オラリオに来たけど治安悪くない?   作:のん野のん太郎

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長ぁい。そして読みにくーい。
いやホント申し訳。
感想と評価感謝なり。ああ〜モチベが上がるの音〜


第18話

 三日後──

 

「ついにだねー」

 

「うん」

 

「上手くいくといいねー」

 

「うん」

 

「それにしても、暇だねー」

 

「そうだね」

 

『掃討作戦』当日、『黄昏の館』は葵羽とアイズ以外は最低限の人員のみを残し、いつもは人の気配や生活音で溢れる中庭は静まり返っており、葵羽とアイズの声がよく響いた。

『掃討作戦』が決定してから今日までの三日間、『黄昏の館』の外に出る事を禁じられた葵羽とアイズは模擬戦にも飽きて日向ぼっこをしている。葵羽は風で揺れる中庭の木をぼんやりと見つめ、アイズは手に持った木剣を凝視……完全にやることが無くなって魂が抜けていた。

 彼女達はフィン達が何か大きな作戦をすることは知っていた(推測できた)が、詳細は一切知らない。だからただ漠然と、上手くいくといいなぁ……なんて思っていた。

 そうしてただボーッとしながら本館の屋上、今回の作戦を見守っているロキの姿をちらりと見る。

 

「……模擬戦、しよ?」

 

「そうだね……いつまでもこうしてられないし、やろっか」

 

 そうして始まった模擬戦も何だか身が入らないまま終わり、一日無駄にしてしまったような感覚を葵羽とアイズが感じながら夜の中庭を眺めていたその時。

 

 

ドゴォオオオオオン……! 

 

 

 ──爆発音がオラリオに響いた。

 

「……え?」

 

「なに……?」

 

 葵羽とアイズがその音源へと目を向けた直後、立て続けに四方八方から同じ音が鳴り響いていく。

 ドカン、ドカンと絶え間無く聞こえてくる爆音と煙。そしていつ止まるのか思って顔を上げて見れば、空が──オラリオの空が赤赤と染まり、夜とは思えない程に明るく明滅していた。

 

「葵羽たん、アイズたん! 中央広場に行くで!」

 

「何があったんですか!?」

 

「……ロキ!」

 

 屋上から身を乗り出すロキに、葵羽はすかさず返す。

 

「ええから武装急ぎ! 主神命令や!」

 

「「!!!」」

 

 初めて聞く主神命令(強い命令)に葵羽とアイズは目を見開き、アイコンタクトを取って館内へと走り出す。

 響く爆音に後ろ髪を引かれて葵羽がちらりと背後を見れば、赤く明るく照る空に火の粉が舞い上がっていた。

 

 

 

「よし、ラウル達はロキを守って。葵羽とアイズは後衛。道は私達が切り開く!」

 

「「「了解!」」」

 

 ロキの指示によって『黄昏の館』に待機していた団員が一所に集められ、ヨナによって編成される。

 そしてすぐさま中央広場へと十数人のパーティーが走り始めた。

 葵羽達が本拠を出るとすぐにジリつくような熱気に襲われ、轟々と燃える街が目に入った。辺りで爆発は続き、途中で団員から目を覆われたが自爆特攻の姿も目にした。

 

「なんだこれ……」

 

「……! いいから進むで! このままじゃ全員危ない!」

 

「「「「り、了解!」」」」

 

 全員の感情を表す五文字が誰かから漏れ、このままではマズイとロキが激を入れて進み始める。

 最悪ともいえる状況とは裏腹にレベル4を先頭にした集団は混乱に包まれる市民と冒険者を取り込みながら中央広場へと進んでいく。

 

「愛するあの人の元へ、今!」

 

「──!? 闇派閥、自爆特攻してくる! 遠距離攻撃を心がけて、近づかれたらぶっ飛ばすのを意識して!」

 

「……最悪や! 手段を選ばんゆうても、限度があるやろうが! ……でもなんや? こんな最悪の状況でも『前座』に過ぎんような、嫌な予感がある」

 

 先頭からの大きな声を聞いた冒険者達はその狂気に背筋が凍るが、彼らに恐れを抱きながらも魔法や投石によって接近を最小限に抑えながら、遂に中央広場に到着する。

【ロキ・ファミリア】が中央広場に到着した頃には既に市民や冒険者が集まっており、避難所となっていた。

 そしてしばらくすると【フレイヤ・ファミリア】の戦力やフィン達【ロキ・ファミリア】の主力も合流し、砦を構築する。

 

「フィン、来たか! リヴェリアとガレスは?」

 

「部隊の半数を預けて南の迎撃に向かわせた。避難民の誘導はどうなっている?」

 

「できる限り呼びかけて、この中央広場に集めとる! 本拠から連れてきたラウル達、あとはフレイヤの子もおるで!」

 

「助かる。広場の周囲に沿って防衛線を築く。ギルド本部とここが『砦』だ。指揮は僕が執る!」

 

「私達はどうすれば?」

 

「……今は待機や」

 

「ロキ」

 

「わかっとる。ホンマにヤバなったら呼ぶから、準備だけしとってな」

 

「……わかりました」

 

 そう言われた葵羽とアイズはおずおずと下がる。

 そしてそれを見届けたフィンとロキは、息を切らして来た団員の報告を受ける。

 

「団長! 闇派閥が中央広場にも……!」

 

「敵の『爆撃』に惑わされるな! 戦力では冒険者側(こちら)の方が上だ! 避難民の誘導と並行して、自爆兵の対応を徹底! 魔法、及び魔剣で攻撃すれば敵の『火炎石』に引火して自滅する! 爆破に巻き込まれないよう、常に距離を置いて戦え! 狙撃手段のない冒険者は武器でも瓦礫でも何でもいい、足を狙って投げつけろ! この中央広場が最終防衛線だ! 力なき者達を守れ!」

 

 フィンは防衛線を張る冒険者達に聞こえるよう、声をはりあげて叫ぶ。

 

「「「おおおおおおおおおおおッッ!」」」

 

 そしてその声に鼓舞され、【ロキ・ファミリア】の団員達を筆頭に士気と共に声を張り上げる。

 

「都市の北部、ギルド本部及び工業区の防衛は【フレイヤ・ファミリア】の予備隊、第一級冒険者が布陣している! 援軍は送らない! もしもの時は【白妖の魔杖(ヒルドスレイヴ)】の命令を仰げ! 北の指揮の全権を彼に預ける!」

 

「団長! その、あのっ、こちらの指示を見越していたかのように【白妖の魔杖(ヒルドスレイヴ)】から伝令! 『こちらに負担を全て押し付けるな厚顔無恥の小人族が死ね!』だそうです! 超怒り狂ってます!」

 

「そうか! 僕も死ぬ気で頑張るから貴殿の健闘を祈ると激励を送ってくれ!」

 

「あ、俺死んだかも……」

 

 フィンの言葉に犬人の男性冒険者が悲壮感を漂わせながら、目を見張る速度で走り出す。

 そしてフィンは次々と告げられる戦況の報告により、次の手を考える。

 

「都市南方の攻勢が激しい! 美神(イシュタル)派の戦闘娼婦(バーベラ)、椿も向かわせろ! 南から南西にかけて戦力を集中させる!」

 

男神(ヴィーザル)のところにも活きのいい狼人(ウェアウルフ)がおるらしい! そっちも派遣させるんや!」

 

 攻勢に対して適宜指示を出すフィンだったが、何か引っかかるものと指の疼きを感じていた。

 

(こちらの被害は甚大。が、()()()()()。第一級冒険者を中心に展開すれば、彼我の戦力差ならば覆せる。ここは迷宮都市だ。都市全体を巻き込もうと総力戦になれば敵う勢力は存在しない

 。闇派閥もそれはわかっている筈。ここから一体何を仕掛けてくる!)

 

 そんな中で、連絡役のラウルが血相を変えて駆けてくる。

 

「だ、団長ぉ! 南西で持ちこたえていた【ファミリア】が()()! 上級冒険者が……全員やられたっす……!」

 

「……! ヴァレッタか!」

 

 フィンはその報告に目を見開き、増援を考えるが──

 

「違います……大剣を持った戦士と女の魔導師に……一瞬で……たった二人に、やられたっす」

 

「!! ……ガレスとリヴェリア、オッタル達を向かわせろ!」

 

「了解っす!」

 

 ラウルは真っ青な顔のまま、再び走り始めた。

 そしてフィンは指の疼きを感じたままに、戦力の薄くなった防衛線を立て直していく。

 そうして穴を開けながらも何とか均衡を保っているうちに南西で。

 

 ──【猛者】が倒れたぞぉおおおおお! 

 

 ──【九魔姫】、【重傑】が倒れたぞぉおおおおお! 

 

 ──都市南西に最悪の勝鬨(知らせ)が轟いた。

 そして立て続けに届けられる、【猛者(オッタル)】を倒した【ゼウス・ファミリア】ザルド、【九魔姫(リヴェリア)】と【重傑(ガレス)】を倒した【ヘラ・ファミリア】アルフィアの存在。

 オラリオ最強の冒険者(オッタル)が倒れ、都市最大のファミリア(ロキ・ファミリア)の主力がやられた事実に士気が底を突く冒険者と、士気を鰻登りの闇派閥。

 もはや南西の防衛線の崩壊は逃れられないものとなっていた。

 

「報告! 都市南西の味方がっ、冒険者が全滅しました!!」

 

「全滅!? 全員がか!」

 

「は、はい! 撤退した者もいるようですが……今、南西区画に立っている冒険者はいません!」

 

「ロ、ロキ! 団長! リ、リヴェリアさんとガレスさんが……敗北したと、報せが……」

 

「なんやと!? 二人は無事なんか!」

 

「【万能者】がお二人を回収したそうですが、重傷ですぐに再起は不可能だと……!」

 

「敵の情報は!」

 

「灰の髪の魔導師、妙齢の女! 超短文詠唱を駆使し、桁違いな攻撃はおろか、魔法による砲撃も効かないそうです!」

 

(まさか葵羽の報告にあった……? 灰髪に魔法の『無力化』……アルフィアか! 男神(ゼウス)のファミリアだけでなく、女神(ヘラ)の眷属まで! 八年前から能力に変動が無かったとしても、Lv7! 現状の第一級冒険者でも敵わない相手!)

 

「戦況を掌握された……!」

 

「【猛者】達の敗北を受け、各【ファミリア】の士気が下がっています! 南方を中心に、敵の蹂躙を押し返せません!」

 

「……僕達は中央広場を、『バベル』を死守する! 敵の狙いは間違いなく……現存勢力は都市中央に集結するよう号令を出せ! 北の第一級冒険者とも連携を取る!」

 

 フィンの周囲では人が止めどなく入れ替わり続け、あちこちから報告が届けられている。そしてそれを捌くフィンは険しい表情のまま見回していくと、葵羽達と目が合った。

 

「……葵羽! アイズ!」

 

「葵羽さん達っすか!?」

 

「ああ。レベル3の冒険者を二人温存する余裕など、とうに無い」

 

「フィン、どうすればいい?」

 

「……南西ですか?」

 

 その時点ではフィンの中では二つのプランがあった。一つは南西に向かわせ、リヴェリアとガレスが削ったアルフィアにぶつける作戦。だがレベル7のアルフィアが魔法が通じないリヴェリアとガレスでどれほど削れているものか。

 本気のアルフィアにはレベル3などなんの足しにもならず、無駄に倒れさせるだけになるだろう。それに北方から戻ってきている【フレイヤ・ファミリア】の団員の方もまだいる。

 そしてもう一つは闇派閥の勢いが強まりつつある西方を任せる作戦。葵羽達が自爆前提の爆撃人間を相手取るという点を除けばこれが防衛線の延命に繋がる……が、南西にいる二人の豪傑達をどうにかしないと何れにしてもオラリオは壊滅する。

 そして出した結論は──

 

「南西よりもそこから広がる穴を食い止めて欲しい。葵羽とアイズは西方を頼む。そして今西方で指示をしている第一級冒険者に南西の偵察班と合流するよう伝えてくれ」

 

「 わかりました。行くよアイズ」

 

「……うん」

 

 言外に戦力外通告を受けた葵羽は左手に沿えている鞘を力一杯握りしめながら、西方へと走り出す。そしてそれに追従するアイズもやはり不満気だ。

 だがしかし今ようやく指示を下されたということの意味は理解していた。

 

「葵羽……やるよ」

 

「遠距離中心で近づかないこと。近づくならエアリアルを使った上で手の腱を、余裕がなければ切り落としてもいい」

 

「う、うん……」

 

 いつも以上に容赦の無い葵羽の発言に戸惑うアイズだったが、その表情に自身の心も引き締められた。

 

 

 葵羽達が西方の防衛線に辿り着いた頃には、動ける闇派閥は少なくなっていた。約50Mより先には足を潰された信者が相当数蠢きながら這い寄ってきているが、走ってくる信者は数少なく、恩恵を受けた闇派閥との交戦がメインといった様子。

 到着した葵羽はその場で指示を出している第一級冒険者にフィンの指示を伝え、交代する。

 

「じゃあお前ら、あとは任せたぞ!」

 

「「「了解!」」」

 

 そう言い残して第一級冒険者は走り去り、葵羽達も戦線に合流し、加勢していく。

 闇派閥の少なさから、戦いは有利に進むと思われたが──

 

 

 

 

 

 数分も経つと、戦況は徐々に悪くなっていた。勢いを増した闇派閥は南西方向から徐々に溢れ始めて増えていき、西方でも一対多を強制されていく。葵羽達も立っている冒険者が減っている事には気づいていたが、それに気を遣う程の余裕は無く、葵羽はアイズの、アイズは葵羽の安否確認のみを徹底した。

 葵羽は飛ぶ斬撃で闇派閥の牽制をしつつ、浮いた闇派閥にすかさず接近して圧倒し、手足の腱を斬る。

 それがしばらく繰り返された頃。

 

 

ズズズズズズ……

 

 

 地鳴りと共に、光の柱が天へと伸びていった。

 

「あの光は……!」

 

「まさかっ……」

 

「おいおいおいおい!」

 

 周囲が顔色を変えながらぽかんと口を開け、泣きそうな顔をしている中、オラリオに来て日の浅い葵羽は何が起こったのか分からずに困惑しつつ、歓喜で呆けている闇派閥から落としていく。

 その後何本かの光柱が天に昇り、その頃には()()()冒険者の士気は壊滅的、闇派閥の攻勢が再び強くなっていた。

 種明かしをすると、光の柱は『神の送還』の証。オラリオに来て、冒険者になって日が浅い葵羽やアイズには知る機会がなかったが、『神の送還』、それ即ち『神の死』であり、主神の死は【ファミリア】(家族)と『恩恵』の喪失を意味していた。

 幸い西方ではいなかったようだが、主神を失った冒険者の多い東方では『恩恵』を失った者が多く、阿鼻叫喚である。

 ここに防衛線は、跡形もなく消え去った。

 大量の穴からの浸水(闇派閥)は穴を塞ぐ木材(冒険者)不足により、止めること叶わない。

 事実葵羽達西方と北方が最も安定して防衛出来ており、他の方面では徐々に侵入を許し始めていた。

 

「アイズ! 一人じゃ厳しくなってきた。二人で戦うよ!」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 その日、オラリオ最も長い夜を迎えた。

 

 破壊と慟哭恐怖と絶望。

 

 街は燃え、血が流れ、数々の星が散った。

 

 後に『死の七日間』と呼ばれる、オラリオ最大の悪夢の始まり。

 

 都市に深過ぎる傷を与えた黒幕(エレボス達)は、笑みを残し、去っていった。

 

 立ち尽くす子供達と神々に背を向け、遊戯を楽しむように。

 

 あるいは、とっておきの『終焉』をもたらすために。

 

 その日、オラリオは最も長い夜を迎え──そして昏い朝を迎えた。

 

 

 

 

「アイズ……生きてる?」

 

「うん、なんとか」

 

 西方で息のある者は、当初の半数以下だった。

 葵羽とアイズの周囲は手足に深い傷を負った闇派閥とポーションが転がっており、その山の頂上に血塗れた二人は膝をついている。彼女達は自爆特攻を一度も受けなかったが、それでも身体中に傷を拵えていた。

 だが周囲に目をやれば闇派閥は去ったようで、誰もいない。

 

 辛うじて凌ぎきった、とは言えない。壊滅目前で見逃された。




アンケート結果
(85) 黒髪パッツン合法ロリ
(157) 黒髪ロング合法ロリ
(68) 黒髪パッツンでアイズと同じくらいの体型
(166) 黒髪ロングでアイズと同じくらいの体型
(110) 黒髪パッツンで大人BODY
(343) 黒髪ロングで大人BODY
(63) ポニテ(体型は今度アンケート)
(4) それ以外の髪型(髪型のアンケートを実施)
(63) 任せる(なんでもいい)

ということで黒髪ロングで大人bodyに決定しました。

続くアンケートにも答えてくれると嬉しいです。
その他はピンと来ない場合などでも投票して頂いて構いません。
その他になった場合は候補を幾らか増やして再投票を行います

アイズ出撃が早かった理由
・葵羽もいた為待機してる戦力がデカかった
・葵羽もアイズのストッパーになれる
・アイズの暴走癖は結構マシになってる

Q.アルフィアに剣技で勝ってるなら可能性あるんじゃね?
A.ないです。ぶっちゃけ音魔法対策無ければ一撃で終わります。接近戦に持ち込んでも、結局【ステイタス】差がデカすぎる。

Q.なんかエレボスって出てきたけど誰?
A.諸悪の根源。計画を全部考えた神。正義に対する『絶対悪』を掲げている。

葵羽の二つ名は?

  • 刀姫
  • 大和桔梗
  • 剣聖
  • その他(案があれば活動報告にて待つ)
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