寝て起きたらデスゲームに巻き込まれていたんだが。 作:リベリオン
何番煎じになるか分からないSAOのトリップ物(?)になりますが……まあ、楽しんでいただければ幸いです。
まだここの投稿の使い方に慣れてないので間違っていたりするかもしれませんが……そのあたりはご容赦を。
第1話 デスゲームの世界へようこそ
ペラ…ペラ…と、静かな部屋の中でページを捲る音だけが微かに鳴る。
窓際のベッドで、俺は仲間から借りた仰向けに寝転がってライトノベルを読みふけっていた。
……借りたって言うか、強引に貸し出されたんだけど。俺がMMORPGやってるって言ったら、「じゃあこれ読め!」と言って「ソードアート・オンライン(通称SAO。サオ)」を押し付けてきたんだよ。
活字苦手なんだけどなぁ……けど早く読まないと催促してうるさいから、こうして毎日読み続けた結果……どうにかこうにか「アインクラッド編」を読み終えようとしている。
「……終わった」
最後の1冊を読み終え、深く息を吐き出しながらページを閉じた。
長かった……本当に長かった。これでようやく解放される。
「っと。あいつに返すって伝えておかないと」
ふと思い出して、俺は枕の隣に置いていたスマートフォンを取ると、LINEを開いて仲間にメッセージを飛ばす。
『今SAO読み終わった、月曜に返す』
『うぃー。ちゃんと感想聞かせてもらうかんなー』
はいはい、分かってますよ……と返信。あれやこれやと質問されてくるだろうが、ある程度は答えられると思う。
さて、明日も学校休みだしこれからPCつけて……って行きたいところだけど、活字読んだせいでもう疲れた。寝て起きてからやろう。
「どうせ日曜はラ○ダーとプ○キュア見るし」
子供向け番組のはずだけど、なんだかんだで最近すっごい展開をしている日曜朝のお約束を脳裏に浮かべつつ、スマートフォンに充電器を差して目覚ましをセット。明りを消して、俺は横になった。
「……い…………し」
「……………」
「おい………って」
「……………」
「おい! 起きろって! もしもーし!?」
「……んあぁ?」
誰だよ、人が寝てる時に……っつーかノックも無しで部屋に入ってくるとはどういうことだ。
あれ……なんか変な感覚なんだけど。俺変な体勢で寝てたか?
「ん……んぁ~…あぁ?」
想いっきり伸びをしようとして、なんかバランス崩しそうになったから慌てて踏みとどまる。
なんだなんだ? 俺何がどうな……って……。
「……………」
あんるぇ~? どこなんでしょうここ。なんで俺木の枝に引っかかったまま寝てるんでしょうか?
いやそもそも俺の家南国じゃないし。庭になら柿の木があるけど中にはないし。っつーより外じゃん。なんで外?
そしてなぁに? なんか下のほうで黒尽くめの男の子が色々言ってるんですけど。あれってつい最近見た事あるような気がするのはきっと気のせいじゃないよねぇ? 木だけにか。誰が上手いこと言えと。
「おい、大丈夫か……?」
なにやら心配してくれるのはありがたい。ありがたいが……
「こっ……」
「こ?」
「こ こ は ど こ だ あ あ あ あ っ ! ? あっー?!」
「ちょ、おわあっ!」
木の上で思い切り今の心境をシャウト。その瞬間、バキッと音立てて枝がへし折れて地面に落下。
突然叫んだ俺に男はビビッて、おまけに枝が折れて落ちてきたから血相変えて受け止めようとするが、失敗して諸共倒れこむ。
「ぐ……おっふぅ……」
「っく……いきなり暴れたら折れるに決まってるだろう」
いや本当に申し訳ない。
押しつぶしてしまった黒髪の男の上から退いて、何度も相手に頭を下げる。
「ほんっとうに済まなかった。自分でも突然の状況で混乱してて」
「混乱……? まあ、木の枝に引っかかったまま寝てるって言う時点で、自分からやったわけじゃなさそうだからな。街ならまだしもフィールドで」
「フィールド……お、おぉぅ?」
改めて言われて、俺は周囲の風景に気づく。
うっそうとした森の中。俺の部屋っていつの間にこんなワイルドになったの。いやそもそも俺はどうしてここにいるの?
「ど……どこだここ?」
「どこって、35層の迷いの森ってフィールドダンジョンだよ。知らないのか?」
「ま……迷いの森……」
いや、知らないっていうか……いやもう、考える事が多すぎて何がなんだか。
「なんで俺、こんなところにいるんでしょうか……部屋で寝てたはずなのに」
「部屋で……? 圏内じゃPKは出来ないはずだし……また新しいPKが見つかったのか? けど、よく生きていたな」
「え……ああ、はい……」
圏内だとかなんだとか、まあ知識としては覚えている。
ちょっとずつだけど今の自分がどういう状況に置かれているのか……分かってきた。
結論。
寝て起きたらデスゲームに巻き込まれていたんだが。
あっははははは! なんだよそりゃ! ツ○ッターや2○hに書き込めば馬鹿にされる事請け合いだって! ねーよこんなの!
「おい……大丈夫なのか?」
俺が黙り込んだのを不審に思い、黒髪の男が声をかける。
線が細くて女の子みたいな顔立ちをしていて、黒いコートを纏い背中には剣1本を差している。
こいつって……間違いない、よな。
「キリト……だよ、な?」
「そうだが……どこかであった事があるか?」
自分の名を知っているのが以外だったのか、黒髪の男「キリト」は、意外そうに聞き返す。
しまった。思わず口に出してしまった。ど……どうしよう。
「ま、前に……攻略会議の時に見かけた」
「お前も攻略組か。けどPKの標的にされるなんて災難だったな」
「ん…まあ、うん」
とりあえずは俺の言い訳を信じてくれたらしい。
間違いない。こいつはSAOの主人公キリトだ。なんだってここに……いやそもそも、俺がどうしてここ……SAOの世界にいるんだ?
夢……じゃ、ないんだよな。その割にはやたら現実過ぎているから。
えっと……あ、ステータスがあった。なになに……俺のプレイヤーネームは「Mist」、レベルが……80!? っていうかこのデータ俺のやっていたMMOの奴と一部同じじゃないかよ!
視線を下に下げて自分の格好を見ると、赤いアーマーに盾と腰には片手用長剣を差している。これも俺がMMOで使っていたアバターの装備と同じだ……。
な……なして? なんで俺こんなデスゲームの世界にいるの? 本当にどうして!?
「おい……本当に大丈夫か? バグったか……?」
「不幸だ……」
「えっ……。いや、確かにPKされかけてこんな場所に飛ばされたのは災難だったけど……」
突然涙を流して自分に置かれた境遇を嘆きだした俺に、キリトは若干引きながらも同情するように声を掛けてくれた。
違う、違うんだよぉ……同情してくれるのはありがたいがするポイントが違うんだよぉ……っ!
「じゃあ……俺はこれで」
「待って、待っておくれ! お願いだから俺を安全なところまで連れてって!」
「え……ええっ!?」
「俺ここまったく知らないんだよ! しかも夜だし暗いし1人だと怖いの!」
見知らぬ男に泣きつかれ、当然キリトは本気で困っているようだった。
だって仕方ないだろう!? ここって死んだらリアルでも死ぬんだし! いきなりこんなところに投げ込まれたら誰だって怖いって! 神様俺が何をしたの!?
「怖いって……それでも攻略組かよ、お前……? 道案内くらいしてやりたいけど、俺この先に用があるんだ」
「なら一緒に行くし! 1人で森を抜けるより全然いい!」
「……はあ。仕方ないな」
よかった! 俺の願いが届いてくれた! ありがとう神様! ありがとうキリトくん!
「改めて俺はキリト。少しの間だけどよろしく頼む」
「お、俺はかす……じゃなかった。ミスト。助けてくれてありがとう」
互いに握手を交わし、ひとまずキリトの目的である森の奥に進む。
なんでも、キリトはある人物を探しているらしい。
オレンジギルド「タイタンズハンド」……そこまで聞いて、俺はこの後の展開に察しがついた。
案の定、猿人のモンスター「ドランクエイプ」に囲まれているおさげ髪の女の子を見つけるや否や、キリトは背中の剣を抜き放ち戦闘態勢に入る。
「左の1匹は任せた!」
「お…おう!」
キリトに頼まれはしたけど……そもそも俺、このゲームのシステム分からないんですけど!?
このSAOでは魔法はなく、この剣みたいな武器1本で戦い抜かなきゃ行けないという。このアバターのMMORPGでも専門職じゃないと魔法使えなかったけど、いきなり実戦は難易度高くないですかぁ!?
「お……うおおおぉっ!」
けどあのままじゃあの子が殺されてしまう。それだけはしたくないという思いで俺は腰の剣「マーヴェルエッジ」――高い攻撃力よりも特殊効果である命中率100%の効果が脅威のレアドロップ――を抜き、任されたドランクエイプに立ち向かう。
こいつってなんか回復とかするんだよな……さっさと威力の高い技で倒すのが最短ルートだけど……
「――うぐっ!」
振り下ろされた太い棍棒を凧型盾「プロテクションエッジ」――防御だけでなく下部のエッジを備えた事で攻撃力を有したている――で受け止める。
お……重い。これがSAOでの戦いかよ。そしてこの世界でHPが0になれば……死んでしまう。
ゾッと背筋を寒いものが駆け抜ける。それだけは絶対にゴメンだ!
ソードスキルは初動のモーションを起こしたら武器がライトエフェクトで輝き、後はシステムが命中させてくれる……ってあった気がするがどうすればいい?
えっと……こう、ぐっと構えて溜めて……システムが立ち上がるのを感じたら……ズパーンって打ち込む感じ……!
「――はあっ!」
剣がライトエフェクトで輝きを放った瞬間、俺はドランクエイプの棍棒を払い除け、垂直に斬り上げる。
すかさず、返す刃で振り上げた剣を縦に振り下ろす。片手剣の垂直2連撃ソードスキル【バーチカル・アーク】が炸裂し、ドランクエイプは一瞬の硬直の後にガラスが割れたような音を立てて砕け散った。
「で……出来た」
無我夢中でやっていたから何が発動されるのか分からなかったけど……とにかく倒す事ができてよかった。
「悪い、ちょっと手間取った……」
「いや……それよりも」
キリトは1度だけ俺を見やって、目の前で蹲る女の子を見る。
その手にはうっすらと光る羽が乗っていて、何か悲しんでいる様子だった。
「(やっぱり、シリカとの話か……)」
「ビーストテイマーのシリカ」……その友達であるフェザーリドラ「ピナ」がついさっき、彼女をかばってドランクエイプの攻撃を受けて死んだ所か。
もっと早くに駆けつけていたら……あれ? この場合ってキリトを足止めした俺が悪いんじゃ。
「なんか……ごめん。俺がキリトを足止めしなければ、この子の友達死ななかったかもしれないのに」
「いや……あのままミストを置いて行くのも心配だったし、こうなるとは分からなかったから」
頭を下げる俺にキリトは首を横に振って否定する。
確かにキリトはこうなる事を知らなかった。けど俺はこうなる事を知っていたから、なおの事責任を感じてしまう。
「なあ、キリト。確か使い魔を蘇生させるアイテムってどこかにあったよな?」
「47層の「思い出の丘」だな……使い魔の主人がそこへ行けば、使い魔蘇生用の花が咲くって聞いた事がある」
「47層……」
この35層で苦戦していたシリカにとって、そこはまさに雲の上の存在に等しい。しかも死後3日以内に手に入れないとピナはもう2度と生き返らない。
「あたしのせいで……ごめんね、ピナ……」
「……大丈夫。3日もある」
諦めかけるシリカ。しかしキリトは立ち上がって背を向けて呟くと、すぐにメニューウィンドウを開いてアイテムストレージから幾つかの装備を選択し、それをシリカに与えた。
「なあ。俺も同行させてくれないか? ピナを助けられなかったのは、俺に責任があるわけだし……」
「けど……お前は良いのか?」
「基本ソロだからな。それにこのままはいさよなら、じゃ俺の気が済まないんだよ」
「……わかった。そういうことなら」
「あ……あのっ」
俺の頼みにキリトは少し諦めたように納得して、同行を許してくれる。
その時、話を聞いていたシリカが割って入ってきて口を開いた。
「なんで……そこまでしてくれるんですか?」
「え……なんで、って……」
「俺は償い……って言えば、虫のいい話になるかな。キリトには助けてもらったし、借りを返したいって言うか……まあ、そんなところ」
その質問に俺ははっきりと答えるが、キリトはというとどう答えればいいかかなり困っている。
「笑わないって約束するなら……言う」
「笑いません」
「俺もだ。よっぽど変な理由じゃない限りな」
「……君が、妹に似てるから」
それが、助けてくれる理由か。
知ってはいたけど……聞いたシリカは一瞬ぽかんとして、次の瞬間には噴出してしまう。
ようやく笑ってくれた彼女にひとまず安堵し、思わずぽんぽんと頭を叩いてしまった。
「あ……」
「わ、悪い。ようやく笑ってくれたと思ったらつい嬉しくって……」
「いえ……。あの、こんなんじゃ全然足りないですけど……」
「いや、いいよ。俺がここに来た理由と被らないでもないから」
「俺もだ。償いなんだから、礼を受け取ったら困る」
「……?」
キリトの理由というのにシリカは疑問符を浮かべるが、特に気にしないでくれたらしい。そして、今まですっかり忘れていた自己紹介をしてくれた。
「あの、あたしシリカって言います」
「俺はキリト。しばらくの間よろしくな」
「ミストだ。こっちもよろしく、シリカ」
こうして「ピナ復活させ隊(命名俺。キリトは微妙な顔をして、シリカは笑っていた)」がその場で結成され、ひとまず街に帰還するのだった。
……と、言うわけで1話になります。最初なんで短めです。
現時点だと主人公はキリトよりレベルが上ですが、すぐ追い越されます。おまけにレベルに対して中身が追いついてないのでほぼ素人です。まあ、その辺は経験積んで解決していきますが……
次回はピナを復活させるためにフローリアに。それでもって主人公補正っぽい感じでタイタンズハンド戦になります。
すまないキリト……ことごとく台詞奪って(土下座