寝て起きたらデスゲームに巻き込まれていたんだが。   作:リベリオン

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 大変ながらお待たせして申し訳ありませんでしたァァッ!
 遅れた理由としましては描写が難しくて何度か書き直したり、衝動的に別作品を書いていたりした影響です。
 いや、この話が出来上がったのは9月の頭あたりだったんですけど、その前後でもう1本書き続けていたせいでこんな遅くに……orz
 と言う事で、今回はシリカの武器強化編。オリジナルのフィールドボスへある種のドリームパーティで挑みかかります。


第6話 紅蓮の王が眠る地

第6話 紅蓮の王が眠る地

 

前回のあらすじ:

 

アスナに振り回された。

 

 

「――と、言うわけで紹介するね。こっちの男の子がミスト君で、女の子がシリカちゃん」

「ミストだ。キリトとアスナと同じ攻略組だな」

「シリカです。よろしくお願いしますね、リズベットさん」

「リズベットよ。リズって気軽に呼んでいいわ」

 

 あれからキリトと共に戻ってきたこのリズベット武具店の主、リズベット――愛称はリズ――に改めて自己紹介。

 そしてキリトは、ここに居る俺たちに疑問をぶつけてきた。

 

「それで、アスナはともかくミストとシリカはどうしてここに?」

「お前と同じ理由だ。と言っても俺じゃなくてシリカの短剣をオーダーメイドしに来た」

「そっか……確かに新調するにはいい頃合かもな」

「オーダーメイドって言われても……お金とか性能の目標値とか、色々あるわよ?」

「そうだよなぁ……まあ、予算は気にしないで、現時点で最高クラスの物がいい」

「キリトと同じこと言ってるし……短剣ってことはスピード系ってことよね」

「だな。アスナの剣みたいな」

 

 アスナの細剣「ランベントライト」もリズが打った自信作という話だ。とはいえ作るのなら相応にレアな金属が必要になる。

 

「そうね……物は試しってことで、これなんてどう?」

 

 そう言ってリズが店内の商品の中から取り出したのは、波打った刀身が特徴の白い短剣。

 

「攻撃力もあるし、何より敏捷補正が入るから。使ってみてもいいけど……どっかの誰かみたいにへし折ったりしないでよ」

「うぐっ……」

 

 ジロリ、と半眼で睨まれたキリトは後ろめたそうに後ずさる。それにシリカは苦笑いしつつ、リズから受け取った短剣を2度3度と振ってみた。

 

「どう?」

「あたしはこれでもいいと思いますけど……」

「けどせっかくなら、やっぱいい奴がいいよな」

「何よ。これだって立派にいい奴よ?」

「それは分かるけど……なんて言うかなぁ。使うならやっぱり、長く使える奴がいいし……シリカも、遠慮しないでもっと言ってもいいぞ?」

「けど……」

「シリカが払うんじゃなくて、俺が払うんだから。もっとわがままに、貪欲に言ってくれても良いんだって」

「……ねえアスナ。ああ言ってるけど彼のお財布って大丈夫なの?」

「え? うーん……多分、大丈夫なんじゃない……かな?」

 

 おい、そこのひそひそ話しているようで話してない2人。聞こえてるからな。

 

「……今置いてあるの以外ってことになると、金属を取りに行くしかないわよ。クリスタライト・インゴットはパワー重視だし……となると、アレかしらね」

「心当たりがあるのか?」

「60層の火山深部に、レアな金属があるの。ただ、それを守っているサラマンダーが居て……」

「……また排泄物ってパターンじゃないよな?」

「さすがにない……わよ」

 

 自信なさ気なリズに、意味が分からないアスナとシリカは揃って首を傾げる。

 リズがキリトのために鍛えた剣、「ダークリパルサー」は55層にいる水晶を食らうドラゴンの排泄物……なんだよな。教えない方がこの2人にもいいだろう。

 

「じゃあ、そのサラマンダーのお宝とやらを奪うか……って行きたいところだけど、もう日が暮れるからなぁ」

「取りに行くのは明日ってことね」

「ああ……ってアスナ、お前も来るのか?」

「だって3人だけじゃ不安だもん。キリト君は?」

「俺? 俺は……」

 

 いきなり振られたキリトは一瞬どうしようかと考え込む。

 ……そう言えば、今更だけどキリトってリズの鍛えた自信作壊したんだよな。

 

「なあキリト。お前リズの剣折ったって言ってたけど、弁償したのか?」

「あ」

「あ」

 

 ふとした疑問に固まるキリト。リズも思い出し、じっとキリトを見つめる。

 

「え、えーっと……」

「キリト君……まさか、無かったことにしよう……なんて、考えてないよね?」

「考えてない! 考えてない! それは断じて! 決して!」

 

 ゴゴゴ…と静かにかつて「攻略の鬼」と恐れられていたオーラを出しながら言ったアスナに、キリトはおびえながら全力で首を振る。……忘れてただろ、俺が言うまで完全に。

 

「キリトさん……」

 

 そこへさらにシリカの失望するような眼差し。俺も呆れた視線をキリトに送り、4人の視線にキリトの心のHPはガリガリ削られている。

 

「……仕方ないわねぇ。じゃあこうするわ。キリトも金属取りに行くのを手伝うの。それで弁償はチャラにしてあげる」

「喜んで手伝わせていただきます」

「(日和った)」

「(日和ましたね)」

 

 2つ返事で同意したキリト。恐らく1番の決め手は怒ったアスナだろう。確かに怒ったアスナは逆らえないほどの迫力があるから、ここで断れる勇気のある奴は中々いない。

 

「ミスト君……今変なこと考えてなかった?」

「いえなにも」

 

 おまけに勘も鋭い。やっぱり敵に回したくはないなぁ。

 とまあこんな感じで、この日は明日の集合場所等を簡単に決めてお開きとなり、俺たちは各々帰路につくのだった。

 

 

 そして翌日。第60層溶岩地帯移動中。

 

「……アツイ」

 

 いざ来たものの、その暑さに全員が口を閉ざして歩いている。

 確かに昨日火山って言っていたけど……まさかここまで暑いとは。

 

「これは……さすがに堪えるな」

「考えてみたらあたしたち……雪山からあまり間を置かないでこんな熱いところに来たのよね……。現実世界なら確実に体壊してるわ」

 

 確かに間を置かないで危険地帯に2連続、なんてことは仮想現実でなければやれないだろうけど……しかしこれは。

 

「……アツイ」

「ミストさん……ずっと同じ台詞しか喋ってませんか?」

「仕方ないだろ……俺はお前たちみたいな軽装じゃないんだから」

「あー……確かに」

「この中だと唯一の重装だもんねぇ……しかもフル装備」

「しかも色まで赤だし……ますます暑く感じるわ」

 

 そういう設定なんだから仕方ないだろ! とリズに突っ込みたいのをぐっと堪える。

 しかしこのエリアはかなり厄介だ。ランダムで溶岩が流れている場所があるから普段ある道が塞がれていたり、当然触れればダメージも受ける。

 

「くっそ…クーラードリンクとかないのかよ。あればこの暑さもマシになるのに」

「あったら苦労しないさ……けど、ミストの次に暑いのは俺だよな」

「黒は熱を吸収するって奴だっけ……」

「あらぁ……? 雪山じゃ「鍛え方が違うからな」なんて言って涼しい顔してたのはどこの誰だったかしら?」

「あの時とは状況が違うだろ……」

 

 なんか、暑さが原因のせいか全員の機嫌が心なしか悪い。

 そんなタイミングで、格好の獲物がポップする。うねうねと黄色い触手をくねらせたぬめりのある赤い体表のローパー型モンスター《レッドローパー》。毒液も吐いてくるから要注意。

 

「「「うわぁ…」」」

 

 生理的に受け入れがたいモンスターに女子3人は明らかに引いている。はいはい、俺たちで駆除しますよと。

 

「俺前な」

「わかった」

 

 互いに剣を抜いて――キリトは相変わらず「エリュシデータ」を使っている――、盾で毒液を防げる事から俺が前に出る。まあ、キリトならこいつの攻撃を避けるなんて造作もないことだけど。

 左右から伸びる触手を剣で切り払いつつ、盾を正面に構えて毒液を防ぎながら突撃。間合いに入った瞬間、キリトが俺の頭上を飛んで《レッドローパー》の後ろを取ると、俺たちはすれ違いながら《レッドローパー》の胴を斬る。

 《レッドローパー》はあの独特の消滅音と共にポリゴンが砕け散り、俺たちは剣を鞘に収めた。

 

「……動くと余計暑さが増す」

「だな……」

 

 けど女性陣は戦闘に参加する気は……あまりないらしい。ボス戦のときはしっかり戦ってくれるんだよな? 信じてるよ?

 

「そう言えばここのエリア、特殊攻撃持ちのモンスターが多いんだったっけ?」

「ああ。さっきの《レッドローパー》もそうだし、あと2~3種類は特殊攻撃持ち……まあ、いわゆる状態異常攻撃をしてくる奴がいるな。解毒結晶かレジストが必須だ」

「……当たらなければいいんだよな、つまり」

「この地形でそれが出来るか……?」

「大丈夫だよ。ミスト君が引き付けて盾で防いでいる間に、私たちで叩けばいいんだから」

「そうそう。期待してるわね、この中で唯一の盾装備なんだから」

「ピナ、ミストさんが危なくなったら回復してあげてね?」

『きゅるるー♪』

「あれ。俺負担でかくないか?」

「頑張れミスト……やばくなる前に片付けるから」

 

 いや、頑張れって……そもそも今使っているのは防御範囲が狭い「デモンズ・クロー」だし。だったら範囲が広い「プロテクションエッジ」を使わないと俺が危ないじゃん!

 

「今ほど盾持ちが辛いと思った瞬間はないぞ、俺は」

「いやそもそも、それが盾持ちの本来の役割だろ。お前のやり方が特殊なんだよ」

 

 そう指摘されると返す言葉も出ないんだが……とにかく、盾を変更してと……。

 

「そもそもミストって、なんであんな盾を持ってたのよ? 普通盾って防御性能を重視するものでしょう? それもだけど、防御性能より攻撃を重視しているように見えるけど」

「俺のプレイスタイルだよ。詳しい話はNGな」

「ふぅん……(ねえ、大丈夫なの彼?)」

「(一時はあたしのレベリングを手伝うために前線を離れてましたけど……でも、ずっと一緒にいるあたしが保証しますよ)」

「(あれで攻撃と防御のどっちもやれるし、何度も一緒に戦ってきたから腕は大丈夫。キリト君もミスト君を信頼してるし)」

「(……ほんとかなぁ)」

 

 ……? なにやらリズが疑るような目を俺に向けているんだが。

 

「(なあキリト。なんか俺怪しまれてるんだけど)」

「(あー……リズ以外はお前が『変わった盾』を使う理由を知っているけど、リズは知らないからなぁ。だから本当に強いのかって疑われてるんじゃないか?)」

「(……なるほど)」

 

 確かに、かつての俺ならこんなハイスペック状態は宝の持ち腐れだっただろう。

 けれど今は違う。あれから必死に戦い抜いて今は胸を張って攻略組の一員と名乗れるんだ。

 前線行けばそこそこ注目されるんだけど、中層は……ああ、うん。別の意味で注目されるな。主に嫉妬の対象で。

 

「(じゃあ次、俺1人で片付けるか)」

「(そのほうが良さそうだな。この辺りの敵なら、特殊攻撃に気をつける程度で後はレベル的にも苦労しないし)」

 

 一応リズに俺の腕を見てもらおう。という事で、次に敵がポップしたら俺1人で片付けるという事に相成った。

 さぁて、何が出てくるやら……そう思いつつ先に進んでいくと、4体のモンスターがポップする。最初に戦った《レッドローパー》に火を吐くトカゲの《サラマンダー》、さらにコウモリの《フレイムバット》と大型のサソリ《ブラッドスコルピオン》……どれも状態異常攻撃持ちという厄介な性質を持つ奴らばかりだ。

 

「手伝うか?」

「いいって。当たらなきゃどうってことないし」

「体力優先のお前が言ってもなぁ」

 

 苦笑するキリトに問題ないと手を振りつつ、片手用直剣「マーヴェルエッジ」を抜いて盾を前方に構える。

 手始めに狩るのは……空を飛んですばしっこく動き回るコウモリかなっと!

 ターゲットを決めると、俺は迷わずモンスターたちに突っ込んでいく。《レッドローパー》の触手を潜り、《サラマンダー》を踏み台にして飛び越え、尾を伸ばしてきた《ブラッドスコルピオン》は尾を両断して使い物にならなくさせた。その上で滞空したまま、左腕を構えると盾がライトエフェクトに包まれ、タイミングを合わせてソードスキル【ソニック・リープ】を発動。打ち下ろすようなモーションとともに《フレイムバット》を鋭い先端を打ち込み、諸共落下して貫通させるとポリゴンが砕け散る。

 残りは3――だが着地するころには既に次のソードスキルの準備が整っていた。

 【ソニック・リープ】の硬直を十八番の3連撃ソードスキル【シャープネイル】で《レッドローパー》を斬り刻みながらキャンセルし、硬直が解けたと同時に離脱。

 一旦距離をとって態勢を立て直すと、残りの《サラマンダー》と《ブラッドスコルピオン》の位置を調整しながらさらにソードスキルの発動を試みる。無論、全力は出さないで流す程度で戦っているんだが。

 

「せいやー!」

 

 ジェットエンジンのような効果音と共に盾と剣を突き出し、【ヴォーパル・ストライク】によって進路上にいた《サラマンダー》と《ブラッドスコルピオン》は見事に巻き込まれてボーリングのピンのように吹っ飛び、そのままポリゴンが砕け散って消滅した。

 うん、まあ流す程度だしこれくらいでもいいだろう。自己採点をしつつ、ドロップしたアイテムを確認すると剣を収める。

 振り返ってみれば、「まあ、この程度当然」みたいに納得しているキリト、アスナ、シリカの3人と、「うっそー……」みたいな感じでぽかんとしているリズがいた。

 

「少しは認めてくれたか? 俺の腕前」

「盾でソードスキル……《盾剣技》って呼ばれるエクストラスキルがちょっと前に発見された、って聞いた事はあったけど……」

「ミストさんは確認された最初の《盾剣技》使いなんですよ」

 

 信じられないようなものを見ているようなリズに、シリカは自分のことのように胸を張る。パートナーを認められて嬉しいのだろうけど、シリカだって今じゃ肩書きではなく立派な《竜使い》だ。シリカが注目されてくれれば俺も自分のことみたいに誇らしく思えるし。

 

「じゃ、リズがミストの実力を理解してもらえた所で、さっさと奥に進むか」

「余計暑くなるんだろうが……これもシリカの新しい武器のためだし、気合入れていくか」

「おっ、シリカちゃんのために頑張るミスト君カッコいいねー」

「ア、アスナさん! 何言ってるんですかっ!」

「(バカップル達ね。完全に)」

「ん…? なんだよリズ――な、なんでいきなりわき腹に肘鉄をあたっ! なんで無言!? 何か言えって!」

「贅沢言わないの。ロリコン」

「なして!?」

 

 何でか知らないが、リズから執拗に脇腹に肘打たれ続けた……なして?

 

 

「ここが最深部か……?」

「みたいだな……」

 

 目的のダンジョンにたどり着き、マッピングもこなしながら俺たちはダンジョンの奥深くへと進み、ドーム上の開けた空間にたどり着いた。

 周囲は常に溶岩が流れ込んでいて、落ちたら即終わり……かなり危ないな。

 

「けど目的の獲物は……見当たらないよ?」

「《サラマンダー》なんですよね。ここに来る途中にも何度かポップしましたけど」

 

 確かに普通の《サラマンダー》は倒したが……普通に考えるとその親玉みたいな奴ってことだろう。けど、ここにいないってことは他に出現条件があるのか……?

 

「規定数の《サラマンダー》を倒す必要があったのか?」

「ないとは言い切れないけど……クエストを受けたわけでもし」

 

 言いつつキリトは周囲を見回す。

 めぼしい物は何も見当たらない……他に条件があるのか、あるいは道を間違えたか?

 

「一旦引き返すか?」

『きゅるる?』

「ピナ?」

 

 俺が言ったまさにその時、ピナが何かの気配を察知し、気づいたシリカが声を掛ける。

 ピナの索敵スキルはかなり高い。キリトほどとは言わないが、安全マージン圏内のモンスターなら接近した時にすぐ気づく。

 そしてキリトも何かの気配に気づき、手を剣の柄に掛けながら警戒していた。

 

「気をつけろ……何かいる」

「…………!」

 

 その真剣な口調から事態の重さが読み取れた。俺たちはすぐに身構え、周囲を警戒する。

 ――そして、それは姿を現した。

 

「マジかよ……」

 

 さすがに俺も驚きを隠せなかった。

 何故なら溶岩の中からゆっくりとモンスターが姿を見せ、オレンジの双眸を俺たちに向けてきたのだから。

 そして、右上に表示される5本のHPバー。それは間違いなくフィールドボスと言う事を意味している。

 名前は《インフェルノ・サラマンダーロード》……間違いない、こいつが話に出たモンスターか!

 

「サ、《サラマンダー》ってあのトカゲみたいな姿じゃなかったんですか!?」

「確か伝承にでてくるファイヤー・ドレイクって言うドラゴンかヘビと同一視されてる…って、何かで見たことがあるな……空を飛んで口から火を吐き、洞窟や火山に棲んでいるらしい」

「まさに伝承どおりってワケね……」

 

 何かの本で読んだ時の記憶を頼りにしてみるが、なるほど。リズの言うとおり伝承に沿っている。ヒースクリフも味な真似をする。

 

「なら、あのモンスターを倒せばレアアイテムがゲットできるってわけだね」

「ってことだな。っし! 絶対倒す!」

 

 気合を入れ直し、俺は剣を抜き放つ。

 ズンッ、と重たい足取りで《インフェルノ・サラマンダーロード》は足場に降り立った。

 改めてみるとやはりボスだけあってかなりデカイ。灼熱の炎を帯びる溶岩をあちこちに纏い、翼を広げた姿は重厚な鎧を帯びたドラゴンのようだ。

 

『グオオオオッ!!!』

 

 《インフェルノ・サラマンダーロード》が咆哮する。それを皮切りに俺とキリト、アスナが先陣を切った。

 

「まずは手足を切断して機動力を奪う!」

「了解!」

「分かったわ!」

 

 キリトの指示に俺とアスナが応じ、素早く連携を取る。

 先んじてアスナが素早く潜り込んで顎を掬い上げるようにレイピアで突き上げる。仰け反ったところへ俺が盾で突き、剣で薙ぎ、さらには回し蹴りの3連撃を浴びせて怯ませた間に、キリトがソードスキルの発動体制に入っていた。

 

「はっ!――っ!?」

 

 水平斬りの4連撃――【ホリゾンタル・スクエア】が放たれるが、あろうことかその刃が弾き返されてしまう。

 目を剥くキリト。だがその目に冷えて固まった溶岩が入り込んだ。

 

「溶岩の鎧……っ!」

 

 まさか本当に溶岩を鎧にしているとは……その前肢が迷うことなく振り下ろされるが、キリトは瞬時にステップして回避する。

 

「プラン変更か!?」

「そうなるな…! 溶岩が柔らかかったらまだしも、今の状態じゃ剣じゃ通りにくい!」

「なら打撃武器が……」

 

 アスナが言い掛け、ふと後ろに目をやった。

 このパーティーは基本的に剣がメインで、そうなると属性も斬か突きになる。俺とキリトは《体術》スキルでどうにかできなくもないが、効率が悪い。

 そうなると、今この場で唯一の打撃武器持ちにスポットライトが当たるわけで――

 

「え……あ、あたし?」

 

 自分も戦おうと踏み出そうとしたリズだったが、突然注目されて踏みとどまり困惑した。

 いきなり重要な役目を任されれば、当然戸惑うよな……っと!

 

「っぶねぇ!」

 

 尻尾が振り回されたのを飛んで凌ぎ、着地して噛みつかれそうになった所をキリトが側面から斬りつけて牽制する。

 

「助かる!」

「気にするな! リズ、俺とアスナで足止めするから、ミストとシリカの3人でどうにか壊してくれっ!」

「わ……分かったわ!」

「シリカ、お前はリズのバックアップを! 俺はディフェンスに回る!」

「はいっ!」

 

 俺のスタイルが特殊なだけであって、盾持ちの本来の役割は味方の壁になること。特にボス戦なら味方への被害を抑える事に繋がる。

 自身の攻撃速度低下を代償としてパーティーメンバーの防御力を一定時間上昇する【ディフェンスコール】を発動し、おまけに俺自身にターゲットを捉えさせる【シールドバッシング】も発動させて『インフェルノ・サラマンダーロード』を誘う。

 打ち鳴らした盾の音に『インフェルノ・サラマンダーロード』の注意が俺に向いた。

 

「今だ!」

 

 俺の合図にシリカとリズが走る。その間にも俺は攻撃に晒されるが、連続ステップで回避。薙がれた前肢を盾で受け止めると、すかさずキリトとアスナが息の合ったコンビネーションで『インフェルノ・サラマンダーロード』を怯ませる。

 相変わらず息の合ったコンビだ。おまけに個人の能力もトップレベル。こんな2人と仲良くなれて本当心強い。

 硬直している『インフェルノ・サラマンダーロード』の右前肢を覆う岩石を砕こうと、リズが片手棍の垂直単発ソードスキル『パワー・ストライク』を叩き込む。

 痛烈な1発が間違いなく岩の鎧を砕き、本来の甲殻を露にさせる。

 

「スイッチ!」

「はいっ! やぁぁっ!」

 

 すかさずリズとスイッチしたシリカが【ファッドエッジ】で露出した前肢を突き刺し、硬直が解けた瞬間さらに【アーマーピアス】を叩き込む。

 

 

「キリトさん、お願いします!」

「任せろ!」

 

 さらにキリトへ繋げると、右前肢に垂直4連撃ソードスキル【バーチカル・スクエア】を放った。手首、肘、肩と的確に関節を狙い、『インフェルノ・サラマンダーロード』の右前肢を斬り刻む。

 だが相手は四足歩行生物。手足の1本を叩き斬っても行動に支障はない。

 おまけに、相手はドラゴンと同一――空だって飛べる。

 翼を羽ばたかせ、『インフェルノ・サラマンダーロード』が飛翔する。そしてその口から微かな炎と真紅の閃光が溢れた。

 

「ブレスだ! 下がれ!」

 

 その予備動作に気づいた俺は、言いつつ盾を構えようとし――だが直感的に横に飛び込むようにして範囲外へ逃れる。

 閃光。『インフェルノ・サラマンダーロード』から放たれたのは放射状のブレスでも火球でもなく、一条の光線だった。

 発射された光線は大地をウォーターカッターで切断したかのように切り裂き、そのまま首を上へと上げれば天井も一筋の溝を作り上げる。

 文字通り間一髪だった……無理に受けようとしていたら間違いなくあれに切断されていた。

 

「ド……ドラゴンがビームを発射するってどういうことよ!?」

「バサルかグラビ、あるいはアグナかよ……」

 

 某モンスターをハンターするゲームで出たドラゴンの姿を思い浮かべながら、俺はリズの突っ込みに対してそんな感想を言った。ヒースクリフならきっと防ぐんだろうなぁ……マジ《神聖剣》鬼防御。

 

「厄介だな……」

 

 空を飛ぶ『インフェルノ・サラマンダーロード』を見上げ、キリトが呟く。助走をつけて飛べば届かない距離ではないが、下手に飛べば溶岩に落下してしまう恐れがある。

 

「ピックやチャクラム投げても痛くも痒くもないだろうな」

「場所が悪すぎるんだよね。閉所で外周は即死エリアなんて……。向こうは飛び回れるのに」

「攻めあぐねるってのはまさにこのことよね」

 

 アスナに同調するようにメイスを担ぎながらリズが呟いた。

 『インフェルノ・サラマンダーロード』はフィールドを周回しつつ、最初に放ったものに比べればまだまだ弱い(それでも直撃すれば致命傷だが)ブレスを撃ってきて、俺たちはばらばらになって散る。

 ……このブレス、地味に厄介だな。地形を変形させる特殊効果でもあるのか、出来た溝に溶岩が流れ込んできて足場が徐々に削られていく。

 

「……キリト。相当無茶な案だが攻略法が2つほど浮かんだ」

「なんだよ」

「1つは誰か1人が囮になって、注意を引きつけた所で残りが集中攻撃」

「めちゃくちゃ危ないじゃないか……」

「もう1つはあいつに飛び乗って強引に叩き落す」

「もう少しまともな攻略思いつかなかったのか?」

 

 やや半眼気味に突っ込みを入れてくるキリトに、俺は苦笑いを浮かべた。

 だって仕方ないじゃないか。空を飛べるなら空中戦するけど、SAOには無いんだし。

 

「2つを合わせる……って第3のプランも用意されてるけどな」

「今考えただろう、それ」

「じゃあどうするよ?」

「……3かな」

「決まりだな」

 

 となるとポジションは……まず囮兼攻撃受け止める役が俺。パワーのあるリズとキリトはサイドから、あと正面と飛び乗り役は……」

 

「あたしが行きますっ!」

「シリカ。行けるのか」

「大丈夫です! この中だと、あたしが敏捷高いですし」

 

 確かにシリカは装備の関係でレイピアを使うアスナよりも敏捷値は上だ。おまけに器用さも匹敵する。けどこの分担の中じゃ、囮に次いで危険だ。心情的にはダメだと言いたいが……。

 

「お願いします、ミストさん!」

 

 目を見れば、どれだけ本気なのか分かる。ならきっとやってくれるはずだ。

 

「……頼む」

「はいっ! キリトさん、すみませんが踏み台になってくれませんか?」

「分かった!」

「アスナは俺の後方、リズは左側面に回りこめ! タゲはこっちで取る!」

「頼んだわよ!」

 

 瞬時にそれぞれ持ち場に着く俺たち。

 一方でシリカはキリトからやや距離を置いて向かい合う形になり、タイミングを計っている。

 

「あんまり無茶したらダメだよ、ミスト君?」

「ここで無茶しなきゃ男が廃るだろうに……っしゃぁ来いトカゲー!」

 

 ガンガンと剣で盾を打ち鳴らして注意をこちらに向けさせ、タゲを俺に設定させる。後ろにはアスナもいるし、間違っても怪我させればキリトとリズからフルボッコされかねな……あれ。俺実際の役割以上に重大じゃね?

 

「ってアスナさん? ちょっと近すぎやしませんか?」

「だってブレスに巻き込まれたくないし……大丈夫、私の敏捷はシリカちゃんの次に高いから、何かあればすぐに逃げられるよ」

「そこに俺もついでという選択肢はないんでしょうねぇ……!」

 

 なんてひどい。悲しみのあまりスーパー○イヤ人に……は、なりたくないなぁ。まさかユニークスキルに入ってないよなヒースクリフ?

 

「いいから、来るよ!」

「うおおっ!?」

 

 アスナに指摘されてみると、『インフェルノ・サラマンダーロード』は空中に留まって力を溜めているような動作に入る。間違いなくブレスが来る。

 

「――行きますっ!」

 

 だが動きを止めたと言うのはこちらにとってもチャンスだ。ピナを従え、シリカが全力でキリトへと走る。キリトは浅く腰を落とし、両手を上に向けて重ねて、走ってきたシリカを――重ねてきた手へ足が乗った瞬間、思いっきり上へ押し上げた。

 

「いっけえええっ!!」

 

 吠えたキリト。その声に気づいた『インフェルノ・サラマンダーロード』がそちらへ目を向けた時、空に飛翔するするシリカが視界に入り込む。

 

「ピナ!」

『きゅい!』

 

 少しだが、届かない。しかしシリカには空を飛ぶパートナーがいた。

 シリカの襟を銜えたピナが、最後のダメ押しに羽ばたくと、シリカは『インフェルノ・サラマンダーロード』の背中を捉える。

 

「やぁぁっ!!!」

 

 手にした短剣がライトエフェクトの輝きを放ち、シリカは落下の勢いを利用しながら【ラピッド・バイト】を繰り出した。

 突き刺さる鋼の刃。ブレスの発射体制に入っていた『インフェルノ・サラマンダーロード』には反撃の手段がない。そもそも背中に乗られればやりたい放題嬲られるだけ。

 

「っ! こ…のぉっ!!!」

 

 悲鳴を上げて背中に張り付くシリカを振り落とそうとするが、シリカは必死に逸れに抗いしがみつく。

 おまけにダメ押しにダメ押しを重ね、重攻撃ソードスキル【インフィニット】をその背中に叩き込んだ。

 

『グオオオオオッッ!!!!』

 

 吠えた『インフェルノ・サラマンダーロード』が、力を失い地上に落ちる。落ちる直前にシリカは離脱し、タイミングを狙ってキリトとリズが両サイドから走っていた。

 

「おおおぉぉっ!」

「でぇぇりゃああああっ!!!」

 

 共に武器がライトエフェクトで輝き、重攻撃ソードスキル【メテオ・ブレイク】、【トリニティ・アーツ】が炸裂する。

 地面を滑りながらも、なおも正面にいた俺を噛み砕こうとその口を開けるが、その口に俺は盾を突っ込ませて黙らせた。

 

「アスナ!」

 

 更に追撃に、距離をとって助走距離をつけたアスナが、まるで彗星の如く全身から光を発しながら突進。その手に持った「ランベントライト」を突き出す。

 細剣最上位剣技、【フラッシング・ペネトレイター】。「閃光」の異名を持つアスナの最強技が放たれ、俺のすぐ横を視認不可能な速度ですれ違い、『インフェルノ・サラマンダーロード』の体を腹から尻尾へと貫通していく。

 

「スイッチ!」

「だ――ぁりゃああああっ!!!」

 

 更に更に畳み掛けるように俺の追撃。盾と剣がそれぞれ光りだし、先に剣の技が炸裂する。

 逆袈裟2連。更に突き、垂直に斬りつけ――1回転から勢いを乗せた一撃を、その体に叩き込む。

 アスナが放った【フラッシング・ペネトレイター】と同じく、片手剣最上位剣技、【ファントム・レイブ】……その威力は最上位だけあって下位剣技とは比べ物にならない。

 

「オ・マ・ケ・だぁぁっ!!!」

 

 だがそれだけに留まらず――赤く光を放っていた盾に力を込めて、思いっきり差し込んだ。

 片手剣重単発攻撃ソードスキル【ヴォーパル・ストライク】。ジェットエンジンのような音と共に力任せに『インフェルノ・サラマンダーロード』の体を貫いていき、赤いポリゴンエフェクトが舞い散る。

 突き抜けた俺はアスナの隣に着地し、まだ辛うじて生き残っている『インフェルノ・サラマンダーロード』へトドメを刺すべく、最後の1人の名を叫んだ。

 

「シリカ! スイッチ!!!」

「――はいっ!」

 

 走って勢いをつけたシリカが、短剣を逆手に構え跳躍する。

 そしてその身を捻って、さながら小型の竜巻のように回転しながら何度も『インフェルノ・サラマンダーロード』の背中を切り刻んだ。

 短剣最上位剣技【エターナル・サイクロン】。その名の如く竜巻のように回転して瞬時に多数の斬撃を叩き込むと言う、短剣の真骨頂とも呼べる奥義。

 その連撃が残り数ミリの体力ゲージを一気に削り取り、『インフェルノ・サラマンダーロード』は痙攣して――無数のポリゴンの欠片となって崩壊する。

 

「……………」

 

 俺たちは顔を見合わせ、そして――

 

「「「「「やったー!」」」」」

『きゅるるー♪』

 

 互いにハイタッチを交わしたのだった。

 

 

「いやー、一時はどうなる事かと思ったよ」

「まったくよ。キリトの剣が弾かれた時は目を疑ったわ」

「し、仕方ないだろ。俺の筋力値でもあれを一撃では壊せないんだから」

 

 無事に戦闘が終わり、ほっと安堵の色を浮かべるキリトたち。で、俺のほうは――

 

「やりましたっ、やりましたよミストさん! ラストアタックボーナスできました!」

「お、おお。おめでとう」

 

 初のラストアタックボーナスを達成して嬉しさのあまり舞い上がって、俺の腕に抱きつきながらぴょんぴょん跳ねるシリカになんとかそう言う。

 確かに、ボス戦では威力が低い短剣でラストアタックボーナスをするのって難しいからな……リーチや威力を重視して槍や両手斧、片手剣とかがメインになりがちだし。ボス戦はシリカも機動力を活かした撹乱って補助ポジションだから、当然狙いに行きにくいんだが……いやはや、今回はたいしたもんだ。

 

「こらこら、そこのシスコンブラコンの2人ー。いつまでもいちゃついてんじゃないわよ」

「シスコッ!?」

「ブラコッ!?」

 

 俺たちの様子を見てからかうように言ってきたリズに、互いに軽くショックを受ける。おい、そこの夫婦笑ってるなよ!

 

「じゃあなに? バカップルって言う方がいいの?」

「カッ……いやその前にバカってついてるじゃねぇか!」

「違うって言うなら反論してみなさいよー」

 

 うりうりー、と肘で俺のわき腹をぐりぐりしてくるリズに反論できない俺。傍目には見えるかもしれないんですが、まだ告白もしてないしされてもないんですよ、俺たち!……それなのにこの距離感っておかしいんじゃね? とは思わなくもないけど。

 そもそも告白ってなんだ、告白って……いや、されれば嬉しいけどさぁ。

 

「こぉら、リズ! まだ全部終わってないでしょ?」

「ああ、そう言えばそうだったわね……で、問題のお宝はどこかしら――」

 

 リズがそう言った直後、地鳴りと振動と共に溶岩の中から岩がせり上がってくる。

 その岩は中ほどに空洞が出来ており、そこにはルビーのような赤い金属が転がっていた。

 

「これが……例の金属なのか?」

 

 取り上げたキリトは、タップして金属の情報を表示する。

 

「えーっと……名称はルビーブラッド・チタニウム……チタニウムってチタンかな?」

「確か強度と軽さ・耐食性と耐熱性が特徴だよね」

 

 詳しいなアスナ……そう言えばお嬢様だって話だったけど、それでたまたま知っていたのだろうか?

 

「まあ現実のチタンと同じってわけでもないでしょうけど、ひとまず目的の品は手に入れたわけだし、早いところこんな暑苦しいところから引き上げましょうよ」

「だな」

 

 リズの意見には全員賛成。ひとまず金属は俺が預かり、一同は来た道を戻って外に脱出する。

 長かったなぁ……まあ、まだやる事はあるけど、少し休憩挟みたい。

 

「そう言えばここの主街区、温泉街でしたよね」

「温泉……じゃあ「リンダース」に戻る前に寄って行こうよ」

「賛成ー! さすがに汗流さないと仕事する気にならないわよ」

「「ええぇっ!?」」

 

 何故そこで温泉イベント発生するんすか!? 前準備も何もしてないから俺もキリトもビックリ仰天してますけど!

 

「なに? 何か文句あるの?」

「い、いえ……」

「文句なんてありません、はい……」

 

 女子3人からの不機嫌オーラに、俺とキリトは一言も反論できずに引き下がってしまう。

 もちろん男女別だよなと尋ねたら、「当然でしょ」と若干軽蔑気味の目で見られ俺は軽く凹んだ。だって仕方ないだろぉ……! こういうのはきちんと確認取らなきゃ!

 もちろん覗くつもりなんて微塵にもないんだが、女子たちは分かってくれているのかいないのか若干冷たい。そんな俺を哀れんで、キリトは何も言わずただ肩を叩いた。

 

 

「ったくもう。ほんっとに男子って分かりやすいわよね」

 

 まだミストさんの発言に怒っているのか、リズさんは頬を膨らませていた。

 あれからあたしたちは街に戻り、女子はお風呂に、男子は……なんだか適当に時間を潰すと言って別れて、あたしとアスナさん、リズさんは露天風呂に入っている。

 

「でも、ミストさん下心あったわけじゃないと思いますけど……」

「そうだよね。もしも覗いていたら……問答無用で突いていたし」

 

 ……アスナさん、笑顔で怖いこと言わないでください。

 でも、ミストさんもキリトさんもそういうことする人じゃないし……多分大丈夫だと思うけど。

 

「随分とあの2人に肩持つわよねー……2人って」

「えっ……そ、そう?」

「ああ、あたしはそんな、別に……」

 

 ぢとー、と少し妬みも混じったような目を向けられ、あたしもアスナさんもちょっと動揺する。

 

「そんな反応してもバレバレよ。好きなんでしょ? アスナはキリト、シリカはミストが」

「「うっ……」」

 

 やっぱりばれてた……分かりやすすぎたかなぁ。

 

「ア、アスナさんの方はどうなんですか? 最近キリトさんとよく会うって聞きますけど」

「ええっ!? ま、まあ会うといえば会うけど、別に大したことは何もしてないよ。シリカちゃんはどうなの? 私の方より一緒の時間が多いでしょ?」

「そ、それは……まあ、そうですけど。でも特に何があったわけでもないですし……」

「あんたたちねぇ……もうちょっとこう、ぐいぐい押せないわけ?」

「押すなんて……そんなこと」

「別に今のままでも良いかなぁ……なんて」

「アスナ。それじゃあキリト他に盗られるわよ」

「そ、そんなことないよっ!?」

「どうかしらねぇ……」

 

 確かにそれだとキリトさん、他の女の子と付き合いそうな気がするかも……キリトさんって結構女の人に好かれるし。

 逆にミストさんはそんなこと無さそうだけど「シリカはそのままじゃ一生進まないわね」――ってええぇっ!?

 

「だってそうでしょ? どう見ても兄妹みたいじゃない。もしくは歳の離れた幼馴染」

「うっ……否定できない」

「シリカちゃんの場合は、ミスト君が尻込みしている風に見えるけど……」

 

 そう。あれで結構ミストさんは奥手と言うか……。

 

「言っちゃえばヘタレよね」

「リズ……」

 

 バッサリ切り捨てたリズさんには返す言葉もない。実際、その通りだからなんとも……。

 

「まあ、どっちが先かって言われたらシリカたちのほうが先にくっつきそうじゃないの? アスナ、ぼやぼやしてると置いてかれちゃうわよ?」

「置いてかれるってそんな……べ、別に競ってるわけじゃないってば!」

「ほっほーう?」

 

 リズさん、ほとんどからかってるなぁ。だって楽しそうだもん。

 けど、あたしもどうしよう。ミストさんに……や、やっぱり告白とか。

 

「……………」

 

 そう考えたら、この間の夢の事を思い出して顔が赤くなる。そうしたら夢の中でしたことも出来るようになるかな。

 

「シリカ、聞いてるの?」

「ひゃいっ!?」

「その反応は聞いていなかったわね……シリカの場合、もっとぐいぐい押さなきゃダメよ。ミストから何か聞いてないの? 好きなタイプとか」

「タイプ……ですか。料理が出来る子が良いみたいですけど」

「ふむふむ。テンプレだけど悪くはないわね。じゃあ手作りの料理とかご馳走してあげればいいんじゃない?」

「でも……あたし、あんまり料理スキル上げてませんし」

「なら私が教えてあげようか?」

「ほんとですか!?」

 

 願ってもない誘いに驚いてあたしはアスナさんを見た。むしろあたしの方から頼み込みたかったし。

 

「まあ、ほら。似たような人を好きになったから……ね? お互い応援を込めてと言うか、協力していこうと言うか……」

「あ……ありがとうございますっ! アスナさん!!」

 

 嬉しさのあまりあたしはアスナさんに抱きつく。

 いきなり抱きつかれたアスナさんは目を丸くし、困ったようにリズさんに目を向けると苦笑いされた。

 

 

 いっぽーそのころー。

 

「「ぼー……」」

『きゅー』

 

 特にやる事もない俺とキリト、そして俺の頭の上に乗ったピナは、何をするでもなく広場のベンチに座ってただボーっとしていたりするのは、まあ別の話。




 何気にSAOの戦闘描写は自分には微妙に難しいとボス戦で思い至りました。なんというか、言葉にし辛いけど合わないというのだろうか。それとも主人公の戦闘スタイルが単に自分の肌と合わないからか(えぇー
 さりげなく盾持ち片手剣の正統派スタイルは書くのが初めてと気づき、「盾邪魔だなぁ」と思いながらひぃひぃ泣きつつ書いてました。……正統派という割には変則だけど。(爆
 あと、シリカを目立たせたいなぁと思ってちょっと戦闘面で頑張ってもらったり。滑空はALOでのシリカ&ピナをヒントにしてます。滑空時間はほんの数秒ですが、おかげで大活躍できたかなと。
 そんなこんなで次回はシリカの新武器やらなにやらのイベントを消化しつつラスボスが顔見せ。そのまま正体看破……はせずにさぐりあい程度で、がんばってシリカとくっつける(爆
 ですけど前書きで書いた作品を先に投稿しようかと。色々やりたい放題やったが後悔はあまりしてない。

 それと最後に、こんな駄作でも読んでくれていた皆様、長らくお待たせしてほんっとすいませんでしたァァッ!
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