真・女神転生オタクくんサマナー外伝 ~ナホトラマン奮闘記~   作:貴司崎

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混沌の奇禍事変(前編)

 東京都内に存在する多数の異能者を受け入れている学校である【聖華学園】……そこからやや離れた所にある駐車場に一台の黒ぬりのワンボックスカー(ハイエース)が駐車されていた。

 ……外から見た限りでは一見ごく普通のハイエースにしか見えないその車だったが、外側から見えない様に調整された内部には多数のパソコンやらモニターやら特殊な装備が格納されている特殊な改造車となっており、今は6人の男女が乗り込んで真剣な表情で話し合っていた。

 

「……では、今回俺達【DAT隊】がグランギニョル社から受けた依頼を改めて説明しよう。本日【阿修羅会】を中心としたヤクザとかガイアとかの連合が、何故か国会で国軍扱いを受けるとか言う頭のおかしい展開になるらしい」

「日本の議会はいつからそんなに頭が沸いてる議案を話し合う様になったんすか?」

「それについては同意見だが、まあクソみたいな手でなんかしてるんだろう。それは今は置いておくとしてこれ自体は阻止されるだろうが、その結果として現在全国的に何か準備してるだろうヤクザ連合が大規模な暴動を起こすだろうと予想されている」

 

 その正体はグランギニョル社の子飼いデビルバスターチームである【DAT隊】であり、そのハイエースもDAT隊所属の天才技術者である【ドイガキ・ミツヒロ】がグランギニョル社のマシン悪魔研究班と協力して作り上げた本日初披露となる特装車両(ライドメカ)【マシン DAT移動前哨 LV57】なのだ!

 ……まあ、これに関して前々から彼等は『防衛チームならライドメカは必須だよな!』と思っていたのだが、流石に戦闘機を買うとかは無理な上で予算の都合で市販車を少し改造するぐらいしか出来ずに不満があった。だがそこにスポンサーのグランギニョル社がマシン悪魔を研究していると知って、これ幸いと【マルチチェンジャー】制作などで伝手が出来たグランギニョル社内の特オタ達を抱き込んで作り上げた代物なのだが。

 

「そして先日のヤマトの情報提供を含めて、その際にグランギニョル社の令嬢が通う聖華学園にも戦火が降り注ぐ可能性は高いと判断された。そこでグランギニョル社は我々DAT隊に聖華学園周辺で暴れるヤクザ諸々に対処する様に依頼が下った訳だ。何か質問は?」

「グランギニョルの日本支部の方は大丈夫なのか?」

「聖華学園周辺だけど学園内に関しては手を出さない方針になるの? まあ私達が入ったら不法侵入になるけど」

「グランギニョル社の方は社内の戦力だけでどうにかするらしい。少なくとも支社や施設を守るぐらいならどうにかするそうだ。むしろそっちに戦力が取られてるから学園には俺達ぐらいしか回せなかったんだろうし、そもそも余り多数の護衛を派遣しても学園側に警戒されるだけ。同じ理由で俺達は基本的に聖華学園内部への侵入は禁止、大して信用されていない俺達が入り込んでも学園内部に無用な混乱を招いて状況が更に悪くなるだけだからな」

 

 つまりは今回のDAT隊の任務は聖華学園周辺で暴れてるヤクザや悪魔を片端から叩き潰して間接的に聖華学園に危害が及び難い状況を作る事であり、聖華学園内部の防衛に関してはあちらの教師達に任せると言う感じとなる。

 グランギニョルの社長と社長夫人としては学園にいる()やその友人の護衛を頼みたかったのだが、聖華学園側の都合などを考慮すればこのやり方がベターであるとヘビクラ隊長は判断しており、実際に今現在の聖華学園の周辺にはかなりの数のヤクザと思わしき不審者の姿があった。

 

「……車載レーダーの反応からどう見ても人間じゃない、種族外道とか悪魔人間の連中が多数いる様だからな。ちなみに今はまだ連中は何もしてない上に表通りで堂々としてるからこっちからは仕掛けられん。現代社会では異界と悪魔出現状態以外での武力闘争は違法行為だからな」

「あのクズ共それが分かってて堂々としてるっすからねぇ。出来れば今直ぐに潰したいんすけど」

「向こうが動き出すのを待つしかないってのは歯痒いわね」

 

 ちなみにこの【DAT移動前哨】は単なるマシン悪魔ではなくグランギニョル社が培ってきた武装COMP関連の技術も搭載されており、内蔵されたレーダーは機械式アナライズの他にも【エネミー・ソナー*1】【ネオ・クリア*2】【ハニー・ビー*3】【スキャニング、ゼロ*4】【メタサーチ*5】【ギボ・アイズ★ *6】などの各種索敵・解析インストールソフトの技術を転用して周辺の地形や敵の情報を詳細に知る事が出来る優れものである。

 またDAT移動前哨には他にもグランギニョル社とミツヒロの無駄に高い技術力を活かしてロマンに溢れる様々な特殊機能が実装されており、様々な任務で隊員達が待機出来る移動用拠点として運用する事を前提に作られており、今もDAT隊を中に収めながら備え付けのテレビモニターに現在開かれている『ヤクザの正規軍化の法案』が論ぜられている国会の様子が映し出されていた。

 

「……さて、映像を見るに会議の流れはヤクザ公認化の方向に進んでいる様だな。議員の殆どが賛同している様にも見える……コイツらはシャブでもやってるのか隊長?」

「まあ似た様な状態ではあるんだろうなケンジロウ。……それよりも事が始まったら直ぐに動ける様に準備しておけ。民間人がいる状況での外道悪魔人間相手の対処法殆ど頭に入ってるな。特にヤマト」

「破魔は普通の人間には効かないからそれメインで行けばいいんでしょ。人を守るって事ならアブディエルやマリアも賛同してくれてるので大丈夫ですよ。俺なら仲魔を統制して一般人に被害を出さない様にするぐらいなら問題なく出来ますし」

「ヤクザ連中が多数いて民間人や学園に被害が及びそうになる地点はピックアップしておいた。事が始まったらまずはそこから潰せば少しは被害は減らせるだろう」

「ただ、どうせ連中もこのまますんなり行くとは、少なくとも上にいる連中は考えてないだろうから何か面倒な手を打ってくるぐらいは考慮してしておくべきね。状況に応じて臨機応変に動きましょう」

「つまり出来るだけ準備をしたら後は出たとこ勝負って言ういつものパターンっすね」

「そう言う訳だな。……じゃあ防衛チームらしく子供と民間人を守る為に作戦開始だ」

 

 こうしてDAT隊はどうやらシャブやってるとしか思えない法案が通りそうになっている国会の様子をモニターで見ながら、作戦名『最初に強く当たって後は流れで』を実行すべくひっそりとDAT移動前哨(ハイエース)を動かしてヤクザが多数集まっている方向へと向かっていった。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

 そんなシャブやってる法案の行方だったが、それは自らの進退すらも厭わない(総理)と真にこの国を守ろうとする者達の活躍によって不成立に終わりヤクザ達が合法的に国に認められる企は潰えたのだった。

 ……だが、それなら自分達の得意な暴力でもって国を取ろうと全国に散っていたヤクザやガイア勢力が暴動を起こし、それを予期していた有志のデビルバスター達が迎え撃つ形で後の世で“混沌の奇禍事変”と呼ばれる特大の人間同士の戦乱が戦端が幕を上げたのだった。

 

「何調子こいてるんだクソガァァァァァァッ!!!」

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!! ふざけてんじゃねぇぞおおォォォァァァァ!?」

「お゛!お゛!お゛! 力が漲ってグルゥゥゥゥゥゥ!!!」

「みんなァァァァ! 麻薬(ヤク)をキメろォォォォォォッ!!!」

極道革命(レボリューション)だァァァァァッ!!!」

 

 \カカカッ!/

狂人ジャンキーLV63(+30)

 \カカカッ!/

外道ちんぴらLV48(+30)

 \カカカッ!/

外道やくざLV69(+30)

 

 本来であればインフレ環境で鍛え上げられたデビルバスター達と弱者から搾取する事しか出来ないヤクザ達の力の差は歴然だったのだが、それが分かっている連中は力の差を覆すべく非道な作戦を準備していたのだ。

 ……超電磁結界を使った非合法レルムの人間の虐殺、及びそこから得られたMAGによる全国での秘神召喚による敵戦力分散、都内に配置した魔丞とヤクザ達の負の念を集める装置『愚瓶』を使っての徳川曼荼羅の反転によるLaw(秩序)Neutral(中庸)の弱体化とDark(邪悪)Chaos(混沌)の強化、他には特殊な薬剤を使ったドーピングや一般人を巻き込むなどの外道行為を行い戦力差を埋めているのである。

 そして今も薬物と反転結界によって強化された多数のヤクザとジャンキーとちんぴらが避難が遅れた一般人に奇声を上げながら襲い掛かろうとし……。

 

「カタギに手を出すのは駄目でしょ。やれアブディエル」

「よかろう、私としてもあの様な下劣な蛮行は見過ごせんしな。外道に堕ちた者達に神の裁きを!!!」

『『『ギャアアアアアァァァァァァァァッ!!?』』』

 

破魔プレロマ破魔属性で与えるダメージを上昇させる。

自動効果スキル。真5仕様。

破魔ギガプレロマ破魔属性で与えるダメージを大きく上昇させる。

自動効果スキル。真5仕様。

落光+9敵全体に特大威力の破魔属性攻撃。弱点をついた時、確率で即死させる(40%)

【アブディエル】専用の破魔属性スキル。真5仕様。

手に入れた【光の経典*7】を4つ使ってアブディエルの破魔適正を最大まで上げている。

 

 その直前、天より舞い降りた金色の体に黒白の翼を背負った天使──ヤマトの仲魔である【大天使 アブディエル LV83】が手に持った剣を地上に指し示すと同時に上空から特大の光の柱が地上に降り注ぎ逃げ惑う一般人諸共ヤクザ達を飲み込んだ。

 勿論その光の柱は天使らしく超大威力の破魔属性攻撃なので罪の無い只人(破魔無効の一般人)には一切効かず、種族外道のヤクザ(人間じゃ無いので破魔が効く)のみを跡形もなく消滅させている。

 

「人間じゃなくなった奴には破魔が効いちゃうんだよね。ソースは神格集合と写せ身合体で耐性補完しないと破魔が無効にならない(ナホビノ)

「普通の人間は全裸でも無い限りは破魔無効だし、破魔相性は装備品での対策もしやすいから反射されても問題はない。特に破魔属性の大威力攻撃が使えるヤマト達はこの状況なら有用だ。即死は対策されやすいし」

「俺達は撃ち漏らした連中を【銀の弾丸*8】入りの銃で撃ち抜いていけばよしと」

「俺は基本剣しか使わないからCHARMの可変機能は無用の長物だと思ってたっすけど、こうして手軽に属性攻撃出来るのは便利っすね」

「とは言え破魔に耐性がある連中もいるわね。民間人がまだいる現状だと少し面倒」

「そいつらは破魔攻撃より物理攻撃が強いメンバーで対処。破魔無効の準備はしているから俺達諸共薙ぎ払え」

「「「「「了解」」」」」

 

 そのヘビクラ隊長の指示を受けて隊長自身とヤマト・ミツヒロ・トモヤの四人がアブディエルの裁きの光を受けて生き残ったヤクザに接近して怯んでいる連中を次々と斬り捨てていき、そこに味方に当たる事もお構いなしでケンジロウが破魔属性となった全体銃撃【フュージレイド*9】やヤマト合体呼び出していた【女神 マリア LV86】の【マハンマバリオン+4*10】が放たれ、破魔無効のDAT隊には効かずに破魔無効が無い者達(ヤクザ)だけを薙ぎ払う。

 また、ケンジロウの銃撃でヤクザ達の動きが鈍った所に追加でヤマトの仲魔である【霊鳥 ガルーダ LV80】の【フォッグブレス+5 *11】とヘビクラ隊長の仲魔の【妖獣 ガネーシャ LV67】による【ランダマイザ+4 *12】が使われてその命中率を大きく下げ、そこに追加でアンヌ副隊長の【ラスタキャンディ*13】が民間人含めたその場の人間全てに掛かる事により力無き者へと凶刃が届く事を予防する。

 ……例え反転した結界の効果や薬物による増強があってもDAT隊とはそもそものレベルと戦闘能力が違い過ぎる事、そして近くにいた他のデビルバスター達の協力もあったので聖華学園近郊の一角で暴れるヤクザ達は大した抵抗も出来ずに殲滅されたのだった。

 

「まあこの結界の効果があっても雑魚に苦戦する程では無いな。……ただ、秩序や中庸を弱体化して混沌や邪悪を強化してるのは、雑兵ならともかくボスクラスにも効果があるとなれば厄介か。掲示板にも情報が上がってるな」

「東京の結界の反転による秩序側の弱体化と混沌側の強化と言った所か。ロウとニュートラル悪魔は弱体化してカオスやダーク悪魔は強化どことか狂化するから制御が難しくなりそうだ。サマナーとしての腕が高いか強力に契約を結んでいるなら問題ないだろうが」

「俺は大丈夫かどうか少し確かめてみます。破魔攻撃様にロウライト系しか出してなかったですし。……召喚、ヴァスキ。調子はどうだ?」

「ふぅむ、やや気分が高揚しますが理性を失う程でもないですねぇ。サマナーの契約に強力に縛られているからでしょう」

「ナホビノだけあって契約も強力なのかね。……それよりもなんかめっちゃマガツヒが発生してる……いやこれは」

 

 だが、それでも都内のごく一部にいる少数のヤクザを倒しただけに過ぎない事は分かっていたので、戦闘終了と同時にDAT隊は周囲を警戒しながら現状の把握に努めていくが、その中でヤマトが嘗て最大規模のボルテクス界を制した経験から多量のマガツヒの発生といくつかの“覚えのある気配”を感じ取った。

 

「これは単にマガツヒが溢れてるだけじゃなくて【ボルテクス界】に近い環境になってます、しかも今までの擬似的なマガツヒが充満しただけの異界ではなくホンモノに成りかけてる……? 断言は出来ませんがこのまま結界が反転すれば東京がボルテクス界化して滅ぶかもしれません。それと周辺に幾つか【マガツカ】……いや、これは【ナイトメアシステム】のほうかもしれないけどマガツヒが集まってる場所があります」

「はいはいいつもの東京が滅ぶピンチですね分かります。……ミツヒロ、詳しく調べられるか?」

「ふむ。恐らくヤクザ連中の欲望とかの負の感情を使って結界を反転させてるっぽいから、恐らくそのマガツヒを集めてる地点が反転術式の基点である可能性は高いだろうな。……ちょうど掲示板にも幾つか情報が出てたしほぼ確定だろう。その詳細な位置は分かるかヤマト?」

「東京都内全域は流石に無理ですがこの近辺の一区画内までのマガツカの位置は全て分かります*14。これでも昔は何十個と見つけ出して壊してましたからね。アオビト」

『承知した。マガツカ、或いはナイトメアシステムと思われるモノの現在位置をCOMP内のマップに表示しておく。マップデータの共有も行っておくぞ』

 

 ヤマトの言葉に答えたアオビトは限定的にCOMP機能を内蔵された神造魔人としての能力、及びそれと同調させ易い様にカスタムされた特注COMP【DATハイパーディスプレイ】を合わせて近辺にある推定マガツカの位置情報をCOMPのマップ機能に表示し、それらをDAT隊全員のCOMPに共有させた。

 

「おーらいデータは受け取ったぞ。この位置だと電波塔かそれに類する設備にマガツヒが集まってるのかね。とりあえず掲示板とかで他のデビルバスター達にマガツカの位置情報を知らせてっと」

「その推定マガツカの情報は掲示板にも上がってるな。やはりそれが結界反転の基点になってるのは間違いなさそうで、今は暴れてるヤクザや悪魔をどうにかしつつマガツカを攻略するタワーディフェンスみたいな状況になってると。……俺達もそっちに回った方が最終的に学園に及ぶ危険は減るか?」

「まあこの結界さえ元に戻れば学園の安全も確保出来るだろうし、そもそも私達は中に入れないから外側で可能な限り暴れる方が良いかもね。何より民間人が襲われてる状況で事件解決に全力を尽くさないのは防衛チーム的に無しでしょ」

「まあそうだな、じゃあアンヌ副隊長の提言通り俺達も推定マガツカの攻略に移るが……どうしたヤマト?」

「……すみません隊長、マガツカの攻略は他のみんなに任せて良いでしょうか」

 

 そうしてヤマトからのマガツカ情報や掲示板に上がっている現状から今後の行動方針を速やかに決めたヘビクラ隊長だったが、その最もボルテクス界やマガツカの対応に慣れていてやる気がある筈のヤマトが何故か明後日の方向に厳しい視線を向かながらそんな事を言った。

 それを見た隊長はボルテクス界関連の事象は何が何でも妨害すると公言している彼がそんな事を言うには、何か“別の厄介事”があるのだろうと考えて事情を簡潔に説明する様に言う。

 

「例の先日俺に接触してきて情報を渡すだけ渡してきた(琴陽)の反応を捉えました。しかも俺達に感知出来ている事と反応から恐らく戦闘を行っているみたいなので何が目的か様子を見に行った方が良いと思います。……連中の狙い方が夢結ちゃんですし、そもそもこの一件には関わりにくいと言ってた筈の連中が戦ってる事から何か厄介事が起きてる可能性が高いので確認した方が良いかと」

「成る程、聖華学園狙ってるよく分からん連中が動いてるなら確認した方が良いか。だがそれなら全員で向かった方が良いと思うが」

「いえ、極論連中はこの大騒動に大して関わってない側の連中なので余り戦力を割きたく無いですし、どうも俺の事を警戒してるみたいなので一人でも話し合いや防戦で時間を稼ぐぐらいは出来ると思いますから。……今の俺達の仕事は学園を守ってこの騒動を解決するする一助になる事なので、そっち側に優先して戦力を割くべきです。まあ通信は入れっぱなしにしてヤバそうなら助けを求めます」

 

 その意見を聞いた隊長は少し思案する……確かに今回の任務は聖華学園の護衛であるし未だに戦闘は続いているからそちらだけに関わるわけにもいかない。それにヤマトなら単騎でも早々遅れをとる事は無いだろうし先行して向かわせて状況を把握させておくのは理にかなってる。他のメンバーは状況に対応させる為に待機させて、ヤマトからの情報を元にどう動くかを判断する方が良いか。

 ……そこまで瞬時に考えを纏めた隊長はヤマトに謎の勢力が戦闘を行っている場所を聞き出した上で今後の行動を決定した。

 

「じゃあヤマトはちょっとそいつらの様子を見てこい。他のメンバーは少し離れた所で適当にヤクザを潰して回り、ヤマトからの情報次第では援軍に駆け付ける。……俺らの依頼は『聖華学園を守る』事だからな、そこを狙ってる奴らを優先して叩く事だ。推定マガツカは情報だけ上げて他のデビバスに任せれば良いだろ。経験値稼げるタワーディフェンスだから挙って参加するだろうし」

「分かりました、じゃあ先に行きます」

「なら俺は移動前哨を出しておくか。ヤマトからの情報を受け取るならこっちの方が良い。……出来れば専属オペレーターも欲しい所だが」

 

 それだけ言ったヤマトは多分人修羅やサムライや人外ハンターを上回るナホビノのフィールド移動能力をもって先んじて反応が確認された場所へと飛び出して行き、同時に他のメンバーもミツヒロがCOMPより呼び出したDAT移動前哨に乗り込んでヤマトをモニターしながらその後を追っていったのだった。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

「……チッ、漁夫の利を狙って火事場泥棒とか相変わらずやる事がクソね」

「火事場泥棒を否定するつもりはないけど、それを言うなら貴女達も似た様なモノじゃないかしらねぇ?」

「こっちは今回に関しては介入するつもりは無いですよっと!」【ランダマイザ*15】【物理ハイブースタ*16】【ソウルブレイク*17

 

 \カカカッ/

神人戸田琴陽LV89

 \カカカッ/

マシンオペレーター?西村乃恵美LV89

 \カカカッ/

マシンヒュージ“グンタイアリ”LV55

 \カカカッ/

マシンヒュージ“スプリット”LV58

 \カカカッ/

マシンヒュージ“パラオルビオ”LV60

 

 そんな事を言い合いながらお互いに武装COMP(CHARM)を打ち合わせながら戦っているのは新しき神話(テオゴニア)に所属する悪魔人間【戸田琴陽】と、再生機構(エデン)の研究組織の一つ【G.E.H.E.N.A】のリーダーである【西村乃恵美】だった。

 琴陽の側が二刀のブレードモードのCHARM【トリグラフSP.TK】によって斬り込んで行くが、それを乃恵美は自身のCHARM【ブルトガング・エクストラ】を研究組織のリーダーとは思えない体捌きで回避(極・物理見切り)しつつマシンオペレーターとして自身が使う為にカスタムしたヒュージに指示を出していく。

 

『『『キイイイイィィィィッ!!!』』』【タル・カジャ*18】【フォッグブレス】【百麻痺針*19

「クッ! 嫌らしい手を!」【黄泉の鎧甲*20

「私個人は今の貴女程に強くはないもの。だから数を揃えて絡め手を含めて挑ませてもらうわ」【物理貫通★*21】【龍眼*22】【朧一閃*23

 

 地を這うアリの様に見えるグンタイアリがバフ、宙を舞う歪な形状をしたスプリットがデバフを掛けた後に他のヒュージと比べても機械的な外見をしたパラオルビオが攻撃を躱されて隙を見せた状態異常狙いの銃撃を撃ち込むが彼女は防具の耐性でダメージを抑える。

 しかしそこにとても人間とは思えない速度による踏み込みで乃恵美が接近し大上段に振りかぶったCHARMの一閃を見舞う……が、直接に体勢を立て直した琴陽が辛うじて身を捻って斬撃を回避しつつ距離を取ったので、同じく乃恵美側も距離を取って仕切り直しとなった。

 

「あらあら、やっぱり命中不安技は使うものじゃないわねぇ。しかし琴陽ちゃん、ルドビコにいた時と比べて大分強くなったわね。元教官として嬉しいわ」

「やっすい挑発ですね。……悪魔人間としての私を上回る身体スペック、どうせそっちも人間を辞めて転生を繰り返してるんでしょうが」

「そう見える? ……まあそう見えるならそう思っていれば良いわ。しかし意外ね、貴女が直接私達を妨害してくるなんて」

 

 こうして彼女達の戦端が開かれているのは、まず乃恵美を中心としたG.E.H.E.N.A.の戦闘班がこの騒動に乗じて聖華学園にいるCHARMユーザー達のデータ収集、あわよくば拉致を目的として学園に近付いている所を同じく学園の様子を見に来ていた琴陽が目撃。

 本来ならば様子見が正解だったのだろうが嘗て【ルドビコ女学院】と言う場所で乃恵美と色々と“因縁”があった琴陽は思わず殺気を出してしまい存在を気付かれ、邪魔をされても面倒だと判断した乃恵美に襲い掛かられてこの様な戦闘状態に陥った訳である。

 

「様子見してたらそっちから攻撃して来たんでしょうが」

「まあそうなんだけど、何時もの貴女なら私が仕掛けた時点で普通に逃げると思ってたのよね。……だから戦闘になった時点で私達を足止めする事が目的だと思ったからこっちも一人で戦いつつ他を学園に向かわせて、貴女を助けに援軍が来ると思ってたんだけど。それとも他の仲間が向こうを相手してるのかしら?」

「……今回は単なる様子見だけどまあ無策で戦ってる訳でもないわ。あんた達、色んな所で恨みを買いすぎなのよ……って、ちょ!?」

 

魔のドナム味方単体に次に行う魔依存攻撃のダメージを上昇(1.5倍)させるチャージ効果を付与する。

補助属性スキル。真5仕様。

火炎プレロマ火炎属性で与えるダメージを上昇させる。

自動効果スキル。真5仕様。

火炎ギガプレロマ火炎属性で与えるダメージを大きく上昇させる。

自動効果スキル。真5仕様。

メギドフレイム+9敵全体に特大威力の火炎属性攻撃。相性を無視して貫通する。

【アモン】専用の火炎属性スキル。真5仕様。

手に入れた【炎の経典*24】を3つ使ってアモンの火炎適正を最大まで上げている。

 

 そう言った直後、琴陽が何かに焦ったかの様に全力でその場を離れると同時にその場にいた全員を巻き込む程の威力と範囲を有する巨大な火球が落下して三体のヒュージを一瞬で焼き尽くして消滅させたのだった。

 事前に距離を取っていた琴陽とそれを見て危険を察知し直前に回避に成功していた乃恵美には当たらなかったが新手の登場に両者共一瞬動きが止まり、そこに一つの人影が傍に梟の頭と羽に蛇の身体を持った真紅の“魔王”と燃える体を持つ異形の“邪神”を伴いながら勢い良く舞い降りた。

 

「ちょっと! 貴方今私ごと焼き尽くそうとしてたでしょ!?」

「推定敵同士が争ってるなら漁夫の利狙いで奇襲して纏めて潰すに決まってるだろJK」

「あらあら、この世界のグランギニョルに手を貸してるナホビノか。これが狙いでわざわざ目立つ様に戦った訳ね」

 

 その正体は言うまでもなく琴陽達の戦闘の気配を察知してやって来たヤマトであり、彼は接近した時に琴陽とヒュージを使う人間が戦っている事に気付いてG.E.H.E.N.A.と争っていると推測し『それなら纏めて潰した方が良いな』と容赦なく判断、呼び出した【邪神 マダ LV86】と【魔王 アモン LV85】による連携攻撃を仕掛けたのである。

 ……まあ流石にヤマトもこれだけで仕留められるとは思っていなかったので、更に追加で【龍神 コウリュウ LV86】を召喚して戦闘態勢に入りながら琴陽に事情を説明させる。

 

「そっちのはG.E.H.E.N.A.の西村乃恵美だな。それでなんで戦っていたんだ? 事情を説明しなかったら纏めて潰すが」

「本当に塩対応だね、まあ仕方ないけどさぁ。……そいつが部下を率いて聖華学園にちょっかいを掛けようとしたから止めに入って戦闘になっただけよ。後そいつの部下は今も聖華学園に向かってるから」

「成る程……隊長、ここは俺がどうにかするのでそっちの方はお任せします。後はポエマー集団の他の面子も何処かにいる可能性もあるのでそちらの警戒も」

「ポエマー集団扱いは兎も角やっぱり塩対応……ところで今だけ私と協力してアイツを倒すって提案したいんだけど……」

 

 通信を繋げていたDAT隊のメンバーに他のG.E.H.E.N.A.の相手を任せると共に琴陽からの提案をどうするか思案し……『一時協力してG.E.H.E.N.A.側を潰してから倒せば良いか。流石に三つ巴は面倒だしな』と結論付けた。

 

「はぁ、分かった。今だけは協力してやる」

「やったぜ(多分アイツ倒した次は私が狙われるから逃げる準備はしておかないと)」

「やれやれ、流石にこの戦力相手だと少し厳しいかしらね。なら……」

「言っておくが逃すつもりは無いぞ。……領域展開」

 

 そうヤマトが言った直後、その一帯に存在していたヤクザの欲望から生まれた筈のマガツヒが彼から発せられた“神威”によって変質して、誰一人として【八坂ヤマト】と言う強大な合一神を無視できない『場』が展開された。

 

イベント戦闘女神転生シリーズなどでは一部のボスと言える強敵や特殊な条件で戦闘する場合に逃走を行えない事がある。

【魔人王】謹製の神造魔人にはスキル枠の増加や拡張性の確保の為に擬似的な『ボス属性』が付与されており、それと合一したナホビノであるヤマト/アオビトも『ボス悪魔』としての特性を限定的に有する。

なので空間のマガツヒ濃度や敵の実力や因縁など一定の条件が揃えば敵味方問わずに逃走を行えない状態で戦闘を始める事が出来る。

ちなみにその際わざわざ“領域展開”とか言う必要性は一切無い。

 

「うげっ、これは神威? 前でも逃げられない状況にしてくる事はあったけど……流石は“あの魔人王”が世界を壊して新たに創るとか言う妄言を実現させる為に作ろうとした“人造合一神”、その唯一の成功例か」

「この世界に来て色々と経験を積んだのでな。多少の神威ぐらいならある程度任意で使える様には成長してるさ」

「……成る程、逃す気は一切無いと。……じゃあもう“本気”で戦うしか無いじゃないの。召喚」

 

 \カカカッ/

マシンヒュージ“イビルアイ”LV77

 \カカカッ/

マシンヒュージ“メイルストロム”LV79

 \カカカッ/

マシンヒュージ“ジャガーノート”LV87

 

 そうして逃げられない状況になったと判断した乃恵美はおもむろに懐のCOMPを起動して収納していた“本気の戦闘用”ヒュージ──巨大な眼に三つの足が付いたヒュージ【イビルアイ】、巨大なイカの様にも見える10本の触手を有するヒュージ【メイルストロム】、そして身長は2メートル程度の他と比べれば小さい人型でありながら前者二つを上回る存在感を持つヒュージ【ジャガーノート】を呼び出した。

 

「ッ!? まだこんな戦力を……!」

「まあわざわざ組織のリーダーが前線に出るんだからそれ相応の備えはしてるわよ。じゃあ始めましょうか」

「来るなら来い。敵対していて何より“彼女達”に手を出そうとしている連中を逃すつもりは無いからな」

 

 こうして混沌と戦乱に包まれた東京にて複雑な過去の因縁があるヤマトと琴陽が一時協力し、G.E.H.E.N.A.の“リーダーであり最強の個人戦力”である西村乃恵美と死力を尽くした戦い(イベントボスバトル)を演じる事となったのだった。

*1
出現する悪魔の強さを色で表示。青は悪魔が出現せず、緑→黄→赤の順に強い悪魔が出現することを表す。SH出典。

*2
周辺マップを表示、マーカー付きの周辺マップを常時表示する。アイテム「見晴らしの玉」と同じ効果だが、新月時も使用可能。SH出典。

*3
オートマップで現在いる階層以外も表示。ダンジョンの全階層が表示可能SH出典。

*4
オートマップで構造の詳細が表示されないダークゾーン部分の構造を表示。SH出典。

*5
ENEMY画面からサーチ設定が可能になり、設定した悪魔がいる敵シンボルにアイコンが見えるようになる。SH2出典。

*6
戦闘開始時、必ず敵全体の属性相性を開示(イベント戦闘は除く)SH2出典。

*7
仲魔一体の+破魔適正を更に1上昇させる(上限+9、破魔適正が+1以上の仲魔にのみ仕様出来る) 真5出典。

*8
銃攻撃の相性を破魔属性に変更する。真1出典。

*9
銃撃属性で敵全体に中ダメージを与え、命中・回避率を低下させる。SH2出典で【銀の弾丸】の効果で破魔属性となっている。

*10
敵全体に特大威力の破魔属性攻撃。弱点をついた時、確率で即死させる30%) 真5仕様。

*11
敵全体の命中率・回避率を2段階低下させる。真3仕様でガルーダには集めた【支援の経典】4つをつぎ込んで補助適正を上げた。

*12
敵全体の攻撃力・防御力・命中率・回避率 を1段階低下させる。真3使用。

*13
味方全体の攻撃力・防御力・命中率・回避率を1段階上昇させる。真5仕様で特性とスキルにより6ターン持続する。

*14
真5のマップにはそのエリア内のマガツカの位置が全て表示される。ヤマトは嘗てナイトメアシステムも確認・破壊した経験からマガツカを集める装置などの位置は詳細に把握出来る。

*15
敵一体の攻撃力・防御力・命中率・回避率を下げる。P5仕様。

*16
物理属性で与えるダメージが25%増加する。D2仕様。

*17
敵単体にクリティカル率30%の貫通を得た物理属性の打撃型ダメージを威力145で与え、MPを3失わせる。D2出典。

*18
味方全体の物理攻撃力を1段階上昇させる。SH仕様。

*19
敵複数に銃撃属性で中威力の攻撃を1~3回行う。緊縛の追加効果。真4F仕様。

*20
デビサマ出典の胴部防具。魔性防具相性でありガン耐性あり。

*21
物理属性で攻撃時、耐性・無効・吸収・反射を無視するCOMP機能。SH2出典。

*22
命中率を大きく上昇させる。真5仕様。

*23
敵単体に特大威力の物理属性攻撃。命中率後低い代わりに当たれば必ずクリティカルが発生する。真5仕様。

*24
仲魔一体の+火炎適正を更に1上昇させる(上限+9、破魔適正が+1以上の仲魔にのみ仕様出来る) 真5出典。




あとがき・各種設定解説

DAT移動前哨:防衛チームと言えばハイテクライドメカだよな!
・ハイエースを素体として作り上げたハイテク技術ガン積みの車体に【雷電属 オボログルマ】を融合させた高性能マシン悪魔……噂悪魔のハイエースはウルトラシリーズの防衛チームがR-18悪魔を使うのはダメなので却下された。
・武装COMP技術を応用した各種サポート機材とか防弾・対衝撃・対電撃などの機能を組み込んで耐久性を強化した車体の他、マルチチェンジャーの技術を応用して外観を変更する幻術機能や内部空間の拡張機能を使ってドローンや各種アイテムを搭載している支援特化マシン悪魔。
・一応戦闘能力として合体させたオボログルマから継承した範囲攻撃【マハ・ジオダイン(ライドウシリーズ)】や【突撃(ひき逃げ)】なども可能だが、基本的には自衛用でありオボログルマの特性も【発光】や【現場検証】がメイン。
・マシン悪魔なのでCOMPに収納できてDAT隊のメンバーなら誰でも主人になれる様に調整されているが、主に開発者故に機材を十全に使えてサマナーとしての心得も少しはあるミツヒロがサマナーを務めている。
・グランギニョル社のマシン悪魔研究は元々過去周回から送られて来た制御可能なヒュージをベースとした人間が運用する戦力として考えられていたが、どうも情報操作されている節があるので暴走の懸念が拭えないので戦力として作る事が却下された。
・せっかく予算を費やして研究したのが無駄になるのも嫌なのでDAT隊からの提案もあり人間が乗り込んだ時のみ使える非自立起動、かつ非戦闘用の支援特化とする事で暴走などのリスクを減らす方針で研究が続行されて作られた試験機が【DAT移動前哨】となり試験運用と現在データ収集中。
・ちなみにモデルは『ウルトラマンブレーザー』より『SKaRD移動前哨』こと『モッピー』君であり、本当はもう少し外見を派手にするつもりだったのだがブレーザー本編でのモッピーの活躍を見て『リアル思考のマシンも良いじゃん』と外観は普通のハイエースとなった。

ヤマト&アオビト:ボス属性持ち
・契約を行った仲魔にもボス属性は付与されており神意によって限界を超えたスキル枠を有させているのもコレが原因だが、あくまでスキル枠などの拡張性を引き上げる為の擬似的なモノなので一般的なボスが持ってるHPの増強や状態異常耐性の向上などは基本的にない。
・とは言えボス悪魔的な特性である事は間違いないので、本人が経験を積んで成長してる事もあって今回の様なイベント戦的な逃走不可の戦闘を行えるが、基本的にマガツヒがある環境が必要だったり自分のレベルが一定以上だったりな状況が必要。
・更に自分を含めた味方も逃走出来なくなるから普通に使う分にはリスクの方が大きくなるので、今回に様に形振り構わず確実に仕留めるとか相手を絶対に逃したくない状況ぐらいしか使う機会がない。


読了ありがとうございました。
みんなが極道と戦ってるのに横殴りしてくる連中がいるのでそれをボコっていくDAT隊のお話。イベントボスバトル(ただし主人公がボス側)の時間だ!
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