オラリオに来たけど治安悪くない?   作:のん野のん太郎

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空想樹砕いてました。


第4話

 ダンジョン3階層。葵羽の目の前でアイズがモンスター(ゴブリン)を次々と処理していく。その様は嵐のような苛烈さで、鬼気迫るものがあった。

 撃破時間は葵羽よりも随分と速いが、戦い方の無駄が凄まじい。燃費最悪の常時全力疾走状態は見ていて心配になる。

 

「アイズ、ちょっと待ってください」

 

「ん……なに?」

 

 アイズはモンスターを粗方一掃した後にようやく止まり、葵羽に目を向ける。葵羽はアイズに駆け寄って返り血で汚れた顔をタオルで拭きながら言う。

 

「剣、見せて?」

 

「……いや」

 

 ほらと手を出して催促するが、アイズが痛いところを突かれたような表情をして断る。

 そして葵羽がもう一度ニッコリとわらって。

 

「アイズ?」

 

「葵羽顔怖い…………いや、なんでもない」

 

 そう言ってアイズが怯えながら短剣を差し出すと、短剣は刃こぼれだらけで罅が入り使い物にならなくなっていた。

 先程のアイズの戦い方は短剣を突き立てて強引に断ち切るもので、武器の消耗を完全に度外視している。

 

「戦い方が滅茶苦茶です。こんなボロボロの短剣ではタフな怪物(モンスター)も、怪物(モンスター)の群れも倒せませんよね?」

 

「う、うん」

 

 段々と背中が小さくなっていくアイズを見たバーラは一言添える。

 

「これでも多少マシになったんだけどねぇ?」

 

「それでも到底許容できません。掛かる費用(駄目にする短剣)に対して得られる成果(魔石)があまりに少ない。このまま進めば武器を買うお金も無くなります。なのでアイズ、私の戦い方を見ていてください。あくまでも参考程度にですが」

 

 そう言って葵羽は腰に差している打刀を抜く。背負っている大太刀はそれなりの業物ではあるが、打刀と脇差は凡庸なものだ。

 子ども用でかなり短いし、極東(恩恵無し)で打たれた量産品。これよりもオラリオの鍛冶師が打った刀の方が良いものが多いだろう。

 葵羽はアイズの頷きに微笑むと、今度は葵羽を先頭にダンジョンの薄暗い通路を歩く。

 下駄のカランコロンという音を響かせながらダンジョンを進んでいくと、その音を察知した『ゴブリン』三匹が葵羽たちに吸い寄せられる。

 

「アイズたちは見ていてくださいね?」

 

 葵羽が飛び出そうとするであろうアイズに先立って釘を刺しながら歩みを進め、バーラがアイズの肩をそっと押さえて微笑むとアイズが渋々といった様子で大人しくなる。

 そうすると葵羽一人が前に出て、当然ゴブリンたちもそれを発見、照準を定めて(ロックオンして)に走り出す。

 三匹のゴブリンは連携など知ったことかと個々に突撃を敢行し、走る勢いに乗せて棍棒を叩きつけた。

 それに対する葵羽は先頭のゴブリンの攻撃を余裕を持って避け、続く二匹目のゴブリンの攻撃を避ける際に片手で持った打刀で先頭のゴブリンの細い首を自然な流れで切り飛ばす。

 そして攻撃後の大きな隙を晒している二匹目のゴブリンの首に打刀を突き刺し、蹴りが三匹目の棍棒を振りかぶるゴブリンの胸を強打して吹っ飛ばす。

 最後に転がったゴブリンの首を切って戦闘終了(完全勝利)。打刀の新たな刃こぼれも無く、葵羽は思わず笑顔(ドヤ顔)をこぼす

 

「いやぁ、流石の手際だねぇ?」

 

「バーラさんは勿論、今のアイズにも出来ることですよ? アイズは怪物(モンスター)に対峙しても冷静でいられれば、という注釈が付きますけどね」

 

「……わかった」

 

 それから葵羽とアイズは半分暴走状態で競うようにモンスターを狩りまくり、アイズの短剣が折れてからはアイズに打刀を貸して六階層に到達。

 途中から大太刀で戦った葵羽はその重さによって怪物(モンスター)を倒す速さが鈍ったが、結果的に暴走しかけていたパーティ(二人)を抑えることに成功していた。

 そしてアイズの傷も多くなり、葵羽が疲弊して動きの精彩を欠き攻撃を受け始めた頃、バーラが制止をかける。

 

「そろそろ時間だ、帰るよ」

 

「バーラ、あと少しだけ……」

 

「門限にもまだ時間があるはずです」

 

 アイズはともかく葵羽が食い下がるのは少し意外に感じたが、冒険者になりたての頃の迷宮探索に対するモチベーションを思い返すと納得がいった。アイズと相互作用してそれが倍増している感は否めないが。

 

「ダ〜メ、これでも譲歩した方だ。リヴェリアならアイズの短剣が折れた時点で連れ帰っていたさね」

 

「うっ……」

 

「それに──」

 

 未だに食い下がるアイズにバーラがトドメの一撃。

 

「その刀ももう少しで折れそうだし」

 

「……! あの、その、ごめんなさい、葵羽……」

 

 驚いた表情をした後に目に見えて刃こぼれが増えた打刀を見る。

 そしてバツの悪そうな、申し訳なさそうな顔で謝るアイズ。打刀はもう少しで寿命だったこともあって何も問題は無いのだが、葵羽は閃いた。

 そして顔を曇らせた葵羽は──

 

「そうですか……少し、いえとても悲しいですが、これから武器を大切にしてくれますか? 約束してくれるなら、許してあげます」

 

「うん! 約束するよ、だから……」

 

 アイズが眉を下げてそう言うと、葵羽は表情をコロッと変えて悪戯っぽく笑う。

 

「言質は取りましたよね、バーラさん?」

 

「あぁ、聞いた。その為にはもっと武器の鍛錬をしないとね?」

 

「え、え……? な、なんで笑ってるの?」

 

 葵羽とバーラのやり取りに戸惑うアイズに葵羽はサラリと返す。

 

「いえ? 刀が壊れかけで明日にでも買い換えようとしていた、なんてことはありませんよ?」

 

「──なっ……! 騙したの?」

 

 頬を膨らませて怒るアイズだったが、葵羽はスっと真面目な顔に戻って言う。

 

「いいえ? 砕けるのを早めたのは事実です。だ、か、ら、ちゃんと武器を扱い(鍛錬し)ましょうね?」

 

「…………わかった」

 

 バーラは今も笑いながらアイズを転す葵羽を眺めながら、将来悪女になりそうだなぁ……と思ったという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから葵羽とアイズは二人一組(ツーマンセル)で行動し、半年でオークを安定して倒せるようになっていた。

 成長したとはいえ未だにアイズよりも一歩劣るステイタスに歯噛みするが、器用の数値が唯一アイズに勝っている。

 

 ゴジョウノ・葵羽

 

 Lv.1

 

 力:E472

 耐久:G289

 器用:B721

 敏捷:D584

 魔力:I72

 

《魔法》

 シカイ

 無詠唱魔法

 納刀時に発動可能

 

《スキル》

 

 

 

 

 そんな新星(葵羽たち)は当然オラリオ内でも名が売れ始めて認知されていく。

 そして今日もダンジョンへ潜ろうと意気揚々と門へ向かった途中で、葵羽は姉の輝夜とバッタリ遭遇する。葵羽は遠目から数度見ていた為驚きは少なかった。だが輝夜は知ってはいたものの勇気が出ず、家を出て以来初めて葵羽()の顔を見た。

 葵羽も驚いたが、そんな輝夜の驚きは如何程であったか?答えは見開いた目が閉じずに口が猛烈な速さで乾く、完全停止形態(シャットダウンモード)になる程。

 それを見た葵羽はやはり会わない方が良かったのだろうかと思いつつ、輝夜()を心配させまいと笑顔で口を開いた。

 

「ひ、久しぶり! 私もオラリオに来ちゃいました。あはは……」

 

 呆けている輝夜は隣に立っていたライラに肘で小突かれて再起動を果たすと、固い表情で返す。

 

「ああ、久しぶりだな葵羽……オラリオに来たというのは聞いていたが、忙しくて会えなかった。すまない……その、天華(てんか)*1は……」

 

「天華は家を出るときに誘ったんだけど、五条(ここ)がいいって」

 

「そうか……確かに天華は家同士のいざこざ(そういうもの)が好きだったな……」

 

 互いを気遣うような、遠慮がちな親族同士の会話。これを廊下でするもんだから、空気と共にその場にいる者たちの気分も落ち込む。

 そんな空気を吹き飛ばすように、赤髪ポニーテールの少女アリーゼが飛び出した。

 

「あなたが輝夜の妹ね! 聞いてた通り、かっわいー!」

 

「わっ……!」

 

「団長……!?」

 

 アリーゼは空気を読まずに(読んで)満面の笑みで葵羽を抱き上げ、葵羽と輝夜は驚いた顔に変わる。その場にいる【ロキ・ファミリア】と【アストレア・ファミリア】の団員からは笑いが漏れ、雰囲気が明るくなる。

 

「おっ下ろしてください! それに貴女は誰なんですか!?」

 

「私は【アストレア・ファミリア】の団長アリーゼ! 今日は【ロキ・ファミリア】と巡回の打ち合わせに来たの! 天才的な頭脳がバレてしまうわね、ふっふーん!」

 

「そんなことを言っている場合か団長! 私たちは真剣に話をしているんだ!」

 

 怒る輝夜にアリーゼはあっけらかんと返す。葵羽は足掻いても抜け出せず、赤面しながら正常な判断を失っていく。

 

「家族との久しぶりの再会でしょう? それなのにこんな重い空気なんて嫌だもの! それとも輝夜はこの子のことが嫌い?」

 

「そんな訳無いだろう! ……だが私は葵羽を置いて──」

 

「お姉ちゃんは悪くない。とにかく、私は今楽しくて、お姉ちゃんのことが大好きなんです!」

 

 再び萎れ始めた輝夜に被せて羞恥心や焦りでパニックになった葵羽が我武者羅に叫び、ようやく振りほどいてその勢いのままアイズが待つ門へ走り出す。

 そして残された輝夜は逃げた方向をぽかんとした表情で見つめ、他の団員たちはあら〜と輝夜を揶揄うように眺めていた。

 

「良かったじゃねぇか輝夜? お姉ちゃん大好きだとよ?」

 

 そんな中小人族のライラが輝夜を揶揄うと、輝夜は普段の上品な口汚さをすっかりと忘れてぽかんと開いた口から零す。

 

「恨まれているとばかり……」

 

「ま、良かったんじゃねぇの? 集合時間ギリギリなのを除けば、な」

 

 ライラが時計をクイクイと指差すと、その場にいた全員が時計を見て絶叫する。

 あと一分で開始時刻。当然彼女たちは遅刻した。

*1
葵羽の双子の妹。勝手に名付けた。




今のアイズのステイタス
アイズ・ヴァレンシュタイン

Lv.1

力:D502
耐久:E438
器用:C605
敏捷:C615
魔力:I0

スキルとかは省略しまそっそ



輝夜はオラリオに行く直前に葵羽と話してます。葵羽はその時一緒に行けない状況にあった為仕方ないと気にしてませんでしたが、輝夜は脱出計画を延期しなかった事でクソデカ罪悪感ゲット。それを見抜いた葵羽が気にしないでと言うも晴れず……って感じ


葵羽(輝夜大好きマン)
認識:罪悪感がデカすぎて自分を見るだけで辛くなる
実際:罪悪感もあるし辛くもなるけど無事で幸せならオールオッケー。でも恨まれてるだろうから合わん方がええかって感じ

輝夜(葵羽大好きマン)
認識:延期せずに一人で行ったことを恨まれている
実際:好き!

簡単に言うと好き同士だけど相手に嫌われてると思って避けてたって感じ

これからはイベントあるまで飛び飛びで進みます
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