ノーステフ・ノーライフ   作:sayutan

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遺志を知る者の役目

 ご無沙汰してます。シュウです。

 

 ようやく最強ゲーマー『  (くうはく)』のご登場により、ステフは無事籠絡され、原作物語本編の口火が切って落とされました。王城にも無事招待され、今では本を読み漁っている最中にございます。

 

 やはり『  (くうはく)』と言うべきか。音は同じでも表記は違う言語をさらりと習得している様を見ると驚異的と言う他無いでしょう。私ですら、脳内に残っている日本語と折り合いをつけるのにどれ程時間がかかったことか。

 

「なあ、白?なんで漢字的言葉が会話に出てくるのに表記は全部日本語で言う平仮名なんだ?」

 

「....大人の、都合?」

 

「メタ的なことを言うんじゃありません。」

 

 そこは仕方ないでしょ。(いち)アニメに言語開発までやったら大変なことになるわ。あれでも十分なくらいよ?

 

「あぁ、そだ。執事さん。この世界の各種族の情勢を知りたいんだが....。」

 

「は。ではまず獣人種(ワービースト)から....」

 

「....じゃ、しろは、これを....」

 

「位階序列についてですね。簡潔に言えば魔法適正の....」

 

 いやー多いですわー質問が。異世界から来たんだとカミングアウトして読書に耽っていた二人は、うまく理解できないこの世界の常識をガンガン質問してくる。

 

 ジブリールの無理難題に比べたらこんなん屁でもないが、いかんせん量が多い。質より量とはこの事。やはりこの二人の状況対応力は、いざとなったら民族的狩りができるほどだからな。素晴らしきゲーマー魂の持ち主たちである。

 

 

 

 さて、ここで少し考えてみよう。

 

 なんで俺が二人の質問を聞いているんだと。

 

 なんでヒロインのステフ出さないんですかこの野郎とっ!

 

「あ、シュウ。お飲み物をお持ちしましたわ。」ガチャ

 

 あ、噂をすればなんとやらですね。

 

「さ、空と白もどうぞ。」

 

「お、サンキュ。」

 

「....ありがと....」

 

「どういたしましてですわ。」

 

「わざわざありがとうございます。私の役目なのに....。」

 

「い、いいんですの!私もあなたにこの二人を任せっきりですし...。」

 

「いえ、この見習い執事。基本的仕事をおろそかにしているのが恥ずかしゅうございます。」

 

「そ、その辺はほら、私がフォローを....。」

 

「いや、ステフのフォローだと、俺たちの質問に対してやけに曖昧に答えるから、本当かどうかいちいち判断しなきゃならんからな。」

 

「....情報は、正確な方が、いい....」

 

「なっ!?」

 

「だから執事のほうがいいと思ったんだよね~。本に載ってないことも良くいってくれるし。わかんないことはハッキリわからんと言ってくれるし。」

 

「....便利、で、使いやすい....」

 

「ーーーっ!!もう知らないですわ!!」バタン

 

「あー怒らせちゃったな。後でフォローしとくか?」

 

「....そうした方が、いい...」

 

「はぁ....」

 

 ん~。どうするか。確かにこの二人は速攻で国王になると同時に識者を求めていた節があったけれども、ここで俺かぁ...。

 

 原作ではステフの気持ちを汲んで二人の気持ちに多少なりとも火をつけて、国王になってやる宣言の感動的シーンなんだが....。ステフがまさかの退場。ここは流れにのって無難に過ごすかな...。

 

 

 

「なあ、執事さんさ。なんでここの執事になったの?」

 

 

 

(『なんで王になろうと思ったんだ?』的質問来たぁ!!?)

 

(くっ...殺s...じゃない!!な、なんとか言い分けを...)

 

 

 

「私の奉仕力が皆に認められ、最上の位置に来たと言えば?」

 

「前半の方はそうかも知らんが、後半は違うな。見習いレベルなら最近ここに仕えたってことだ。つまりこの情勢のなかで、王城に仕えたってことになる。普通なら、こんないつ潰れるか分からんとこに仕えたりしないだろ。」

 

「人手不足として無理矢理引っ張ってこられた可能性は?」

 

「可能性としちゃ無くはないが、さっきの理由と、ここで働いている奴等の表情見てたら、お前以外余裕があるってことが根拠かな。ま、鎌かけた感はあるけどな。」

 

「ご明察にございます。」

 

「おいおい。褒めるより質問に答えてくんねぇ?」

 

「では、あなたが予想する理由は?」

 

「端的に言うとスパイ。」

 

「....なるほど、参りましたね。」

 

「どう?正解?」

 

「まぁ、半分といっておきましょうか。」

 

「ほお?で、解説は頂けるのかな?」

 

「えぇ。まぁ。」

 

「私は執事採用の試験を受けてこの王城に潜入し、先王の行政を止めることが私の目的でした。」

 

「ほう....で?不正解の半分は?」

 

「スパイなら、先王亡き今、ここにいる必要はありません。先程申した通り、私の目的でここに来たのです。つまり単独犯ですね。つまり、自分の考えを途中で変えることもできたのです。」

 

「ふんふん。それで?」

 

「私は国王と話をするうちに、国王の本当の思惑に気付き、その壮大な行為に敬意を抱きここに仕えることに決めたのです。」

 

「ふ~ん。この次期国王選定戦の?」

 

「えぇ。そしてその先も。」

 

「なら教えてくんない?今後の行動の参考にするからさ。」

 

「....不躾ながら申し上げることはできません。」

 

「え?なんで?」

 

「先王の思惑を利用できる者は、人類最強のギャンブラーだけであり、そのような人物ならこんなこと言わずともわかるからです。」

 

「....ほー。つまりなんだ?俺たちを試すってことか?」

 

「失礼ながら....はい。」

 

「先王が行った行為の真意を汲み、それを成らせる者しか王になってはなりません。私と先王は、それを成らせるものが王になるか、滅亡の道に進むかの、大博打のゲームをしているのでございます。」

 

「...ははっ!楽しそうなゲームしてんじゃん!で?どっちに賭けてんの?」

 

「もちろん。成せる王が玉座につくほうに。」

 

「面白いな!俺もそのゲームに混ぜてくれよ。」

 

「もちろんです。では、どちらにお賭けに?」

 

「当然。俺たちが玉座に()()()よ。」

 

「....なるほど。では、白様は?」

 

「....()()に、同じっ!!」

 

タッタッタッ....

 

「し、失礼しますわ!」バァン

 

「今日の夕刻までに挑戦者が現れないと、あのクラミーって女性が国王になってしまいますわ!!」

 

「なあ、ステフ。」

 

「は、はい?」

 

「俺たちが王になるのと、そいつが王になるの...どっちに賭けるよ?」

 

「...。」

 

「決まってますわ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、執事さんさ、王の思惑以外のとこ、完全に嘘だったけど、騙せると思った?」

 

「いえ?全く。」

 

「教える気はないってことね。」

 

「教えるまでもないということです。」

 

「....なに?」

 

「でもこの答えは、空様より白様の方が早く回答にたどり着きそうですね。」

 

「な!?し、白がか!?」

 

「えぇ。」

 

「....ぅん....?」キョトン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら?新しい執事連れてどこへ行くのかしら?」

 

 そんな風に語りかけてきたのは黒い装束服を身に纏った少女。クラミー・ツェル。

 

 対するは....

 

「し、式典会場に決まってますわ!!」

 

 先頭を歩くステフとその後ろ、執事服の空とドレスを着た白だ。

 

「ふぅん。まだ負けを認められないのね。呆れたものだわ。」

 

「な、なんですって!!?」

 

「そ、それにしても...プククッ....あの執事、ごめんなさい失敗したみたいね....フフッ。」

 

「え?シュウのことですの?ごめんなさいって一体....?」

 

「あら?あの夜その執事が、夜空に向かって言ってたわよ?ごめんなさいの練習をね。」

 

「え?なんでそんな....あのときは私の方が....。」

 

「ま、あなたたちの関係なんてこれ以上は知らないし、口は出さないでおくわ。」

 

「そうそう。まだあの執事いるなら伝言頼めるかしら?」

 

「え?あ、はい。なんですの?」

 

「『あんたのおかげでバストがあの夜から1.5cm分大きくなった。本当にありがと。』ってね♪」

 

「....え!!?」

 

「は!?」

 

「....!?」

 

「あら?疑うの?気持ちはわかるけど本当よ。」

 

 そういって胸を張るクラミーの胸は....本当に、小さくわずかだが、注視しないと見逃してしまうのではないかと思うほど微量に膨らんでいる....かなぁ?という()()()()増量に成功している()()()

 

「地の文酷すぎない!!?もういいわ!!帰るっ!!」

 

 

 

(ほ、本当なんですの?)

 

(お、俺の脳内スカウターが壊れたというのか!?本当に増えてんぞ!?)

 

(....やっぱりしろも、毎日測るぅ!!!)

 

 去っていくクラミーに対して一人だけ壮大な決心を固めて、式典会場へ足を運ぶ三人であった。

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