「
「そ。【ステイタス】っちゅうのはそういうもんやから、ゆっくり段階踏んだらええよ」
「そういうもの、ですか」
手元の紙に目を落とすと、明らかに成長が鈍くなったことが示されている。
ゴジョウノ・葵羽
Lv.1
力:D549
耐久:F399→E402
器用:S900→S901
敏捷:B709
魔力:I89
《魔法》
シカイ
無詠唱魔法
納刀時に発動可能
《スキル》
「ま、気にせず普段通り進むのが一番やな。ただでさえ成長が速いんやから、これ以上急ぐと転んでまう」
ステイタス更新の際は背中を晒す必要があるため、部屋にはロキと葵羽二人きり。
強さへの渇望から暴走する事の多いアイズは幹部と一緒だが、比較的手のかからない葵羽は放任気味であり、ロキはそれを少し気にしていた。
ロキが考えるに葵羽は物分りが良すぎる節があり、甘えベタなのでは? つまり、合法的に甘やかせるのでは? と。
「やから明日、デート行かへん?」
「何をもって『やから』なのか分かりませんが、明日はすでに出かける予定がありますので」
その言葉にロキはわざとらしくガックリと肩を落とし、涙を零す。
「えぇー!? じゃあいつ空いてるん?」
「そうですね……次のお休みは五日後のはずです」
「よっしゃそん時は、あ……アカンわその日はうちの予定ある」
「ではまた今度、ですね」
「それ中々会えへんやつやんかー!」
「で、私に聞くと」
「うん。お姉ちゃんなら【ランクアップ】について何か知ってると思って」
葵羽が取り付けていた約束、それは定期的に開催される【アストレア・ファミリア】所属の姉、輝夜との茶会であった。場所は【アストレア・ファミリア】の
そして葵羽の目の前で茶を啜る輝夜は目を瞑って少し考え、返す。
「【ロキ・ファミリア】の団員には聞かなかったのか?」
「まだ聞いてない。ただタイミングが良かったから、お姉ちゃんに聞いてみたの」
「それなら私から教えることは無いな。【ランクアップ】への方針は【ファミリア】それぞれ。肉親とはいえそこに私が口出しするのはお門違いだ」
輝夜は葵羽からの目線を切り、窓の外を眺めて突き放す。輝夜が言うことは何ら間違ってはいないのだが、【ランクアップ】への扱いに葵羽は少し引っかかりを覚えた。
「【ランクアップ】って、そこまで慎重にならないといけないものなの? 上がり得なら別に教えてもいいんじゃ」
「そうだな……そもそも【ランクアップ】によって前の【ステイタス】は無しになる訳ではない。だから自分が所属する団員に聞くといいだろう」
「でも私もう頭打ちだよ? それなら別にいいんじゃないの?」
「と・に・か・く! 私が何か教えちゃうのはあまり良くないのよ。周りの目がとかじゃなく、【ロキ・ファミリア】と【アストレア・ファミリア】の関係が変わるくらいには大切な話」
「そっか。そんなに大事なことなんだ……うん、とにかく今度団長に聞いてみるよ」
想像以上の規模を出された葵羽は大人しく話を聞き、その後は近況や互いの趣味、前回教えたオススメの店などの話で盛り上がる。
そして日も傾き始めて門限が迫ってきた頃、階下がドタドタと騒がしくなった。
「なんだ、もう団員が帰ってきたのか。ということは門限が近いのか」
「……そうだね。門限ももうすぐだし、そろそろ帰るよ」
「ああ、また来い。いつでもという訳にはいかんが、予定が空いていれば是非話そう」
「……うん!」
輝夜と葵羽が別れを惜しみつつも一階に下りると、やはりパトロールを終えたアリーゼ達がアストレアに報告をしている最中だった。
そして静かに通り抜ける前に報告は終わり、捕捉される。
「葵羽じゃなーい! 確保ー!」
アリーゼは葵羽を見つけるや否や、目にも止まらぬスピードで忍び寄り、抱きかかえた。
「……見つかっちゃった」
「……見つかってしまったな」
数度の来訪のうち、アリーゼが居る際は必ず
「アリーゼさんアリーゼさん、そろそろ門限が迫ってきたので離して欲しいのですが……」
「その通りだ団長。門限を越えようものならこの子にも【ロキ・ファミリア】にも迷惑がかかる」
「あらそう? なら仕方ないわね! 残念だけど、これくらいにしておいてあげる!」
しかし意外も意外、その日アリーゼは粘ることもせずに大人しく葵羽を手放した。
だがそこへライラが参戦。肩を組んでコソコソと話し始める。
「今回も頼むぞ? さり気なく、あくまでさり気なくだ。フィンへの刷り込み、よろしく頼むぜ?」
「刷り込みって……人聞きが最悪ですが、要はさり気なく褒めておけばいいんですよね? その程度なら構いませんよ」
「ありがてぇ! 頭の硬い新人とは大違いだぜ!」
「リューさんはそこがいい所だと思いますが……」
「いやいや、アイツの面倒くささは一緒にいてこそ分かるもんだ」
葵羽の一年前に加入した新人、エルフのリューは怜悧な顔つきに違わぬクールさを持ち、エルフ特有の潔癖さを人一倍持つ純粋なエルフであった。少々荒々しいところはあるが、彼女もまた正義の徒である。
そして葵羽は他の団員からも可愛がられ、名残惜しさを感じつつ帰路に着く。
葵羽は【ロキ・ファミリア】の空気とは別に、この【アストレア・ファミリア】の空気が好きであった。
「む、帰ってきたか」
「うん、いま戻りました、リヴェリア」
「ああ、夕食までまだ時間がある。少し休むといいだろう」
「はい、そうします」
葵羽はアイズを待っているのかと思った為、話し終えると歩き始める。
するとリヴェリアも葵羽に合わせて黄昏の館へ歩く。
「あれ、リヴェリアも戻るんですか?」
「ああ、お前を待っていたからな」
その言葉に驚く葵羽。リヴェリアはアイズ担当、といった認識が一年足らずで確かに染み付いていたのだ。だから──
「アイズを待っているものと思っていました」
──つい突き放すように話してしまうというのは、仕方の無いことなのだ。手のかかるアイズに一人でも大丈夫な葵羽という【ロキ・ファミリア】での評価は、この間八歳になった葵羽にとって少しの寂しさを感じるものであった。
「…………確かにアイズは目を離すと何をしでかすか分からんからな。だが忘れるな葵羽、皆お前のことも案じている」
「…………そうですか」
葵羽は自分の、少し納得のいかない感情はあれど、嬉しくなってしまう感情に悔しく思った。
そして次の日、いつも通り葵羽はアイズとダンジョンに潜っていた。
「こらアイズ! 飛び出しすぎ!」
「まだまだ足りない……まだ……!」
しかし、アイズの様子が明らかにおかしい。
飛び出しすぎず、上手く切り替わることで安全に戦いを進める普段とは違う。
被弾無視の無謀な突撃。パーティ結成直後のアイズに戻った、もしくはそれよりも酷くなったかもしれない。
もー! と声を上げながらアイズを追いかけ、被弾しそうになればその
そんな非常に面倒くさいダンジョン攻略が数日続き、アイズへの苦言が百を超えそうになったその日──ギルドで
「さっき、【ランクアップ】について話をしてなかったかい?」
アイズと葵羽は立ち止まり、振り返る。
「もしかしたら【ステイタス】が上限に至って、伸び悩んでいるとか?」
興味を示すアイズを手で制し、葵羽が前に出る。
「おっと、怖いなぁ。別に悪事を働こうってわけじゃないさ。君も伸び悩んでいるのだろう? 知りたいとは思わないかい? ──【ランクアップ】の方法」
アイズが息をのみ、葵羽がギルド本部の前庭にも関わらず目を大きく開いて闘志を向ける。
「そんなに警戒しないでほしい。子を導くのは神の役目って、相場は決まっているだろう?」
「……本当に、教えてくれるのっ?」
「突然話しかけてくる
アイズは食い付いてしまうが、オラリオで生活して神の
嘘であれ本当であれ、他所の神が言うことに碌なものは無い。
「オレが司る事物にかけて、嘘をつかないことを約束しよう」
睥睨する葵羽の背から乗り出し、アイズが叫ぶ。
「教えてっ!」
「アイズっ! 今はとにかく帰って、報告するのが良いかと」
「おいおい人が善意で教えることだぜ? それに聞きたくないなら君だけ耳を塞げばいいんじゃないかな? なに、一言だけさ。一瞬だけ耳を塞いでくれればそれでいい」
飄々とそんなことを
ここにもう一人いれば可能だろうが、人の少ない前庭では手を借りられる人は誰もいない。どう足掻いても、阻止は不可能だった。
「葵羽っ……離、して……!」
「あぁもう!」
観念してアイズを離し、殺気すら混ぜて睨みつける。ビビって逃げろと念じながら、体では話すなら話せと男神に促す。
「おっかないなぁ。
──最悪だ。今のアイズにそんなことを言ったら、無茶をするに決まっている。
葵羽は一瞬だけ呆然とし、今からダンジョンへ向かおうとするアイズを気絶させて何とか連れ帰った。そしてその報告を団長フィンにした後、明日への不安を抱えつつ眠りにつく。
そして翌朝、アイズは一人消えた。
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葵羽たんの将来(作者は髪型エアプです)
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