寝て起きたらデスゲームに巻き込まれていたんだが。 作:リベリオン
本当は新作を出したかった……でも中々纏まらなくてこっちが先に出来上がったんだ。
だが、いつか……いつか必ずラブライブを上げてやる……っ! クロスさせたいし(ぉ
第1話 Gun & Sword
第1話 Gun & Sword
2025年 9月14日 GGO内・SBCグロッケン・地下ダンジョン。
「ったく……嫌になるな」
角に隠れて自動戦闘機をやり過ごして、安堵と共に俺はぼやいた。
さすが最高難易度の地下ダンジョン。まともにやり合ったら痛み分けで済みそうにないエネミーがうじゃうじゃ蔓延っている。
「ごめんなさい……私の軽率なミスのせいで」
それが厭味に聞こえたのか、隣に居たスナイパーライフルを担いでいた少女が申し訳なさそうに謝って来た。ショートのペールブルーの髪に猫を思わせる藍色の瞳をした少女は、ただでさえミリタリー好きの男が多いGGO内でも珍しい上に、容姿も相まって誰もが目で追うだろう。
「いや、シノンだけの責任じゃない。トラップに気づかなかった俺にも責任がある」
実際俺にもこの状況を招いた責任はあった。
きっかけは彼女が気まぐれで地下ダンジョンに潜らないかと言って来た事だ。俺も断る理由が無かったから快諾して2人で潜ったら、トラップに嵌って地下ダンジョンの最奥、しかも最高難易度の所まで落ちてしまった。
当然誰も到達した事のない未踏エリアでマップ情報も無く、おまけにうろつく敵は真正面からやりあうには厳しい相手で交戦を避けつつなんとか脱出を図っている。
とは言え未踏エリアとなればまだ誰にも発見されていないお宝が眠っている可能性もあるわけで、それが最高難易度のダンジョンならなおさら可能性も高い。
故に、脱出よりも探索メインにシフトしつつあるが……気にしたら負けだ。もとより死ぬつもりは毛頭ないから。
「けどこれじゃあ、迂闊に探索も出来ないな……」
「諦めて出口を探す?」
「出来れば苦労しないさ」
隠れて行動するから移動にも時間が掛かる。
見つかってしまったから交戦、と行ければ良いが、俺はともかく弾薬に限りがあるシノンを考えると余計な戦闘は避けるのが最良だろう。
「……ありがとう、クラウド」
「なんだ? 改まってどうしたんだ」
「私1人だけじゃ、死んでも良いやって諦めていたから……」
「おいおい、出来れば死なない方が良いだろ。死ねばランダムでアイテムをドロップするんだから」
「分かってる。分かってるけど……さすがにこんな状況になれば、ね」
さすがのシノンもこの状況には弱音を吐いてしまうらしい。
俺は彼女を励ましてどうにか再起させると、彼女と共に探索を続けた。
やがて円形のスタジアムの上に行き着くと、下を覗けば見たことのない大型モンスターがうろついているのを発見する。
「なんだあのアルマジロ……」
「このダンジョンのボス……かしらね」
ボス……ってことは倒せばレアなアイテムを落とすってことか。
大変魅力的な話だが、たった2人で初見の大型ボスを倒すのはかなり無謀だ。
強さにしてもこのエリアの難易度を考えれば相当なもののはずだし、よしんば倒したとしても帰り道に遭遇した敵と戦うときにどれだけ弾薬が残っているか……。
シノンの方もそれを考えているのか、顎に手をやって考え込んでいた。
俺も同じように考えつつ、双眼鏡でモンスターの動きを観察する。
「……クラウド」
「なんだ?」
「ダメ元で挑んでみない?」
「マジか……」
玉砕コースを選んだシノンの選択が信じられず、思わず双眼鏡から目を離してシノンを見る。
どう考えても倒せなかった場合のリスクより倒した場合のリスクの方が大きすぎる。あのアルマジロと戦ってどれほどの弾薬を消費してしまうか。その状態で帰るにはここは危険すぎる。
乗り気になれなかった俺はシノンを諭そうとするが、シノンは口元にかすかな笑みを浮かべ、このタイミングで最悪のカードを切ってきた。
「あの時の『借り』、ここで返してほしいんだけど?」
「げっ……」
思わず唸り、腰の後ろに手を当てる。
偶然だったとは言え、シノンととあるボスに挑んだ際に撃破して入手したのが『これ』だ。シノンからのアシストが無ければ入手は難しかったのは間違いない。
感謝して礼を言ったら、「じゃあいつか、この借りを返してもらうから」と実に素敵な笑顔で返され、思いっきり顔が引き攣ったのを今でも忘れていない。
さて……こうなってしまった以上、あのアルマジロに挑む以外の選択肢は残されていないだろう。
しかし、だ。シノンはここから狙撃できるから良いとしても、俺は接近しないといけない。……あんなデカイアルマジロを前に大立ち回りってマジか?
いや……どうにかなるか。もっと凄まじい修羅場を潜ってきたことを考えれば、この程度可愛く思える。
「オーライ、仰るとおりにする。具体的なプランを出してくれ」
「見た感じ、あのモンスターの弱点は額みたいね。私はここから狙撃するから、クラウドは白兵戦でアレを撹乱。可能な限り顔をこっちに向けさせて」
「わかったよ……まあ、そこまで心配はしていないけどな。シノンの腕なら安心できるし」
「私もあなたを信用してるわよ、『ジェダイ』」
「だからそれで呼ぶなっ!」
からかうように数ある俺の異名の中からいろんな意味でアウトの名で呼び、即座に俺は突っ込みを入れた。
こんな特殊すぎるくらい特殊な戦闘スタイルなせいか、俺には幾つもの異名が周りから勝手に付けられている。
その中で最も有名なものは――『ラストフェンサー』。
「じゃ、ミッションスタートといくか」
嘆息して腰に下げた金属棒を掴み、カラビナのロックを外す。そしてその反対側にあるホルスターからはかなり小型の
縁から飛び降り、落下しながら縦に1回転してきれいに着地する。ちょうど、アルマジロとは真正面。
「来やがれ、アルマジロ」
『ギャロロロロッ!』
左手に持ったSMGを突き出し、右手に持った金属棒の上部にあった電源のスイッチを入れる。
すると先端から灰色に光り輝くエネルギーブレードが形成され、起動させたそれ――『光剣』を軽く振るった。
その直後、頭上から銃声が響き、モンスターの額にある黄色いダイヤのような部分で火花が散る。
怯むモンスター。その瞬間俺は走り出した。
/
「すぅー…はぁー……」
緊張に支配された身体を解すために大きく深呼吸した。
スコープ越しの世界ではクラウドがアルマジロを思わせる大型ボスモンスターを相手に大立ち回りを演じている。
GGOで唯一にして最強と謳われる光剣使い、クラウド。銃が支配する世界で剣を使いその名を馳せているのだから、その実力は本物だ。実際「理解のある」トッププレイヤーの何人かも彼の実力を認めてトッププレイヤーの1人と見ているが、本人は謙遜して「良くて上の中程度」と過小評価している。
ボスの踏み付けや噛みつき、あるいは尻尾の先端から発射される高出力レーザーを前にしても怯まず、動き回り左手の《
しかも作戦通り、私がボスの弱点を狙撃できるように真正面の位置取りを心がけてくれているのだから、本当凄まじい技量の持ち主だ。
「……………」
呼吸を整え、ボスの弱点に狙いを定めてトリガーを引く。
額を寸分違わず撃ち抜くとボスは怯み、その隙を狙いクラウドが更に追撃を仕掛けた。
飛び上がり、私が射抜いた弱点部分目掛けた水平高速4連撃。
普通の光剣だったら飛んでもあそこまで届かせるのは難しいが、クラウドの持つ《MURAMASA》はその辺の光剣と一線を画す。威力も強力だが、何より最大の特徴は形成するエネルギーブレードの長さは通常の2.5倍だということ。もはや剣ではなく槍として扱う方が正しいとさえ言われる。
普通の光剣を使って接近戦を仕掛けるよりもより遠くの位置から攻撃できるアドバンテージは計り知れない。だが、それでもGGOでは圧倒的不利であることには変わりない。
GGOは銃をメインにしたVRMMORPGだ。その射程は有名な銃である《ベレッタM92F》を例に挙げると有効射程50m前後。実際の交戦距離を考えれば更に短いが、それでもリーチの短い光剣よりもずっと長い。
ならなぜ、クラウドがGGOで最強の1人に名を連ねるのか。
それは――。
「シノン! レーザー来るぞ!」
クラウドが叫び、柱の陰に隠れる。モンスターの尻尾の先端が開き、中から赤いレンズ状の物体が露になるとそこから高出力のレーザーを発射した。
私の所までレーザーは届かないが、白兵戦を行うクラウドは射程圏内だ。対光弾防護フィールドがあっても距離があれだけ近ければ効果は薄れる。
すかさず私がライフルでモンスターの弱点を狙撃。弱点を撃ち抜かれてモンスターは怯み、レーザー照射が止む。
その直後、モンスターの足元で強烈な衝撃と青いエネルギー流が炸裂した。クラウドがモンスターにプラズマグレネードを投げ込んだんだろう。
大ダメージにスタン状態になり、この隙を逃さず私は額の弱点を連続で狙撃する。クラウドもほぼ至近距離からM10のフルオートを叩き込んでいた。
《M10》の特徴は、小型軽量なサイズ以上に凄まじい連射速度に尽きる。毎分1000発という驚異的な連射速度は32連マガジンを1.5秒で空にしてしまうほどだ。
当然それほどまでの連射速度は命中精度に期待できないが、白兵戦を行うクラウドには最適な銃だった。ハンドガンよりも連射速度・火力ともに上で、アサルトライフルや他のSMGよりも小型軽量な《M10》は牽制に適し、瞬間火力にも優れている。
……最初はそんな装備で通用するのかとも思ったが、実際通用しているんだから認めるしかないのだけれど。
スタンから回復したモンスターが起き上がろうとし、すかさずクラウドは6つあったモンスターの目を、右側の3つを切り裂いて潰した。
悲鳴を上げ、めちゃくちゃに動き回るモンスターをクラウドは慌てることなく動きを見切って光剣で斬り付けて行く。
――その口元は微かに笑みを浮かべていた。
単純なステータス上の強さじゃない。クラウドは戦場で笑えるだけの強さを持っている。
その強さの理由が知りたかった。倒せばその理由が分かるかもしれなかったけど……その強さを知る前に、私は彼と友達になっていた。
聞いてみても「なんだろうな?」とはぐらかされて、ならばと私は彼の背中を追いかけて、今も追い続けていて……。
「シノン、残りHPが1割を切った。畳み掛けるぞ!」
「……了解」
インカムから聞こえてきたクラウドの言葉に返し、私は狙撃に集中する。
「(――氷。私は冷たい氷でできた機械)」
頭の中で唱え、トリガーを引き絞る。
愛用の狙撃銃《FR-F2》の銃口から弾丸が打ち出され、モンスターの額を射抜く。
ボルトアクション式ゆえに速射は出来ないが、それをカバーしてくれるのがクラウドだった。
怯んで仰け反ったモンスターへ、助走をつけて軽く跳躍すると、驚異的な速度と正確さの高速突き5連打を額へさらに叩き込む。
ボルトを引いて薬莢をはじき出し、押し込んで新たな薬莢を装填すると、若干の銃口の位置を修正してトリガーを引いた。
クラウドが着地したと同時に弾丸がモンスターの額を正確に射抜き、その1射でモンスターはとうとう倒れて動かなくなると、ガラスが砕けるのに良く似た音を立ててポリゴンを砕け散らせた。
「……はぁ」
ようやく倒れた……倒すのに2時間も掛かったけど。
ラストアタックを決めて、私にボーナスが贈られてくる。
タップしてそれをオブジェクト化すると、《FR-F2》よりも遥かに大型のライフルが出現し、受け止めようと思ったら思った以上にずっしりと重みがあって驚いた。
《ウルティマラティオ・ヘカートⅡ》……GGO内サーバーでも10丁しかない、超レアなアンチマテリアルライフルだ。
「お疲れシノン。何が出た?」
「《ヘカート》よ。私も実物を見るのは初めてだわ」
「《ヘカート》!? マジかよ! 俺だって見たことない……み、見せてくれ! ああでもどうやってそこまで行けば……」
子供みたいにはしゃいでいるクラウドに思わず笑みがこぼれる。
あんなアバター――長身痩身で腰まで伸びた綺麗な銀髪に、エメラルドグリーンの切れ長の瞳――は、クールビューティーな女性を思わせるけど、れっきとした男性だ。
普段はどちらかと言うと落ち着いているけど、今みたいに子供っぽい一面を覗かせる事もあって見ていて中々飽きない。
「ロープとかって持ってないよな?」
「お生憎。持ってないわ」
「じゃあ……壁走って、アルマジロが切断した柱に飛び移って更にジャンプで……いや、うん行ける。あいつも似たようなことやったんだし」
いくらクラウドが常識外れだからって、さすがにそこまでは無理だと思う。
諦めるように声を掛けようとしたら、クラウドは本当に壁を走っていた。……ほんっと、ありえないんだけど。
そしてボスモンスターのレーザーで切断された柱の断面に飛び移って、さらに飛んで――高度が足りずにそのまま落っこちた。
「ぐへっ!」
「やめておけばよかったのに……」
呆れて下を覗き込む。ここから見るとクラウドが潰れたカエルのように見えた。そう言えば実家は田舎だったから、時折見かけたっけ。
「もう少し高さがあれば届いたと思うんだけど……」
「いくらなんでも無理よ。諦めたら?」
「でも、合流しないといけないだろ?」
「それはそうだけど……」
ロープも無い、飛ぶのも無理、他に方法なんて……。
「……あった」
あった、1つだけ。けどこれって私もかなり恥ずかしい。
問題はクラウドのSTR値ね……SMG持ちアタッカーをベースにしているけど、光剣を使うにあたって上げてはいるし、大丈夫だと思うけど。
「ねえ、クラウド」
「なんだよ?」
「ちゃんと受け止めなさいよ」
「は?」
なにを、と聞かれるよりも早く。
私は《ヘカート》を抱えて、そこからピョンッと飛び降りた。
口を半開きにし、唖然とするクラウドの姿がみるみる近づいてくる。
そして、慌ててその場を走り回って位置を修正して、落ちてきた私を見事にキャッチした。
「おっ…も――――イエ、ナンデモナイデス」
「……よろしい」
何か大変失礼な事を言いかけたクラウドにサイドアームのグロック18Cを向けると大人しくなった。
重くない、断じて私は重くないわよ。そう思ったのは《ヘカート》の重さと落ちた高さが重なっただけ。
半眼を向ける私にクラウドは小さくなり、黙って地面に下ろす。……見た目がカッコいいだけに中身が残念で仕方ない。
「ほら、これが《ヘカート》よ」
「おお……」
黙っていたのが一転し、私が抱えていた《ヘカート》を見せるとクラウドは目を輝かせて見ていた。
「こいつが《ヘカート》か……実物は初めて見るな。売るとかなりの値段で売れるだろ?」
「そうね。オークションにかければ相場以上になるとは思うけど……」
月々のお小遣いが3千円の私には、それはかなり甘美な誘惑だった。でも……。
「……私、これを使おうと思うの」
「使うって……《ヘカート》を? 確かにシノンはスナイパーだからステータス的に使えると思うけど」
私の意向が意外だったのか、半分納得、半分疑問を抱いた目でクラウドは小首をかしげる。
確かにお金にすれば当分の弾薬代などに困る事はないだろう。《FR-F2》も悪い銃じゃないし。
でも……私が潜っている理由は強くなるため。そして……なんとなくだけど《ヘカート》に何かを感じたから。
「……まあ個人の戦闘スタイルなんて自由だからな。俺も人のこと言えないし」
それ以上クラウドは理由を問いたださず、おどけるようにしながらも納得してくれた。
これでも結構人の心情に機微な所もあって、話したくなかった気持ちを汲んでくれるのは有り難い。
「……ありがとう」
「別に礼を言われるような事はしてないだろ? それに、礼を言うのはまだ早いと思うけどな。ここから脱出しなきゃいけないんだから」
「あ……」
そうだった。
改めて思い出すと、私たちは今地下ダンジョンの最奥部分に取り残されている。
ここで死んで、せっかく手に入れた《ヘカート》を失ってしまったら当分立ち直れない。
「シノンの残り弾薬は?」
「《FR-F2》が残り20発。《グロック18C》が67発ね。クラウドは?」
「《M10》が残りマガジン1本、あとプラズマグレネード1つだな」
お互いに弾薬が心もとない、か……。クラウドは光剣でどうにかなるけど……あとは私も《ヘカート》に弾が入っているけど、それでも安心できるとは言えない。
「交戦は可能な限り避けて……万が一戦闘になった時は逃走優先しかないな」
「出来そう?」
さすがに不安になって尋ねると、クラウドは微笑する。
「どうにかしてみせるさ」
/
「あー! やっぱりシャバの空気はうまいなぁ」
「…………」
ピンシャンしているクラウドとは対照的に、私はぐったりしていた。
いくら彼が常識に当てはまらないって言っても、限度があるでしょう……!
「……私、金輪際アンタの背中に乗らないから」
「なんで?」
「なんで? って……」
心底不思議そうに首を傾げるクラウドに大声で理由を語ろうとした時、
「シノン! クラウド!」
「ん? よお、シュピーゲル」
銀灰色の長髪を束ねた男性が私たちに気付いて、走り寄ってくる。
「どこに行ってたのさ? 急にマップ追跡から消えたときは驚いたじゃないか」
「あー、ちょっと地下ダンジョンでトラップに引っかかって、そのまま最高難易度の最奥部まで真っ逆さまで……」
「……それとシノンを背負っているのとどんな因果関係が?」
「うっ……」
目を少し細めて、私とクラウドを交互に見てくるシュピーゲルに少しだけ私は唸った。
別に変なことはしていない。けれど、女が男に背負われていたら何か勘ぐるのが当然だと思う。
「ちょっと、いい加減降ろしてよ!」
「はいはい……ほら」
私が文句を言うと、いい加減な返事をしながらも腰を落として私が降りやすい様にしてくれる。
もうちょっと文句を言いたかったけど、今は事情を説明しないと誤解されかねない。
「勘違いしないでね? 地下でボスとやりあった後弾薬が少なくなって、じゃあどうするかってことになったら……」
「俺がシノンを背負って地上を目指したってわけだ」
「……最奥部から?」
「ええ」
「ずっと背負いっぱなしで?」
「ああ」
……やっぱり。シュピーゲルも呆けて口を半開きにしてる。
私だって信じたくなかったけど、事実その通りだったんだから認めるしかない。癪だけど。
確かにSTR優先でステータスを上げている私と違い、クラウドはAGI優先だが、同時にSTRもそれなりに上げている。
だから、武装を《グロック18C》以外全部ストレージに収納した私を背負って、地下を駆け抜けた。
あれはちょっとしたジェットコースターに乗っている気分だったわ……横の壁だけじゃなくて天上まで走って逃げていたし。当然途中遭遇した敵は全部無視で。
「シュピーゲルも体験するか? クラウド超特急in地下ダンジョン。今ならボス部屋まで運んでいくぞ」
「い、いや……遠慮しておくよ」
クラウドの誘いにやんわりとシュピーゲルは断る。ハッキリ「嫌だ」って言えば良いのに……。
「そ、そう言えばボスを倒したんだよね? 何かドロップした?」
「聞いて驚くなよ? なんとあの《ヘカート》だ」
「ヘ、《ヘカート》!? 《ウルティマラティオ・ヘカートⅡ》!?」
「ええ。GGOでもまだ10丁しか見つかってないアンチマテリアルライフルよ」
「いやー、中々しんどかった。ソロで挑みたくなかったな、あのアルマジロは」
「アルマジロ?」
「ああ……ボスが見た目アルマジロみたいだったから。詳しい話はどこか落ち着ける場所でしない?」
「あ、そうだね。2人とも疲れてるみたいだし……」
「ほんとだって。人を背負って全力疾走は重くて疲れ……イエナンデモアリマセンヨ、シノンサン」
「……よろしい」
私が《グロック18C》をクラウドの脇腹に押し当てると、すぐにクラウドは大人しくなった。
重くない。私は重くないわよ、絶対に。って言うか女の子に向かって失礼でしょう。
新たに登場したキャラ……いったい彼は何者なんだ(すっとぼけ
アバターのイメージは見た目とかから判断してください。っていうか分かりやすいか。
ちなみに、剣はともかく選んだ銃は完全な自分の好みです。イングラムマジ最高。バイオハザードでお世話になりました。