真・女神転生オタクくんサマナー外伝 ~ナホトラマン奮闘記~ 作:貴司崎
「(……さて、状況は普通にまずい感じね。
相手から自陣へ
……まあ、整理すると“隙が少ない格上に手数の差で圧倒されてシンプルに押し込まれている”と言う形なのだが。逆転するにしてもメインアタッカーの【ジャガーノート】を持ってしても恐らく【大活脈*1】辺りでHPを増強しているナホビノとその高レベル
「(今回のヒュージは学園して彼女達を狙う様にいつもの対CHARMユーザー様に調整してて格上対策型は持って来なかったのよね。この世界のレベルが高い事は分かってたのに準備からミスるとか今までの成功体験が尾を引いてるのかしら、これじゃあエターナル連中を笑えないわねぇ。……“神造魔人式の合一神”、しかもあの【魔人王】謹製の“アオガミ系”の改修型とはね)」
これまでの戦闘で使用したスキルやプレスターンの挙動から乃恵美はヤマトが『魔人王が回収した神造魔人と合一した個体』であると推測していた。魔人王は幾つかの世界で自らの目的の為に自作の神造魔人をばら撒いており、その一部をG.E.H.E.N.A.が回収して解析と研究を行いデータが揃っていたので直ぐに当たりを付けられたのだ。
ただし、魔人王が作った物は通常の神造魔人と比べて多数のスキルを運用出来て拡張性・成長性が高かったのだが、初期能力が低くて即戦力にはならず基本ステータスも低めで何より初期の経験を積んでいない神造魔人の判断力では豊富なスキルを使いこなせないのでサマナーの仲魔としてなら使えるが自立行動には不向きな扱い辛い代物……と言うのがG.E.H.E.N.A.での評価であったのだが。
「(ステータスも合一神になればどうにでもなる上、判断力も合一後でも人間が主体で動くのなら問題はないって事かしら。多分合一しても初期値低いから強くなるのは大変だろうけど、逆に言えば苦労して強くなった分だけ経験を積んでるって事だからテオゴニアの多くの合一神みたいな“最初から強かったので弱者しか相手にするしていないからこその傲慢さ”が少ないって事かな。最終的な総合性能なら普通の合一神よりも厄介になるのかもね)」
本職である研究者らしくそこまで考察しつつ出来れば捕獲したいとも思った乃恵美だったが、どう考えても捕獲の為の手加減が出来るレベルの手合いではないので直ぐに思考を切り替えて目の前の厄介な敵手をどうにか倒す方法を思案する。
「(普段なら逃走一択なんだけど逃げられない領域みたいなのが展開されてるし、何より“今回の実験”の為にも全力で戦った方が良いデータが取れそうだし……このまま日和った戦術を取っても勝てなさそうだから賭けに出ましょう)【プロテクト展開*2】」
そして実時間では刹那の内に考えを纏めると同時にCHARMのコマンダースキルを自分達が行動するより前に発動し*3、最初に行動するイビルアイに“とある命令”を下してからその巨体を敵陣に突っ込ませた。
『ギイイイイイイイイイイィィィィィァァァァァァァッ!!!』
「突撃? 物理型の個体には見えないが……まさか!」
「……吹き飛びなさい」
| 自爆 | スキル使用者のHPを全て使用し、敵味方全体に自爆属性の大ダメージを与える。使用者は死亡してストックに戻る。 元は真3仕様の自爆属性スキルで、それを科学的に再現した機能が躯体を跡形もなく消し去る証拠隠滅用として特型ヒュージには搭載されている。 具体的には“敵味方全体に自爆属性の特大ダメージを与える。其の後使用者はロストする”効果となっている。 |
そうヤマトが訝しんだ直後、イビルアイの躯体から光が走ったとヤマト達が思った瞬間、文字通り自分自身を消し飛ばす様な大爆発が起こり発生したエネルギーが敵味方問わずに飲み込んでいった。
その爆発は“自爆属性”と言う希少な属性故にその場にいる者達の耐性を無視して大きなダメージを与える……が、ヤマト側はバフが掛かっていた事としっかりとダメージを回復していた事もあってHPを数割削られた辺りで耐え、ダメージを受けていた乃恵美とジャガーノート側も元の耐久性が高い躯体と事前の【プロテクト展開】による防御上昇でかなりのHPが削られたが耐えていた。
「エデンが自分を巻き込む自爆なんて……!」
「ふぅ、こっちが耐えられるかは割と賭けだったけどいけたわね……ジャガーノート」
『キイイイイィィィィィァァァッ!!!』【物理貫通★*4】【モノノフⅢ*5】【ティタノマキア*6】
続けてジャガーノートが自動回復込みでもHP消費スキルが使えなくなるぐらいにボロボロになりながらも、こういう状況の為に予備として覚えていたMP消費型の物理スキルによる巨人の如き乱舞で敵全てを薙ぎ払い、高まったクリティカル補正によってヤマトとコウリュウと琴陽には致命打となり瀕死にまで持ち込んだ。
「
『……ギイイイイイイイイイイィィィィィァァァッ!!!』
| 招来石 | 仲魔一体を召喚・帰還させて瀕死状態から復活させる。 真4出典のアイテムをベースにマシン悪魔であるヒュージにも使用可能にした改造品。 ただしマシンの完全修復は難しく多少のステータス低下は起こる。 |
それによって出来た隙を使って乃恵美はアイテムを使って倒されていたメイルストロムを無理矢理再起動させ、先程の焼き直しの様にそのボロボロの躯体をヤマト達へと突っ込ませた。
「まさかもう一度……!?」
「そういう事よ。天丼で悪いわね」
『ギイイイイイイイイイイィィィィィァァァァァァァッ!!!』
| 自爆 | スキル使用者のHPを全て使用し、敵味方全体に自爆属性の大ダメージを与える。使用者は死亡してストックに戻る。 元は真3仕様の自爆属性スキルで、それを科学的に再現した機能が躯体を跡形もなく消し去る証拠隠滅用として特型ヒュージには搭載されている。 具体的には“敵味方全体に自爆属性の特大ダメージを与える。其の後使用者はロストする”効果となっている。 |
そして予想通りにメイルストロムは大爆発を起こし、今度は敵味方問わずにHPが大きく減っていた事もあってその場の全ての者を瀕死にまで持ち込むダメージを与えたのだった。
「アッハッハ! 派手に死んだわね! 復活するけど!……流石に仲魔全てに食いしばりは付けてなかったわね」
「チッ、マダ以外の仲魔は死んだか」
「こんな無茶苦茶な……!」
| 不屈の闘志 | 戦闘中に一度だけHPがゼロになる攻撃を受けた時に耐え、HPが全回復する。 真5仕様のそれをヤマト・マダ・琴陽・乃恵美は修得していて使用した。 ジャガーノートはD2使用のHPが200回復して復活する物と同じ効果の【再起動】機能を持つ。 |
そんな自分の身も顧みない出鱈目な攻めによってアモンとコウリュウは瀕死となり送還され、それ以外の者全ても【不屈の闘志】或いはその類似機能を使わされる結果となったのだった。
……乃恵美がヤケクソになったと思われるかもしれないが、最終的に彼女達の側にはHPが回復した乃恵美とジャガーノートが残り、敵側の仲魔を二体消したことによって奇しくもヤマトが行った通りに“味方が減った事による行動回数の減少”と言うプレスターンのルールが次の手番で起こる事となった。
「これで少しは状況がマシになったかしらね」
「……舐めるなよ。そのヒュージのHPは食いしばりのタネがさっきのヒュージと同じならもう僅かだろうに」【
「派手に死んじまったぜェ! ほぉら強化だァ!」【魔のドナム+2 *7】
「DEハ吹キ飛ビナサイ」【衝撃プレロマ*8】【衝撃ギガプレロマ*9】【殺風撃+7*10】
だが、仲魔が死んで
自動効果とチャージ効果によって威力が上がった衝撃波は狙い過たずジャガーノートに直撃し、再起動直後で脆くなっていたその躯体を砕いて機能を停止させた。
「後はアイツ1人だか「お前じゃ倒せんから回せ」……分かってるわよ!」【パス*11】
「これで元通りだ」【
これで残った相手は怨敵の乃恵美1人だと思って攻撃しようとした琴陽だったが、物理は回避されて銃撃や破魔は通じず万能にも耐性がある相手に有効打は無いのでヤマトに言われた通り素直に手番を回し、それを受けたヤマトはストックから【鬼女 カーリー】を呼び出して次の行動に備える。
これで再度味方側の人数が揃い、加えて敵の数が1人であれば行動回数も高が知れている状況となって、次以降の手番で数の差を持って圧殺できるとヤマトは判断し……そう思わせる事が乃恵美の狙いであった。
「……そうすると思ってたわ。プレス使いにしては安定性重視みたいだものね、貴方や【魔人王】は」
『……キイイイイィィィィィァァァッ!!!』
| リブート | 味方ターン開始時、2人以上戦闘不能ならHPを全回復し復活させる。1戦闘1回まで。 SH2出典の自動コマンダースキル。 ターン開始時に蘇生するので蘇生された味方を含めてプレスターンアイコンが決定されると裁定する。 |
手番が回ってくると同時に乃恵美が持っているCHARMから光が放たれ、それを受けて活動停止していた筈のジャガーノートが再起動して全身から火花を散らせながら立ち上がった。
だが、他の二体が自爆により再起動不可能なレベルでロストしている以上はジャガーノート一体しか再起動出来ず、このまま戦っても手数が足りずに負けるのは目に見えていたので彼女は更なる一手を打ち、それを受けてジャガーノートはヒビ割れた躯体から異常なまでの光を放ちながらヤマトに向けて突貫する。
『ギギギギギギギゲアアアアアアアァァァァァァァッ!!!』
「また自爆か! だがさっきとは様子が……!」
「この子の証拠隠滅機能は特別性よ」
| 肉弾 | 物理属性で敵単体にダメージを与え、自身のHPが1になる。使用時のHPが多いほど与えるダメージが上昇する。 SH2出典の物理属性スキルだが、ジャガーノートに搭載された物は【自爆】と組み合わせた証拠隠滅用の改造品。 具体的には使用後に跡形もなく消滅してロストする代わりに敵単体に超極大のダメージを与える特攻機能となっている。 |
反応すら許さない程の速度で突貫したジャガーノートはヤマトに体当たりすると同時に躯体に内包されたエネルギーを彼に向かって解放、効果的には【物理貫通★】により貫通が付加された超極大な物理ダメージとなって自らのロストと引き換えに圧倒的な耐久性を持つナホビノである筈の彼のHPを全開状態から一気にゼロへと追い込んだ。
……だがそれでもヤマトとアオビトは自らの体内のマガツヒを強固に維持して肉体が損壊しない様に【食いしばり*12】を行い、超極大なダメージを喰らってもギリギリで耐え凌いだ。
「ただ威力が高いだけならば凌げるが……俺が狙いか」
「貴方を倒せば仲魔も全て消える。サマナー狙いは対サマナー戦の基本よ」
| クロックアップ | 味方単体の次の行動回数が1回増加する。SH2のコマンダースキル。 単体の行動を加速させるので自陣全ての行動回数に影響する必要にあるプレスターンバトル時には使用出来ない。 だが今は乃恵美単騎なので彼女1人の行動のみが“自陣の行動”であるので |
| ハイアクセラレート | 味方単体の行動回数を2回増やす。SH2出典。 上記と同じ理由で今の状況ではプレスターンアイコン追加能力となり現在アイコン数は3つとなっている。 |
そうして最後の命綱である【食いしばり】を切らせた乃恵美は単騎になった事で使える様になった自己行動加速スキルを多重に使用、プレスターンバトルの法則化で複数回行動を行える状態でヤマト僅か仕留めるべくCHARMを振り翳し人間とは思えない膂力でアスファルトを踏み砕きながら高速で接近する。
……これこそが彼女の狙い、特型ヒュージを自爆させてまで敵の手札を減らしつつ自分自身を敢えて単騎まで追い込み自己行動加速してスキルを使用。その状態で貫通付きの確定クリティカル物理攻撃によって
| 朧一閃 | 敵単体に特大威力の物理属性攻撃。命中率が低い代わりに当たれば必ずクリティカルになる。 真5出典の物理属性スキルで【物理貫通★】によって相性を無視し【龍眼】【獣眼】によって命中率を上げている。 |
そうして振り下ろされた必ず致命打となる超威力の一閃、CHARMの機能による貫通と改造強化された魔眼による命中精度を併せ持ったその一撃は残りHP1のヤマトを確実に仕留めつつ、クリティカルによる連続行動を持って残った琴陽を始末出来る一手となる……。
「だがここは敢えて“まだだ”と言わせてもらう!」
「そのアイテムは……!」
| 木彫りの山羊 | ナホビノのHPが0になった時、1度だけ身代わりになって消去し、HP全快で復活させる。 真5出典のアイテムで1つしか所持出来ず以前の“模造ダアト台東区”内にあった宝箱から入手していた。 ただこれまで1戦闘中に3度以上死ぬ事はなかったので今の今まで温存されていた模様。 |
| 観音神符 | 自分への攻撃がクリティカルだった場合、それを通常の成功に変更する。 200X出典のアイテムで副隊長製の物は3枚まで所持可能。 |
……筈だったが、ヤマトは副隊長謹製の護符によって致命打を避けて機先を奪われない様にしつつ、瀕死になった瞬間に最後の切り札である身代わりアイテムを使って食いしばりながらHPを全回復して復活したのだった。
それを見た乃恵美だったがそれでも再びの【朧一閃】を放ってどうにか仕留めようとする……ここで彼を仕留められなければどのみち敗北は確定であり、故にクリティカルを無効にされても自身最大威力の物理攻撃である【朧一閃】を連打するしか選択肢は無い状況だからだ。
「……届かなかったか。私火力重視のスペックじゃないからなぁ」
「致命打でない【朧一閃】二発までなら耐えられない程じゃない」
その結果、ヤマトは護符によって致命打を避けていた事、そして己自身の神格を定められる合一神の特権によって耐久性を上げていた事もあって2度の斬撃をどうにか耐えつつ機先を奪われずに加速された乃恵美の手番を終わらせる事に成功して
| 貫く神気 | 自身に次に行う全ての攻撃のダメージが著しく上昇し(3.4倍)、相性を無視して貫通するチャージ効果を付与する。 真5出典の邪神族のマガツヒスキルで【種族超越】によりマダのスキルを使用。 |
| 天剣叢雲 | 敵単体に力依存による特大威力の万能属性攻撃。クリティカル時、威力が上昇する。 真5出典の“零式”と呼ばれる神造魔人のスキルで【万能プレロマ】により威力が強化されている。 |
そしてヤマトは溜まったマガツヒを解放して邪神族が秘める凡ゆる敵を滅ぼす力の具現を自身に宿し、それによって極大なまでに強化された長大な光剣による反撃の一閃を乃恵美に
……だが、その一撃でHPを削り飛ばす一閃を喰らった筈の乃恵美の肉体は未だに原型を留めており、その傷口から“機械を覗かせながらスパークを起こしながらも”【食いしばり】を行う事で持ち堪えていた。
「その肉体は……」
「良く『他人を使うんじゃなくて自分達を実験材料にすればいいだろう』って言われるけど
| マシンオペレーター/サイボーグ | 西村乃恵美 | LV89 |
そう、研究職がメインである乃恵美が合一神や悪魔人間とも互角に戦えるだけのスペックやスキルを有していたのは、自分自身をヒュージ研究などで得られた技術によって改造されていたからであったのだ。
元より【G.E.H.E.N.A】は研究の為ならば凡ゆる犠牲を厭わない者達の集まりであり、当然ながらその“犠牲”には自分自身をも含まれており彼女の身体は研究で得られた成果が一切の危険性を無視して詰め込まれていたのだ。
「ならこれ以上【自爆】とかされないウチに確実に始末した方が良いか」
「容赦ないわね、まあ此処から逆転出来るような“とっておき”なんて無いんだけど」
ただし、状況が此処まで詰められれば改造された肉体になど意味は無く、続けて動いたカーリーの多腕に保持された刀剣による【地獄突き+4*13】で乃恵美の身体は斬り刻まれ、機械躯体に備わった【再起動】を行うもヤマトの指示を受けた容赦なくマダの【トリスアギオン+5*14】とイナンナの【殺風撃+7】による追撃が放たれて、既に多大なダメージを受けていたその躯体は燃やされ砕かれて完全に機能を停止したのだった。
──────◇◇◇──────
「……終わったの?」
『敵、西村乃恵美の撃破を確認。アナライズ結果でも完全にロストしているモノと思われる』
「蘇生する気配もない上に蘇生出来ないレベルで破壊したからな。……実は複製された機械人形だったみたいなオチとかでも無ければ」
戦闘が終わった後、ヤマトは逃走不可の領域を解除してから破壊した西村乃恵美及びヒュージの残骸を念入りに調べていた。実は生きてましたネタは割とあるだろうし、機械化されてるなら何か面倒な仕掛けがある可能性も否定できないからだ。
まあ、殆ど残っていた彼女の肉体部分はほぼ全て炭化して、機械部分は衝撃波によって粉々にされているのでまず復活不可能なレベルでロストしている筈なのだが……。
「完全な機械じゃなくて生身の肉体も残っていたサイボーグみたいだから、これ自体があの女の“本体”である事はほぼ間違いない筈。アナライズ結果でもそう出てるし魂は既に離れてる。……ただ、どうもあっさりと死に過ぎてる気がするのよね」
「因縁がある相手を倒した割には浮かない顔だな。何か気になる事でもあるのか?」
「まあ恨み辛みがあるこの女を倒せたのは嬉しいんだけど、最後が余りにあっさりし過ぎてたから実感がね。それに死ぬ時の態度がどうもあっさりし過ぎてたし。……私達みたいな“周回者”は自分達が特別だと増長して現行世界の事を見下してる事が多いから死ぬ時にはもっと見苦しくなる筈なんだけど、この女は余りにあっさり自分の死を受け入れていたからね。まあG.E.H.E.N.A.のキチガイ共ならこっちの方が自然かもだけど」
因縁に決着が付いた筈なのにイマイチ納得が言っていなさそうな表情になって考え込んでいる琴陽を見たヤマトは、取り敢えず死亡している仲魔をストックにいるデメテルの【サマリカーム+5*15】で蘇生させて、更にアイテムで出来る限りMPを回復させてから手から光剣を出して後ろから琴平の首に当てた。
「…………えーっと、めっちゃ当たってるんだけど(光剣が) どういうつもり?」
「当ててんのよ。……そもそも敵同士の一時的な共闘なんだから戦闘が終わったら敵同士に戻るに決まってるだろ」
「いやあれだけ熱い共闘をしたのに終わったら即背後から斬りかかるとか人の心は無いの!? そんな恥晒しな事は私でもしないよ!!」
「だから斬り掛からずにこうして脅してるだけだろうに。……この状況でお前達にまで動かれれば混乱は更に広がるだろうから大人しくしていて貰う」
そう言いつつ戦闘になったら背後から攻撃を加えて先手を取りつつ、直ぐに琴陽と相性の良い仲魔を召喚して確殺を狙う準備を整えているヤマト。琴陽の方も1人では既にヤマトには勝てないぐらいに実力差があると分かっていたので、内心では冷や汗を流しながらどうにか逃走出来るルートは無いかと思考する。
まあ、ヤマト的にも琴陽には複雑な感情を抱いているのでこのまま大人しくしてくれるならそれでも良いかと思い……直後、背後から迫る“何者か”の気配を感知した。
「……琴陽から離れて下さい!」
| ブルグンドの怨嗟 | 物理貫通を得る。命中率が50%増加。死亡時一度だけHP500で踏みとどまる。 自身が生存中、味方全体は次の効果を発揮「物理属性スキルで消費するMPが1減少」 自ターン開始時と「忠義の剣」発動時、連動効果が発動「1ターンの間、敵全体の物理属性相性を1段階低下させ、消沈にする。」 自ターン終了時、連動効果が発動「ランダムな敵に1回、物理属性の打撃型ダメージを威力100で与え、攻撃成功時、100%の確率で即死させる。このスキルは死亡時踏みとどまる効果を無視し、敵を死亡させた場合復活が出来なくなる」 D2出典の【英雄 ハゲネ】専用スキルであり、Lはその分霊を持つ神造魔人なので劣化はしているが使用可能。 |
| 忠義の剣 | 敵単体にクリティカル率100%の物理属性の打撃型ダメージを威力200で与える。 攻撃成功時、連動効果が発動「味方全体を会心状態にし、1ターンの間、味方全体の攻撃力・回避と命中を20%増加させる」 このスキルによるダメージは反撃効果・死亡時踏み止まる効果を無視する。 D2出典の【英雄 ハゲネ】専用スキルであり、Lはその分霊を持つ神造魔人なので劣化はしているが使用可能。 |
迫っていたのは以前琴陽達からは【L】と呼ばれていた神造魔人の少女であり、薄桃色の髪を持つ彼女は琴陽を救うべくその身に宿る英雄の奥義たる反撃も食いしばりも不可能な一閃をCHARM【ダインスレイフ】を振るってヤマトに見舞い……。
「くっ!?」
だが、背後からの奇襲に反応したヤマトはその攻撃が“嘗てダアト時代に暴走した【白井夢結】が使っていた食いしばり無効攻撃”と同種のモノだと看破し、それで一度胸を貫かれて死んだ苦い経験もあってか即座に光剣を展開して防御しつつ飛び退いて距離を取る。
「他の面子も出て来たか、まあ都合は良いな。……貴様もいるんだろう白井咲朱」
「……やれやれ、琴陽を人質にとって私達を誘き出すとか中々エグい真似をするわねぇ」
そんな事を言いながら物陰から現れたのは【新しき神話】に席を置く琴陽達のリーダーである合一神【白井咲朱】であった。ヤマトが琴陽を脅したのは何かの視線を感じたので恐らく仲間だろうと思って誘き出す為でもあったのだ。
「こっちとしては今は貴方と事を構える気は無いんだけど。今日も様子を見に来たのは“あのメスガキ”が関わってる馬鹿騒ぎに夢結が巻き込まれないか様子を見に来ただけだしね」
「そうか、ならこの場で馬鹿騒ぎが終わるまで大人しくしていて貰おう」
そう言いながらヴィシュヌ・デメテル・アスラおうの三体を召喚して戦闘態勢に入るヤマトを見て、咲朱は少し顔を顰めながらどうにか言いくるめられないか思案する。
「でも、今現在進行形で学園が襲撃されてるけど良いのかしら? G.E.H.E.N.A.の雑兵や極道程度ならともかく“あの魔人達”は貴方でないと対処出来ないと思うけど」
「俺程度で対応出来るレベルの戦力なら隊長達と学園の戦力だけで十分に対応出来るだろう。それよりもお前達が学園に行って状況を混乱させる方が面倒な事になるからな」
とりあえず今襲撃されている学園をネタにして揺さぶり、本来の目的である“学園の様子見”を出来る様にしようと測った咲朱だったがヤマトは一切動揺せずに斬って捨ててしまうので内心頭を抱える事となる。
ちなみに此処までヤマトがハッキリ言っているのは合一しているアオビトが有する通信機能によって他のDAT隊メンバーから『学園側のG.E.H.E.N.A.戦闘員とヒュージは大体撃破、撃ち漏らしも学園側の戦力によって掃討されてる。全体的な戦局は有利』と言う報告を聞いているからでもあった。
『学園上空に配置してあるステルスドローンによる映像からも彼女達が言う“魔人”を思わしき者達は現在学園側の戦力と交戦中と確認。遠目からだから詳細は分からんが互角の戦闘の様だ。敵の能力が分からないから油断は出来ないが』
(この世界で噂には少しだけ聞くけど俺達は【魔人】なんて種族の悪魔とは“遭遇した事もない”からな。……それでも有利ならこのままコイツらを見張って足止めがベストかね。こっちも余裕がある訳じゃ無いから何もせずに撤退してくれても良いんだが……何かまだ別に
また、彼等は神造魔人の通信機能を応用して【DAT移動前哨】に搭載された新装備【DATステルスドローン】から送られて来る映像を見る*18新能力も使って戦場を見ているので、相手の挑発にも冷静に対応出来ているのだ。
眼界系などのスキルを使って同じ様に学園の攻防を把握している咲朱もこの状況では揺さぶりは難しく、そもそも今回は本当に夢結の安全確保の為の偵察目的だった事もあって学園側が大丈夫そうならヤマト達と戦うリスクを負うより撤退した方がいいかと思案し……その直後、学園側から【とてつもなく恐ろしい気配】が発せられた。
「なんだ!?(魔人王!? いや、どの合一神よりも……!)」
「ちょっと!? こんな化け物が出て来るなんて聞いてないわよ!?」
それを感じ取った合一神達は自分達よりも遥かに強い“何者か”の気配に一瞬動揺するが、その存在が放ったと思わしき超絶威力の攻撃が複数回学園に放たれたのを感じ取って即座に対応しようとする。
『今に攻撃の余波でステルスドローンは破壊されたぞ。現地の詳細は分からなくなった!』
「あれだけ異様な気配ならこの距離からでも捉えられる! ……おい! 手伝えとは言わんが邪魔をするなよ!」
「そんな気はないわよ! ……此処まで好条件の世界は早々無いって言うのに!」
咲朱達も驚いている辺りあの存在は彼女達にとってもイレギュラーであると判断したヤマトは最低限邪魔される事は無いだろうと全速力で学園に向かおうとする。明らかに嘗て倒した他の合一神達や【シヴァ】よりも強い相手だが隊長達含むこの世界の戦力と協力すれば或いは。
……そう考えて気合いを入れていたのだが、走り出そうとした直後にその異様な気配が“まるで何者かにぶっ飛ばされたかの様に”学園から弾き出されて、更にそのすぐ後に魔人と思われる異質な気配は学園周辺から跡形もなく消えてしまっていたのだ。
「……撤退した、のか?」
『学園近辺に敵性存在の反応は無し。DAT隊はまだ戦闘を続けている様だから、おそらく近辺の敵はまだ残ってはいるがあそこまで異質な気配は既に感じられない』
「この世界色々とおかしいでしょ。夢結の状態は最高なのに世界の状況がアレすぎて判断に困るわぁ……」
目紛しく変わる状況に困惑を強める合一神達だったが、それでもとりあえずイレギュラーな危機は去ったと判断して……次に敵と相対しているこの状況をどうするべきか考え出した。
「……とりあえず今日この場は撤退させて貰えないかしら? 少なくともこの馬鹿騒ぎが終わるまでこの世界の勢力には手出ししないと誓うわ。……状況が混沌とし過ぎていてイレギュラーが多過ぎるから、私達は下手に手出ししない方が良さそうだし」
「……この場で素直に引くなら見逃す」
「ありがと。……夢結の身の安全はお願いね」
それだけ言うと咲朱達は瞬時にその場から消え去った。合一神に連なる者は【龍脈渡り】含めた転移能力を有している事も多い為、ヤマトとしてもそこまで驚きはなく彼女達の気配が完全に消えた事を確認して次の行動に移った。
「……とにかく隊長達と合流しよう。まだ戦闘は続いているんだからな」
『了解した。他DAT隊メンバーの位置情報をマップに表示する』
その位置情報を確認したヤマトは合一神の脚力を最大限に発揮してその場から跳躍、最高クラスのフィールド移動能力をもってまだ戦闘が続いている場所へと僅かでも助けになるべく全速力で向かっていったのだった。
あとがき・各種設定解説
ヤマト/アオビト:実は神意や能力が増えてる
・魔王城の一件でボスやエヴォルヴを倒してアマラコンピュータを破壊した時にマガツヒを取り込んでおり、その影響で新しい神意(真5Vの新規神意)が解放されて幾つか有効化している(マガツカの破壊による神意解放と同じ理屈)
・他にもこの世界に来てから色々と訓練とかはしてるので通信機能を応用した雲上視界とか、マガツヒを介して仲魔などと感覚を共有するしての遠隔偵察などメタ的には真5Vの新規機能の幾つかが使える様になっている。
西村乃恵美:ヒュージ技術で自分を改造したサイボーグ
・彼女に限らずゲヘナの研究員は自らの肉体を改造しており、戦闘が本職では無いもののDAT隊に襲撃された研究員はヒュージを使役しながら自分達も戦闘形態に変身するとか言う特撮の敵ムーブを行って結構苦戦させていた。
・その結果DAT隊も思った以上に梃子摺り何人かを学園に向かわれたので退魔生徒会や学園側に協力している者達が迎撃する事となり、DAT隊側も近場のDB達と協力して事に当たる事となった。
・彼女自身は元の戦闘能力も高かったのであくまで基礎能力を高める改造のみで変身とかはしないが、特型ヒュージとの連携を重視して耐久性を重視して物理攻撃を主にする形でヒュージに魔法攻撃や補助を任せるコンセプトだった。
・ただステータスも仲魔の性能も上回る相手に常にイニシアチブを握られたまま戦わせられたので敗北し、肉体を蘇生不可能なレベルで破壊されたので倒された筈であるが……?
読了ありがとうございました。
やったか!ゲヘナのリーダーも倒せたしこれは勝ったな!第三部完!この戦い我々の勝利だ!……とりあえずひと段落したので真5Vの二週目やるので次も暫く先だと思われます。