ノーステフ・ノーライフ   作:sayutan

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0巻
プロローグは語りたい


「あー、ステフを幸せにしてぇ。」

 

 そう思わね?いや、作品中ではものすごく活躍(?)してるしギャグキャラとしては申し分ないと思うよ?ゲームが上手くない人類種(イマニティ)としての役も、サポート役としての見せ場も十分にある。そういう役柄で、空への片思いが続く状態であれば、作者的にも読者的にも、もっと踏み込んでみれば作品の登場人物にとってすら都合のいいことなのかもしれない。

 

 

 

 だがしかし、故に、満を持して答えよう。

 

 

 

「もう少し報われてもいいと思うんですが画面の前の皆様どう思いますかねんん~っ!?」

 

 

 

 と、自分勝手なエゴを、誰も反応しないであろうPCスクリーンに返事を求める大学生童貞二十歳の拗らせメガネは問う。彼はラノベ『ノーゲーム・ノーライフ』のヒロインの一人である“ステファニー・ドーラ”という女性に淡い恋心を抱いてしまった。よくある“○○は俺の嫁!”みたいな状態である。

 

「あ~。俺があっちの世界に行ってたら、ステフの話し相手になったり、仕事のお手伝いとかしちゃって、空なんかよりもっと幸せにできてんじゃないのかね~。」

 

 こんな妄想をするのは、二次元に嫁を持つ皆様方なら一度はあるだろう。そう、嫁とこんな出会い方をして~こんなことして~ムフフなこともしちゃったりして~…とかなんとかね。ご都合主義満点で甘々な生活を送る。まったく素晴らしいことではないか!おーい!だれかブラックコーヒー持ってきてー!とびっきり苦いやつー!!

 

…けれど、それは結局叶わない。なぜなら私たちは違う次元に生きているからだ。いや、そもそもそのような存在が幻想にすぎない。人間が作り上げた虚構にすぎないのだから。小説だろうとアニメだろうと映画だろうと漫画だろうとVRだろうと…

 

ゲームだろうと、結局リアルでは体験できないのである。

 

 ああっ!でもそんなに肩を落とすことはないじゃないか!全くもって断じて、そんながっかりする必要ないじゃないか!むしろ私たちは幸運であるといえるだろう!今やこんな虚構にまみれた世界を大部分の人が受け入れ共有し、新たな世界を創造していっている。共有した分だけ楽しくご都合で飽きることのない没入感を、一生かかってもつかめないような大量の快楽情報を得れる時代になったではないか!ああ、素晴らしきかなわれらが人類は!なんと愚かしく、それでいて賢しい想像を創造する者たちよ!ああ、この時代に生まれてよかったーっ!

 

 そう、現実から目をそらし続けながら、今日を生きる彼は苦笑いを無意識に作りながら、虚構の世界へと浸水していくのであった。

 

―さて、普段ならこんな一幕は誰の興味も引かず、無慈悲に時を刻む針に置いてけぼりにされ、風化してしまう一幕だろう。だがここで、テンプレになってしまった異世界転生小説の常套句を引用して新たな幕開けとしよう。差し当たってこうつづるとしよう。

 

―汝、健やかなるときも病めるときも、富める時も、貧しき時も、己の嫁を敬い、愛し、一日一度は脳内で妄想し、家族兄弟クラスメイトの暖かい視線に屈することなく、堂々とにやけ顔をさらし、その命のかぎり、嫁に幸せを与えることを誓いますか?誓いますか?誓えますかーっ!!?―

 

ここに新たな二次創作が誕生した―

 

―世にステフの有らんことを―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―もし?―

 

 ん?誰だ?

 

―あなたの心に“愛”はあるんか?―

 

 いきなり何聞いてやがる?…だが答えはもうとっくに決まっている。

 

「ステフへの奉仕愛が、この俺の胸にしかとあるぞっ!」

 

―…そうですか。ならばその愛。最後まで貫けるのか、見届けさせてみよ。―

 

 その声が聞こえた瞬間、あたりを闇が覆った。だが少しも恐怖を感じない。むしろどこか心地よい感覚にとらわれ、意識が空間へ溶けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見慣れない天井だ。

 

 そこは日本の木造家屋を少し古くしたような感じの~その~なんだ。まだ技術が発展しきっていないような雰囲気を醸し出している。そんな感じの天井。明らかに俺の部屋ではないことは確かだ。なぜなら俺の部屋の天井にはステフの満面の笑みがプリントアウトされたポスターが貼ってあるからだ。いや、こう言ってなんだがこれくらいは“嫁”とよんでいるキャラクターのポスターを天井に貼り、寝覚めを最高のものにしたいと思っている俺は異常でないはずだ。断じてな!

 

…とは言えホントここどこだ?変な夢見たのはかすかに覚えてはいるんだが、どんな内容かも覚えてないし、状況がさっぱり掴めん。というか体が動かしづらい。どうなってんのこれ?俺ってばこんな腕まるk…

 

「あら?起きたのシュウ?」

 

 は?シュウ?誰だ?そんなん知らんけど…って、声が出ない!!?

 

「ん?どうしたの?そんなにママの顔を見つめて~あ!お腹が空いたのね!いま用意するわ~ちょっと待っててね~♪」

 

 え?ママ?俺の母さんこんな若くねーし、つか誰だよこいつ?あとご飯くらいは自分で用意するから大丈b…

 

 と、体を起こして女性に抗議を持ち掛けようとして気づく。立てない。

 

 そこで気づく。今までの言葉、自分の身に起こていることを脳内で処理した結果導き出された答えは一つ。

 

俺、幼児化してるぅーーーーーー!!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???視点

 

「あっれー?なんかこっちの世界に部外者が入ってるんだけど、なんでこんなことしたのか教えてくれる?神霊種(オールドデウス)ちゃん?」

 

異世界転移を行った瞬間に現れた唯一神に少々面を食らった神霊種(オールドデウス)は、だが、予想していた通りの質問をしてきたことに安堵しこう答える。

 

「いえ、ただの暇つぶしです。私の信条と近しいものを持つ者をこちらに呼び出して観察しようとしているまでですわ。」

 

「へ~、てっきり僕は神霊種(オールドデウス)はみ~んな頭固くって無為なこと繰り返してるだけの種族とばかり思ってたんだけどさ、君みたいに面白いのもいるんだね♪」

 

「えぇ、でも彼をこの世界に引き留めるだけで私は精一杯なので今はあなたのお相手ができませんね。申し訳ございませんわ。」

 

「え~そんなこと言わずに少しは相手になってよ~6000年くらいまともなゲームしてなくて退屈してたのにさ~。」

 

「…代わりにと言っては何ですが、好敵手となりえるような存在をこの世界に引き入れてはいかがでしょう?私のように力をかけ続けなくても、この世界につなぐことはできるのでしょう?」

 

「ん~それは最後の手段にしようかな。僕の(たもと)まで来れるような種族はまだないけど、動き始めている勢力はあるからね。一種族でも欠けそうな状態だったら考えるかもね。」

 

「…フフッ。どうぞご自由に、唯一神様。」

 

「まったく、せっかく面白そうな“player”を見つけたのかと思ったのに。残念だなぁ。」

 

「そんなことを思っている唯一神様はさしづめ“prayer”でしょうか?」

 

「あははっ!言ってくれるね。確かにその通りなんだけど、それは僕のある一面でしかない。僕は僕に挑んでくれる者が現れるのを待つprayerであり、その者の挑戦を真剣に、最高に楽しむplayerであり、そのゲームルールを絶対のものとするGame Masterでもあるんだよ。ま、でもそれは君でもなりえたんだけどね。その分の期待が外れちゃって僕はすご~く残念だなぁ。」

 

そんな、ケロッと無邪気に、嘘ともとれるような笑顔を浮かべながら唯一神様は言った。

 

「ま、君の気まぐれに関しては今回は目をつむっておくよ。世界のルールに反してるわけでもないからさ。」

 

「そうですか。」

 

そういって唯一神様が虚空へと消えていった。

 

さて、私もこのまま眺めるだけでは面白くありませんね。こちらも筆を執ることにしましょう。せっかくの幕開けです。盛大に広げて見せましょうか。

 

 

 

 

 

―こんなお話をご存じだろうか―

 

 

 

 

 

と。

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