破魔属性スキル | 敵全体に大威力の破魔属性ダメージを与え、弱点を突いた時に確率で即死させる。真5仕様。 |
| 不浄の光剣 | 破魔属性スキル | 敵単体に防壁貫通を得た特大威力の破魔属性の打撃型ダメージを与え、 ヒットした敵に激昂の霊鎖を1カウント与える。 このスキルによるダメージは死亡時に踏みとどまる効果を無視する。 |
そこから激昂の霊鎖に対する対応策として『通常攻撃・アイテム使用・防御などのパス以外のMPを消費しない行動』を行う事で状態変化の持続時間を減らせると判断するヘビクラとアンヌだったが、対策が分かっても力で押し潰せば良いと言わんばかりにカマエルが奇声を上げて襲い掛かる。
再びの【神を見る者】の連動効果による防御低下の後に先程と同じく全体破魔で【テトラジャ】を剥がしてからの禍々しい光を纏わせての一閃、加えて今度はDAT隊側の中心人物であるヘビクラ隊長を狙っての攻撃を行う当たり奇声を上げていても判断力までは消えていない。
「させんぞ! この鎖があっても庇う動きには支障はないからな!」
『チィ! 邪魔SUルナ悪魔風情GA!!』
しかし、悪魔人間となって“知恵”のある動きがしにくくなっているのかカマエルは未だに発動中の【咆哮】によるターゲット集中効果によってガネーシャに嫌でも意識が向いてしまい、その影響もあって割り込んで来たガネーシャを掻い潜る事が出来ずにそちらに攻撃を当ててしまう。
その一閃も事前に行っていた防御の為に先程よりも低いダメージしか与えられず、更に追加効果もあって激昂の霊鎖の効果が上乗せされて【神を見る者】による連動効果がHPが現在最も低いガネーシャを対象に発動して更に霊鎖が追加される。
「よしよし、単体攻撃喰らった対象とHPが一番低いヤツに鎖が掛かるなら味方1人を【カバー】に回せば被害はソイツだけに集中するな」【アイテム使用→チャクラポッド*7】
「破魔貫通でもテトラジャを突破出来る訳ではないからね。確実に詰めていきましょう」【アイテム使用→ラク・カジャ珠*8】
……そう読み通りに霊鎖がガネーシャに集中したのを見たヘビクラ隊長はアイテムで枯渇したネビロスのMPを回復、続いてアンヌがMPの節約も兼ねてアイテムによる再度の全体防御バフを味方に掛けて連動効果による弱体化に備える。
そしてノルンには【メディアラハン*9】を使ってガネーシャのダメージを癒させて、ネビロスには回復されたMPを使って【テトラジャ】を張らせてガネーシャにはもう一度【防御】させると言う形でDAT隊側はこの手番では状況を整える事を優先した。
「さて、さっきと同じ手で来るなら同じ様に凌ぐだけだが?」
『SOレナラコウDA!!!』
| 冥界波 | 物理属性スキル | 敵全体に大威力の物理属性攻撃。真5仕様。 |
| 冥界波 | 物理属性スキル | 敵全体に大威力の物理属性攻撃。真5仕様。 |
そんなヘビクラ隊長の挑発に乗ったのかカマエルは二連続で剣を振るう事で二発の衝撃波を放って敵を薙ぎ払おうとする。破魔再びテトラジャに妨害されるなら連動効果による攻撃強化・防御低下合わせて物理攻撃で薙ぎ払えば良いと言う算段だった。
「……やはり連動効果によるバフデバフは重ねがけ不可能なタイプだったな。ウチのアナンタのヤツと同じっと」
「物理貫通までは持ってないみたいね。物理耐性装備のお陰でこの程度なら増強HPが削れるだけよ」
「物理耐性がない我々でも二発までならギリギリ耐えられますね」
だが、単体攻撃と比べれば威力に劣る全体攻撃であった事で物理耐性を持ち防御していたガネーシャには殆どダメージは与えられず、物理ダメージを軽減する装備を付けているヘビクラ隊長とアンヌにもHPが増強されていたこともあって大したダメージHP与えられなかった。
そして物理耐性のないネビロスとノルンに対しても御霊合体でHPを増強している事もあってか倒しきれず、加えて【神を見る者】の激昂の霊鎖を与える連動効果は使用回数を使い切ったので発動しなかった。
「うん? 連動効果が発動しなかったって事は回数制限付きだったか?」【バイパースマッシュ】
「強力な力に振り回されてる感じね」【ラスタキャンディ】
それを見て霊鎖の付与が回数制限付きだったとヘビクラ隊長は判断すると即座に先程よりも威力が上がった斬撃をカマエルへと見舞い、アンヌもデバフ対策の意味も込めて全体バフを再び重ねがけして備える。
更にガネーシャには霊鎖の効果で消費MPこそ跳ね上がるものの【咆哮】の効果が切れる方が問題だと再度使わせ、ネビロスには【テトラカーン*10】を使わせて物理攻撃に備えさせてノルンの【メディアラハン】によって全員の傷を癒した。
「さて面倒な鎖を自動で撒く事は出来なくなったみたいだがどうするね? その鎖も“アイテムや防御が出来ない様な悪魔同士の戦い”ならともかく、打てる手が幾つかある人間の戦いなら掻い潜る方法は多いがね」
『Oノレ貴様RAァァァァァ!!!』
そう言いながらも冷徹に“たった一体だけの敵”を詰めるべく挑発を交えながら手を打っていくヘビクラ隊長に対し、その身に施されら改造の影響か或いは元から傲慢なメシアンだったのかカマエルは更なる激昂に身を焦がしながら眼前の敵に襲い掛かっていく。
……それでも尚、DAT隊が今まで戦ってきた相手と比べてもそこまで強くない相手という事もあり、ヘビクラ隊長とアンヌは余裕を持って戦闘を進めていったのだった。
──────◇◇◇──────
「……思ったよりも梃子摺ったが、やはり貫通か万能の全体攻撃は雑魚狩りにおいて正義」
「物理耐性もあって思ったよりも厄介だったが銃撃が効いて電撃弱点なのはマシン悪魔と変わらなかったから対処は出来たな」
「物理攻撃と各種属性魔法を使い分けてくるのは厄介だったっすけど、攻撃しかしてこないからテトラマカラで対応出来るっすね」
「ただ軽度のステルス機能があったみたいだから奇襲されたら面倒だったな。俺達にはケンジロウの眼とヤマトのレーダーがあるからどうにかなったが、本来は奇襲と物量で押し潰すコンセプトだったのか?」
一方その頃、地上の施設で謎のマシン悪魔【ヒュージ“グンタイアリ”】の軍勢と交戦していたDAT隊の残りのメンバーだったが、軍勢としてもそこまで数が多くなかった事やそれ以外の敵が居なかった事、何より単純なレベル差による戦力差もあり既にグンタイアリを全滅させていた。
多彩な属性の攻撃スキルと手数で最初は多少苦戦はしたが、同じ『ヒュージ』である為か以前散々戦った地下シェルターのヒュージと共通する戦闘パターンが多かったので敵の攻撃パターンが読めた辺りからは作業の様に対処出来たのである。
「ふむ、基本構造は以前の地下シェルターヒュージに近いが、こっちの方が構造が洗練されていて躯体も普通の機械部品で構成されている様だな。生体パーツを使って無理矢理作っていた地下シェルター製と比べても性能面では互角だろう。技術レベルとしては今の機械技術でも作れるだろうが量産には相応にコストが掛かる……余程生産者の技術レベルが高くなければ“生産”は出来ても“量産”は難しいだろうな」
「うーん、以前回収したっていう例の『武装COMP』と同じ感じって事ですか?」
「鋭いなヤマト、このヒュージも『今の技術でギリギリ作れるけど量産は難しい』ぐらいの技術レベルを見定めて作られてるな。この前解析した武装COMPと同じ調整が施されてるみたいだから分かりやすかったな」
ミツヒロはその技術者としての観察力から破壊した“グンタイアリ”の残骸を手に取りながら見聞していき、その機体の基本構造や製作時のクセの様なモノから以前グランギニョル社を襲った襲撃者が有していた『武装COMP』と制作した者が同じであろうとアタリを付ける。
グランギニョル社の
「ヘルヴォルからの話では『G.E.H.E.N.A.は突然世界に進出して来たガイア再生機構がグランギニョル社を乗っ取った時に名乗った名前』でしたね。それと同名組織がここのメシアンに力を貸していて、このヒュージもそこから流れて来たモノって事ですか?」
「その可能性は高いだろうな。……まあG.E.H.E.N.A.についても再生機構についても俺達はヘルヴォルからの証言を含めた少ない情報しか持ってないから決め付けは禁物だが。恐らく世界を渡って色々やってる大規模なドリフター組織が再生機構で、G.E.H.E.N.A.はその傘下とかそんな感じだろうと推測しているが……どうも相当に情報操作が上手いみたいだからな」
「そもそもG.E.H.E.N.A.の名前が妙にあっさり分かった事とか、グランギニョル社を乗っ取った時の名前がG.E.H.E.N.A.だったのに今の状況でわざわざコイツらの支援組織がこの名前を名乗ってるのもあからさまに誘ってる感じがする……とは隊長も言ってたっすからね」
元よりDAT隊には【ガイア再生機構】や【G.E.H.E.N.A】の詳細な情報や“その本来の名前”などの詳しい情報は持っておらず、情報操作でいっぱい食わされた経験からも慎重に調査を進めるべきと考えており今回の襲撃でも出来るだけ情報を得る必要があると判断していたのだが。
そういう事情で少しでも情報を得るべく天才技術者(自称)のミツヒロはヒュージの残骸を解析しつつ動力炉部分や人工知能っぽいパーツを改修していき、それ以外のメンバーは周囲を警戒しながら生き残りのメシアンやヒュージなどがいないか索敵を進めており……しばらくした後にミツヒロの無線に別行動中のヘビクラ隊長達から連絡が入った。
「む、隊長か。……もしもし、こうして直接連絡を入れてくるという事は中枢部は制圧したのか?」
『ああ、なんかあからさまに地下の豪華な一室に集まっていた偉そうなメシアン達は全員倒したぞ。なんか1人だけ変身して怪人になって襲いかかって来たが返り討ちにしておいた』
その連絡内容はこの教会の地下にいた幹部っぽいメシアン達を全員制圧したと言う奇襲作戦成功の報告だった。変身怪人カマエルとの戦いは『激昂の霊鎖』が面倒ではあったが連動効果による付与が無くなった辺りから押し始め、バフと回復と防御と時々攻撃と言うボス悪魔用のルーチンを繰り返して普通に勝利した様だ。
『……ただ、あのカマエル怪人は強力なスキルに肉体が耐え切れなかったのか
「レベルの低下ねぇ……無理矢理悪魔の力を植え付けられた人間でそういう症状になった例もあった気がするな。こっちは何処製かははっきりしてないマシン悪魔“ヒュージ”と交戦、解説の為に残骸を回収する」
『了解、こっちも何か手掛かりが無いか探してみるがまだ敵が残ってる可能性もある。最低限だけ回収出来る情報源を手に入れたら合流して撤退するぞ。流石に全員捕獲するとか施設内に完全制圧は人数的に難しいしな』
「了解。……まだ油断は出来ないから手際よく行こう」
そうしてはぐれメシアンを大凡壊滅させた彼等は幹部級を捕獲してヒュージの残骸や研究資料を可能な限り回収した後、ヒュージがいた事から含めてメシアン達を支援していたG.E.H.E.N.A.の存在が気掛かりと言う事もあって早々に撤退していった。
その後はグランギニョル社に襲撃成功の報告をして回収した各種資料を渡して任務完了、拠点の制圧に関してはグランギニョル社が準備していた襲撃チームに改めて事情を話して急遽出撃して貰って対応する事となったのだった。
──────◇◇◇──────
「……あらら、もうやられちゃったのねあのメシアン達。せっかく援軍を“持って来た”のに無駄足になってしまったわ」
既にDAT隊とグランギニョル社の戦闘員に制圧されたはぐれメシアンの拠点、そこから離れた場所にある空き家の一つに現G.E.H.E.N.A.のリーダーである【西村乃恵美】は
……彼女がここに居るのははぐれメシアン達にグランギニョル社の襲撃を迎え打てるだけの“戦力”を渡す為だったのだが、訪れた時には既にDAT隊による襲撃が始まっていたので予定を切り替えて戦闘の様子を観察していたのである。
「グランギニョルに送り込んだ情報源からは襲撃の日程はもう少し後だった筈だけど、これは情報漏れに気付かれたわね。まあ漂流者を集めてる所に潜り込ませただけだから直ぐに気付かれるだろうとは思っていたけど、結構
尚、過去周回でのグランギニョル社の乗っ取りに関しては彼等【G.E.H.E.N.A】も関わってはいるがあくまで“その上”が行なっている現地の大規模組織の乗っ取り活動の一つの手伝い程度であり、今回のグランギニョル社は欧州拠点の殆どを失っていて組織を上げて乗っ取る程の“商品価値”はないと判断されているので今回の工作はG.E.H.E.N.A.の独自行動である。
……最も最近独断でグランギニョル社にあからさまに仕掛け過ぎたのは自覚しているので、今回の様にスパイがグランギニョルにバレたと知っても特に慌てる事なく損切りの算段を付けているのだが。自分達の事が警戒されているのも察していたのでリスクとリターンは慎重に図っている様だ。
「まあ、別に適当に作った現地の手駒が潰されたぐらいなら別にいいんだけど。そもそもあそこのメシアン達も使い捨て前提、援軍と言う名目で適当なヒュージを実践試験代わりに送るだけの予定ではあったし。……それに研究者としてはゴミな成果しか出せてない連中だったけど、“実験素体”の情報は中々いいモノが手に入ったからね」
……そう言いながら薄く笑う彼女はグランギニョル社に制圧されているはぐれメシアン達を尻目に損切りとして手を引く事を決断、はぐれメシアンからは“必要なモノ”を既に受け取っていた事もあって早急にその場を気配もなく立ち去るのであった。
あとがき・各種設定解説
カマエル:特撮の怪人的な改造変身悪魔人間
・G.E.H.E.N.A.とはぐれメシアンの取引の一環として武闘派だったメシアンが強化改造手術を受けた存在で、嘗てヘルヴォルのリーダー【相澤一葉】に施された『人間に対する深層(D2)スキル付与悪魔人間化実験』のデータを元に改造処置を受けた強化悪魔人間。
・ただし素体の資質が一葉と比べてもかなり落ちるので、デビルシフターのデータを使って人間と悪魔形態を使い分ける事で悪魔の力を人間の理性を保ったままに使いこなせるようにするコンセプトで改造強化を行なわれている。
・ただし、そこまでしてもカマエルの強力な(D2)スキルの力を全て引き出す事は出来ず幾つかの効果が削られており、特に無茶な肉体改造の影響で肉体動作に影響が出てクリティカル率や速度の低下が起きている。
・更に長期戦になってスキルを過剰に使用するとレベルダウンが起きるぐらいに肉体に負荷が掛かるデメリットがあり、その場合は死亡時に肉体がロストする事もあるが序でにそれを利用して技術秘匿の為に肉体が消滅する措置が施されている。
・激昂の霊鎖や破魔貫通を駆使してヘビクラ隊長達と戦ったが、数の利を活かされて普通に対応された上に長期戦によるレベルダウンも相まって徐々に追い詰められていき最後には最大威力の【バイパースマッシュ】で首を落とされて倒された模様。
G.E.H.E.N.A.:今回は損切り方針
・と言うよりは現地で作った協力組織はいつでも損切り出来るように準備しているので判断が早かった形であり、はぐれメシアン達を動かしてやりたかった事は大体済ませていたのもあったので見捨てた模様。
・グランギニョル社に送り込んでいたスパイも勘付かれた時点で早々に撤退させている辺り、最優先事項である『自分達の研究』に直接関わる部分以外は非常に割り切りが早い組織。
・リーダーである乃恵美が直接増援を届けにやってきたのは彼女が研究組織であるゲヘナでリーダーとは名ばかりの現場指揮官的なポジションだからや最近手軽に雇える“組織”の人間が減ってるとかの理由もある様だが、本命としては“自分で開発した戦力”の試運転がしたかったからである様だ。
読了ありがとうございました。
前哨戦であるはぐれメシアンはしめやかに壊滅!……次回からは本番のG.E.H.E.N.A.暗闘編をお送り出来れば良いなと思っています(まだ具体的なプロットが決まってない……)