お久しぶりです。一年以上放置してましたね…。
「どうして私についてくるんです?さっきの騎士達のようにおめおめと退散すればいいのに」
結果的にエス・ノトに助けられた紅の騎士とシェリーだったが、騎士たちはエス・ノトに今見た内容を誰にも教えない事を条件に逃がされるが、シェリーは何故かこの場に留まっていた。
「私にはやる事が…しなければいけない事があるんです」
シェリーの手に握られた銀色に光るアーティファクトをエス・ノトは一瞥し、それがどういったものかを
「私はさっきみたいに貴女を守らないかも知れません、自分の身勝手で行くのなら、どこかで死ぬかもしれません…それくらいの覚悟は必要です。貴女にその覚悟はありますか?」
目を見開いたエス・ノトはシェリーに対して殺気にも似た威圧感を出した。これで怖気付くなら、大人しく去れとでも言ってるかのようだった。
「しっ…死ぬのは怖いです、想像もしたくありません。でも…この学園の人を見殺しになんて出来ません…」
エス・ノトの殺気を受けて尚、宣言したシェリーは強い瞳でエス・ノトを見やる。
その光景を見て、エス・ノトは昔の自分を思い出す。
魔力の暴走によって肉体は膨張、崩壊していき、言葉も発せぬ肉塊に成り果てた自分を救ってくれた陛下、その陛下に言われた事だった。
『私はお前の事を護れない時があるかもしれない。そして、戦うのが怖いと言うお前を私は矢面には立たせない。しかし、それでも尚、私のために戦うと"未来"の事を言うなら、私はお前を護る…お前も私を護ってくれ』
『私が一番怖いのは…陛下、貴方に
◆◆◆
「夜になっちゃったね…」
「え?ああ、そうですね。夜で思い出しましたが、陛下は寝る前に必ず温かいミルクを___」
「いや、ずっと喋ってるのにまだ続けるの!?」
目の前にいるリジェ・バロと名乗った褐色エルフのお姉さんは、まだ日が高い時からずっと、本当にずっっっっと途切れる事なく、話し続けている。何か情報が探れないか聞いていても全く関係のないことばかり話すもので、聞き流してしまっている。
少し前に遥か後方に見えたニューに対し、『夜になってから行動開始する』と、手信号を送っておいたが、これでは僕がシャドウとして動けそうにない。幸いなことにリジェ・バロは話すことに夢中になっていて、僕の手信号に気がついていないところだろう、喋ることに夢中になり過ぎている。
なんとなく悪い人ではなさそうなんだけど、ちょっと際限なさそうだし、眠ってもらおうかな…。
手のひらに隠して出したスライムを、ボウガンの要領でリジェ・バロの肩めがけて射出する。魔力によって身体を強化したところで余裕で貫通できるほどのミスリルを超える強度のスライム弾丸は、例え魔力の生成がしづらい状況下であってもその威力を存分に発揮する___そう、発揮するはずだった。
「なん………だと…」
「おや?何かやられましたね?」
スライムが貫通した…いや、違う貫通じゃない…身体を
そこで、リジェ・バロと初めて会った瞬間の出来事を思い出す。
「万物貫通…」
万物貫通…それが文字通りの意味を持っているなら、無法もいいところだ。『アイ・アム・アトミック』を発動したところで、爆風も、破砕した瓦礫片も、熱も、一切合切の何もかもを無効化するのだから…。
「何かやったところで無駄ですよ、僕の力は神にまで届きうるんですから」
もしこの能力に何も制約がないのなら、それは本当に"神の領域"に匹敵する力になる。
ふっ…いや違うね…この能力を使ってる間は、おそらく
やっぱり万能の能力はそうそう無いね、どこかで必ず穴がある。
でも学園の敷地内だし、派手な戦闘は出来ないね………おや?魔力が戻ってきて…。
「シャドウ様、一時退却を。ここは私どもがお相手いたします。」
「ガンマか…助かる」
ガンマが仲間たちを連れて助太刀に来てくれた、ガンマ一人じゃないだけで安心できる。これで僕はシャドウとして活躍ができるというもの。
「あ、ちょっとまだ話は終わってないんですよ!」
あのリジェ・バロ、あれだけ話しててまだ話す内容があったのかよ…。
◆◆◆
シェリーと名乗った彼女は研究者顔負けの技術で、アーティファクトを制御できる状態に調整した。現在の人類では解読できない部分もあるのがアーティファクトである所以であるはずなのに、この少女はそれを可能とした…可能であるなら、彼女を是非見えざる帝国に確保しておきたい。
「出来ました!これで強欲の瞳を制御できれば、今魔力の吸収されている現状も、吸収した魔力の容量を超えた時に起こる爆発もなくなります!」
「では行きましょう、お父さんを助けるのでしょう?」
「はい!何から何までありがとうございます!エス・ノトさん!」
「…私は何もやってません、ただ周りを徘徊していただけにすぎません」
「エス・ノトさん、嘘が下手なんですね」
バレてましたか…。私も大概甘いですかね、陛下。
◆◆◆
「へい___ユーハバッハさん、どうして動こうとしないのです?
「衆人環視の中で動くのは愚の骨頂だよドールさん。それに私は自分で動きたいという欲はそもそもないのさ」
我々は大聖堂に手足は繋がれて居ないが、実質的に囚われの身となっている現状多くの目がある中で、派手に動こうとはせず、静観をつらぬいた。
兄さんも純粋な剣技と腕力で偽のシャドウガーデン全員を虐殺出来そうなものだが、人質の数からやはり派手に動こうとしない。
「ドールちゃんはやっぱりバカじゃのう」
「ですわね〜」
あーあ、ツァンとベレニケから総攻撃をくらってほっぺを大きく膨らませちゃった…まぁ順当だね。
「二人ともそのくらいに___」
瞬間…大聖堂の中で銃声が響いた。
「いよっしゃ!命中!」
偽のシャドウガーデンが、高所から生徒たち目掛けて射的のゲームのように愉しんでいる。
本領発揮したなら、あんな銃撃ごときにやられる生徒ではないだろうに…無念だろう。学園にいる
「
「安心しろ…"バカ"な真似はせん」
魔力が少し漏れたか…私もまだまだだな、この程度で揺さぶられるとは…。
「おい、あっちに魔力が揺らいだやつがいたぞ!狙えねらえ!」
クズが私に狙いをつけたようだ。これで私の(平穏な)学園生活もこれまでか…。
「なんだ?…魔力が吸収されなくなったぞ」
「魔力の吸収は止まりました!反撃の準備を!」
何処からともなく声が聞こえてきた。この声は、エス・ノトかッ!やはり私の部下は優秀だ。
「魔力は戻った!反撃開始だ!」
エス・ノトの声に反応して、ローズ会長が扇動する。…この一瞬で兄さんは五人屠ったな。
お疲れ様でした。
ちょくちょく深掘りされていく聖十字騎士団、実はどんな性格だったかなと、過去の自分の話を見ていたのは内緒