ぼっちな貴女に恋をして   作:ぬこノ尻尾

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残業で執筆時間があまり取れなかったので、今回はいつもより少し短めです。


八十六手砂浜のサマーバケーション~sideA~

 

 

 一度決まってしまえば善は急げといいますか、行動が早いのが結束バンドの面々であり、1泊旅行の準備はあっという間に終わり、予定していた別荘にやってきました。

 車で片道3時間ほどの距離で、やや遠目ですがここの別荘はかなり設備がしっかりしていますし、お母様が利用することを前提に作られているのでプライバシー面も万全と言えます。

 

「来たぞ、別荘! ……写真で見るよりだいぶ大きい」

「イエーイ! というか、移動の車がすでに凄かったです!」

 

 虹夏さんと喜多さんが楽し気に別荘前でハイタッチしてはしゃいでいるのを、私とひとりさんとリョウさんは少し離れた場所で見ながら言葉を交わします。

 

「……私、思うんだ。やっぱり、車は運転するんじゃなくて運転してもらうべきだって、将来は専属運転手を雇おう」

「あっ、はぁ……かっ、かなりお金がかかるのでは? あっ、有紗ちゃん。美春さんって、どれぐらいで……」

「美春さんの月収はおおよそ50万、賞与なども含めれば年収は800万前後ですね。あくまでうちの雇用条件で、一般的には専属運転手の平均年収は400万~600万と言われていますね」

「……専属運転手は諦める」

 

 ひとりさんが口にした美春さんは、主に私の送迎を担当してくれている運転手のひとりで、今日別荘に送ってくれたのも美春さんです。

 私の送迎を担当してくれる運転手は3人居るのですが、基本的には美春さんと夏華さんというふたりの方が回して、おふたりとも休みの場合にはもうひとりの運転手が送迎してくださいますが、機会は多くありません。ほぼ美春さんか夏華さんです。

 ひとりさんも何度も車に乗っていることもあって、顔見知りです。

 

「とりあえず、中に入ろうか……有紗ちゃん、部屋割りとかって決まってるのかな?」

「いえ、決まっていませんが事前に全員分の寝室を用意するように伝えてあるので、それぞれお好きな部屋で大丈夫ですよ」

「……ぜ、全員個室……よ、よし、とりあえず部屋割りは適当に決めようか!」

 

 私に軽く確認したあとで、別荘内に入ってそれぞれの部屋を決めて荷物を置きます。ちなみにひとりさんは私の隣の部屋です。

 そして荷物を置いたあとはリビングに集合して、なにをするかを相談することになりました。リョウさんは即座にキッチンの大型冷蔵庫を確認していました。

 

「お、おぉ……食べ物も飲み物もいっぱい……有紗、これって」

「全て自由に食べたり飲んだりしてもらって大丈夫ですよ」

「やったぜ、やっぱり持つべきものは金持ちの友達!」

「リョウもいちおう金持ち側なんだけどね……有紗ちゃんのランクが違い過ぎるせいで霞んでるけど……」

 

 私の返答を聞いてさっそく冷蔵庫から食べ物や飲み物を取り出すリョウさんを見て、虹夏さんが苦笑を浮かべつつ口を開きます。

 

「夜はBBQの予定だけど、それまでどうしよう? だらだらしとく?」

「えー!? 海行きましょうよ! 海!! あの健康的な景色を前にして、泳ぎたくならないわけがないじゃないですか!?」

「……テンションが上がりまくって興奮してる。いや、まぁ、いいけど……」

「やったー!! ずっと服の下に水着着てたから息苦しかったんですよ!」

「小学生か!!」

 

 よほど海が楽しみだったのか、早着替えのような速度で水着に着替える喜多さんに虹夏さんがツッコミを入れるのを見つつ、私は軽く苦笑を浮かべながらひとりさんに声をかけます。

 

「それでは、私たちもそれぞれ水着に着替えて集合ですかね」

「あっ、はい」

 

 そうして私たちはそれぞれの部屋で着替えて、再びリビングに集合しました。そして自然と互いの水着についての話になりました。

 

「活発な喜多さんによく似合う水着ですね。フリルも可愛らしいです」

「あっ、えっと、可愛いです」

「……写真撮って物販で売ろう」

「喜多ちゃんは水着似合うよね~」

「ありがとございます。渋谷の108で買ってきた最新の水着ですよ!」

 

 喜多さんはフリルの付いたシンプルなトライアングルビキニで、シンプルながら喜多さんの可愛らしさを引き立てている印象です。

 

「伊地知先輩の水着はハイウエストデザインで可愛いですね~」

「夏休みに食べ過ぎちゃって少し太ったから、体型隠しも兼ねてね」

「色合いも落ちついたいい色で、虹夏さんによく似合ってますね」

「あっ、可愛いと思います」

「……まぁ、悪くないと思う」

 

 虹夏さんはハイウエストのワンピースタイプの水着の上に薄手のシャツを羽織った形で、上品さと可愛らしさを感じます。

 

「リョウ先輩のシースルー水着も大人っぽいです! 腹筋割れててスタイルも最高!!」

「一番自堕落なのに、なんでこの体型……なんか理不尽」

「リョウさんは高身長でスタイルがいいので、体型の出る水着は本当によく似合いますね」

「……え? 有紗がそれ言う?」

「あっ、えっと、カッコいいです」

 

 リョウさんはボーイレッグのショーツタイプの上にシースルーの上着を着ている形でした。リョウさんのスタイルの良さも相まってモデルのようにも見えます。

 

「ひとりさんのフレアビキニは、やっぱり最高に可愛らしいですね。普通のタイプやホルターネックタイプと迷いましたが、フレアビキニを選んでよかったです。ひとりさんのプロポーションであれば大抵の水着は似合うと思いますが、やはりフリルはひとりさんの愛らしさをグッと引き上げてくれますね。いまのひとりさんは夏の妖精といっても過言ではないですし、夏の太陽以上に眩しく感じます」

「かっ、過言です! こういう時の、有紗ちゃんは大体過言です……」

「ぼっちちゃん相手の時だけ熱量が全然違うんだけど!?」

「あ、あはは、有紗ちゃんは本当にブレませんよね」

「ぼっちもまんざらではない顔してる気がする」

 

 ひとりさんの水着は私が選んだもので、かなり悩んだのですが可愛らしいフリルが付いたフレアビキニにしました。ひとりさんであれば色っぽいタイプの水着も似合いますし、フリンジビキニやレイヤードビキニといったタイプやレースアップも似合うとは思うのですが、やはり個人的にはひとりさんの愛らしさを際立たせるデザインが好みです。

 果たして人生でここまで悩んだことがあっただろうかと思うほど考えましたが、最終的に選んだ水着はひとりさんの愛らしさをこれでもかと言うほど高めてくれており、満足です。

 

「……まぁ、その、いろいろ感想は言ったけどさ……やっぱ有紗ちゃんは凄いよね。雑誌の表紙に写真載ってても納得しちゃうよ」

「……ハイネックにパレオ、着こなすの難しそうなんですけど……なんか直視できないぐらい眩しいですよね」

「あっ、有紗ちゃんの水着も可愛くてカッコいいと思います。なっ、なんか、海外のセレブみたいな雰囲気もありつつも、可愛らしいです。あっ、あと、やっぱり有紗ちゃんにはパレオが似合います。上品ですし、足も長くてスタイルがよくてカッコいいので!」

「ふふ、ありがとうございます。ひとりさんに、そう言ってもらえると嬉しいです」

「……ぼっちも、有紗に対してだけやたらコメント多くない? もうバカップルさを隠しもしてない気が……」

 

 私の水着もひとりさんの水着を買う際に新しく買ったもので、今回はハイネックタイプの露出を抑えたデザインで落ち着いた雰囲気に纏めてみました。ひとりさんが私にはパレオが似合うと言ってくれたので、パレオも合わせたデザインにしています。

 まぁ、私の水着は別にいいとして、やはりひとりさんの水着は素晴らしいのであとで写真を撮らせてもらいましょう。

 

 

 




時花有紗:本人の容姿がぶち抜けて高く、スタイルも完璧ではあるが、当の本人はぼっちちゃんの水着の方がよっぽど重要で、今日の着てもらう水着を選ぶ際は過去一レベルで悩んでいた。

後藤ひとり:他へのコメントと、有紗へのコメントがまったく違うので、好意を全然隠せてはいない感じもする。それぞれ個室ということで、有紗と別の部屋であることに、ちょっとシュンとしていた。

春夏秋冬:有紗の専属である運転士と使用人ふたりずつの計4人。運転手の美春と夏華、使用人の秋奈と冬実夏秋冬……出番はほぼ無いので覚える必要は無し。
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