ぼっちな貴女に恋をして   作:ぬこノ尻尾

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六十六手支度の水着購入~sideA~

 

 

 私の交友関係はそれなりに広く、様々な場所に出資したり株を持っていたりすることもあって、私の元には様々な案内が届きます。大切な情報であるし、ある程度は目を通しています。

 合わせて株主特典などで届いたサービス券など整理していたタイミングで、ふと1枚のチラシが目に付きました。

 それは海外のチラシでプライベートビーチ付きの邸宅の案内でした。それ自体はよく来る案内のひとつですし、特に海外に新しい別荘を購入する予定もないので、プライベートビーチ自体に惹かれたわけではありません。

 

 では、なぜ私が手を止めたのかというと……ひとりさんと一緒に海に行きたいという気持ちが湧き上がってきたからです。もっと端的に言えば、水着姿のひとりさんを見てみたいです。

 普段ですら天上が落とした美の一滴とすら思えるひとりさんが、水着を身に纏えばその美しさは女神に匹敵するでしょう。

 ですが、ひとりさんの性格上海水浴シーズンに海に行ったりというのは難しいですし、多くの人で賑わう場所自体避けたがる傾向にあります。

 

 しかし、そこでふと思いました。プライベートな空間であれば、ひとりさんと一緒に泳ぐことができるのではないでしょうか?

 国内でもプライベートビーチの購入は可能ですし、お父様もいくつかプライベートビーチや島を所有していますし、私もひとつ小豆島に海付きの土地は持っています。とはいえ近場ではないので、夏休みなどならともかく通常の週末などで行くのは少々慌ただしいでしょう。

 

 ですが、プライベートビーチではなくプライベートプールならどうでしょう? これならプライベートプール付きのホテルが都内にもありますので、簡単に訪れることができますしひとりさんとふたりきりでプライベートな時間を堪能することができます。

 ひとりさんにしてみても、プライベートプールであれば他の人の目もないので気が楽でしょうし……これはかなりの妙案ではないでしょうか?

 いいですね。考えれば考えるほど楽しそうです。もう少し計画を練って、ひとりさんに提案してみましょう。

 

 

****

 

 

 ひとりさんと一緒にプライベートプール付きホテルで過ごす計画を思いついた翌日。ちょうど月に1度のひとりさんと一緒に登校する日だったので、登校中に提案してみることにしました。

 

「ひとりさん、最近温かくなってきましたし、私と一緒にプールに行きませんか?」

「はえ? ぷっ、ぷぷ、プール!? むっ、むむむ、無理ですよ……プールってことは水着ですし、恥ずかしいですし……」

「安心してください。その辺りもしっかり考えてきました」

「……うん?」

 

 ひとりさんの反応は想定通りです。少し内気な性格で恥ずかしがりやなひとりさんですから、水着を衆目に晒すのは抵抗があるのでしょう。

 ですが、未来の妻としてもちろんひとりさんを誘う上でその辺りを見落とすことはありませんし、最優先で考慮すべきものであると認識しています。

 

「都内にあるプライベートプール付きのホテルであれば、人目を気にすることなくふたりきりで過ごせますし、週末であれば1泊して時間を気にせず楽しむことができます」

「……あっ、いや、有紗ちゃんに水着を見られるのが恥ずかし……うぐっ、もっ、もの凄く期待の籠った目で……そっ、そんなキラキラした目を向けられると……うぅぅ、わっ、分かりました。いいですよ」

「本当ですか!」

「あっ、はい。あっ、でも、私水着とか持ってないですよ」

 

 ひとりさんの了承の言葉を聞いて天にも昇る幸福を感じていると、ひとりさんが少々困惑気味に水着を持っていないと言ってきました。

 たしかに、ひとりさんの性格上プライベートで泳ぎに行ったりする機会は少ないでしょうし、水着を持っていなかったとしても不思議ではありません。

 

「それでしたら、今度一緒に買いに行きませんか? せっかくですし、私も新しいものを購入しますので」

「あっ、はい。じゃっ、じゃあ、今度の週末に一緒に買いに行きましょうか」

「いいですね。今週末に水着を購入して、来週末にプールというのはいかがですか?」

「あっ、えっと……来週末は、たしかバイトも入ってないですし、大丈夫です」

 

 プライベートプールでひとりさんと過ごせる上に、その前に一緒に水着を買いに行くデートまで楽しめるという大変に素晴らしい展開です。

 思わず顔が綻ぶのを感じていると、ひとりさんが軽く苦笑を浮かべつつ口を開きました。

 

「……そんなに嬉しそうな顔されると、本当に断れないですね。あっ、有紗ちゃん、買い物ついでに他の場所にも行きますか? 水着買うだけなら、そこまで時間もかからないでしょうし」

「そうですね。では、前に話していた通りまた一緒に映画でも見ませんか? 今度は、ひとりさんが言っていた横浜の映画館に行きましょう。確かショッピングモールの中にある映画館ですよね?」

「あっ、そうですね。確かに、ショッピングモールで水着も買えますし、丁度いいかもしれませんね」

 

 こうして私からだけでなく、ひとりさんの方からも「どこかに行こう」と提案してもらえるのは嬉しいです。ひとりさんが私と一緒に過ごす時間を楽しいと感じてくれている証拠のようにも思えて、本当に幸せな気分です。

 そのまましばらくの間。私とひとりさんは楽しく週末の計画について話し合いました。

 

 

****

 

 

 そして約束の週末となり、私とひとりさんは一緒に横浜のショッピングモールに買い物に来ていました。目的はもちろん水着ですが、映画も一緒に見ようという話なので先に映画の時刻を確認して、チケットを購入してから水着を買いに行くことにしました。

 休日とあってそれなりに人が多いので、はぐれないように手を繋いでショッピングモールを歩きつつ会話をします。

 

「……あっ、そういえば、いまさらですけど、私……泳げません」

「大丈夫ですよ。競技用のプールではなく、遊ぶのを主目的としたプールなので底は浅いです。特に泳ぐ必要もありませんし、一緒に遊ぶ感覚で大丈夫ですよ」

「あっ、そっ、それなら私でも……」

 

 もちろんプライベートプールの中には競泳もできるサイズのものもありますが、基本的には浅めなものが多いです。浮き輪などもレンタルでありますし、そういったものを使えば泳げなくとも問題ありません。

 

「あっ、ちなみに有紗ちゃんは泳げるんですよね?」

「人並み程度ではありますが、4泳法は一通りできますよ。浅いプールなので心配はないでしょうが、仮にひとりさんがおぼれたとしてもすぐに助けられると思います。いちおうライフセービングの研修を受けた経験もあります」

「……絶対相当泳げる……やっ、やっぱり、セレブですしハワイでサーフィンとかしてるんですか?」

「サーフィンはしたことはありませんね。シュノーケリングであれば中学生の頃にお母様とモルディブに行った際にやったことがありますね」

 

 モルディブの夕日は美しかったですし、いつかひとりさんと一緒に行って水平線に沈む夕日を眺めたいものです。まぁ、モルディブは5月から10月……いまの時期ですと雨季にあたるので、行くとすればベストシーズンと言われる1月から4月でしょうが……。

 

「もっ、モルディブ? って、どこですか?」

「インドの南にある1000以上の島々がある群島国家で、リゾート地として非常に有名です。1島1リゾートとも言われるほど、多くのリゾート地があります。日本からだと遠いですが、とても美しくていい場所ですよ」

「へぇ、すっ、凄いですね」

「いつか一緒に行きましょうね。ひとりさんと、水平線に沈む夕日を見たいです」

「……うっ、なっ、なんか口説き文句みたいなことを……まっ、まぁ、いつか機会があれば……」

 

 ひとりさんは顔を赤くしつつもある程度前向きな言葉を返してくれました。その言葉を聞いて感じたのは、以前と比べて海外というものに対して忌避感が強くないという印象を受けました。

 あるいは私と一緒であれば大丈夫と思ってくれているのかもしれません。コレはかなりいい傾向ですね。このままいけばひとりさんと一緒に海外旅行に行ける日も、そう遠くはないかもしれません。

 

 

 ****

 

 

 海水浴のシーズンが近いということもあり、水着はあちこちの店で売っていました。いくつかの店舗を見てみて、特に品揃えなどがよさそうな店にひとりさんと一緒に入ります。

 ひとりさんはやや緊張気味で、少し強めに私の手を握って落ち着きなく周囲に視線を動かしてます。

 

「……うっ、陽のオーラが……てっ、店員にいきなり話しかけられたりとか……」

「店によりますが、ひとりならともかく複数人での来店ではそうそう声はかけてこないので大丈夫ですよ。それより、ひとりさんはどんな水着がいいですか?」

「あっ、えっと、ぜっ、全然分からないです……」

「特に拘りが無いようなら、シンプルなビキニタイプのものでいいと思います。ひとりさんは髪の色合いを考えると、黒など比較的暗めな色が似合うと思いますよ」

 

 ひとりさんの髪の色は明るめなので、暗めの色合いの方がいいでしょう。あまり強い色合いのものだと、主張が強すぎる感じになってしまいます。

 プロポーションもいいですし、水着は飾りは少なめのシンプルなものでいいと思います。フリルなどが付いたものも可愛いと思いますが……ひとりさんの好みではないでしょう。

 そんな風に考えていると、ひとりさんは少し迷う様な表情を浮かべたあとで、私に提案してきました。

 

「……あっ、あの、有紗ちゃんが選んでくれませんか?」

「構いませんが、希望はありますか?」

「……あっ、えっ、えと……有紗ちゃんが、私に着てほしいって思うもので……そっ、その、有紗ちゃんならきっと私の趣味に合わせたものを選んでくれるとは思うんですけど、そっ、そうじゃなくて、せっかくなので、有紗ちゃんが着てほしいと思うもので……」

「ひとりさん……分かりました。それでは、せっかくですし互いに選んでみますか?」

「あっ、はっ、はい。がっ、頑張ります」

 

 ひとりさんが大変嬉しい提案をしてくれたので、互いに互いの水着を選ぶ形式にしました。しかし、私がひとりさんに着てほしい水着を着てくれるということは……ちょっと、可愛めのデザインとかでもいいのでしょうか?

 とりあえず、ひとりさんが嫌がりそうなものは選ばないようにしつつも、私が着ている姿を見たい水着を選ぶことにしましょう。

 

 

 




時花有紗:相変わらずの行動力、計画した翌日には実行する猛者。もうすでにホテルの選定も終えていそうな感じはある。ぼっちちゃんの水着姿がいまから楽しみ。

後藤ひとり:有紗とセットの状態では、陽キャカウントでもいい気がするぼっちちゃん。水着を購入に……ついでに他の場所にも行こうと提案したり、有紗と長く一緒に居たいと思っている感じがする。好感度はさらに上がっている模様。
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