またしても何も知らない元スズカの同室ウマ娘 作:一般通過どうした急に
やだ…私の元同室、ウザすぎ…?
トレセン学園、そこはウマ娘が凌ぎを削る場所。今日も勝つために各々トレーニングしている。しているはずなのだが……
「今゛日゛も゛ス゛ペ゛ち゛ゃ゛ん゛が゛つ゛め゛た゛い゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛」
なんだか限界オタクみたいな大声を発している赤栗毛のウマ娘。サイレンススズカ、本来であれば走ること以外は特に興味のない。最初は周りと険悪な雰囲気だったはずなのだが此処ではそんなわけではない。
いつもボケーッとしており、暇があれば走ることは変わらないが。それ以外はのほほんとしており、頼めば一緒に並走してくれる人として人気がある。面倒見も良い、だが寂しがり屋であるため一人ぼっちだと割とすぐにだめになる
そんなスズカにも後輩ができた…それがスペシャルウィーク。スペシャルウィークといえば人懐っこく、いつでも笑顔。そして素直な正統派美少女で有るのだが…有るのだが…
「…(舌打ち)」
それはあくまでもヒトミミ相手のお話、ウマソウルが強く出ているらしく。そのウマソウルがウマ娘嫌い、特に栗毛が大嫌いらしく同室として案内される時点でも大分難色を示していたのに相手が嫌いな栗毛、赤栗毛のスズカだったので超絶不機嫌である。誰に対しても威嚇する、とまでは今はいってないようだがかなり態度は良くない…というよりは超絶塩対応である
「………はぁ」
そんな二人を眺めているのはサイレンススズカの元同室であるセルメント、何故セルメントが同室でなかったかというと。スズカもそろそろ後輩を持ったほうが良いのではないか?という判断からである。セルメントと同室のときは
『セルメント〰ご飯ご飯〰』
『はいはい…めんどくさいなぁ』
お腹が空いたらスズカがセルメントにご飯を強請り
『走り込みですね…わかりm…セルメントー!一緒に走りましょう』!
『ちょ、おま……引っ張るな!ああああああああ!!!!!!』
授業終わりにトレーニングとなると、セルメントを発見するとチームの練習そっちのけで彼女を拿捕して走り込みに付き合わせるのだ、なおセルメントはチームどころかまだトレーナーすらついていない時期から巻き込まれている。そしてそのチームに入る予定はない(それを知ったスズカにガチ泣きされてめんどくさいことがあった)
そして休日になると
『あのさスズカ……』
『……?』
『重いんだけど………』
ずーっとべったりくっついてくるのである。後ろからぐでーっとひっついてきてはナマケモノみたいに動かない。なのでそのまま動くしか無く、さりとて引きずるわけにも行かないので四苦八苦している。なおそれを見て笑ったゴルシはダートに埋められていた
『笑っていいタイミングじゃなかったみてぇだぜ』…なんてことを言いつつ回転しながらダートから出てきたゴルシは遠い目をしていた
流石に自堕落極まるということで、スズカとセルメントは引き離されることになった。勿論スズカは猛抗議したが後輩できるぞといったらそっちの方に意識を取られて承認された
とまあそんな感じで悠々自適にスズカの同室から抜け出せた元スズカの同室ウマ娘のお話である
────朝、すがすがしい朝である。あのクソ煩いやつが居なくなったというだけなのに新天地に来たような感覚に襲われるのだ。適当にシャワーを浴びて制服に着替えていざ学園へ
そう行きたかったのだが……
「うっぜ……」
LANEにとんでもない通知が来ている、大体はスズカなのだ。あれあれがどうだとかこうだとか、まあいつものことなんだが。スペシャルウィークが来てからはどうやっても塩対応しかしてくれないという嘆きと撃沈された報告である。いやあいつ栗毛嫌いだしなんならウマ娘自体嫌いじゃん…なんてことを思いつつ目を滑らせていく
私の同期は、サイレンススズカ、タイキシャトル、マチカネフクキタル、メジロドーベル、シーキングザパールだ…スズカだけでも過食気味なのにほかも酷いというか。非常に疲れる面々しか居ない、ドーベル居なかったら早々に退学してたか時期無理やりずらしてたと思う。
タイキシャトルはBBQのお誘い、朝から早いよと返信。フクキタルはLANEでも煩いのでシンプルに煩いと送っておく。パールは…うん、世界レベルの話題過ぎてついていけ無いんだけどこれ。ドーベルからは大丈夫?って来てた。お前しかセーフティラインが居ねえ……私も後輩ほしいなーーーー
なーんて思ってると。ピコンって通知音がなる。まさかまさかのスペシャルウィークからだ
『時間ありますか』
とめっちゃ短文かつ事務的な話し方してくる。まあスペシャルウィークなら仕方ないか、なんて思いつつ指を動かす
『ん?後輩か。有るよ、トレーニング終わりでいい?』
『お願いします』
『場所は?』
『人に見られたくないので』
『じゃ、私の部屋ね』
『はい』
なんていうそっけない会話で終わる、悪いやつではないんだよなスペシャルウィーク、煙たがれることも多いけど。まあ分からんでもないし
そのまま登校して、適当に授業を受けた。煩い連中のことを適当にいなしたり、スズカとフクキタルにアイアンクローしかけて大人しくさせて。パールのディス地球されたあとにドーベルに背中を擦られた。ありがとよドーベル…まだ戦えるかもしれない……
なんてことをして。しっかりトレーニング。私も優秀な方なのでそつなくこなしておく、まだトレーナーついてないけどね。スズカとタイキはリギルというチームにはいってるらしい、あんま興味ないから良いけど
そんなこんなでそろそろスペシャルウィークが来る頃合いである
『……来ました』
「ん、いらっしゃい後輩」
ドアを開けてスペシャルウィークを迎え入れる。相変わらずぶきっちょな顔だけど、笑うと可愛いんだよねこいつ。性格も、私としては嫌いじゃないよ。嫌なもんは嫌なんだし
「で、どうした?ウマ娘の私に頼るなんて珍しいじゃん」
世間話なんてもんは相手は望んでないだろうから、椅子に座らせて話を聞く体勢に。珈琲とか飲む口じゃないだろうから適当にジュースとお菓子を置いておく
「……………」
「スズカ絡み?」
喋らないスペシャルウィークに尋ねると軽く首を動かした。別に無理して喋ろなんて言うつもりもないよ私は、嫌な奴に相談してくるなんて苦痛だろうし…それに、スズカで苦労させられてると言うなら他人事じゃないから
「…何された?」
「…ダル絡みを」
「OK、それ以上は言わなくていい」
だる絡みの一言ですべてを察する。いや私と同じようにしちゃあかんでしょ。ただでさえ苦手なのにもはや嫌いになってんじゃん完全に
「いつも、ああなんですか?あのダメウマ娘」
「ダメウマ娘」
「人のテリトリーに土足で踏み込んでくる輩をそう呼んでもなにか問題でも?」
「アッハイ」
「なんだか分からないですけど。変に絡んでくるし、煩いし、朝から走ろうと誘ってくるし、一人の時間確保しづらいと思えば変に距離作るし。離れたと思えばベッタリしてくるからめんどくさいんです」
溜まってんなー……と思いつつスペシャルウィークの愚痴を聞いてやる、これぐらいは後輩なんだからいいっしょ。実際嫌な先輩にだる絡みとか報復されても文句言えんだろうし
「あと勝手に名前短縮して呼んでくるのどうにかなりませんか?凄く不快なんですけど…」
「あー……馴れ馴れしいってこと?」
「馴れ馴れしいのは最初からなので、あきらめてます……その」
めっちゃ嫌そうな顔しつつ、歯切れの悪い言葉に時間かけていっていいよ。っていうジェスチャーしながら次の言葉を待ってあげる。ゆっくりでいいんだからね後輩
そこからしばらくした後
「おかあちゃんが、そう呼んでくれたので……」
ボソボソって話し始める。自分の生みの親は自分が生まれてすぐに亡くなってしまったこと、育ての親はヒトミミだったこと、自分の周りにウマ娘が居なかったこと。育ての親と自分が違うところに孤独を感じてたこと、だから自分はヒトミミだと思いたいけどそうはなれないからウマ娘が好きになれないこと
「…大事な。名前なんだね」
「……死んだ母親との、唯一の繋がりなので」
ゆっくり時間をかけてスペシャルウィークは話してくれた。んまあ……それなら確かにヒトミミのほうに愛想が良くなるのも分からんでもないな。ウマ娘に対してもそういう態度取っちゃうのも仕方ない、周りは仲間が居たっていうのも大きいんだろうし
「すみません、つまらないお話を」
「いいよ、話してスッキリしたかい?」
「………はい」
若干うなだれるようにしているスペシャルウィークに苦笑する、ほんとはもうちょいまともに接したいんだろうけど。反射的にそうなってしまうんだろうなっていうのが理解できるから、まあそこは飲み込んでやらんとね
ま、これからどうなるかねぇ
続かない
つづ
-
ける
-
けない