ノーステフ・ノーライフ   作:sayutan

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素晴らしい執念だ…

「シ、シュウ!?どうしてここに....」

 

「へぇ、こんな時に来るなんて、まるで救世主か何かかしら?」

 

「へ?救世主?一体何の事....って、何でクラミーがいるんだ!?」

 

「それは、かくかくしかじか。」

 

「まるまるうまうま、ってやつか....。」

 

「何で通じてるんですの....。」

 

 

 

「とまあ、そう言う訳でここにいるんだけど、その反応を見るに、偶然ここに来たということかしら?」

 

「あ、あぁ。その通りだ....ウォッホン!その通りでございます。」

 

「あら?気を使わなくていいのに。」

 

「では、クラミー様はこれよりお嬢様に、この王城での政治的指揮権を奪う為のゲームを行うと?」

 

「えぇ、そうよ。でもその前に用事ができちゃったわ。」

 

「よ、用事って何ですの....?」

 

 ステフの質問にクラミーは何も答えず、シュウの方へ歩み寄る。その顔は、何かを企み微笑む表情をしていた。

 

 

 

....が、一変。

 

 

 

「私の胸、あれから5cmも大きくなったの!!」

 

「「....は!?」」

 

 嬉しくって無邪気に笑う子どものような表情に早変わりした。

 

「ごご、5cmって....え?マジ?」

 

「本当よ!教えてもらったあの日から、毎日欠かさずしていたらここまで膨らんだのよ!!」

 

 それを聞いて、クラミーの胸をチラ見すると、本当に若干だけだが、胸に影ができていた。

 

「え?あれからって....え?一月前から?」

 

「そう!通算でよ!!毎日メモだってとってるんだから間違いないわ!!」

 

「お、おいおい....流石にそれは....。」

 

(本当なのですよー。)

 

(こ、この声は、あの時の森精種(エルフ)!?)

 

(そうなのですよー。あれから毎日、嘘もつかずに『小さくなれー小さくなれー』って念じながら、クラミーのお胸のサイズをはかる、フィール・ニルヴァレン、なのですよー♪)

 

(相変わらず友の胸に対して辛辣だな....。)

 

「ふふん。疑うのも無理ないわ。でも、私の親友が嘘なんてつくはず無いし、この目で確認できてるから。」

 

「た、確かにな。」

 

「でもここ最近、妙に大きくならないのよね。どうしてかしら?あなたならわかるかしら?」

 

「アー。ソレハチョットワカラナイナー。」

 

「そう....。」

 

(それはー。私が教えてもらったのをしっかり守ってやってるからなのですよー。)

 

(どうして貴女についた嘘もホントになってるんですかね?)

 

(知らないのですよ。でも....クラミーの成長率が下がっただけで、まだ成長を続けてるのですよ!!忌まわしき脂肪を全く落とせていないのですよ!!)

 

(少しは友の夢を阻害するという事に罪悪感を持つかと期待したけど、無駄だったようですねっ!!)

 

(あ、あのつるぺたの魅力を知らないから、そんなことが言えるのですよ!!あのまな板みたいにスベスベな胸が織り成すさわり心地は上質な絹を撫でるようで、それがもたらす余韻は天にも昇るものなのですよ!!顔なんてあてようものなら、心地よい心音と体温を直に感じられて、生命の神秘を感じられる神の芸術品が、無駄についた脂肪に邪魔されるなんてそんなこと....)

 

(だああああああ!!やかましいし知らんわぁ!!そんなクラミーの胸のさわり心地を誰がレポートしろっつったよ!?とにかく....)

 

「そうだわ!!人類種に伝わる豊胸術、『誰かに揉んでもらう』を試せば効果が上がるかもしれないわ!!」

 

 

 

ーそのとき、惑星の自転が止まったー

 

 

 

「ふぁ!?な、何言って....」

 

「さあ、善は急げよ!!さっさと揉みなさい!!」ガシッ

 

「うわっ!!?腕掴むなっ!!ちょっ、やめっ....ヤメロオオオオオオ!!!」ブンブン!!

 

「え?どうして拒否するのよ!?私の夢の応援くらいしてくれてもいいじゃない!!」グググ....

 

「やり方が色々問題だろ!?何でそんな伝承信じてんだ!!そんなんで胸が大きくなるわけないだろ!!」ギギギ....

 

「胸のサイズ測るだけでここまで効果があったのよ!!巨乳どころか爆乳目指せるわ!!」グイグイ!!

 

「そ、そうだ!!他人に揉まれると胸を取られるんだぞ!!お前の夢を奪ってしまうかもしらんぞ!!」プルプル....

 

「親友の場合はそうかもしれないけど、異性の場合はまだ試してないわ!!しかも、『豊胸の使徒』様に揉んでもらえるのよ!?試す価値は十分にあるわ!!」ワッショイ!!

 

「ねぇよ!!」

 

(というかいつまで寝てんだフィー!!?は、早く起きてなんとかしろ!!)

 

(コロス....はっ!!?な、何があったのですか!!?)

 

(クラミーが胸揉ませようとしてくるんだよ早く止めてくれ!!)

 

(な、何してるのですかクラミー!?ま、まさかあなたがけしかけて....)

 

(ちっげぇから!!そんなことしねぇから!!)

 

(なっ!!?クラミーのお胸の魅力が無いというのですか!!)

 

(触って欲しいの!?触って欲しくないの!?どっちなんだよ!!?)

 

(触って欲しくないに決まってるのですよ!!さあ、あの猿を駆除するのですよ!!)

 

 それと同時に大臣達の目に火が灯り、シュウを殺そうと迫ってくる。まぁ、盟約によって動きは止められるが....。

 

(本当に殺しにかかってどうすんだ!?)

 

(ク、クラミーの胸は私のもの....私のものなのですよっ!!)

 

「えへへ....ゆ、夢いっぱいの胸がやっと....やっと....」サキッポタマデ....

 

「二人とも発狂していらっしゃるぅ!!?」アトチョット....

 

「お、男に触られるのは癪だけど、あんたになら....///」

 

 

 

バァンッ!!

 

 

 

「(「!!?」)」

 

 突如として起きた破裂音に思考の停止を余儀なくされた三人は、生命の危機を感じ、咄嗟に根源の方へ顔を向けると....

 

 

 

「さ、ゲームを始めましょう?これが目的で来たんですのよね?」ゴゴゴ....

 

 

 

 トランプを見せつつはにかむステフは、天翼種(フリューゲル)すらも凌駕しているのではと思える程の、途方もない量のどす黒い殺意を放っていた。

 

(((あ、死んだわコレ。)))

 

 そうして三人は意識を手放した。

 

 

 

◼️◼️◼️

 

 

 

 ご無沙汰してます。シュウです。

 

 あの後ステフとクラミーがポーカー勝負をしたのですが、ステフの圧勝に終わりました。

 

 え?魔法?クラミーが勝利報酬に"胸揉み"を要求した時点で察してください。

 

「い、いつか胸揉んでもらうんだからぁ!!」

 

 と、端から聞けば痴女にしか思えない捨て台詞を残して、王城を後にしたクラミーを見送ったんだが....

 

「~♪」ゴゴゴ....

 

 ステフはご機嫌斜めのようです。顔は笑っているが目が全然笑っていない。対面した貴族が腰抜かして涙目で出ていくんだもん。仕事どころじゃないよ。恐怖政治になっちゃってるよ。ゲーム仕掛けられたときに切るトランプの音が山姥の包丁研ぎの音にしか聞こえないもん。そりゃ逃げるわ。

 

 ど、どうしようか。空に惚れさせられる前に調子にのって好感度あげたのがいけなかったのか!?だ、抱き締めたりしたらあるいはあばばば....!!

 

「ねぇシュウ?」

 

「は、はいぃ!!?」

 

「何でシュウはクラミーとあんなに仲良いんですの?」

 

「へ?いや、仲良く見えてなんて....」

 

「何でですの?」

 

「....は、話しやすいからかなぁ....?(主に胸の話で)」

 

「へー。ふーん。ほー。私を差し置いてですの?」

 

「ヒィッ!?」

 

 

 

「シュウ。これから私のこと、名前で呼んでくれたら....その....ゆ、許してあげなくもない....ですわよ....?」

 

 

 

「....へ?」

 

「だ、だからっ....名前で....うぅ....」

 

 

 

 ....あ、自分で言ってて恥ずかしくなったな!フフン。これはチャンスだ!ステフをステフと呼ぶことなぞ私にとって容易(たやす)いことよ!!

 

「わ、わかりました....えーっと、す、ステファニーお嬢様?」

 

「お、お嬢様は要らないですわ!!」

 

 ....あ、あれ?いざ本人を前にして言うとメチャメチャ恥ずかしいぞ?

 

「そ、それでは....す、ステファニー?」

 

「ーーーっ!!な、なんか違う気がしますの!!もっとこう、親しみを込めた呼び方で....」

 

 え!?あれ!?もう心臓がヤバイんだけど!?こ、ここここれ以上は....

 

「す....すすすす....す....」

 

「....」ゴクリ

 

 

 

「す、ステファああああああああああああごめんなさいお嬢様あああああああ!!!」ダッ!!

 

 

 

「あっ!!シ、シュウ!!?」

 

 

 

 

 す、すみませぬお嬢様ぁ!!こ、この執事めはまだそのような度胸はござりませぬぅうわああああああああんっ!!

 

 

 

◼️◼️◼️

 

 

 

「い、行っちゃいましたわ....」

 

 あまりの恥ずかしさに逃げ出したシュウを眺めていたステフは、伸ばした手を自分の頬へと当てる。

 

(で、でも、後少しで言ってくれそうでしたわね....。)

 

 そう頬を赤らめながら、互いの関係の進展を噛み締めていた。

 

(....早く、お互いに名前で呼び合えるような仲になりたいですわね....)

 

 そう空想を膨らませているステフの前に、空間の亀裂が入り、穴が開く。

 

「おや?ドラちゃんだけでございますか?」

 

「へ?ジブリール!?」

 

「....はぁ。あの猿を探すのが少々手間ですが、まぁいいでしょう。ドラちゃん。これに掴まっておいてください。」

 

「え?は、はいですの。」

 

 そうして服の一部であろうか、それを手渡してきたジブリールは別の穴を開けて、シュウの頭を引っ張りだし、告げる。

 

「どうか手をおはなしにならないで下さいませ。それでは、失礼致します。」

 

 そういうと同時に、王城から彼らの姿は消えていった....

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