寝て起きたらデスゲームに巻き込まれていたんだが。   作:リベリオン

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 新年、明けまして――おめでたいやつらだ(アイテムなんぞ使ってんじゃねえ!
 ……出オチでごめんなさい。年末になるにつれてこのフレーズが何度も思い出してしまって(平謝り

 そして、エピローグも全話完成したので早速出していきますよ。

 今回はエピローグ全3章の内の第1章。キリトがまだALOに行く前の話になります。
 どう足掻いても文字数がギリギリ届くレベルだった……

 んでもって、週1ペースの予定が催促されて3話連続更新に相成りましたー。


復活ルートに進むそうです?
復活ルート(フェアリィ・ダンス編)第1話 飛翔:片翼の天使


フェアリィ・ダンス編

 

第1話 飛翔:片翼の天使

 

 

 灯りもない漆黒の空間。

 

 だがそこに、突如光が灯り全景を露にする。

 

 円柱状にくり貫かれた空間は、壁にステンドガラスのようなパネルがまるでハチの巣のように張り付き、それが遥か上空まで続いていた。

 

 そのガラスの1つが光り、中から白銀の甲冑を帯びた人型のモンスターがポップし、それに続くように同系のモンスターが続々と姿を見せる。

 

 次第には空を埋め尽くすほど増殖し、それを見ただけで相手の戦意を失わせるに十分な数になった。

 

 だが――それでも。

 

 地上にただ1人佇んでいた人物は空を見上げ、何の恐れも、迷いも抱かず飛び立つ。

 

 襲い掛かる白銀の騎士。

 

 しかしその刃よりも遥かに早く鎧ごと騎士の体を刃が断ち切り、立て続けに3体の騎士が両断される。

 

 騎士達が後方から放つ矢を掻い潜ってその体を剣で貫き、背後から剣を構えて迫った騎士へ振り向きざまに剣を蹴りで弾き、左腕で頭を掴むと爆発で消し飛ばしてしまった。

 

 倒した敵に目もくれず、翼を羽ばたかせ新たな獲物へと襲い掛かる。

 

 道中、雨のように降り注ぐ矢を赤く光り輝く左腕を振り被り、いくつもの炎の弾丸を飛ばして相殺し、生まれた隙間を縫うように潜り抜けて何体もの騎士を切り伏せていく。

 

 悪鬼羅刹……阿修羅、狂戦士……その光景を見れば思わずそんな言葉が出てくるだろう。

 

 だがこの場にはたった1人で数え切れないほどの騎士の軍勢に挑む剣士と、圧倒的な物量が意味を成さない騎士団たちの2つの勢力しかない。

 

 誰が見ても勝てるわけがない状況を覆す剣士も異常だが、何よりも異常なのは剣士の表情だ。

 

 汗ひとつ掻かず、眉ひとつ動かさず、まるで能面を被っているかのように淡々と騎士たちを倒していく姿は異様としか言いようがない。

 

 しかし……次第に数の暴力に剣士は僅かではあったが押されてくる。どれだけ倒してもそのたびに騎士たちは復活し、終わりが見えない。

 

 囲まれ、四方八方から剣が、矢が息つく暇もなく襲い掛かり、次第に防戦を強いられる。

 

 すると、剣士は何を思ったのか高度を下げて地上に降りてしまった。

 

 そして――顔を上げ、左手を虚空へ突き出す。

 

 刹那、空間が歪んだかと思うと空を覆っていた騎士たちが地面に引き寄せられるかのように次々と地上に落下し、なんとか動こうともがくがまともに体を動かす事すら出来ずにいた。

 

 ただ1人、それをしたであろう剣士は周囲の影響を受けず、ふわりと空に浮かび上がり一気に上まで飛翔する。

 

 アリほどのサイズに見えるほどの高度まで上ったあと、剣士は無表情のまま左手を上げ、ゆっくりと眼下へと下ろしていった。

 

 地上と、そして剣士の頭上に緋色の魔法陣が浮かび上がったかと思うと――その狭間から激しい紫色の瘴気と、荒れ狂う稲妻が噴出し騎士たちを焼き尽くしていく。

 

 魔法陣が消えた頃には残っている騎士は1人としておらず、その空間には空中に佇む剣士1人だけが残されていた。

 

《デモンストレーション終了。守護騎士生成を一時停止》

 

 

《デモンストレーション終了。守護騎士生成を一時停止》

 

 アナウンスと共に空間の明かりが落ちる。

 戦闘の一部始終を見ていた金髪の男は、圧倒的な結果に満足そうに頷いた。

 

「中々のものじゃないか。あれだけの守護騎士を壊滅にまで追い込むなんて」

 

「けど、少々強くしすぎたんじゃないですか?」

 

 同じく状況を見ていた1人……というよりは1匹――例えるなら触手をはやしたナメクジみたいな姿をした化け物だった――が、その結果に一応は進言しておいた。

 

 ……もっとも、へらへらと面白おかしく笑っている様子から本気で言っていない事は丸分かりだが。

 

「いいじゃないか。『グランドクエストに新たに登場した強大なボス。片翼の剣士』なんて、中々ひきつけられそうなキャッチコピーだろう? 倒せば強力な装備品をドロップできるって付け加えておけば群がるだろうさ」

 

「倒させる気なんて全然ないじゃない癖に」

 

「そのためにわざわざステータスを上限一杯まで引き上げているんだからなぁ。とは言え『これ』の出自も関係しているんだろうが……いやぁ強いこと強いこと。電脳さまさまだ」

 

「貴重なデータも取れたことですからねぇ。頭が上がりませんよ。それに、こうして馬鹿な連中の遊び相手にもなってくれるんですから」

 

「まったくだ。あっはははは!」

 

 マイクがオンになったまま、会話が丸聞こえだと言うのに2人の男は見下すかのような発言をやめる気配はない。

 

 そんな言葉を放たれれば誰だって怒りを露にするはずだが、剣士は人形のように無表情のままでその場に佇んでいた。

 

「はははっ……さて、デモンストレーションも終わったことだし、さっさこれを戻してメンテナンス作業に移ってくれよ。メンテナンスが遅れてクレーム付けられると面倒だ」

 

「分かりました」

 

 ナメクジのような怪物に男は言い残すと、モニターしていた部屋から出て行こうとする。

 

 しかし、最後に顔だけを再びモニターに向けた。

 

「裏切りの剣士……か。ま、精々客引きになってくれたまえ」

 

 皮肉るように呟き、今度こそ男は部屋を後にする。

 

 モニターの中で未だに空に佇む剣士が、その背から生える漆黒の翼を羽ばたかせた。




 というわけで第1章でした。
 裏切りの剣士……果たしてその正体は誰なのか(すっとぼけ

 それではまた1時間後にー。
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