ノーステフ・ノーライフ   作:sayutan

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在籍者(ジブリール)vs.挑戦者(『  』)

「なっ!?」

 

「....え?」

 

「シ、シュウ!?どうしてここに!?」

 

「いや~ホントにどうして呼んだのかにゃ~ジブにゃん?」(キレ顔)

 

「その呼び方はやめろと何度となく言っているのが分かりませんか猿頭?」(殺意の波動放つ笑顔)

 

「もうその顔は慣れたにゃ~!!そんなものではこのシュウは気圧されないにゃ~!!」(余裕の表情)

 

「....。」(無言の殺意)

 

「マジごめんなさい許してくださいなんでもはしないけどやれる範囲でやりますだから殺さないでぇ!!」(土下座)

 

「はあ....最初からそうしていればよいものを....。」(呆れ顔)

 

 と、目の前の茶番劇に呆気に取られていた三人は、ようやく目の前の状況を飲み込み口を開いた。

 

「え?なに?執事さんって天翼種(フリューゲル)の従者だったのか!?」

 

「あ、いえ。従者などではありませんが....」

 

「やはり、敬語を使うあなたを見ていると気色悪うございますね。」(ウプッ)

 

「あ"あ"ん?」(ギロリ)

 

「....。」(ニコッ)

 

「....。」(土下座)

 

「うん。上下関係がしっかりしているのはよく分かった。」

 

「ど、どれだけ頭下げてるんですの....?」

 

「さ、最近は下げてなかったのですが、どうしても本能部分でそうしろと告げられるものですから....。」

 

「うえぇ....。」(吐き気)

 

「オイコラ」(ツッコミ)

 

「ふふ。」(含み笑い)

 

「....。」(土下座)

 

「....にぃ....なにこれ、漫才?」

 

「ま、ちと天丼しすぎてる気もするがな....。」

 

(ジ、ジブリール。今だけは敬語で話すことを許容してくれないか?王様の前だと仕事柄こうなるんだよ。お前と話すときは普通に話すからさ....。)

 

(はぁ....わかました。この吐き気を催す気色悪さのせいで負けたらただじゃおきませんからね?)

 

(イ....イエスマム....。)

 

 と、お互いにヒソヒソと仲良さそうに話す二人をみて、ステフは心の奥で少しだけモヤっとした感情を抱いた。

 

 

 

「さて、それではゲームを始めるとしましょうか。」

 

「いや待て待て。執事さんはなんでそっちの陣営につくんだよ?うちの執事だぞ?」

 

 装置を起動しようと手をかざしたジブリールを慌てて空が止める。

 

「それは私と親交のある人類種(イマニティ)が彼しかいないからでございます。」

 

「いや。そもそもお前に同伴者なんて要らないだろ。」

 

「おや?従者に早くご退場されてお困りになるのはどちらか....お分かりだと思いますが?」

 

「....チッ。」

 

 そう舌打ちしてジブリールを睨む空。確かにステフに囮役になってもらわなければ、集中してゲームに挑めない可能性が高い。

 

 それを読まれているのが癪に触った。

 

「....なんで、シュウは、そっちにつくの?」

 

 苦悶の表情を浮かべる空にかわって、白が応対し始める。

 

「....。」

 

 だが、なにも答えない。恭しく頭を下げるだけ。

 

(....むぅ....。)

 

 白が爪を噛みだす。それと同時に自身の頭をくしゃりと掻く空。

 

 そう。今回もっとも不可解な存在は、ジブリールではなくシュウなのだ。

 

 単なる執事がなぜここにいる?なぜ親交がある?なぜ敵側に着こうとしている?なぜ何も語ろうとしない!?

 

「シュウ....どうして....」

 

 そうステフがこぼすと同時、シュウが口を開く。『どうして....』の先を言わせないために。

 

「お嬢様。ご安心を。私はゲストであるあなたをお守りするためにここにいます。プレイヤーである御三方の邪魔はいたしませんので。」

 

(ジブリール。コールを。)

 

(命令しないでもらえますか?)

 

(今がいいタイミングなの!!は・や・く!!)

 

(....どさくさに紛れて殺して差し上げます。)

 

(やめて!お願いだから!)

 

 ハァ....とため息をついて装置に手をかざし、起動する。

 

「それではこれより具象化しりとりを開始いたします。プレイヤーの方は手をかざしてください。」

 

 そう、機械音声のように坦々と告げるジブリールに対し、

 

「....あんま納得いってねぇが....やるしかねぇか。行くぞ白!」

 

「....うん!」

 

 そうして『  (くうはく)』が手をかざす。それを見届け、頭を下げたまま告げる。

 

「このようなご無礼を承諾していただき、ありがとうございます。」

 

「いや、承諾したわけではないんだが....ま、そっちがその気なら、乗ってやらなくもないと思ったまでだ。」

 

「....でも、勝つのは、私達....」

 

「そう、俺ら『  (くうはく)』に、敗北の二文字はねぇ。」

 

「....かかって、くるのっ!!」

 

 そういって獰猛な笑みを浮かべて睨む『  (くうはく)』。

 

「....左様でございますか。ならば私も、あなた方の寛大な心に身を預けて、こちら側で全力を尽くすとしましょう。」

 

「それでは、エルキアのニューキング&クイーン、空様と白様、無力な人の身でありながら私天翼種(フリューゲル)に挑まれることに、敬意を表して一言。」

 

「どうか、死なない程度で....」

 

 

 

「楽しませて下さいませ♪」

「お楽しみ下さいませ。」

 

 

 

 そういって二人は獰猛な笑みを浮かべ、睨み返すのであった。

 

 

 

 そんな中、ステフは四人を見つめながら、一人思い悩んでいた。

 

(どうしてシュウは、あちらについたんですの....?)

 

 そして、『どうして....』のあとの言葉を思う。

 

(なんで....裏切ったんですの!!?)

 

 その問いも答えも聞けぬまま、ゲームへと意識を奪われていった。

 

 

 

◼️◼️◼️

 

 

 

「これで完成だっ!『女性服』っ!!」

 

「ひっ!?きゃあああああ!!?」

 

「....にぃ....オメガぐっじょぶ....!」

 

 空が高らかに叫んだと同時。ステフ、白、ジブリールの服がなくなり、世にも有名な『超健全空間』が展開する。

 

「ぬはははは!!ここなら湯気さんも謎の光先生も働かなくていい超健全空間!!ほらどうだ執事さん!?いい眺め....だ....ろ....?」

 

 そういって、シュウに同意を求める空であったが、シュウの様子がおかしいことに気付く。

 

「っておい!?ありゃ大丈夫か!!?首が180度しっかり回ってんぞ!!?」

 

「....そこらの、ホラゲーより、怖い....」

 

「え!?シュウ!?な、なんでそこまでして....」

 

(こ、こんなことで裸体を見てしまったら、鼻が伸びて俺の顔が大変なことになるからだよっ!!)

 

 そう、煩悩を物理という名の理性で無理矢理抑えることに成功したシュウは、ここで重大な事実に気付く。

 

(くっ、首が戻らねぇ!!?)

 

 あまりに無理に回したために筋肉が一時的に機能しなくなっていた。

 

(や、やばっ!?息が....っ!!た、助けてっ!!)

 

 息をするのも難しくなったため、手をじたばたさせて助けを求める。

 

「ハァ....世話が焼けますね....。」

 

 そういってジブリールがシュウの頭に手をかけ、優しく(ゴリッ)丁寧に(グキャッ)首を戻した。

 

「ふぅ....これで大丈夫でございますね♪」

 

「いや大丈夫じゃねえだろ!?執事さん白目向いてんぞ!!?首間違えて360度回してねぇだろうな!?」

 

「....く、首は大丈夫、だけどっ!?」

 

「わ、わ....シュウ!!だ、大丈夫ですの!?ほ、ほら!はやく目を開けてっ!!」ペチペチ

 

 ステフがきつけに頬を叩いて必死にシュウを起こそうとする。

 

「....ハッ!!?お、お嬢様なんでこんなところに....ぐはっ!!?」

 

「きゃあああ!?また倒れましたわ!!?どうなってるんですの!!?」

 

「....お、お嬢様....こ、これを....」

 

 そういってシュウは自分の上着とカッターシャツ、ネクタイをステフに渡した。

 

「....す、少なくともこれで....前だけは隠せると思いま....ガクッ」

 

「ちょ!?シュウ!?ま、また気絶しましたわ!?どうすればいいんですのぉ!!?」

 

「と、取り敢えず服着てそっとしとけばいいんじゃないかな....?」

 

「....しろも、そう思う....」

 

「ハァ....女性の裸体を見ただけで卒倒するとは情けのうございますね。」

 

 そういわれて服を着てみたはいいものの、余計に扇情的な姿になったステフに、シャッターの音は鳴り止まなかった。

 

 

 

◼️◼️◼️

 

 

 

「あべばブルベアあくらかチャルキュエラぁぁ!!」

 

 どうも。起きたらステフが発狂してクトゥルフチックな奴らから逃げ回っていて、食われる寸前に私が背負って逃げ回っている、先程まで意識がご無沙汰していたシュウです!

 

 まあ、今も結構食われる寸前なんですけどね!?というか、しりとりで何言ったのか知らないが武器がわんさか落ちてるけど何一つ効きやしねぇ!もっといいやつ置いてよ!殺せなくて殺されちゃうぅ!!

 

 しかも今度はステフが安心して気絶してるから姿勢が安定しなくて負担がでかい!!でも下ろせない!!何このジレンマ!?

 

 誰だよこんな鬼ごっこ企画したやつは!!?「はいタッチ!お前餌な!」つって食われる鬼ごっこなんざ誰がやるかぁ!!

 

 と、必死に逃げ道を探すシュウの目に飛び込んだジブリールの、こちらをみてニヤついている表情に直感する。

 

 (お前がやりやがったな!!マジで殺しにかかってるんじゃねぇよ!!そんなに命令されるのが嫌だったのか!?今すぐ土下座したいけど後ろのやつ先にどうにかしてくれお願いします!!ってヤバイ!!マジで食われる五秒前や!!は、はやく空さんあの言葉をぉ!!)

 

「....さっきから無力だ脆弱だって、ちと癇に障るな。クリーチャー。」

 

(あ、やっといってくれた!!助かったぁ....。)

 

 ステフを床に下ろし、肩で息をして体を休める。

 

(だけど、はやく空達のもとへ戻らないと....。)

 

「お嬢様....お嬢様!!起きてください!!」

 

「....はっ!!な、何ですの!?あの化け物はもういないんですの!?」

 

「それは後に!今は彼らのもとへ急ぎますよ!」

 

 そういってステフの手をつかみ、走り出す。

 

「え!?ちょっ!?シュウ!?どうしたんですのぉ!?」

 

 

 

◼️◼️◼️

 

 

 

「じゃ、そろそろ教育してやるよ....てめぇの弱さを。たっぷり痛感しろ。」

 

 そういわれて、ジブリールは顔をしかめて空を睨む。

 

「白、いいか?」

 

「....ん....」

 

 二人の同意が終わったちょうどにシュウとステフが息を切らしてやって来た。

 

「お~ステフお疲れ!執事さんも護衛、頑張ってくれたみたいだな。」

 

「ぜぇ....ぜぇ....何で....こんな目に....。」

 

「お褒めに預かり光栄にございます。」

 

「いや~お前らがヤバイもん引き付けてくれなきゃ、勝てなかった。」

 

 キョトンとするステフと目を丸くする(ふりをする)シュウ。そして勝利宣言をした空を睨むジブリールを前に、空。

 

「だからちょっと死ぬけど我慢してね♪」

 

「は!?それってどういう....」

 

 そういって振り返り、階段へ駆けて行った『  (くうはく)』を尻目に、シュウは空が使っていたであろう、テーブルに置かれた紙とペンをとり、2、3個の単語を書きなぐった。

 

「ジブリール。」

 

「何でしょうか?」

 

「やばくなったらこれ使え。」

 

「私があなたの浅知恵を使うとでも?」

 

「まあまあ、本気でヤバくなった時にヒントになればと思ってな。」

 

「使うことはありませんが、従者からの頼みなので受け取っておきましょう。」

 

「従者になった覚えはないけどな。」

 

 

 

 そんな二人の会話を聞いて、ステフはシュウがやはり裏切り者ではないかと、話しかけようとしたとき。

 

「なあステフ。何で俺がこっちについたかわかるか?」

 

「へ?」(い、今名前で....)

 

「『  (あいつら)』に一矢報いてみたいと思ってな。ちょっとした俺の我が儘だ。」

 

ー原作知識持ちが『  (くうはく)』に勝てるのかー

 

「まあ、それが届くか....そもそも、使われるかもわからんが。」

 

ー絶対に使われる。自身が考えた切り札がどこまで通用するかー

 

「でも、せっかく挑めるんだ。やってみたくなるだろ?」

 

ー例え、この一手で原作が壊れるかもしれなくてもー

 

「....。」

 

 そう言っていたずらを企む子供のように、楽しそうなシュウの顔を、ただ黙ってステフは見上げていた。

 

 その時、大きく跳び上がった『  (くうはく)』から、幕開けの宣言(コール)が木霊した。

 

 

 

さあ、耐久ゲームの始まりだっ!!

 

 

 

「「『リソスフェア』!!!」」

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