こんにちは。私ステファニー・ドーラですわ。
今は、あの
まあ、家系との繋がりとかは私がよく知っているのは自負できるんですけど、それでも、王になったからにはキチンと仕事をしてほしいですわ!!
....そう思いながら周りを見渡すと、自身の利権を得ようとする貴族と、二人の間を右往左往する執事やメイドがいた。
この光景を見て、少し視線を下げてしまう。
(なんだか独りでやってるようで、寂しいですわね....。どうして、シュウが居てくれないのか、あの二人になにか考えがあるんでしょうけど....。)
そんな、自分と仲の良い人と一緒にいれないことに、心の底で不満をにじませていた。
「....ではこの取り決めで宜しいでしょうか?」
「えぇ。ではそのようにしてもらえるよう、期待しておりますぞ。ドーラ公爵。」
「はぁ....。」
貴族との会談を円満に済ませ、次の来客に備える。空達の改革により、利権を求める貴族たちがこぞってやって来ている。
しかもゲーム最強の王がいないなら、余計に話が通りやすいと踏んでいるものだから、話は長いわ高圧的だわで、ストレスが半端ではありません。しかし、人間関係の対応は耐性がある自分がやるしかないと、気を張ってこなしている。
「次の方どうぞ。」
また来る貴族たちとの長話に備え、気を立てて待ち人を呼び寄せると....
「....さて、じゃあ要求といこうかしら。」
「なっ!?貴女は....!!」
そう言いながら扉を開けてきたのは、黒装束のような服を身に纏った少女。クラミー・ツェルだった。
◼️◼️◼️
はい。ご無沙汰しております。シュウです。
前回はジブリールとのゲームによる後始末回的なものになり、今回はおそらく東部連合に乗り込むまでの話になるのではないかと思われます。
まぁ、あくまで予想ですけど。
そんなこんなで今日も今日とて、お茶汲みをやっていたのですが....とある事実に気づいて空に訪ねてみる。
「あの....申し上げにくいのですが空様。」
「ん?どしたのシュウ?」
「いえ....その、この図書館に泊まり込んで二日が経ったではありませんか。」
「そうだな。」
「それで、空様がお食事した回数は?」
「2回だな。」
「それを踏まえて申します。私ここに必要ですか!?」
そう。この二日間、ジブリールは当然として、この兄妹、必要最低限の食事しかしてないのである。となれば、私がここにいる大きな理由は、言葉通りのお茶汲みしかないわけで?そんな頻繁にお茶なんて飲むもんでもないため、かなりの間が暇となっている。まあ、空たちの質問にも答えることはあるが、大半はジブリールが答えるし、その暇を潰すのが主に....
「おや?私のストックしている質問に答えるのが億劫になりましたか?」
「いんや。そう言うわけではないんだが....。」
「ならいいではございませんか。さぁ、次は
「はぁ....」
ご察しの通り、お茶汲みよりもジブリールの抱えた質問大全集に答えるのが主な暇潰しになっている。大全集とはいえ、この前溜まりに溜まった質問は、この二日間で答えあげたんだが、やはり数週間で千の質問をぶん投げてくる
というわけで、自分の仕事もそんなになさそうなので、ステフのところへ行こうと空に提案する。
「失礼ながら空様。お嬢様のことが気になってまして....。お嬢様のところへ向かってもよろしいでしょうか?」
「あ、そういや任せたまんまだったな。」
思い出すかのように言うのね空....
「お茶ならとっている分をジブリールに注がせて、お食事などのご用があればお呼びいただく形で、私の仕事とさせてもらいたいのです。」
「あ、あぁ。構わねぇが....そんなに心配か?」
「何事にも人は多い方がよろしいです。そちらは数を補える程の質を持っておられるので、その心配は無いのですが、あちらは政治の事となって舵を取れるのはお嬢様だけなので....。」
「んー。ま、そうかもしれんな。白もそれでいいか?」
「....うん....だいじょうぶ....」
「ならジブリール。シュウをステフの所に飛ばしてくれ。」
「....かしこまりました。」
「な~んでそんな嫌そうな顔をしてるのかにゃー?なーんでーかにゃー♪」
「マスター♥️この猿の首だけ撥ね飛ばしてもよろしいでしょうか♥️」
「怖ぇからやめとけ....。あ、そうだ。これ渡しとく。」
そういって空は私にタブレットPCを渡してくる。
「これの操作方法は俺たちの使ってるところ見たからわかんだろ?」
「え、えぇ。少しは。」
「じゃ、政治に役立ちそうなのはこれ。農業はこれ。文字の学習とかの教育はこのあたりの資料を参考にしてくれ。」
「あ、あの....申し上げにくいのですが....」
「ん?なに?」
「この文字読めないのですが....」
「あ!そうだった!!これ日本語だった!!」
そう、タブPC内の資料は全て日本語で書かれている。この国で使われるのは発音は同じでも
「ど、どうするかな....ジブリールは付いていて欲しいし....」
「....にぃ....」
「ん?どうした白?」
「....この前作ったアプリ、使わせるといい....」
「あぁ、あれか!よし、シュウ。このアイコンを押してだな....」
そういってアプリを立ち上げ、日本語の文章をコピーしたものを張り付けて『変換』のボタンを押すと....
「あ、
「そうこれ、発音が同じってことを利用して、日本語の読みの部分を抽出して
「....ちなみに、しろがつくった....」
「....でもどうしてそんなものを?あなた方はもう十分なくらい
「あー。お褒めに預かり光栄なんだが、白はそうでも、俺はそうでもないの。やっぱ慣れが必要なんだよな。知識のすり合わせとか、割とすっきり出来る訳でもないからな。その為に白が作ってくれたんだよなー♪」
そういって、わしゃわしゃと白の頭を撫で、猫のように目を細めて幸せそうな顔をする白。
それを見て少しの邪念に駆られ、近くにいたジブリールの頭に手を伸ばしてみる。
「おや?それでは…」スッ
するとジブリールが膝をついて頭を向けてくるではないか!!
(え!?いいの!?ほんとに触るよ!?何の心境の変化か知らんが、これはチャンス!!)
と、おそるおそる手を近づけて、光輪の辺りまで来たところで....
手が止まる。
それも盟約で触らせないかのように『ビタァッ!!』っと止まる。
「んー?」
「おや?撫でていただけないのでしょうか?」
そういってグイグイ頭を寄せてくるが、手は触れようとしない。
「むう....意地悪にございますね。」
そう頬を膨らませてジト目するジブリールだが、それでも手は光輪に触れない。
(あっれー?相互同意ならよかったんじゃないっけ?)
なぜ触れないのか思考し、ある仮説にたどり着く。
「なあジブリール。その頭の輪っかに触れるとどうなるのかな?」
それを聞いた瞬間。ジブリールの恍惚としていた表情が、いたずらな笑みに豹変し、
「高濃度の精霊に触れたことにより手が蒸発しますが、それでもよいなら、どうぞ撫でてくださいませ♥️」
そういって、光輪をまるで草刈り機のようにグルグル回転させ尚も近づけるジブリール。
「害意しかないじゃないですかやだー!!?」
そんな二人を見かねて空が切り出す。
「....ほれ。ステフん所いくんだろ?ジブリール送ってやれ。」
「はぁ....。では。」
不服そうな顔をしてジブリールはシュウの服の襟を掴み、まるで粗大ごみを扱うように転移の穴に放り込んだ。
◼️◼️◼️
「な....何であなたがここにっ....!!?」
「なぜって....ここを制圧しようと思っているからに決まっているじゃない。」
「せ....制圧!?」
予想外の来客に思考が一瞬とまる。しかも制圧という、まさしく侵略行為を行ってきたクラミーの意図をわかりかねていた。
「そ、制圧。今この王城の指揮権を持つ貴女を押さえれば、少しの時間でもうこの国は私の手に堕ちるわ。」
「あ、あなた....まだ諦めていなかったんですの!?」
「そうよ?諦めるわけないじゃない。他の種族はあなた達の
本当にその気なのか、クラミーの立ち姿には余裕で溢れていた。
「ま、あなた達の行動は監視させてもらっていたけど、ここまで無防備の状態をさらしておくなんて危険よ?」
そうニヤリと笑ってステフをみやるクラミー。もう勝っているような態度でいる彼女に、ステフは冷静に一つの札を切る。
「でも、私がその権利をかけた勝負を受けなければいいだけですわ!」
そう。貴族との会談でも同じように、ゲームの腕が無いならば、ゲームでの挑戦を拒否すればいいだけである。だが....
「わたしがその穴を埋めてないとでも?」
そういってクラミーが指を鳴らすと同時に、目の光を失った大臣たちが入ってきた。
「勝負を受けないとこの国の政治は滞るわよ?それでもいいならいいけど?」
「なっ....!!?あ、あなた一体何を....」
「大臣達にゲーム吹っ掛けて負かしただけだけど?こいつらもそこら辺の貴族と一緒ね。勝ったら甘い汁吸わせてあげるって言ってやったら、簡単にゲームにのってくれたわよ?浅ましい事この上無いわね。」
「くっ....。」
歯を食い縛り、今の状況を整理する。だが、どうしても解決策が思い付かない。
(このままじゃ、ここは乗っ取られて....)
以前空に教えてもらったシナリオ通りに、クラミーが手を組んでいる
っと、床に顔面を引きずらせながら部屋に乱入者がやって来た。
「え!?だ、誰ですの!?」
「あら?あなたは....」
「いたた....少しは接客術教えるべきかな....」
そういいながら立ち上がったのは、執事服のシュウであった。