フリュネ襲撃から約一年、葵羽とアイズはレベル1での波乱万丈な生活が到底信じられない程何事も無く育ち、順当に探索を進め、当然のように頭打ちに到達していた。
葵羽がアイズの先へ先へと進みたがる意志に慣れてきた事もあってダンジョンの攻略ペースは異常に速く、まるで轢き殺すように突き進む姿から【フレイヤ・ファミリア】の『
そして現在17階層、『嘆きの大壁』と呼ばれる白く美しい壁は抉れ罅割れ、飛び散る赤黒い血によってその神秘性は失われていた。
そこでは『
ゴライアスは足の腱を斬られて膝立ちになり、右腕を根元から失って灰褐色の肌が赤く染まっていた。
そして黒髪が左腕の叩きつけをすり抜けるように躱し、瞬く間に指の全てを切り落とすと、ゴライアスは堪らず体を傾ける。当然葵羽とアイズである。
そこへアイズが飛び出し、【
ゴライアスは大絶叫を上げながらアイズへと狙いを定めるが、間に入った葵羽によって攻撃は流されて逆に小さな反撃を受けた。
アイズが一撃離脱戦法で隙の大きい大技によって大ダメージを与え、葵羽がゴライアスの攻撃全てを受け流してアイズの攻撃する隙と待機時間を守る。その戦法は当初計画していたものとは違っていたが上手くハマり、アイズの攻撃と葵羽の小さな攻撃はゴライアスを着実に追い詰めていた。
だがゴライアスの攻撃を受け流しているとはいえ、尋常ではない攻撃の余波は衝撃波となって葵羽達の体を傷つけている。
そして今、葵羽の攻撃によってゴライアスは脇を切られて頭を地に着けた。
全長7M程の体躯といえど、そうなってしまえば断頭台に乗ったも同然。着地した頭のそばで構えていたアイズは体を弓のように引き絞って【
部屋の隅で見守っていたバーラは身体中に傷を作りながらも笑い合う二人に歩み寄ってポーションを飲ませ、ぐったりと座り込む二人を担ぎあげて本拠地に帰還する。
これが葵羽とアイズ、二度目の【ランクアップ】であった。
葵羽とアイズの最終的な【ステイタス】は
ゴジョウノ・葵羽
Lv.2
力:C602
耐久:D521
器用:A898
敏捷:B711
魔力:I37
《魔法》
【シカイ】
無詠唱魔法
納刀時に発動可能
《スキル》
【神秘術・芽】
肉体による極小規模の奇跡の発現
《発展アビリティ》
魔防:I
アイズ・ヴァレンシュタイン
Lv.2
力:C652
耐久:C631
器用:B741
敏捷:A839
魔力:G206
《魔法》
【エアリアル】
・付与魔法(エンチャント)
・風属性
・詠唱式【
《スキル》
【復讐姫】
・任意発動
・怪物種に対し攻撃力高域強化
・竜種に対し攻撃力超域強化
・憎悪の丈により効果向上
《発展アビリティ》
狩人:I
であった。フリュネによって耐久が30近く伸びたことが影響し、レベル1の時よりも耐久が高くなっている事は本人達にとって複雑な心境だろう。
何はともあれ、葵羽とアイズの【ランクアップ】は無事に遂げられた。
今もこうやって葵羽一人で出歩けるのもレベル3になったが故だ。
しかし街を見回してみれば商品棚には金属柵が付き、警邏の冒険者が目に付く。最近の魔石製品工場への無差別襲撃事件もあって、街はピリついた雰囲気だ。
葵羽の入団時からの治安の悪さと澱んでいる都市の雰囲気は変わらず、住民達の不安と不満は日を重ねる毎に着実に膨らんでいる。冒険者である葵羽達に向けられる視線も好意的なものが少なくなってきた程だ。
葵羽はその視線に居心地の悪さを感じ、散歩のコースが大通りから裏道、武器屋から郊外の廃墟と人の少ない場所を選ぶようになっていた。
「ここのところ、やけに密にシャクティ達と情報を交換しとるな。何か気になることでもあるのか?」
「街から悲鳴は確かに消えていない。が、それでも八年前の『暗黒期』初期と比べれば、遥かに持ち直した。
【ガネーシャ・ファミリア】との定期連絡を手にするフィンにガレスとリヴェリアが問いかける。
「最近の敵の動きが気になる。今まで通り都市の東西南北、無差別に攻撃しているように見えるが、明らかに自分達の『意図』を隠そうとしている。そして、それに僕達が気付くと踏んだ上で嘲笑っている」
「
「十中八九。見破られる筈がないと驕っているのか、『見破られても構わない』と思っているか……シャクティ達の連絡によると、工場からは魔石製品の『撃鉄装置』が奪われていたらしい」
「また訳のわからぬものを……
蓄えた髭を指先で弄りながら、眉間に深い皺を刻みながら呟く。事実ガレスの言う通り、撃鉄装置とは要するにただのスイッチであり、中身がなければなんの意味も無い代物だった。
「
「都市外にも闇派閥に与する組織による『きなくさい動き』もある」
「全てに手を回すことはできないが」
リヴェリアの言葉にフィンは一瞬だけ目を閉じ、そして口を開く。
「……都市外の調査は【ヘルメス・ファミリア】に、僕達は──」
「入るでー? 話の途中すまんけど、またダンジョンで『冒険者狩り』が出たらしいでー」
フィンの言葉の途中でロキが入室し、闇派閥による問題が追加されていく。
「またか? 場所を選ばずことごとく……嫌がらせの一環か?」
「フィン、向かうか?」
「そっちは必要ない。
後手後手にならざるを得ない闇派閥の被害を最小限にまで抑えられているのは、フィンの未来予知が如き読みによる
「【アストレア・ファミリア】の小娘共か……」
「葵羽たんのお姉ちゃんがおるところやなー? 最近葵羽たんの背も伸びてきたし、【大和竜胆】みたいになるんやろかな?」
「ふっ、アイズも身長に差ができ始めて拗ねていたな」
「『双砲の戦車』だったか? 小娘共には些か大仰な二つ名だのぅ」
ガハハハハというガレスの豪快な笑い声で重くなっていた部屋が明るくなっていく。
葵羽やアイズ、ラウル達といった若手の話題は場を和ませ、それと同時に闇派閥撲滅への士気を高めるものとなっていた。
そして同時刻──
「【猛者】が『手練れ』と評する相手か──」
それについて【ヘルメス・ファミリア】のヘルメスと副団長アスフィ・アル・アンドロメダが話している最中──
「──どっちも真面目そうだからな、お前も……おや?」
「げ」
「げ、とはなんだい悲しいなぁ? オレは君の事が大好きなんだぜぁ!?」
「……私はきら、苦手です。神じゃなければボコボコにしてる程度には」
ヘルメスは葵羽と出会い、葵羽はヘルメスの脛を強めに蹴り始めた。中庭での一件以降、ロキからそれ相応の罰が下されたとはいえ、葵羽のヘルメスに対する恨みは消えていない。
そして当然副団長であるアスフィの耳にそれは入っており、葵羽の攻撃もいい薬だとしばらく放っておいた後、アスフィは小さな少女に敵愾心剥き出しにされている、脛を押さえて地面に転がる主神を情けなく思いながら眉尻を下げて前に出る。
「ホント申し訳ありませんが、こんなでも私達の主神ですのでその程度に……」
葵羽もヘルメスを本気でどうこうするつもりは無い、というか
「あ……こちらこそ申し訳ありません。個人的な恨みが思い出されてしまい」
「いえ、当然の罰だとは思います。思いますが……」
何度も頭を下げるアスフィを見て段々と申し訳なさが勝ってくる葵羽。
「大変なんですね……もう蹴らないようにします」
「ありがとうございます……うちの主神がすみません……」
(こんな少女にまで不憫に思われるなんて……!)
アスフィは心の中でキラリと涙を零し、その気配を察知した葵羽は気を利かせて手早く挨拶を済ませる。
痛みから回復したヘルメスが相変わらず飄々とした顔で返してきたが、葵羽は目尻に薄らと見える涙を見逃さなかった。
ギルド傘下の【ファミリア】によって闇派閥の力は確実に弱まってきている。
だが、『撃鉄装置』や『大聖樹の枝』、『手練れ』の存在、都市外の闇派閥の信者。
そしてオラリオの遥か南方、『デダイン』の地域での動き。
散りばめられた点はフィンにもヘルメスにもまだ線に繋げられず、闇派閥の動きは止まらない。
だが今になって商人が闇派閥に協力し始めたことから、力を持った『旗頭』が現れたことは予測できる。
都市内外の暗躍が全て繋がる程緻密で複雑な計画。
秩序側の『神』は確信していた──厄介な『神』の存在を。
葵羽たんの将来(作者は髪型エアプです)
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黒髪パッツン合法ロリ
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黒髪ロング合法ロリ
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黒髪パッツンでアイズと同じくらいの体型
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黒髪ロングでアイズと同じくらいの体型
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黒髪パッツンで大人BODY
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黒髪ロングで大人BODY
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ポニテ(体型は今度アンケート)
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それ以外の髪型(髪型のアンケートを実施)
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任せる(なんでもいい)