オリ主が転生する際に不老とハリポタの呪文全部とアイテムの知識をもらってダンまちに行った話 作:衝動書きする人
オラリオでの例のあの人の始まり
「変死体?」
ロキ・ファミリアの拠点となる黄金の館。その一室で幹部であるフィン、リヴェリア、ガレス、主神のロキが今後のことについて話しているときだった。闇派閥との抗争も激しくなってきており、今後も被害が大きくなっていくであろうと予想を立てている中、ロキが思い出したかのようにギルドから聞いた話を口にしていた。
「せや。今オラリオで多発している冒険者の変死事件や。外傷も呪詛も
まぁそれも一部の話らしいけどな、と続ける。要領を得ない内容にリヴェリアは怪訝な表情をするが、フィンはロキに続きを催促した。
「それは、闇派閥の仕業かい?」
「いや、どうもその死んでる冒険者のほとんどは闇派閥で指名手配されとる連中がほとんどらしいんや。まぁ闇派閥じゃない連中もあまりいい噂を聞いてないような奴ばかりやしな」
いいざまや、と面白げに言葉を続けるロキ。その様子にやれやれと首を振りながらフィンが情報源を聞くと、ギルドが目撃者に聞いた話をそのまま聞いた話やけどガネーシャを同伴させてのことだから信憑性は間違いないだろう、とロキは言った。
「それだけだと闇派閥に恨みがある冒険者がしたことにしか思えないね。他に何か情報はないのかい?」
「ギルドの職員が聞き取り調査をやっとるんやけど、これと言った手掛かりは無しみたいや。目撃者もおっても人物像はみーんなバラバラ。ヒューマンかもしれんっていう声もあればエルフかもしれん、ドワーフかもしれん、小人族かもしれんという声もあるし、男の声をしていたと聞けば女の声をしていたとか言う。共通してるのは真っ黒なローブを着て人相もわからないようにしているということと見た事も聞いたこともない魔法を使うこと。あと棒状の何かを持っていたことやな」
ギルドじゃ冒険者殺しって呼ばれてるらしいで、と面白くなさそうな表情を浮かべているロキ。フィンやガレスは警戒の色を強め、話を続けるように促す。
「……黒いローブに見た事もない魔法?」
そんな中、犯人と思われる人物の特徴を聞いてリヴァリアがピクリと反応する。しかしロキはそれに気づかず言葉を続けた。
「せや。ほとんどが持ってる棒状のものから光が出た、だの詠唱すらしていなかった、だの、挙句の果てには火や水、風を操っとった、なんて錯乱でもしとったかみたいな証言ばっかりや。それでもみんな嘘をついていない。わけわからんわホンマに」
ロキの言葉に今度はリヴェリアだけでなくフィンも怪訝そうな表情を浮かべて反応した。どちらも聞き覚えがある、といった表情をしたりありえないと首を横に振ったりと反応は各々だが、ロキはその反応に疑問符を浮かべていた。
「……どんな魔法を使っていたんだ?」
「そうだね。確かに気になるね」
「お?リヴェリアはともかくフィンも気になるんか?せやな。ギルドから聞いたんは、人が屋根よりも高く浮かんだり、相手が突然切り刻まれたかのように血を噴き出したり、水が巨大な球状になったり、爆発したり、武器が吹き飛ばされたり、突然死んだり、なんてことがあったんやって」
ロキの聞いた証言は、確かに複数人いればおかしくはないことばかりだが、しかしおかしなところは多くある。なぜ全員同じような格好をしているのか。なぜ冒険者を相手に剣や槍が一切出てこずに魔法しか出ないのか。
「……名前は出てないのかい?」
「ん~。それっぽいのは複数人から出てるんやけど、どうも偽名っぽいんさなぁ。ギルドも確認したらしいけど、ギルドに登録のない名前やったみたいやで。名前を聞けても真っ黒なローブを着た連中がその名前を出したらしいんやと」
ロキの言葉に、確かに変な話だとガレスは頷く。評判を落とすために名を騙ることはよくある方法だが、人種関係なく使っていることがおかしい。小人族なら小人族、ヒューマンならヒューマン、エルフならエルフと同じ種族が名を騙るのが普通なはずなのに、混乱させるために使っているとしか思えない使い方にロキも困った表情を浮かべる。
「まぁ、ヴォルデモートなんて名前、今まで聞いたことないしなぁ」
「ヴォルデモート?」
「ヴォルデモートだと!?」
ロキがその名前を出した途端、フィンとリヴェリアは思い出したかのように顔をロキに向けた。2人ともに差はあるが、共通してありえないという表情が浮かんでいた。
「うぉ!?どないしたんやフィン、リヴェリア?」
2人の様子にロキは驚きの声を上げるが、フィンとリヴェリアはお互いに顔を向き合わせていた。
「リヴェリアも知っているのかい?」
「あぁ。今思い出した。だが、なぜ今その名前が出るんだ?その名前はいったい誰から聞いたんだ?」
「どういうことじゃ?」
ガレスは知らないのか、少し困惑したような表情を浮かべている。ロキも興味があるのか話を聞かせてくれ、と2人にせがむ。リヴェリアはどうする?とフィンに視線を送るとお先にどうぞ、と視線が返ってきた。それを見てリヴェリアは軽く咳払いをして話し始めた。
「ヴォルデモート卿。エルフの聖域と呼ばれていた場所に魔物が襲撃され、エルフ王族が危機に陥った時に現れたエルフの男。短い杖一本だけで多くの魔物を撃退し、その時の王に杖を授けた。と聞いている」
「……なんや、変な話やな?嘘言っとらんのはわかるんやけど、伝聞にしか聞こえへんで?」
「それはそうだ。今話したのは要点だけで内容は大きく省いているが、これはエルフ族でも王族とその側近、そしてごく一部にしか知られていない伝説だからな」
「伝説?」
「あぁ。これは地上に神が降りる前の、それこそ何千年も前の話だからな」
リヴェリアの言葉にロキとガレスは目を見開いた。まさか、正体不明な存在の名前がエルフの伝説に語られているとは思いもしなかったからだ。
「よく失伝されてなかったのぅ」
「あぁ。なにせ、その受け取ったらしき杖がまだ残っているからな」
リヴェリアの言葉に納得しかけ、疑問が浮かんだ。これにはフィンも予想だにしていなかったのか怪訝そうな表情を浮かべている。
「……残っとるん?」
「そうだ。手入れは王族が行っているが、ちゃんと現存している。その杖をこの目で見た」
今私が使っているものよりもかなり短いものだったが、と続けるリヴェリアにロキは好奇心が止められなかった。王族にしか伝わってないということはシークレットな部分もあるのだろうが、今はギルドを騒がせている人物の貴重な情報だ、問題ないだろうと自分に免罪符を付ける。
「何千年も前の物って残るん?普通は風化すると思うんやけど、偽物やないん?」
「いや、おそらく本物だ。なにせその杖を振っただけで火花が出る現象が起きたのだからな」
「……振ったん?」
「言っておくが振ったのは私ではないぞ。だが、確かに振っただけで火花が出たのは事実だ。大騒ぎになったがな」
今思えば伝説を素直に信じてヴォルデモートの魔法を聞いておくべきだった、と半ば後悔するように顔をしかめるリヴェリア。それにガレスは呆れたような表情を浮かべ、ロキとフィンは苦笑している。それに気づいたのかリヴェリアは照れを隠すように軽く咳をしてフィンに視線を遣った。
「そ、そういうフィンはどうなんだ。何か受け継がれているものがあるのか?」
「受け継がれている物はないかな。僕も王族の血を引いているなんてこともないし。あぁ、でも伝説ということでは僕のところも似たようなものかな。小人族に伝わる話、それも女神フィアナと行動を共にしていたという話があるんだ。女神フィアナがピンチになった時に助けてくれた魔法使い。水を従え、火を従え、風を従え、大地を従え。多くの魔物を屠った黒いローブの小人族っていう話がね」
その話を聞いて3人はさすがに無理があるだろう、と首を振った。魔法を使う種族であるエルフですらありえないと言いたいのに、それが小人族であることが余計に疑問に拍車をかけている。
「……その話だと、最低でも4つの魔法を使っているのぅ」
「そうなんだ。だからこの伝説は眉唾物だというのが小人族でも通説なんだけど、オラリオで起きている話を聞くとあながち嘘でもなさそうだと感じるよ」
まぁでも4種類の魔法は盛りすぎだと思うけどね、と続けるフィン。いくら伝説とはいえ、常識的にあり得ないことが伝わっていることが少し気になるが、まぁ伝説だしな、と納得するロキ。
「けど、2人の話を聞くにやっぱり種族が違うんやなぁ」
「あぁ。おそらくだが、ヴォルデモートの名は襲名するものなのかもしれないな」
「そうとしか思えないね。多種族に魔法を教えてヴォルデモートの名を襲名、それが受け継がれて襲名した者がオラリオにいる、としか考えられない」
ヴォルデモートという存在の謎は多少解消したのかもしれない。だが、疑問は残る。どうして今までその名前が表に出なかったのか。どこから魔法を学んできたのか。どうして今になって伝説上の名前が出てきたのか。疑問は尽きないが、今はやり方はともかく闇派閥を処理してくれているのだから放置してもいいだろう、と結論立てる。
「……にしても、なぜドワーフにはそんな話は聞かないんじゃ?」
「ガレスが知らないだけじゃないのかい?ドワーフで魔法を使う伝説上の人ってごく限られているだろうし」
「……まぁ、それは、確かにありえるの……」
ガレスのふと出てきた素朴な疑問は、フィンの言葉でないものとして話題は去った。しかし、のちにほとんど知られてはいないがドワーフに受け継がれている伝説にもヴォルデモートの名前は出ていたということを知るのは、闇派閥との抗争が落ち着いてから数年経った後だった。