オリ主が転生する際に不老とハリポタの呪文全部とアイテムの知識をもらってダンまちに行った話 作:衝動書きする人
リューと不思議な店主
冒険者でも通る人は少ない裏の広い通り。そこでは非合法、とまでは言わないが法すれすれの物品の取引も行われている通称
生きていくにはここで商売を行うしかない。そういう人間が多く活用しているこの場所では、ギルドも把握しているが下手に突けばギルドの運営に影響が出る可能性がある程度には影響のあるものだったため、ギルドの承認が必要なく商売ができている。同時にそれはギルドの庇護下ではないということでもあり、そこで起こった問題はないものとして扱われている。
それは商人が得している、というわけではない。とりわけ冒険者の街と言われているこの街ではそれが顕著だった。
「おい、誰の許可を得てここで商売をしてるんだ?」
腰に剣を携えた男が1人、小人族の女性の露店で汚い笑みを浮かべて立っている。どう見ても商品を買いに来たのではないその様子に、誰もが自分のところに飛び火してほしくないからか目を背けている。
大なり小なりはあるが、冒険者は総じて力を誇示する傾向にある。特にレベルの低い期間が長かったものはその傾向が強く、冒険者ではない商人に暴力をちらつかせていう通りにさせることが多くあった。ファミリアの庇護下にない商人たちはどこにも頼ることはできず、ただ冒険者という嵐が過ぎ去るのを待つしかなかった。
「許可?ここで商売するのに許可なんているので?」
ただ、この小人族の女性店主は違った。剣は抜かれてはいないもののちらつかせている様子を見せている男に対して呆れたような表情をわずかに浮かべるが、男はそれに気づいていない。
「当たり前だ。ここはソーマ・ファミリアが管理している場所だ。ここで商売をしたけりゃ場所代をちゃんと出してもらわにゃいかんなぁ」
「ソーマ・ファミリア?」
ニヤニヤと汚い笑みを浮かべている男に対し、店主はソーマ・ファミリアの名前を聞くとクツクツと笑い始める。
「なんだ、文句あるのか?」
「いやいや。ソーマ・ファミリアなんて酒が欲しくて入っているだけのグズが多いことで有名なファミリアじゃないか。あのグズ共がちゃんと管理しているわけがないだろう?」
いや金儲けに関してだけはちゃんとするグズ共か、とゲラゲラと笑い始める店主。一瞬何を言われたのか理解できなかったのか呆然とする男だったが、言葉の意味を理解できたのか怒りで顔が赤くなった。
「この金勘定しか能のないクソ小人族が!殺されたいのか!」
商品を踏みつけて店主の胸ぐらを掴む男。もう片方の手は剣が握られておりすぐにでも抜ける状況にある。そんな様子を見て周りは騒然となるが、冒険者である男に逆らうことができないのか誰もが手を出すことができず、ただ自分に被害が及ばないように逃げることしかできなかった。
だが小人族の店主は胸ぐらを掴まれても怯むことはなく、その目には侮蔑の色が見える。
「金と酒しか興味ないグズに言われるのは心外だな。金勘定しか能がないのはお前らのほうだろう?金せびりの小僧共が」
淡々と人に出す声色とは思えない言葉を出す店主。胸ぐらをつかめば怯えると思っていた男は店主の態度に胸ぐらをつかんでいた手を緩めそうになる。
「こ、この、クソ小人族が!」
だが、小人族にバカにされているということが気に障ったのか剣を抜いた。武器をちらつかせば今度こそ怯えるだろうと思っていた男だが、小人族の店主は侮蔑するかのように鼻で笑った。
「武器をちらつかせれば怯えると思ったか?浅はかだな、考えることのできない小僧の考えることだ」
「ん、だと、このクソがぁ!」
今度こそ切り殺してやる、と頭に血が上った男は抜いた剣を大きく振りかぶる。周りにいた人たちは悲鳴を上げて我先に逃げて行った。店主が軽く手を振り、男の剣がそのまま店主へと振り下ろされる直前、金属同士が激しくぶつかる音が男の剣から響いて剣が弾かれるように飛んでいった。
「何をしている」
キンッとかすかに金属が擦れる音がした。同時に男の首元にヒヤリとした感覚が感じられる。恐る恐ると声がしたほうを男が見ると、そこには口元をマスクで隠した金色の髪のエルフの少女が男の首に剣を突き立てていた。
「テメェは、アストレア・ファミリアの……!」
「もう一度聞く。その店主に何をしようとしている」
エルフの少女、リュー・リオンからの圧力が強くなる。歳は離れているとはいえ、レベルは大きく離れている実力差に男は生唾を飲み込み、忌々しそうに舌打ちを打った。
「ッチ!覚えてろクソ小人族!」
店主を投げ捨てるように放し、飛ばされた剣を拾って男は情けなく走り去っていく。店主は不機嫌そうに鼻を鳴らして服を整え、リューはマスクで表情は見えないが店主に心配そうな目を向けていた。
「大丈夫ですか?」
「すまないね、あのままだとどっちかが死なないと終わらないことになってたよ」
「いえ、あのままだと死んでるのはあなたかと」
「言うねぇ嬢ちゃん」
先ほどまでの剣呑な表情から一転してケラケラと楽しそうに笑う小人族の店主。笑い事ではない、と半分呆れたようにリューはため息をついた。その様子を見て店主はさらに面白そうな笑い声を上げる。
「店主、いくらなんでも冒険者をなめすぎている。さっきもまだ程度が低いとはいえ恩恵を持たない一般人が相手すれば間違いなく死んでしまう」
「ふふふ。まぁ、あんたがそういうならこれからは注意してくさね」
さすがにこれ以上は本当に先ほどの二の舞になると判断したリューは店主に注意をする。それを愉快気に笑みを浮かべながら店主は了承し、続いてそうだと店主は何か思いついたのか商品が入っているのであろうトランクを開けて中を探り始める。
「助けてくれた礼だ。あんたにいいものやるよ」
「いえ、そこまでしてもらうほどのことは……」
「いいからいいから。自信はあっても売れていない物を渡すだけだしねぇ」
「……売れないものを渡すのはどうなのですか?」
「確かに!けどこのご時世食べ物以外が露店で買われることは少ないからねぇ!」
こっちが勝手にやってることとはいえ言うねぇ嬢ちゃん!とリューの言葉に愉快そうに笑う店主。店主にそう言われ、お礼を求めていないとはいえ無料で商品を渡してくれると言った人に対して失礼なことを言ってしまったと苦虫を噛み潰したような表情になる。
店主も気にしていないのか、別にいいさこっちが勝手にやってることだからねぇ、と笑いながらバッグから商品を取り出していた。
「あんた、アストレア・ファミリアなんだっけ?」
「え、えぇ、そうですが……」
「何人いるんだい?ついでに種族構成も教えてくれ」
「えっと、ですから……」
「全員で2桁の人数はいることは覚えているんだが、それ以上は知らなくてね。それを知らんことにゃ渡せるものも渡せん」
ギルドで調べれば出てくることな上にオラリオでも有名なファミリアなこともあり、先程の失礼なことを言ってしまったこともあってリューはしどろもどろにアストレア・ファミリアの構成人数を教えていた。
「全員で11人で内小人族が1人ね。それじゃ、これをやろう。好き嫌いがあるかもしれんから余分にな」
そう言って店主がバッグから出したのは複数種類の色を取り揃えたマントと手袋、帽子だった。花の刺繍も入っており、今が平和な時ならば買う人もいるだろうほどのものだった。
「これは……?」
「お守りさ。暇つぶしに刺繍を入れてみたものだが、案外うまくいったものさ」
オラリオを護る身ではあるが、同時に狙われている身でもあったリューは、店主に失礼だと思いながらも罠が仕掛けられていないか確認する。
「あの、ありがとうございます」
しばらくして全部の商品に傷つけるような罠が仕掛けられていないことを確認したリューは疑っていたことも含めて頭を下げる。それを知ってか知らずか店主はカラカラと笑いながら手を左右に振った。
「いいさ。目玉商品として作ったはいいがなかなか売れなかったものだから気にするようなことはないさ」
ヒラヒラと手を振って気にすることはないという店主。それでもとリューは頭を下げる。その反応を見て店主は満足したのかこの場を去るために商品を片付け始める。荒らされた商品を含めて出していた商品は少なかったおかげか片付けはすぐに終わり、数分もかからないうちに店主が持っているのはトランク1つだけになった。
「あぁ、そうそう。それを着けてるといいことがあるかもしれんよ。まぁお守り代わりと思ってもらっていいさ。ちゃんと機能するのは確認しているからね」
「機能?」
「機能しないことのほうがいいが、まぁ時代が時代だ。保険はあるに越したことはないだろうさ」
それだけ言うと店主は、運が良ければまたのご利用をお待ちしております、とカラカラと笑いながら店主は手を振ってその場を後にした。
「……変な店主でしたね」
裏路地へと去っていった店主を不思議そうな表情で見送った後、リューはポツリと呟いた。あんなことがあったのに気丈な様子だったことは称賛に値すると思っていたが、あの様子だとただのお気楽なだけかもしれないと思い、もう1度だけ店主の去って行った方向を見てから帰路についた。
「ただいま戻りました」
「おっかえりーリオン!」
道中特に問題が起こることはなく、何事もなく拠点に着いた。中に入るとアストレア・ファミリアの団長であるアリーゼ・ローヴェルが元気そうにリューに抱き着こうとする。同時にアリーゼはリューが行きにはなかった荷物を持っているのを見て抱き着く代わりにリューの持っている物を観察し始める。
「あれ?それどうしたの?手袋やマント、帽子も持って。見回り中に買ってきたの?」
「いえ。露店の店主からいただいたものです。冒険者に絡まれているときに助けたらお礼に、と」
リューはその時に起きていたことを話すと、アリーゼは感心したように軽くため息を吐く。
「ふぅん?というか、冒険者に絡まれてるのに言い返すなんてなんて大した度胸ね、その店主さん」
「度胸があるというか、図太い性格なだけな気がしましたね」
思っていると主神であるアストレアと同じファミリアの仲間であるサンジョウノ・輝夜達が部屋に入ってきた。
「おかえりリュー。ずいぶんと物を買ってきたのね」
「ついさきほど戻りましたアストレア様。買ってきたのではなくもらったのです。店主が言うには目玉商品だそうです」
そう言ってリューは持っていた物を広い机に置く。色とりどりのマントや帽子、手袋を並べられたのを見るとアストレア達は物珍しそうな表情を浮かべてそれらを手に取る。
「ホントだ。確かにきれいな刺繍とかはあるね」
「はい。ただ、使えるのは確認しているけどお守りとして機能するから着けているといい、などとよくわからないことを言っていて……」
「お守り?」
小人族に伝わるお守りでもあるのだろうか、と思いライラに視線を向けるが、私も知らないと首を横に振られてさらに疑問が深まる。罠か?と思い何人かが警戒したが
「まぁいいじゃん、そんな細かいことは。あ!この赤いマントいいじゃない!私にピッタリ!」
キャイキャイと嬉しそうに赤いマントを手に取ってはしゃぐアリーゼに呆れたように軽く息を吐くリュー達。ふと輝夜がマントを見ると、そこにあった刺繍を見て手に取って観察する。きれいに刺繍されているそれを見ては感心したような、逆に呆れたようなそんな声を出した。
「リンドウの花が刺繍されてるのか……。このご時世に呆れたというか、気障というか……」
「どうして?きれいで良いじゃない」
「リンドウは極東で『正義』、『誠実』の花言葉がある。知ってて縫ったのか、それともただの気まぐれなのか……」
「正義ィ?確かに闇派閥に喧嘩売ってんな、それ」
正義。
「正義!誠実!いいじゃない!アストレア・ファミリアである私たちにピッタリじゃない!」
ただ、アリーゼにとってはそんなことは些細なことだった。むしろこんな時代に正義を謳い、このようなものを作ったなんてすばらしい人物ではないか、とすら思っているほどだった。
「せっかくだからみんなで着ましょうよ!正義の花を身に纏う正義のファミリア!いろんな色もあるしみんな好きなの取ればいいし!」
「そういうと思ったよ」
アリーゼのウキウキとした様子を見て苦笑を浮かべるライラ達。ただそこには否定したいという様子はなく、いつものことかという笑いだけだった。
この一件が今後どうなることになるのかは、リュー達にはわからない。怪しい店主からもらったマントたちを身に着けることで遠くない未来その命を拾うことになることは、誰も知らないことだった。
不思議な店主のマント/帽子/手袋
きめ細かな刺繍とともに作られた一品。店主の気まぐれに酔ってリュー達アストレア・ファミリアに渡る。普通に買おうとすればそれなりの金額になるそれらは、どうも不思議な秘密があるようで……?
ダンまち世界の魔法&呪詛=ハリポタ世界の魔法
ではないのでご注意を。誰もが知るアイテムを出せて満足です。
なお、この後致命傷も呪詛も見られない変死体ができていたとかなんとか。