寝て起きたらデスゲームに巻き込まれていたんだが。   作:リベリオン

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 アインクラッド編、ついに完結……た、多分(えー


第15話 終わる世界

第15話 終わる世界

 

 

 ミストが……死んだ。

 

 俺が……殺した。

 

 お互いに殺すつもりだったのに……。

 

 最後の一瞬、ミストは思い留まったのに……俺は……俺は……。

 

 シリカの悲鳴が……残響のように耳の奥に焼きついて離れない。

 

 俺は目の前でミストを……シリカの恋人を殺してしまった。

 

 友達を……。

 

 仲間を……。

 

 俺は……。

 

「――いやはや、これは予想外の結果だった。キリト君には本当に驚かされる」

 

 手を叩く音と共に、今まで俺たちの戦いを見物していたヒースクリフが口を開いた。

 

「まさか《二刀流》を使用不能にさせられながらも、《魔装術》を破るとは。レベルもステータスも、装備の性能すらもミスト君が優れていたはずだが……邪道では正道に勝てない、と言う事か」

「……うるさい」

 

 そんな賞賛……嬉しくもない。

 

「俺は間違いなくミストに圧倒されていた。《二刀流》が健在でも勝てるか怪しかった。でも最後の最後でミストが躊躇わなければ……生きていたのはあいつだったんだ」

「……なるほど、最後の最後で情が湧いたと言う事か。切り捨てたと言いつつ結局切り捨てられなかったわけだな」

 

 全てを悟ったかのようにヒースクリフは肩を竦め、惜しむような、それでいて呆れるような表情を浮かべる。

 

「しかし残念だ。ただ1人になろうとも最上層で私に挑む彼と戦ってみたかったが……」

「ふざけるな…………ふざけるなっ! どうやってミストを引き入れたかは知らないが、あんな力をちらつかせてそれと引き換えに仲間にしたのか、ヒースクリフ!」

「引き入れた? 違うな、むしろ逆だよ。彼が私に協力を持ちかけたのだ。《魔装術》の存在を明かす以前に」

「な……に……?」

 

 思わぬ返答に俺は動揺する。

 どうして……どうしてミストは俺たちを裏切ってまでヒースクリフと手を組んだ。あいつは最後までその理由を話してくれないまま……。

 

「ふむ……彼は自分が『裏切り者』と呼ばれる事を覚悟して行動した。当然、君たちから見れば彼は紛れもなく裏切り者だ。しかし……私の空想に共感してくれた者として、少しばかり彼を擁護したいな」

「擁護……だって」

「そうだ。あるいは、彼はこの結果すらも予想していたのかもしれない……。君たちには全てを話そう。ミスト君の正体を……存在しないはずの1万と1人目のプレイヤーの話を」

 

 そして……ヒースクリフは静かに語りだした。

 俺たちの知らない……ミストが隠し続けてきた秘密を……。

 

 

「はぁ~……」

 

 珍しくお店が暇で、どうした物かとあたしはため息をついた。

 多分この後大量の武器のメンテナンスや製作の注文が飛び込んでくるだろうから、いわゆる嵐の前の静けさって奴なんだけど。

 新しい階層が解放されれば、その都度レアなアイテムがゴロゴロ出てくるんだし……それはそれで楽しみなんだけどねぇ。それよりこの暇を持て余している今が問題よ。

 

「そろそろ終わった頃かしら……」

 

 あれから結構な時間が経ったし、皆帰って来ても不思議じゃないと思うけど……。

 

「……あれ?」

 

 イスの背もたれに寄りかかったところで、不意に通知アイコンが点灯した。

 なんだろう、と思いつつアイコンをタップすると、ギフトボックスにミストから何か届けられている。

 訝しみながらもそれをタップすると、メッセージ録音クリスタルがオブジェクト化した。

 

「…………?」

 

 なんでこんな物をわざわざ送ってきたんだろう。あたしは首をかしげて暫し考えるが、正直思い当たる事がない。

 さすがにここで聞くわけにもいかないし、あたしは2階のリビングに行くと、そこで内容を聞くことにした。

 

『――あ、あー。テステス。えー……ゴッホン。リズベットへ、聞こえてるでしょうか?』

 

 録音されていたのは紛れもなくミストの声。妙に畏まっている声にあたしは微苦笑する。

 ……けど、次の言葉に背筋が凍りついた。

 

『これを聞いていると言う事は、きっと俺が死んでいるということだと思う。死んでなかったらこれ送らないようにキャンセルしてるはずだから。

 なんでかって? まあ……なんて言うかな。俺は75層のボス攻略で、キリトと戦う事になると思う。

 ああ、色々と聞きたいことは山ほどあると思うから、順を追って説明する。これを聞いている頃にはキリトたちもヒースクリフから話を聞かされているだろうから。キリトたちだけに話して、リズだけ仲間外れにするのも嫌だったから、こうしてメッセージを残すことにする』

「なによ……これ」

 

 ミストが死んでいる? キリトと戦った? なんで……なんでこんなメッセージを入れたのか、わけが分からない。

 一瞬冗談だとも思ったけど、流れてくるミストの声は真面目でいて、それでいてあたしの良く知っている声音だった。

 

『――まず最初に、俺は皆にとても大事な秘密を隠していた。それは……俺がこの世界の人間じゃないってこと。

 『え? 当たり前でしょ』ってツッコミはナシな。なんて言うかな……荒唐無稽って言うか、信じられないような話なんだけど、俺は正真正銘、異世界の住人なんだ。この世界……つまりソードアート・オンラインの外にある現実世界とは異なる世界の人間。

 信じられないよな? けど事実なんだよ。どう言えば信じてもらえるか…………うん。リズがキリトのために鍛えた「ダークリパルサー」の材料、あれって55層の西の山に住んでいる白竜の排泄物から手に入れたものだろ。確かこの情報って、誰にも教えてなかったはずだからキリトとリズ以外には知らない、2人だけの秘密だよな?』

「ウソ……」

 

 なんでミストがそれを知っているのよ……。

 確かにキリトの「ダークリパルサー」の材料になった金属……クリスタライト・インゴットは、ミストの言ったとおり55層の西の山に住んでいる水晶を食べる白竜の排泄物だったものだ。

 このことは取りに行ったあたしたち以外、誰も知らない秘密のはずなのに。

 

『これで一応、信じてもらえたかな。なんでこの事を知っているのかっていうと、小説とかで異世界にトリップしたって話あるだろう? 俺もそのパターンなんだ。

 そして、俺の現実世界にとって、この世界……つまりリズたちが本来暮らしていた現実世界は、「ソードアート・オンライン」と言うタイトルのライトノベルだった。

 つまり……俺の現実世界では、リズたちは架空の人物だったんだ。

 ああ、怒るなよ? 怒らせるつもりで言ったんじゃない。例え俺のいた世界でここが空想の世界だったとしても、ここに暮らしている人たちにとっては紛れもなく現実の世界だ。この世界に来た俺も、はっきりとそう答えられる。

 俺がこの世界を知ったきっかけは、仲間から面白いから読んでみろって勧められたからなんだけど、読み終えたらどう言う訳かこの世界に居たんだよ。しかも木の枝に引っかかって寝た状態で。

 それが俺とキリトの最初の出会いで、それからすぐにシリカと出会った。

 最初はどうにかしてこの世界から脱出したいって思っていたんだけどな……誰だって現実でも死ぬゲームなんかやりたくないだろ?

 でもズルズルズルズル先延ばしにして、気付いたらこんなだ。『レッドクリフー』なんてビームブッパするはわわ軍師みたいな2つ名をつけられて、いつの間にやら攻略組! どうしてこうなった……って心境がまさにぴったりだよ』

 

 あっはっは、とクリスタルの中でミストはおかしそうに、呆れたように笑い飛ばす。

 ……けど、急に今まで明るかった声のトーンが落ち込んだ。

 

『……俺が攻略組に近づいたのは、ヒースクリフに接触するためだった。信じられないかもしれないけど、ヒースクリフはこの世界の創造主、茅場晶彦本人なんだ。

 そして俺は、ヒースクリフに自分から接触した。キリトがヒースクリフと《血盟騎士団》入りを賭けたデュエルをしたことがあっただろ? そのすぐ後だ。

 ヒースクリフの正体を看破して、俺の知っている限りの知識を提供して……その代わりに、俺が俺の居た世界に戻る方法はないのか、聞きだした。

 ……その結果が、天才にも不明だとさ。完全にお手上げ。

 ――それだけなら、まだ良かった。でも、肝心な問題がある。

 俺は皆のようにナーヴギアを被ってこの世界にログインしたわけじゃない。難しい話は分からないけど、ヒースクリフは俺を電脳の状態だろうって言った。

 ゲームがクリアされれば、ナーヴギアを被っている皆はログアウトされる。

 けれど……ナーヴギアがない俺は、元の世界に帰れる保証はない。それどころか、ゲームがクリアされればカーディナルシステムは自らを消滅させ、俺もそれに巻き込まれて消える。当然HPが0になっても帰れる保証はないから死ぬと考えていい』

「そんな……」

 

 ミストが嘘を言っているようには思えない……。

 けど、それが全て事実だとしたら……ミストはどうやっても、死ぬ以外ないってことじゃない。

 

『そして……キリトは75層のボス攻略後、ヒースクリフの正体に気づいて茅場晶彦だと看破し、2人はログアウトを賭けて最後の戦いをする……それが、俺の知っている歴史だ。

 ……皆、現実に帰りたいよな? でも俺は……帰れない。帰る手段がない。俺にとってここが全てで、ここが現実なんだ……。

 別れたくない、消えたくない。でもこのままだとキリトがゲームをクリアしてしまう……。

 ……悩んだ末に、俺は決めた。

 本来100層でクリアされるゲームを、途中でクリアさせないと。

 そのために俺はヒースクリフと手を組んだ。裏切り者って呼ばれる事は覚悟して。

 皆の希望を握り潰す……つまり、俺がキリトを殺して、途中でクリアさせないと。

 だからあれこれヒースクリフの手を借りて、リズにも見せたあんな姿になった。これじゃあ正真正銘、俺がチーターだよな。

 けどこれを聞いているって事は、やっぱりキリトには勝てなかったってことなんだろうけど』

 

 そうだ。

 これはミストが自分の死後に、あたしに宛てた遺言。

 つまり……ミストは、もう……。

 

「っ!」

 

 いてもたってもいられなくなって、あたしはクリスタルを手の上に置いたまま外に飛び出す。

 今更遅いのは分かってるけど、その場でじっとしていられなかった。

 その間にも記録されたミストの話は続き、終わりに差しかかろうとしている。

 

『あ、やっべ……もう時間ないじゃん。えーっと、そう言うわけで、自分で死ぬ前に遺言作るってのも変な感じだけど、こうしてリズにもメッセージを遺しておく事にしました。

 まあ、そんな泣いたりしないでくれ。俺のわがままで帰るチャンスを奪おうとした最低男だから。

 たださ……キリトのことは責めないでやってくれると、嬉しい。キリトも知らなかったんだから。

 あー……できればこのことは、現実でキリトたちに会ったら言っておいてくれると助かる。二度手間は面倒だろ?

 えーっとあとは……最後になるけど、今までありがとうリズベット。俺、お前のこと結構好きだった。変な意味じゃなくて、友達としてだからな?

 できれば結構長めに、俺が確かに存在したことを覚えていてくれると嬉しいかな。

 

 ―――じゃあ、向こうでも元気で。……って、俺が心配する必要ないか。リズは元気なのが取り柄だからな。

 ……うん。それじゃあ――――。

 

 ――――さようなら』

 

 再生が終わり、クリスタルの輝きが失われて手のひらに落ちる。

 泣いたりしないでくれ? 最低男だから?

 そんなの……そんなの!

 

「泣かないはず……ないじゃない……!」

 

 ボロボロと流れていく涙を止められなかった。

 なんで……なんで話してくれなかったのよ。

 あたしじゃなくてもキリトやアスナ……シリカにクラインやエギルだっていたのに……!

 一方的に言って……迷惑かけて! 勝手に死んで! 結構長めに覚えていてくれ!?

 

「バカ……バカ、バカバカバカ!」

 

 忘れるはずがない。忘れようと思っても簡単に忘れられるほど、あたしの中のあんたは影が薄くないのよ!

 

「このっ……大バカミストォォーーーーーーッ!!!!」

 

 やるせない怒りと悲しみを込めて、あたしは空に向かって絶叫した――。

 

 

「――これが私が聞いたミスト君の全てだ。多少の独自解釈も入れてあるが、全て彼の証言を元に推測している」

「……………」

 

 ……言葉が出てこなかった。

 ヒースクリフから語られたミストの秘密……。

 正真正銘異世界の住人で、ログアウトすれば現実世界へ帰れる俺たちと違って、ミストは帰れないと。

 しかも、このゲームがクリアされれば、崩壊するこの世界と共に消えると。

 

「なんで……一言でも、相談してくれなかったんだ……」

「君たちに相談したところで、解決策が出てこないと思ったからだろう。そこで私に接触してきたのは、正しかった。それでも解決策が出ることはなかったがね」

「そうだとしても! 戦う前に話してくれれば俺は戦わなかった! そうすれば……ミストは、死ななかった……!」

「死ななかった……か。それは少し違う」

「どう言うことだ……」

 

 ハッキリと否定の言葉を口にしたヒースクリフに向け、俺は睨みつけながら問い返す。

 

「どう言うことも何も、キリト君、君はミスト君の質問に対して答えた言葉が全てだよ」

「な……に……?」

 

 ミストの質問に対する俺の答え……?

 あの時……戦う直前にミストが訊いた内容か。

 

 ――お前は向こうへ……現実世界へ帰りたいと思うか。

 

「あ……」

 

 ようやく、全てを理解した。

 あの時俺は……帰りたいに決まっていると答えた。

 それはヒースクリフを殺してゲームをログアウトする事。

 つまり俺は……あの時……。

 

「気付いたか。君はあの時、『俺たちが帰るためにお前は死ね』と言ったも同然なのだよ」

「ち……違う! 俺はそんなつもりで言ったんじゃ……!」

「ああ、分かっている。それはミスト君も同様だったはずだ。事情を知らない君たちがあの状況下でそう問われれば、当然帰りたいと思うだろう。だが……何も知らなかったとは言え、友人から『死ね』と同然の言葉を言われれば、いくら命を捨てる覚悟を持ったとしても傷つくはずだ」

 

 だからミストはあの時……俺たちの願いは絶対に相容れないと、そう言ったのか。

 でも……なら俺は、どうすれば良かったんだ? ここでチャンスを逃したら、クリアする前に現実の身体が限界を迎えるかもしれない。

 けれどヒースクリフに挑むには、ミストを殺さなくちゃいけなかった……。

 ……選べない。俺には……どちらかを選ぶ事ができない。

 

「さて……魔王を守護する騎士は勇者に破れ、ついに魔王と対峙する事になったわけだが……」

 

 ヒースクリフの言葉がどこか遠くで聞こえる。

 今更……戦えない。俺は……戦う資格がない。

 

「いいのかな? ここでチャンスを逃せば、私は100層に行く事になるが」

「……………」

 

 もう声を出すのも嫌だった。

 目の前が暗くなって、全てが黒に塗り潰されていく。

 ミストは生きようとしていた……俺を殺してチャンスを奪い取っても、自分1人で最上層を目指して刺し違えてでもヒースクリフを殺そうとしていた。

 それがわがままを貫こうとした自分の罰だからと。

 ただ生きたいと、少しでも長く皆と……シリカといたかったというミストの願いを、俺は踏みにじってしまった。

 そんな俺に……この男と戦う資格なんて――。

 

「……ぁ」

 

 ふと、通知アイコンが点灯する。

 無視しようかと思ったが、なんとなく気になって俺はアイコンをタップした。

 ギフト……ミストから……?

 

「……………」

 

 一瞬、タップするのを躊躇うが、俺は意を決してアイコンをタップする。

 すると見覚えのある細身の長剣がオブジェクト化し、落ちようとしたそれをとっさに両手で受け止めた。

 茶色い皮の鞘に納まった、アクアブルーの鍔の中心に、翡翠の宝玉が埋め込まれた……ミストが最初に出会った時から使っていた剣。

 名前は……「マーヴェルエッジ」。命中にブーストが掛かる効果を持った片手剣。

 続いてメッセージアイコンが点灯し、タップするとミストからのメッセージが届く。

 

form ミスト

 

 必ず勝て。お前なら勝てる。

 

「ミスト……」

 

 お前を殺した相手なのに……どこまでお人好しなんだ。

 ……いや、ミストは例え自分が殺されたとしても、俺がヒースクリフを倒してゲームをクリアすると信じていた。

 だからきっと、この剣を託したんだ。あいつの……最後の願いと共に。

 

「……………」

 

 無言でミストの剣を握り締め、鞘を腰に差す。

 ああ……分かったよ、ミスト。

 それがお前の最後の願いがなら……俺は必ず、叶えてみせる。

 ヒースクリフを倒して……このゲームを終わらせる……! この世界で、孤独になっても全力で生きようとしたお前に報いるためにも!

 

「キリト君……」

 

 静かに闘志を漲らせていく俺に、アスナが名前を呼ぶ。

 振り返り、安心させるように笑いかけた。

 そして、その隣で涙を流しながらも俺を見上げるシリカを見る。

 

「シリカ……ごめん。俺は君の……」

「何も……何も、言わないでください。あたし……信じてます。ミストさんが必ず勝てるって信じたなら、あたしもキリトさんが必ず勝つって……信じます」

「……ありがとう」

 

 きっと辛いはずなのに、強い光を目に宿した彼女に俺はそれ以上余計な事は言わなかった。

 俺はこれから先、ずっとシリカに償い続けなければいけないんだと思う。そのためにも……ここで死ぬわけには行かない。

 

「エギル、クライン。今までありがとな、必ず向こうで会おう……」

「キリト……」

「あ……あったりめぇだあ! 向こうで飯の1つでも奢ってもらうからよ!」

「そうだな……それであの時置いていったこと、チャラにしてくれ」

 

 エギルたちにも軽く笑ってから、俺は改めてヒースクリフに向き直った。

 腰に差した「マーヴェルエッジ」をゆっくりと抜いていく。筋力重視の俺と違ってスピードや正確さを重視していたミストの剣は、「ダークリパルサー」よりもかなり軽い。

 けど、手に馴染む。あいつがずっと使い続けてきたんだ。その力に不足はない。

 

「闘志を取り戻したか。いい目だ、キリト君」

「当たり前だ……大きすぎるものを託されたんだ、投げ出すわけには行かない」

「そうか……では始めるとしよう。無論不死属性は解除し、HPはお互いイエローゾーンからスタートさせる」

 

 そう言ってヒースクリフはウィンドウを操作し、続いて俺たちのHPをイエローゾーンまで増減させる。

 今まで身体にのしかかっていた重圧も暗闇もない。そんなものはとっくに消え失せていた。

 「リベレイター」の剣をゆっくりと抜くヒースクリフに合わせ、俺は腰を浅く落とす。

 これはデュエルじゃなく、単純な殺し合いだ。

 俺は……この男を殺す。そしてゲームをクリアしてみせる。

 だから――。

 

「力を貸してくれ……」

 

 目を閉じると、ミストの背中を幻視した。

 振り返り、俺も良く知っている笑みを浮かべて――。

 

「――おおおおおおぉぉっ!!!!」

 

 目を開き、絶叫と共にヒースクリフに斬りかかる。

 全てを終わらせるための……最後の戦いが、今始まった。




 はい、これにてアインクラッド編一応の完結になりました。

 ……え? キリトVSヒースクリフはどうなったって?
 いや、書こうとしたんですよ。それこそキャリバー編で登場したキリト版《剣技連携》とかも出そうかと悩んだんですよ。
 でもそこまで書く必要あるか? 蛇足になるんじゃないのか? と悩みに悩んだ結果、見送りになりました……ごめんなさい、石投げないで!

 え、えー……一応これにて本編は多分きっと恐らく完結になりました。エピローグがどうなるのかはまだアンケートの途中なので分かりませんが。あ、まだまだ募集してるからどしどし参加してください! ミスト君をウチで出したい! って方も募集してますよ! アンケート先のアドレスのっけておきますので!

ttp://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=56802&uid=67854

 さてさて、一区切りはつきましたし何を語りましょうかねぇ……。いや、語ること思いのほか多かったですけど。
 まずは、こんな拙い作品を応援してくれた皆様、ありがとうございます。最初はどうなるかなーと不安だったけど、気付いたら日間ランキングで7位に入っていたり、お気に入りが400件以上突破したり、自分の想像以上に注目されて本当ビックリ、嬉しかったです。
 最初は全13話で収めようと思ったんですけど、収まりきらなくて15話まで続いちゃいました。それでも書き足りない部分が多かった……特に終盤のミストの苦悩とか葛藤とか、もっと濃密にしたかったけど諸々の事情(自分の技量不足とか技量不足とか技量不足とかry)で泣く泣くカットしたり……。
 まあ、書きたい事はほぼ書けたので結構満足です。主人公死なせたけど!(この人でなし!byミスト)
 それと、この場を借りて友人2人にも感謝を。特にこの回の最後をどうするか迷ったから大いに助けられた! っていうかチャレンジャーだな自分!

 次回の更新は……とりあえず集計結果が出次第って所ですか。複数回答がありますけど、そちらは別個にカウントさせてもらっています。ただ、ルートの複合はありません。帰還ルートはきっちり現実世界、復活はALO内で復活させます。
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