真・女神転生オタクくんサマナー外伝~エピソードオブドリフターズ~ 作:ジントニック123
コミケ行く前になんとか仕上げました。
──────ある男が居た。
そこそこの歴史を持つ旧家の末裔に生まれた男は、人類が克服したはずの感情を持つ先天性の
それだけならばまだ珍しい話でもない。
絶対数こそ少ないが、世界中を探せばどのような血筋であろうと生まれてしまう可能性はある。
だから、男が他の同類と比べて異なる点があるとすれば一つ……生まれ育った環境だろう。
どういう訳か、男の両親は息子を自分たちの手で育てるという選択をした。
通常は病気が発見された時点で専用の施設へと送るのが一般的だというのにだ。
多くの場合、感情などという異物を持った子供たちは普通の人間では対処しずらい。
要は起爆時間の分からない爆弾が設置されているのと同じである。
真っ先に被害を受けるとしたら傍にいるだろう両親なのは間違いなかった。
それでも彼らはそのリスクを承知した上で共に暮らす事を選んだ。
そこに一体どういった意図があったのかは分からない。
ただ、両親は感情の無い自分たちなりに、男に教えられる事を全て教えた。
例えば、世界の美しさや醜さ。
例えば、人間の素晴らしさや悍ましさ。
例えば、護るべき何かや大切な誰かを慈しむという普遍の概念。
周囲からはやんわりと忠告されたり距離を取られもしたがまるで構わずに。
男が自分というものを確立し、中等教育を終えるまでの間ずっと。
そしてあくる日、何の前触れもなくあっさりとヒュージ襲来によって命を落とした。
それから少しして、男は自ら士官学校の門を叩いた。
どうせ強制徴兵からは逃げられないという諦めがあったのか。
尊敬していた両親の命を奪った
あるいは、近隣に住んでいた年下の幼馴染の少女がリリィとして覚醒してしまったからか。
―――結果として言うなら、男は極めて優秀だった。
他の
士官学校時代から幾つも戦果を挙げ、エースに名を連ねるのにさほど時間はかからなかった。
頼れる親友に背を預け、数え切れないほどの強敵を打倒し続けた。
それでも零れ落ちる命を全て救う事は出来ず、時には見殺しにしてしまう事もあった。
膝を着き、へし折れて、這いずってから立ち上がる事を幾度も繰り返した。
苦難や喪失、圧倒的な絶望に屈せず、友や仲間に支えられひたすらに戦い抜いた。
それがこの世界における男―――雨柳巧の歩んできた道程。
折れる余裕も逃げる場所もなく、だからといって絶望しなかった青年。
手足を捥がれ、牙を抜かれ、目を潰された者たちの為に刃を振るい続けた戦士。
そして、
―――延々と続く無限回廊の一つ、その結末はもう間もなく。
・
・
・
「たぁあああくぅうううみぃいいいいいいいっ!!!!!」
―――先手をもぎ取ったのは黒の機兵を駆る狂人。
秒単位で歓喜による絶頂を繰り返しながら、
数百メートル以上離れていた距離を文字通り飛び越えて、雨柳の正面に現れる。
| 《リミットブレイク》*1 | 指定した武器による攻撃を万能相性へ変更する。 |
同時に、限界を無視するエネルギーを注がれた左腕が白熱化して―――。
「イッちゃえよぉおおおおおおおお!!!!!!!!」
半ば融解したそれが一気に振り落とされた。
「生憎と―――いい加減目も慣れてきた」
| 《葛葉流悪魔使役術:かごめ舞》*2 | 敵攻撃時召し寄せ・隠し身・前転が低確率で発動。 この世界においては前転のみ使用可能。 |
| 《アクセサリー所持Ⅲ》*3 | アクセサリーを追加で3つ装備できる。 両腕の義手に内蔵された機能によって効果を再現する。 いつかの終わりまで漂白する男が授けた切り札の一つ。 使用者の生命力を著しく削るが、先を考えないなら問題はない。 |
| 「ファンタズム」*4 | 自身の命中・回避を2段階上昇させる(常時)。 未来視のレアスキルを人の技術で再現した物。 頭が内側から破裂するような激痛に苛まれるが知った事ではない。 |
| 「アストラルガーダー」*5 | 麻痺・能低・眠りを無効化する。 魂を保護するブーステッドスキルを人の技術で再現した物。 使用後は重篤な後遺症が残るが、これから死ぬ者には関係ない。 |
迫り来る極高温の白濁に対し、雨柳が取った行動は極めてシンプル。
攻撃の軌道に沿うように前方へと倒れ込み、勢いを殺さぬまま
劇薬による底上げと、既存科学から逸脱した
結果、共にすれ違うよう交差し、先ほどと同じようく大沢の背後を取る。
「俺がお前にどれだけ殴られたと思ってる?」
「今日だけなら23発だね―――士官学校時代からなら余裕で3桁行くけど」
攻撃が不発に終わり、背中合わせの形で語り合う。
互いに思い返すのは若かりし頃の日々。
二十年近く昔の話だが、今でも鮮明に思い出せる。
訓練でも喧嘩でも巻き込まれた争いでも。
全力でぶつかる機会自体は幾度もあった。
しかし、本音をさらけ出し死力を尽くすほどのものはこれが始めてだ。
機兵の発する高熱で雨柳は容赦なく炙られるが不思議と気にならない。
そして、言葉を交わし、必殺をいなされた大沢の呼吸が僅か途切れて。
「なら―――今からのしつけて返してやるよ」
その隙をこの
| 《殺魔一閃》*6 | 敵単体に万能相性で大ダメージ。 とある悪魔召喚士の一族が使う、敵の隙に差し込む必殺の一閃。 この雨柳ではかごめ舞と連動する形でしか使用出来ない。 |
| 《ニョルニール》*7 | 攻撃力:330 補正:HP+20、力+7、魔+2 かつての戦いで戦死した少女の魔導器を大剣として作り直したもの。 地に落ち、踏み躙られようとも形を変えて咲き誇った百合の花。 |
雷神の槌の名を冠した大剣で振るわれるのは万能反撃の業。
劇薬によるバッドトリップによって、自らの遥か過去から
いつかの時代、悪魔を従える術と共に血の滲む様な鍛錬の果てに体得した絶技。
融解していた左腕が宙を舞い、僅かに遅れて鋼を切り裂く不快音が響く。
今まで傷付けるのが精一杯であった相手に与えた明確な痛打。
刃の通じる証明が果たされ―――続けて雨柳へと手番が回る。
「もう一発かましてやれ―――クー・フーリン!!」
| 《代役猛犬》*8 | アクティブにいる間、自身と味方の「神獣」「聖獣」「魔獣」「妖獣」は クリティカルダメージが上昇する。 |
| 《衝撃プレロマ》*9 | 衝撃相性の攻撃の威力が上がる。 |
| 《金剛息法》*10 | 仲魔の攻撃特技の威力が大幅増加、MAG消費量も倍増。 改修する際に加えられた機能だが、反動は相応のものとなる。 |
| 《フェイズトランセンデンス》*11 | スキル使用時の消費SP(MP)が25%減少する。 魔力が無限大となるレアスキルを人の技術で再現した物。 本来の物と比べれば劣化しているが、逆に反動も少ない。 ―――無論、命を削る事に変わりは無いのだが。 |
| 《 | 敵単体に力依存による中威力、貫通効果の衝撃属性攻撃。 必ず命中しクリティカルが発生する。 |
畳みかけるようにして雨柳と同化した白鎧の騎士が絶死の魔槍を放つ。
最初と比べてより強く顕現した事で、その威力は格段に跳ね上がっている。
加えて、雨柳を通した攻撃である故に不死概念によって無効化される事もない。
「ぶち抜けぇえええええええ!!」
よって魔槍は止まらず―――使い手と共にどこまでも突き進む。
黒の機兵に大きな風穴を開けたまま、言葉通り
進行方向にある建造物が軒並み粉砕される。
守り切れず野晒しとなった遺体を踏み潰す。
守り切れず人外となった元人間を踏み砕く。
残るのはただ一直線の轍のみ。
何もかもを消し飛ばす轢殺道。
「キヒッ、ハハッハハハッハハハ!!!!」
――――そこまでやってなお、眼前の親友は一切揺るがない。
雨柳が自分だけを見て全力で立ち向かってくる事を喜んでいる。
心底楽しそうに笑って、嗤って、哂い続けている。
まさしく怪物。人の皮を被った鬼畜生にして理外の魔人。
魔槍に貫かれた程度で止まるなら、この男が今ここにいる事は無い。
「こんなもんじゃねぇだろ……お互いによ」
「もちろんさぁっ!!」
故に温存などあり得ない。
生命維持装置の起動と同時に横浜の街を横断。
わずか数秒で人類最後の領域を駆け抜けて―――手番が回る。
「ヒョ、ヒャッ…ハハッ、ハッハハハハハ!!!!!!」
引き摺り回されたお返しと言わんばかりに、解き放たれるのは翡翠色の
半径数百メートル以内の全てを跡形もなく消滅させる存在否定の極光。
おまけに機兵に搭載された装置によって、この邪悪なる調べはあらゆる護りを素通しさせる。
強化された雨柳の肉体であろうとも、細胞レベルでの分解は免れない。
「ォ、オオオオオオオオ!!!!」
魂から咆哮し、崩壊する肉体を気力で押し留める。
生命維持の為に義手が過剰駆動し、全身の神経が幾つか焼き切れたが構わない。
膨大な光量によって眼球が焼かれ視力を喪失したが問題ない。
体のあちこちが砂のように零れ落ちて行くが死んではいない。
なら、まだ剣を振れる。
なら、まだ戦いは続く。
なら、まだ殴り合える。
「こんなもんじゃないよね……お互いにさ」
「当たり前だぁっ!!」
そして翡翠色の滅びを潜り抜け―――影が差した。
理由は簡単で、頭上に現れた何かが光を遮っているからだ。
僅かに残った視界に映るのは、失われた左腕を翡翠のオーラで補う機兵の姿。
無形故に自在な姿を取るその左腕は、空に開いた穴から
「絶望は散々味わっただろう?」
なにせ、
「なら―――今度は希望に踏み潰されてみなよ」
| 「アイテムを手に持つ」*13 | アイテムを手に持って攻撃する事が出来る。 アイテムの保持には手番は消費しない。 |
| 《龍眼》*14 | 命中率が大きく上昇する。 |
| 「手に持って攻撃する」*15 | 手に持ったアイテムで攻撃する。剣相性の攻撃として扱う。 最大サイズの場合、中確率でSHOCK状態となる。 |
頭上から
大沢が行ったのは
一個人へと向けるにはあまりに大雑把で過剰な攻撃手段。
同時に、自分たちが護って来た物で踏み潰されるという愚弄の一撃。
(避け、いやもう間に合わな―――)
大きくて速いというシンプルな理屈は小細工を容易く蹴散らすのだ。
だから、出来たのは大剣を掲げ真正面から受け止めるという足掻きのみ。
激突、そして轟音。
アスファルトが砕け金属の拉げる音を響かせながら大量の粉塵が宙を舞う。
煙が薄れた後に残ったのは半ば地面へ埋もれるように大地へと突き立つ、墓標じみた方舟の姿。
人間としては大柄でも、方舟と比べれば豆粒でしかない雨柳が下敷きとなり―――手番が回る。
「よくやったクー・フーリン。そして手番だ―――モー・ショボー」
直後、巨大な火柱が立ち昇り一瞬で方舟が蒸発した。
| 《不屈の闘志》*16 | 戦闘中1度だけ、HPが0になる攻撃を受けた時に耐え、HPが全回復する。 魔槍の騎士が主へと最後に残した勝利へと至る為の道筋。 |
炎の発生源、つまり地中にて雨柳が体を起こす。
その体に多少の疲労はあれど、今までの負傷は一つ残らず全快している。
それは魔槍の騎士が最後の力で齎した不屈なる意思。
主を復活させ、勝利を掴むべく次の仲魔へとバトンを繋いだ証だった。
「これで詰める……頼むぞ」
大沢がいる方向へと目を向けたまま、雨柳は傍らにいる有翼の悪魔へと告げる。
モンゴルに伝えられる愛を知らぬ少女は無言で微笑み、雨柳の背に手を添える。
そのまま儚い光と化して姿を消して―――膨大なエネルギーが全身から溢れる。
| 《バイナルストライク》*17 | 生命力を高純度の爆発エネルギーに変え、自爆特攻を行う。 敵に対して残りHP量の割合に依存した物理ダメージを与える。 モー・ショボーという悪魔が持つ代表的な自爆技。 |
巨大な火の玉と化した雨柳が、地中から大沢へと飛翔した。
先ほどの魔槍よりさらに早い神速は
故に大沢は反応さえ出来ぬまま、突き出された大剣によって操縦席ごと貫かれた。
「ご、ぉあ……!!」
「付き合えよ、天国の近くまでな」
自分たちに最も縁遠い場所の名前を告げながら―――雨柳は止まらない。
大沢を串刺しにしたまま遥か天空へと向けて
崩壊した横浜も、ヒュージの大群も、何もかもを置き去りにして、高く、高く、誰の邪魔の入らない場所まで飛び立つ。
すぐさま自爆せずにこのような真似をした意図は明白だ。
最大出力による爆発で生き残った子供たちが巻き込まれるリスクを無くすためである。
最後の方舟は地下ドッグにあるとはいえ、被害が及ぶ可能性はゼロではない。
そして、あっという間に地上の建造物が豆粒サイズとなり、エネルギーも臨界へと達する。
この位置ならば生き残りを巻き込む心配はない。
そのまま身体を内側から焼き焦がす熱が今まさに溢れ出そうとして―――。
「………………………ふざけるな」
静かな声と共に手番が回る。
「ふざけるなぁっ!!!!」
自爆直前―――雨柳を挟み込むように双腕が打ち込まれた。
「っ、ぉあ……!」
| 《不屈の闘志》*18 | 死亡時、一度だけHPが中回復する。 降魔したモー・ショボーが保有していたスキル。 |
| 《食いしばり》*19 | 戦闘中一度だけ、HPが0になる攻撃を受けた時にHP1で耐える。 降魔したモー・ショボーが保有していたスキル。 |
| 《食いしばり》*20 | 戦闘中一度だけ、HPが0になる攻撃を受けた時にHP1で耐える。 雨柳自身が持つ意地と気合いによる死への抵抗。 |
衝撃が肉を潰し骨を砕き、そして爆発寸前のエネルギーを霧散させる。
残されたのは自爆に失敗し、剣だけは握ったまま地上へ落下し始めた雨柳の姿のみ。
「ふざけるなふざけるなふざけるなぁっ!!!!!」
剣が引き抜かれ、傷口から大量に出血するのも構わず大沢が叫ぶ。
その声音には今までの楽し気な気配は微塵たりとも存在しない。
あるのは純然たる怒りのみ。
それは、自らをここまで追い詰めた怒り。
それは、相打ちを狙ってきた事への憤怒。
―――
「ここまで来て、何でボクだけを見ないんだよ……!
どうして他を見てるんだよぉおおおおおお!!!!!!!」
それは、雨柳が僅かな生き残りへと意識を向けている事への怒りだった。
それは、巻き込まないようにこの高さまで上がる事で隙を晒した事への怒りだった。
それは、今なお自分たちだけの世界に他人が入り続けている事への怒りだった。
なりふり構わない自爆で終わるなら、それはそれで構わないと思っていた。
雨柳が振り絞った最後の輝きを間近で目に焼き付ける事が出来るのだから。
だが―――現実は違った。
この苦界を捨て生き残ろうとする有象無象。
何もしなければ心底どうでも良かった存在。
そんな連中のせいで水を差されてしまった。
―――もはや生かしてはおけない。
―――覚醒者共も一人残らず殺し尽くせるプランで動くべきだった。
―――塵掃除をサボったツケをすぐにでも払わなければならない。
憎悪が装填される。
憤怒が装填される。
嫉妬が装填される。
666部隊を葬った時と同じように、意識が雨柳以外へと向けられた。
自分たちの間に挟まろうとする、許されざる存在たち。
「さっさと消えなよ塵以下のカス共」
死刑判決と同時に異形の左腕が振るわれた
| 《龍眼》*21 | 命中率が大きく上昇する。 燃え盛る三眼は嘲弄する存在を見逃さない。 |
| 《混沌の波動》*22 | このターンの攻撃対象を全体に変更する。 射程距離が3マス(300m)まで拡張する。 攻撃の威力に【レベル】分を加える。 戦闘終了時まで速度が半減する。 本来は邪神の専用スキルである。 ⇒ |
| 《地獄突き》*23 | 敵単体に大威力の物理属性攻撃。相性を無視して貫通する。 本来の形から大きく逸脱した魔性の一撃。 |
そして、花を散らすには過剰過ぎる一撃が放たれて。
「ああ―――信じてたぜ親友」
| 《カバー》*24 | 敵の攻撃対象を自分に差し替える。 |
| 《バイナルボム》*25 | 貫通効果の攻撃によりHPにダメージを受けた時に発動。 万能属性攻撃による反撃で受けたダメージを相手にも与える。 |
| 「リジェネレーター」*26 | HPが0の時1回だけHP1で生き残る。 肉体を再生するブーステッドスキルを人の技術で再現した物。 死ぬまでの時間を伸ばす程度の気休めでしかない。 |
「――――――――――――ぁ」
鏡写しのように機兵の半分が吹き飛んだ。
超絶火力の反射による自爆。
弱者が磨き上げて来た格上殺しの牙の一つ。
ほんの十数分前に踏んだ罠と同質の引っ掛け。
しかし、過剰過ぎる殺意を込めた分、その
(…………ああ、そうか)
モニターに映る危険信号。鳴り響く警報音。全身に走る激痛。
それら全てを無視して、加速する意識の中で大沢は理解する。
つまり―――雨柳は自分の全てを読んだ上で戦っていたのだと。
少女たちを巻き込まないように自爆を敢行すれば必ず阻止して来る事も。
それを目の当たりにした自分が真っ先に邪魔者を排除しようと動く事も。
だから、断腸の思いで彼女たちを囮として僅かな勝ち筋を通したのだ。
大沢は既に
故に、それを警戒して攻撃を万能相性に変更していた。
伊達や酔狂で人類最高の司令官をやっていた訳ではない。
間違った方向に使ってしまったがその才覚は正真正銘本物だ。
馬鹿正直にやっていれば、雨柳だけに全ての意識を集中していれば。
まず間違いなく同系統の仕込みがあると見抜いていただろう。
憤怒と憎悪をノイズとして思考を鈍らせ、その隙に勝機を捻じ込む。
最初に切っ掛けを作った666部隊がいなければ成立しなかっただろう賭け。
大沢という男が、本当の意味で雨柳だけを見る事が出来なかったが故の勝ち筋。
「ちゃんと、ボクを見ててくれたのか」
どこか憑き物が落ちたように言葉を漏らし―――手番が回る。
「決めるぞ―――力を貸してくれスクルド」
戦闘に必要な部分の再生を終えた雨柳の背後に現れるのは金髪の美女。
どこか憂いを帯びた表情を浮かべながら、鋼の義手へと指を這わせる。
その軌跡に浮かび上がるのは光り輝く文字の羅列。
一部の悪魔が行使する
狙うのは入れ替わるように落下し続ける無二の友。
雷槌の名を冠した大剣によって増幅されたソレが今、大詰めとして解き放たれる。
「こいつで頭冷やせよ―――この大馬鹿」
| 《ヒエロスグリュペイン》*27 | 敵全体に対ボス相性ダメージ。 英雄の介添人でもある女神が所有する邪神を滅ぼす光の術式。 |
| 《金剛息法》*28 | 仲魔の攻撃特技の威力が大幅増加、MAG消費量も倍増。 改修する際に加えられた機能だが、反動は相応のものとなる。 |
そして、あまねく邪悪を滅ぼす光が黒の機兵を貫いた。