『リソスフェア』....岩石圏、岩圏とも呼ばれ、地球の地殻とマントル最上部の固い岩盤を併せた部分の総称である。(Wikipediaより引用)
....あれ?マントルの一部復活すんじゃね?
....細けぇこたぁいいんだよ!!
「へ?ひゃあああああ!!?地面が!地面がですわぁあ!!?」
「うお!?吸い寄せられるっ!!?」
ステフはシュウの腕を握って、シュウは足をバタつかせて必死に姿勢を安定されようとしていた。
「ほう。まだ殺す気でいらっしゃいましたか....。」
地面がなくなり、引力に身を任せるしかなくなった三人に対し、空が笑みを見せた。
だが、そんなことでは殺せないとジブリールは焦りの表情ひとつ見せず、余裕を保っていた。
「ふふ、あと少しで終わらせようとしているようですが....そうはさせませんよ?『朝』」
(お嬢様!!思いっきり息を吸って下さい!!)
(は、はいですわ!!)
おそらく次に来る言葉に先んじて、ステフに思いっきり息を吸わせ、自分も吸っておく。そして空が最小限の言葉で紡ぐは....
「....『酸素』っ」
その瞬間、全員に頭痛がはしる。
(あっ....がぁっ!!?け、結構痛いな....っ!!)
(....っ....頭が....割れそうに....っ....!!)
激しい頭痛に呻く二人を尻目に、ジブリールはなお、余裕であった。『なんかした?』という表情でまるで空達をを煽っているかのように。
「はぁ....どこまであなたがたの命が続くかはわかりませんが、せっかくなのでもう少し楽しませてもらいましょう。『ソナタ』」
「....『種植え』」
(ほう?意外と素直でございますね。なんとか足場も戻して続けたいところですが、ひとまず....)
「....では、『
(フンッ!!)
(ふえっ!?)
その言葉と同時にステフの肩を抱き、顔を合わせる。減圧により更に頭痛が酷くなるが、そのシュウの顔は別の意味でものすごく険しくなっていた。
(じ、循環呼吸しないとステフが死ぬ....い、今から行うのは救命活動!!だ、だから迷うなシュウ!!け、決して下心が有るわけではあばばばば!!)
だが先程の表情はどこへやら。いきなり頭を左右にブンブン振るシュウ。
(こ、これは空達も躊躇なくやってたこと....お、俺もやらね....ば....?)
そうして取り敢えずお手本をみようと空達の方に顔を向けたシュウの目に、驚きの光景があった。
「「ふうぅぅぅ....」」
お互いに息を吐き合う空達の姿があった。
(な!!?循環呼吸していないっ!!?なんで!?時間短縮かなにかか!?)
循環呼吸していない空達に疑念を抱き、真意を推し量るが結局わからず....
(そ、それよりもっ!!)
そう思ってシュウはステフのほうに顔を向け、
(は、早く息を吐いてっ!!)
(え!?な、なん....
「....『アトモスフェア』っ!!」
(くっそお!!)ガシッ
(シュウ!?....かはっ!?)
いきなり抱き締めてきたシュウに驚きの感情を抱くも、同時に起こった口内の空気の膨張による危険信号に書き消され、口を開けて回避する。それと同時に気付く。息ができないと。
空間の空気が無くなったことにではない。肺が膨張し、破裂して機能しなくなったという物理的要因からだ。胸に激痛が走り、尚も残った空気が内部から体を壊そうと膨張を続けていた。
(ぐ....ぐおぉっ!!)
それをシュウが無理矢理抱き締めて、力で抑える。
(死なせちゃダメだ!!絶対にっ!!)
その思いひとつで、ゲームルールの『ゲーム終了時に元通りになる』事を完全に忘れたシュウが、循環呼吸を読み違えたことに申し訳なさを覚え、その罪滅ぼしか、それとも別の思いか....必死にステフの体を、命を繋げようとしていた。
そんな、吐ききれずに肺に僅かに残った空気の膨張によって、背中が崩壊し、血が溢れていても、それでもと力を緩めないシュウの頬に、手が添えられた。
はっと目を開けたシュウの前には....
(もう、いいんですの。)
(お....お嬢様....?)
ステフがこちらを見て、口を動かしてなにかを伝えていた。
(あなたが守ろうとしてくれて私、嬉しいですわ。)
(でもそれで、あなたが傷つくのは違うと思うんですの。)
(だから....今はこれしかお返しできないですけど....)
(ありがとうございます。ですわ♪)
そう慈愛に満ちた笑顔を向け、目を閉じて....
ーキスをしたー
(....!!)
その瞬間、シュウの全身から力が雪のように溶け、二人は体内に宿した空気の膨張という、物理的暴力に為す術も無いまま屈し....爆発した。
◼️◼️◼️
(....リア充、爆発って、ホントにするんだ....っ!!)
....と、先程のラブシーンを台無しにするかのような感想を浮かべた白は、これを見た空がどんな顔をしているか見てみようと様子を伺うと....
(....むぅ....)
そこにはジブリールの方を向いて動向をしっかり観察し、勝つことしか考えていない空の姿があった。
(....そんなんだから、18年、童貞なのっ!!)
そんな明らかに極論な理論を頭に浮かべ、空の腕の中に収まり直り、静かにゲームの決着を待つことにした。
◼️◼️◼️
(なっ!!?このままじゃ守ることもっ....)
空が見せた最後の切り札。『クーロン力』。それがもたらす『
(これに耐えれるもんなら耐えてみろよ
その空の獰猛な笑みに、悔しさと同時に畏怖、ましてや尊敬の念を抱きつつ、死に背を乗せて眠ろうとしたとき....
『まあまあ、本気でヤバくなった時にヒントになればと思ってな。』
(!!)
そう。あの男の言葉を思いだし、咄嗟にその紙を取り出す。そして、三つある単語の内の一つに、『く』から始まるものを見つけ....
(本当に凄まじい種族ですね....)
そう微笑をたたえて、その走り書きを空へ突きつけた。
(なっ!?まだ何かやるってのか!?)
先程までの、勝利を確信した表情は消え失せ、一気に焦りへと転じた。
(さあ、
そのメモにかかれていた言葉は....
それにより、ジブリールと空の間の空間が消える。無いものが現れ、有るものが消えるこのルールで、
そして空の目と鼻の先に、死をもたらす
(ま、まずい!!距離を詰められたら....っ!!)
(私が後ろへ投げれば、終了にございます。)
そう。距離さえ詰められれば、ある程度自由に動けるジブリールは、空達との位置関係を変えられるのだ。
(私をここまで追い詰めたのは誉めて差し上げます。ですが、ここまでのようですね。)
(なんでだ....なぜお前がメモなんか持ってる!!?いつ、どこで書きやがったっ!!?)
そう。未知とは世にも珍しい、素晴らしきものであると同時に、恐怖を携えた物であると。
そう教えてやろうとした空が、逆に教えられるということに衝撃を受け、なにもできずに、ただ背に手をまわされ、死の炎に放られる....
....かに思えた
(背中が無い!?)
そう。お互いの体は既に半分以上消滅していた。
(な、なんで....っ!!?)
そうして辺りを見ようと顔をあげたとき、意識は白い光に葬られた....。
◼️◼️◼️
「はあっ....かはっ....な、何が起こったんだ!!?」
ゲームから現実に戻り、生き返った空がそうこぼす。
「....しろは、ずっとうつむいてて、分からなかった....」
「はて?距離を詰める言葉だったはずにございますが....?」
そう、勝敗の結果も見ずに、不可解な現象に三人はそれぞれの感想を述べる。限界まで思考していた頭は、疲労のためか今は空回りをする。
そんな彼らをみて、落ち着かせようと一人の執事が歩み寄る。
「ど、どうなさったのですか?」
「どうもこうも、俺達が
そう空が指し示す先にあるゲーム盤に表示された勝者は....『
「....なるほど。ジブリールは最後、どの言葉を使ったのでしょうか?」
「どの....ってことは、あのメモお前が書いたのか!?」
「えぇ。そうですが?」
「うわー。マジか....。え?でも、いつ渡したの?」
「あなた方が振り向いて走り出したときに。距離を離そうとするなら近づけばなんとかなるのではないかと思いまして、いくつかそれに関するものを....」
「あー....あん時かよ。というかよくジブリール使ったな。他人の知識だろ?」
「....えぇ。まあ、少し....いえ、かなり癪でしたが、「おい。」こちら側の陣営でしたし、ルールに知識の受け渡しは設定してなかったので。」
「かぁーっ!マジで観客席から乱入してくるとはな!してやられたぜ....。」
「....話を戻しましょう。どの言葉をご使用で?」
「『空虚』だ。」
「....あー....それになりましたか....。」
と、必ず切ると踏んだカードを、さも偶然切られたと言うように台詞を吐いて、回答を示す。
「それなら何もない空間が消えてなくなりますから....他に何かがあって近づいたのでは?」
そういわれて考え込む三人。そして全員が答えにたどり着く。そして、なぜ空達が勝ったのかを。
「....ま、まさか....」
「『
「私と空様の間にいた白様が最後まで生き残っていたということにございますか....。」
そう、何も消えた空間は空とジブリールの間だけではない。空とジブリールの背後の空間まで消えてしまう。つまり、
答えにたどり着き、はぁーっと息を深く吐いた三人はそれぞれに感想を述べる。
「まっさか、最後の最後で
「....
「しかし、結局は敗けにございますけどね。」ハァ
「だが最後に全てをかっさらう、まさに弱者らしい戦い方!!気に入ったよ!!シュウも
そう、新しい遊び相手を見つけたかのように、無邪気に笑う空を前に、恭しく頭を下げ、
「お褒めに預かり光栄にございます。あなたがたの執事として、尽力いたしましょう。」
「オエェ....」(吐き気)
「オイコラそこぉ!!せっかくのシリアスを台無しにすんじゃねえよぉ!!?」(土下座)
結局は天丼に笑って終わるのであった。