寝て起きたらデスゲームに巻き込まれていたんだが。   作:リベリオン

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修羅場のフラグが立ったよ! やったね!


第8話 幕引きはド派手に

第8話 幕引きはド派手に

 

 

 ブラッキーことジョニー・ブラックを撃破し、すぐにキリトたちが戦っている場所に応援に向かう。

 だが向こうでも戦闘は終わっていたようで、走ってくる2人を見つけて声を上げた。

 

「キリト、シノン!」

「クラウド……ッ!」

 

 俺の姿を認めた途端、シノンがそのまま走ってきて俺の首に抱きついてきて、思わずぎょっとするも倒れないように踏み止まる。

 見ればシノンは怪我もないが、キリトの方は全身にダメージエフェクトが残っていてかなりてこずったと言うのは見て取れた。

 

「良かった……無事でよかった……」

「いやまあ、無事って言うほど余裕勝ちじゃなかったけどな……けど『お守り』が役に立った。にしてもひっどいザマだなキリト。ボロボロじゃないか」

「人の事は言えないだろ……って言っても俺よりはダメージ少ないみたいだけど……ずいぶん心配されていたみたいだな、お前」

「あのー、シノンさん? そろそろ離れてくれません?」

 

 にやにやと意地悪く言うキリトに、俺は慌ててシノンを離れるように促すと、名残惜しそうにしながらも彼女は離れてくれた。

 いや、心配していたのは分かるけど抱きつくのはオーバーだし俺も驚くって。

 

「まあ、お互い無事……とまでは行かないけど、何とか切り抜けられたみたいだな。ところでさっきも言っていたけど、『お守り』って言うのはそれの事か? ミスト」

「ああ。OW【MOON LIGHT】……ALOで言う所の【エクスキャリバー】とか【グラム】に相当する、伝説級武器みたいな物だな」

 

 キリトにも分かりやすく説明すると、「なるほど」と納得して頷く。これでどうやって倒したか……までは話す必要はないだろう。それよりも大事な話があるんだから。

 

「それより……《死銃》の片割れは案の定ラフコフの1人だった。SAO時代はジョニー・ブラックって呼ばれていたらしい」

「ジョニー・ブラック……確か討伐前のミーティングでザザと一緒にその名前を聞いた気がする。ああ、大丈夫だ。SAO時代の名前も割れたし、こっちの事は俺たちに任せろ」

「頼んだからな、俺じゃあ何もできないんだし。シノンももう安全とは思うけど、念のため警察に連絡してもらったほうが良いな」

「それは構わないけど……けどなんて言えばいいのよ?」

 

 首を傾げるシノンに、そう言えば……と俺も思い直す。

 部屋に不審者が……は、違うな。確かになんて説明すれば来てくれるんだ?

 

「そっちは俺がなんとかするよ。ミストには話しただろ? 俺の依頼主の事」

「あー、クリスハイトか。じゃあキリトがログアウトしたらすぐに連絡してもらえばいいか」

「でも私の住所とか名前とか、リアルの情報を知らないじゃない」

「「あっ……」」

 

 冷静なシノンの突っ込みに、俺とキリトは揃って間抜けた声を上げてしまった。

 それもそうだよな……ううむ、そうなるとやっぱりシノンが警察を呼ぶしか手が無いんだけど、そうなるといたずらと勘違いされる可能性だってあるわけだし。

 

「はぁ……良いわよ、教えるから。2人なら悪用とかしないでしょ?」

「それは誓って。けど、本当に良いのか?」

「良いわよ。その代わりそっちの名前も教えてもらうから。私の名前は、朝田詩乃。住所は――」

 

 あっさり言うと、シノンはそのままリアルネームと住所を俺たちに話してくれた。本当、止める間もなかった……とポカーンとしていたが、住所を聞いたキリトがそれに驚く。

 

「……驚いたな。俺が今ダイブしている場所の近くだ」

「えっ、そうなの?」

「うん? キリトの家って都内だったっけ?」

「クリスハイトが用意した場所が御茶ノ水の病院なんだ。いっその事ログアウトしたら俺がシノンの家に言った方が良いかもしれないな」

「いやいや、先にクリスハイトに連絡して警察向かわせるほうが良いだろ。近くに潜伏している可能性だってあるし、用心しておくに越した事は無いだろ。シノンも、キリトか警察が来るまで誰も家に上げないほうが良いって」

 

 第一、リアルじゃもやしっ子って言われているキリトが駆けつけて、もし実行役の《死銃》に鉢合わせしたらどうするんだ。忘れたとは言わせないぞ、ALOでアスナ助けた後の事。

 

「そ、それを言われると返す言葉も無いんだけどな……」

「安全確保はやるなら徹底的に。お兄さんとの約束だ!」

「誰に向かって言ってるのよ、誰に向かって……そんな事より、私にだけ個人情報を開示させてそっちは何も開示しないの?」

「あ、あぁ、ごめん。俺の名前は桐ヶ谷和人」

「……それでキリト、ね。で? クラウドは?」

「え? いやー……そもそも俺に個人情報なんて存在するのかどうかも怪しいし……」

「わけの分からない事言ってないで、さっさと話す!」

「うぐっ……白峰霞、一応永遠の17歳」

「……うそ、年上だったんだ」

 

 その信じられないって反応は結構傷つくんですけどねシノンさん……。

 

「ごほん、ごほん、とにかくログアウトするにはBoBを終わらせなきゃ……確かアミュスフィアって、脱いでも自動ログアウトになるんだよな?」

「? ああ、ナーヴギアと違って安全性重視だから、ダイブ中の人間からアミュスフィアを外しても死んだりはしないけど」

「時にキリトは今1人でダイブしているのか?」

「いや、すぐ近くにモニタリングしてくれている人と……あとアスナが居ると思う」

「そっかそっか……んじゃキリト、お前先にログアウトしろ」

「どうやっ――――て」

 

 きょとんとするキリト。だが次の瞬間、キリトの頭が宙を舞った。

 

「――こうするんだよ」

 

 目を丸くしたキリトの頭が砂地に落ちると、【DEAD】の表示が浮かび《MOON LIGHT》の電源を同時にカットして隠しホルダーに戻す。

 傍に人がいるなら、これでログアウトが出来るようになるはずだ。

 えっと、カメラはあれだな。中継カメラを見つけると、それに向かってジェスチャー(キリトを指差し、アミュスフィアを外す真似をして、両手で大きく○を作って「キリトのアミュスフィアを外してOK」の意味)をしてキリトの自動ログアウトを促す。

 

「……ねえ、あなた達って友達……なのよ、ね?」

「ああ。付け加えるなら「悪友」って追加されるけど」

 

 絶句していたシノンは我に返ると、ポツリと呟いたのでにっと口角を吊り上げて答える。

 

「……後で文句言われても知らないわよ、私」

 

 ボソッと何かを言っていたみたいだが、生憎と聞き取れなかった。

 しばらくジェスチャーを繰り返していたらやっと通じたのか、キリトの表示が【DISCONNECTION】に変化されてアバターが消滅した。

 

「よし、これで少し時間稼ぐか……どうする? スナイパーと剣士、どっちがGGO最強か白黒つけるか?」

「白黒も何も、クラウドボロボロじゃない。イングラムだって無いみたいだし」

「そういうシノンこそ、【ヘカート】のスコープ無いじゃないか」

「そうね。これを教訓にバックアップサイトをつける事にするわ」

 

 ニヤリと笑うシノンに対して、俺もニヤリと笑みを返す。

 

「――けどま、実際のところ優勝とかはどうだって良いんだけどな。目的は果たせたし」

「目的ってキリトの事?」

「ああ。キリトが1人で事件の調査をしようとしていたからな、たまたまゲームがGGOだったし、BoBに参加するのもやぶさかじゃないなーって」

「ふーん……それでここまで勝ち残ったんだから、やっぱりデタラメじゃないクラウドって」

「否定は出来ないなー。んで、結局どうする? シノンが優勝したいなら譲るけど」

「……勝ちを譲られるのもイヤだけど、お互いベストコンディションじゃない状態で勝敗決めるのもイヤよ。だから、キリト共々次のBoBに参加しなさい。それまで勝負は預けておくわ」

「うへぇ……」

 

 別に次回は参加するつもりなんて無かったのに、シノンの執念深さにはもう言葉も出てこない。

 

「……けどそれじゃあ、どうやって終わらせるんだ?」

「そうね……クラウドは第1回BoBの最後は知ってる? あ、あともうちょっと腰落として。そう、そのくらい」

 

 なにやらゴソゴソと何かを取り出そうとしているシノンに首を傾げるが、言われたとおりに大体同じ背丈くらいまで腰を落としながら思い返す。第1回BoBって確か……同時優勝だったんだっけ。理由は確か……。

 

「優勝するはずだった奴が油断して、お土産グレネードに引っかかっ――」

 

 口にしようとしたその言葉は、目を閉じたシノンの顔がどアップで映り、さらに口が柔らかい感触で塞がれて最後まで言えなかった。

 

「――――――!?!?」

 

 一瞬、頭の中が真っ白になって、何が起きているのかまったく判断がつかなくなる。

 え……これって、もしかして俺、キスして………うぇぇええいっ!?

 

 

 再起動した思考が高速で状況を判断し、シノンにキスをされている事に驚愕して目を丸くした瞬間、強烈な衝撃と爆発が内側で炸裂して視界が真っ白な閃光に包まれた。

 

 

 

 

 

 第3回バレット・オブ・バレッツ

 

 勝者

 

 シノン & クラウド




次回、ファントム・バレット編最終回
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