〜[残響神楽]〜
毎年行われる【桜魔皇国】伝統の神事…五穀豊穣を願い、今年1年の厄を切り払うという意味合いを込めて舞われる。
元より、神に対し、演武の1種として舞われたその舞は何時しか、感謝の意味を込めた舞へと変わった。
〜【桜魔皇国】・億年桜前〜 〜《BGM:百竜の淵源》〜
炎が舞う。衣がはためく。太鼓の音が鼓動のように刻まれる。
何故か知らんが俺も舞う羽目になった。(舞の主役である天宮こころに手を引かれて舞台上に出てしまい注目を浴びてしまった為、観念して自分もやることになった。)
今回の舞に使う神器?の代用として選んだのは[トネリコの双薙刀]…殺傷能力?ンなもんねぇよと言わんばかりの儀式用の双薙刀である。
『何で態々、俺もやらにゃならんのだ……』
「この世界の異変解決に一役買ってくれた"勇者"だもん♪当然だよ。」
かなりのテンポで舞っているにも関わらず、絢爛尚且つ優美な舞は、この場に集まる武人や上位種の皆が感嘆の息を浮かべ魅入る程であった。
そんな中ナチュラルに会話してる上位種に半身浴してる2人なのだが……
そして舞が終わりふたりが締めの礼を終えると、会場から割れんばかりの拍手が響いてきた。
「「いいぞー!!お二人さん!!」」
「龍巫女と暗月の騎士に最大の賛美を!!!!」
一夏はその歓声に"騎士の一礼"を持って応え、こころは礼儀正しくお辞儀をする事でこの場を締めくくった。
その代わりに舞台上に上がったのは【桜魔皇国】の主神[二階堂フミ]である。
『皆の衆!此度の[建国祭]はどうじゃったろうか![決闘祭り]も例年通りの盛り上がりを見せてくれた!!目星をつけた者は見つけたか?!…障害をかけた目標を定めたか?!ならばそれで良し!!豊穣を願う[残響神楽]…舞ってくれた龍巫女と暗月の騎士には最高の加護を儲けようでは無いか!……………さて…諸君……生憎じゃが…【建国祭】はこれで終いよ…』
その言葉と共に場を明るくしていた松明の火が消えた。
小さな蝋燭を手元に持つ妖や人達が煌々と照らされる。そんな中、
暗闇の中で人が忙しなく動いてる気配と良い匂いが漂ってきている。
『まぁ…前置きはこの辺にして……この様な大きな祭りに欠かせぬ行事がまだひとつ残っておるのは知っておるな?…じゃから……これより[宴]じゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!!』
そして場が一気に明るくなると共に先程の雰囲気から一変……とんでもない規模のどんちゃん騒ぎが始まった。
〜織斑千冬御一行side〜
「さ…客人よ♪呑むが良い」
「は…はい…有難う御座います……」
織斑千冬は先程の決闘祭りで弟と激闘を果たした[竜胆尊]と呼ばれた鬼の女王からお酌を受けていた。
カラカラと笑う[竜胆尊]だがどれだけ呑んだ?!と言わんばかりの甘い匂いが漂ってきていた。
この臭気は僅かながらでも酔ってしまうほどに濃く、正に空気で酔うという感覚を味わえるのだ。
「束ッッ…見なかったことにしようか……」
「うぇ〜い!!」
「「「ギャハハハハハ!!!姉ちゃんいい呑みっぷりじゃねぇか!!」」」
「本日の健闘に乾杯!!「「「かんぱーい!!!」」」」
織斑千冬は親友に助けを求めようとしたが、件の親友とやらは……向こうで妖達と肩を組みながら踊っていた。
連れてきた他の子達は念の為、一夏が頼んだ知り合いに警護させているらしい。
そして当の代表候補生達は……
「モフモフ〜♪お姉ちゃん〜…スゥ…スゥ…」
『なぁ?一夏はん?何時までこう……寝とる…』
「あらら〜…今日の疲れ出ちゃったんかね?」
「ふむ……ロシアの彼女は、精神的に不安定と聞く…」
「聞けば、戦いに出るべきでは無い年齢では無いか!」
が、ロランと箒はクーリェの出自に憤っていた。
『何や…闘うんが怖い臆病者が揃っとるんか?そっちの偽政者は……』
「とこさん…とこさん……正論なんだけど一応俺の、"古巣"なの…」
『ん?…あぁ!すまへんなぁ?やけど改める気はないで?…事実やもん…やけど…"感謝"はしとるで?……こんなに美味そな魂…寄越してくれはったもんなぁ?』
瞬間、一夏は物凄い勢いで飛び退き距離を取っていた。
その手に、雷が交差した様な奇妙な槍を構える一夏の顔は先程の朗らかな顔から一転、"戦士"としての険しい顔つきに変貌していた。
「戌亥先輩…そこまでッス…」
「ストップですよ?とこ先輩?」
だが、ケルベロスの首に幅の広いバスターソードと綺麗な銀色のブロードソードが添えられると同時に銀の甲冑に身を包んだ男の騎士と女騎士が現れた。が、
『なんや、冗談やって…"三騎士"相手にするんは面倒いんで辞めとくわ…』
「よう、"エクス"……"フレン"…久し振りだな!」
「はい、お久しぶりです。」
「お久〜……飲まないの?」
フレンと名乗る女騎士はエールの入ったウッドジョッキを一夏に渡し一夏はそれを受け取る。と、3人はお互いのジョッキを叩き付けるように乾杯するとジョッキの中のエールを飲み干した。
「「「かんぱーい!!!!」」」
「〜かぁぁぁ!!!やっぱ度数強いな…だけど旨い。…」
「「飲んでるかい?」うぇ〜〜い!」
「さぁ、お酌をどうぞ〜」
「おうありがとさん…藤…今は
「あ〜、実は三日前から……ね?」
一夏のジョッキにエールを注ごうとした和服美人に一夏は一瞬だけ疑問符をうかべた後こちらとしても気になる一言を言った。
どうやらこのやって来た3人組は[桜魔皇国]の住人らしく、特に一夏と仲のいい腰に二本の刀を携えた男は、[長尾景]と言っており[退魔師]と云うこの世界において警邏隊のような役割をしているらしい。
この和服美人の名は[弦月藤次郎]と云う
「あ!そうだ…晴ちゃん、晴ちゃん?相談したいことがあるんじゃなかったの?」
と、少し離れた所で主神様にお酌をしてる1人の人物を呼び付けると、主人様に断りを入れた其の人物は一夏達の元へとやってきた。
「あっ…いた…良かったぁε-(´∀`;)ホッ丁度いい所に居てくれた…」
「どったの?[甲斐田]さん?」
この人物の名は[甲斐田晴]と云うどうやら[桜魔皇国]の中でも飛び抜けた才を持つ研究者らしい。やる気の浮き沈みが激しく、興味が無ければ関わらないといった、何やら束に似ているような感じがした。
そして[甲斐田晴]さんから、相談内容を聞いた一夏は顔を顰めた。
「見慣れない世界の異物と、境界面の接触ゥ??」
「うん…そのサンプルを景が取ってきてくれてさ…コレ何だけど…」
「
話を聞く限り一夏のいる[ホロアース]とここ[レインボーアース]が、混じりあっているらしい。しかもこの世界の神は気付いているが、現状維持に務めているらしく問題がなさそうに見える。
「異常はない…ゆっくりと着実に進んでると…変化は無いんだな?」
「…無いんだけど…ちょっとだけ…見慣れない動きをするナニカを察知したって…[藤次郎]が言っててさ…ソレを言っておこうと思って…」
「……早く言いましょうよソレは…参ったな…[エデン]の二の舞にならなきゃいいけど…」
…未来都市エデン……ソレはかつて栄えた空中に浮かぶ都市の名である。が、今はその都市に人が栄えた痕跡が無く、一夏曰くそこは、
「…[エデン]はコーヴァス帝国と桜魔皇国…が共同で作り上げたと言っていた…ソレがヘルエスタ皇国に墜落するとか言う驚愕事件に発展しかけたからな…」
「…場合によっちゃ、三国戦争が勃発する所だった…」
「…あの転生者?の奴は何がしたかったんだろ?」
「あっ、あの…少しだけ世界の向こうで起こった異変についての中間報告…良いですか?」
ひとかたまりになって話し込んでいる者達の注目を集めようと一夏は、私達の世界で起こっている異変の報告をしようと手を挙げた。
途端に、ぐるりと振り向く衆目達。
「どしたの?一夏君…」
「向こうで俺が対峙した敵…何ですが……[竜贄土竜・クレラント]と[絶滅の影・鈴原るる]と相対…これを撃破しました」
「「「なっ?!」」」
「とは言っても、クレラントは[禍群の息吹]一撃で生命活動消し飛ばせるほどに弱体化してましたし…[鈴原るる]に至っては、[星詠みの月影]、[回転乱舞・桜]、[ハウザーインパクト]、[我王砲]でようやく倒せました。…」
「…じゃあこころちゃんが光ってたのってそういう事?」
「光っ…えぇ?」
どうやら[伝説の武器]にあたる[禍群の大剣]の専用戦技とやらを使うと、[天宮こころ]の身体から光が漏れるらしい…本当にどんな仕組みだと言いたくはなった。
「流石…
いつの間にか一夏の傍に来ていた青髪の少女[天宮こころ]が一夏に抱き着きながらそう言った瞬間……何故か、場の空気は氷点下まで落ち込んだ。
「おい待て…[こころ]…マオのモノなんだが?!」
「…いやいや(ヾノ ̄▽ ̄)……こころちゃん…こやつは[桜魔皇国]に来るべき"人材"じゃ!」
「戌亥殿は言わないんですか?」
「なぁ?箒はん…彼も"人"や…死んだら"
「「「は??(炎上)」」」
わーぎゃーわーぎゃーと一夏の所属?をめぐって争うこの世界の者達を見て私は流石に苦笑いするしか無かった。
「死んでも仕事が有るって辛いね〜、でもいっくん…楽しそうだね?」
「…束…、確かにな、だが死んだ目をしながらもみくちゃにされてる我が弟を見るのは中々…気が引けるぞ?」
「そう言えば……いっくんの持ってる武器ってさ…その大部分が、[龍]か[半神]の血を吸ったヤバいのになってるんでしょ?…私達の世界の"聖遺物や神器"何かとは比べ物にならない神秘性を持ってると思う。」
「そうか…刀があったとしても、"妖刀"も逃げ出すレベルになっている可能性があるのか……」
束の考察は大正解だったりする。元来、
……考察の海に浸ろうとした瞬間…
「…にょも〜よ〜!!」
「もがっ…ッッッッ……」
なんと、一夏の顔にお酒の入ったら盃が叩き付けられた。
叩き付けたのは先程の天狗の少女だ。
顔全体が赤みがかっているし、酒の匂いがキッついことからかなり飲んでいることが分かる。
「ぶはっ…ッッッッ……カルタ?!酒は叩きつけるもんじゃないって!」
「……ん〜…おひゃけは〜〜にょむもにょです〜〜」
「…話聞いてない…」
「わらひのひゃけがにょめねぇってのか〜///」
「駄目だ!この酔いどれ鴉天狗!!」
宴とは毎度の如くこの調子である。そして凄いのは、この調子で夜明けまで続くそうだ。………ぎゃいぎゃい大騒ぎしながら宴は続いていく。
……夜空が白んで来た頃…
「ヴァァァァ…頭痛い…」
「…ちょっと…ウプッ……オェェェェ……」
「わぁ…死屍累々……」
この場にいた殆どが二日酔いらしき症状でダウンしていた。"鬼の女王"までダウンしているのを見るに相当強いお酒を浴びるように飲んだのだろうと推測出来るが、まさかここまで酷い有様になるとは思ってもいなかった。
「えーと皆さん…酷なこと言いますが、この後"片付け"が待っておりますので、お手伝いなさって下さ…………逃げた……」
[弦月藤次郎]が宴の会場の片付けをダウンしている妖や神の皆様に嘆願した次の瞬間…神風と共に会場に居た殆どの妖や神が蜘蛛の子を散らすように逃げていった。一夏はその号令を聞いた暫く後に立ち上がり、手に灯した火の玉を自分の胸に押し当てた。
「"火の癒し"よっ…うん!…俺は大丈夫よ……」
「周りで倒れてる人達にもお願いできるかな?」
「心得た!…"回帰性原理"!!」
周りの人達の治癒もお願いされた一夏が少し変なポーズを取りその言葉を唱えた瞬間、周囲を黄金の方陣が包み込んだ。それと同時に、何故か二日酔いの症状が消え失せた。
「さぁ!桜魔の日常が待ってるんだ!片付けるぞ!!!」
「「「「おう!!!!」」」」
どうやらこの後に私達は帰るらしい…その前に少しでも片付けを手伝った方が良さそうだ。…井戸に頭突っ込んで寝ている束は無視しよう。……
〜[トネリコの双薙刀]〜
神聖な神木を剪定した直後の枝を削り出し作ったとされる1品。
不思議な事に斬属性は持たず神秘属性を持った双薙刀は、神秘と技量による補正を持つ為にソレを嫌う者達において特攻となりうる。
〜専用戦技・円月〜
双薙刀を頭上で回転させ光の輪による領域を創り出す。
その光の輪は術者を中心に高速回転し敵を薙ぎ払う為
集団戦には凄まじく利便性の効く戦技である。