寝て起きたらデスゲームに巻き込まれていたんだが。   作:リベリオン

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 エピローグ最終章。一応これで救済は完了かな?

 あと最初に謝っておく。リズベットさんすいませんっしたあああ!


復活ルート(フェアリィ・ダンス編)第3話 再会:片翼の――

フェアリィ・ダンス編

 

第3話 再会:片翼の――

 

 

 あの後現実世界では、当然と言えば当然なんだが大騒ぎになっていたらしい。

 まずアスナに会いに行ったキリトが俺たちがフルボッコしたホスト被れに襲われて、俺の忠告を受けて持って来た竹刀(キリトの家、剣道場があるんだと)で撃退、当然お縄についた。

 最初は茅場に全て擦り付けようとしていたがそうは問屋が卸さず、部下が重要参考人として連れてこられてあっさり自供。

 あの世界――アルヴヘイム・オンラインに囚われていた元SAOプレイヤー全員は無事ログアウトされ、人体実験中の記憶や後遺症も残っておらず、現在も元気にリハビリをして社会復帰を目指しているらしい。

 だが後に「ALO事件」と呼ばれるようになったこの出来事でVRMMOと言うジャンルは回復不可能な打撃を被り、アスナの父親がCEOを務めていた「レクト」の子会社で、ALOを運営していた「レクト・プログレス」は解散。本社も社長以下経営陣は引責辞任してしまう。

 当然ALOも運営は中止。他にも展開されていたVRMMOも中止は免れないだろう……はずだった。

 

 

 2025年 5月9日。ALO内、ユグドラシルシティ。 

 

「ここ……で、いいんだよな」

 

 キリトに指示された場所までやって来て、伝えられた場所と現在位置が間違っていないかを確認して、俺はきょろきょろと周りを見た。

 「とにかくここまで来てくれ」と理由を告げないままALOに放り込まれ、なんなんだよ……とも思ったが、特に用事もなかったし、いつまでも居候するのも悪いと思っていたから良いけども。

 

「……やっぱり、この姿にはまだ慣れないなぁ」

 

 ぼやきながら「紫」の前髪を摘んで弄る。このエルフ耳といい、キャラを作ったばかりだから違和感が拭えない。そもそも妖精ってなんだよ、妖精って。むしろ経歴的に悪魔ポジションじゃないか? 俺。

 いや、ALOの設定的には仕方ないけどさ。なら今の俺の状態を考えると「電子の妖精」ですか。バカばっか。

 

「……ま、別にいいけどな」

 

 見上げれば太陽が眩しく輝いている。

 ここが仮想世界だとしても、その眩しさは本物となんら変わらないだろう。

 

 ――この仮想現実(世界)は、今も変わらずここにある。

 

 それはキリトが茅場から託された世界の種子……《ザ・シード》のおかげだった。

 《ザ・シード》とは茅場が開発したフルダイブ型VRMMO環境を動かすプログラムパッケージで、そこそこ回線の太いサーバーを用意して《ザ・シード》をダウンロードすれば、誰でもネット上に異世界を作ることができるんだという。

 キリトはそれを、エギルに依頼して誰もが《ザ・シード》を使えるように世界中のサーバーにアップロードした。

 これによって死に絶えるはずだったVRMMOは蘇り、ALOも「レクト」から全ゲームデータを無料同然で譲り受けたベンチャー企業「ユーミル」によって《ザ・シード》規格のVRMMORPGとして復活した。

 それだけに留まらず、《ザ・シード》によって大小様々な仮想世界が生まれ、それらは同じ《ザ・シード》規格のVRMMOなら、あるVRMMOで作ったキャラクターデータを別のVRMMOにコンバートする事ができる機能を持っている。

 俺もまた、このALOでキャラクターを新規に作成した。このALOは他と違ってSAOのキャラクターデータも引き継ぐ事ができ、一応それを引き継いだ上で闇妖精(インプ)族を選択している。

 この世界でキリトと再会した時にはステータスが異常なまでに強化されていたが、システムから切り離されたら元に戻っていたのは喜ぶべきか、嘆くべきか……ユニークスキルもないらしいから《魔装術》も消えているし。

 ……でも考えてみれば、結果的にこれでよかったのかもしれない。

 あの力はもう必要ない。友達と本気で殺しあう理由も無くなったからな。

 こんな状態になっても……いや、こんな状態になったからこそというべきか、俺は電脳世界を動き回る事ができるようになった。

 もちろんロックが掛かっているエリアは原則行けないが、《ザ・シード》規格の仮想世界ならコンバートの要領で自在に行き来は出来る。当然接続料も掛からず、購入する必要もない。なんか卑怯だよなぁ。今の所それを有効(?)活用する方法は浮かばないし。

 

「いや、そんな事よりもここで何があるんだよ、しかし」

 

 考え事に没頭していたら10分くらい経とうとしているが、別段何も起きる気配はない。

 からかわれただけか……? メッセージ飛ばして問い詰めるか――ん?

 

「……………」

 

 メニューを呼び出そうとした所で、背後に人の気配を感じて振り返る。

 いつの間にやってきたのか、背後に立っていたのは頭の上に突き出たネコ耳が特徴の、俺より年下っぽい女の子だった。他の種族がエルフ耳の中、猫妖精(ケット・シー)族はネコ耳なのが特徴だから分かりやすい。

 他に目に付くのは赤いリボンで左右に結んだツーサイドアップの髪、装備はスピードを重視しているのか青いコートタイプで、胸にはシルバーの胸当てをつけている。

 生憎だが猫妖精(ケット・シー)族に知り合いは居ない。そもそもALO自体が始めてから日が浅いから知り合いなんて極僅かだ。

 でも、彼女は俺の姿を見て信じられないように目を大きく見開いている。……どこかで会った事があったか?

 

「……ほんとに」

「え?」

「ほんとに……キリトさんの言ったとおりだったんですね」

 

 キリトの……言ったとおり? この子、キリトの知り合――。

 

「――まさか」

 

 目の前の女の子と記憶の中の彼女が重なる。

 よく見てみればあの頃の面影がある……じゃあ彼女は……。

 

「シリカ……なのか?」

「……!!」

 

 俺がその名を呼んだ瞬間、彼女は俺の胸に飛び込んできた。

 事態を飲み込めず一瞬反応が遅れたが、とっさに彼女を抱きとめる。

 

「ど…どうしてここに?」

「キリトさんが会わせたい人が居るって……それでここまで来たんです」

「キリトの奴が……」

 

 じゃああいつがここに呼んだのは、シリカと引き合わせるため……なのか。

 

「良く俺だって分かったな。SAOの中と姿違うのに」

「分かりますよ……面影残ってますから」

 

 シリカだって面影がある……そう言おうと思ったら、ぎゅっと強く俺の服を握られる。

 

「生きて……生きて、いたんですね」

「……なんだか死神に嫌われてるみたいでさ、追い返されたんだ」

「……そういう冗談を言う所、やっぱりミストさんです」

 

 嬉しさの余り、シリカの頬を涙が伝う。

 俺だってまた会えて嬉しい、彼女が生きていて良かったと思う。けど……。

 

「俺は、お前の傍に居ても良いのか?」

「どうしてですか……?」

「また会えて嬉しい、それは俺だって同じだ。でも俺は……シリカに何も言わなかった。そしてあんな事をした。止めてって言われても、俺は止まらなかった」

 

 そんな俺が、また傍に居ても良いのか?

 生きていた、なんて言ってもこんなの生きていると言えるのか? 現実世界には存在せず、この電脳世界でしか存在できない俺が……資格があるのか?

 沈んだ表情で問いかける俺に、シリカはゆっくりと顔を見上げ、俺の目をじっと見つめる。

 

「……ヒースクリフさんから、話は全て聞きました」

「だろうな……キリトたちから聞いてる」

「信じられなかったけど、でも色々な事に納得が出来たんです。どうして出て行ったのか、会うたびに雰囲気が変わっていったのか……。

 正直に言えば、一言話してほしかった。力にはなれなかったかもしれなかったけど、そんなに大事な事ならパートナーのあたしにも話してほしかった」

「……黙っていてごめん」

「それはもう良いんです。あたしだって少しでも長く一緒にいたかった。現実で会えないならなおさら……!」

 

 向こうで会うことが出来ないから、少しでも長く一緒に居るために考えうるあらゆる手を尽くして……選んだ答えが皆を裏切ることだった。

 他にも方法があったかもしれない。それこそ攻略組を抜けて残りの時間をシリカと過ごす事だってあっただろう。

 でも……残されていた時間はあまりにも短くて。それで焦った結果があれだった。

 

「シリカの言ったとおり、俺は現実世界に存在しない人間だ。いや……そもそも人間なのかも怪しい。俺自身、この先どうすればいいのかを考え続けているんだ。あんな事をした俺を、こんな存在になった俺を、シリカは――!?」

 

 最後まで言おうとしたら、シリカの唇が俺の唇に重ねられて阻んだ。

 いきなりの事に俺は目を見開いたまま硬直し、ほんの数秒のキスの後、ゆっくりとシリカは顔を離す。

 

「――これがあたしの気持ちです。ミストさんがどんな存在になっていても、あたしがミストさんのことを好きなのは変わりません。ミストさんは……あたしの事をどう思っていますか?」

「シリカ……俺は……」

 

 問われるが、そんな事決まっている。どんな存在になっても、この気持ちだけはずっと変わらないのだから。

 

「俺もシリカの事が好きだ。これまでも、これからもずっと……。こんな俺でも、まだ好きでいて良いのか?」

「もちろんですよ。――おかえりなさい、霞さん」

「――――っ」

 

 俺の本当の名前を呼び、シリカは笑いかける。

 もう、堪える事ができなかった。

 情けない姿を見せたくなくて、シリカを――珪子を強く抱きしめて、ボロボロと大粒の涙を流す。

 

「ただいまっ……ただいま、珪子……!」

「――はいっ」

 

 まるで年下の子供をあやすように、優しい声で答えると頭を撫でてくる桂子。

 失ったものは、払ったものは大きかったかもしれない。

 けど、それでも……この世界の中だけだとしても、もう1度彼女と会うことが出来た。

 今は……今はそれだけで良い。それ以上に嬉しい事なんてない。

 

 

 

「きゅぅーきょくぅ!」

「…うん?」

「リズベット! キィーック!」

 

 空から何か聞こえた瞬間、殺気に反射的にシリカを突き飛ばした。

 いきなり突き飛ばされて小さな悲鳴が聞こえた直後、見上げた空から人が降って来て、その足が俺の顔面に突き刺さる。

 

「もばふっ!?」

「かすっ!? ミストさんー!?」

 

 衝撃で吹き飛ばされる俺にシリカが悲鳴を上げ、3度地面を跳ねた末に柱に叩きつけられ、そのまま剥がれ落ちた。

 

「……よっし、絶好調」

「リ…リズさん!? なんでここに!?」

「アスナたちから「シリカがミストに会いに行った」って聞いて、大急ぎで追っかけてきたのよ。あー、すっきりした」

「ぐ……げふっ」

 

 いきなり人を蹴り飛ばしてきたのは、ピンクの髪とそばかすに見覚えのある少女だった。

 いや、見覚えあるって言うかさっき自分で正体明かしていたよな。「リズベットキック」ってなんだよ。「○シュペンストキック」のパクリか。

 晴れ晴れとした表情のリズに、俺は鼻を押さえて忌々しげに睨み付ける。

 

「おい、そこのピンク女……感動のシーンブチ壊しにしてどういうつもりだ」

「はぁ? 人のこと心配させておいて良く言えるわね。とりあえず再会を祝して1発殴らせなさいよ大バカ男」

「蹴った後で何を言ってるんだ……」

 

 はて、俺の知っているリズはこんな強暴だっただろうか。思い返してみても記憶にな……いや、散々人の弱みを握る悪魔みたいな女だが。

 やっぱこいつ、俺の天敵だ……などと思っていたら、いきなり寂しげな表情を見せてギクリとしてしまう。

 

「あんな遺言残して……確かにのけ者にされるのは嫌だったけど、だからってあんな大事な事ちゃんと言っておきなさいよ、バカ」

「……すまなかった」

 

 ああ……なんだ。

 さっきのあれは俺が生きていて嬉しかった事の照れ隠しみたいな物だったのか。

 確かに心配をかけたんだよな、俺……。だったら蹴りの1発くらい我慢しなきゃいけないだろ。

 

「まあ、生きていたならそれで良いけどね。色々小難しい話は要らないわよ。ミストが生きてここにいた。あたしはそれだけで十分だから」

「そう言ってくれると助かる」

「けど、それはそれ。これはこれよ。1発殴らせなさい、無駄に心配させた罰として」

「なんでそうなるっ!? 大体さっき蹴ってきただろ!」

「あれはほら、挨拶代わりってやつ? 本命はこっちよ。リズベット必殺の鋼鉄粉砕ゴルディ○ン・ハンマーで叩き潰してあげるから」

「どこの勇者王だお前は!?」

 

 って言うかお前、あの作品知ってるのか。いやいやそんな事よりも!

 にっこり笑ってメイスを振り上げてくるリズに俺は顔を青くする。マジだ。こいつマジでやる気だ。本気と書いてマジと読んで、やる気と書いて殺る気と読む。

 

「リ、リズさんやめてくださいっ!」

 

 口角を引き攣らせて動けずに居た俺の前に、シリカがリズの前に立ちはだかった。

 シリカ……! ありがとう、助けてくれて本当にありがとう!

 

「せっかくミストさんと再会できたからもうちょっとイチャイチャさせてくださいよ!」

「……よし、やっぱり天罰光臨ゴルディ○ン・クラッシャーで光に昇華してやるわ」

「あんるぇー? 火に油注いでないですか!?」

「キリトとアスナといい、シリカとミストといい、イチャコライチャコラ見せつけんじゃないわよ! なに? 厭味? 厭味なんですか? 相手の居ないあたしに対する!」

「いや、イチャコラしてたつもりはないけど……」

「当事者は無自覚とはよく言ったものよねぇ!?!?」

 

 ヤバイ、今のリズには何を言っても地雷にしかならない気がする。

 

「独り身の辛さを思い知れぇぇぇ!」

「に、逃げるぞシリカ!」

「えっ!? は、はいっ!」

 

 シリカの手を引きバーサーカーから必死の逃走劇を試みる。

 ……なんか色々ぶち壊しにされたが、これはこれで俺たちらしいかもしれない。

 息を切らせて走りながら俺は笑みを浮かべ、引っ張られているシリカもそれを見て笑っていた。

 

 

 

 

 

 その世界において彼は異端だった。

 

 『銃』が支配する世界で唯一『剣』を用いる剣士。

 

 それを見て酔狂だと見下す者がいる。愚かだと蔑む者もいる。

 

 もちろん……私もその選択を愚かだと思っていた。

 

 けれど……周囲の評価を、彼は実力で覆して認めさせてしまう。

 

 『ラストフェンサー』……その力を思い知らされた人たちは彼をその名で呼んだ。

 

 あまりにも荒唐無稽、常識外れの力に、多分私も魅せられたんだと思う。

 

 飛び交う銃弾の中で笑みすら浮かべて敵を斬る彼の姿は、硝煙が煙る世界でなお輝いて見えた。

 

 知りたかった。その力の秘密を。

 

 知りたかった。戦場で笑みを浮かべられるその理由を。

 

 だから、今日も私は――。

 

 銃が支配する世界で、剣を振るう彼の背中を追いかける。

 

 

 NextWorld GunGale Online......?




 と言うことで、これにてアインクラッド&フェアリィ・ダンス編完結です! やりきったぞー!

 ダーク→シリアス→ギャグからの感動……と見せかけてギャグと思わせておいてまさかの展開に持って行きましたやったぜ。

 けど、これだけはいっておく。

 予 定 は ま だ 未 定 だ 。

 語ることはもうあんまりないですね、以前に語り尽くしたから。

 ちなみに再会のシーンは「シルシ」をリピートしながら書いてました。ヤバイめっちゃはかどるどうしようヤバイってくらいに。良曲ですよねー。

 それじゃあ最後に……ミスト君、末永く爆発しやがれ!

ミスト「まったく持って嬉しくねぇぇ!?!?」
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